JP7098999B2 - リチウムイオン二次電池用負極バインダー、およびこれを用いたリチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構成断面図を図1に示す。リチウムイオン二次電池100は、リチウムイオン二次電池用負極10およびリチウムイオン二次電池用正極20と、リチウムイオン二次電池用負極とリチウムイオン二次電池用正極との間に介在されたセパレータ18と電解質から構成され、前記セパレータ18は正極と負極とが物理的に接触することを防止し、正極、負極およびセパレータには電解質が含浸されている。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極10は、負極集電体の少なくとも一方の主面に負極合剤層14が設けられ、前記負極合剤層14は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能な負極活物質を含む。
本実施形態に係る負極活物質は、例えば、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出するケイ素(Si)、スズ、ゲルマニウム、鉄またはこれらの化合物や合金が好ましく、特に高容量であるケイ素が好ましい。高容量、つまり体積膨張が顕著な負極活物質の方が、本発明の効果が好適に発揮されるためである。
本実施形態に係る負極合剤層14は、導電性の向上を目的として導電助剤を含んでいてもよい。本実施形態に用いられる導電助剤は特に制限されず、周知の材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)、などの炭素繊維、さらに、グラフェン、黒鉛などの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本実施形態に係る負極合剤層14は、負極活物質と負極導電助剤と負極集電体12との結着性の向上を目的として負極バインダーを含んでいてもよい。本実施形態に用いられる負極バインダーは、硫黄とフッ素を含む官能基で修飾されたカルボキシ基を有するポリアクリル酸であることを特徴とする。
脱水触媒として用いられるカルボジイミドは、例えばN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、ジ-t-ブチルカルボジイミドなどが挙げられる。
負極合剤層は、5~30重量%の負極バインダー(リチウムイオン二次電池用バインダー)を含む。特に負極バインダーの含有量は、10~25重量%であることが好ましい。
負極バインダーの含有量が30重量%超であると、負極合剤層内での負極活物質の含有量が不足し、十分な容量を有するリチウムイオン二次電池が得られない。負極バインダーの含有量が5%未満であると、負極バインダーが不足するため、負極活物質間での結着性および負極活物質と負極種雲電体との結着性が十分に得られない。さらに充放電に伴う負極活物質の体積膨張を十分に抑制できない。
本実施形態に係る負極集電体12は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に負極合剤層14が配置される。前記負極集電体12を構成する材料は特に限定するものではないが、負極10に用いられる負極集電体12としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔やクラッド箔を用いることができる。特に銅、銅合金、ステンレス鋼が好ましく、コストの面からは電解銅箔および圧延銅箔を好適に用いることができる。強度の面からは、ステンレス鋼や銅合金の圧延箔が好適に用いることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極20は、正極集電体22の少なくとも一方の主面に正極合剤層24が設けられ、前記正極合剤層24は、少なくともリチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含んでいる。
本実施形態に係る正極活物質は、例えば、リチウム金属酸化物、リチウム金属硫化物、あるいはリチウムを含む層間化合物等のリチウム含有化合物が好適であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式LixMO2で表されるリチウム複合酸化物、あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、Co、Ni、Mn、Fe、Al、V、Tiのうちの少なくとも1種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。また、他にもスピネル型結晶構造を有するマンガンスピネル(LiMn2O4;LMO)や、オリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4;LFP)なども、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
本実施形態に係る正極合剤層24は、導電性の向上を目的として導電助剤を添加してもよい。本実施形態に用いられる導電助剤は特に制限されず、負極合剤層で使用される導電助剤と同様の周知の材料を用いることができる。
本実施形態に係る正極合剤層24は、正極活物質と正極導電助剤と正極集電体22との結着性の向上を目的としてバインダーを用いてもよい。本実施形態の正極合剤層24に用いられる正極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンビニルアルコール(PVA)、ポリアクリレート、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
本実施形態に係る正極集電体22は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に正極合剤層24が配置される。前記正極集電体22を構成する材料は特に限定するものではないが、正極20に用いられる正極集電体22としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔を用いることができ、特にアルミニウム箔が好ましい。
本実施形態に係るセパレータ18は、負極10と正極20との間に介在され、両極の接触による短絡を防止し、さらに電解質が含浸されていることにより、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ18は、例えば微小な孔を多数有する多孔性膜を備えるものであって、前記のセパレータ18の具体的な材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系多孔膜、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高耐熱多孔膜、前記のポリオレフィン系多孔膜と高耐熱多孔膜との複合膜、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの不織布などが挙げられる。またセパレータ18は、例えばその厚みが4μm以上、50μm以下の範囲であると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、80%以下の範囲であるものが好ましい。
本実施形態に係る電解質は、前記セパレータ18に含浸されており、例えば、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記電解質の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、または、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのはいずれか1種、または2種以上を混合して溶媒として用いることができる。また、前記列挙した溶媒に限定されることはなく、電解質塩を溶解させてリチウムイオン二次電池100としたときにその特性を損なわない範囲であれば、特に制限はされない。
本実施形態に係る電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、電解質中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiN(CF3SO2)2(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(C2F5SO2)2(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)、LiN(CF3SO2)(C3F7SO2)、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiC4BO8(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、例えば、次のようにして製造することができる。
本実施形態に係る負極10の製造方法について、より詳しく以下に説明する。負極活物質と、負極導電助剤と、ポリアクリル酸と、溶媒とを混合分散させてペースト状の負極塗料を作製する。前記溶媒としては、イオン交換水、蒸留水が挙げられる。
本実施形態に係る正極20は、正極活物質と、正極導電助剤と、正極バインダーと、溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極塗料を作製する。次いで、前記正極塗料を例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する正極合剤層24をアルミニウム箔などの正極集電体22の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させる。なお、正極合剤層24を前記正極集電体22の両面に塗布する場合は、両面とも同じ膜厚であることが望ましい。
負極10と正極20とをセパレータ18を介して積層することで電極積層体30を作製する。前記電極積層体30は、任意の積層数で構成することができる。なお、前記セパレータ18は、負極10と正極20とが直接接触するのを防ぐために、負極および正極よりも大きいサイズのものを好適に用いることができる。
[負極合剤層の剥離試験]
本実施形態に係る負極は、剥離試験によって負極合剤層と負極集電体との接着性について評価することができる。負極試験片を両面テープに貼りつけ、負極試験片をチャック治具で挟み込み、垂直方向へ引っ張ることで試験応力を測定することができる。なお、剥離強度は以下の計算式によって定義され、この剥離強度を負極合剤層と負極集電体との接着性として測定した。
(数1)
剥離強度(mN・mm-1)=試験応力(mN)÷負極試験片の幅(mm)
本実施形態にて作製されるリチウムイオン二次電池は、下記の電池特性について評価することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、以下に示す充放電条件によって充放電サイクルを評価することができる。充放電サイクルの試験条件は、25℃の環境下において、0.5Cレートの定電流で4.3Vの電池電圧になるまで定電流定電圧充電(CC-CV充電)を行い、その後、0.5Cレートの定電流で2.5Vの電池電圧になるまで放電させる(CC放電)。上記の充電と放電を1サイクルとし、これを所定サイクル数まで繰り返した後の放電容量維持率を充放電サイクルとして評価した。なお、本実施形態における充放電サイクルは、以下の計算式によって定義される。
(数2)
所定サイクル後の放電容量維持率(%)=(所定サイクル後の放電容量÷初回サイクル後の放電容量)×100
初回の充放電反応によるリチウムイオン二次電池のセル内で発生するガス発生量は、アルキメデス法により以下の計算式によって算出した。充放電前と充放電後のリチウムイオン二次電池のセルの体積をそれぞれ算出し、充放電前後でのセルの体積の差分をガス発生量とした。
(数3)
ガス発生量(cm3)=充放電前のリチウムイオン二次電池のセルの体積(cm3)-充放電後のリチウムイオン二次電池のセルの体積(cm3)
(数4)
充放電前(後)のリチウムイオン二次電池セルの体積(cm3)=(大気中での充放電前(後)のセル重量(g)-充放電前(後)の水中でのセル重量(g))÷水の密度(g・cm-3)
初回の充放電反応による負極合剤層の脱落について、初回充放電後のリチウムイオン二次電池を解体して負極を取り出し、負極合剤層の脱落形態を目視で確認することができる。ドライルーム内で解体および採取した負極は、例えばジメチルカーボネートで洗浄し、乾燥を経た後、目視で負極合剤層の脱落形態を観察した。
(硫黄とフッ素を含む官能基で修飾したポリアクリル酸フィルムの作製)
固形分濃度15%のポリアクリル酸水溶液を、ドクターブレードで銅箔に塗布し、100℃で乾燥させることで、厚さ20μmのポリアクリル酸シートを作製した。これを直径15mmの円板状に金型で打ち抜き、次いで、150℃の真空乾燥機中で熱処理させた。熱処理後、銅箔からポリアクリル酸を剥離し、単独のポリアクリル酸フィルムを得た。
実施例1に係る負極は、以下の手順にて作製した。負極活物質として酸化ケイ素を80重量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを5重量%と、さらにバインダーとしてポリアクリル酸を15重量%と、粘度調整用の溶媒としてイオン交換水とをハイブリッドミキサーで混合分散させて、ペースト状の負極塗料を作製した。コンマロールコーターを用いて、この負極塗料を圧延銅箔(厚さ10μm)表面に所定の厚みで負極合剤層を塗布した。100℃の乾燥炉内にて負極合剤層中のイオン交換水を乾燥除去させた後、圧延銅箔の裏面側にも同様の手順で負極合剤層を塗布した。そして、前記の負極合剤層が形成された負極をロールプレス機によって、負極合剤層を圧延銅箔の両面に圧着させ、所定の密度を有する負極を作製した。なお、負極合剤層に含まれる負極活物質重量(目付け量)は、正極の充電容量に対して1.1倍となる充電容量比になるように調整した。
実施例1に係る負極は、負極活物質層と負極集電体との接着性を、卓上引張り試験機Ez-TEST(島津製作所社製)を用いて評価した。なお、ロードセルは20N用の冶具を使用した。
正極活物質としてニッケルコバルト酸リチウム(NCA)を96重量%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2重量%と、バインダーとしてPVDFを2重量%と、N-メチル-2-ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極塗料を作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この正極塗料をアルミニウム箔(厚さ20μm)の表面に所定の厚みで正極合剤層を塗布した。100℃の乾燥炉内にて負極合剤層中のN-メチル-2-ピロリドン溶媒を乾燥除去させた後、アルミニウム箔の裏面側にも同様の手順で正極合剤層を塗布した。そして、前記の正極合剤層が形成された正極をロールプレス機によって、正極合剤層をアルミニウム箔の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極を作製した。
実施例1に係るリチウムイオン二次電池は、前記の実施例1に係る負極と、前記正極と、厚さ16μmのポリエチレンセパレータを介して積層し、電極積層体を作製した。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて6層で構成された電極積層体を作製した。なお、前記負極および正極は、両面に合剤層を備えているため、負極4枚と正極3枚とセパレータ6枚とで構成されている。
さらに、前記の電極積層体の負極において、負極合剤層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、電極積層体の正極においては、正極合剤層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波融着機によって取り付けた。
そしてこの電極積層体を、外装体用のアルミニウムのラミネートフィルムに融着させ、前記のラミネートフィルムを折り畳むことで前記の電極体を外装体内に挿入させた。外装体周囲の1辺を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、この開口部より、FEC:DECが3:7の体積割合で配合された溶媒中に、リチウム塩としてLiPF6が1mol・L-1となるように添加された電解液を注入した。そして、前記の外装体の開口部を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例1に係るラミネートタイプのリチウムイオン二次電池を作製した。なお、リチウムイオン二次電池の作製工程は、全てドライルーム内で行った。
実施例2に係るポリアクリル酸フィルムおよび負極は、反応溶液であるトリフルオロメタスルホン酸を、ノナフルオロ-1-ブタンスルホン酸に変更したこと以外は、実施例1と同様の手順にて作製および評価を行った。
実施例3に係るポリアクリル酸フィルムおよび負極は、反応溶液であるトリフルオロメタスルホン酸を、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸に変更したこと以外は、実施例1と同様の手順にて作製および評価を行った。
比較例1に係るポリアクリル酸フィルムおよび負極は、反応溶液であるフッ素化されたアルキル基を含むスルホン酸とカルボジイミドに浸漬させなかったこと以外は、実施例1と同様の手順にて作製および評価を行った。
比較例2に係るポリアクリル酸フィルムおよび負極は、反応溶液であるトリフルオロメタスルホン酸を、トリフルオロエタノールに変更したこと以外は、実施例1と同様の手順にて作製および評価を行った。
実施例4~9に係るポリアクリル酸フィルムおよび負極は、トリフルオロメタスルホン酸とN,N’-ジイソプロピルカルボジイミドの反応溶液への浸漬時間を種々短くしたこと以外は、実施例1と同様の手順にて作製および評価を行った。
実施例10に係る負極は、負極活物質としてケイ素に変更したこと以外は、実施例1と同様の手順にて作製および評価を行った。さらに前記負極を用いて実施例1と同様の手順にてリチウムイオン二次電池を作製し、電池評価を行った。
比較例3に係る負極は、負極活物質としてケイ素に変更したこと以外は、比較例1と同様の手順にて作製および評価を行った。さらに前記負極を用いて実施例1と同様の手順にてリチウムイオン二次電池を作製し、電池評価を行った。
比較例4に係る負極は、負極活物質としてケイ素に変更したこと以外は、比較例2と同様の手順にて作製および評価を行った。さらに前記負極を用いて実施例1と同様の手順にてリチウムイオン二次電池を作製し、電池評価を行った。
実施例11に係る負極は、負極活物質として黒鉛に変更したこと以外は、実施例1と同様の手順にて作製および評価を行った。さらに前記負極を用いて実施例1と同様の手順にてリチウムイオン二次電池を作製し、電池評価を行った。
比較例5に係る負極は、負極活物質として黒鉛に変更したこと以外は、比較例1と同様の手順にて作製および評価を行った。さらに前記負極を用いて実施例1と同様の手順にてリチウムイオン二次電池を作製し、電池評価を行った。
比較例6に係る負極は、負極活物質として黒鉛に変更したこと以外は、比較例2と同様の手順にて作製および評価を行った。さらに前記負極を用いて実施例1と同様の手順にてリチウムイオン二次電池を作製し、電池評価を行った。
実施例1~3および比較例1~2に係る負極の剥離試験の結果を表1に示す。また、前記負極を用いたリチウムイオン二次電池のガス発生量、充放電後の負極合剤層の脱落、および充放電サイクルの結果について表1に示す。
実施例1~3に係る化学式(1)~(3)のポリアクリル酸を負極バインダーに用いた負極では、比較例(4)、(5)の負極よりも剥離強度が優れた。実施例1~3に係るリチウムイオン二次電池は、初回充放電後のガス発生量が比較例1~2よりも抑制され、負極合剤層の脱落も改善された。しいては、充放電サイクルも優れた。本結果より、フルオロメチルスルホニル基、ノナフルオロ-1-ブチルスルホニル基、ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル基の少なくともいずれかが修飾されたポリアクリル酸を用いたリチウムイオン二次電池では、優れた電池特性が発現された。
20・・・負極(同義:リチウムイオン二次電池用負極)、22・・・負極集電体、24・・・負極合剤層、62・・・負極リード、18・・・セパレータ、30・・・電極積層体、50・・・外装体
Claims (7)
- 官能基で修飾されたカルボキシ基を有するポリアクリル酸であって、
前記官能基は、スルホニル基(-SO2-)およびトリフルオロメチル基(-CF3)から構成されており、かつ、ポリアクリル酸の全カルボキシ基に対して1~100モル%修飾している
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極バインダー。 - 前記官能基は、トリフルオロメチルスルホニル基(SO2CF3)を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極バインダー。
- 前記官能基は、スルホニル基(-SO2-)、フルオロアルキル基(-(CF2)n-)およびトリフルオロメチル基(-CF3)から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極バインダー。
- 前記官能基は、少なくともノナフルオロ-1-ブチルスルホニル基(SO2(CF2)3CF3)、ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル基(SO2(CF2)7CF3)のいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用負極バインダー。
- 前記リチウムイオン二次電池用負極バインダーの重量平均分子量(Mw)は、50,000~5,000,000であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極バインダー。
- 負極集電体と前記負極集電体上に負極合剤層を有し、前記負極合剤層は、ケイ素、酸化ケイ素、黒鉛の少なくとも1種の負極活物質と、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極バインダーと、負極導電助剤と、を含むリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項6のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、その間に介在するセパレータ、および、電解質を備えたリチウムイオン二次電池。
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