以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1~図5を参照して説明する。図1に示すように、燃料電池システム1は、作動温度が高温(例えば、500℃~1000℃)となる固体酸化物型の燃料電池(すなわち、SOFC)10を備えている。
燃料電池10は、燃料ガスおよび酸化剤ガス(本例では空気)の電気化学反応により電気エネルギを出力する複数の発電セルを積層したスタック構造を有している。なお、発電セルの形状は、平板型および円筒型のいずれであってもよい。
図示しないが発電セルは、固体酸化物電解質、空気極(すなわち、カソード)、燃料極(すなわち、アノード)を含んで構成されている。本実施形態の発電セルは、炭化水素系の燃料である都市ガス(すなわち、メタンを主成分とするガス)を改質して生成される水素および一酸化炭素を燃料ガスとしている。なお、使用する燃料は、炭化水素系の燃料であれば、都市ガス以外のガスが採用されていてもよい。
燃料電池10は、以下の反応式F1、F2に示す水素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
(燃料極)2H2+2O2-→2H2O+4e- …(F1)
(空気極)O2+4e-→2O2- …(F2)
また、燃料電池10は、以下の反応式F3、F4に示す一酸化炭素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
(燃料極)2CO+2O2-→2CO2+4e- …(F3)
(空気極)O2+4e-→2O2- …(F4)
燃料電池10は、後述する空気予熱器22、改質器33、排ガス燃焼器73、暖機用燃焼器80等とともに断熱性を有するハウジングの内側に配置されている。燃料電池10、空気予熱器22、改質器33、排ガス燃焼器73、暖機用燃焼器80は、燃料電池システム1におけるホットモジュールHMを構成している。
燃料電池10は、空気の入口側に、空気の流通経路である空気経路20が接続されている。空気経路20には、燃料電池10に空気を圧送する圧送ブロワ21、燃料電池10に供給する空気を加熱する空気予熱器22が設けられている。
圧送ブロワ21は、大気中の空気を吸い込んで燃料電池10に供給するブロワである。圧送ブロワ21は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動式のブロワで構成されている。
空気予熱器22は、圧送ブロワ21から圧送された空気を後述する排ガス燃焼器73で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱するものである。空気予熱器22は、燃料電池10に供給する空気と燃料ガスとの温度差を縮小して、燃料電池10の発電効率の向上を図るために設けられている。
一方、燃料電池10は、燃料の入口側に、燃料や燃料ガスの流通経路である燃料経路30が接続されている。燃料経路30には、上流側から順に、燃料ポンプ32、改質器33が設けられている。
燃料ポンプ32は、燃料電池10側に向けて燃料を供給するためのポンプである。燃料ポンプ32は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
改質器33は、水蒸気を用いて燃料ポンプ32から供給された燃料を改質して燃料ガスを生成するものである。改質器33は、例えば、ニッケルを含む水蒸気改質触媒、反応器を含んで構成されている。
ここで、改質器33としては、部分酸化改質反応により燃料ガスを生成する構成とすることが考えられるが、改質器33の構成機器に温度耐久性等が要求され、非常に高価になってしまう。このため、本実施形態では、改質器33として、部分酸化改質反応ではなく水蒸気改質反応により燃料ガスを生成するものを採用している。
具体的には、改質器33は、燃料および水蒸気を混合した混合ガスを燃焼ガスと熱交換させて加熱するとともに、以下の反応式F5に示す改質反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)を生成する。また、改質器33は、反応式F6に示すシフト反応により燃料ガス(水素)を生成する。
CH4+H2O→CO+H2 …(F5)
CO+H2O→CO2+H2 …(F6)
ここで、改質器33における水蒸気改質は吸熱反応であり、高温となる条件下にて改質率が向上する特性を有している。このため、改質器33は、燃料電池10の発電時に周囲に放出される熱(放射熱)を吸熱できるように、燃料電池10の周囲に配設されていることが望ましい。
燃料経路30には、燃料ポンプ32と改質器33との間に水供給経路40が接続されている。水供給経路40には、水ポンプ41、改質器33へ供給する水蒸気を生成する水蒸発器42が設けられている。
水ポンプ41は、水蒸発器42を介して改質器33側に水蒸気を供給するポンプである。水ポンプ41は、後述する制御装置100からの制御信号によって水の供給能力が制御される電動ポンプで構成されている。
水蒸発器42は、燃焼ガスによって昇温するように構成されている。具体的には、水蒸発器42は、水ポンプ41から供給される水を排ガス燃焼器73で生ずる高温の燃焼ガスと熱交換させて蒸発させる熱交換器として構成されている。
また、燃料電池10には、燃料電池10から排出される排ガスが流れる排ガス経路70が接続されている。具体的には、燃料電池10には、空気の出口側に燃料電池10から排出されるオフ空気が流れる空気排出経路71が接続され、燃料ガスの出口側に燃料電池10から排出されるオフ燃料が流れる燃料排出経路72が接続されている。
排ガス経路70には、排ガス燃焼器73が接続されている。排ガス燃焼器73は、オフ燃料を燃焼させることで改質器33等を昇温させる燃焼ガスを生成するものである。排ガス燃焼器73は、例えば、燃料電池10の発電時に、オフ空気およびオフ燃料を混合した混合ガスを可燃ガスとして燃焼させることで、燃料電池システム1の各機器を昇温させるための燃焼ガスを生成する。
排ガス燃焼器73は、バーナを用いることなく、燃料電池10のオフ燃料およびオフ空気を高温環境下で自着火させて燃焼させるように構成されている。排ガス燃焼器73には、高温の燃焼ガスを流通させる燃焼ガス経路74が接続されている。燃焼ガス経路74は、内部を流れる燃焼ガスの熱を有効活用すべく、上流側から順に、改質器33、空気予熱器22、水蒸発器42、触媒燃焼器75が接続されている。なお、燃焼ガスを各機器に流す順序は、各機器にて必要とされる熱量等に応じて変更してもよい。
ここで、排ガス燃焼器73が失火すると、燃焼ガス経路74にオフ燃料およびオフ空気が流れる。このため、燃焼ガス経路74には、オフ燃料およびオフ空気を燃焼させる触媒燃焼器75が設けられている。
触媒燃焼器75は、排ガス燃焼器73の下流側に設けられている。具体的には、触媒燃焼器75は、燃焼ガス経路74における水蒸発器42の下流に接続されている。なお、触媒燃焼器75は、これに限らず、燃焼ガス経路74における他の位置に接続されていてもよい。
図示しないが、触媒燃焼器75の内部には酸化触媒が配置されている。触媒燃焼器75は、酸化触媒でのオフ燃料およびオフ空気の酸化反応よって燃焼熱を生じさせるものである。この触媒燃焼器75は、例えば、自動車の排ガスを浄化する触媒コンバータのように、火炎を生じさせることなく排ガスを燃焼させるものとして構成されている。
燃料電池システム1には、排ガス燃焼器73とは別に暖機用燃焼器80が設けられている。暖機用燃焼器80は、システム起動時に、燃料および空気との混合ガスを図示しない点火プラグで着火して燃焼させ、その際に生ずる燃焼ガスの熱によって燃料電池10を加熱して暖機する。
暖機用燃焼器80には、燃料経路30から分岐した燃料バイパス経路81および空気経路20から分岐した空気バイパス経路82が接続されている。これにより、暖機用燃焼器80には、燃料経路30を流れる燃料が暖機用燃料として流入するとともに、空気経路20を流れる空気の一部が暖機用空気として流入する。
燃料バイパス経路81には、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量を調整する燃料調整部83が設けられている。燃料調整部83は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電磁弁831および暖機用燃料ポンプ832で構成されている。燃料バイパス経路81には、電磁弁831の上流に暖機用燃料ポンプ832が設けられている。暖機用燃料ポンプ832は、後述する制御装置100からの制御信号によって暖機用燃料の供給能力が制御される電動ポンプで構成されている。
空気バイパス経路82には、暖機用燃焼器80への暖機用空気の供給量を調整する空気調整部84が設けられている。空気調整部84は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電磁弁841および暖機用空気ポンプ842で構成されている。空気バイパス経路82には、電磁弁841の上流に暖機用空気ポンプ842が設けられている。暖機用空気ポンプ842は、後述する制御装置100からの制御信号によって暖機用空気の供給能力が制御される電動ポンプで構成されている。
本実施形態の燃料電池システム1では、燃料調整部83および空気調整部84が暖機用燃焼器80への暖機用燃料および暖機用空気の少なくとも一方の供給量を調整する暖機用調整部を構成している。
暖機用燃焼器80は、暖機用燃焼器80で生じた燃焼ガスが燃料電池10に導入されるように燃料電池10に接続されるとともに、燃料電池10を通過した燃焼ガスが排ガス燃焼器73に導入されるようになっている。すなわち、暖機用燃焼器80を通過した通過ガスが排ガス燃焼器73に流入するように、暖機用燃焼器80の下流に排ガス燃焼器73が接続されている。これにより、燃料電池システム1は、暖機用燃焼器80で生じた燃焼ガスが、燃料電池10を通過した後、排ガス燃焼器73の内部に流入し、排ガス燃焼器73の内部でオフ燃料およびオフ空気と混合される構造になっている。
排ガス燃焼器73は、排ガス経路70とは別の経路76を介して暖機用燃焼器80を通過した通過ガスが流入するようになっている。これにより、暖機用燃焼器80が起動すると、燃料電池10だけでなく、排ガス燃焼器73も昇温する。なお、排ガス燃焼器73は、排ガス経路70を介して暖機用燃焼器80を通過した通過ガスが流入するようになっていてもよい。
次に、燃料電池システム1における電子制御部を構成する制御装置100について説明する。制御装置100は、プロセッサ、メモリを含むマイクロコンピュータと、その周辺回路で構成されている。制御装置100は、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。
制御装置100の入力側には、排ガス温度センサ101、暖機温度センサ102、改質温度センサ、気化温度センサを含む各種センサが接続されており、各種センサの検出結果が制御装置100に入力されるようになっている。
排ガス温度センサ101は、排ガス燃焼器73の内部温度を検出する温度センサである。排ガス温度センサ101は、排ガス燃焼器73の内部温度を直接検出するものに限らず、排ガス燃焼器73の出口温度を排ガス燃焼器73の内部温度として間接的に検出するように構成されていてもよい。
暖機温度センサ102は、暖機用燃焼器80の内部温度を検出する温度センサである。暖機温度センサ102は、暖機用燃焼器80の内部温度を直接検出するものに限らず、暖機用燃焼器80の出口温度を暖機用燃焼器80の内部温度として間接的に検出するように構成されていてもよい。
また、制御装置100には、図示しない操作パネルが接続されている。操作パネルには、燃料電池10の発電をオンオフするためのスタートスイッチ、燃料電池10の作動状態を表示するディスプレイ等が設けられている。
一方、制御装置100の出力側には、制御機器として、圧送ブロワ21、燃料ポンプ32、水ポンプ41、暖機用燃焼器80の点火プラグ、燃料調整部83、空気調整部84等が接続されている。これら制御機器は、制御装置100から出力される制御信号に応じて、その作動が制御される。
次に、燃料電池システム1の全体的な作動について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示す制御処理は、スタートスイッチがオンされると制御装置100によって実行される。
スタートスイッチがオンされると、制御装置100は、図2に示すように、ステップS10にて燃料電池10を起動させる起動処理を実行する。この起動処理では、例えば、暖機処理、水蒸気生成処理、改質処理が実行される。暖機処理は、燃料電池10を含む各種機器を燃料電池10の発電等に適した温度まで昇温させる処理である。暖機処理の詳細は後述する。
水蒸気生成処理は、水蒸発器42に対して水を供給して水蒸発器42で水を蒸発させる処理であり、暖機処理によって水蒸発器42の温度が所定の温度(例えば、100℃)に達すると制御装置100により実行される。制御装置100は、水蒸気生成処理時に、水蒸発器42に対して水が供給されるように水ポンプ41を制御する。水蒸発器42では、水が供給されると、水が蒸発して水蒸気が生成される。
改質処理は、改質器33にて燃料ガスを生成する処理であり、暖機処理によって改質器33の温度が所定の温度(例えば、300℃)に達すると制御装置100により実行される。制御装置100は、改質処理時に、燃料が燃料経路30を介して改質器33に流れるように燃料ポンプ32を制御する。これにより、燃料経路30を介して燃料が改質器33に供給される。
改質器33では、燃料および水蒸気の混合ガスが供給されると、前述の反応式F5、F6に示す反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)が生成される。改質器33で生成された燃料ガスは、燃料電池10に供給される。
上述の起動処理によって、燃料電池10、改質器33、空気予熱器22、水蒸発器42等が燃料電池10の発電に適した温度状態になると、制御装置100は、ステップS20に移行して発電処理を実行する。
具体的には、制御装置100は、発電処理時に移行すると、暖機用燃焼器80への燃料および空気の供給を停止して暖機用燃焼器80を失火させる。そして、制御装置100は、発電処理時に、燃料電池10に対して発電に適した量の酸化剤ガスをおよび燃料ガスが供給されるように圧送ブロワ21、燃料ポンプ32、水ポンプ41を制御する。
これにより、改質器33で生成された燃料ガスが燃料電池10に供給される。燃料電池10は、燃料ガスおよび酸化剤ガスの電気化学反応により電気エネルギを出力する。そして、燃料電池10から排出されるオフガスは、可燃ガスとして排ガス燃焼器73で燃焼される。排ガス燃焼器73で生成された燃焼ガスは、燃焼ガス経路74を流れる際に改質器33、空気予熱器22、水蒸発器42に放熱する。そして、水蒸発器42を通過した燃焼ガスは、触媒燃焼器75を通過した後、外部に排出される。
続いて、制御装置100は、ステップS30にて、燃料電池10の発電を停止するか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、スタートスイッチがオフされたか否かを判定する。
スタートスイッチがオンに維持されている場合、制御装置100は、発電処理を継続する。また、スタートスイッチがオフされた場合、制御装置100は、ステップS40に移行して、燃料電池10の発電を停止する停止処理を実行する。この停止処理では、排ガス燃焼器73の消火、空気の供給量を増加させて燃料電池10の温度を低下させる降温処理、水蒸発器42の内部の水分を除去するためのパージ処理等が制御装置100によって実行される。
次に、暖機処理の詳細について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。図3に示す処理は、スタートスイッチがオンされたことを契機として制御装置100によって実行される。
図3に示すように、制御装置100は、まず、ステップS100で燃料電池10および暖機用燃焼器80を起動する。制御装置100は、燃料電池10を起動させるために、圧送ブロワ21および燃料ポンプ32の作動を開始して、燃料電池10への燃料および空気の供給を開始する。加えて、制御装置100は、燃料調整部83の電磁弁831および空気調整部84の電磁弁841を開弁させ、暖機用燃料ポンプ832および暖機用空気ポンプ842の作動を開始して、暖機用燃焼器80への暖機用燃料および暖機用空気の供給を開始する。この状態で、制御装置100は、暖機用燃焼器80の点火プラグを作動させて暖機用燃焼器80を起動させる。これにより、暖機用燃焼器80が起動すると、暖機用燃焼器80からの燃焼ガスによって燃料電池10および排ガス燃焼器73が昇温する。排ガス燃焼器73は、通常、排ガス燃焼器73の内部温度が自着火する温度として想定される自着火温度範囲に達すると自着火する。
しかしながら、暖機処理時は、暖機用燃焼器80からの燃焼ガスが不活性ガスとして排ガス燃焼器73に流入することで、排ガス燃焼器73における不活性ガスの割合が増加し、排ガス燃焼器73での自着火が生じ難くなる。すなわち、暖機処理時は、排ガス燃焼器73に不活性ガスが流入しない状態に比べて、自着火温度範囲の下限温度(すなわち、可燃限界温度)が高温側にシフトしてしまうことで、排ガス燃焼器73での自着火に長時間を要する。
ここで、「不活性ガスの割合」とは、排ガス燃焼器73の内部に存在する全ガス量に対する不活性ガスが占める割合(=不活性ガスの量/全ガス量)である。排ガス燃焼器73の内部では、オフ燃料、オフ空気、暖機用燃焼器80で生じた燃焼ガスが混合される。このため、全ガス量は、「オフ燃料(CH4+CO+H2+CO2+H2O)」+「オフ空気(O2+N2)」+「暖機用燃焼器80で生じた燃焼ガス(O2+N2+CO2+H2O)」である。また、不活性ガスは、「CO2+H2O+N2」である。したがって、不活性ガスの割合は、以下の関係式F7で示すものとなる。
不活性ガスの割合=(CO2+H2O+N2)/{(CH4+CO+H2+CO2+H2O)+(O2+N2)+(O2+N2+CO2+H2O)}・・・(F7)
これに対して、本実施形の制御装置100は、暖機処理時に排ガス燃焼器73での自着火を促進する着火促進処理を実行する。制御装置100は、所定の処理実行条件が成立すると、着火促進処理を実行する。
処理実行条件は、燃料電池10の起動処理において排ガス燃焼器73の内部温度が、自着火が想定される温度の下限として予め設定された着火基準温度(例えば、600℃)以上になると成立する条件になっている。
具体的には、制御装置100は、ステップS110にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1に達したか否かを判定する。この第1基準時間tth1は、例えば、排ガス燃焼器73に不活性ガスが流入しない状態において排ガス燃焼器73の内部温度が自着火温度範囲の下限温度に達すると想定される時間に設定されている。なお、本実施形態の処理実行条件は、ステップS110の判定が肯定的な結果であった場合に成立する条件になっている。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第1基準時間tth1に達している場合、制御装置100は、ステップS120に移行して、着火促進処理を実行する。本実施形態の制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が減少するように燃料調整部83を制御する。具体的には、制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給が停止されるように燃料調整部83を制御する。なお、制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用空気の供給量が維持されるように空気調整部84を制御する。
これにより、暖機用燃焼器80は、燃料濃度が低下して失火(すなわち、リーン失火)する。暖機用燃焼器80が失火すると、排ガス燃焼器73に流入する不活性ガスが減少する。特に、本実施形態では、暖機用燃焼器80への暖機用空気の供給量が維持されているので、暖機用燃焼器80を通過した暖機用空気が燃料電池10を介して排ガス燃焼器73に流入する。これらにより、排ガス燃焼器73は、図4に示すように、失火領域の状態Aから自着火領域の状態Bに遷移し、自着火する。
ここで、暖機用燃焼器80が失火した後も排ガス燃焼器73の内部温度は暫く上昇する。この理由は次の通りである。燃焼ガスの流れに対して、燃料電池10は排ガス燃焼器73の上流に位置するので、暖機用燃焼器80で生じた高温の燃焼ガスは、熱容量の大きい燃料電池10に放熱した後に排ガス燃焼器73の内部に流れ込む。この際、燃料電池10の温度が排ガス燃焼器73の内部温度よりも高くなる。このため、暖機用燃焼器80が失火すると、暖機用燃焼器80から燃料電池10までの区間の温度が低下するものの、高温の燃料電池10の熱がオフガスおよび暖機用空気を通じて排ガス燃焼器73に伝わることで、排ガス燃焼器73の内部温度が暫く上昇する。
続いて、制御装置100は、所定の処理停止条件が成立すると、着火促進処理を終了する。処理停止条件は、排ガス燃焼器73の内部温度が、着火状態が安定する温度として予め設定された安定基準温度(例えば、650℃)以上になると成立する条件になっている。
具体的には、制御装置100は、ステップS130にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1よりも長い第2基準時間tth2に達したか否かを判定する。この第2基準時間tth2は、例えば、排ガス燃焼器73に不活性ガスが流入しない状態において排ガス燃焼器73の内部温度が着火状態の安定温度に達すると想定される時間に設定されている。なお、本実施形態の処理停止条件は、ステップS130の判定が肯定的な結果であった場合に成立する条件になっている。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第2基準時間tth2に達している場合、制御装置100は、ステップS140に移行して、後処理を実行する。本実施形態の制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が着火促進処理の実行前の状態まで増加するように燃料調整部83を制御する。この状態で、制御装置100は、暖機用燃焼器80の点火プラグを作動させて暖機用燃焼器80を再起動させる。これにより、暖機用燃焼器80および排ガス燃焼器73それぞれを起動させて、燃料電池10、改質器33等の暖機対象を早期に昇温させることができる。
ここで、図5は、暖機処理時の排ガス燃焼器73の温度変化、不活性ガスの割合の変化等を示すタイミングチャートである。図5では、一段目が排ガス燃焼器73の温度の時間変化を示し、二段目が排ガス燃焼器73の内部の不活性ガスの割合の時間変化を示している。また、図5では、三段目が暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量の時間変化を示し、四段目が暖機用燃焼器80への暖機用空気の供給量の時間変化を示している。さらに、図5では、五段目が改質器33への燃料の供給量の時間変化を示し、六段目が改質器33への水の供給量の時間変化を示し、七段目が燃料電池10への空気の供給量の時間変化を示している。
暖機処理では、暖機用燃焼器80を起動してから第1基準時間tth1が経過すると、図5の三段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が減少される。これにより、暖機用燃焼器80が失火することで、図5の二段目に示すように、不活性ガスの割合が低下する。この状態が暫く継続されると、排ガス燃焼器73は、失火領域の状態Aから自着火領域の状態Bに遷移して自着火することで、図5の一段目に示すように、排ガス燃焼器73の温度が急上昇する。そして、暖機用燃焼器80を起動してから第2基準時間tth2が経過すると、図5の三段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が増加される。
以上説明した燃料電池システム1によれば、着火促進処理の処理実行条件が成立すると、制御装置100が、暖機用燃焼器80を通過した通過ガスに含まれる不活性ガスが減少するように燃料調整部83および空気調整部84を制御する。これによれば、着火促進処理の処理実行条件が成立すると暖機用燃焼器80から排ガス燃焼器73に流入する不活性ガスが減少するので、排ガス燃焼器73の早期に着火させることが可能となる。
具体的には、制御装置100は、処理実行条件が成立すると、暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量が減少するように燃料調整部83を制御する。このように、暖機用燃焼器80での燃焼を制限すれば、排ガス燃焼器73に流入する不活性ガスを減少させることができる。
本実施形態の処理実行条件は、燃料電池10の起動処理において排ガス燃焼器73の内部温度が、自着火が想定される温度の下限として予め設定された着火基準温度以上になると成立する条件を含んでいる。排ガス燃焼器73の内部での不活性ガスの割合が高いと、排ガス燃焼器73の内部温度が、自着火が想定される着火基準温度以上になっても排ガス燃焼器73が失火している可能性が高い。このため、処理実行条件を排ガス燃焼器73の内部温度が着火基準温度以上で成立する条件とすることで、排ガス燃焼器73の着火促進処理を適切なタイミングで実行することができる。
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1に達した際に着火促進処理を実行するものを例示したが、処理実行条件はこれに限定されない。処理実行条件は、例えば、排ガス温度センサ101の検出値が着火基準温度以上になると成立する条件になっていてもよい。このことは、以降の実施形態においても同様である。
上述の第1実施形態では、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第2基準時間tth2に達した際に着火促進処理を終了するものを例示したが、処理停止条件はこれに限定されない。処理停止条件は、例えば、排ガス温度センサ101の検出値が安定基準温度以上になると成立する条件になっていてもよい。このことは、以降の実施形態においても同様である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図6~図8を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態の排ガス燃焼器73は、図6に示すように、暖機用燃焼器80の熱が伝わるように暖機用燃焼器80に対して熱的に接触している。すなわち、排ガス燃焼器73は、暖機用燃焼器80から輻射熱を受けるように暖機用燃焼器80に近接した位置に配置されている。なお、排ガス燃焼器73および暖機用燃焼器80は、少なくとも一部が接触した状態で配置されていたり、所定の間隔をあけた状態で配置されていたりしてもよい。
また、本実施形態は、制御装置100によって実行される暖機処理の一部が第1実施形態と異なっている。図7に示すように、制御装置100は、まず、ステップS300で燃料電池10および暖機用燃焼器80を起動させる。暖機用燃焼器80が起動すると、暖機用燃焼器80の輻射熱が排ガス燃焼器73に伝わることで、図8に示すように、排ガス燃焼器73の内部温度が上昇する。なお、ステップS300の処理は、第1実施形態で説明したステップS100の処理と同様である。
制御装置100は、ステップS305に移行して、暖機温度センサ102の検出値Tsが暖機用燃焼器80の耐熱基準温度Tsth未満であるか否かを判定する。暖機温度センサ102の検出値Tsが耐熱基準温度Tsth以上である場合、制御装置100は、ステップS310に移行して、暖機用燃焼器80の温度を抑える温度抑制処理を実行する。制御装置100は、温度抑制処理として、暖機用空気の供給量増加を実施する。すなわち、制御装置100は、暖機用空気が増量するように空気調整部84を制御する。これによると、暖機用燃焼器80を熱的に保護することができる。なお、暖機温度センサ102の検出値Tsが耐熱基準温度Tsth以上である場合、制御装置100は、暖機用燃料が減量するように燃料調整部83を制御するようになっていてもよい。
一方、暖機温度センサ102の検出値Tsが耐熱基準温度Tsth未満である場合、制御装置100は、ステップS315に移行して、暖機用空気の供給量が減少するように空気調整部84を制御する。これによると、暖機用燃焼器80が昇温するので、排ガス燃焼器73を早期に昇温させることが可能になる。なお、ステップS315の処理は、着火促進処理の前の段階で実施される処理である。
続いて、制御装置100は、ステップS320にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1に達したか否かを判定する。このステップS320の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS110の判定処理と同様である。本実施形態の処理実行条件は、ステップS320が肯定的な結果であった場合に成立する条件になっている。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第1基準時間tth1に達していない場合、制御装置100は、ステップS305に戻る。暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第1基準時間tth1に達している場合、ステップS330に移行して、着火促進処理を実行する。ステップS330の処理は、第1実施形態で説明したステップS120の処理と同様である。この処理により、暖機用燃焼器80が失火して、排ガス燃焼器73に流入する不活性ガスが減少する。この結果、排ガス燃焼器73で自着火が生ずる。
続いて、制御装置100は、所定の処理停止条件が成立すると、着火促進処理を終了するための後処理を実行する。具体的には、制御装置100は、ステップS340にて、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref以上であるか否かを判定する。この結果、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref以上である場合、制御装置100は、ステップS350にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第2基準時間tth2に達したか否かを判定する。このステップS350の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS130の判定処理と同様である。なお、本実施形態の処理停止条件は、ステップS340およびステップS350それぞれが肯定的な結果であった場合に成立する条件になっている。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第2基準時間tth2に達している場合、制御装置100は、ステップS360に移行して、後処理を実行する。このステップS360の処理は、第1実施形態で説明したステップS140の処理と同様である。
以上説明した燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。本実施形態の制御装置100は、処理実行条件が成立すると、暖機用燃焼器80での燃焼を制限しているので、排ガス燃焼器73に流入する不活性ガスを減少させることができる。特に、本実施形態では、着火促進処理を実行する前の段階で暖機用空気の暖機用燃焼器80への供給量を減少させ、暖機用燃焼器80を昇温させている。これによると、暖機用燃焼器80から排ガス燃焼器73へ移動する輻射熱量を増加させて排ガス燃焼器73の温度を早期に自着火温度に近づけることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図9、図10を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態は、制御装置100によって実行される暖機処理の一部が第1実施形態と異なっている。図9に示すように、制御装置100は、まず、ステップS400で燃料電池10および暖機用燃焼器80を起動させる。ステップS400の処理は、第1実施形態で説明したステップS100の処理と同様である。
続いて、制御装置100は、所定の処理実行条件が成立すると、着火促進処理を実行する。具体的には、制御装置100は、ステップS410にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1に達したか否かを判定する。このステップS410の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS110の判定処理と同様である。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第1基準時間tth1に達している場合、制御装置100は、ステップS420に移行して、着火促進処理を実行する。制御装置100は、暖機用燃焼器80における燃料濃度が燃焼下限濃度を下回るように燃料調整部83を制御する。本実施形態の制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料が減少するように燃料調整部83を制御する。
具体的には、制御装置100は、暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量が、暖機用燃焼器80で燃焼を維持するのに必要な暖機用燃料の必要量よりも一時的に少なくなるように燃料調整部83を制御する。例えば、制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給が停止されるように燃料調整部83を制御する。
ここで、暖機用燃焼器80での燃焼は、図10に示すように、暖機用燃焼器80に対して燃焼に適した量の暖機用燃料および暖機用空気が供給されることで成立する。暖機用燃焼器80は、リーン失火が生じる限界空燃比を超えたり、リッチ失火が生じる限界空燃比を下回ったりすると失火する。
暖機用燃焼器80は、リッチ失火によって失火させることも可能であるが、この場合、暖機用燃焼器80から排ガス燃焼器73へ至る経路での酸化剤ガスの増加によって意図しない着火が発生する虞がある。
このため、本実施形態の制御装置100は、暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量を必要量よりも少なくする期間、暖機用燃焼器80での空燃比が、リーン失火が生じる限界空燃比を超えるように燃料調整部83を制御する。なお、燃料調整部83だけの制御では空燃比を所望の状態に調整することが困難である場合、制御装置100は、例えば、暖機用空気の暖機用燃焼器80への供給量が増加するように空気調整部84を制御する。
続いて、制御装置100は、ステップS430に移行して、着火促進処理を開始してからの経過時間tstが着火基準時間tth3に達しているか否かを判定する。着火基準時間tth3は、着火促進処理によって排ガス燃焼器73を着火させるのに必要な時間であり、シミュレーションや実験等に基づいて設定される。
着火促進処理を開始してからの経過時間tstが着火基準時間tth3に達すると、制御装置100は、ステップS440に移行して、暖機用燃焼器80を再起動させる。
制御装置100は、暖機用燃焼器80における燃料濃度が燃焼下限濃度を上回るように燃料調整部83を制御することで、暖機用燃焼器80を再起動させる。具体的には、制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が暖機用燃焼器80で燃焼を維持するのに必要な暖機用燃料の必要量以上となるように燃料調整部83を制御する。この際、暖機用燃焼器80がリッチ失火しないように、制御装置100では、暖機用燃焼器80における燃料濃度が理論空燃比濃度を下回る範囲で燃料調整部83を制御することが望ましい。
続いて、制御装置100は、ステップS450に移行して、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref以上であるか否かを判定する。この結果、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref未満である場合、制御装置100は、ステップS420に移行して、再び着火促進処理を実行する。
なお、ステップS450の判定処理を実行する時点では、少なくとも一度は着火促進処理が実施されていることになるので、ステップS420に移行せず、排ガス燃焼器73が着火するまで待機するようになっていてもよい。
一方、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref以上である場合、制御装置100は、ステップS460に移行して、後処理を実行する。このステップS460の処理は、第1実施形態で説明したステップS140の処理と同様である。
以上説明した燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の制御装置100は、処理実行条件が成立すると、暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量が暖機用燃焼器80で燃焼を維持するのに必要な暖機用燃料の必要量よりも一時的に少なくなるように燃料調整部83を制御する。
このように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量を必要量よりも減少させることで、暖機用燃焼器80を一時的に失火させて、排ガス燃焼器73に流入する不活性ガスを減少させることができる。加えて、暖機用燃焼器80の失火によって排ガス燃焼器73に燃料ガスおよび酸化剤ガスが流入することで排ガス燃焼器73の燃料ガスの濃度および酸化剤ガスの濃度それぞれが上昇するので、排ガス燃焼器73の自着火温度を低下させることができる。
加えて、制御装置100は、暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量を必要量よりも少なくする期間、暖機用燃焼器80での空燃比が、リーン失火が生じる限界空燃比を超えるように燃料調整部83を制御する。このように、リーン失火により暖機用燃焼器80を失火させれば、暖機用燃焼器80から排ガス燃焼器73へ至る経路での意図しない着火を防止することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図11を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態は、制御装置100によって実行される暖機処理の一部が第1実施形態と異なっている。図11に示すように、制御装置100は、まず、ステップS500で燃料電池10および暖機用燃焼器80を起動させる。ステップS500の処理は、第1実施形態で説明したステップS100の処理と同様である。
続いて、制御装置100は、所定の処理実行条件が成立すると、着火促進処理を実行する。具体的には、制御装置100は、ステップS510にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1に達したか否かを判定する。このステップS510の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS110の判定処理と同様である。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第1基準時間tth1に達している場合、制御装置100は、ステップS520に移行して、着火促進処理を実行する。このステップS520の処理は、第1実施形態で説明したステップS120の処理と同様である。
続いて、制御装置100は、ステップS530にて、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref以上であるか否かを判定する。この結果、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref未満である場合、制御装置100は、着火促進処理を維持する。
一方、排ガス温度センサ101の検出値Toが安定基準温度Tref以上である場合、制御装置100は、ステップS540にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第2基準時間tth2に達したか否かを判定する。このステップS540の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS130の判定処理と同様である。なお、本実施形態の処理停止条件は、ステップS530およびステップS540それぞれが肯定的な結果であった場合に成立する条件になっている。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第2基準時間tth2に達している場合、制御装置100は、ステップS550に移行して、後処理を実行する。このステップS550の処理は、第1実施形態で説明したステップS140の処理と同様である。
以上説明した燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の制御装置100は、着火促進処理を排ガス温度センサ101の検出値が安定基準温度Tref以上になるまで継続するので、排ガス燃焼器73の早期に着火させることができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図12、図13を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図12に示すように、本実施形態の燃焼ガス経路74には、触媒燃焼器75の前後に入口温度センサ103および出口温度センサ104が設けられている。入口温度センサ103は、触媒燃焼器75に流入する燃焼ガスの温度を検出するセンサである。出口温度センサ104は、触媒燃焼器75を通過した燃焼ガスの温度を検出するセンサである。
ここで、排ガス燃焼器73が失火している場合、触媒燃焼器75は燃料が酸化されて発熱するので、触媒燃焼器75の入口よりも出口の方が高温となる。逆に、排ガス燃焼器73が着火している場合、触媒燃焼器75の出口よりも入口の方が高温となる。このため、触媒燃焼器75の入口と出口との温度関係に基づいて、排ガス燃焼器73の状態が失火状態なのか着火状態なのかを判断することできる。
また、本実施形態は、制御装置100によって実行される暖機処理の一部が第1実施形態と異なっている。図13に示すように、制御装置100は、まず、ステップS600で燃料電池10および暖機用燃焼器80を起動させる。ステップS600の処理は、第1実施形態で説明したステップS100の処理と同様である。
続いて、制御装置100は、所定の処理実行条件が成立すると、着火促進処理を実行する。具体的には、制御装置100は、ステップS610にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1に達したか否かを判定する。このステップS610の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS110の判定処理と同様である。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第1基準時間tth1に達している場合、制御装置100は、ステップS620に移行して、着火促進処理を実行する。このステップS620の処理は、第1実施形態で説明したステップS120の処理と同様である。
続いて、制御装置100は、ステップS630にて、触媒燃焼器75の出口よりも入口の方が高温であるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、入口温度センサ103の検出値Tinが出口温度センサ104の検出値Toutよりも大きいか否かを判定する。なお、本実施形態の処理停止条件は、ステップS630が肯定的な結果であった場合に成立する条件になっている。
入口温度センサ103の検出値Tinが出口温度センサ104の検出値Toutよりも大きい場合、排ガス燃焼器73が着火していると考えられる。このため、入口温度センサ103の検出値Tinが出口温度センサ104の検出値Toutよりも大きい場合、制御装置100は、ステップS640に移行して、後処理を実行する。このステップS640の処理は、第1実施形態で説明したステップS140の処理と同様である。
一方、入口温度センサ103の検出値Tinが出口温度センサ104の検出値Tout以下の場合、排ガス燃焼器73が失火していると考えられる。このため、入口温度センサ103の検出値Tinが出口温度センサ104の検出値Tout以下となる場合、制御装置100は、ステップS620の着火促進処理を継続する。
以上説明した燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の制御装置100は、着火促進処理の処理停止条件を触媒燃焼器75の出口よりも入口の方が高温になると成立する条件としているので、排ガス燃焼器73の着火促進処理を適切なタイミングで停止させることができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図14~図16を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態は、制御装置100によって実行される暖機処理の一部が第1実施形態と異なっている。図14に示すように、制御装置100は、まず、ステップS700で燃料電池10および暖機用燃焼器80を起動させる。ステップS700の処理は、第1実施形態で説明したステップS100の処理と同様である。
続いて、制御装置100は、所定の処理実行条件が成立すると、着火促進処理を実行する。具体的には、制御装置100は、ステップS710にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが、第1基準時間tth1に達したか否かを判定する。このステップS710の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS110の判定処理と同様である。暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第1基準時間tth1に達している場合、制御装置100は、ステップS720に移行して、第1着火促進処理を実行する。このステップS720の処理は、第1実施形態で説明したステップS120の処理と同様である。
続いて、制御装置100は、ステップS730にて、排ガス燃焼器73が自着火しているか否かを判定する。この判定処理では、例えば、排ガス温度センサ101の検出値Toが排ガス燃焼器73の自着火が想定される温度以上であるか否かを判定する。なお、ステップS730の判定処理は、例えば、第5実施形態で説明したステップS630の処理と同様に、触媒燃焼器75の出口よりも入口の方が高温であるか否かを判定する処理であってもよい。
上記の判定処理にて、排ガス燃焼器73が自着火していると判定された場合、制御装置100は、ステップS740に移行して、後処理を実行する。このステップS740の処理は、第1実施形態で説明したステップS140の処理と同様である。
一方、排ガス燃焼器73が自着火していないと判定された場合、制御装置100は、ステップS750に移行し、第1着火促進処理を開始してから所定時間(例えば、1分)が経過したか否かを判定する。この結果、第1着火促進処理を開始してから所定時間が経過していないと判定された場合、排ガス燃焼器73の内部における不活性ガスの濃度変動が安定するまで待機する。具体的には、第1着火促進処理を開始してから所定時間が経過していないと判定された場合、制御装置100は、ステップS730の処理を繰り返す。
ステップS750の判定処理にて第1着火促進処理を開始してから所定時間が経過していると判定された場合、排ガス燃焼器73の内部における不活性ガスの濃度変動が安定しているにも関わらず、排ガス燃焼器73が自着火していないことになる。このことは、排ガス燃焼器73の不活性ガスの割合が自着火条件を満たしていないことを意味する。このため、制御装置100は、第1着火促進処理を開始してから所定時間が経過しても排ガス燃焼器73が自着火しない場合、ステップS760に移行し、第2着火促進処理を実行する。
具体的には、制御装置100は、ステップS760にて、水蒸発器42を介して改質器33へ供給する水の供給量が減少するように、水ポンプ41を制御する。制御装置100は、例えば、水ポンプ41の回転数を通常時よりも低い回転数に変更する。
ここで、改質器33への水の供給量を減少させると、オフ燃料に含まれる水蒸気(H2O)が減少することで、第1実施形態で説明した関係式F7の分子および分母の双方で同量のH2Oが減少する。この際、関係式F7の分子の方が分母よりも減少度合が大きくなる。したがって、改質器33への水の供給量を減少させると、排ガス燃焼器73における不活性ガスの割合が小さくなる。これにより、例えば、図15に示すように、第1着火促進処理を実行した際に失火領域の状態Aから失火領域の状態Bに遷移する場合でも、第2着火促進処理を実行することで、自着火領域の状態Cに遷移させて排ガス燃焼器73を自着火させることができる。
続いて、制御装置100は、ステップS770にて、暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第2基準時間tth2に達したか否かを判定する。このステップS770の判定処理は、第1実施形態で説明したステップS130の判定処理と同様である。
暖機用燃焼器80を起動してからの経過時間tstが第2基準時間tth2に達している場合、制御装置100は、ステップS740の後処理に移行する。本実施形態の制御装置100は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が第1着火促進処理の実行前の状態まで増加するように燃料調整部83を制御する。また、制御装置100は、改質器33への水の供給量が第2着火促進処理の実行前の状態まで増加するように水ポンプ41を制御する。さらに、制御装置100は、暖機用燃焼器80の点火プラグを作動させて暖機用燃焼器80を再起動させる。これにより、暖機用燃焼器80および排ガス燃焼器73それぞれを起動させて、燃料電池10、改質器33等の暖機対象を早期に昇温させることができる。
ここで、図16は、図5に対応するものであって、暖機処理時の排ガス燃焼器73の温度変化、不活性ガスの割合の変化等を示すタイミングチャートである。本実施形態の暖機処理では、暖機用燃焼器80を起動してから第1基準時間tth1が経過すると、図16の三段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が減少される。これにより、暖機用燃焼器80が失火することで、図16の二段目に示すように、不活性ガスの割合が低下する。そして、暖機用燃料の供給量を減少させてから所定時間が経過しても排ガス燃焼器73が自着火していない場合は、図16の六段目に示すように、改質器33への水の供給量が減少される。これにより、図16の二段目に示すように、不活性ガスの割合がさらに低下する。この状態が暫く継続されると、排ガス燃焼器73は、失火領域の状態Aから自着火領域の状態Cに遷移して自着火することで、図16の一段目に示すように、排ガス燃焼器73の温度が急上昇する。そして、暖機用燃焼器80を起動してから第2基準時間tth2が経過すると、図16の三段目および六段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量および改質器33への水の供給量が増加される。
以上説明した燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。特に、本実施形態の制御装置100は、暖機処理時に暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量を減少させてから所定時間が経過しても排ガス燃焼器73が自着火していない場合に、改質器33への水の供給量を減少させる。これによると、不活性ガスの割合を小さくして、排ガス燃焼器73の自着火を充分に促進させることができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、図17、図18を参照して説明する。本実施形態では、第6実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態は、制御装置100によって実行される暖機処理の一部が第6実施形態と異なっている。図17に示すように、制御装置100は、暖機処理として、ステップS800~S870の処理を実行する。なお、ステップS860以外の処理は、第6実施形態で説明した処理(ステップS760以外の処理)と同様であるため、その説明を省略する。
図17に示すように、ステップS850の判定処理にて第1着火促進処理を開始してから所定時間が経過していると判定された場合、制御装置100は、ステップS860に移行し、第2着火促進処理を実行する。
具体的には、制御装置100は、ステップS860にて、改質器33へ供給する燃料の供給量が増加するように、燃料ポンプ32を制御する。制御装置100は、例えば、燃料ポンプ32の回転数を通常時よりも高い回転数に変更する。
ここで、改質器33への燃料の供給量を増加させると、オフ燃料に含まれるメタン(CH4)、水素(H2)等が増加することで、第1実施形態で説明した関係式F7の分母が大きくなる。したがって、改質器33への燃料の供給量を増加させると、排ガス燃焼器73における不活性ガスの割合が小さくなる。これにより、第1着火促進処理を実行した際に失火領域の状態Aから失火領域の状態Bに遷移する場合でも、第2着火促進処理を実行することで、自着火領域の状態Cに遷移させて排ガス燃焼器73を自着火させることができる。
図18は、図5に対応するものであって、暖機処理時の排ガス燃焼器73の温度変化、不活性ガスの割合の変化等を示すタイミングチャートである。本実施形態の暖機処理では、暖機用燃焼器80を起動してから第1基準時間tth1が経過すると、図18の三段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が減少される。これにより、暖機用燃焼器80が失火することで、図18の二段目に示すように、不活性ガスの割合が低下する。そして、暖機用燃料の供給量を減少させてから所定時間が経過しても排ガス燃焼器73が自着火していない場合は、図18の五段目に示すように、改質器33への燃料の供給量が増加される。これにより、図18の二段目に示すように、不活性ガスの割合がさらに低下する。この状態が暫く継続されると、排ガス燃焼器73は、失火領域の状態Aから自着火領域の状態Cに遷移して自着火することで、図18の一段目に示すように、排ガス燃焼器73の温度が急上昇する。そして、暖機用燃焼器80を起動してから第2基準時間tth2が経過すると、図18の三段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が増加される。また、図18の五段目に示すように、改質器33への燃料の供給量が減少される。
その他は、第6実施形態で説明したものと同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、第6実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される作用効果を第6実施形態と同様に得ることができる。特に、本実施形態の制御装置100は、暖機処理時に暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量を減少させてから所定時間が経過しても排ガス燃焼器73が自着火していない場合に、改質器33への燃料の供給量を増加させる。これによると、不活性ガスの割合を小さくして、排ガス燃焼器73の自着火を充分に促進させることができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について、図19、図20を参照して説明する。本実施形態では、第6実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態は、制御装置100によって実行される暖機処理の一部が第6実施形態と異なっている。図19に示すように、制御装置100は、暖機処理として、ステップS900~S970の処理を実行する。なお、ステップS960以外の処理は、第6実施形態で説明した処理(ステップS760以外の処理)と同様であるため、その説明を省略する。
図19に示すように、ステップS950の判定処理にて第1着火促進処理を開始してから所定時間が経過していると判定された場合、制御装置100は、ステップS960に移行し、第2着火促進処理を実行する。
具体的には、制御装置100は、ステップS960にて、改質器33へ供給する水の供給量が減少するように水ポンプ41を制御するとともに、改質器33へ供給する燃料の供給量が増加するように燃料ポンプ32を制御する。制御装置100は、例えば、水ポンプ41の回転数を通常時よりも低い回転数に変更し、燃料ポンプ32の回転数を通常時よりも高い回転数に変更する。これにより、排ガス燃焼器73における不活性ガスの割合が充分に小さくなり、排ガス燃焼器73の自着火が促進される。
図20は、図5に対応するものであって、暖機処理時の排ガス燃焼器73の温度変化、不活性ガスの割合の変化等を示すタイミングチャートである。本実施形態の暖機処理では、暖機用燃焼器80を起動してから第1基準時間tth1が経過すると、図20の三段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量が減少される。これにより、暖機用燃焼器80が失火することで、図20の二段目に示すように、不活性ガスの割合が低下する。そして、暖機用燃料の供給量を減少させてから所定時間が経過しても排ガス燃焼器73が自着火していない場合は、図20の六段目に示すように、改質器33への水の供給量が減少される。また、図20の五段目に示すように、改質器33への燃料の供給量が増加される。これにより、図20の二段目に示すように、不活性ガスの割合がさらに低下する。この状態が暫く継続されると、排ガス燃焼器73は、失火領域の状態Aから自着火領域の状態Cに遷移して自着火することで、図20の一段目に示すように、排ガス燃焼器73の温度が急上昇する。そして、暖機用燃焼器80を起動してから第2基準時間tth2が経過すると、図20の三段目および六段目に示すように、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給量および改質器33への水の供給量が増加される。また、図20の五段目に示すように、改質器33への燃料の供給量が減少される。
その他は、第6実施形態で説明したものと同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、第6実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される作用効果を第6実施形態と同様に得ることができる。特に、本実施形態の制御装置100は、暖機処理時に暖機用燃料の暖機用燃焼器80への供給量を減少させてから所定時間が経過しても排ガス燃焼器73が自着火していない場合に、改質器33への水の供給量を減少させるとともに燃料の供給量を増加させる。これによると、不活性ガスの割合を小さくして、排ガス燃焼器73の自着火を充分に促進させることができる。
(第8実施形態の変形例)
第8実施形態では、第2着火促進処理として、改質器33への水の供給量の減少および燃料の供給量の増加を同じタイミングで実施しているものを例示したが、第2着火促進処理は、これに限定されない。第2着火促進処理は、例えば、改質器33への水の供給量の減少および燃料の供給量の増加の開始タイミングをずらすことで、改質器33への水の供給量の減少および燃料の供給量の増加が異なるタイミングで実施されるようになっていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、処理実行条件として、排ガス燃焼器73の内部温度が、自着火が想定される温度の下限として予め設定された着火基準温度以上になると成立する条件が用いられているものを例示したが、処理実行条件は、これに限定されない。処理実行条件は、排ガス燃焼器73が失火している際に成立する条件が含まれていてもよい。例えば、処理実行条件は、排ガス燃焼器73の内部の火炎を検出する火炎検出器からの出力に基づいて行われるようになっていてもよい。なお、火炎検出器としては、火炎の光源を感知する火炎センサ、火炎から放射される赤外線を検知するIRセンサ等を採用することができる。このことは、処理停止条件においても同様である。
また、第6実施形態で説明したように、排ガス燃焼器73が失火している場合、触媒燃焼器75の入口よりも出口の方が高温となる。このため、処理実行条件は、例えば、触媒燃焼器75の入口よりも出口の方が高温となる際に成立する条件が含まれていてもよい。
上述の実施形態では、着火促進処理として、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給を停止させるものを例示したが、着火促進処理は、これに限定されない。着火促進処理は、暖機用燃焼器80への暖機用燃料の供給を継続するものの、暖機用燃料の供給量を減少させる処理であってもよい。
上述の実施形態では、固体酸化物型の燃料電池10を例示したが、これに限らず、燃料電池10は、例えば、固体高分子型燃料電池(すなわち、PEFC)が採用されていてもよい。この場合、改質器33で生成される水素が燃料ガスとなる。なお、改質器33は、部分酸化改質反応により燃料ガスを生成可能に構成されていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御部及びその手法は、1以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御部及びその手法は、1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された1以上の専用コンピュータで実現されてもよい。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、燃料電池システムは、燃料電池と、改質器と、暖機用燃焼器と、暖機用燃料および暖機用空気の供給量を調整する暖機用調整部と、排ガス燃焼器と、制御装置と、を備える。排ガス燃焼器は、暖機用燃焼器を通過した通過ガスが流入するように暖機用燃焼器の下流に接続されている。制御装置は、排ガス燃焼器での自着火を促進する着火促進処理の処理実行条件が成立すると、通過ガスに含まれる不活性ガスが減少するように暖機用調整部を制御する。
第2の観点によれば、制御装置は、処理実行条件が成立すると、暖機用燃料および暖機用空気それぞれの暖機用燃焼器への供給量が減少するように暖機用調整部を制御する。このように、暖機用燃焼器での燃焼を制限すれば、排ガス燃焼器に流入する不活性ガスを減少させることができる。特に、暖機用燃料および暖機用空気それぞれの供給量を減少させることで、暖機用燃料および暖機用空気それぞれの供給量のバラツキに起因して排ガス燃焼器での燃焼が不安定となることを抑制することができる。
第3の観点によれば、排ガス燃焼器は、暖機用燃焼器の熱が伝わるように暖機用燃焼器に対して熱的に接触している。制御装置は、着火促進処理を実行する前の段階で暖機用空気の暖機用燃焼器への供給量が減少するように暖機用調整部を制御する。
このように、着火促進処理を実行する前の段階で暖機用空気の暖機用燃焼器への供給量が減少させることで暖機用燃焼器を昇温させることができる。これによると、暖機用燃焼器から排ガス燃焼器へ移動する熱量を増加させて排ガス燃焼器の温度を自着火温度に近づけることができる。
第4の観点によれば、制御装置は、処理実行条件が成立すると、暖機用燃料の暖機用燃焼器への供給量が、暖機用燃焼器で燃焼を維持するのに必要な暖機用燃料の必要量よりも一時的に少なくなるように暖機用調整部を制御する。
このように、暖機用燃焼器への暖機用燃料の供給量を必要量よりも減少させることで、暖機用燃焼器を一時的に失火させて、排ガス燃焼器に流入する不活性ガスを減少させることができる。加えて、暖機用燃焼器の失火によって排ガス燃焼器に燃料ガスおよび酸化剤ガスが流入することで排ガス燃焼器の燃料ガスの濃度および酸化剤ガスの濃度それぞれが上昇するので、排ガス燃焼器の自着火温度を低下させることができる。
第5の観点によれば、制御装置は、暖機用燃料の暖機用燃焼器への供給量を必要量よりも少なくする期間、暖機用燃焼器での空燃比が、リーン失火が生じる限界空燃比を超えるように、暖機用調整部を制御する。
暖機用燃焼器はリッチ失火によって失火させることも可能であるが、この場合、暖機用燃焼器から排ガス燃焼器へ至る経路での酸化剤ガスの増加によって意図しない着火が発生する虞がある。これに対して、リーン失火により暖機用燃焼器を失火させれば、暖機用燃焼器から排ガス燃焼器へ至る経路での意図しない着火を防止することができる。なお、「空燃比」とは、暖機用燃料に対する酸化剤ガスの比である。また、「リーン失火」とは、燃料ガスの希薄となることで生ずる失火である。
第6の観点によれば、処理実行条件は、燃料電池の起動処理において排ガス燃焼器の内部温度が、自着火が想定される温度の下限として予め設定された着火基準温度以上になると成立する条件を含んでいる。
排ガス燃焼器の内部での不活性ガスの割合が高いと、排ガス燃焼器の内部温度が、自着火が想定される着火基準温度以上になっても排ガス燃焼器が失火している可能性が高い。このため、処理実行条件を排ガス燃焼器の内部温度が着火基準温度以上で成立する条件とすることで、排ガス燃焼器の着火促進処理を適切なタイミングで実行することができる。
第7の観点によれば、燃料電池システムは、酸化触媒を含む触媒燃焼器を備える。触媒燃焼器は、排ガス燃焼器の下流側に設けられている。着火促進処理の処理停止条件は、燃料電池の起動処理において触媒燃焼器の出口よりも入口の方が高温になると成立する条件を含んでいる。
排ガス燃焼器が着火している場合、触媒燃焼器は出口よりも入口の方が高温になる。このため、処理停止条件を触媒燃焼器の出口よりも入口の方が高温になると成立する条件とすることで、排ガス燃焼器の着火促進処理を適切なタイミングで停止させることができる。