JP7100381B2 - 超仕上方法および超仕上装置 - Google Patents
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近年、回転機器における回転の振れ、回転音についてより高度な要求がなされるようになっている。そのため、転動体等の表面研磨に超仕上処理(以下「超仕上」という)が採用されることも多く、その結果、表面粗度が低下し、軸受けにおける動力ロスの低下、機械の長寿命化等が実現される。
このクラウニング部分の超仕上が不十分との問題に対し、例えばクラウニングを有する円すいころ(以下単に「円すいころ」という)の周面の超仕上では、それぞれが特殊な形状の長い一対の回転するフィードドラムを用いる方法が提案されている(特許文献1)。
一方、特許文献1に提案された方法は、フィードドラムにおける各案内ねじ面の幅、ねじ底角度が、超仕上する円すいころの形状、大きさに対応するよう決定される。つまり、一対のフィードドラムは、超仕上する円すいころの大きさがそれほど変わらなくとも、周面の母線の傾斜程度、長さが異なればその円すいころには使用できず、超仕上対象の円すいころを変更するたびに、それ用のフィードドラムに取り替えなければならない。
この方法では、オシレーションユニットの端面側への傾斜を鉛直方向およびワーク周面の母線方向のいずれにも直交する特定の軸回りに行わせ、オシレーションユニットを徐々に端面側に傾けると同時に特定の軸を降下させる。
本発明に係る超仕上装置は、一対のローラ上において断面円形のワーク周面を研磨するものである。
超仕上装置は、オシレーションユニット、トラバース装置、チルト装置および昇降装置を有する。オシレーションユニットは砥石を保持し、これを一方向に高速微振動させる。トラバース装置は、オシレーションユニットを前記一方向に往復移動させる。チルト装置は、トラバース装置を前記一方向および鉛直方向に直交する水平な揺動軸回りに傾斜させる。昇降装置は、オシレーションユニット、トラバース装置およびチルト装置を一体として昇降させる。
通常は、トラバース装置の往復移動、チルト装置におけるトラバース装置の傾斜、ならびに昇降装置によるオシレーションユニット、トラバース装置およびチルト装置を一体とした昇降が、それぞれ異なるサーボモータにより行われる。
超仕上装置1は、大きくはベッド部3および超仕上ユニット4に分けられる。
超仕上ユニット4は、ワーク搬送装置(ワークキャリア)、ローラ装置11、基台12および装置本体6からなる。
ワーク搬送装置は、円すいころまたは円筒ころ(これらを「ワーク」という)を超仕上する場所(一対のローラR上)に搬送する搬送装置および超仕上後のワークをここから搬出する搬送装置からなる。
超仕上装置1は、この一対のローラR上で円すいころまたは円筒ころを回転させながらその周面を超仕上する、センタレス研磨装置である。
昇降装置13は、主昇降装置14および一対のシリンダ装置15,15からなる。
主昇降装置14は、一対のリニアガイド、ボールねじおよびサーボモータ16で構成される。一対のリニアガイドは、それらのガイドレールが鉛直かつ互いに平行に基台12に固定されている。ガイドレールをスライドするブロックは、装置本体6(の基部21)に一体化されている。
シリンダ装置15,15は、そのシリンダが基台12に一体化され、そのロッド端部が装置本体6に一体化されている。シリンダ装置15,15は、重量物である装置本体6の上下の移動の際に、主昇降装置14(サーボモータ16)の円滑な回転を補助する。つまり、シリンダ装置15,15は、重量物である装置本体6を実質的に保持し、サーボモータ16による位置決め動作を正確に行わせる働きをする。
基部21は、シリンダ装置15,15のロッドに連結され、一対のリニアガイド等により基台12に対して上下動可能に連結されている。基部21は、上下に厚板状に拡がる部分を有し、この部分に水平に貫通する揺動支持孔23を有する。基部21は、厚板状に水平(図2では横方向)に拡がる先の端縁が上下伸びた円弧を形成し、一方の円弧状端縁に揺動支持孔23を円弧の中心とする円ラック24が一体化されている。円ラック24は、後述するチルト装置26を構成する。
トラバーサ22は、フレーム、トラバース装置25およびチルト装置26を備える。
フレームは、トラバース装置25、チルト装置26およびその他のトラバーサ22を構成する部品を一体に保持するものである。フレームは、背面側(図4の上側)に、揺動支持孔23にピッタリと嵌り込む揺動軸27を有する。トラバーサ22は、揺動軸27が揺動支持孔23に嵌め入れられて、基部21に対して揺動可能であり、基部21と一緒に基台12に対して上下動する。
サーボモータ33は、ボールねじ32のねじ軸35を回転させることにより、オシレーションユニット2をフレームに対して横移動させる(図6(b))。サーボモータ33は、その回転が制御されることにより、オシレーションユニット2のガイドレール34,34に沿った往復動の各距離、速さがワークに応じて適正化される。
ピニオン41は、ギヤボックスを介してサーボモータ42に連結されている。サーボモータ42は、ギヤボックスとともにフレームに固定されている。サーボモータ42は、その回転によりピニオン41に円ラック24を上下させ、その結果、(オシレーションユニット2が一体化された)トラバーサ22を揺動させる(図6(c))。
ベース部43は、ストンヘッド保持部44,45およびオシレーション装置等を支持し、リニアガイド31,31のブロックが固定された、オシレーションユニット2の基礎となるものである。
オシレーションシャフト48,48の両端はベース部43に固定され、ストンヘッド保持部44,45は、貫通させたオシレーションシャフト48,48に沿って移動可能である。
偏心カム51は正面視が円形であるが、その回転軸は円の中心から偏っている。偏心カム51は、その回転軸がオシレーションシャフト48,48に直交し(図3の)背面に向けて水平に伸びる。偏心カム51は、横方向に間隔を有するストンヘッド保持部44,45の間かつ2本のオシレーションシャフト48,48の間に配される。偏心カム51は、プーリおよびタイミングベルトを介してサーボモータ53に連結されている。
一対のバネ52,52は、それぞれが、ストンヘッド保持部44,45における偏心カム51とは反対側の端面とこれに対向するベース部43との間に設けられる。バネ52,52は、いずれもストンヘッド保持部44,45をベース部43から遠ざける方向に、すなわち、いずれも偏心カム51に向けて付勢する。ストンヘッド保持部44,45は、バネ52,52によって偏心カム51に接している。
を高速微振動(オシレーション)させる。超仕上装置1により円筒ころ等を超仕上するときは、超仕上用砥石を備えたストンヘッド7がストンヘッド保持部44,45に取り付けられ、ストンヘッド7およびストンヘッド保持部44,45が一体となって高速微振動する。
図7は標準部分円弧クラウニングが施された円筒ころの周面を超仕上するときのオシレーションユニット2の動作を示す図であり、図8は円弧補間によるクラウニング部分周面の超仕上における揺動軸27の座標を示す図である。
先ず、揺動軸27Bが砥石Stの直上に存在すると仮定したとき(図8(b))の超仕上における揺動軸27Bの移動を説明する。
オシレーションユニット2は、砥石StがワークWの円柱部分を超仕上するとき水平であり(形態は図7(a),(b)と同じ)、砥石Stがクラウニング部分周面を超仕上するときは、その稜線の接線の傾きに応じて揺動軸27Bを中心に傾斜する(形態は図7(c)と同じ)。オシレーションユニット2の傾斜は、チルト装置26が行う。「稜線」とは、ワークWをその軸心を含む面で二分割したときの周面が示す線である。
図8(b)に示すような、揺動軸27Bが位置P1からP2(,P3)に移動することによる揺動軸27BとワークWとの距離の増加を防ぐために、位置P1からの移動により生ずる距離の増加分だけ揺動軸27Bを降下させるようにサーボモータ16動作させるこ
とも、制御上可能である。
位置P2から位置P3までのオシレーションユニット2(揺動軸27B)の移動は、NC工作機械における円弧補間と同様に、円弧P2-P3間を複数の点(位置)の集まりとして(トラバース用)サーボモータ33および(昇降用)サーボモータ16を制御して行われる。図8(b)には、揺動軸27Bを原点(0,0)としたときの、位置P1,P2,P3の各座標が表示されている。
ところで、図1に示される超仕上装置1は、ストンヘッド7に荒削り用砥石Stと仕上げ用砥石の2つの砥石備え、揺動軸27はこれらの間に位置する。したがって、超仕上装置1において、超仕上時の揺動軸27の位置制御は、揺動軸27Bの仮想位置で求めたその境界位置P1,P2,P3の各座標を実際の揺動軸27の位置に修正して(図8(c))、(トラバース用)サーボモータ33および(昇降用)サーボモータ16の制御が行われる。
つまり、円筒ころ、円すいころの形状に係る各寸法が明確であれば、それに基づいてオシレーションユニット2の水平移動位置、鉛直移動位置の詳細およびオシレーションユニット2の水平位置に関連づけたオシレーションユニット2の傾きが求められる。そして、これらの関係を用いてサーボモータ16,33,42の動作を制御することにより、超仕上装置1は、どのような形状、大きさの円筒ころ、円すいころであってもその周面の超仕上を行うことができる。超仕上装置1は、制御プログラムにおける境界位置の数値を変更するのみで、部品等を取り替えることなく種々のころの周面の超仕上に対応できる。
2 オシレーションユニット
13 昇降装置
16 サーボモータ(昇降用)
25 トラバース装置
26 チルト装置
33 サーボモータ(トラバース用)
42 サーボモータ(チルト用)
R ローラ
St 砥石
W ワーク
Claims (5)
- センタレス研磨装置にて断面円形のワーク周面を研磨する超仕上方法であって、
回転する前記ワークにおける周面の母線方向に砥石をオシレーションユニットにより高速微振動させながら前記母線方向の一方から他方に移動させて研磨し、
前記砥石が前記ワークの端面から一定の距離に近づいた後、
前記オシレーションユニットを徐々に前記端面側に傾けることにより前記砥石の前記高速微振動の方向を変化させながら前記砥石の移動を伴う研磨を継続する
ことを特徴とする超仕上方法。 - 前記オシレーションユニットの前記端面側への傾斜を鉛直方向および前記母線方向のいずれにも直交する特定の軸回りに行わせ、
前記オシレーションユニットを徐々に前記端面側に傾けると同時に前記特定の軸を降下させる
請求項1に記載の超仕上方法。 - 一対のローラ上において断面円形のワーク周面を研磨する超仕上装置であって、
砥石を保持し一方向に前記砥石を高速微振動させるオシレーションユニットと、
前記オシレーションユニットを前記一方向に往復移動させるトラバース装置と、
前記トラバース装置を、前記一方向および鉛直方向に直交する水平な揺動軸回りに傾斜させるチルト装置と、
前記オシレーションユニット、前記トラバース装置および前記チルト装置を一体として昇降させる昇降装置と、
を有する
ことを特徴とする超仕上装置。 - 前記チルト装置および前記昇降装置が、前記トラバース装置により前記オシレーションユニットが移動する位置に連動してそれぞれ動作するように構成された
請求項3に記載の超仕上装置。 - 前記トラバース装置の往復移動がサーボモータにより行われ、
前記チルト装置における前記トラバース装置の傾斜が別個のサーボモータにより行われ、
前記昇降装置による前記オシレーションユニット、前記トラバース装置および前記チルト装置を一体とした昇降が更に別個のサーボモータにより行われる
請求項3または請求項4に記載の超仕上装置。
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