JP7097024B2 - 草刈機 - Google Patents

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Description

本発明は、歩行型の草刈機に関する。
従来、特許文献1に開示された歩行型の草刈機が知られている。
特許文献1に開示された草刈機は、エンジン(原動機)と、エンジンの動力により回転して草を刈る刈刃と、を備えている。
特開2018-116608号公報
特許文献1に開示されたような草刈機では、刈刃により刈り取られた刈草がエンジンの吸気部からエンジン内部に吸い込まれることを防止するために、エンジンの吸気部を覆う防塵カバーが取り付けられている。しかしながら、吸気部から適正な吸気が行われる状態を維持するためには、防塵カバーに付着した刈草を定期的に除去しなければならず、除去作業が面倒であった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、原動機の吸気部を覆う防塵カバーに付着した刈草を人手に依らずに除去することができ、刈草の除去作業の手間を省くことが可能な草刈機を提供するものである。
本発明の一態様に係る草刈機は、原動機と、前記原動機の動力により回転して草を刈る刈刃と、前記原動機の吸気部を覆う通気性の防塵カバーと、前記防塵カバーの表面に付着する刈草を回転により除去するスクレーパと、前記原動機の動力を前記スクレーパの回転駆動力として前記スクレーパに伝達する動力伝達部と、接地して回転する車輪と、前記原動機の動力を前記車輪に伝達する動力伝達機構と、を備え、前記動力伝達部は、前記動力伝達機構から動力を取り出して前記スクレーパに伝達する
また、前記動力伝達機構は、前記原動機からの動力が入力される入力軸と、前記入力軸の回転駆動力を前記車輪に伝達する伝達部材と、を有し、前記動力伝達部は、前記入力軸と前記スクレーパの回転軸とを連結する連結部材を含む。
また、前記連結部材は、撓み変形可能且つ回転駆動力を伝達可能なフレキシブルシャフトから構成されている。
上記草刈機によれば、刈刃を回転させる原動機の動力を利用してスクレーパを回転させることにより、原動機の吸気部を覆う防塵カバーに付着した刈草を除去することができる。そのため、防塵カバーに付着した刈草を人手に依らずに除去することができ、刈草の除去作業の手間を省くことが可能である。
草刈機の平面図である。 草刈機の右側面図である。 作業系伝達機構の構造等を示す正面断面図である。 第1草刈部の構造を示す正面断面図である。 第1支持体、第1刈刃、第1草巻付き防止体等を示す平面図である。 刈刃(第1刈刃、第2刈刃)の平面図である。 刈刃(第1刈刃、第2刈刃)の右側面図である。 第2草刈部の構造を示す正面断面図である。 第2支持体、第2刈刃、第2草巻付き防止体等を示す平面図である。 第2刈刃が内側に向けて揺動した位置にある状態を示す平面図である。 第1草刈部及び第2草刈部を示す平面図である。 駆動機構の構成を示す図である。 刈刃クラッチ機構及びブレーキ機構の動作を説明する図であって、刈刃クラッチON状態、ブレーキOFF状態を表している。 刈刃クラッチ機構及びブレーキ機構の動作を説明する図であって、刈刃クラッチOFF状態、ブレーキON状態を表している。 揺動部材及び摩擦部材の右側面図である。 図14AのV1-V1線断面図である。 図14AのV2方向から見た図である。 図14AのV3方向から見た図である。 揺動部材、摩擦部材、テンションプーリの動きを説明する図である。 防塵カバー、スクレーパ、動力伝達部等を示す平面図である。 防塵カバー、スクレーパ、動力伝達部等を示す左側面図である。 防塵カバー、スクレーパ等の部分断面平面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2は、本発明の一実施形態に係る草刈機1の全体構成を示す図である。
先ず、図1、図2を参照して、草刈機1の全体構成の概要を説明する。
草刈機1は、機体2、草刈部3、車輪4、操縦ハンドル5、駆動機構6を備えている。
以下、説明の便宜上、操縦ハンドル5を把持した状態の作業者の前側(図1、図2の矢印A方向)を前方、作業者の後側(図1、図2の矢印B方向)を後方、作業者の右側(図1の矢印C方向)を右方、作業者の左側(図1の矢印D方向)を左方として説明する。また、前後方向X(図1、図2参照)に直交する方向である水平方向を機体幅方向Y(図1参照)として説明する。
<草刈機の全体構成>
先ず、草刈機1の全体構成について説明する。
図1、図2に示すように、機体2は、ハウジング7、ヒンジ8を有している。ハウジング7は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとを含む。第1ハウジング7Aは、機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。第2ハウジング7Bは、機体幅方向の他方側(左側)に配置されている。ヒンジ8は、前後方向Xに延びており、機体幅方向に並んだ第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとを接続している。第2ハウジング7Bは、第1ハウジング7Aに対して、ヒンジ8の中心軸心(ヒンジ軸心)C1回りに揺動可能である。
草刈部3は、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bとを含んでいる。第1草刈部3Aは、機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。第2草刈部3Bは、機体幅方向の他方側(左側)に配置されている。図3に示すように、第1草刈部3Aは第1刈刃33を有しており、第2草刈部3Bは第2刈刃38を有している。第1刈刃33及び第2刈刃38は、縦軸(上下方向の軸)回りに回転する。第1草刈部3Aの上方は、第1ハウジング7Aによりカバーされている。第2草刈部3Bの上方は、第2ハウジング7Bによりカバーされている。
車輪4は、前輪4Fと後輪4Rとを含んでいる。前輪4Fは、第1前輪4F1と第2前輪4F2とを含んでいる。第1前輪4F1は、第1草刈部3Aの前方に配置されている。第2前輪4F2は、第2草刈部3Bの前方に配置されている。後輪4Rは、第1草刈部3Aの後方に配置されている。第1前輪4F1及び後輪4Rは、草刈機1を走行させるための駆動輪である。第2前輪4F2は、従動輪(ゲージ輪)である。
操縦ハンドル5は、作業者が草刈機1を操作するときに把持するためのハンドルである。操縦ハンドル5は、ハウジング7の後部から後上方に向けて延びている。操縦ハンドル5は、ハンドル基部5A、左ハンドル5L及び右ハンドル5Rを有している。ハンドル基部5Aは、第1ハウジング7Aの下方に支持されている。左ハンドル5L及び右ハンドル5Rは、ハンドル基部5Aに接続されている。左ハンドル5Lと右ハンドル5Rとは、後端部にそれぞれ作業者が把持する把持部5La,5Raを有している。
駆動機構6は、車輪(前輪4F1、後輪4R)及び草刈部3を駆動するための機構である。駆動機構6は、駆動源としての原動機10と、原動機10から出力される回転動力を車輪(前輪4F1、後輪4R)及び草刈部3に伝達する動力伝達機構13と、を有している。車輪(前輪4F1、後輪4R)は、接地した状態で原動機10の動力により回転して草刈機1を走行させる。草刈部3の刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)は、原動機10の動力により回転して草を刈る。
以下、草刈機1の主要部の具体的構成について説明する。
<ハウジング等>
先ず、機体2の構成要素であるハウジング7(第1ハウジング7A、第2ハウジング7B)及びヒンジ8について説明する。
図1に示すように、第1ハウジング7Aは、第1ハウジング本体71、第1前カバー72を有している。第1ハウジング本体71は、第1草刈部3Aの上方に配置されており、第1草刈部3Aの上方を覆っている。第1前カバー72は、第1ハウジング本体71の左前部と右前部にそれぞれ取り付けられて下方に延びている。第1前カバー72は、ゴム等の可撓性素材から構成されている。
図1に示すように、第2ハウジング7Bは、第2ハウジング本体73、第2前カバー74、第1後カバー75、第2後カバー76を有している。第2ハウジング本体73は、第2草刈部3Bの上方に配置されており、第2草刈部3Bの上方を覆っている。第2前カバー74は、第2ハウジング本体73の前部に取り付けられて前下方に延びている。第1後カバー75は、第2ハウジング本体73の後部に取り付けられて後下方に延びている。第2前カバー74及び第1後カバー75は、ゴム等の可撓性素材から構成されている。
第2後カバー76は、第1後カバー75の右方に配置されている。第2後カバー76は、第1板材76aと第2板材76bとから構成されている。第1板材76aは、金属等の剛性素材から構成されている。第1板材76aは、操縦ハンドル5のハンドル基部5Aから延びる支持板77に対してボルト等によって着脱可能に取り付けられている。支持板77は、ハンドル基部5Aの左前部に固定され、ヒンジ8の後部の上方を覆っている。第1板材76aは、支持板77の後部から後下方に延びている。第2板材76bは、ゴム等の可撓性素材から構成されている。第2板材76bは、第1板材76aの後部に対してボルト等によって着脱可能に取り付けられている。第2板材76bは、第1板材76aの後部から後下方に延びている。第2後カバー76は、第2ハウジング7Bの後部(草刈部3の後方)に設けられた切欠き部を覆っている。
図1に示すように、第2ハウジング7Bは、ガード部材78を有している。ガード部材78は、第2ハウジング本体73に取り付けられている。ガード部材78は、金属等の剛性材からなる棒状体を折り曲げて形成されている。ガード部材78は、第2ハウジング本体73の前方に配置された前延部78aを有している。前延部78aは、第2ハウジング本体73の前部との間に間隔をあけて配置されている。前延部78aの右端部は、第2ハウジング本体73の前部に沿って機体幅方向に延設され、第1ハウジング本体71の前方まで延びている。
図1、図3に示すように、ヒンジ8は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとの間において前後方向に延びている。ヒンジ8は、第1ハウジング本体71の左端部と第2ハウジング本体73の右端部とを接続している。これにより、機体2の第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとがヒンジ8を介して接続されている。
機体2は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとがヒンジ8を介して接続されていることによって、第2ハウジング7Bを第1ハウジング7Aに対してヒンジ軸心C1回りに揺動させることができる(図3の矢印M参照)。これにより、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を変更(調節)することができる。第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を変更することにより、第1草刈部3Aに対する第2草刈部3Bの角度を変更することができる。そのため、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bによって、隣接する水平面と傾斜面の草刈作業を同時に行うことができる。
<草刈部>
次に、草刈部3を構成する第1草刈部3Aと第2草刈部3Bについて説明する。
先ず、第1草刈部3Aについて説明する。
図3、図4に示すように、第1草刈部3Aは、第1回転軸31と、第1支持体32と、第1刈刃33と、第1草巻付き防止体34と、を有している。
図4に示すように、第1回転軸31は、上下方向に延びる軸(第1縦軸51A)回りに回転する軸である。第1縦軸51Aは、第1回転軸31の中心軸と一致する。第1回転軸31の下部には、円筒状のボス35が取り付けられている。第1支持体32は、ボス35の下方において第1回転軸31の下部に取り付けられている。第1支持体32は、平板状の部材であって、中心部が第1回転軸31に取り付けられている。第1支持体32は、第1回転軸31の径外方向(第1縦軸51Aから離れる方向)の一方と他方にそれぞれ延設されている。
図4、図5に示すように、第1支持体32は、中心穴32a、先端穴32b、中間穴32cを有している。中心穴32aは、第1支持体32の中心に設けられている。先端穴32bは、第1支持体32の一端側と他端側にそれぞれ設けられている。中間穴32cは、中心穴32aと先端穴32bとの間に設けられている。第1支持体32の中間穴32cは、後述する筒状体(第1草巻付き防止体34)に固定される固定部である。
図5に示すように、第1支持体32は、中心穴32a、先端穴32b、中間穴32cの各中心を通る仮想線L1を挟んで対称形状である。第1支持体32は、基部32dと先細り部32eとを有している。基部32dは、平面視にて長方形状であり、中心に中心穴32aが設けられている。先細り部32eは、基部32dから第1回転軸31の径外方向の一方側(矢印P1方向)と他方側(矢印P2方向)にそれぞれ延びている。先細り部32eは、第1回転軸31の径外方向に延びるにつれて幅が狭くなっている。先細り部32eの先端側32fは、円弧状に湾曲している。
第1回転軸31の下端部には雄ねじが形成されている。第1回転軸31の雄ねじは第1支持体32の中心穴32aを貫通しており、この貫通した部分にナットN1が螺合されている(図4参照)。これにより、第1支持体32は、ナットN1とボス35との間に挟まれて固定され、第1回転軸31と共に第1縦軸51A回りに回転する。
図3~図5に示すように、第1支持体32には第1刈刃33が取り付けられている。第1刈刃33は、一方刈刃33Aと他方刈刃33Bとを含んでいる。一方刈刃33Aは、第1支持体32の第1回転軸31の径外方向の一方側に取り付けられている。他方刈刃33Bは、第1支持体32の第1回転軸31の径外方向の他方側に取り付けられている。図4に示すように、第1刈刃33は、第1支持体32の上面側に配置された第1上刃33Uと、第1支持体32の下面側に配置された第1下刃33Dとを有している。別の言い方をすれば、第1刈刃33を構成する一方刈刃33Aと他方刈刃33Bが、それぞれ第1上刃33Uと第1下刃33Dとを有している。つまり、第1刈刃33は、2つの第1上刃33Uと2つの第1下刃33Dとから構成されている。第1上刃33Uと第1下刃33Dは、同形状であり、第1支持体32を挟んで上下対称に配置されている。
図4~図6(図6A、図6B)に示すように、第1刈刃33(一方刈刃33Aと他方刈刃33B)は、取付部331と突出部332と中間部333とを有している。
取付部331は、第1刈刃33の基端側に設けられており、第1支持体32に対して上下方向に延びる軸(第2縦軸52A)回りに揺動可能に取り付けられている。取付部331には、枢支部材11が挿通される穴331bが設けられている。取付部331は、枢支部材11によって第1支持体32に対して枢支されており、第1支持体32に対して枢支部材11の中心軸(第2縦軸52A)回りに揺動可能である(図5の矢印E1参照)。取付部331は、突出部332と反対側の端部331aが円弧状に湾曲している。
突出部332は、第1刈刃33の先端側に設けられており、第1支持体32の回転時に遠心力によって第1支持体32から第1回転軸31の径外方向に突出する。図6Aに示すように、突出部332は、第1刃先部332a及び第2刃先部332bを有している。第1刃先部332a及び第2刃先部332bは、断面が鋭角状に形成されている。第1刃先部332aは、突出部332の幅方向の一方縁に設けられている。第2刃先部332bは、突出部332の幅方向の一方縁に設けられている。
図6Aに示すように、突出部332は、第1刈刃33の幅方向の中心線CL1を挟んで対称形に形成されている。突出部332は、第1刃先部332aと第2刃先部332bとの間の距離(中心線CL1に直交する方向の距離)D1が、取付部331から離れるにつれて(第2縦軸52Aから離れるにつれて)拡がっている。通常、刈刃の摩耗は先端付近から進行する.例えば、図6Aにおいて、第1刈刃33が矢印Q方向に回転して草を刈る場合、第1刈刃33は仮想線Z1に示すように摩耗する。ここで、第1刃先部332aと第2刃先部332bとの間の距離D1が取付部331から離れるにつれて拡がっていることにより、摩耗が進行しても先細り形状となりにくい。また、摩耗が進行した場合でも、角(エッジ)が立ちやすい。そのため、切れ味の低下が生じにくく、長期間にわたって優れた切れ味を維持することができる。
また、図6Aに示すように、突出部332の先端332dは、第2縦軸52Aを中心とする円弧状に形成されている。図6Aの矢印Rは、第2縦軸52Aを中心とする円弧の曲率半径を示している。先端332dが第2縦軸52Aを中心とする円弧状に形成されていることにより、刈刃の摩耗が進行しても刈刃の取付中心(第2縦軸52A)から先端までの距離が常に一定となる。そのため、摩耗が進行しても刃先部(第1刃先部332a又は第2刃先部332b)の長さが短くなりにくい。これにより、切れ味の低下が生じにくく、長期間にわたって優れた切れ味を維持することができる。
また、第1支持体32の先細り部32eは、草等から力を受けた場合に当該力を逃がすために適した形状を有している。第1刈刃33と第1支持体32との隙間に小石等の異物が挟まることによって第1刈刃33が第1回転軸31に接近する内方向に揺動した状態でロック(停止)した場合、第1支持体32の先端側が草等に当たるが、第1支持体32に先細り部32eが設けられ且つ先細り部32eの先端側32fが円弧状に湾曲していることにより、草等から受ける力を先細り部32eに沿って逃がすことができる。これにより、第1支持体32に過度な負荷が加わることを防止することができる。
図6A,図6Bに示すように、突出部332は、第1刈刃33に所定量以上の摩耗が生じたことを目視にて確認可能とする指標部332cを有している。指標部332cは、第1刃先部332aと第2刃先部332bとの間に設けられている。具体的には、指標部332cは、第1刈刃33の幅方向の中心線CL1上であって、突出部332の先端寄りの位置に設けられている。作業者は、第1刈刃33の摩耗が進行したときに、第1刈刃33の外縁が指標部332cに達したことを目視にて確認することにより、第1刈刃33の交換が必要であることを把握することができる。本実施形態の場合、指標部332cは、第1刈刃33に所定量以上の摩耗が生じたときに、第1刈刃33の外縁と繋がる円形の穴(貫通穴)である。但し、指標部332cを構成する穴の形状は、円形には限定されず、楕円形、四角形、三角形等の他の形状であってもよい。また、指標部332cは、穴には限定されず、スリットであってもよいし、凹部や凸部であってもよいし、突出部332の表面に表示された図形や目盛等であってもよい。
図5に示すように、第2縦軸52Aと突出部332の先端との距離D2は、第1縦軸51Aと第2縦軸52Aとの距離D3よりも短い。これにより、一方刈刃33Aと他方刈刃33Bとが共に内側(第1回転軸31側)に向けて揺動した場合であっても、一方刈刃33Aの突出部332の先端と、他方刈刃33Bの突出部332の先端とが接触することが回避できる。図5において、一方刈刃33Aの突出部332の先端の回転軌道を仮想円RA1で示し、他方刈刃33Bの突出部332の先端の回転軌道を仮想円RB1で示している。
図6A,図6B等に示すように、中間部333は、取付部331と突出部332とを繋いでいる。取付部331と中間部333との境界には第1屈曲部334が設けられている。中間部333と突出部332との境界には第2屈曲部335が設けられている。図5に示すように、第2縦軸52Aと第1屈曲部334との距離D4は、第2縦軸52Aと第1支持体32の延設方向の端部32g(先細り部32eの先端)との距離D5よりも短い。第2縦軸52Aと第2屈曲部335との距離D6は、固定部(中間穴32c)と第2縦軸52Aとの距離(最短距離)D7よりも短い。
図4、図6Bに示すように、中間部333は、取付部331に対して第1屈曲部334を始端として上斜め方向又は下斜め方向に傾斜している。具体的には、第1上刃33Uの中間部333は、取付部331から離れるにつれて上方に移行するように傾斜している。第1下刃33Dの中間部333は、取付部331から離れるにつれて下方に移行するように傾斜している。突出部332は、第2屈曲部335を始端として取付部331から離れる方向であって且つ取付部331と平行な方向(第1縦軸51A,第2縦軸52Aと直交する方向)に延びている。これにより、図4に示すように、突出部332における上刃33Uと下刃33Dとの間の距離D8は、取付部331からの距離に関わらず一定である。
図4に示すように、枢支部材11は、ボルト11aと袋ナット11bとを有している。ボルト11aのねじ軸は、第1刈刃33(第1上刃33U及び第1下刃33D)の取付部331に設けられた穴331bと、第1支持体32の先端穴32bとを、下方から上方に向けて貫通している。ボルト11aの頭部は、第1下刃33Dの下面に当接している。袋ナット11bは、ボルト11aのねじ軸に螺合されている。袋ナット11bは、第1上刃33Uの上面に当接している。
図4に示すように、第1刈刃33の取付部331の表面から突出部332の表面までの高さH1は、取付部331の表面からボルト11aの表面までの高さH2よりも高い。これにより、第1刈刃33の下刃33Uが第1回転軸31に接近する内方向に揺動したとき、下刃33Uがボルト11aに当たることが防止できる。
図4に示すように、ボス35の下部には、取付板12が固定されている。取付板12は、ボス35の外周部から第1回転軸31の径外方向の一方と他方にそれぞれ延設されている。取付板12は、第1回転軸31の径外方向の一方側と他方側にそれぞれ取付穴12aを有している。各取付穴12aは、第1支持体32及び第1草巻付き防止体34を取り付けるための穴である。
第1草巻付き防止体34は、第1回転軸31に草が巻き付くことを防止するための筒状体である。図4に示すように、第1草巻付き防止体34は、底板34aと筒状部34bとを有している。
底板34aは、円形の板であって、第1草巻付き防止体34の下部に設けられている。底板34aは第1穴34cと第2穴34dとを有している。第1穴34cは、底板34aの中心に設けられている。第2穴34dは、底板34aの中心から離れた同心円上に2つ設けられている。第1穴34cには、第1回転軸31の下端部に形成された雄ねじが挿通され、当該雄ねじにナットN1が螺合される。第2穴34dには、ボルトB1のねじ軸が挿通されている。ボルトB1のねじ軸は、底板34aの第2穴34d、第1支持体32の中間穴(固定部)32c、取付板12の取付穴12aに挿通されている。ボルトB1のねじ軸の先端部は、取付穴12aから突出しており、当該先端部にナットN2が螺合されている。これにより、取付板12に対して、第1支持体32及び第1草巻付き防止体34の底板34aが固定されている。
ここで、取付板12は、ボス35を介して第1回転軸31に取り付けられているため、第1回転軸31と共に回転する。そのため、取付板12に固定された第1支持体32及び第1草巻付き防止体34も第1回転軸31と共に回転する。また、第1支持体32の回転に伴って、第1刈刃33が第1回転軸31を中心として回転する。
筒状部34bは、円錐台状に形成されている。具体的には、筒状部34bは、底板34aに近づくにつれて(下方に向かうにつれて)小径となる円錐台状に形成されている。筒状部34bは、第1回転軸31の周囲を囲うように配置されており、第1回転軸31と第1刈刃33の取付部331との間に位置している。筒状部34bが第1回転軸31の周囲を囲っていることにより、第1回転軸31に草等が巻き付くことが防止される。
第1刈刃33は、第1回転軸31を中心として回転しているとき、遠心力によって第1回転軸31の径外方向(軸心から離れる方向)に延びた延伸位置(図4、図5(実線参照)に示す位置)にある。第1刈刃33は、延伸位置において第1回転軸31を中心として回転しながら草を刈る。しかし、第1刈刃33は、石等の異物に当たると、枢支部材11を支点として第1回転軸31に接近する内方向に揺動する。これにより、第1刈刃33や第1回転軸31に過大な負荷が加わることが防がれる。
筒状部34bは、第1回転軸31の周囲を囲っており、第1刈刃33が第1回転軸31に接近する内方向に揺動したときに、第1刈刃33が接触する位置に配置されている。そのため、図5の矢印E1の矢尻F前方に仮想線で示すように、第1刈刃33(上刃33U)が第1回転軸31に接近する内方向に揺動したときに筒状部34bに接触することで、第1刈刃33が第1回転軸31に接触することを防止できる。
次に、第2草刈部3Bについて説明する。
第2草刈部3Bについては、第1草刈部3Aと異なる点を中心に説明し、第1草刈部3Aと共通する点については説明を省略する。図において、第2草刈部3Bの構成のうち第1草刈部3Aと共通する構成については、第1草刈部3Aに付した符号と同じ符号を付している。
図7に示すように、第2草刈部3Bは、第2回転軸36と、第2支持体37と、第2刈刃38と、第2草巻付き防止体39と、を有している。
第2回転軸36は、上下方向に延びる軸(第1縦軸51B)回りに回転する軸である。第1縦軸51Bは、第2回転軸36の中心軸と一致する。図1に示すように、第2回転軸36は、前後方向において、第1回転軸31よりも後方に配置されている。図10に示すように、第2刈刃38の先端部の回転軌道R2の直径は、機体幅方向において第1刈刃33の先端部の回転軌道R1の直径よりも大きい。また、第2刈刃38の先端部の回転軌道R2は、機体幅方向において第1刈刃33の先端部の回転軌道R1とオーバーラップし、前後方向において回転軌道R1よりも後方にずれた位置にある。
図10に矢印J,Kで示すように、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bとは、互いに反対方向に回転する。より詳しくは、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bは共に、機体内方側(機体幅方向の中心付近)において刈刃(第1刈刃33と第2刈刃38)が後方から前方(又は前方から後方)に向かうように回転する。図3に示すように、第1刈刃33と第2刈刃38は、同じ高さに配置されている。そのため、第1刈刃33と第2刈刃38は、回転軌道R1,R2がオーバーラップしている機体内方側における衝突を回避するために、回転の位相が90°ずれている(図10参照)。
図7、図8に示すように、第2刈刃38は、一方刈刃38Aと他方刈刃38Bとを含んでいる。一方刈刃38Aは、第2支持体37の第2回転軸36の径外方向の一方側に取り付けられている。他方刈刃38Bは、第2支持体37の第2回転軸36の径外方向の他方側に取り付けられている。第2刈刃38は、第2支持体37の上面側に配置された第2上刃38Uと、第2支持体37の下面側に配置された第2下刃38Dとを有している。詳しくは、第2刈刃38を構成する一方刈刃38Aと他方刈刃38Bが、それぞれ第2上刃38Uと第2下刃38Dとを有している。
第2刈刃38の形状は、第1刈刃33の形状と同じである。つまり、第2刈刃38は、図6A,図6Bに示す形状を有している。第2刈刃38(一方刈刃38Aと他方刈刃38B)は、第1刈刃33と同様に、取付部381と突出部382と中間部383とを有している。取付部381は、第2刈刃38の基端側に設けられており、第2支持体37に対して上下方向に延びる軸(第2縦軸52B)回りに揺動可能に取り付けられている(図8の矢印T1,T2参照)。取付部381は、突出部382と反対側の端部381aが円弧状に湾曲している。取付部381には、枢支部材11が挿通される穴381bが設けられている。
突出部382の先端382dは、第2縦軸52Bを中心とする円弧状に形成されている。
図8に示すように、第2縦軸52Bと突出部382の先端との距離D2は、第1縦軸51Bと第2縦軸52Bとの距離D3よりも短い。これにより、一方刈刃38Aと他方刈刃38Bとが共に内側(第2回転軸36側)に向けて揺動した場合であっても、一方刈刃38Aの突出部382の先端と、他方刈刃38Bの突出部382の先端とが接触することが回避できる。図8において、一方刈刃38Aの突出部382の先端の回転軌道を仮想円RA2で示し、他方刈刃38Bの突出部382の先端の回転軌道を仮想円RB2で示している。
図8に示すように、第2支持体37は、中心穴37a、先端穴37b、中間穴37cの各中心を通る仮想線L2を挟んで対称形状である。中心穴37a、先端穴37b、中間穴37cの役割(機能)は、第1支持体32の中心穴32a、先端穴32b、中間穴32cの役割(機能)と同様である。第2支持体37は、第1支持体32に比べて細長く形成されている。
図8に示すように、第2縦軸52Bと第1屈曲部384との距離D4は、第2縦軸52Bと第2支持体37の延設方向の端部37g(先細り部37eの先端)との距離D5よりも短い。第2縦軸52Bと第2屈曲部385との距離D6は、固定部(中間穴37c)と第2縦軸52Bとの距離(最短距離)D7よりも短い。
図6A、図6Bに示すように、突出部382は、断面が鋭角状に形成された第1刃先部382a及び第2刃先部382bを有している。取付部381と中間部383との境界には第1屈曲部384が設けられている。また、突出部382は、第2刈刃38に所定量以上の摩耗が生じたことを目視にて確認可能とする指標部382cを有している。中間部383と突出部382との境界には第2屈曲部385が設けられている。図7に示すように、突出部382における上刃38Uと下刃38Dとの間の距離D8は、取付部338からの距離に関わらず一定である。
図3に示すように、第2支持体37における第2回転軸36の径外方向の一方側の端部と他方側の端部との距離D9は、第1支持体32における第1回転軸31の径外方向の一方側の端部と他方側の端部との距離D10よりも長い。第2支持体37の最大幅W2(図8参照)は、第1支持体32の最大幅W1(図5参照)と同じである。
第2支持体37の基部37dの形状は、第1支持体32の基部32dの形状と同じである。第2支持体37の先細り部37eの形状は、第1支持体32の先細り部32eの形状と異なっている。具体的には、第2支持体37の先細り部37eの長さ(第2回転軸36の径外方向の長さ)は、第1支持体32の先細り部32eの長さ(第1回転軸31の径外方向の長さ)よりも長い。先細り部37eは、第2回転軸36の径外方向に延びるにつれて幅が狭くなっている。先細り部37eの仮想線L2に対する傾きは、先細り部32eの仮想線L1に対する傾きに比べて緩やかである。先細り部37eの先端側37fは、円弧状に湾曲している。
図9に示すように、第2刈刃38が内側(第2回転軸36側)に向けて揺動した位置にあるとき、取付部381の突出部382と反対側の端部の輪郭を構成する円弧AR1と、突出部382の先細り部37eの先端側37fの端部の輪郭を構成する円弧AR2とは、第2縦軸52Bを中心とする同心円上にある。
第2草巻付き防止体39は、第2回転軸36に草が巻き付くことを防止するための部材である。第2草巻付き防止体39の形状は、第1草巻付き防止体34の形状と同一である。第2草巻付き防止体39の筒状部39bは、第2回転軸36の周囲を囲っている。
図8に示す仮想円RA、仮想円RB2から分かるように、第2草刈部3Bにおいては、第2刈刃38は、第2回転軸36に接近する内方向に揺動したときでも、第2回転軸36及び第2草巻付き防止体39に接触しない。
第2支持体37、第2刈刃38、第2草巻付き防止体39の他の構成は、第1支持体32、第1刈刃33、第1草巻付き防止体34の構成と同様であるため説明を省略する。
<駆動機構>
次に、駆動機構6について説明する。
図2、図11に示すように、駆動機構6は、原動機10と動力伝達機構13を備えている。
原動機10は、車輪(前輪4F1、後輪4R)及び草刈部3を駆動するための駆動源となる。原動機10は、エンジン、モータ等から構成される。本実施形態において、原動機10はエンジンであり、詳しくはディーゼルエンジンである。以下、原動機10がエンジン10であるとして説明する。
図1に示すように、エンジン10は、機体2の第1ハウジング7A上に搭載されている。エンジン10は、操縦ハンドル5の前方であって且つ第1草刈部3Aの上方に配置されている。エンジン10の上方には、エンジン10に燃料を供給する燃料タンク14、エンジン10の排気を浄化して外部に排出するマフラ15が配置されている。
図2、図11に示すように、エンジン10は、出力軸10aを有している。出力軸10aは、横向き(水平方向)に延びており、第1ハウジング7Aの右部に取り付けられた伝動ケース16内に突出している。エンジン10の出力軸10aから出力される回転動力は、動力伝動機構13によって車輪(前輪4F1、後輪4R)及び草刈部3(第1草刈部3A、第2草刈部3B)に伝達される。
図11に示すように、動力伝動機構13は、走行系伝達機構13Aと作業系伝達機構13Bとを含んでいる。走行系伝達機構13Aは、出力軸10aから出力される回転駆動力を車輪(前輪4F1、後輪4R)に伝達する機構である。作業系伝達機構13Bは、出力軸10aから出力される回転駆動力を草刈部3(第1草刈部3A、第2草刈部3B)に伝達する機構である。
図2、図11に示すように、出力軸10aの先端には、第1出力プーリ17及び第2出力プーリ18が取り付けられている。出力軸10aから出力される回転駆動力は、第1出力プーリ17から走行系伝達機構13Aを介して車輪(前輪4F1、後輪4R)に伝達され、第2出力プーリ18から作業系伝達機構13Bを介して草刈部3(第1草刈部3A、第2草刈部3B)に伝達される。
先ず、走行系伝達機構13Aについて説明する。
図2、図11に示すように、第1出力プーリ17の回転駆動力は、無端状の第1伝動ベルト19を介して、第1入力軸20に装着された第1入力プーリ21に伝達される。第1入力軸20に伝達された回転駆動力は、変速機構30と、スプロケット及びチェーンを含む伝達機構50とを介して後輪駆動軸22及び中間出力軸23に伝達される。後輪駆動軸22に回転駆動力が伝達されることにより、後輪4Rが回転する。
中間出力軸23に伝達された回転駆動力は、入力スプロケット25と、出力スプロケット26と、無端状の伝動チェーン27を介して第2入力軸24に伝達される。入力スプロケット25は、中間出力軸23に装着されている。出力スプロケット26は、第2入力軸24に装着されている。伝動チェーン27は、入力スプロケット25及び出力スプロケット26に巻き掛けられている。
第2入力軸24に伝達された回転駆動力は、伝達部材40を介して前輪駆動軸28に伝達される。伝達部材40は、第1スプロケット41と、第2スプロケット42と、無端状のチェーン43とを有している。伝達部材40は、チェーンケース29に収容されている。第1スプロケット41は、出力スプロケット26と同一軸心上に配置されており、第2入力軸24に装着されている。第2スプロケット42は、前輪駆動軸28に装着されている。チェーン43は、第1スプロケット41と第2スプロケット42とに巻き掛けられている。前輪駆動軸28に回転駆動力が伝達されることにより、前輪4F1が回転する。
第1入力軸20の同一軸心上には、走行クラッチ機構(図示略)が備えられている。走行クラッチ機構は、エンジン10の動力を前輪4F1及び後輪4Rに伝達する状態と、エンジン10の動力を前輪4F1及び後輪4Rに伝達しない状態とを切り換え可能である。走行クラッチ機構を切り換えることにより、エンジン10の動力が前輪4F1及び後輪4Rに伝達される状態と、エンジン10の動力が前輪4F1及び後輪4Rに伝達されない状態とを切り換えることができる。
次に、作業系伝達機構13Bについて説明する。
図2、図11に示すように、第2出力プーリ18の回転駆動力は、無端状の第2伝動ベルト44を介して伝動駆動軸45に装着された第2入力プーリ46に伝達される。図2、図3に示すように、伝動駆動軸45には円筒状のボス47が装着されている。ボス47は、第2入力プーリ46の左方に配置されており、第2入力プーリ46と同一軸心上に位置している。ボス47は、第2入力プーリ46及び伝動駆動軸45と一体的に回転する回転体である。以下、ボス47を回転体47という場合がある。
図3に示すように、第1ハウジング7Aの上部には、第1ギヤケース48が配置されている。第1ギヤケース48には、伝動駆動軸45が回動自在に支持されている。伝動駆動軸45の両端部は、第1ギヤケース48の左方及び右方に突出している。第1ギヤケース48には、第1下部ケース49が固定されている。第1下部ケース49は、上下方向に延びており、第1ハウジング7Aを貫通している。第1下部ケース49には、第1回転軸31が支持されている。第1回転軸31は、縦軸(上下方向の軸)回りに回転可能である。第1回転軸31の下部には、第1刈刃33が取り付けられている。第1回転軸31の周囲には、第1草巻付き防止体34が配置されている。
伝動駆動軸45には、第1駆動ベベルギヤ60が装着されている。第1回転軸31には、第1駆動ベベルギヤ60と噛み合う第1従動ベベルギヤ61が装着されている。これにより、伝動駆動軸45に伝達された回転駆動力が第1回転軸31に伝達され、第1刈刃33が回転する。
第2ハウジング7Bの上部には、第2ギヤケース62が配置されている。第2ギヤケース62には、従動軸63が回動自在に支持されている。従動軸63は、第2ハウジング7Bの上面に沿って配置されている。伝動駆動軸45の一端部は、第1ギヤケース48から第2入力プーリ46が配置された側と反対側に突出している。伝動駆動軸45の一端部と従動軸63との間は、ユニバーサルジョイント64及び中間伝動軸65を介して連結されている。中間伝動軸65は、内軸と外軸筒からなる構造であって、軸心方向に伸縮可能である。ユニバーサルジョイント64及び中間伝動軸65は、蛇腹状の筒体66により覆われている。
第2ギヤケース62には、第2下部ケース67が固定されている。第2下部ケース67は、上下方向に延びており、第2ハウジング7Bを貫通している。第2下部ケース67には、第2回転軸36が支持されている。第2回転軸36は、縦軸(上下方向の軸)回りに回転可能である。第2回転軸36の下部には、第2刈刃38が取り付けられている。第2回転軸36の周囲には、第2草巻付き防止体39が配置されている。
従動軸63には、第2駆動ベベルギヤ69が装着されている。第2回転軸36には、第2駆動ベベルギヤ69と噛み合う第2従動ベベルギヤ70が装着されている。これにより、従動軸63に伝達された回転駆動力が第2回転軸36に伝達され、第2刈刃38が回転する。
<刈刃クラッチ機構、ブレーキ機構>
図12、図13に示すように、草刈機1は刈刃クラッチ機構80を備えている。刈刃クラッチ機構80は、エンジン10の動力を刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)に伝達する状態(第1状態)と、エンジン10の動力を刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)に伝達しない状態(第2状態)とを切り換え可能である。刈刃クラッチ機構80は、第2伝動ベルト44に作用する張力を変化させることによって、第1状態と第2状態とが切り換えられる。
刈刃クラッチ機構80は、テンションプーリ81と切り換え機構82とを有している。
テンションプーリ81は、伝動ベルト(第2伝動ベルト)44に張力を作用させるためのプーリである。切り換え機構82は、テンションプーリ81を第2伝動ベルト44に対して第1押圧力で当接させる第1位置(図12参照)と、テンションプーリ81を第2伝動ベルト44に対して第1押圧力よりも低い第2押圧力で当接させる第2位置(図13参照)とに切り換え可能である。尚、図示を省略するが、第2位置は、テンションプーリ81を第2伝動ベルト44から離反させる位置であってもよい。
図12に示すように、テンションプーリ81が第1位置にあるとき、第2伝動ベルト44が張った状態となるため、第2出力プーリ18の回転駆動力が第2入力プーリ46に伝達される。そのため、エンジン10の動力が刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)に伝達される第1状態となる。図13に示すように、テンションプーリ81が第2位置にあるとき、第2伝動ベルト44が緩んだ状態となるため、第2出力プーリ18の回転駆動力は第2入力プーリ46に伝達されない。そのため、エンジン10の動力が刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)に伝達されない第2状態となる。
図12、図13に示すように、切り換え機構82は、揺動部材83を有している。図14A~図14Dに示すように、揺動部材83は、第1板部83a、第2板部83b、第3板部83c、第4板部83dを有している。図14A~図14Dにおいて、右側が前方、左側が後方、紙面手前側が右方、紙面奥側が左方である。第1板部83aは、側面視にて略長方形状であって、長手方向が前後方向に延びるように配置される。第1板部83aは、一方面が左方を向き、他方面が右方を向くように配置される。第2板部83bは、第1板部83aの前端部から屈曲して左方に延びている。第3板部83cは、第2板部83bの左端部から屈曲して、第2板部83bと平行に前方に延びている。第4板部83dは、第3板部83cの上縁から屈曲して右方に延びている。第4板部83dは、一方面が略上方を向き、他方面が略下方を向くように配置される。
図14A~図14Dに示すように、揺動部材83は、第1取付部83e、第2取付部83f、第3取付部83g、支持部83h、係止部83iを有している。第1取付部83eは、第1板部83aの後端側に設けられている。第1取付部83eは、機体幅方向に延びる第1取付軸84を有している。第1取付軸84には、テンションプーリ81が回転可能に取り付けられている(図12、図13、図15参照)。第2取付部83fは、第4板部83dの一方面側(上面側)に設けられている。第2取付部83fには、摩擦部材85が固定具(皿リベット)86により固定されている。摩擦部材85は、ブレーキパッド(ブレーキライニング)として機能する板である。摩擦部材85の材料は、従来公知の摩擦部材を構成する材料の中から適宜選択することが可能であり、例えば、ゴム、樹脂、炭素系材料、金属等を使用することができる。
支持部83hは、第3板部83cの後部に設けられている。支持部83hは、第1取付部83eと第2取付部83fとの間に設けられている。支持部83hは、機体幅方向に延びる支軸87を有している。支軸87は、揺動部材83を揺動可能に支持する軸であって、揺動部材83の揺動支点となる。支軸87は、機体幅方向に延びており、支持部材(図示略)により回転可能に支持されている。支軸87は、支持部材により支持されることによって位置が固定されている。図12に示すように、支軸87は、前後方向において伝動駆動軸45とテンションプーリ81との間に配置されている。また、支軸87は、伝動駆動軸45の中心及びボス(回転体)47の中心に対して後下方に配置されている。
図14A~図14Dに示すように、第3取付部83gは、第3板部83cに設けられている。第3取付部83gは、第2取付部83fの下方であって、支持部83hの前下方に位置している。第3取付部83gは、機体幅方向に延びる第2取付軸88を有している。第2取付軸88には、切り換え機構82の一部を構成する操作ケーブル89の一端部が取り付けられる(図12、図13参照)。
係止部83iは、第3板部83cの前部に設けられている。係止部83iは、機体幅方向に延びる係止軸90を有している。係止軸90には、切り換え機構82の一部を構成する付勢部材91の一端部が係止される。係止部83iは、第2取付部83f及び第3取付部83gに対して、下方且つ前方に配置されている。第2取付部83f及び第3取付部83gは、前後方向において、支持部83hと係止部83iとの間に配置されている。第3取付部83gは、上下方向において、支持部83hと係止部83iとの間に配置されている。
図12、図13に示すように、揺動部材83は、支持部83hの支軸87がボス(回転体)47の近傍において支持部材(図示略)により支持される。係止軸90には、付勢部材91の一端部が係止される。付勢部材91の他端部は、第1ブラケット92に取り付けられている。第1ブラケット92は、伝動ケース16等の不動体に取り付けられることによって位置が固定されている。付勢部材91は、引っ張りバネから構成されており、係止軸90を上方に向けて(ボス(回転体)47側に向けて)引っ張る付勢力を有している。これにより、揺動部材83の前端側には、付勢部材91の付勢力によって支軸87回りの上方(矢印G1方向)に揺動しようとする力が常に作用している(図15参照)。
図12、図13に示すように、揺動部材83の第2取付軸88には、操作ケーブル89の一端部が取り付けられている。操作ケーブル89は、外筒部材(アウター)89aとワイヤ(インナー)89bとを有している。ワイヤ89bは、外筒部材89aに対して移動可能に収容されており、外筒部材89aから突出した一端部が第2取付軸88に固定されている。外筒部材89aの一端部は、第2ブラケット93に保持されている。第2ブラケット93は、伝動ケース16等の不動体に取り付けられることによって位置が固定されている。
図1、図2に示すように、ワイヤ89bの他端部は、右ハンドル5Rの把持部5Raの下方に設けられた刈刃クラッチレバー94に接続されている。刈刃クラッチレバー94は、機体幅方向に延びる支軸53回りに揺動操作することが可能である(図2の矢印S参照)。
ワイヤ89bは、刈刃クラッチレバー94を揺動操作することにより移動し、ワイヤ89bの一端部の外筒部材89aからの突出量が増減する。具体的には、刈刃クラッチレバー94を後上方(図2の矢印S方向)に揺動操作すると、ワイヤ89bが後方に移動してワイヤ89bの一端部の外筒部材89aからの突出量が減少する。これにより、揺動部材83の第2取付軸88に対してワイヤ89bを介して後方への引張力が作用するため、揺動部材83の前端側は付勢部材91の付勢力に抗して支軸87回りの下方(図15の矢印G2方向)に揺動する。また、刈刃クラッチレバー94を前下方に揺動操作すると、ワイヤ89bが前方に移動してワイヤ89bの一端部の外筒部材89aからの突出量が増加する。これにより、揺動部材83の第2取付軸88にワイヤ89bを介した引張力が作用しなくなるため、揺動部材83の前端側は付勢部材91の付勢力により支軸87回りの上方(図15の矢印G1方向)に揺動する。
図15に実線から仮想線への位置変化として示すように、揺動部材83の前端側が支軸87回りの下方に揺動したとき(矢印G2参照)、揺動部材83の後端側は支軸87回りの上方に揺動する(矢印G3参照)。これにより、テンションプーリ81が第1位置(図12参照)となるため、エンジン10の動力が刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)に伝達される第1状態(刈刃クラッチON状態)となる。このとき、揺動部材83の前端側にある摩擦部材85は、下方に揺動した位置にあるため、伝動駆動軸45に装着されたボス(回転体)47には当接しない(図12参照)。
図15に仮想線から実線への位置変化として示すように、揺動部材83の前端側が支軸87回りの上方に揺動したとき(矢印G1参照)、揺動部材83の後端側は支軸87回りの下方に揺動する(矢印G4参照)。これにより、テンションプーリ81が第2位置(図13参照)となるため、エンジン10の動力が刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)に伝達されない第2状態(刈刃クラッチOFF状態)となる。このとき、揺動部材83の前端側にある摩擦部材85は、下方に揺動した位置にあるため、伝動駆動軸45に装着されたボス(回転体)47に当接する(図13参照)。
上述の通り、摩擦部材85は、テンションプーリ81が第2位置(図13参照)にあるとき回転体(ボス)47に当接し且つ第1位置(図12参照)にあるとき回転体(ボス)47から離反する。
図13に示すように、摩擦部材85が回転体(ボス)47に当接すると、摩擦部材85の摩擦抵抗によって回転体47の回転が阻害される状態(ブレーキON状態)となり、伝動駆動軸45及び第2入力プーリ46の回転も阻害されるため、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)の回転が停止する。図12に示すように、摩擦部材85が回転体(ボス)47から離反すると、摩擦部材85によって回転体47の回転が阻害されない状態(ブレーキOFF状態)となり、伝動駆動軸45及び第2入力プーリ46の回転も阻害されないため、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)は回転する。
上記したように、草刈機1は、刈刃クラッチ機構80が第2状態(刈刃クラッチOFF状態)に切り換えられたときに、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)の回転を停止させる機構(以下、「ブレーキ機構95」という)を備えている。ブレーキ機構95は、テンションプーリ81が第2位置(図13参照)にあるとき第2入力プーリ46の回転を停止させることによって、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)の回転を停止させる。ブレーキ機構は、テンションプーリ81が第1位置(図12参照)にあるとき第2入力プーリ46の回転を許容することによって、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)の回転を許容する。
ブレーキ機構95は、切り換え機構82及び摩擦部材85を含んで構成されている。切り換え機構82は、刈刃クラッチ機構80とブレーキ機構95の2つの機構を兼ねる機構である。切り換え機構82を操作して揺動部材83を揺動させることによって、刈刃クラッチ機構80及びブレーキ機構95のオンオフの切り換えを行うことができる。
切り換え機構82は刈刃クラッチレバー94によって操作可能であるため、刈刃クラッチ機構80及びブレーキ機構95は共に刈刃クラッチレバー94によって操作することができる。従って、作業者は、刈刃クラッチレバー94の操作という1つの操作によって、刈刃クラッチ機構80とブレーキ機構95の両方を作動させることができる。具体的には、作業者が刈刃クラッチレバー94を操作して刈刃クラッチ機構80を第2状態(刈刃クラッチOFF状態)に切り換えることにより、ブレーキ機構95を作動させることができる。ブレーキ機構95が作動すると、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)の回転が停止する。そのため、刈刃クラッチ機構80を第2状態としてエンジン10から刈刃への動力伝達を遮断したときに、刈刃が惰性で回転を続けることがなく、刈刃の回転を速やかに停止させることができる。
尚、ブレーキ機構95の構成は上記した構成には限定されない。上記したブレーキ機構95は、摩擦部材85を回転体(ボス)47に対して当接又は離反させる構成であるが、摩擦部材85を伝動駆動軸45又は第2入力プーリ46に対して当接又は離反させる構成としてもよい。
<防塵カバー、スクレーパ>
図1、図16~図18に示すように、エンジン10は、冷却用の外気を取り入れる吸気部10bを有している。吸気部10bは、エンジン10の左部(機体内方側)に設けられている。吸気部10bは、通気性の防塵カバー96により覆われている。防塵カバー96は、吸気部10bからエンジン10の内部に刈草等の異物が侵入することを防止する。防塵カバー96は、多数の通気孔を有しており、例えば、金網等の網体(ネット)やパンチングメタル等の多孔板から構成される。
図16~図18に示すように、防塵カバー96は、円板状の第1部位96aと、円筒状の第2部位96bとを有している。第1部位96aと第2部位96bとは、湾曲部96cを介して繋がっている。第1部位96aは、表面が左側(エンジン10と反対側)を向き、裏面が右側(エンジン10側)を向いて配置されている。第2部位96bは、第1部位96aの周囲から右側(エンジン10側)に向けて延びている。第2部位96bの上部には、切欠き部96dが設けられている。図16に示すように、切欠き部96dからは、エンジン10を始動させるためのスターターのグリップ97が上後方に向けて突出している。防塵カバー96は、ボルト等の取付具(図示略)によってエンジン10に対して着脱可能に取り付けられている。
図1に示すように、防塵カバー96は、第1ハウジング7Aの上方に配置されている。詳しくは、防塵カバー96は、第1ハウジング7Aの左後部の上方であって、ヒンジ8の上方を覆う覆い板79の上方に配置されている。覆い板79は、第1ハウジング7Aの上面にボルト等の取付具(図示略)によって着脱可能に取り付けられており、ヒンジ8の後部の上方を覆っている。覆い板79は、第2後カバー76の前方に配置されている。覆い板79は、樹脂やゴム等からなる可撓性を有する材料から構成されている。
図16~図18に示すように、防塵カバー96にはスクレーパ98が取り付けられている。スクレーパ98は、回転軸98aと羽根部98bとを有している。回転軸98aは、機体幅方向に延びている。回転軸98aは、防塵カバー96の第1部位96aの中心に回転可能に支持されている。回転軸98aには、第1接続部98cが設けられている。第1接続部98cは、回転軸98aの一端部(エンジン10側と反対側の端部)に設けられている。第1接続部98cは、回転軸98aの回転に伴って回転軸98aの軸心回りに回転可能である。第1接続部98cは、回転軸98aと一体の部材であってもよいし、回転軸98aと別体であるが回転軸98aと接続された部材であってもよい。
第1接続部98cには、後述する連結部材101の一端部が接続される。図18に示すように、第1接続部98cは、第1挿入孔98dと第1固定具(ボルト)98eを有している。第1挿入孔98dには、連結部材101の一端部が挿入される。第1固定具98eは、第1挿入孔98dに挿入された連結部材101の一端部を固定する。
羽根部98bは、回転軸98aと一体的に回転する。図17、図18に示すように、羽根部98bは、第1羽根98b1と第2羽根98b2と回転中心部98b3を有している。但し、羽根部98bが有する羽根の数は、2つ(第1羽根98b1と第2羽根98b2の2つ)には限定されず、3つ以上又は1つであってもよい。第1羽根98b1及び第2羽根98b2は、防塵カバー96の第1部位96aの表面に当接又は近接して配置されており、当該表面に沿って延びている。第1羽根98b1と第2羽根98b2は、第1部位96aの中心側から径外側(外周側)に向けて互いに反対方向に延びている。
回転中心部98b3は、スクレーパ98の中心に位置し、第1羽根98b1と第2羽根98b2とを連絡している。回転中心部98b3は、防塵カバー96の第1部位96aから離れる方向に隆起する有底円筒状であって、回転軸98aに装着されている。回転軸98aの回転に伴って回転中心部98b3及び羽根部98bが回転する。羽根部98bは、回転することによって、防塵カバー96の表面(第1部位96aの表面)に付着した刈草等の異物を除去する。
図18に示すように、スクレーパ98の長さ(第1羽根98b1、第2羽根98b2、回転中心部98b3の合計長さ)d1は、防塵カバー96の第1部位96aの直径d2以上に設定されている。これにより、防塵カバー96の表面(第1部位96aの表面)に付着した刈草等の異物を確実に除去することができる。
図16、図17に示すように、草刈機1は、エンジン10の動力をスクレーパ98の回転駆動力としてスクレーパ98に伝達する動力伝達部100を備えている。動力伝達部100は、エンジン10の動力を車輪(前輪4F1、後輪4R)に伝達する動力伝達機構(走行系伝達機構13A)から動力を取り出してスクレーパ98に伝達する。
図11に示すように、動力伝達機構(走行系伝達機構13A)は、エンジン10からの動力が入力される入力軸(第2入力軸)24と、第2入力軸24の回転駆動力を車輪(前輪)4F1に伝達する伝達部材40とを有している。図2、図11に示すように、伝達部材40は、第1スプロケット41と第2スプロケット42とチェーン43とを有している。図16、図17に示すように、第2入力軸24の一端部には、第2接続部24aが設けられている。第2接続部24aは、第2入力軸24の回転に伴って、第2入力軸24の軸心回りに回転可能である。第2接続部24aは、第2入力軸24と一体の部材であってもよいし、第2入力軸24と別体であるが第2入力軸24と接続された部材であってもよい。
第2接続部24aには、後述する連結部材101の他端部が接続される。第2接続部24aは、第1接続部98cと同様の構成であり、第2挿入孔24bと第2固定具(ボルト)24cを有している。第2挿入孔24bには、連結部材101の他端部が挿入される。第2固定具24cは、第2挿入孔24bに挿入された連結部材101の他端部を固定する。
動力伝達部100は、連結部材101と第1接続部98cと第2接続部24aとを含む。連結部材101は、撓み変形可能且つ回転駆動力を伝達可能なフレキシブルシャフトから構成されている。図16、図17に示すように、連結部材(フレキシブルシャフト)101は、一端部が回転軸98aに設けられた第1接続部98cに接続されており、他端部が第2入力軸24に設けられた第2接続部24aに接続されている。これにより、連結部材101は、第2入力軸24とスクレーパ98の回転軸98aとを連結している。
エンジン10から第2入力軸24に伝達された動力(回転駆動力)は、連結部材(フレキシブルシャフト)101を介してスクレーパ98の回転軸98aに伝達される。これにより、スクレーパ98の回転軸98a及び羽根部98bが回転するため、防塵カバー96の表面(第1部位96aの表面)に付着した刈草等の異物が除去される。
上記実施形態の草刈機1によれば、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)を回転させるエンジン10の動力を利用してスクレーパ98を回転させることにより、エンジン10の吸気部10bを覆う防塵カバー96に付着した刈草等を除去することができる。そのため、防塵カバー96に付着した刈草等を人手に依らずに除去することができ、除去作業の手間を省くことが可能である。また、エンジン10の動力を利用するため、吸気部10bに発生する吸い込み風を利用してスクレーパを回転させる構造に比べてスクレーパ98を回転させる駆動力が格段に大きく、刈草等の除去効果に優れている。
尚、動力伝達部100の構成は、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)の駆動源となるエンジン10の動力をスクレーパ98の回転駆動力としてスクレーパ98に伝達することができる構成であればよく、上述した構成には限定されない。
例えば、上記実施形態では、動力伝達部100は、エンジン10の動力を前輪4F1に伝達する動力伝達機構から動力を取り出してスクレーパ98に伝達する構成であるが、エンジン10の動力を後輪4Rに伝達する動力伝達機構から動力を取り出してスクレーパ98に伝達する構成としてもよい。この場合、例えば、第1入力軸20又は後輪駆動軸22とスクレーパ98の回転軸98aとを連結部材101により連結する構成を採用することができる。
また、動力伝達部100は、エンジン10の出力軸10aから動力を取り出してスクレーパ98に伝達する構成としてもよい。この場合、例えば、出力軸10a(又は出力軸10aに接続された部材)とスクレーパ98の回転軸98aとを連結部材101により連結する構成を採用することができる。この構成を採用した場合、走行クラッチ機構を切断したアイドリング状態(エンジン10は駆動しているが、車輪(前輪4F1、後輪4R)が回転していない状態)においても、スクレーパ98を回転させることができる。
また、動力伝達部100は、エンジン10の出力軸10aから第2入力軸24に動力を伝達する経路の中途部から動力を取り出してスクレーパ98に伝達する構成としてもよい。この場合、例えば、中間出力軸23とスクレーパ98の回転軸98aとを連結部材101により連結する構成を採用することができる。
また、動力伝達部100は、エンジン10の動力を草刈部3(第1草刈部3A、第2草刈部3B)に伝達する作業系伝達機構13Bから動力を取り出してスクレーパ98に伝達する構成としてもよい。
<効果>
上記実施形態の草刈機によれば、以下の効果を奏する。
草刈機1は、第1縦軸51A,51B回りに回転する回転軸(第1回転軸31,第2回転軸36)と、回転軸31,32、に取り付けられ且つ回転軸31,32の径外方向に延設された支持体(第1支持体32、第2支持体37)と、支持体32,37に対して第2縦軸52A,52B回りに揺動可能に取り付けられた取付部331,382と、支持体32,37の回転時に支持体32,37から前記径外方向に突出する突出部332,382と、を有する刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)と、を備え、刈刃33,38は、支持体32,37の延設方向の一方側に取り付けられた一方刈刃33A,38Aと、支持体32,37の延設方向の他方側に取り付けられた他方刈刃33B,38Bと、を含み、一方刈刃33A,38A及び他方刈刃33B,38Bは、第2縦軸52A,52Bと突出部332,382の先端との距離D2が第1縦軸51A,51Bと第2縦軸52A,52Bとの距離D3よりも短く、突出部332,382は、当該突出部の幅方向の一方縁に設けられた第1刃先部332a,382aと他方縁に設けられた第2刃先部332b,382bとの間の距離D1が取付部331,382から離れるにつれて拡がっている。
この構成によれば、刈刃32,37は、突出部332,382の幅方向の一方縁に設けられた第1刃先部332a,382aと他方縁に設けられた第2刃先部332b,382bとの間の距離D1が取付部331,382から離れるにつれて拡がっているため、摩耗が進行しても先細り形状となりにくく、切れ味の低下が生じにくい。また、一方刈刃33A,38A及び他方刈刃33B,38Bは、第2縦軸52A,52Bと突出部332,382の先端との距離D2が第1縦軸51A,51Bと第2縦軸52A,52Bとの距離D3よりも短いため、互いに接触して破損することが防がれる。また、刈刃32,37の突出部332,382に摩耗が進行した場合において、刃先部(第1刃先部332a,382a又は第2刃先部332b,382b)に角(エッジ)が立ちやすい。言い換えれば、刃先部の先端の角度が鋭角に近い角度となりやすい。そのため、刈刃32,37の切れ味の低下が生じにくく、長期間にわたって優れた切れ味を維持することができる。そのため、長期間にわたって優れた切れ味を発揮することができる刈刃32,37を備えた草刈機1となる。
また、突出部332,382の先端332d、382dは、第2縦軸52A,52Bを中心とする円弧状に形成されている。
この構成によれば、刈刃の摩耗が進行しても刈刃の取付中心(第2縦軸52A,52B)から先端332d、382dまでの距離が常に一定となる。そのため、摩耗が進行しても刃先部(第1刃先部332a又は第2刃先部332b)の長さが短くなりにくい。これにより、切れ味の低下が生じにくく、長期間にわたって優れた切れ味を維持することができる。
また、刈刃32,37は、第1刃先部332a,382aと第2刃先部332b,382bとの間に、所定量以上の摩耗が生じたことを目視にて確認可能とする指標部332c、382cを有している。
この構成によれば、作業者は、刈刃33,38の摩耗が進行したときに、刈刃の外縁が指標部332cに達したことを目視にて確認することにより、刈刃の交換が必要であることを容易に且つ確実に把握することができる。
また、指標部332c、382cは、刈刃33,38に所定量以上の摩耗が生じたときに刈刃の外縁と繋がる穴である。
この構成によれば、刈刃33,38の外縁が摩耗によって指標部332cに達したことを、容易に且つ確実に把握することができる。
また、刈刃33,38は、支持体32,37の上面側に配置された上刃(第1上刃33U、第2上刃38U)と、支持体32,37の下面側に配置された下刃(第1下刃33D、第2下刃38D)と、を含み、突出部332,382における上刃33U,38Uと下刃33D,38Dとの距離D8は、取付部331,381からの距離に関わらず一定である。
この構成によれば、上刃33U,38Uと下刃33D,38Dの摩耗の進行程度を概ね均等化することができる。そのため、上刃33U,38Uと下刃33D,38Dの交換時期を合わせることができ、交換作業の頻度を減らすことが可能となる。
また、支持体32,37は、回転軸31,38の周囲を囲う筒状体(第1草巻付き防止体34、第2草巻付き防止体39)に固定される固定部(中間穴32c、中間穴37c)を有し、刈刃33,38は、取付部331,381と突出部332,382とを繋ぐ中間部333,383と、取付部331,381と中間部333,383との境界に設けられた第1屈曲部334,384と、中間部333,383と突出部332,382との境界に設けられた第2屈曲部335,385と、を有し、第2縦軸52A,52Bと第2屈曲部335,385との距離D6は、固定部32c,37cと第2縦軸52A,52Bとの距離D7よりも短い。
この構成によれば、刈刃33,38が内方向に揺動したときに、固定部32c、37cに設けられたボルト等の固定具と干渉することを回避できる。
また、第2縦軸52A,52Bと第1屈曲部334,384との距離D4は、第2縦軸52A,52Bと支持体32,37の延設方向の端部D5との距離よりも短い。
この構成によれば、刈刃33,38の取付部331,381の支持体32,37に対する接触面積が大きくなるため、刈刃33,38を安定した姿勢で確実に支持体32,37に取り付けることができる。
また、支持体32,37は、回転軸31,36の径外方向に延びるにつれて幅が狭くなる先細り部32e,37eを有し、先細り部32e,37eの先端側32f,37fは円弧状に湾曲している。
この構成によれば、刈刃33,38が回転軸31,36に接近する内方向に揺動した状態でロック(停止)した場合、先端側32f,37fが草等に当たるが、草等から受ける力を先細り部32e,37eの先端側32f,37fの円弧に沿って逃がすことができる。これにより、支持体32,37に過度な負荷が加わることを防止することができる。
また、取付部331,381は、突出部332,382と反対側の端部331a,381aが円弧状に湾曲している。
この構成によれば、刈刃33,38が回転軸31,36に接近する内方向に揺動した状態でロック(停止)した状態で、端部331a,381aに草等が当たった場合でも、草等から受ける力を端部331a,381aの円弧に沿って逃がすことができる。これにより、刈刃33,38に過度な負荷が加わることを防止することができる。
また、草刈機1は、原動機10と、原動機10の動力により回転して草を刈る刈刃33,38と、原動機10の動力を刈刃33,38に伝達する第1状態と、原動機10の動力を刈刃33,38に伝達しない第2状態とに切り換え可能な刈刃クラッチ機構80と、刈刃クラッチ機構80が第2状態に切り換えられたときに、刈刃33,38の回転を停止させるブレーキ機構95と、を備えている。
この構成によれば、刈刃クラッチ機構80が原動機10の動力を刈刃33,38に伝達しない第2状態に切り換えられたときに刈刃33,38の回転を停止させるブレーキ機構95を備えているため、刈刃33,38への動力伝達を遮断したときに刈刃33,38の回転を速やかに停止させることができる。
また、草刈機1は、原動機10の出力軸10aに設けられた出力プーリ(第2出力プーリ)18と、刈刃33,38に伝達される動力が入力される入力プーリ(第2入力プーリ)46と、出力プーリ18と入力プーリ46とに掛け渡された伝動ベルト(第2伝動ベルト)44と、を備え、刈刃クラッチ機構80は、テンションプーリ81と、テンションプーリ81を伝動ベルト44に対して第1押圧力で当接させて第1状態とする第1位置と、伝動ベルト44に対して第1押圧力よりも低い第2押圧力で当接させて又は伝動ベルト44から離反させて第2状態とする第2位置とに切り換え可能な切り換え機構82と、を有し、ブレーキ機構95は、テンションプーリ81が第2位置にあるとき入力プーリ46の回転を停止させ且つ第1位置にあるとき入力プーリ46の回転を許容する。
この構成によれば、刈刃クラッチ機構80によってテンションプーリ81の位置を切り換える操作に連動させてブレーキ機構95を作動又は停止させることができる。
入力プーリ46と一体的に回転する回転体47を備え、ブレーキ機構95は、テンションプーリ81が第2位置にあるとき回転体47に当接し且つ第1位置にあるとき回転体47から離反する摩擦部材85を有している。
この構成によれば、ブレーキ機構95は、テンションプーリ81が第2位置にあるときに、摩擦部材85を回転体47に当接させることで、摩擦部材85の摩擦抵抗により回転体47及び入力プーリ46の回転を停止させて、刈刃33,38の回転を速やかに停止させることができる。
また、切り換え機構82は、揺動可能な揺動部材83を有し、揺動部材83は、テンションプーリ81が取り付けられた第1取付部83eと、摩擦部材85が取り付けられた第2取付部83fと、第1取付部83eと第2取付部83fとの間に設けられて揺動支点となる支持部83hと、を有している。
この構成によれば、揺動部材83を揺動させることにより、テンションプーリ81及び摩擦部材85を移動させて、刈刃クラッチ機構80とブレーキ機構95の両方を操作することができる。そのため、刈刃クラッチ機構80とブレーキ機構とを確実に連動させることができる。また、刈刃クラッチ機構80とブレーキ機構95の部品(揺動部材83等)を共通化することが可能となるため、部品点数を削減することができる。
また、作業者が把持する操縦ハンドル5と、操縦ハンドル5に設けられた刈刃クラッチレバー94と、を備え、刈刃クラッチレバー94の操作に伴って刈刃クラッチ機構80及びブレーキ機構95が動作する。
この構成によれば、作業者は、刈刃クラッチレバー94の操作という1つの操作によって、刈刃クラッチ機構80とブレーキ機構95の両方を作動させることができる。そのため、操作が容易であるとともに、ブレーキ機構95を確実に作動させることができる。
また、草刈機1は、原動機10と、原動機10の動力により回転して草を刈る刈刃33,38と、原動機10の吸気部10bを覆う通気性の防塵カバー96と、防塵カバー96の表面に付着する刈草を回転により除去するスクレーパ98と、原動機10の動力をスクレーパ98の回転駆動力としてスクレーパ98に伝達する動力伝達部100と、を備えている。
この構成によれば、刈刃33,38を回転させる原動機10の動力を利用してスクレーパ98を回転させることにより、原動機10の吸気部10bを覆う防塵カバー96に付着した刈草を除去することができる。そのため、防塵カバー96に付着した刈草を人手に依らずに除去することができ、刈草の除去作業の手間を省くことが可能である。
また、草刈機1は、接地して回転する車輪(前輪4F1、後輪4R)と、原動機10の動力を車輪4F1,4Rに伝達する動力伝達機構(走行系伝達機構)13Aと、を備え、動力伝達部100は、動力伝達機構13Aから動力を取り出してスクレーパ98に伝達する。
この構成によれば、原動機10の動力を車輪4F1,4Rに伝達する動力伝達機構13Aから動力を利用してスクレーパ98を回転させることができる。そのため、スクレーパ98を回転させるための動力伝達機構を簡素化して部品点数を削減することができる。
また、動力伝達機構13Aは、原動機10からの動力が入力される入力軸(第2入力軸)24と、入力軸24の回転駆動力を車輪4F1,4Rに伝達する伝達部材40と、を有し、動力伝達部100は、入力軸24とスクレーパ98の回転軸98aとを連結する連結部材101を含む。
この構成によれば、原動機10からの動力が入力される入力軸24の回転駆動力を連結部材101により取り出してスクレーパ98の回転軸98aに伝達することができるため、回転軸98aへの回転駆動力の伝達を容易に且つ確実に行うことができる。
また、連結部材101は、撓み変形可能且つ回転駆動力を伝達可能なフレキシブルシャフトから構成されている。
この構成によれば、入力軸24と回転軸98aとの位置関係に関わらず、連結部材101を撓み変形させることによって入力軸24と回転軸98aとを確実に連結し、入力軸24から回転軸98aへの動力伝達を確実に行うことができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 草刈機
4F1 車輪(前輪)
4R 車輪(後輪)
10 原動機
10b 吸気部
13A 動力伝達機構(走行系伝達機構)
24 入力軸(第2入力軸)
33 刈刃(第1刈刃)
38 刈刃(第2刈刃)
40 伝達部材
96 防塵カバー
98 スクレーパ
98a スクレーパの回転軸
100 動力伝達部
101 連結部材

Claims (3)

  1. 原動機と、
    前記原動機の動力により回転して草を刈る刈刃と、
    前記原動機の吸気部を覆う通気性の防塵カバーと、
    前記防塵カバーの表面に付着する刈草を回転により除去するスクレーパと、
    前記原動機の動力を前記スクレーパの回転駆動力として前記スクレーパに伝達する動力伝達部と、
    接地して回転する車輪と、
    前記原動機の動力を前記車輪に伝達する動力伝達機構と、
    を備え
    前記動力伝達部は、前記動力伝達機構から動力を取り出して前記スクレーパに伝達する草刈機。
  2. 前記動力伝達機構は、
    前記原動機からの動力が入力される入力軸と、
    前記入力軸の回転駆動力を前記車輪に伝達する伝達部材と、
    を有し、
    前記動力伝達部は、前記入力軸と前記スクレーパの回転軸とを連結する連結部材を含む請求項に記載の草刈機。
  3. 前記連結部材は、撓み変形可能且つ回転駆動力を伝達可能なフレキシブルシャフトから構成されている請求項に記載の草刈機。
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