JP7099403B2 - フッ化物イオン電池 - Google Patents
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Description
図1に示されるフッ化物イオン電池10は、正極活物質層1と、負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。本開示においては、負極極活物質層1が、所定の負極活物質および固体電解質を含有する。
本開示における負極活物質層は、Si元素およびLa元素を含む負極活物質と、La元素、Ba元素およびF元素を含む固体電解質とを含有する。また、必要に応じて導電化材とバインダーの内少なくとも一方を含有してもよい。負極活物質層が、所定の負極活物質および固体電解質を含有することで、これを有するフッ化物イオン電池は充電時における固体電解質の還元分解を抑制することができる。また、本開示における負極活物質では、Si元素がLa元素と化合しており、充放電前後で4フッ化ケイ素が形成されずガス化しない。そのため、本開示における負極活物質は可逆的に反応することができる。
本開示における負極活物質は、Si元素およびLa元素を含む。負極活物質は、Si元素およびLa元素のみを含んでいてもよく、他の金属元素を含んでいてもよいが、前者が好ましい。Si元素およびLa元素以外の金属元素を含む場合、全元素におけるSi元素およびLa元素の割合は、例えば50mol%以上であり、70mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。Si元素およびLa元素のみを含む負極活物質としては、例えば珪化ランタンを挙げることができる。珪化ランタンはSiとLaとの合金であり、通常La1-xSixの組成式で表わされる。本開示において、上記組成式中のxは、例えば0.3以上であり、0.4以上であってもよく、0.5以上であってもよい。一方で、上記組成式中のxは、例えば0.91以下であり、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよく、0.6以下であってもよい。xが小さすぎると、La金属が析出し、このLa金属が酸化されることで電池反応を阻害する恐れがある。また、xが大きすぎると、電池反応時にSiが析出してSiF4ガスが発生する恐れがある。本開示においては、La0.5Si0.5の(x=0.5)が、容量が良好であるため好ましい。なお、後述する実施例においては、La0.5Si0.5を単にLaSiとも表記する。
また、負極活物質の脱フッ化電位と固体電解質の脱フッ化電位との差は、例えば、0.05V以上であることが好ましく、0.1V以上であることがより好ましく、0.3V以上であることがさらに好ましい。
本開示における固体電解質は、La元素、Ba元素およびF元素を含む。本開示における固体電解質は、La元素、Ba元素およびF元素のみを含んでいてもよく、更に他の元素を含んでいてもよいが、前者が好ましい。他の元素としては、例えばLa元素以外のランタノイド金属(Ce、Sm、Nd、Dy、Pr、Eu、Gd)、Ba元素以外のアルカリ土類金属(Ca、Sr、Mg)が挙げられる。La元素、Ba元素およびF元素のみを含む固体電解質としては、例えばランタンバリウムフッ化物を挙げることができる。ランタンバリウムフッ化物は、通常La1-xBaxF3-x(0<x<1)の組成式で表わされる。本開示において上記xは、例えば0.01以上であってもよく、0.05以上であってもよく、0.1以上であってもよい。また、上記xは、例えば0.9以下であってもよく、0.7以下であってもよく、0.6以下であってもよい。本開示においては、La0.9Ba0.1F2.9(x=0.1)が、フッ化物イオン伝導性が特に良好であるため好ましい。固体電解質の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状を挙げることができる。
導電化材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)等の粒子状炭素材料、炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の繊維状炭素材料が挙げられる。負極活物質層における導電化材の割合は、例えば1重量%以上であり、5重量%以上であってもよく、10重量%以上であってもよい。一方、負極活物質層における導電化材の割合は、例えば20重量%以下であり、15重量%以下であってもよい。導電化材の割合が少なすぎると、電子伝導パスが形成されず、電極抵抗が増加する恐れがある。導電化材の割合が多すぎると、相対的に負極活物質の比率が下がるため、エネルギー密度が低下する恐れがある。
負極活物質層は、上述した負極活物質および固体電解質を含有しており、必要に応じて上述した導電化材およびバインダーの内少なくとも一つを含有してもよい。負極活物質層の厚さは、特に限定されず、電池の構成によって適宜調整することができる。
本開示における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。正極活物質としては、例えば、通常、放電時に脱フッ化する活物質である。正極活物質としては、例えば、金属単体、合金、金属酸化物、およびこれらのフッ化物を挙げることができる。正極活物質に含まれる金属元素としては、金属元素としては、例えば、Pb、Cu、Sn、In、Bi、Sb、Ni、Co、La、Ce、Mn、V、Fe、Cr、Nb、Ti、Znを挙げることができる。また、正極活物質の他の例として、炭素材料およびそのフッ化物を挙げることができる。炭素材料としては、例えば、黒鉛、コークス、カーボンナノチューブを挙げることができる。
電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層である。電解質層を構成する電解質は、液体電解質(電解液)であってもよく、固体電解質であってもよい。すなわち、電解質層は、液体電解質層であってもよく、固体電解質層であってもよいが、後者が好ましい。
本開示におけるフッ化物イオン電池は、通常、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および、負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、カーボンが挙げられる。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケル、カーボンが挙げられる。正極集電体および負極集電体の形状としては、それぞれ、例えば、箔状、メッシュ状、多孔質状が挙げられる。また、本開示におけるフッ化物イオン電池は、電池の部材を収納する電池ケースを有していてもよい。電池ケースには、一般的な電池の電池ケースを用いることができる。
本開示におけるフッ化物イオン電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、二次電池には、一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。また、フッ化物イオン電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、角型が挙げられる。
(評価用電池の作製)
負極活物質(LaSi、高純度化学製)と、固体電解質(La0.9Ba0.1F2.9)と、導電化材(アセチレンブラック)とを、30:60:10の重量比でボールミルを用いて混合し、負極合材(作用極)を得た。正極活物質(PbF2)と、導電化材(アセチレンブラック)とを、95:5の重量比で混合して正極合材を得た。得られた負極合材と、固体電解質(La0.9Ba0.1F2.9)と、正極合材と、Pb箔(対極)とを積層して圧粉成型することで、評価用電池を作製した。
負極活物質として、フッ化ランタン(LaF3)を用い、正極活物質にPb箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
(充放電試験)
実施例1および比較例1で得られた評価用電池に対して、充放電試験を行った。充放電試験は140℃の環境下にて、電流50μA/cm2、作用極の終止電位-2.6V(vs Pb/PbF2)~0V(vs Pb/PbF2)の条件で行った。結果を図2および図3に示す。また、固体電解質の還元電位に達するまでの充電容量を表1に示す。なお、図2および図3の充放電曲線は、負極活物質層の充放電曲線であり、固体電解質(La0.9Ba0.1F2.9)の還元電位(脱フッ化電位)は、-2.4V(vs.Pb/PbF2)である。
2 …負極活物質層
3 …電解質層
4 …正極集電体
5 …負極集電体
6 …電池ケース
10 …フッ化物イオン電池
Claims (1)
- 正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された電解質層と、を有するフッ化物イオン電池であって、
前記負極活物質層が、Si元素およびLa元素を含む負極活物質と、La元素、Ba元素およびF元素を含む固体電解質と、を含有する、フッ化物イオン電池。
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