JP7100322B2 - ウォータージェット削孔構造 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ノズルを削孔方向に沿って進退可能な前進後退手段と、ノズルと前進後退手段を二方向に移動させる直交方向移動手段とを備えたウォータージェット削孔装置が開示されている。
また、特許文献2には、駆動モータと、駆動モータの先端に設けたノズルと、後端に設けた剛性ホースと、外方に設けた外筒と、を備えた削孔装置が開示されている。
これらの削孔装置は、スライドベースや高圧ホースによって削孔部を被削孔体内に送り出して直線状に削進するもので、送り出し方向と削孔方向が同一である場合に限られている。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、注水機構が、ガイド管に設けた注水部と、注水部の前方と後方に設けたシール部と、を備えていることを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、ガイド管に、前記筒体の屈曲部を洗浄する洗浄機構をさらに設けたことを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明のうち何れか1つの発明において、リング体に、前後方向に貫通する挿通孔が形成されており、削孔装置は、前記挿通孔に挿通する、張力用のワイヤを更に有し、張力用のワイヤは、先端を前記削孔部または最前方のリング体に接続し、後端を張力調整治具に接続したことを特徴とする。
(1)本願発明は、ウォータージェットを用いた削孔装置において、ガイド管に注水機構を設けることにより、削孔屑の侵入を防止することができ、ウォータージェットの送水管をスムーズに挿通し案内することができる。
(2)注水機構を、ガイド管の先端側に設けた注水部と注水部の前方と後方に設けたシール部とで構成することで、両シール部で囲まれた貯留部によって削孔屑の侵入の抑制効果を向上させることができる。
(3)ガイド管に洗浄機構を設けることで、侵入した削孔屑がガイド管内に滞留しないようにできる。特に、リング体を積層した筒体を用いた場合、リング間に混入した削孔屑を洗い流すことができる。
(4)注水及び洗浄機構を備えたガイド管と、リング体を積層した筒体を備えたウォータージェットと、を備えた本発明のウォータージェット装置を用いて削孔することにより、屈曲孔の削孔も正確にスムーズにできる。コンクリート体などの内部に屈曲孔を設けて、補強材などを必要な個所に適用できる。
本発明で使用する削孔用のウォータージェットは、特許文献3,4または特願2017-100916,特願2018-078831に提案した例を採用することができる。
外挿体は、コイルスプリング、小リングを積層した屈曲可能な筒体などである。
ウォータージェットのヘッドにつながる高圧ホースは可撓性があり、高圧噴射するヘッドの反力を受けるので掘削方向を安定させるために、外挿体を用いている。
ウォータージェットによる鉄筋コンクリートの削孔は、鉄筋を切断することがない。また、孔の壁面が凸凹になり、充填したモルタルなどの付着性に優れるなどの特徴がある。また、高圧ホースは屈曲性があるので、ヘッドの方向をコントロールすることで屈曲した削孔をすることができる。
ヘッドには、ロータの連通路からの高圧水を、ヘッドの先端から放出して、コンクリート削孔を行う削孔用放出路や、ロータの連通路からの高圧水を、ヘッドの側方から放出することで、ヘッドそのものに回転力を与える自回転用放出路を形成している。
このうち、伝達部は、巻き方向を異にした態様とした内側コイルスプリングおよび外側コイルスプリングで構成されている。
当該構成によれば、各コイルスプリングを構成する鋼線間に生じる隙間同士がクロスする形となるため、互いに鋼線が隙間に入り込むことは無い。
よって、折曲に伴う各コイルスプリングの位置のズレを抑え、コイルスプリングの復元動作に支障も生じ無い形で両者を整然に近接配置することを実現している。
このうち、伝達部は、コイルスプリングで構成した外筒と、複数のリング体を積層配置した内筒とで構成し、内筒に設けた螺旋溝に外筒のコイルスプリングを噛み合わせて、伝達部の曲げ伸ばしの際の形状復元性が良好となるよう構成している。
ガイド管は、ウォータージェットを内部に挿通する部材である。
本発明で使用するガイド管は、特願2017-100916、特願2018-078831に記載したガイド材を採用することができる。
ガイド管は、削孔箇所の任意の位置に配置することができる。
ガイド管は、特願2017-100916、特願2018-078831で記載した伝達部を挿通可能な内径を有する管材を用いることができる。
なお、ガイド管は、直管でも曲管であってもよい。
また、注水機構とは別にガイド管に洗浄機構を設けることで、削孔屑が侵入したとしてもガイド管内に滞留することを抑制することができる。
本発明に係るウォータージェット装置を用いることで、トンネルや地下構造物などの鉄筋コンクリートの地山側の補強をする用途に使用することができる。
ウォータージェット装置によってトンネル等の内空側から削孔し、この削孔穴に補強体を挿入または充填することで、地山を補強することができる。
また、本発明に係るウォータージェット装置は、コンクリート体などの内部に配線や配管を行うための孔を形成する用途にも使用することができる。
本実施例に係るウォータージェット装置(以下、単に「削孔装置」ともいう。)は、送り出し方向D1と異なる方向である削孔方向D2に向けて削孔を要する被削孔体Xを対象とする。
本実施例では、削孔装置を、先端に設けた削孔部10と、削孔部10の後端に接続する筒体20と、筒体20に挿通するワイヤ30と、ワイヤ30のテンションを調整する張力調整具40と、送り出し方向D1と削孔方向D2とを連絡するコーナー部X1に配置するガイド管50と、ガイド管50の先端部51に設ける注水機構60と、ガイド管50の屈曲部52に設ける洗浄機構70と、を具備する。
本発明に係る削孔装置を使用する際には、図1に示すように、被削孔体Xの外から筒体20を送り出し方向D1へと送り出していき、削孔方向D2に屈曲した先で削孔部10によるウォータージェットでもって被削孔体Xを削進していく。
これらの各要素の詳細について以下に説明する。
削孔部10は、被削孔体Xの削孔機能を備えた部材である。
本実施例では、図に示すように、削孔部10を、ヘッド11と、ヘッド11を回転可能に接続するスイベル12と、ヘッド11へと高圧水を供給可能な高圧ホース13とを少なくとも備えた、いわゆるウォータージェット式のものを採用している。
ヘッド11は、回転しながら高圧水を噴出することで被削孔体Xの削孔を行うための部材である。
ヘッド11は、先端に噴出孔を有するとともにヘッド11の前後方向を回転軸として回転可能に構成している。
使用時には、ポンプ(図示せず)から供給され、高圧ホース13を経由して送られる高圧水を、ヘッド11を回転させながら噴出孔から噴出することで、被削孔体Xの削孔を可能としている。
図1には図示しないが、ヘッド11の外周面には、ヘッド11の後方に向かって高圧水を噴出することで削孔屑をヘッド11の後方へ排除するための排出促進用の噴出孔や、ヘッド11の側方に向かって高圧水を噴出することでヘッド11そのものに回転力を与える自回転用の噴出孔を別途設けておいても良い。
また、前記したこれらの機能を兼用した噴出孔を設けても良い。
筒体20は、送り出しによる力を削孔部10へ伝達するための部材である。
筒体20は、送り出し方向D1と削孔方向D2が異なる状態であっても、送り出しによる力を削孔部10へ伝達可能な剛性を備えるものとする。
図2に示すように、本実施例に係る筒体20は、複数のリング体21を積層して屈曲可能な筒形状を呈している。
各リング体21は直線状態において互いに面接触している。
筒体20の前端は、削孔部10の後端に接続し、筒体20の後端は、被削孔体Xの外側に設けた送出部に接続している。
また、リング体21の開口部分によって確保される中空部分に、削孔部10の後端に接続してある、可撓性を備えた高圧ホース13を挿通している。
よって、筒体20は、該筒体20に収容した高圧ホース13とともに任意の部分で屈曲可能な形状を呈する。
リング体21は、複数個を積層配置して筒体20を構成するための部材である。
リング体21は、前記筒体20の軸方向において前後する他のリング体21と嵌合構造によって脱着自在に構成している。
本実施例では、図2に示すようにリング体21の基部前方には凹部211を設け、基部後方に前記凹部211に対応する凸部212を設けることで、前記の嵌合構造を実現している。
本実施例に係るリング体21では、凹部211の側面を先端側に向けて先細となるようにテーパを設け、凸部212も当該テーパに対応する形状としている。
当該形状によれば、筒体20の曲げ伸ばしの際の力の伝達性と復元性に優れる。
ワイヤ30は、該ワイヤ30に張力(テンション)をかけることで筒体20の剛性の調整を行うための部材である。
本実施例では、各リング体21の上下方向に貫通する挿通孔213を周方向に間隔をあけて複数設け、この挿通孔213にワイヤ30を挿通している。
ワイヤ30の一端は最前方のリング体21に固定し、ワイヤ30の他端は、後述する張力調整具40に接続している。
なお、本発明において、ワイヤ30の挿通位置は特に限定されず、リング体21の外周面や内周面に切欠きを設け、この切欠きにワイヤ30を挿通するように構成してもよい(図示せず)。
張力調整具40は、ワイヤ30にかける張力を調整するための部材である。
張力調整具40は、公知の装置を使用することができる。
張力調整具40は、筒体20の後方に設けておき、接続した各ワイヤ30の他端を緊張することで、各ワイヤ30にかける張力を調整し、その張力の反力を筒体20全体に持たせることで、少なくとも筒体20に剛性を持たせることができる。
ガイド管50は、送り出し方向D1と削孔方向D2とを連絡するコーナー部X1に配置し、筒体20を屈曲した状態で保持するための部材である。
ガイド管50には筒体20の外径に対応したエルボ管を用いることができる。
本実施例では、ガイド管50について、出口側の直進部分に相当する先端部51と、先端部51の後方に接続する屈曲部52とに分けて定義している。
注水機構60は、削孔作業で生じた削孔屑を含んだ水(削孔水)が、ガイド管50材の内部に侵入することを抑制するための手段である。
注水機構の一例を図3に示す。
本実施例では、ガイド管50の先端部51に設けた注水機構60を、先端側シール材61、後端側シール材62、およびシール用注水部63とで構成している。
以下、各要素の詳細について説明する。
先端側シール材61は、ガイド管50の先端部51の前方に設けて、筒体20とガイド管50との間の隙間をシールするための部材である。
先端側シール材61は、止水性を有する公知の素材を使用することができる。
本実施例では、ガイド管50の内周側の全周に渡って配置した円筒状のリップシールによって先端側シール材61を構成しており、筒体20を挿入した際にこのリップシールのリップ部分が筒体20に押し出されて筒体20とガイド管50との間を止水することができる。
また、図3に示すように、リップシールの厚さtは、ガイド管50と側壁との隙間の最大長hよりも厚いものとしておくことが好ましい。
これは、筒体20を後退させる際に、リップシールが追従してガイド管50の内部に巻き込まれることを防止するためである。
後端側シール材62は、ガイド管50の先端部51の後方に設けて、筒体20とガイド管50との間の隙間をシールするための部材である。
いる。
後端側シール材62は、止水性が期待できる公知の素材を使用することができる。
本実施例では、ガイド管50の内周側の全周に渡って配置したOリングでもって後端側シール材62を構成している。
シール用注水部63は、先端側シール材61と後端側シール材62とによって挟まれた空間に加圧水を注入するための手段である。
本実施例では、ガイド管50の側壁に、先端側シール材61と後端側シール材62とによって挟まれた閉塞空間に連通する注入孔を設けておき、この注入孔を介して公知の装置でもって加圧水を送り込むことで、閉塞空間に加圧水を封入してなる貯留部64を形成することができる。
前記の通り、ガイド管50に注水機構60を設けておくことで、削孔部10による削孔作業によって発生した削孔屑の混入した削孔水がガイド管50に近づいてきても、先端側シール材61および後端側シール材62で囲まれて、加圧水を封入してある貯留部64による障壁が形成されているため、ガイド管50の内部に削孔屑が流入する恐れがなくなる。
また、先端側シール材61をリップシールで構成している際には、送り出し作業に伴って筒体20の位置にズレが生じた場合でも、リップシールが筒体20に追従するため、止水性が確保される。
また、その際に僅かに筒体20と先端側シール材61に隙間が生じる場合があるものの、この隙間から貯留部64に封入している加圧水が隙間から噴出して周辺の削孔水をガイド管50の出口から遠ざけるように作用するため、削孔屑の流入を抑制する効果も期待できる。
洗浄機構70は、筒体20に洗浄水を注入することでリング体21間に混入した削孔屑を除去するための要素である。
洗浄機構70は、ガイド管50の屈曲部52に設けて、筒体20の折曲箇所と前記ガイド管50との間の隙間に洗浄水を注入する、洗浄用注水部71を少なくとも含んで構成する。
本実施例では、ガイド管50の屈曲部52の側壁に注入孔を設けておき、この注入孔を介して公知の装置でもって洗浄水を送り込むことで、筒体20の折曲箇所にあるリング体21の間の隙間214に混入した削孔屑を取り除くことができる。
取り除いた削孔屑は、ガイド管50に別途設けた排出孔(図示せず)や、ガイド管50の後端側にある筒体20との隙間から排出すればよい。
なお、取り除いた削孔屑が、ガイド管50の先端側から排出されることはない。これは、前記した注水機構60の後端側シール材62によって、筒体20とガイド管50との間が止水されているためである。
本発明に係る削孔装置では、その他の部材として、以下の部材を具備することもできる。
送出部は、筒体20を介して削孔部10を送り出すための部材である。
本実施例では、送出部として、被削孔体Xの壁面に反力を取りつつ、筒体20Bを把持して送り出し方向D1にスライド可能な構造を採用する。
送出部によって送り出し方向D1に送り出された筒体20は、屈曲部52で屈曲し、削孔方向D2へと押し出される。
再度、図1を参照しながら、本発明に係る削孔装置の使用方法について説明する。
図1では、RC構造物である被削孔体Xにおいて、壁面に対して直角方向に設けたコア孔H1の先端部分から、壁面に対して平行方向に平行孔H2を削孔する作業を想定している。
まず、被削孔体X内の送り出し方向D1から削孔方向D2を連絡するコーナー部X1において、削孔方向D2に向かってヘッド11およびスイベル12を収容できるスペースを削孔等によって確保する。そして、このスペースに、ヘッド11とスイベル12を先端に配置した筒体20を予め挿通させておいたガイド管50を配置する。
ガイド管50の配置時または配置後、送出部に連結した接続管80の先端にガイド管50を螺着する。この接続管80をコア孔H1内に差し入れて、ガイド管50の先端側の開口が平行孔H2の削孔方向D2を向くように位置合わせする。
その後、被削孔体Xの外壁面に送出部をボルトなどで固定することで、ガイド管50とともに送出部を位置決めする。
次に、送出部でもって筒体20を把持し、筒体20を送り出し方向D1(コア孔H1の先端方向)へ送り出す。
筒体20はガイド管50の内部形状に追従するように屈曲し、ガイド管50の先端から、平行孔H2の削孔方向D2へ直線状に突出する。
筒体20の送り出しに伴い、スイベル12は前方に押し出されて削孔部10を前進させる。
その後、削孔部10のウォータージェットを稼働させ、削孔部10から高圧水を噴出させながら、所定の削進速度で筒体20を送り出し方向D1へ押し込んで行く。
この押し込み作業により、被削孔体Xの内部が削孔部10によって削孔方向D2に向かって直線状に削進してゆく。
このとき、ガイド管50から掘進方向に露出する筒体20の長さが長くなってきたとしても、筒体20は十分な剛性を備えているため、削孔部10が通路内で傾斜しにくくなる。
本実施例では、送り出し方向D1と削孔方向D2との間の角度(屈曲角度)を90°としているが、本発明では屈曲角度が本実施例に限定されるものではない。削孔装置の用途に応じて屈曲角度を(0°<θ<180°)の範囲で任意に設定することができる。
本実施例では、被削孔体Xの内部に筒体20の屈曲部52が位置する状況を想定しているが、本発明は、被削孔体Xの外部に筒体20の屈曲部52が位置するように使用してもよい。この場合、被削孔体Xの周囲の空間が狭小で、削孔装置の取り回しに制限が生じる現場などにおいて好適である。
本実施例では、注水機構60を構成する先端側シール材61および後端側シール材62と、洗浄機構70による洗浄水の先端側の流入を防止するためのシール材とを個別に設けている。
また、ガイド材の側壁の内部に導水路65を設け、シール用注水部63から導水路65を経由して先端側シール材61および後端側シール材62で囲んだ貯留部64に注水されるよう構成している。
11:ヘッド
12:スイベル
13:高圧ホース
20:筒体
21:リング体
211:凹部
212:凸部
213:挿通孔
30:ワイヤ
40:張力調整具
50:ガイド管
51:先端部
52:屈曲部
60:注水機構
61:先端側シール材
62:後端側シール材
63:シール用注水部
64:貯留部
65:導水路
70:洗浄機構
71:洗浄用注水部
D1:送り出し方向
D2:削孔方向
X:被削孔体
X1:コーナー部
H1:コア孔
H2:平行孔
Claims (4)
- 送り出し方向と異なる方向に削進するための削孔構造であって、
送り出し方向と削孔方向とを連絡するコーナー部に配置するガイド管と、前記ガイド管に挿通する削孔装置と、を少なくとも具備し、
削孔装置は、
ウォータージェットによって削孔を行う、削孔部と、
複数のリング体を積層して屈曲可能であり、先端を前記削孔部に接続する、筒体と、を有しており、
ガイド管の先端部に、加圧水を封入した貯留部を形成する注水機構を設けたことを特徴とする、
ウォータージェット削孔構造。 - 注水機構は、ガイド管に設けた注水部と、注水部の前方と後方に設けたシール部と、を備えていることを特徴とする、
請求項1に記載のウォータージェット削孔構造。 - ガイド管に、前記筒体の屈曲部を洗浄する洗浄機構をさらに設けたことを特徴とする、
請求項1または2に記載のウォータージェット削孔構造。 - リング体に、前後方向に貫通する挿通孔が形成されており、
削孔装置は、前記挿通孔に挿通する、張力用のワイヤを更に有し、
張力用のワイヤは、先端を前記削孔部または最前方のリング体に接続し、後端を張力調整治具に接続していることを特徴とする、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のウォータージェット削孔構造。
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