JP7096287B2 - 真空機器内の状態情報を求める方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス流の制御及び/又は供給を行うためのガス流ユニットを持つ真空機器内の状態情報を求める方法に関する。
従来の技術においては、真空機器、とりわけ真空ポンプには例えばシールガスが送り込まれる(mit Sperrgas beaufschlagen)。例えば汚れ(Verschmutzung)又は弁の故障(Ausfall)により、所望のガス流がもはや確保できなくなる可能性もある。シールガスの場合、このことによりポンプが早期に故障する可能性もある。プロセスガス流も不所望に悪影響を受けることがあり、それにより、例えばポンプ性能が低下する。
本発明の課題は、前述の態様の方法であって、特に簡単かつ信頼的に実施できる方法を提供することである。
この課題は、請求項1に記載の方法、とりわけ以下のステップ、すなわち、(a)ガス流ユニットの第1動作状態(Aktivitaetszustand)においてガス流領域内の第1温度測定値を温度センサーを用いて測定するステップ;(b)ガス流ユニットを、第1動作状態とは異なる第2動作状態に移すステップ;(c)ガス流領域内の第2温度測定値を測定するステップ;(d)第2温度測定値の、第1温度測定値からの測定偏差を求めるステップ;(e)測定偏差を予想偏差と比較するステップ;(f)比較に基づいて状態情報を求めるステップ、により解決される。
本発明においては、ガス流ユニットの動作状態の変更が行われ、その前後で、つまり変更の前及び変更の後にそれぞれ温度測定が行われる。問題なく機能しているガス流ユニットにおいては、第2動作状態における温度の、第1動作状態に対する予想偏差は既知であるか又は、例えばさらなる作動パラメーター及び/又はセンサーに基づいて少なくとも予測可能である。測定偏差がとりわけ、予想偏差と大幅に異なっている(つまり例えば所与の又は予め与えることができる許容範囲の外にある)場合は、例えばガス流ユニットが機能不全であると推定できる。逆に、とりわけ、測定偏差と予想偏差とが十分に一致している(つまり例えば所与の又は予め与えることができる許容範囲内にある)場合には、例えばガス流ユニットが機能している状態にあると推定できる。
その際はとりわけ、一般的に、ガス流の変化によってとりわけ対流によりガス流の該当領域において温度変化が起こることが利用される。とりわけ、ガス流のガスは、一般的に、ガス流領域内の、特定の部材より低い温度を有する可能性がある。例えばそれにより、及び/又は、膨張により、ガス温度は低くなる可能性がある。つまり例えばガス流変化の際に温度偏差がないか、又はわずかである場合、例えばガス流ユニットが機能不全であると推定できる。
温度測定値は、例えば一つの、とりわけ同一の(desselben)温度センサーを用いて測定することができる。従来技術の真空機器内では真空ポンプのローターの温度を監視するために複数の温度センサーが設けられていることもよくある。いずれにせよ、そのようなセンサーを備える構造に関しては、本発明により、とりわけガス流ユニットの診断を特に簡単に、とりわけ追加的なセンサーを用いずに、行うことができる。また、ガス流ユニットにおいては(例えば異なる2つの動作状態の間で1回又は複数回往復して切り替える(Hin- und Herschalten)ことにより)その動作状態の変更のみを行い、その結果得られた温度測定値から状態情報、とりわけガス流ユニットに関する状態情報を推定することができる。しかし、本発明を実現するために、そのための別個の(gesonderter)温度センサーを用いることもできる。また一般的に、とりわけそのような(mittels desselben)温度センサーを用いて、ローターなど、温度に敏感でとりわけ可動性の部材の温度監視を実現することもできる。
一般的に、第2動作状態における予想温度は、とりわけ第1温度測定値より高くすることができ、もしくは、予想偏差をとりわけより高くすることができ(nach hoeher gerichtet sein)、このことはとりわけ、測定領域においてガス流が冷却効果を持つ場合、及び/又は、第2動作状態に割り当てられたガス流が第1動作状態のときより少ない場合にあてはまる。しかし代替的に、予想温度を第1温度測定値より低くすることもできる。
予想偏差及び/又は予想温度は、例えば真空機器の制御ユニット内に、とりわけ第1温度測定値に関連付けて(in Abhaengigkeit)保存しておくことができる。その際予想偏差は、作動前にとりわけメーカーにより例えば実験的に及び/又は計算により求めることができる。代替的に又は追加的に、予想偏差は真空機器の制御ユニットにより、例えばシミュレーションにより、及び/又は、さらなるパラメーター及び/又はセンサーデータに依存して、計算により求めることができる。
「ガス流領域」とは一般的に、温度に関するガス流の影響領域と理解される。そのため温度センサーはガス流内に直接的に配置する必要はないが、ガス流内に直接的に配置することもでき、又は、例えばガス流に直接的に隣接する表面の温度を測定することもできる。また、本発明においては、動作状態の変化によるある一定の(eine gewisse)温度偏差が検出可能であるだけでよい。
本方法のある実施形においては予想偏差には予想範囲が含まれている。つまり、予想偏差は、とりわけある予想値のみを有さなくてもよい。予想値と、これに隣接する範囲との組み合わせも予想範囲として理解され、予想範囲内では測定偏差と予想偏差との間の差に意味がない(unerheblich)と考えられる。一般的に予想範囲は、とりわけ上限及び/又は下限を有することができる。そのため、予想範囲を許容範囲と呼ぶこともできる。
ガス流ユニットは望ましくは、ある特定の期間だけ第2動作状態に移される。とりわけ第2温度測定値はこの特定の期間の終わりに測定され、及び/又は、予想偏差はこの特定の期間についてのものである。この期間を、とりわけ短くすることができ、例えば最大でも1分、とりわけ最大でも30秒とすることができる。
この期間の終了後、ガス流ユニットはとりわけ第1動作状態に戻すことができる。これにより、状態情報を繰り返し求める場合には、とりわけある特定の待機期間を待つことができ、それによりとりわけ、第1動作状態においてほぼ定常的な温度に再び落ち着くことができる(sich einstellen)。
状態情報は、例えば、真空機器、とりわけガス流ユニット又は温度センサー自体のとりわけ機能ユニットの機能性に関する少なくとも一つの情報を含むことができる。
あるさらなる実施形においては、測定偏差が予想偏差に一致する場合、とりわけ予想範囲内にある場合、適正な状態にあると推定され、及び/又は、測定偏差が予想偏差に一致しない場合、とりわけ予想範囲の外にある場合には、不良状態にあると推定される。
例えば、とりわけ適正な状態にも不良な状態にも割り当てられない移行範囲を設けることもできる。代替的に移行範囲を、適正ではない状態に割り当てることもできる。この場合、例えば不良状態にあると推定されるのは、偏差が予想範囲外にあるだけでなく、移行範囲外にもある場合である。測定偏差が移行範囲内にある場合は、対応する情報を記録(festgehalten)及び/又は出力することができる。代替的に又は追加的に、状態情報を繰り返し求めるようにすることもできる。
ある発展形によると、温度センサーは、ガス流ユニットから離れて、つまり空間的にずらされて(versetzt)配置されている。これは、ガス流が、ガス流ユニットから離れたところでも温度調節するよう、とりわけ冷却するよう作用することを有利に活用するものである。これにより、とりわけガス流ユニットの状態を特に簡単に求めることができる。代替的に、温度センサーは例えばガス流ユニット自体に配置すること、及び/又は、ガス流ユニットの温度を測定することもできる。
温度センサーは望ましくは、とりわけ可動部材の表面温度をとりわけ非接触式に測定するように構成することができる。表面温度は、表面を通過するガス流の変化により特に素早く変化する。そのため、温度偏差を特に素早く検出すること、及び/又は、第2動作状態を短い期間だけ維持するようにすることができる。温度センサーは、例えば赤外線センサーとして構成されることができる。一般的に、センサーは、とりわけ、温度を直接的に測定するよう構成されることができる。
温度センサーは、とりわけ、ガス流領域内に配置された部材の温度を測定するように構成されることができる。代替的に、温度センサーは、例えばガス自体の温度を測定するよう構成されることができる。
部材を、とりわけ可動の部材、例えばポンプローター及び/又はローター(Motorlaeufer)とすることができる。部材が動くことにより、部材とガス流との間の熱伝達が追加的に促進され(beguenstigt)、それにより、ガス流ユニットの動作変化による温度偏差を特に素早く測定可能となる。
有利には、温度センサーは一般的に、ガス流路の狭窄部(Verengung)及び/又は狭窄部の前に配置することができ、及び/又は、そこで温度を測定することができる。狭窄部によりガス流は加速され対流による熱交換が増大する(verstaerkt)。また、このため温度偏差を特に素早く認識できるようになる。狭窄部は例えばシール、とりわけラビリンスシールとすることができる。
ある実施形によると、ガス流ユニットは、例えば弁として構成されることができるか、又は弁を有することができる。本発明では、例えば弁について特に簡単に状態の点検を実施することができる。とりわけ、ガス流センサーを設ける必要はない。その代わりに、状態もしくは機能性を、単に温度センサーを介して求めることができる。
さらなる有利な例において、ガス流ユニットは、シールガス弁として構成されることができるか、又はシールガス弁を有することができる。シールガス弁についての状態情報は、特に簡単に求められることができる。
ガス流を供給するためのガス流ユニットは、例えばポンプとして構成されることができる。
第2動作状態は、とりわけ、第1動作状態よりガス流が少ない場合、又は、ガス流が多い場合に割り当てられることができる。とりわけ、ガス流は、第2動作状態において絞られるか又は止められる。一般的に、動作状態を、段階的に又は連続的に設定可能とすることができる。例えば「オン」及び「オフ」、つまり最大ガス流の状態及びガス流なしの状態など例えば2つのみ又は少なくとも2つの動作状態を設けることができる。ガス流ユニットは、例えばスイッチング弁であること、又は、スイッチング弁を有することができる。複数の段階がある場合、又は、動作状態が連続的に設定可能な場合、状態情報を求めるサイクル(Ermittlungszyklen)間で例えば第2動作状態が異なっていてもよい(zwischen Ermittlungszyklen beispielsweise der zweite Aktivitaetszustand variiert werden)。
ある実施形においては、第1又は第2動作状態が、オフ(ausgeschalteten)及び/又は止められた(gesperrten)状態に対応するようになっている。それぞれもう一方の動作状態は、例えば通常作動状態、及び/又は、例えばシールガス供給が有効化されているなどガス流がオンである状態に対応することができる。
状態情報は、とりわけ繰り返して求められることができる。そのため、例えばある特定の時間間隔で、とりわけ先述のステップを用いて繰り返し求めることができる。そのため、簡単に、状態情報のほぼ継続的な監視を確保することができる。時間間隔は、例えば所与のものとすること、又は、作動パラメーター及び/又はセンサーデータに基づいて求められることができる。
代替的に又は追加的に、例えば適正ではない状態を詳しく調べること、又は不良状態を検証することができるように、適正ではない又は不良状態が認識された後に状態情報を繰り返し求めることができる。温度測定値が予想範囲外にある場合、及び/又は、不良状態が確認された場合、エラーを確実に検出し、温度変化が起こらなかったことに対する他の因子の影響を除外することができるように、例えば適切な短い間隔で繰り返し状態情報を求めることができる。
ガス流はとりわけシールガス、プロセスガス、及び/又は、空気など温度調節ガスを含むことができる。ガス流ユニットは、例えばガス流のための弁を有することができ、例えば真空機器の吸気弁又は排気弁など、例えばシールガス弁又はプロセスガス弁を有することができる。温度調節ガスの場合、ガス流ユニットは例えばベンチレーターとすることができる。
一般的に状態情報は、とりわけガス流に影響するか、又は、ガス流の影響を受ける何らかの機能要素に関するものであり得る。
状態情報は、例えば、ガス流ユニット及び/又は真空機器内のガス流の流路(Weg)に関するものであり得る。例えばガス流ユニット及び/又はガス流の流路の領域内の汚れは、ガス流に不所望に悪影響を与えるか又はガス流を制限する可能性がある。そのような障害は、本発明の方法により、信頼性をもって、かつ、簡単に認識されることができる。
状態情報はまた、例えば温度センサーに関するものであり得る。実地においては、温度センサーも、発生し得る(moeglichen)汚れ、又は、機能に悪影響を与えるその他のもの(anderweitigen Funktionsbeeintraechtigungen)にさらされる可能性がある。しかし、例えばガス流ユニットが適正に機能していること、及び/又は、ガス流が確実に供給されていることが既知である場合、又は、そう考えられる場合は、温度センサーの状態を点検することができる。例えば、温度センサーがローターの温度監視のためのものである場合、それにより簡単に、つまり温度センサーの機能性もしくは状態を追加的に点検することにより、作動確実性(Betriebssicherheit)を高めることができる。
本発明の課題はさらに、真空機器に関する請求項に記載の真空機器により解決される。この真空機器は、ガス流の制御及び/又は供給を行うガス流ユニット、ガス流領域内の温度を求める温度センサー、ガス流ユニットを制御でき、温度を温度センサーにより求めることができる制御ユニットを有している。制御ユニットは、上述の態様による方法を実施するよう設定されている。
真空機器は、例えば真空ポンプとりわけターボ分子ポンプ、及び/又は、ローター温度監視付きのポンプであること、又は、例えば真空ポンプとりわけターボ分子ポンプ、及び/又は、ローター温度監視付きのポンプを有することができる。
真空機器はとりわけローターを有することができ、このローターを駆動して回転させることによりポンプ作用を作り出すことができる。温度センサーは、とりわけローターの表面温度を非接触式に測定できる。
本明細書に記載された真空機器の実施形及び個々の特徴は、本発明の方法の発展形にとってとりわけ適切に、有利にはたらき、また、その逆もあてはまる。
以下に本発明を、有利な実施形に基づき添付の図面を参照しつつ説明する。図は以下を簡略的に示している。
ターボ分子ポンプの斜視図である。 図1のターボ分子ポンプの下側の図である。 図2に示された線A-Aに沿うターボ分子ポンプの断面図である。 図2に示された線B-Bに沿うターボ分子ポンプの断面図である。 図2に示された線C-Cに沿うターボ分子ポンプの断面図である。
図1に示されたターボ分子ポンプ111は、インレットフランジ113に取り囲まれたポンプインレット115を有する。このポンプインレットには、公知の方法で、図示されていない真空容器を接続することが可能である。真空容器からのガスは、ポンプインレット115を介して真空容器から吸引され、そしてポンプを通してポンプアウトレット117へと搬送されることが可能である。ポンプアウトレットには、予真空ポンプ(例えばロータリーベーンポンプ)を接続することが可能である。
インレットフランジ113は、図1の真空ポンプの向きにおいては、真空ポンプ111のハウジング119の上端部を形成する。ハウジング119は、下部分121を有する。これには、側方にエレクトロニクスハウジング123が設けられている。エレクトロニクスハウジング123内には、真空ポンプ111の電気的及び/又は電子的コンポーネントが収容されている。これらは例えば、真空ポンプ内に配置される電動モーター125を作動させるためのものである。エレクトロニクスハウジング123には、アクセサリーのための複数の接続部127が設けられている。更に、データインターフェース129(例えばRS485スタンダードに従うもの)と、電源供給接続部131がエレクトロニクスハウジング123には設けられている。
ターボ分子ポンプ111のハウジング119には、注気インレット133が、特に注気バルブの形式で設けられている。これを介して真空ポンプ111は注気されることが可能である。下部分121の領域には、更にシールガス接続部135(洗浄ガス接続部とも称される)が設けられている。これを介して洗浄ガスが、ポンプによって搬送されるガスに対して電動モーター125(例えば図3参照)を保護するため、モーター室137内に取り込まれることが可能である。モーター室内には、真空ポンプ111の電動モーター125が収容されている。下部分121内には、更に二つの冷却媒体接続部139が設けられている。その際、一方の冷却媒体接続部は冷却媒体のインレットとして、そして他方の冷却媒体接続部はアウトレットとして設けられている。冷却媒体は、冷却目的で真空ポンプ内に導かれることが可能である。
真空ポンプの下側141は、起立面として使用されることが可能であるので、真空ポンプ111は下側141上に起立して作動させられることが可能である。しかしまた、真空ポンプ111は、インレットフランジ113を介して真空容器に固定されることも可能であり、これによっていわば懸架して作動させられることが可能である。更に真空ポンプ111は、図1に示されたものと異なった向きとされているときにも作動させられることが可能であるよう構成されていることが可能である。下側141が下に向かってではなく、向きに、又は上に向けられて配置されている真空ポンプの実施形も実現されることが可能である。
図2に表わされている下側141には、更に、種々のネジ143が設けられている。これらによって、ここでは詳細に特定されない真空ポンプの部材が互いに固定されている。例えば、支承部カバー145が下側141に固定されている。
下側141には、更に、固定穴147が設けられている。これを介してポンプ111を例えば載置面に固定することが可能である。
図2から図5には、冷却媒体配管148が表わされている。この中では、冷却媒体接続部139を介して導入、又は導出される冷却媒体が循環することが可能である。
図3から図5の断面図に示されているように、真空ポンプは、複数のプロセスガスポンプ段を有している。これは、ポンプインレット115に及ぶプロセスガスをポンプアウトレット117に搬送するためのものである。
ハウジング119内には、ローター149が配置されている。このローターは、回転軸151を中心として回転可能なローター軸153を有している。
ターボ分子ポンプ111は、ポンプ効果を奏するよう互いにシリアルに接続された複数のポンプ段を有している。これらポンプ段は、ローター軸153に固定された複数の半径方向のローターディスク155と、ローターディスク155の間に配置され、そしてハウジング119内に固定されているステーターディスク157を有している。その際、一つのローターディスク155とこれに隣接する一つのステーターディスク157がそれぞれ一つのターボ分子ポンプ段を形成している。ステーターディスク157は、スペーサーリング159によって互いに所望の軸方向間隔に保持されている。
真空ポンプは、更に、半径方向において互いに入れ子式に配置され、そしてポンプ作用を奏するよう互いにシリアルに接続されたホルベックポンプ段を有する。ホルベックポンプ段のローターは、ローター軸153に設けられるローターハブ161と、ローターハブ161に固定され、そしてこれによって担持されるシリンダー側面形状の二つのホルベックロータースリーブ163,165を有している。これらは、回転軸151と同軸に向けられており、そして半径方向において互いに入れ子式に接続されている。更に、シリンダー側面形状の二つのホルベックステータースリーブ167,169が設けられている。これらは同様に、回転軸151に対して同軸に向けられており、そして半径方向に見て互いに入れ子式に接続されている。
ポンプ効果を発揮するホルベックポンプ段の表面は、ジャケット面によって、つまり、ホルベックロータースリーブ163,165とホルベックステータースリーブ167,169の内側面、及び/又は外側面によって形成されている。外側のホルベックステータースリーブ167の半径方向内側面は、半径方向のホルベック間隙171を形成しつつ、外側のホルベックロータースリーブ163の半径方向外側面と向かい合っており、そしてこれと、ターボ分子ポンプ段に後続する第一のホルベックポンプ段を形成する。外側のホルベックロータースリーブ163の半径方向内側面は、半径方向のホルベック間隙173を形成しつつ、内側のホルベックステータースリーブ169の半径方向外側面と向かい合っており、そしてこれと、第二のホルベックポンプ段を形成する。内側のホルベックステータースリーブ169の半径方向内側面は、半径方向のホルベック間隙175を形成しつつ、内側のホルベックロータースリーブ165の半径方向外側面と向かい合っており、そしてこれと、第三のホルベックポンプ段を形成する。
ホルベックロータースリーブ163の下側端部には、半径方向に延びるチャネルを設けることが可能である。これを介して、半径方向外側に位置するホルベック間隙171が、中央のホルベック間隙173と接続されている。更に、内側のホルベックステータースリーブ169の上側端部には、半径方向に延びるチャネルを設けることが可能である。これを介して、中央のホルベック間隙173が、半径方向内側に位置するホルベック間隙175と接続されている。これによって、入れ子式に接続される複数のホルベックポンプ段が互いにシリアルに接続される。半径方向内側に位置するホルベックロータースリーブ165の下側端部には、更に、アウトレット117への接続チャネル179を設けることが可能である。
ホルベックステータースリーブ163、165(Holweck-Statorhuelsen 163,165)の上述したポンプ効果を発揮する表面は、それぞれ、螺旋形状に回転軸線151の周りに設けられつつ軸方向に延びる複数のホルベック溝を有する。他方で、ホルベックロータースリーブ163、165のこれに向かい合ったジャケット面は、滑らかに形成されており、そして真空ポンプ111の作動のためのガスをホルベック溝内で前進される。
ローター軸153の回転可能な支承のため、ポンプアウトレット117の領域にローラー支承部181、およびポンプインレット115の領域に永久磁石支承部183が設けられている。
ローラー支承部181の領域には、ローター軸153に円錐形のスプラッシュナット185が設けられている。これは、ローラー支承部181の方に向かって増大する外径を有している。スプラッシュナット185は、作動媒体貯蔵部の少なくとも一つのスキマー(独語:Abstreifer)と滑り接触状態にある。作動媒体貯蔵部は、互いに積層された吸収性の複数のディスク187を有する。これらディスクは、ローラー支承部181のための作動媒体、例えば潤滑剤を染み込ませてある。
真空ポンプ111の作動中、作動媒体は、毛細管効果によって作動媒体貯蔵部からスキマーを介して回転するスプラッシュナット185へと伝達され、そして、遠心力によってスプラッシュナット185に沿って、スプラッシュナット185の増大する外径の方向へと、ローラー支承部181に向かって搬送される。そこでは例えば、潤滑機能が発揮される。ローラー支承部181と作動媒体貯蔵部は、真空ポンプ内において槽形状のインサート189と、支承部カバー145に囲まれている。
永久磁石支承部183は、ローター側の支承半部191と、ステーター側の支承半部193を有している。これらは、各一つのリング積層部を有している。リング積層部は、軸方向に互いに積層された永久磁石の複数のリング195、197から成っている。リングマグネット195,197は、半径方向の支承部間隙199を形成しつつ互いに向き合っており、その際、ローター側のリングマグネット195は半径方向外側に、そしてステーター側のリングマグネット197は半径方向内側に設けられている。支承部間隙199内に存在する磁場は、リングマグネット195,197の間の磁気的反発力を引き起こす。これは、ローター軸153の半径方向の支承を実現する。ローター側のリングマグネット195は、ローター軸153のキャリア部分201によって担持されている。これは、リングマグネット195を半径方向外側で取り囲んでいる。ステーター側のリングマグネット197は、ステーター側のキャリア部分203によって担持されている。これは、リングマグネット197を通って延びており、そしてハウジング119の半径方向支材205に吊架されている。回転軸線151に平行に、ローター側のリングマグネット195が、キャリア部分203と連結されるカバー要素207によって固定されている。ステーター側のリングマグネット197は、回転軸線151に平行に一つの方向で、キャリア部分203と接続される固定リング209によって、およびキャリア部分203と接続される固定リング211によって固定されている。その上、固定リング211とリングマグネット197の間には、さらばね213を設けることが可能である。
磁石支承部の内部には、緊急用または安全用支承部215が設けられている。これは、真空ポンプ111の通常の作動時には、非接触で空転し、そして、ローター149のための半径方向のストッパーを形成するために、ローター149がステーターに対して半径方向において過剰に偏移した際に初めて作用するに至る。なぜなら、ローター側の構造がステーター側の構造と衝突するのが防止されるからである。安全用支承部215は、潤滑されないローラー支承部として形成されており、そして、ローター149及び/又はステーターと半径方向の間隙を形成する。この間隙は、安全用支承部215が通常のポンプ作動中は作用しないことに供する。安全用支承部が作用するに至る半径方向の間隙は、十分大きく寸法設定されているので、安全用支承部215は、真空ポンプの通常の作動中は作用せず、そして同時に十分小さいので、ローター側の構造がステーター側の構造と衝突するのがあらゆる状況で防止される。
真空ポンプ111は、ローター149を回転駆動するための電動モーター125を有している。電動モーター125のアンカーは、ローター149によって形成されている。そのローター軸153はモーターステーター217を通って延びている。ローター軸153の、モーターステーター217を通って延びる部分には、半径方向外側に、または埋め込まれて、永久磁石装置を設けることが可能である。ローター149の、モーターステーター217を通って延びる部分と、モーターステーター217との間には、中間空間219が設けられている。これは、半径方向のモーター間隙を有する。これを介して、モーターステーター217と永久磁石装置は、駆動トルク伝達のため、互いに磁気的に影響することが可能である。
モーターステーター217は、ハウジング内において、電動モーター125のために設けられるモーター室137の内部に固定されている。シールガス接続部135を介して、シールガス(洗浄ガスとも称され、これは例えば空気や窒素であることが可能である)が、モーター室137内へと至ることができる。シールガスを介して電動モーター125は、プロセスガス、例えばプロセスガスの腐食性の部分に対して保護されることが可能である。モーター室137は、ポンプアウトレット117を介しても真空引きされることが可能である、つまりモーター室137は、少なくとも近似的に、ポンプアウトレット117に接続される予真空ポンプによって実現される予真空状態となっている。
モーター室137を画成する壁部221とローターハブ161の間には、更に、公知のいわゆるラビリンスシール223を設けることが可能である。特に、半径方向外側に位置するホルベックポンプ段に対してモーター室217をより良好にシールすることを達成するためである。
真空ポンプ111は、本発明の方法を実行するよう設定された、不図示の制御ユニットを有しているか、又はこれに接続されている。
真空ポンプ111は、そのために図3に図示されている温度センサー225を有している。温度センサー225は赤外線センサーとして構成されており、ラビリンスシール223の直前の領域においてローター軸153の表面温度を測定する。
適正な作動においては、モーター室137内においてシールガス接続部135からラビリンスシール223へ、そしてラビリンスシール223を通ってシールガス流が流れる。シールガスには、シールガスの流速が比較的大きいシール領域においてとりわけ、ローターを冷却する作用がある。
特に図示されていないが、シールガス接続部135には制御可能なシールガス弁が接続されている。このシールガス弁を介して、例えばエレクトロニクスハウジング123内に配置された制御ユニットが、シールガス流を例えばオン、オフにするなど、制御することができる。
流入したシールガスにより、ローターもしくはローター軸153が冷却される。この温度変化は、ローター温度の直接的な測定により直接的に確認され、本発明でいうところの測定偏差となる。本発明においては温度偏差を介して、ガスが予測通りに流れているかどうかが確認される。詰まり又はその他の理由でガス流がない場合(bei einem Verstopfen oder sonstigen Ausbleiben des Gasstroms)は、温度偏差がまったく確認されないか、又は予想温度偏差より低い温度偏差が確認される。適切な時間間隔でガス流のオン・オフを行うことにより、ガス流ユニットの機能性、ここではシールガス弁の機能性を定期的に点検すること、とりわけ監視することができる。とりわけ、ローター温度の直接的な測定により変化を素早く確認することができる。つまり長い時間スイッチをオフにする必要がないため、シールガスが持つ保護機能が停止される時間が長くなりすぎることがない。逆に、ガス流が確実に供給されている場合も、赤外線センサーの状態もしくは機能性が推論される。予想外の値(とりわけエラー)が確認された場合、そのエラーを確実に検出し、温度変化が起こらなかったことに対する他の因子の影響を除外することができるように、例えば適切な短い間隔で状態情報を繰り返し求めることができる。
111 ターボ分子ポンプ
113 インレットフランジ
115 ポンプインレット
117 ポンプアウトレット
119 ハウジング
121 下部分
123 エレクトロニクスハウジング
125 電動モーター
127 アクセサリー接続部
129 データインターフェース
131 電源供給接続部
133 注気インレット
135 シールガス接続部
137 モーター室
139 冷却媒体接続部
141 下側
143 ねじ
145 支承部カバー
147 固定穴
148 冷却媒体配管
149 ローター
151 回転軸線
153 ローター軸
155 ローターディスク
157 ステーターディスク
159 スペーサーリング
161 ローターハブ
163 ホルベックロータースリーブ
165 ホルベックロータースリーブ
167 ホルベックステータースリーブ
169 ホルベックステータースリーブ
171 ホルベック間隙
173 ホルベック間隙
175 ホルベック間隙
179 接続チャネル
181 ローラー支承部
183 永久磁石支承部
185 スプラッシュナット
187 ディスク
189 インサート
191 ローター側の支承半部
193 ステーター側の支承半部
195 リングマグネット
197 リングマグネット
199 支承部間隙
201 担持部分
203 担持部分
205 半径方向の支柱
207 カバー要素
209 支持リング
211 固定リング
213 さらばね
215 緊急用または安全用支承部
217 モーターステーター
219 中間空間
221 壁部
223 ラビリンスシール
225 温度センサー

Claims (11)

  1. 空ポンプ(111)内の、、真空ポンプ内におけるガス流路、及び/又は、温度センサー(225)に関する状態情報を求める方法であって、弁が、ガス流の制御及び/又は供給のために設けられており、以下のステップ:
    の第1動作状態において、温度に関するガス流の影響領域であるガス流領域内で第1温度測定値を温度センサー(225)を用いて測定するステップ;
    を、第1動作状態よりもわずかな、又は多くのガス流に割り当てられた第2動作状態に移すステップ;
    第2動作状態において、前記ガス流領域内で第2温度測定値を測定するステップ;
    第2温度測定値の、第1温度測定値からの測定偏差を求めるステップ;
    測定偏差を予想偏差と比較するステップ;
    比較に基づいて前記状態情報を求めるステップ、
    を有し、情報状態が、弁及び/又は温度センサーの機能性についての情報を含んでいる方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、予想偏差が、予想範囲を含んでいる方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法であって、測定偏差が予想偏差と一致する場合、適正な状態にあると推定され、及び/又は、測定偏差と予想偏差が一致しない場合は、不良状態にあると推定される、方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、温度センサー(225)がから離れて配置される、方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、温度センサー(225)が、ガス流領域内に配置された真空ポンプのローター軸(153)の表面温度を測定するように構成されている、方法。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の方法であって、がシールガス弁として構成されている、方法。
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載の方法であって、第2動作状態が、第1動作状態より少ないガス流に割り当てられている、方法。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載の方法であって、第2動作状態が、ガス流がオフの状態、及び/又は、止められた(gesperrt)状態に対応している、方法。
  9. 請求項1からのいずれか一項に記載の方法であって、前記状態情報が繰り返し求められる、方法。
  10. 請求項1からのいずれか一項に記載の方法であって、ガス流にシールガス、プロセスガス、又は、温度調節ガスが含まれる、方法。
  11. 真空ポンプ(111)であって、以下のもの:
    ガス流の制御及び/又は供給を行うための
    温度に関するガス流の影響領域であるガス流領域内の温度を求めるための温度センサー(225)、
    を制御することができ、温度センサー(225)を用いて温度を求めることができる制御ユニット、
    を有し、
    制御ユニットは、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するよう設定されている、真空ポンプ。
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