以下に、本発明に係る端子接続構造、電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る端子接続構造、電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図5に基づいて説明する。
図1から図5の符号1は、本実施形態の端子接続構造を示す。また、図1及び図2の符号JB1と符号WH1は、各々、その端子接続構造1を備えた本実施形態の電気接続箱と、この電気接続箱JB1を備えた本実施形態のワイヤハーネスと、を示す。
端子接続構造1とは、一方の端子金具10と他方の端子金具20とを電気的に接続させるために用意されたものである(図1から図5)。
それぞれの端子金具10,20は、各々、金属等の導電性材料で成形する。例えば、それぞれの端子金具10,20は、各々、金属板を母材にしてプレス成形されている。この端子接続構造1において、それぞれの端子金具10,20は、各々、電線Weに対して物理的且つ電気的に接続されたものであってもよく、電子部品EPが備えるものであってもよい。よって、それぞれの端子金具10,20は、それぞれに異なる電線Weに取り付けられたものであってもよく、それぞれに異なる電子部品EPが備えるものであってもよく、一方が電線Weに取り付けられ且つ他方が電子部品EPの備えるものであってもよい。ここでは、電線Weに取り付けられた一方の端子金具10と、電子部品EPが備える他方の端子金具20と、を例に挙げて説明する(図1)。
一方の端子金具10は、平板状の電気接続体11と、電線Weの端末に対して物理的且つ電気的に接続される電線接続体12と、を有する(図1から図3)。電気接続体11は、平板状に形成されたものであれば、如何様な形状のものであってもよい。この例示では、一方の端子金具10に既存の所謂丸形端子を用いるので、電気接続体11が円板状に形成されている。その電気接続体11には、円形の貫通孔11aが形成されている(図1)。この電気接続体11においては、その貫通孔11aの周囲が円環状の平板部11bになっている。この例示の一方の端子金具10は、電線接続体12を電線Weの端末に圧着固定することによって、この電線接続体12で加締められた電線Weの芯線Weaに対して電気的に接続させる。
他方の端子金具20は、平板状の電気接続体21を有する(図1から図4)。その電気接続体21は、平板状に形成されたものであれば、如何様な形状のものであってもよい。この例示の電気接続体21は、所謂雄タブ状に形成されており、電子部品EPの本体EP0から突出させている(図1)。その電気接続体21には、円形の貫通孔21aが形成されている。この電気接続体21においては、その貫通孔21aの周囲が雄タブ状の平板部21bになっている。
ここで、電子部品EPとは、例えば、リレー、ヒューズ等の回路保護部品、コネクタなどのことを指している。本実施形態では、回路基板、電子制御ユニット(所謂ECU)等の電子機器についても、電子部品EPの一形態として考える。この例示の電子部品EPは、回路保護部品であり、他方の端子金具20と同等の形状の端子金具EP1が設けられている(図1)。その端子金具EP1には、電線We0(図2)が電気的に接続される。
端子接続構造1は、一方の端子金具10を他方の端子金具20に対して電気的に接続させる導電性の電気接続部材30を備える(図1から図5)。その電気接続部材30は、金属等の導電性材料で成形する。この例示の電気接続部材30は、金属板を母材にして板状にプレス成形された所謂バスバと称されるものであり、平板状の主体31を有する。
端子接続構造1は、その電気接続部材30が有する端子接続構造体40又は電気接続部材30に対して電気的に接続される別体の導電性の端子接続構造体40を備える(図1から図5)。つまり、この端子接続構造1においては、端子接続構造体40を電気接続部材30の一部分として設けてもよく、端子接続構造体40を電気接続部材30とは別の部品として設けてもよい。この例示では、端子接続構造体40を電気接続部材30の一部分として設けている。尚、端子接続構造体40を電気接続部材30とは別の部品として設ける場合には、電気接続部材30と端子接続構造体40とを溶接又は連結機構等で直接的に繋いでもよく、電気接続部材30と端子接続構造体40との間に導電性の中継部材を介在させて間接的に繋いでもよい。
この例示では、先に示したように、貫通孔21aが形成された平板状の電気接続体21を他方の端子金具20も有している。そこで、この例示では、端子接続構造体40を一方の端子金具10側と他方の端子金具20側の双方に各々設ける(図1から図5)。従って、この例示の電気接続部材30は、2つの端子接続構造体40(第1端子接続構造体40A、第2端子接続構造体40B)を有しており、第1端子接続構造体40Aで一方の端子金具10を物理的且つ電気的に接続させ、第2端子接続構造体40Bで他方の端子金具20を物理的且つ電気的に接続させる。
ここで、第1端子接続構造体40Aと第2端子接続構造体40Bは、各々同じ形状のものとして形成する。このため、以下においては、それぞれの代表として第1端子接続構造体40Aを詳述し、第2端子接続構造体40Bを簡略な説明に止める。
第1端子接続構造体40Aは、電気接続体11の平板部11bを挟持する挟持構造41と、電気接続体11を挟持構造41による挟持位置まで挿入させる挿入経路42と、その挟持構造41で挟持されている電気接続体11の貫通孔11aに進入して、その貫通孔11aの内周壁面側を係止することができる係止部43と、を有する(図1、図4及び図5)。
この第1端子接続構造体40Aは、その挟持構造41による平板部11bに対する挟持力によって、電気接続体11を保持することができる。また、この第1端子接続構造体40Aは、一対の貫通孔11aと係止部43によって、電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本実施形態の端子接続構造1は、その挟持構造41による平板部11bに対する挟持力と、一対の貫通孔11aと係止部43による電気接続体11の位置ずれ抑止機構と、によって、第1端子接続構造体40Aで電気接続体11を固定することができる。
更に、この第1端子接続構造体40Aにおいては、挟持構造41による挟持位置までの電気接続体11の挿入経路42が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体11を差し入れていくことによって、係止部43を貫通孔11aに進入させることができる。つまり、本実施形態の端子接続構造1は、第1端子接続構造体40Aに対する電気接続体11の簡易な接続作業を行うだけで、その第1端子接続構造体40Aに電気接続体11を固定させることができるので、一方の端子金具10の接続作業性に優れたものとなる。
また、この第1端子接続構造体40Aは、かかる構成を採っているので、平板状の電気接続体に貫通孔が形成された端子金具で、かつ、挿入経路42に沿って挟持位置まで挿入させることが可能な端子金具であるならば、それが専用品としての端子金具であろうが既存の端子金具(一方の端子金具10)であろうが、その端子金具を接続対象として用いることができる。
具体的に、本実施形態の挟持構造41は、電気接続体11の平板部11bにおける一方の平面11b1に対して押圧力を作用させ且つ貫通孔11aを覆う第1押圧部41aと、その平板部11bにおける他方の平面11b2に対して押圧力を作用させる少なくとも1つの第2押圧部41bと、を備える(図1、図3及び図4)。この例示の挟持構造41は、1つの第1押圧部41aと2つの第2押圧部41bとを備えている。
この例示の第1押圧部41aは、一方の平面41a1を平板部11bの一方の平面11b1に対向配置させる矩形の片体であり、その一方の平面41a1から平板部11bの一方の平面11b1に対して押圧力を作用させる(図3及び図4)。この第1押圧部41aは、電気接続部材30の主体31に対して、その主体31の平面に対する直交方向にずらし、かつ、その直交方向と一方の平面41a1に対する直交方向とが同じ向きを向くように配置する。また、この第1押圧部41aは、長手方向が電気接続体11の挿入経路42に沿うように配置する。この第1押圧部41aの長手方向における一辺は、主体31の端部31aに対して、矩形の片体状の連結部41cを介して繋いでいる(図3から図5)。この第1押圧部41aは、その連結部41cと主体31の端部31aとの連結箇所を固定端とし、長手方向における他辺を自由端とする片持ち形状を採っている。この第1押圧部41aは、可撓性を有しており、連結部41c側を支点にして撓ませることができる。
係止部43は、その第1押圧部41aから突出させる。この例示では、その第1押圧部41aの中央部分を一方の平面41a1から半球面状に膨出させており、その膨出部分を係止部43として利用する。
また、この例示の第2押圧部41bは、一方の平面41b1を平板部11bの他方の平面11b2に対向配置させる矩形の片体であり、その一方の平面41b1から平板部11bの他方の平面11b2に対して押圧力を作用させる(図3及び図4)。この第2押圧部41bは、電気接続部材30の主体31と同一の平面上で、その主体31の端部31aから延在させる(図3から図5)。この第2押圧部41bは、その延在方向が長手方向となり、その長手方向が電気接続体11の挿入経路42に沿うように形成する。この第2押圧部41bは、主体31の端部31aに連結される長手方向における一辺を固定端とし、長手方向における他辺を自由端とする片持ち形状を採っている。この第2押圧部41bは、可撓性を有しており、固定端側を支点にして撓ませることができる。それぞれの第2押圧部41bは、貫通孔11aを間に挟んで平板部11bの他方の平面11b2に各々対向配置させる。
この挟持構造41においては、第1押圧部41aと第2押圧部41bのそれぞれの自由端側が電気接続体11の挿入口となる。また、この挟持構造41においては、第1押圧部41aの一方の平面41a1が含まれた仮想平面と第2押圧部41bの一方の平面41b1が含まれた仮想平面との間の距離が、電気接続体11の挿入作業を阻害しない範囲内で平板部11bの板厚よりも狭くなるように、第1押圧部41aと第2押圧部41bとを形成する。
この第1端子接続構造体40Aにおいては、その挿入口から電気接続体11が挿入された際に、平板部11bの一方の平面11b1が第1押圧部41aを押し動かして撓ませると共に、平板部11bの他方の平面11b2が第2押圧部41bを押し動かして撓ませる。この第1端子接続構造体40Aにおいては、電気接続体11が挿入経路42に沿って挟持位置まで挿入された際に、係止部43が電気接続体11の貫通孔11aに進入して、第1押圧部41aと第2押圧部41bのそれぞれの撓み量が減少する。その際、この第1端子接続構造体40Aにおいては、第1押圧部41aと第2押圧部41bとで電気接続体11の平板部11bを挟持すると共に、一対の貫通孔11aと係止部43によって、第1押圧部41aと第2押圧部41bとに対する電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。
第2端子接続構造体40Bは、先に示したように、第1端子接続構造体40Aと同様の形状に形成する。よって、第2端子接続構造体40Bは、電気接続体21の平板部21bを挟持する挟持構造41と、電気接続体21を挟持構造41による挟持位置まで挿入させる挿入経路42と、その挟持構造41で挟持されている電気接続体21の貫通孔21aに進入して、その貫通孔21aの内周壁面側を係止することができる係止部43と、を有する(図4及び図5)。そして、この第2端子接続構造体40Bの挟持構造41は、電気接続体21の平板部21bにおける一方の平面21b1に対して押圧力を作用させ且つ貫通孔21aを覆う第1押圧部41aと、その平板部21bにおける他方の平面21b2に対して押圧力を作用させる2つの第2押圧部41bと、を備える(図1及び図4)。また、この第2端子接続構造体40Bの係止部43は、その第1押圧部41aから膨出部として突出させる。
但し、この第2端子接続構造体40Bにおいては、第1押圧部41a及び第2押圧部41bを第1端子接続構造体40Aの第1押圧部41a及び第2押圧部41bとは逆向きに延在させる。この第2端子接続構造体40Bの第1押圧部41aは、主体31の端部31bに連結部41cを介して繋がれている(図4及び図5)。その端部31bは、主体31において、端部31aとは逆側に対向配置されている。この第2端子接続構造体40Bの第2押圧部41bは、その端部31bから延在させる。
この第2端子接続構造体40Bにおいては、第1押圧部41aと第2押圧部41bのそれぞれの自由端側の挿入口から電気接続体21が挿入された際に、平板部21bの一方の平面21b1が第1押圧部41aを押し動かして撓ませると共に、平板部21bの他方の平面21b2が第2押圧部41bを押し動かして撓ませる。この第2端子接続構造体40Bにおいては、電気接続体21が挿入経路42に沿って挟持位置まで挿入された際に、係止部43が電気接続体21の貫通孔21aに進入して、第1押圧部41aと第2押圧部41bのそれぞれの撓み量が減少する。その際、この第2端子接続構造体40Bにおいては、第1押圧部41aと第2押圧部41bとで電気接続体21の平板部21bを挟持すると共に、一対の貫通孔21aと係止部43によって、第1押圧部41aと第2押圧部41bとに対する電気接続体21の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本実施形態の端子接続構造1は、この第2端子接続構造体40Bにおいても、その挟持構造41による平板部21bに対する挟持力と、一対の貫通孔21aと係止部43による電気接続体21の位置ずれ抑止機構と、によって、電気接続体21を固定することができる。
更に、本実施形態の端子接続構造1においては、この第2端子接続構造体40Bにおいても、挟持構造41による挟持位置までの電気接続体21の挿入経路42が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体21を差し入れていくことによって、係止部43を貫通孔21aに進入させることができる。つまり、本実施形態の端子接続構造1は、第2端子接続構造体40Bに対する電気接続体21の簡易な接続作業を行うだけで、その第2端子接続構造体40Bに電気接続体21を固定させることができるので、他方の端子金具20の接続作業性に優れたものとなる。
以上示したように、本実施形態の端子接続構造1は、それぞれの端子金具10,20の接続作業性に優れており、かつ、既存の端子金具(一方の端子金具10)を適用することもできる。
ここで、この端子接続構造1は、筐体JB1aに収容することによって、電気接続箱JB1の構成要素の1つとなる(図1及び図2)。その電気接続箱JB1は、下記の如く筐体JB1aの内方から外方に引き出された電線We,We0と共に、ワイヤハーネスWH1を構成する。よって、端子接続構造1は、電気接続箱JB1の筐体JB1aに収容することによって、ワイヤハーネスWH1の構成要素の1つともなる。
その筐体JB1aは、一方の端子金具10と他方の端子金具20と電気接続部材30と端子接続構造体40とを収容するものとして、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。例えば、この筐体JB1aにおいては、端子接続構造体40を有する電気接続部材30が内方に収容され且つ固定される。この例示の筐体JB1aには、他方の端子金具20及び端子金具EP1と共に電子部品EPが収容される。
この筐体JB1aにおいては、内方の第1端子接続構造体40Aに対して、電線Weの端末に取り付けられた一方の端子金具10の電気接続体11が挿入され且つ固定される。これにより、この筐体JB1aにおいては、その電線Weが内方から外方に引き出された形となる。また、この筐体JB1aにおいては、電子部品EPを収容した際に、内方の第2端子接続構造体40Bに対して、他方の端子金具20の電気接続体21が挿入され且つ固定される。尚、この筐体JB1aにおいては、端末に端子金具EP1を取り付けた電線We0が内方から外方に引き出されている。
このように、本実施形態の端子接続構造1は、電気接続箱JB1やワイヤハーネスWH1の構成要素の1つとなる。従って、本実施形態の電気接続箱JB1及びワイヤハーネスWH1は、この端子接続構造1が奏する効果を同様に得ることができる。
[変形例1]
図6から図10の符号101は、本変形例の端子接続構造を示す。また、図6及び図7の符号JB2と符号WH2は、各々、その端子接続構造101を備えた本変形例の電気接続箱と、この電気接続箱JB2を備えた本変形例のワイヤハーネスと、を示す。尚、前述した実施形態と同じ符号で付したものは、本変形例の説明においても実施形態と同じ部品や部位等を示すものとする。但し、本変形例の説明では、便宜上、平板部11bのそれぞれの平面11b1,11b2を指し示す位置と、平板部21bのそれぞれの平面21b1,21b2を指し示す位置と、が実施形態とは逆になっている。
本変形例の端子接続構造101は、前述した実施形態の端子接続構造1と同じように、一方の端子金具10と他方の端子金具20とを電気的に接続させるために用意されたものである(図6、図8及び図9)。
この端子接続構造101は、一方の端子金具10を他方の端子金具20に対して電気的に接続させる導電性の電気接続部材130を備える(図6から図10)。その電気接続部材130は、金属等の導電性材料で成形する。この例示の電気接続部材130は、金属板を母材にして板状にプレス成形された所謂バスバと称されるものであり、平板状の主体131を有する。
この端子接続構造101は、実施形態の端子接続構造1の具体例と同じように、電気接続部材130が有する端子接続構造体140を備えている(図6から図10)。そして、本変形例においても、他方の端子金具20は、貫通孔21aが形成された平板状の電気接続体21を有している。従って、本変形例の電気接続部材130は、一方の端子金具10側と他方の端子金具20側の双方に端子接続構造体140(第1端子接続構造体140A、第2端子接続構造体140B)を設けている。この電気接続部材130は、第1端子接続構造体140Aで一方の端子金具10を物理的且つ電気的に接続させ、第2端子接続構造体140Bで他方の端子金具20を物理的且つ電気的に接続させる。
ここで、第1端子接続構造体140Aと第2端子接続構造体140Bは、各々同じ形状のものとして形成する。このため、以下においては、それぞれの代表として第1端子接続構造体140Aを詳述し、第2端子接続構造体140Bを簡略な説明に止める。
第1端子接続構造体140Aは、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、電気接続体11の平板部11bを挟持する挟持構造141と、電気接続体11を挟持構造141による挟持位置まで挿入させる挿入経路142と、その挟持構造141で挟持されている電気接続体11の貫通孔11aに進入して、その貫通孔11aの内周壁面側を係止することができる係止部143と、を有する(図6、図9及び図10)。
この第1端子接続構造体140Aは、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、その挟持構造141による平板部11bに対する挟持力によって、電気接続体11を保持することができる。また、この第1端子接続構造体140Aは、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、一対の貫通孔11aと係止部143によって、電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本変形例の端子接続構造101は、実施形態の端子接続構造1と同じように、その挟持構造141による平板部11bに対する挟持力と、一対の貫通孔11aと係止部143による電気接続体11の位置ずれ抑止機構と、によって、第1端子接続構造体140Aで電気接続体11を固定することができる。
更に、この第1端子接続構造体140Aにおいては、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、挟持構造141による挟持位置までの電気接続体11の挿入経路142が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体11を差し入れていくことによって、係止部143を貫通孔11aに進入させることができる。つまり、本変形例の端子接続構造101は、実施形態の端子接続構造1と同じように、第1端子接続構造体140Aに対する電気接続体11の簡易な接続作業を行うだけで、その第1端子接続構造体140Aに電気接続体11を固定させることができるので、一方の端子金具10の接続作業性に優れたものとなる。
また、この第1端子接続構造体140Aは、かかる構成を採っているので、平板状の電気接続体に貫通孔が形成された端子金具で、かつ、挿入経路142に沿って挟持位置まで挿入させることが可能な端子金具であるならば、それが専用品としての端子金具であろうが既存の端子金具(一方の端子金具10)であろうが、その端子金具を接続対象として用いることができる。
具体的に、本変形例の挟持構造141は、電気接続体11の平板部11bにおける一方の平面11b1に対して押圧力を作用させ且つ貫通孔11aを覆う第1押圧部141aと、その平板部11bにおける他方の平面11b2に対して押圧力を作用させる2つの第2押圧部141bと、を備える(図6から図10)。
この例示の第1押圧部141aは、一方の平面141a1を平板部11bの一方の平面11b1に対向配置させる矩形の片体であり、その一方の平面141a1から平板部11bの一方の平面11b1に対して押圧力を作用させる(図8及び図9)。この第1押圧部141aは、電気接続部材130の主体131と同一の平面上で、その主体131の端部131aから延在させる(図8から図10)。この第1押圧部141aにおいては、その延在方向を電気接続体11の挿入経路42に沿わせる。
また、この例示の第2押圧部141bは、固定端を第1押圧部141aに設けると共に、自由端を平板部11bの他方の平面11b2に対向配置させ、かつ、その自由端における平板部11bの他方の平面11b2に対する対向壁面から平板部11bの他方の平面11b2に対して押圧力を作用させる片持ちの片体である(図8及び図9)。この第2押圧部141bは、その自由端を平板部11bの他方の平面11b2と貫通孔11aとに対向配置させる。また、この第2押圧部141bには、可撓性を持たせる。ここでは、第1押圧部141aの延在方向に対する直交方向の一端を弧状に折り曲げ加工して折り返し、これにより第1押圧部141aに対向配置された弧状の片体から成る半筒体を一方の第2押圧部141bとして利用する。また、ここでは、第1押圧部141aの延在方向に対する直交方向の他端を弧状に折り曲げ加工して折り返し、これにより第1押圧部141aに対向配置された弧状の片体から成る半筒体を他方の第2押圧部141bとして利用する。この例示の第2押圧部141bは、そのような半筒体の筒軸方向が第1押圧部141aの延在方向に沿うように形成している。
係止部143は、それぞれの第2押圧部141bにおける自由端から各々突出させる(図6から図10)。ここでは、その自由端における貫通孔11aに対向配置されている部位から片体状の係止部143を突出させている。この係止部143は、第1押圧部141aの一方の平面141a1に向けて突出させる一方で、その一方の平面141a1に当接させないように突出させる。この例示の係止部143は、その突出方向側の先端部を上底とし、第2押圧部141bの自由端側を下底とする台形状に形成している。よって、この係止部143は、第2押圧部141bの筒軸方向に沿う両端が傾斜面になっている。
この挟持構造141においては、第1押圧部141aの延在方向の端部側と当該延在方向における第2押圧部141bの端部側とが電気接続体11の挿入口になる。また、この挟持構造141においては、第1押圧部141aの一方の平面141a1とそれぞれの第2押圧部141bの自由端における対向壁面との間の距離が、平板部11bの板厚よりも狭くなるように、第1押圧部141aと第2押圧部141bとを形成する。
この第1端子接続構造体140Aにおいては、その挿入口から電気接続体11が挿入され、その電気接続体11が第1押圧部141aの一方の平面141a1に係止されながら係止部143の傾斜面に力を加えることによって、第2押圧部141bが撓みながら押し広げられ、この第2押圧部141bの自由端が第1押圧部141aの一方の平面141a1から離れていく。この第1端子接続構造体140Aにおいては、電気接続体11が挿入経路142に沿って挟持位置まで挿入された際に、係止部143が電気接続体11の貫通孔11aに進入して、第2押圧部141bの撓み量が減少し、第2押圧部141bの自由端における対向壁面が平板部11bの他方の平面11b2に当接して押圧力を作用させる。その際、この第1端子接続構造体140Aにおいては、第1押圧部141aと第2押圧部141bとで電気接続体11の平板部11bを挟持すると共に、一対の貫通孔11aと係止部143によって、第1押圧部141aと第2押圧部141bとに対する電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。
第2端子接続構造体140Bは、先に示したように、第1端子接続構造体140Aと同様の形状に形成する。よって、第2端子接続構造体140Bは、電気接続体21の平板部21bを挟持する挟持構造141と、電気接続体21を挟持構造141による挟持位置まで挿入させる挿入経路142と、その挟持構造141で挟持されている電気接続体21の貫通孔21aに進入して、その貫通孔21aの内周壁面側を係止することができる係止部143と、を有する(図9及び図10)。そして、この第2端子接続構造体140Bの挟持構造141は、電気接続体21の平板部21bにおける一方の平面21b1に対して押圧力を作用させ且つ貫通孔11aを覆う第1押圧部141aと、その平板部21bにおける他方の平面21b2に対して押圧力を作用させる2つの第2押圧部141bと、を備える。
但し、この第2端子接続構造体140Bにおいては、第1押圧部141a及び第2押圧部141bを第1端子接続構造体140Aの第1押圧部141a及び第2押圧部141bとは逆向きに延在させる。この第2端子接続構造体140Bの第1押圧部141aは、主体131の端部131bから延在させる(図8から図10)。その端部131bは、主体131において、端部131aとは逆側に対向配置されている。
この第2端子接続構造体140Bにおいては、挿入口(第1押圧部141aの延在方向の端部側と当該延在方向における第2押圧部141bの端部側)から電気接続体21が挿入され、その電気接続体21が第1押圧部141aの一方の平面141a1に係止されながら係止部143の傾斜面に力を加えることによって、第2押圧部141bが撓みながら押し広げられ、この第2押圧部141bの自由端が第1押圧部141aの一方の平面141a1から離れていく。この第2端子接続構造体140Bにおいては、電気接続体21が挿入経路142に沿って挟持位置まで挿入された際に、係止部143が電気接続体21の貫通孔21aに進入して、第2押圧部141bの撓み量が減少し、第2押圧部141bの自由端における対向壁面が平板部21bの他方の平面21b2に当接して押圧力を作用させる。その際、この第2端子接続構造体140Bにおいては、第1押圧部141aと第2押圧部141bとで電気接続体21の平板部21bを挟持すると共に、一対の貫通孔21aと係止部143によって、第1押圧部141aと第2押圧部141bとに対する電気接続体21の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本変形例の端子接続構造101は、この第2端子接続構造体140Bにおいても、その挟持構造141による平板部21bに対する挟持力と、一対の貫通孔21aと係止部143による電気接続体21の位置ずれ抑止機構と、によって、電気接続体21を固定することができる。
更に、本変形例の端子接続構造101においては、この第2端子接続構造体140Bにおいても、挟持構造141による挟持位置までの電気接続体21の挿入経路142が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体21を差し入れていくことによって、係止部143を貫通孔21aに進入させることができる。つまり、本変形例の端子接続構造101は、第2端子接続構造体140Bに対する電気接続体21の簡易な接続作業を行うだけで、その第2端子接続構造体140Bに電気接続体21を固定させることができるので、他方の端子金具20の接続作業性に優れたものとなる。
以上示したように、本変形例の端子接続構造101は、それぞれの端子金具10,20の接続作業性に優れており、かつ、既存の端子金具(一方の端子金具10)を適用することもできる。
ここで、この端子接続構造101は、筐体JB2aに収容することによって、電気接続箱JB2の構成要素の1つとなる(図6及び図7)。その電気接続箱JB2は、下記の如く筐体JB2aの内方から外方に引き出された電線We,We0と共に、ワイヤハーネスWH2を構成する。よって、端子接続構造101は、電気接続箱JB2の筐体JB2aに収容することによって、ワイヤハーネスWH2の構成要素の1つともなる。
この例示の筐体JB2aは、前述した実施形態の筐体JB1aに対して、基本的に同様の形状のものとして成形されているが、電気接続部材130の収容構造や保持構造を当該電気接続部材130の形状に合わせて変えている。
この筐体JB2aにおいては、内方の第1端子接続構造体140Aに対して、電線Weの端末に取り付けられた一方の端子金具10の電気接続体11が挿入され且つ固定される。これにより、この筐体JB2aにおいては、その電線Weが内方から外方に引き出された形となる。また、この筐体JB2aにおいては、電子部品EPを収容した際に、内方の第2端子接続構造体140Bに対して、他方の端子金具20の電気接続体21が挿入され且つ固定される。尚、この筐体JB2aにおいては、端末に端子金具EP1を取り付けた電線We0が内方から外方に引き出されている。
このように、本変形例の端子接続構造101は、電気接続箱JB2やワイヤハーネスWH2の構成要素の1つとなる。従って、本変形例の電気接続箱JB2及びワイヤハーネスWH2は、この端子接続構造101が奏する効果を同様に得ることができる。
[変形例2]
図11から図15の符号201は、本変形例の端子接続構造を示す。また、図11及び図12の符号JB3と符号WH3は、各々、その端子接続構造201を備えた本変形例の電気接続箱と、この電気接続箱JB3を備えた本変形例のワイヤハーネスと、を示す。尚、前述した実施形態と同じ符号で付したものは、本変形例の説明においても実施形態と同じ部品や部位等を示すものとする。但し、本変形例の説明では、便宜上、平板部11bのそれぞれの平面11b1,11b2を指し示す位置と、平板部21bのそれぞれの平面21b1,21b2を指し示す位置と、が実施形態とは逆になっている。
本変形例の端子接続構造201は、前述した実施形態の端子接続構造1と同じように、一方の端子金具10と他方の端子金具20とを電気的に接続させるために用意されたものである(図11から図15)。
この端子接続構造201は、一方の端子金具10を他方の端子金具20に対して電気的に接続させる導電性の電気接続部材230を備える(図11から図15)。その電気接続部材230は、金属等の導電性材料で成形する。この例示の電気接続部材230は、金属板を母材にして板状にプレス成形された所謂バスバと称されるものであり、平板状の主体231を有する。
この端子接続構造201は、実施形態の端子接続構造1の具体例と同じように、電気接続部材230が有する端子接続構造体240を備えている(図11から図15)。そして、本変形例においても、他方の端子金具20は、貫通孔21aが形成された平板状の電気接続体21を有している。従って、本変形例の電気接続部材230は、一方の端子金具10側と他方の端子金具20側の双方に端子接続構造体240(第1端子接続構造体240A、第2端子接続構造体240B)を設けている。この電気接続部材230は、第1端子接続構造体240Aで一方の端子金具10を物理的且つ電気的に接続させ、第2端子接続構造体240Bで他方の端子金具20を物理的且つ電気的に接続させる。
第1端子接続構造体240Aは、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、電気接続体11の平板部11bを挟持する挟持構造241と、電気接続体11を挟持構造241による挟持位置まで挿入させる挿入経路242と、その挟持構造241で挟持されている電気接続体11の貫通孔11aに進入して、その貫通孔11aの内周壁面側を係止することができる係止部243と、を有する(図14及び図15)。
この第1端子接続構造体240Aは、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、その挟持構造241による平板部11bに対する挟持力によって、電気接続体11を保持することができる。また、この第1端子接続構造体240Aは、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、一対の貫通孔11aと係止部243によって、電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本変形例の端子接続構造201は、実施形態の端子接続構造1と同じように、その挟持構造241による平板部11bに対する挟持力と、一対の貫通孔11aと係止部243による電気接続体11の位置ずれ抑止機構と、によって、第1端子接続構造体240Aで電気接続体11を固定することができる。
更に、この第1端子接続構造体240Aにおいては、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、挟持構造241による挟持位置までの電気接続体11の挿入経路242が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体11を差し入れていくことによって、係止部243を貫通孔11aに進入させることができる。つまり、本変形例の端子接続構造201は、実施形態の端子接続構造1と同じように、第1端子接続構造体240Aに対する電気接続体11の簡易な接続作業を行うだけで、その第1端子接続構造体240Aに電気接続体11を固定させることができるので、一方の端子金具10の接続作業性に優れたものとなる。
また、この第1端子接続構造体240Aは、かかる構成を採っているので、平板状の電気接続体に貫通孔が形成された端子金具で、かつ、挿入経路242に沿って挟持位置まで挿入させることが可能な端子金具であるならば、それが専用品としての端子金具であろうが既存の端子金具(一方の端子金具10)であろうが、その端子金具を接続対象として用いることができる。
具体的に、本変形例の挟持構造241は、電気接続体11の平板部11bにおける一方の平面11b1に対向配置される対向壁体241aを備える(図11から図15)。その対向壁体241aは、一方の平面241a1を平板部11bの一方の平面11b1に対向配置させる矩形の片体であり、電気接続部材230の主体231と同一の平面上で、その主体231の端部231aから延在させる(図13及び図14)。この対向壁体241aにおいては、その延在方向を電気接続体11の挿入経路242に沿わせる。
係止部243は、その対向壁体241aから突出させる。この例示では、その対向壁体241aの中央部分に2つの長孔241cを形成し、それぞれの長孔241cの間の矩形で且つ両持ちの片体を係止部243として利用する(図15)。それぞれの長孔241cは、長手方向を対向壁体241aの延在方向に沿わせ、かつ、短手方向で互いに間隔を空けて形成する。係止部243は、長孔241cの長手方向に沿う矩形の弧状体であり、一方の平面241a1から突出させる。この係止部243には、可撓性を持たせる。
本変形例の挟持構造241は、この係止部243を利用して、平板部11bにおける一方の平面11b1に押圧力を作用させる。この例示の係止部243は、貫通孔11aの直径よりも、固定端の間の直線距離が長くなるように形成する。これにより、挟持位置での係止部243は、貫通孔11aに進入することができると共に、それぞれの固定端側を一方の平面11b1側での貫通孔11aの内周壁面側に対して押圧力を作用させることができる。
更に、本変形例の挟持構造241は、平板部11bにおける他方の平面11b2に対して押圧力を作用させる少なくとも1つの押圧部241bを備える(図11から図15)。その押圧部241bは、一方の平面241b1を平板部11bの他方の平面11b2に対向配置させる矩形の片体であり、その一方の平面241b1から平板部11bの他方の平面11b2に対して押圧力を作用させる(図14)。この例示では、2つの押圧部241bを設けている。例えば、押圧部241bは、対向壁体241aの延在方向に沿って延在させる。そして、それぞれの押圧部241bは、貫通孔11aを間に挟んで平板部11bの他方の平面11b2に各々対向配置させる。ここでは、対向壁体241aの延在方向に対する直交方向の一端を折り曲げ加工して折り返し、これにより対向壁体241aに対向配置された矩形の片体を一方の押圧部241bとして利用する。また、ここでは、対向壁体241aの延在方向に対する直交方向の他端を折り曲げ加工して折り返し、これにより対向壁体241aに対向配置された矩形の片体を他方の押圧部241bとして利用する。
この挟持構造241においては、対向壁体241aと押圧部241bのそれぞれの延在方向の端部側が電気接続体11の挿入口になる。また、この挟持構造241においては、対向壁体241aの一方の平面241a1と押圧部241bの一方の平面241b1との間の距離が、平板部11bの板厚よりも広くなるように、対向壁体241aと押圧部241bとを形成する。一方、この挟持構造241においては、係止部243の頂点とそれぞれの押圧部241bの一方の平面241b1が含まれた仮想平面との間の距離が、電気接続体11の挿入作業を阻害しない範囲内で平板部11bの板厚よりも狭くなるように、係止部243と押圧部241bとを形成する。
この第1端子接続構造体240Aにおいては、その挿入口から電気接続体11が挿入され、電気接続体11が係止部243に到達した際に、平板部11bの他方の平面11b2が押圧部241bの一方の平面241b1で係止されると共に、平板部11bの一方の平面11b1が係止部243を押し動かして撓ませる。この第1端子接続構造体240Aにおいては、電気接続体11が挿入経路242に沿って挟持位置まで挿入された際に、係止部243の撓み量が減少して、この係止部243が電気接続体11の貫通孔11aに進入すると共に、この係止部243のそれぞれの固定端側が一方の平面11b1側での貫通孔11aの内周壁面側に当接して押圧力を作用させる。その際、この第1端子接続構造体240Aにおいては係止部243と押圧部241bとで電気接続体11の平板部11bを挟持すると共に、一対の貫通孔11aと係止部243によって、対向壁体241aと押圧部241bとに対する電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。
ここで、この第1端子接続構造体240Aは、挟持位置まで挿入されてきた電気接続体11を係止する位置決め係止部244を有する(図12及び図15)。その位置決め係止部244は、それぞれの押圧部241bに1つずつ設けている。
第2端子接続構造体240Bは、第1端子接続構造体240Aと同じように、電気接続体21の平板部21bを挟持する挟持構造241と、電気接続体21を挟持構造241による挟持位置まで挿入させる挿入経路242と、その挟持構造241で挟持されている電気接続体21の貫通孔21aに進入して、その貫通孔21aの内周壁面側を係止することができる係止部243と、を有する(図14及び図15)。そして、この第2端子接続構造体240Bの挟持構造241は、第1端子接続構造体240Aの挟持構造241と同じように、電気接続体21の平板部21bにおける一方の平面21b1に対向配置される対向壁体241aと、その対向壁体241aから突出させ且つ貫通孔21aの内周壁面側に押圧力を作用させる係止部243と、平板部21bにおける他方の平面21b2に対して押圧力を作用させる2つの押圧部241bと、を備える。
但し、この第2端子接続構造体240Bの押圧部241bは、固定端を対向壁体241aに設けると共に、自由端を平板部21bの他方の平面21b2に対向配置させ、かつ、その自由端における平板部21bの他方の平面21b2に対する対向壁面(端面241b2)から平板部21bの他方の平面21b2に対して押圧力を作用させる片持ちの片体である(図15)。この押圧部241bは、対向壁体241aの延在方向に沿って延在させる。そして、それぞれの押圧部241bは、貫通孔21aを間に挟んで平板部21bの他方の平面21b2に各々対向配置させる。ここでは、対向壁体241aの延在方向に対する直交方向の一端を折り曲げ加工して折り返し、これにより対向壁体241aに対向配置された半筒体を一方の押圧部241bとして利用する。また、ここでは、対向壁体241aの延在方向に対する直交方向の他端を折り曲げ加工して折り返し、これにより対向壁体241aに対向配置された半筒体を他方の押圧部241bとして利用する。この第2端子接続構造体240Bの押圧部241bは、そのような半筒体の筒軸方向が対向壁体241aの延在方向に沿うように形成している。
この第2端子接続構造体240Bにおいては、対向壁体241a及び押圧部241bを第1端子接続構造体240Aの対向壁体241a及び押圧部241bとは逆向きに延在させる。この第2端子接続構造体240Bの対向壁体241aは、主体231の端部231bから延在させる(図14及び図15)。その端部231bは、主体231において、端部231aとは逆側に対向配置されている。
この第2端子接続構造体240Bの挟持構造241においては、対向壁体241aと押圧部241bのそれぞれの延在方向の端部側が電気接続体21の挿入口になる。また、この挟持構造241においては、対向壁体241aの一方の平面241a1と押圧部241bの端面241b2との間の距離が、平板部21bの板厚よりも広くなるように、対向壁体241aと押圧部241bとを形成する。一方、この挟持構造241においては、係止部243の頂点とそれぞれの押圧部241bの端面241b2が含まれた仮想平面との間の距離が、電気接続体21の挿入作業を阻害しない範囲内で平板部21bの板厚よりも狭くなるように、係止部243と押圧部241bとを形成する。
この第2端子接続構造体240Bにおいては、その挿入口から電気接続体21が挿入され、電気接続体21が係止部243に到達した際に、平板部21bの他方の平面21b2が押圧部241bの端面241b2で係止されると共に、平板部21bの一方の平面21b1が係止部243を押し動かして撓ませる。この第2端子接続構造体240Bにおいては、電気接続体21が挿入経路242に沿って挟持位置まで挿入された際に、係止部243の撓み量が減少して、この係止部243が電気接続体21の貫通孔21aに進入すると共に、この係止部243のそれぞれの固定端側が一方の平面21b1側での貫通孔21aの内周壁面側に当接して押圧力を作用させる。その際、この第2端子接続構造体240Bにおいては係止部243と押圧部241bとで電気接続体21の平板部21bを挟持すると共に、一対の貫通孔21aと係止部243によって、対向壁体241aと押圧部241bとに対する電気接続体21の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本変形例の端子接続構造201は、この第2端子接続構造体240Bにおいても、その挟持構造241による平板部21bに対する挟持力と、一対の貫通孔21aと係止部243による電気接続体21の位置ずれ抑止機構と、によって、電気接続体21を固定することができる。
更に、本変形例の端子接続構造201においては、この第2端子接続構造体240Bにおいても、挟持構造241による挟持位置までの電気接続体21の挿入経路242が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体21を差し入れていくことによって、係止部243を貫通孔21aに進入させることができる。つまり、本変形例の端子接続構造201は、第2端子接続構造体240Bに対する電気接続体21の簡易な接続作業を行うだけで、その第2端子接続構造体240Bに電気接続体21を固定させることができるので、他方の端子金具20の接続作業性に優れたものとなる。
以上示したように、本変形例の端子接続構造201は、それぞれの端子金具10,20の接続作業性に優れており、かつ、既存の端子金具(一方の端子金具10)を適用することもできる。
ここで、この端子接続構造201は、筐体JB3aに収容することによって、電気接続箱JB3の構成要素の1つとなる(図11及び図12)。その電気接続箱JB3は、下記の如く筐体JB3aの内方から外方に引き出された電線We,We0と共に、ワイヤハーネスWH3を構成する。よって、端子接続構造201は、電気接続箱JB3の筐体JB3aに収容することによって、ワイヤハーネスWH3の構成要素の1つともなる。
この例示の筐体JB3aは、前述した実施形態の筐体JB1aに対して、基本的に同様の形状のものとして成形されているが、電気接続部材230の収容構造や保持構造を当該電気接続部材230の形状に合わせて変えている。
この筐体JB3aにおいては、内方の第1端子接続構造体240Aに対して、電線Weの端末に取り付けられた一方の端子金具10の電気接続体11が挿入され且つ固定される。これにより、この筐体JB3aにおいては、その電線Weが内方から外方に引き出された形となる。また、この筐体JB3aにおいては、電子部品EPを収容した際に、内方の第2端子接続構造体240Bに対して、他方の端子金具20の電気接続体21が挿入され且つ固定される。尚、この筐体JB3aにおいては、端末に端子金具EP1を取り付けた電線We0が内方から外方に引き出されている。
このように、本変形例の端子接続構造201は、電気接続箱JB3やワイヤハーネスWH3の構成要素の1つとなる。従って、本変形例の電気接続箱JB3及びワイヤハーネスWH3は、この端子接続構造201が奏する効果を同様に得ることができる。
[変形例3]
図16から図20の符号301は、本変形例の端子接続構造を示す。また、図16の符号JB4と符号WH4は、各々、その端子接続構造301を備えた本変形例の電気接続箱と、この電気接続箱JB4を備えた本変形例のワイヤハーネスと、を示す。尚、前述した実施形態と同じ符号で付したものは、本変形例の説明においても実施形態と同じ部品や部位等を示すものとする。但し、本変形例の説明では、便宜上、平板部11bのそれぞれの平面11b1,11b2を指し示す位置と、平板部21bのそれぞれの平面21b1,21b2を指し示す位置と、が実施形態とは逆になっている。
本変形例の端子接続構造301は、前述した実施形態の端子接続構造1と同じように、一方の端子金具10と他方の端子金具20とを電気的に接続させるために用意されたものである。尚、この例示では、他方の端子金具20の図示を省略している。
この端子接続構造301は、一方の端子金具10を他方の端子金具20に対して電気的に接続させる導電性の電気接続部材330を備える(図16から図18)。その電気接続部材330は、金属等の導電性材料で成形する。この例示の電気接続部材330は、金属板を母材にして板状にプレス成形された所謂バスバと称されるものである。この電気接続部材330は、電気接続体11の平板部11bとの間で、互いの一方の平面331a,11b1同士を重ね合わせて電気的に接続させる平板状の電気接続部331を有している(図16及び図18)。その電気接続部331には、円形の貫通孔332を形成している。
この端子接続構造301は、実施形態の端子接続構造1の具体例とは異なり、電気接続部材330に対して電気的に接続される別体の導電性の端子接続構造体340を備えている(図16から図20)。その端子接続構造体340は、これとは別体の電気接続部材330に対して一方の端子金具10を物理的且つ電気的に接続させるものである。尚、この端子接続構造301は、他方の端子金具20が貫通孔21a付きの平板状の電気接続体21を有している場合、この他方の端子金具20を電気接続部材330に対して物理的且つ電気的に接続させるためのものとして、一方の端子金具10側と同じ端子接続構造体340を備えていてもよい。
本変形例の端子接続構造体340は、電気接続体11の平板部11bを挟持する挟持構造341と、電気接続体11を挟持構造341による挟持位置まで挿入させる挿入経路342と、その挟持構造341で挟持されている電気接続体11の貫通孔11aに進入して、その貫通孔11aの内周壁面側を係止することができる係止部343と、を有する(図18)。
この端子接続構造体340は、その挟持構造341による平板部11bに対する挟持力によって、電気接続体11を保持することができる。また、この端子接続構造体340は、一対の貫通孔11aと係止部343によって、電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本変形例の端子接続構造301は、その挟持構造341による平板部11bに対する挟持力と、一対の貫通孔11aと係止部343による電気接続体11の位置ずれ抑止機構と、によって、端子接続構造体340で電気接続体11を固定することができる。
更に、この端子接続構造体340においては、挟持構造341による挟持位置までの電気接続体11の挿入経路342が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体11を差し入れていくことによって、係止部343を貫通孔11aに進入させることができる。つまり、本変形例の端子接続構造301は、端子接続構造体340に対する電気接続体11の簡易な接続作業を行うだけで、その端子接続構造体340に電気接続体11を固定させることができるので、一方の端子金具10の接続作業性に優れたものとなる。
具体的に、本変形例の挟持構造341は、互いの一方の平面11b1,331a同士を重ね合わせたままで電気接続体11の平板部11bと電気接続部材330の電気接続部331とを挟持するものとして形成する。この挟持構造341は、電気接続体11の平板部11bにおける他方の平面11b2に対して押圧力を作用させ且つ貫通孔11aを覆う第1押圧部341aと、電気接続部331の他方の平面331bに対して押圧力を作用させることによって、この電気接続部331を介して平板部11bの一方の平面11b1に対して押圧力を作用させる第2押圧部341bと、を備える(図16及び図18)。
本変形例の端子接続構造体340は、その挟持構造341の他に、第1押圧部341aから突出させた先の係止部(以下、「第1係止部」という。)343と、挟持構造341で挟持されている電気接続部331の貫通孔332に進入して、この電気接続部331の貫通孔332の内周壁面側を係止することができる第2係止部344と、を有する(図16及び図18)。この例示では、その第1係止部343と第2係止部344とを対向配置させている。
この例示の第1押圧部341aは、弧状に湾曲させた矩形の片体であり、凸側の一方の弧状面341a1を平板部11bの他方の平面11b2に対向配置させ(図17及び図18)、その一方の弧状面341a1から平板部11bの他方の平面11b2に対して押圧力を作用させる(図示略)。この例示では、この第1押圧部341aにおける弧状の頂面の中央部分を一方の弧状面341a1から半球面状に膨出させており、その膨出部分を第1係止部343として利用する。
この例示の第2押圧部341bは、一方の平面341b1を電気接続部331の他方の平面331bに対向配置させる矩形の片体であり、その一方の平面341b1から電気接続部331の他方の平面331bに対して押圧力を作用させる(図18)。この例示では、この第2押圧部341bの中央部分を一方の平面341b1から半球面状に膨出させており、その膨出部分を第2係止部344として利用する。
この挟持構造341においては、第1押圧部341aと第2押圧部341bの一方の端部同士を弧状の連結部341cで繋いでいる(図16から図20)。この挟持構造341においては、第1押圧部341aに可撓性を持たせており、連結部341c側を支点にして撓ませることができる。
本変形例の端子接続構造体340は、更に、第2押圧部341bの一方の平面341b1との間で電気接続部331を挟持するための押圧部345を2箇所に有する(図17、図19及び図20)。その押圧部345は、弧状に湾曲させた片体であり、凸側の一方の弧状面345aを電気接続部331の一方の平面331aに対向配置させ、その一方の弧状面345aから電気接続部331の一方の平面331aに対して押圧力を作用させる。この例示の押圧部345は、第2押圧部341bの一方の端部側に配置している。押圧部345と第2押圧部341bは、一方の端部同士が連結部346で繋がれている。押圧部345は、可撓性を有しており、連結部346側を支点にして撓ませることができる。
この挟持構造341においては、第1押圧部341aと第2押圧部341bの他方の端部側が電気接続体11の挿入口となる。よって、端子接続構造体340においては、第1押圧部341aと第2押圧部341bの他方の端部側から一方の端部側に向かう方向が電気接続体11の挿入経路342になる。また、挟持構造341においては、第2押圧部341bの一方の平面341b1と当該一方の平面341b1に平行で且つ第1押圧部341aの頂面が含まれた仮想平面との間の距離が、電気接続体11の挿入作業を阻害しない範囲内で平板部11bと電気接続部331の板厚の合計値よりも狭くなるように、第1押圧部341aと第2押圧部341bとを形成する。
この端子接続構造体340においては、例えば、電気接続部材330の電気接続部331を挿入口から挿入し、この電気接続部331の貫通孔332に第2係止部344を進入させ、かつ、この電気接続部331を第2押圧部341bと押圧部345とで挟持しておく。
この端子接続構造体340においては、電気接続部331を挟持している状態で挿入口から電気接続体11が挿入された際に、平板部11bの一方の平面11b1が電気接続部331に係止されながら、平板部11bの他方の平面11b2が第1押圧部341aを押し動かして撓ませる。この端子接続構造体340においては、電気接続体11が挿入経路342に沿って挟持位置まで挿入された際に、第1係止部343が電気接続体11の貫通孔11aに進入して、第1押圧部341aの撓み量が減少する。その際、この端子接続構造体340においては、第1押圧部341aと第2押圧部341bとで電気接続体11の平板部11bと電気接続部331とを挟持する。そして、この端子接続構造体340においては、一対の貫通孔11aと第1係止部343によって、第1押圧部341aと第2押圧部341bとに対する電気接続体11の相対的な位置ずれの発生を抑えることができ、かつ、一対の貫通孔332と第2係止部344によって、第1押圧部341aと第2押圧部341bとに対する電気接続部331の相対的な位置ずれの発生を抑えることができる。従って、本変形例の端子接続構造301は、実施形態の端子接続構造1と同じように、その挟持構造341による平板部11bに対する挟持力と、一対の貫通孔11aと第1係止部343による電気接続体11の位置ずれ抑止機構と、によって、端子接続構造体340で電気接続体11を固定することができる。
更に、この端子接続構造体340においては、実施形態の第1端子接続構造体40Aと同じように、挟持構造341による挟持位置までの電気接続体11の挿入経路342が設けられているので、その挟持位置まで電気接続体11を差し入れていくことによって、第1係止部343を貫通孔11aに進入させることができる。つまり、本変形例の端子接続構造301は、実施形態の端子接続構造1と同じように、端子接続構造体340に対する電気接続体11の簡易な接続作業を行うだけで、その端子接続構造体340に電気接続体11を固定させることができるので、一方の端子金具10の接続作業性に優れたものとなる。
また、この端子接続構造体340は、かかる構成を採っているので、平板状の電気接続体に貫通孔が形成された端子金具で、かつ、挿入経路342に沿って挟持位置まで挿入させることが可能な端子金具であるならば、それが専用品としての端子金具であろうが既存の端子金具(一方の端子金具10)であろうが、その端子金具を接続対象として用いることができる。
このように、本変形例の端子接続構造301は、それぞれの端子金具10,20の接続作業性に優れており、かつ、既存の端子金具(一方の端子金具10)を適用することもできる。
ここで、この端子接続構造301は、筐体JB4aに収容することによって、電気接続箱JB4の構成要素の1つとなる(図16及び図18)。その電気接続箱JB4は、下記の如く筐体JB4aの内方から外方に引き出された電線Weと共に、ワイヤハーネスWH4を構成する。よって、端子接続構造301は、電気接続箱JB4の筐体JB4aに収容することによって、ワイヤハーネスWH4の構成要素の1つともなる。
その筐体JB4aは、一方の端子金具10と他方の端子金具20と電気接続部材330と端子接続構造体340とを収容するものとして、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この例示では、一方の端子金具10と電気接続部材330とを端子接続構造体340で予め接続しておく。筐体JB4aにおいては、その接続体を内方に収容し且つ固定する。これにより、この筐体JB4aにおいては、一方の端子金具10に取り付けられている電線Weが内方から外方に引き出された形となる。
このように、本変形例の端子接続構造301は、電気接続箱JB4やワイヤハーネスWH4の構成要素の1つとなる。従って、本変形例の電気接続箱JB4及びワイヤハーネスWH4は、この端子接続構造301が奏する効果を同様に得ることができる。