本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1から図4を用いて実施の形態1に係るかご側壁養生装置の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係るかご側壁養生装置の上面図である。図2は、実施の形態1に係るかご側壁養生装置の正面図である。図3は、実施の形態1に係るかご側壁養生装置の上面図である。図4は、実施の形態1に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。
図1において、エレベーターのかご1の内側が示される。エレベーターは、建築物に設けられる。建築物は、複数の階を備える。エレベーターにおいて、昇降路は複数の階を貫く。かご1は、例えば巻上機によって昇降路の内部を鉛直方向に走行することで、複数の階の間で利用者を輸送する装置である。かご1は、例えば直方体状の形状である。かご1は、床面2と、側壁3と、を備える。床面2は、かご1の下面をなす。側壁3は、かご1の側面をなす。側壁3は、磁力によって磁石が吸着しうる例えば鉄などを含む金属材料で形成される。側壁3は、下端に巾木4を有する。かご1は、かご扉5を備える。かご扉5は、かご1の側面に設けられる。かご扉5は、かご1が複数の階のいずれかに停止しているときに、利用者がかご1に乗降しうるように開閉する装置である。
かご1は、建築物において物品を複数の階の間で運搬する運搬作業にも用いられる。このとき、側壁3を保護するため、複数のかご側壁養生装置6がかご1の内側に設けられる。一方、運搬作業が行われていないとき、あるいは運搬作業が一時的に中断しているときなどの側壁3が損傷するおそれが少ない場合において、かご1の内側の意匠性は、養生材などによって損なわれないことが望まれる。このため、複数のかご側壁養生装置6の各々の状態は、作業員によって使用状態と収納状態とが切り替えられる。使用状態は、かご1の側壁3を保護する状態である。収納状態は、かご1の内側の意匠性が損なわれない状態である。
複数のかご側壁養生装置6の各々は、収納箱7を備える。収納箱7は、平坦な直方体状の形状である。収納箱7の厚さ方向は、前後方向である。収納箱7は、かご扉5が設けられない側面の側壁3に沿って側壁3の前方に設けられる。側壁3の前方は、側壁3よりかご1の内側の方向である。収納箱7の背面は、側壁3に対向する。収納箱7は、背面に図示されない磁石を備える。収納箱7の背面の磁石は、磁力により側壁3に吸着する。収納箱7は、左右の少なくとも一方の端部に接続部8を備える。接続部8は、上下方向を軸として他のかご側壁養生装置6の収納箱7を回転可能に接続する。接続部8は、例えばヒンジである。
収納箱7は、蓋9を備える。蓋9は、収納箱7の上端に設けられる。蓋9は、開閉可能である。蓋9は、複数の把持部10を有する。複数の把持部10は、例えば長穴である。複数の把持部10は、収納箱7の前方に設けられる。
図2において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
複数のかご側壁養生装置6の各々は、意匠板11を備える。
意匠板11は、一枚の板状の部材である。意匠板11は、例えば矩形の部材である。意匠板11は、正面に意匠面12を有する。意匠面12は、意匠性を高める模様、色彩または質感などを有する面である。
収納箱7は、前面に切抜き溝13を有する。切抜き溝13は、収納箱7の前面の下端部および左右の両端部によってコの字状に囲まれる溝である。収納状態において、収納箱7の前面の切抜き溝13を通じて、意匠板11の意匠面12が収納箱7の前面に配置される。
図3において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が開いている状態が示される。
複数のかご側壁養生装置6の各々は、養生体14を備える。
養生体14は、上側養生板15と、下側養生板16と、を備える。上側養生板15は、一枚の板状の部材である。上側養生板15は、養生材である。上側養生板15は、例えば矩形の部材である。上側養生板15は、上側養生面17を有する。上側養生面17は、養生面である。下側養生板16は、一枚の板状の部材である。下側養生板16は、養生材である。下側養生板16は、例えば矩形の部材である。下側養生板16は、下側養生面18を有する。下側養生面18は、養生面である。養生材は、養生面を有する部材である。養生面は、後方の側壁3などを保護する面である。
収納箱7は、上端に収納口19を有する。収納口19は、開口である。収納箱7は、一対のガイド部20を備える。一対のガイド部20の各々は、上下方向に延びる部材である。一対のガイド部20の各々の断面は、例えばコの字状の形状である。一対のガイド部20の各々は、互いに対向するように収納箱7の左右の各々の端部に設けられる。一対のガイド部20の各々は、上側養生板15の左右の各々の端部を囲う。一対のガイド部20の各々は、下側養生板16の左右の各々の端部を囲う。一対のガイド部20の各々は、意匠板11の左右の各々の端部を囲う。
図4において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が閉じている状態が示される。
養生体14は、複数の吸着部21を備える。複数の吸着部21の各々は、例えば磁石である。複数の吸着部21の各々は、上側養生板15の背面の上端に設けられる。
蓋9は、後端に接続部材22を備える。接続部材22は、例えばヒンジである。蓋9は、接続部材22を支点として開閉する。蓋9は、収納状態において閉じているときに、前端部が意匠板11の意匠面12より前方に配置される。
収納箱7は、床面2に置かれている。収納箱7の高さは、側壁3の巾木4の高さより高い。
収納状態において、意匠板11の養生面は収納箱7の前面に配置される。養生体14は、意匠板11の意匠面12より後方で収納箱7に収納される。下側養生板16は、意匠板11より後方に収納される。上側養生板15は、下側養生板16より後方に配置される。上側養生板15は、上側養生面17を前面に向けて収納される。意匠板11の高さは、側壁3の巾木4の高さより高い。上側養生板15の高さは、側壁3の巾木4の高さより高い。下側養生板16の高さは、側壁3の巾木4の高さより高い。
続いて、図5および図6を用いて実施の形態1に係るかご側壁養生装置による養生材の着脱を説明する。
図5は、実施の形態1に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。図6は、実施の形態1に係るかご側壁養生装置の正面図である。
図5において、使用状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
例えば運搬作業の前に、複数のかご側壁養生装置6は、作業員によって収納状態でかご1の内部に搬入される。複数のかご側壁養生装置6は、接続部8を支点として折り畳まれた状態で搬入される。作業員は、複数のかご側壁養生装置6をかご1の内部に搬入した後に、複数のかご側壁養生装置6の各々をかご1の側壁3に沿って側壁3の前方に配置する。
作業員は、運搬作業を開始する前に、複数のかご側壁養生装置6の各々を使用状態に切り替える。作業員は、収納状態から使用状態に切り替えるときに、蓋9を開く。作業員は、上側養生板15を、収納箱7の上端から上方にそのまま引き出す。上側養生板15は、一対のガイド部20にガイドされながら上方に平行移動させられる。平行移動は、変形を伴わない移動である。作業員は、複数の吸着部21の各々を側壁3の上部に吸着させる。複数の吸着部21は、上側養生板15を保持する。上側養生板15は、収納箱7より上方の側壁3の前方に配置される。上側養生板15は、上側養生面17を前方に向けて配置される。
使用状態において、蓋9は、上側養生板15より後方に配置される。蓋9は、上側養生板15に支持されることにより、開いている状態が維持される。
作業員は、下側養生板16を収納箱7の上端から上方に引き出す。作業員は、収納箱7の上端から下側養生板16を意匠板11より前に下方に挿入する。すなわち、作業員は、下側養生板16と意匠板11との前後を入れ替える。下側養生板16は、下側養生面18を前方に向けて配置される。下側養生面18は、意匠面12の前方に配置される。
図6において、使用状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
使用状態において、養生体14は、上側養生板15と下側養生板16とによって、側壁3を前方から覆うことで保護する。また、下側養生板16は、意匠面12を前方から覆うことで保護する。
作業員は、運搬作業が終了したとき、あるいは運搬作業を一時的に中断するときに、複数のかご側壁養生装置6の各々を収納状態に切り替える。作業員は、上側養生板15を手前に引くことで、複数の吸着部21の各々を側壁3から取り外す。上側養生板15は、一対のガイド部20にガイドされながら下方に平行移動させられる。作業員は、上側養生板15を、収納箱7の上端から下方にそのまま収納する。作業員は、下側養生板16と意匠板11との前後を入れ替える。意匠板11は、意匠面12を前方に向けて配置される。作業員は、蓋9を閉める。養生体14は、意匠面12より後方で収納箱7に収納される。
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーターのかご側壁養生装置6は、収納箱7と、意匠板11と、養生体14と、を備える。収納箱7は、エレベーターのかご1の内側の側壁3に沿って側壁3の前方に設けられる。意匠板11は、意匠面12を有する。収納状態において、意匠板11の意匠面12は、収納箱7の前面に配置される。養生体14は、吸着部21を備える。養生体14は、上側養生面17および下側養生面18を有する。収納状態において、養生体14は、意匠面12より後方で収納箱7に収納される。収納状態から使用状態への切替えにおいて、養生体14の上側養生面17は、収納箱7から上方に平行移動させられる。使用状態において、吸着部21は、側壁3に吸着することで上側養生面17を収納箱7より上方の側壁3の前方に保持する。使用状態において、養生体14の下側養生面18は、意匠面12の前方に配置される。
収納箱7は、かご1の内側に直接設けられる。これにより、既設のエレベーターのかご1に容易に適用できる。収納状態において、養生体14は意匠面12より後方で収納箱7に収納される。このため、収納状態において養生体14は隠蔽される。これにより、収納状態においてかご1の内側の意匠性が損なわれない。下側養生面18は、使用状態において意匠面12より前方に配置される。上側養生面17は、収納箱7より上方の側壁3の前方に配置される。これにより、側壁3および意匠面12が保護される。収納状態から使用状態への切替えは、上側養生面17を有する上側養生板15を収納箱7からそのまま上方に引き上げることで行われる。上側養生板15は、吸着部21により側壁3に保持される。このため、かご側壁養生装置6の収納状態から使用状態への切り替えが容易にできる。これにより、かご側壁養生装置6は、養生材の着脱を容易に切り替えられ、かつ、既設のエレベーターのかご1に容易に適用できる。
収納状態において、養生体14は収納箱7に収納されている。このため、作業員は、養生体14を保管する場所をかご1の外に別途確保する必要がない。
また、収納箱7は、蓋9を備える。蓋9は、収納箱7の上端の後側を支点として開閉する。
収納状態において、養生体14は、収納箱7の上方からも隠蔽される。このため、かご1の内側の意匠性は損なわれない。蓋9は後側を支点として開閉する。このため、蓋9を開く動作と上側養生板15を引き上げる動作とが、一連の動作として行いやすくなる。これにより、養生材の着脱がより容易になる。
また、蓋9は、収納状態において閉じているときに、少なくとも一部が意匠面12より前方に配置される。
利用者は、閉じている蓋9に手を添えて乗車できる。すなわち、利用者は、蓋9を手摺として利用できる。また、蓋9は、把持部10を有する。これにより、利用者は、蓋9を手摺としてより利用しやすくなる。また、作業員は、把持部10を持って蓋9の開閉をすることができる。これにより、蓋9の開閉動作がより容易になる。
また、蓋9は、使用状態において開いているときに、上側養生面17より後方に配置される。
これにより、使用状態において、蓋9が隠蔽される。また、使用状態において、上側養生面17を有する上側養生板15によって、蓋9が開いている状態で保持される。
また、養生体14は、一枚の上側養生板15を備える。上側養生板15は、上側養生面17を有する。
上側養生板15は、使用状態と収納状態との切替えにおいて、変形を必要としない。上側養生板15は、側壁に沿った状態のまま収納箱7に収納される。このため、収納箱7の厚さが薄くなる。これにより、かご側壁養生装置6が利用者の邪魔になりにくい。また、作業員は、使用状態と収納状態との切替えにおいて、上側養生板15を変形させずにそのまま引き出せる。これにより、養生材の着脱がより容易になる。
また、収納箱7は、ガイド部20を備える。ガイド部20は、収納状態から使用状態への切替えにおける上側養生板15の上方への平行移動をガイドする。
これにより、上側養生板15は、収納状態から使用状態への切替えにおいて、スムーズに引き上げられる。また、上側養生板15は、使用状態から収納状態への切替えにおいて、スムーズに収納される。これにより、養生材の着脱がより容易になる。
また、収納箱7は、接続部8を左右の少なくとも一方の端部に備える。接続部8は、上下方向を軸として他の収納箱7を回転可能に接続する。
これにより、作業員は、複数の側壁3を保護する複数のかご側壁養生装置6をかご1の内部に容易に搬入できる。また、作業員は、複数の側壁3を保護する複数のかご側壁養生装置6をかご1の内部から容易に搬出できる。
また、収納箱7の高さは、側壁3の巾木4の高さより高い。側壁3の下部において、利用者の足元に段差ができない。このため、側壁3の近くに立って乗車する利用者が誤って踏むことが防がれる。また、収納箱7は、巾木4の前方に配置される。巾木4の前面に化粧板が設けられる場合においても、巾木4の化粧板が保護される。
なお、蓋9の形状は、手摺として利用しやすいように適当な形状としてもよい。また、収納箱7は、蓋9を備えなくてもよい。これにより、養生材の着脱がより容易になる。
また、収納箱7は、接続部8を備えなくてもよい。複数のかご側壁養生装置6は、個別にかご1の内部に搬入されてもよい。複数のかご側壁養生装置6は、かご1の内側に常設されてもよい。
また、養生体14は、上側養生板15に替えて上側養生幕を備えてもよい。上側養生板15は、一枚の幕状の部材である。上側養生幕は、例えば矩形の部材である。上側養生幕は、上側養生面17を有する。上側養生幕は、養生材である。養生体14は、下側養生板16に替えて下側養生幕を備えてもよい。下側養生板16は、一枚の幕状の部材である。下側養生幕は、例えば矩形の部材である。下側養生幕は、下側養生面18を有する。下側養生幕は、養生材である。
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図7から図9を用いて実施の形態2に係るかご側壁養生装置の構成を説明する。
図7は、実施の形態2に係るかご側壁養生装置の正面図である。図8は、実施の形態2に係るかご側壁養生装置の上面図である。図9は、実施の形態2に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。
図7において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
収納箱7は、前面に切抜き溝を有しない。収納箱7の前面の少なくとも一部は、磁力によって磁石が吸着しうる例えば鉄などを含む金属材料で形成される。収納箱7は、前面に意匠面12を有する。収納状態において、収納箱7の意匠面12が収納箱7の前面に露出する。
図8において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が開いている状態が示される。
複数のかご側壁養生装置6の各々は、養生体14を備える。
養生体14は、上側養生板15と、下側養生板16と、を備える。上側養生板15は、一枚の板状の部材である。上側養生板15は、例えば矩形の部材である。上側養生板15は、養生面を有する。上側養生板15は、養生材である。下側養生板16は、一枚の板状の部材である。下側養生板16は、例えば矩形の部材である。下側養生板16は、養生面を有する。下側養生板16は、養生材である。
収納箱7は、上端に収納口19を有する。収納箱7は、一対のガイド部20を備える。一対のガイド部20の各々は、上下方向に延びる部材である。一対のガイド部20の各々の断面は、例えばコの字状の形状である。一対のガイド部20の各々は、互いに対向するように収納箱7の左右の各々の端部に設けられる。一対のガイド部20の各々は、養生体14の左右の各々の端部を囲う。
図9において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が閉じている状態が示される。
養生体14は、複数の吸着部21と、複数の下側吸着部23と、中間部24と、を備える。複数の吸着部21の各々は、例えば磁石である。複数の吸着部21の各々は、上側養生板15の背面の上端または下端に設けられる。複数の下側吸着部23の各々は、例えば磁石である。複数の下側吸着部23の各々は、下側養生板16の背面に設けられる。中間部24は、一枚の板状の部材である。中間部24は、例えば長方形状の部材である。中間部24の長辺の一方は、例えばヒンジによって折り曲げ可能に上側養生板15の一辺と接続される。中間部24の長辺の他方は、例えばヒンジによって折り曲げ可能に下側養生板16の一辺と接続される。すなわち、中間部24は、上側養生面17と下側養生面18とを互いの法線が同一面内にあるように折り畳み可能に接続する。
収納状態において、養生体14は、収納箱7の意匠面12より後方で収納箱7に収納される。上側養生板15は、下側養生板16より後方に配置される。上側養生板15は、上側養生面17を前面に向けて収納される。下側養生板16は、下側養生面18を後方に向けて収納される。すなわち、養生体14は、折り畳まれた状態で収納される。
続いて、図10および図11を用いて実施の形態2に係るかご側壁養生装置による養生材の着脱を説明する。
図10は、実施の形態2に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。図11は、実施の形態2に係るかご側壁養生装置の正面図である。
図10において、使用状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
作業員は、運搬作業を開始する前に、複数のかご側壁養生装置6の各々を使用状態に切り替える。作業員は、収納状態から使用状態に切り替えるときに、蓋9を開く。作業員は、折り畳まれた状態の養生体14を収納箱7の上端から上方にそのまま引き出す。養生体14は、一対のガイド部20にガイドされながら上方に平行移動させられる。作業員は、複数の吸着部21の各々を側壁3の上部に吸着させる。複数の吸着部21は、上側養生板15を保持する。上側養生板15は、収納箱7より上方の側壁3の前方に配置される。上側養生板15は、上側養生面17を前方に向けて配置される。作業員は、下側養生板16を手前に倒しながら下方に下ろす。作業員は、複数の下側吸着部23の各々を収納箱7の前面に吸着させる。複数の下側吸着部23は、下側養生板16を保持する。下側養生板16は、収納箱7の意匠面12の前方に配置される。下側養生板16は、下側養生面18を前方に向けて配置される。
図11において、使用状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
使用状態において、養生体14は、上側養生板15と下側養生板16とによって、側壁3を前方から覆うことで保護する。また、下側養生板16は、意匠面12を前方から覆うことで保護する。
作業員は、運搬作業が終了したとき、あるいは運搬作業を一時的に中断するときに、複数のかご側壁養生装置6の各々を収納状態に切り替える。作業員は、下側養生板16を手前に引くことで、複数の下側吸着部23の各々を収納箱7の前面から取り外す。作業員は、下側養生板16を手前に引きながら上方に折り畳む。収納箱7の意匠面12は、前方に露出する。養生体14は、折り畳まれる。作業員は、上側養生板15を手前に引くことで、複数の吸着部21の各々を側壁3から取り外す。折り畳まれた状態の養生体14は、一対のガイド部20にガイドされながら下方に平行移動させられる。作業員は、養生体14を、収納箱7の上端から下方にそのまま収納する。作業員は、蓋9を閉める。養生体14は、意匠面12より後方で収納箱7に収納される。
以上に説明したように、実施の形態2に係るエレベーターのかご側壁養生装置6は、収納箱7と、養生体14と、を備える。収納箱7は、エレベーターのかご1の内側の側壁3に沿って側壁3の前方に設けられる。収納箱7は、前面に意匠面12を有する。養生体14は、吸着部21を備える。養生体14は、上側養生面17および下側養生面18を有する。収納状態において、養生体14は、意匠面12より後方で収納箱7に収納される。収納状態から使用状態への切替えにおいて、養生体14の上側養生面17は、収納箱7から上方に平行移動させられる。使用状態において、吸着部21は、側壁3に吸着することで上側養生面17を収納箱7より上方の側壁3の前方に保持する。使用状態において、養生体14の下側養生面18は、意匠面12の前方に配置される。
収納箱7は、かご1の内側に直接設けられる。これにより、既設のエレベーターのかご1に容易に適用できる。収納状態において、養生体14は意匠面12より後方で収納箱7に収納される。このため、収納状態において養生体14は隠蔽される。これにより、収納状態においてかご1の内側の意匠性が損なわれない。下側養生面18は、使用状態において意匠面12より前方に配置される。上側養生面17は、収納箱7より上方の側壁3の前方に配置される。これにより、側壁3および意匠面12が保護される。収納状態から使用状態への切替えは、上側養生面17を有する上側養生板15を収納箱7からそのまま上方に引き上げることで行われる。上側養生板15は、吸着部21により側壁3に保持される。このため、かご側壁養生装置6の収納状態から使用状態への切り替えが容易にできる。これにより、かご側壁養生装置6は、養生材の着脱を容易に切り替えられ、かつ、既設のエレベーターのかご1に容易に適用できる。
また、養生体14は、中間部24を備える。中間部24は、上側養生面17と下側養生面18とを互いの法線が同一面内にあるように折り畳み可能に接続する。
上側養生板15および下側養生板16は、中間部24によって一体の養生体14を形成する。このため、作業員は、養生体14を一体として収納箱7から取り出すことができる。また、作業員は、養生体14を一体として収納箱7に収納することができる。これにより、養生材の着脱がより容易になる。
養生体14は、上側養生板15に替えて上側養生幕を備えてもよい。養生体14は、下側養生板16に替えて下側養生幕を備えてもよい。中間部24は、上側養生幕および下側養生幕と連続する柔軟な幕であってもよい。すなわち、養生体14は、上側養生面17および下側養生面18を有する折り畳み可能な一枚の幕であってもよい。養生体14は、養生材である。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図12から図13を用いて実施の形態3に係るかご側壁養生装置の構成を説明する。
図12は、実施の形態3に係るかご側壁養生装置の上面図である。図13は、実施の形態3に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。
図12において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が開いている状態が示される。
複数のかご側壁養生装置6の各々は、養生体14を備える。
養生体14は、上側養生板15と、下側養生幕25と、巻取り装置26と、を備える。上側養生板15は、一枚の板状の部材である。上側養生板15は、例えば矩形の部材である。上側養生板15は、上側養生面17を有する。上側養生板15は、養生材である。下側養生幕25は、一枚の幕状の部材である。下側養生幕25は、例えば矩形の部材である。下側養生幕25は、下側養生面18を有する。下側養生幕25は、養生材である。巻取り装置26は、上側養生板15の下端に設けられる。巻取り装置26は、左右方向に延びる巻取り軸を有する。巻取り装置26は、下側養生幕25を巻取り軸のまわりに巻き取ることで収納する装置である。収納状態において、下側養生幕25は、下端部を残して巻取り装置26に巻き取られている。
図13において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が閉じている状態が示される。
養生体14は、複数の吸着部21と、複数の下側吸着部23と、を備える。複数の吸着部21の各々は、例えば磁石である。複数の吸着部21の各々は、上側養生板15の背面の上端または下端に設けられる。複数の下側吸着部23の各々は、例えば磁石である。複数の下側吸着部23の各々は、下側養生板16の下端部の背面に設けられる。
収納状態において、養生体14は、収納箱7の意匠面12より後方で収納箱7に収納される。上側養生板15は、上側養生面17を前面に向けて収納される。
続いて、図14および図15を用いて実施の形態3に係るかご側壁養生装置による養生材の着脱を説明する。
図14は、実施の形態3に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。図15は、実施の形態3に係るかご側壁養生装置の正面図である。
図14において、使用状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
作業員は、運搬作業を開始する前に、複数のかご側壁養生装置6の各々を使用状態に切り替える。作業員は、収納状態から使用状態に切り替えるときに、蓋9を開く。作業員は、養生体14を収納箱7の上端から上方にそのまま引き出す。養生体14は、一対のガイド部20にガイドされながら上方に平行移動させられる。作業員は、複数の吸着部21の各々を側壁3の上部に吸着させる。複数の吸着部21は、上側養生板15を保持する。上側養生板15は、収納箱7より上方の側壁3の前方に配置される。上側養生板15は、上側養生面17を前方に向けて配置される。作業員は、下側養生幕25の下端部を巻取り装置26から引き出す。作業員は、複数の下側吸着部23の各々を収納箱7の前面に吸着させる。複数の下側吸着部23は、下側養生幕25を保持する。下側養生幕25は、収納箱7の意匠面12の前方に配置される。下側養生幕25は、下側養生面18を前方に向けて配置される。
図15において、使用状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
使用状態において、養生体14は、上側養生板15と下側養生幕25とによって、側壁3を前方から覆うことで保護する。また、下側養生幕25は、意匠面12を前方から覆うことで保護する。
作業員は、運搬作業が終了したとき、あるいは運搬作業を一時的に中断するときに、複数のかご側壁養生装置6の各々を収納状態に切り替える。作業員は、下側養生幕25を手前に引くことで、複数の下側吸着部23の各々を収納箱7の前面から取り外す。作業員は、下側養生幕25を巻取り装置26によって巻き取る。収納箱7の意匠面12は、前方に露出する。作業員は、上側養生板15を手前に引くことで、複数の吸着部21の各々を側壁3から取り外す。養生体14は、一対のガイド部20にガイドされながら下方に平行移動させられる。作業員は、養生体14を、収納箱7の上端から下方にそのまま収納する。作業員は、蓋9を閉める。養生体14は、意匠面12より後方で収納箱7に収納される。
以上に説明したように、実施の形態3に係るエレベーターのかご側壁養生装置6の養生体14は、下側養生幕25と、巻取り装置26と、を備える。下側養生幕25は、下側養生面18を有する。巻取り装置26は、下側養生幕25を巻き取る。
巻取り装置26は、下側養生幕25をコンパクトに巻き取る。このため、かご側壁養生装置6がコンパクトになる。これにより、かご側壁養生装置6が利用者の邪魔になりにくい。
なお、巻取り装置26は、収納口19の前側に設けられてもよい。
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態1から実施の形態3で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態4で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態3で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図16および図17を用いて実施の形態4に係るかご側壁養生装置の構成を説明する。
図16は、実施の形態4に係るかご側壁養生装置の上面図である。図17は、実施の形態4に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。
図16において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が開いている状態が示される。
複数のかご側壁養生装置6の各々は、養生体14を備える。
養生体14は、上側養生板15と、下側養生板16と、を備える。上側養生板15は、一枚の板状の部材である。上側養生板15は、例えば矩形の部材である。上側養生板15は、上側養生面17を有する。上側養生面17は、養生面である。上側養生板15は、養生材である。下側養生板16は、一枚の板状の部材である。下側養生板16は、例えば矩形の部材である。下側養生板16は、下側養生面18を有する。下側養生面18は、養生面である。下側養生板16は、養生材である。下側養生板16は、意匠面12を有する。意匠面12は、下側養生面18の裏側の面に設けられる。
収納箱7は、前面に切抜き溝13を有する。収納状態において、収納箱7の前面の切抜き溝13を通じて、下側養生板16の意匠面12が収納箱7の前面に配置される。
収納箱7は、上端に収納口19を有する。収納箱7は、一対のガイド部20を備える。一対のガイド部20の各々は、上下方向に延びる部材である。一対のガイド部20の各々の断面は、例えばコの字状の形状である。一対のガイド部20の各々は、互いに対向するように収納箱7の左右の各々の端部に設けられる。一対のガイド部20の各々は、上側養生板15の左右の各々の端部を囲う。一対のガイド部20の各々は、下側養生板16の左右の各々の端部を囲う。
図17において、収納状態における1つのかご側壁養生装置6について、収納箱7の蓋9が閉じている状態が示される。
収納状態において、下側養生板16の養生面は収納箱7の前面に配置される。下側養生板16は、下側養生面18を後方に向けて収納される。上側養生板15は、下側養生板16より後方に配置される。上側養生板15は、上側養生面17を前面に向けて収納される。
続いて、図18を用いて実施の形態4に係るかご側壁養生装置による養生材の着脱を説明する。
図18は、実施の形態4に係るかご側壁養生装置のA-A断面図である。
図18において、使用状態における1つのかご側壁養生装置6が示される。
作業員は、運搬作業を開始する前に、複数のかご側壁養生装置6の各々を使用状態に切り替える。作業員は、収納状態から使用状態に切り替えるときに、蓋9を開く。作業員は、上側養生板15を、収納箱7の上端から上方にそのまま引き出す。上側養生板15は、一対のガイド部20にガイドされながら上方に平行移動させられる。作業員は、複数の吸着部21の各々を側壁3の上部に吸着させる。複数の吸着部21は、上側養生板15を保持する。上側養生板15は、収納箱7より上方の側壁3の前方に配置される。上側養生板15は、上側養生面17を前方に向けて配置される。
作業員は、下側養生板16を収納箱7の上端から上方に引き出す。作業員は、下側養生板16の前後を入れ替えて収納箱7の上端から下方に挿入する。下側養生板16は、下側養生面18を前方に向けて配置される。下側養生面18は、意匠面12の前方に配置される。
作業員は、運搬作業が終了したとき、あるいは運搬作業を一時的に中断するときに、複数のかご側壁養生装置6の各々を収納状態に切り替える。作業員は、下側養生板16の前後を入れ替える。意匠板11は、意匠面12を前方に向けて配置される。作業員は、上側養生板15を手前に引くことで、複数の吸着部21の各々を側壁3から取り外す。上側養生板15は、一対のガイド部20にガイドされながら下方に平行移動させられる。作業員は、上側養生板15を、収納箱7の上端から下方にそのまま収納する。作業員は、蓋9を閉める。養生体14は、上側養生面17および下側養生面18が意匠面12より後方となるように収納箱7に収納される。
以上に説明したように、実施の形態4に係るエレベーターのかご側壁養生装置6は、収納箱7と、養生体14と、を備える。収納箱7は、エレベーターのかご1の内側の側壁3に沿って側壁3の前方に設けられる。養生体14は、吸着部21を備える。養生体14は、意匠面12、上側養生面17および下側養生面18を有する。収納状態において、養生体14の意匠面12は、収納箱7の前面に配置される。収納状態において、養生体14は収納箱7に収納される。収納状態から使用状態への切替えにおいて、養生体14の上側養生面17が収納箱7から上方に平行移動させられる。使用状態において、吸着部21は、側壁3に吸着することで上側養生面17を収納箱7より上方の側壁3の前方に保持する。使用状態において、養生体14の下側養生面18が意匠面12の前方に配置される。
収納箱7は、かご1の内側に直接設けられる。これにより、既設のエレベーターのかご1に容易に適用できる。収納状態において、意匠面12は、かご側壁養生装置6の前面をなす。養生体14は、収納状態において上側養生面17および下側養生面18が意匠面12より後方となるように収納箱7に収納される。このため、収納状態において養生体14は隠蔽される。これにより、収納状態においてかご1の内側の意匠性が損なわれない。下側養生面18は、使用状態において意匠面12より前方に配置される。上側養生面17は、収納箱7より上方の側壁3の前方に配置される。これにより、側壁3および意匠面12が保護される。収納状態から使用状態への切替えは、上側養生面17を有する上側養生板15を収納箱7からそのまま上方に引き上げることで行われる。上側養生板15は、吸着部21により側壁3に保持される。このため、かご側壁養生装置6の収納状態から使用状態への切り替えが容易にできる。これにより、かご側壁養生装置6は、養生材の着脱を容易に切り替えられ、かつ、既設のエレベーターのかご1に容易に適用できる。
また、養生体14は、下側養生板16を備える。下側養生板16は、一方の面に下側養生面18を有する。下側養生板16は、他方の面に意匠面12を有する。
養生体14は、意匠面12を有する意匠板11を下側養生板16の他に必要としない。このため、収納箱7の厚さが薄くなる。これにより、かご側壁養生装置6が利用者の邪魔になりにくい。