JP7096110B2 - 吸収性物品用凹凸不織布の製造方法 - Google Patents

吸収性物品用凹凸不織布の製造方法 Download PDF

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本発明は、吸収性物品用凹凸不織布の製造方法に関する。
不織布は、その液透過性や肌触りの良さから、吸収性物品の構成部材として用いられることが多い。吸収性物品に用いられる不織布についてこれまで物性等を改良する技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、不織布の風合いを改良する観点から、完成された不織布に対し、一対のロール間で特定の線圧及び温度にて加圧処理することが記載されている。
特許文献2には、ロール状に巻きまわされた繊維シートを繰り出してエアスルー方式で熱風を吹き付け、特定の線圧でカレンダー加工を施す加工方法が記載されている。同文献には、複数層を有する繊維シートの例として、2層を積層して凹凸賦形した後のもの(不織布)を加工対象とすることが記載されている。
特開昭60-126365号公報 特開2006-299480号公報
不織布の製造方法、特にエアスルー方式による製造方法においては、繊維を開繊しウェブ化する際に、繊維同士が絡まって不織布中に部分的に繊維塊(以下、ネップとも言う。)が形成されることがある。特に繊維径をより小さくするほど、前記繊維塊が生じやすくなる。この繊維塊は、そのまま熱風によるエアスルー加工工程を施されると、繊維同士の熱融着で硬化し、不織布の肌触りの低下の原因ともなり得る。
これに対し、従来は、前記特許文献1及び2に記載されているように、完成された不織布に対してカレンダー加工を行って、硬さを低減するようにしていた。しかし、カレンダー加工が一対のロール間に不織布を挟んで加圧する処理であるため、加工後の不織布は、厚みが薄くなりやすかった。
吸収性物品用不織布において、嵩高さと滑らかな肌触りとをいずれも更に改善し、これらを両立させて風合いを向上させることは、吸収性物品の着用感の向上の観点から強く望まれている。
本発明は、嵩高さと滑らかな肌触りとをいずれも優れたものとして両立させて、風合いを向上させた吸収性物品用不織布の製造方法に関する。
本発明は、上層ウェブを形成し、エアスルー加工を施して上層不織布を形成する工程と、前記上層不織布に熱収縮性繊維を含む下層ウェブを重ねて、該下層ウェブと前記上層不織布を部分的に接合する工程と、部分的に接合された前記上層不織布と前記下層ウェブとの積層体を熱処理して前記下層ウェブを熱収縮させて、前記上層不織布に凸部を備える凹凸不織布を形成する凹凸賦形工程とを有し、前記凹凸賦形工程における前記の熱処理する領域よりも上流側にて、下記(1)~(3)から選ばれる1又は複数のカレンダー加工工程を有する、吸収性物品用凹凸不織布の製造方法、を提供する。
(1)前記上層ウェブに対するカレンダー加工工程
(2)前記上層不織布に対するカレンダー加工工程
(3)部分的に接合された前記上層不織布と前記下層ウェブとの積層体に対するカレンダー加工工程
本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法によれば、嵩高さと滑らかな肌触りとをいずれも優れたものとして両立させて、風合いを向上させた吸収性物品用不織布を製造することができる。
本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法によって製造される吸収性物品用凹凸不織布の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造装置の好ましい一実施形態(第1実施形態)を示す概略構成図である。 第1実施形態におけるエアスルー加工部の別の好ましい実施態様を示す概略構成図である。 本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造装置の別の好ましい一実施形態(第2実施形態)を示す概略構成図である。 本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造装置の更に別の好ましい一実施形態(第3実施形態)を示す概略構成図である。
以下、本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法について、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の製造方法によって製造される吸収性物品用凹凸不織布の一例を、図1を参照して説明する。
図1に示す吸収性物品用凹凸不織布10(以下、単に凹凸不織布10とも言う。)は、上層1と下層2とを有する。上層1と下層2とは、厚み方向に圧搾形成されたエンボス凹部(凹状接合部)3によって部分的に接合されている。エンボス凹部3は凹凸不織布10の平面方向に複数、互いに離間して配されている。エンボス凹部3、3間において、上層1は凸部4を備える。すなわち、凹凸不織布10は、上層1の配された面1A側に凸部4とエンボス凹部3とによる凹凸形状を有する。ここで言う「上層」とは、上記の凸部4を備える側の層を意味するものであり、使用面を必ずしも意味しない。凹凸不織布10は、どちらの側の面を使用面とするかは目的に応じて適宜決めることができる。
下層2は熱収縮性繊維の熱収縮が発現した層である。この熱収縮の発現によって、上層1の凸部4が形成されている。具体的には次のとおりである。すなわち、上層1と下層2とを積層しエンボス凹部3を形成した後、熱処理によって下層2に含有される熱収縮性繊維を熱収縮させる。これによって下層2は収縮し、隣接するエンボス凹部3、3同士が平面方向に引っ張られ互いの離間距離が縮められる。このとき上層1の構成繊維は、上記の熱収縮によって、下層2の配された面1B側とは反対側の面側である面1A側(上層1の配された面1A側)に膨らみ、凸部4が形成される。
上層1の凸部4は、上記のような工程を経て形成され、繊維密度が下層2よりも粗にされている。凸部4の内部は、繊維で満たされていてもよく、中空部を有していてもよい。良好なクッション性を得る観点から、凸部4の内部が繊維で満たされていることが好ましい。また、凸部4の外形は、柔らかな肌触りとドライ感の観点から、ドーム状の三次元的な立体形状であることが好ましい。
凹凸不織布10は、本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法によって、凹凸形状による嵩高さが保持され、同時に、繊維塊部を潰して滑らかな肌触りを実現したものとなる。なお、前記「繊維塊部」とは、繊維層内において繊維が絡み合ってできた節(糸の塊)の部分を言う。
本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法によって製造される吸収性物品用凹凸不織布は、様々な吸収性物品における種々の構成部材に適用することができる。特に、吸収性物品を肌触りの良いものとする観点から、表面シートに適用することが好ましい。前述の凹凸不織布10は、上層1の配された面1A側、下層2の配された面1B側のいずれを吸収性物品の肌面側に向けてもよい。ただし、凹凸不織布10は、凸部4を有する上層1の配された面1A側を肌面側に向けて表面シートとして配すると、肌との接触面積が低減され、肌のべたつき感やムレ感が抑制されドライ感に優れたものとなり好ましい。なお、吸収性物品としては、例えば、おむつ、生理用ナプキン、尿とりパッド、パンティライナーなど、体に装着して体液を吸収する機能を備える種々のものを含む。
次に、本発明の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法について、上記の凹凸不織布10を製造するものとしてその好ましい実施形態に基づき説明する。ただし、積層する繊維の層は、2層(上層1及び下層2)に限定されるものではなく、3層以上の繊維層を積層するものであってもよい。以下、「吸収性物品用凹凸不織布の製造方法」を単に「製造方法」と省略して言うことがある。
本実施形態の製造方法は、下記工程601、工程602及び工程603を有する。
工程601:上層ウェブを形成し、エアスルー加工を施して上層不織布を形成する工程。
工程602:前記上層不織布に熱収縮性繊維を含む下層ウェブを重ねて、該下層ウェブと前記上層不織布を部分的に接合する工程。
工程603:部分的に接合された前記上層不織布と前記下層ウェブとの積層体を熱処理して前記下層ウェブを熱収縮させて、前記上層不織布に凸部を備える凹凸不織布を形成する凹凸賦形工程。
加えて、本実施形態の製造方法は、下記工程604を有する。
工程604:前記凹凸賦形工程における前記の熱処理する領域よりも上流に、下記(1)~(3)から選ばれる1又は複数のカレンダー加工工程を有する、吸収性物品用凹凸不織布の製造方法、を提供する。
(1)前記上層ウェブに対するカレンダー加工工程。
(2)前記上層不織布に対するカレンダー加工工程。
(3)部分的に接合された前記上層不織布と前記下層ウェブとの積層体に対するカレンダー加工工程。
本実施形態の製造方法においては、凹凸賦形工程における熱処理の前にカレンダー加工を行うため、凹凸賦形後の凸部4の嵩高さを損なうことなく、確実に繊維塊を潰して、滑らかな肌触りを実現することができる。加えて、事前に繊維塊を潰すため、凹凸賦形工程の熱処理による各層の収縮ないし変形が円滑に発現し、良好な凹凸賦形を実現することができる。すなわち、所望の高さ、形状及び大きさ等を有する凸部4を良好に形成することができる。また、本実施形態の製造方法においては、凹凸不織布の一貫した製造工程において繊維塊を潰すことができるため、凹凸不織布の製造後の繊維塊検査装置の導入を不要とし、製造コストの低減化を可能にする。さらに、製造後の検査処理や事後的なカレンダー処理を不要とするため、凹凸不織布の製造効率の向上を実現できる。
以下、本実施形態の製造方法について、前記(3)のカレンダー加工工程を実施する形態を第1実施形態、前記(2)のカレンダー加工工程を実施する形態を第2実施形態、前記(1)のカレンダー加工工程を実施する形態を第3実施形態として説明する。
図2は、第1実施形態の製造方法に好適に用いられる製造装置100が示されている。
製造装置100は、上流側から下流側に向かって、上層不織布の原料となる繊維71の開繊部101、上層ウェブ81を形成するカーディング部103、上層ウェブ81から上層不織布83を形成するエアスルー加工部107を有する。これとは別ラインとして、熱収縮性繊維を含む繊維72の開繊部102、下層ウェブ82を形成するカーディング部104を有する。
さらに、製造装置100は、上層不織布83と下層ウェブ82とを積層して、厚み方向に部分的に圧搾して接合するエンボス加工部105、エンボス加工された上層不織布83と下層ウェブ82との積層体90に対してカレンダー加工を行うカレンダー部106、カレンダー加工を施した積層体90に対する熱収縮加工部108を具備する。
製造装置100において、前記工程601は、開繊部101、カーディング部103及びエアスルー加工部107において行われる。前記工程602は、開繊部102及びカーディング部104を伴って、エンボス加工部105において行われる。前記工程603は、熱収縮加工部108において行われる。
製造装置100において、前記工程604は、エンボス加工部105と熱収縮加工部108との間に配置されたカレンダー部106において行われる。これにより、前記工程604を、前記工程603の凹凸賦形工程における熱処理よりも前に実施する。
開繊部101及び102はそれぞれ、上層ウェブ81及び下層ウェブ82の原料となる繊維を開繊して次のカーディング部103及び104それぞれへと送り出す装置を有する。図2においては、開繊部101に繊維71を投入して開繊し(矢印171)、開繊部102に繊維72を投入して開繊する(矢印172)ものとして示している。原料となる繊維としては熱可塑性繊維を用いることが好ましい。少なくとも開繊部101で開繊する繊維71は、上層ウェブ81をエアスルー加工によって不織布化して上層不織布83を形成するため、熱可塑性繊維を含む。開繊部102で開繊する繊維72は、下層ウェブ21の原料となる繊維として熱収縮性繊維を含む。繊維72は、更に熱可塑性繊維を含んでいてもよい。
熱可塑性繊維としては、不織布に用いられる種々のものを用いることができる。例えば、芯鞘構造であって、鞘の樹脂成分が芯の樹脂成分よりも融点が低い複合繊維などが挙げられる。熱収縮性繊維としては、上記の凸部4を形成し得る熱収縮性を有する種々のものを用いることができる。例えば、潜在的捲縮性繊維が挙げられ、特開2002-187228号公報の段落[0033]及び[0034]に記載のものなどが挙げられる。
本実施形態の製造方法において、繊維が細くなるほど製造される凹凸不織布10は滑らかな触感となるため、用いる繊維の繊維径は20μm以下が好ましく、15μm以下が更に好ましく、12μm以下がより好ましい。また、製造される凹凸不織布10をさらさらした触感とする観点、カレンダー加工工程及び凹凸賦形加工工程を経て製造される前記凹凸不織布10の厚みを出しやすくする観点から、用いる繊維の繊維径は3μm以上が好ましく、6μm以上が好ましく、9μm以上がより好ましい。
カーディング部103及び104では、開繊部101及び102それぞれで開繊された繊維を受け取って(矢印173及び174)、上層ウェブ81及び下層ウェブ82を形成する。具体的には、開繊部101及び102で開繊された繊維の集合体をくしけずって更に開繊し、シート状のウェブを形成する。カーディング部103では上層ウェブ81を形成し、カーディング部104では熱収縮性繊維を含んだ下層ウェブ82を形成する。
カーディング部103及び104においては、不織布の製造に通常用いられる種々のカード機を特に制限なく用いることができる。例えば、パラレルカード機、セミランダムカード機、ランダムカード機、パラレルカード機にクロスレイヤー及びドラフターを組み合わせたもの等が挙げられる。また、カード機には、鋸歯状のメタリックワイヤーで覆われたメインシリンダーロール、ワーカーロール及びストリッパーロールの3種類のロールを備えたものが挙げられる。メインシリンダーロールとワーカーロール及びストリッパーロールの間で繊維の集合体をくしけずって開繊を行うことができる。
エアスルー加工部107は、カーディング部103において形成された上層ウェブ81に対して、熱風によるエアスルー加工を施し、上層不織布83を形成する。
具体的には、エアスルー加工部107は、フード107Aと、該フード107A内を周回する通気性ネットを備えたコンベアベルト107Bとを有する。フード107A内において、上方からコンベアベルト107Bに向けて熱風が吹き付けられるようになっている(図2に示す矢印F)。コンベアベルト107Bでは前記通気性ネットによって、吹き付けされた熱風が吹き抜けるようにされている。カーディング部103において形成された上層ウェブ81は、搬出ベルト103Aによって、エアスルー加工部107へと搬送される。エアスルー加工部107では、上層ウェブ81をコンベアベルト107Bによってフード107A内へと搬送する。フード内107A内の上層ウェブ81に対して上方から厚み方向に、所定温度に加熱された熱風を貫通方式で吹き付ける。このようにして上層ウェブ81に対してエアスルー加工が施され、上層不織布83が得られる。
エアスルーの熱風温度が高いほど凹凸不織布の強度が高くなるが、該強度が高いほど凹凸不織布の風合いが硬くなる。そのため、布としての十分な強度と柔らかな風合いを得るためには、エアスルーの熱風温度は、熱可塑性繊維の鞘側の樹脂の融点+30℃以下が好ましく、より好ましくは+25℃以下、さらに好ましくは+20℃以下であり、また、布として十分な強度を担保するため、熱可塑性繊維の鞘側の樹脂の融点+0℃以上が好ましく、より好ましくは+3℃以上、さらに好ましくは+6℃以上である。
第1実施形態の製造方法においては、上記の開繊部101とカーディング部103とで繊維71に複数回の開繊処理を施して上層ウェブ81を形成し、エアスルー加工部107でエアスルー加工を施して上層不織布83を形成する工程(工程601)を行う。
エンボス加工部105では、上層不織布83に下層ウェブ82を重ねて得た積層体90に対して厚み方向に部分的に圧搾する。これにより、下層ウェブ82と上層不織布83とを部分的に接合する。
具体的には、カーディング部104にて形成した熱収縮性繊維を含む下層ウェブ82を搬出ベルト104Aによって搬出し、エアスルー加工部107にて形成された上層不織布83上に載置する。次いで、上層不織布83と下層ウェブ82との積層体90を一対のエンボスロール105A及び105Bの間に導入して、部分的な接合処理を行う。この接合部分が前述したエンボス凹部(凹状接合部)3となる。エンボス凹部3は、積層体90の平面方向に複数、互いに離間して形成する。エンボスロール105A及び105Bのうち少なくとも一方のロールが、エンボスピンを所定パターンで配置した周面を備えたものを用いることができる。エンボス加工としては、例えばヒートエンボス加工や超音波エンボス加工など通常用いられる方法で行うことができる。エンボス加工部105におけるエンボスパターンは、目的に応じて種々の態様を採用することができる。例えば、特開2011-15707号公報に記載のパターン(例えば同文献の図1~8に記載のパターン)、特開2015-186543号公報に記載のパターン(例えば同文献の図1~13に記載のパターン)、特開2009-512号公報に記載のパターン(例えば同文献の図1~10に記載のパターン)が好ましい。なかでも、特開2015-186543号公報に記載のパターン(例えば同文献の図1~13に記載のパターン)がより好ましい。
このように第1実施形態の製造方法においては、開繊部102及びカーディング部104を伴って、上層不織布83に熱収縮性繊維を含む下層ウェブ82を重ねた後、該下層ウェブ82と上層不織布83とを部分的に接合する工程(工程602)を行う。
次いで、カレンダー部106では、エンボス加工を施した積層体90を一対のカレンダーロール106A及び106Bの間に挟んで加圧するカレンダー加工を行う。ここで用いるカレンダーロール106A及び106Bは周面が平滑なロールであり、少なくとも一方のロールは硬質の材質からなることが好ましい。また、カレンダー加工は1回のみに限らず、2回以上行ってもよい。
カレンダー加工工程における線圧、すなわち、カレンダーロール106Aと106Bとによって挟圧される積層体90に加わる線圧が、不織布製造工程の全工程において上層ウェブ81、上層不織布83、下層ウェブ82、積層体90及び凹凸不織布10に対する全てのロールによって加えられる線圧の中で、最も高いことが好ましい。ここで言う全てのロールとは、前述のカレンダーロール106A及び106Bのほかに、不織布製造工程の全製造工程において用いられる全てのロールを意味する。例えば、熱処理後の不織布搬送の為のニップロールや巻取時のニップロールやプレスロール、その後のスリット時のプレスロールなどが挙げられる。これにより、カレンダー加工工程以外のところでは、ウェブや不織布を潰さずに搬送することが可能になる。
カレンダー加工工程において、積層体90に加える線圧は、繊維塊部を潰して硬さを効果的に低減する観点から、20N/cm以上が好ましく、100N/cm以上がより好ましく、180N/cm以上が更に好ましい。また、前記線圧は、不織布の嵩高さと風合いとを維持する観点から、700N/cm以下が好ましく、500N/cm以下がより好ましく、250N/cm以下が更に好ましい。
カレンダー部106で用いる一対のカレンダーロール106A及び106Bは、周面が平滑なロールである。その素材はカレンダー加工に用いられる種々のものを用いることができる。また、カレンダーロール106Aの素材とカレンダーロール106Bの素材とが同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
その中でも、カレンダー加工に用いるカレンダーロールは、繊維塊部を潰し、該繊維塊部の硬さを低減する効果をより高める観点から、樹脂ロールと鋼体ロールとの組み合わせであることが好ましい。第1実施形態のカレンダー加工においては、カレンダーロール106Aは、積層体90の下層ウェブ82に当接するものとして、鋼体ロールであることが好ましい。カレンダーロール106Bは、積層体90の上層不織布83に当接するものとして、樹脂ロールであることが好ましい。
前記樹脂ロールの硬度は、繊維塊部を潰し硬さを低減する効果をより高める観点から、D硬度(JIS K6252)において20度以上が好ましく、50度以上がより好ましく、75度以上が更に好ましい。また、前記樹脂ロールの硬度は、繊維塊を潰しながらも、対抗する鋼体ロールへのダメージを出来る限り低減させる観点から、D硬度(JIS K6252)において100度以下が好ましく、95度以下がより好ましく、90度以下が更に好ましい。
カレンダー部106によるカレンダー加工工程を、熱収縮加工部108による凹凸賦形工程の前に行うことにより、積層体90に含まれる繊維塊部を押し潰して、硬さを低減して、滑らかな肌触りを実現することができる。すなわち、繊維塊のある位置の積層体90、製造される凹凸不織布10の表面の摩擦係数を低減することができる。第1実施形態においては、繊維の移動が制限された状態で繊維塊部が押しつぶされることで、摩擦係数がむしろ小さくなったと考えられる。この点に関し、積層体90の繊維は、機械流れ方向(Machine Direction。以下、MD方向ともいう。)への配向が比較的強くなりやすい。その状態で移動が制限された繊維は、前記機械流れ方向に直交する幅方向(Cross Direction。以下、CD方向ともいう。)に潰れやすくなる。そのため、MD方向では繊維の配向方向によってもともと摩擦が抑えられやすく、CD方向ではカレンダー加工によって摩擦係数の低減が生じやすい。加えて、CD方向における摩擦係数の低減は、本発明の製造方法によって得られる吸収性物品凹凸不織布が吸収性物品の表面シート等の肌に触れる部材に適用された際に、滑らかな肌触り等の良好な着用感の効果の実感が得られやすい。すなわち、吸収性物品を着用者の股下から腹側及び背側へと沿わせて装着した際、股下を繋ぐ方向へのズレが大きくなりやすく、これは前記吸収性物品凹凸不織布におけるCD方向に一致する方向となる。特に、生理用ナプキンにおいては、ズレ止めホットメルトで下着に固定されるため、MD方向のズレよりはCD方向のズレの方が生じやすい。そのため、吸収性物品凹凸不織布におけるCD方向の摩擦係数の低減は、吸収性物品における滑らかな肌触り等の良好な着用感の効果の実感が得られやすい。
さらに、上流のエンボス加工部105におけるエンボス加工を施す際に、繊維が溶融圧着されることでエンボス端部に引っ掛かりやすい部分が形成されることがある。その引っ掛かりやすい部分が、次の熱収縮加工部108によって凹凸賦形される前(エンボス端部が窪む前)にカレンダー加工で確実に潰され、滑らかになり、前記摩擦係数の低減に寄与するものと考えられる。
加えて、上層不織布83においては繊維塊部による繊維の乱れが軽減される。これにより、次の熱収縮加工部108による凹凸賦形工程において、良好な凸部3を形成することができる。下層ウェブ82においては、繊維塊部による熱収縮性繊維の乱れを抑制して、熱収縮する前における繊維間の間隔が好適に広げられる。これにより、次の熱収縮加工部108による凹凸賦形工程において、所望の熱収縮を好適に発現させることができる。
熱収縮加工部108では、カレンダー加工を施した積層体90に対して、熱風を上下から吹き付けて、下層ウェブ82に含まれる熱収縮性繊維を熱収縮させる。
具体的には、熱収縮加工部108は、フード108Aと、フード108A内の上下に2つずつ合計4つの熱風吹き付け部108C、D、E及びFとを有する。これにより、エンボス凹部3によって部分的に接合された上層不織布83及び下層ウェブ82の積層体90に対し両面から熱風を吹き付けることができる(図2における矢印F8及びF9)。ただし、熱風吹き付け部は4つに限定されることなく、適宜設定できる。
このような熱風吹き付けによって、前述したとおり、下層ウェブ82が平面方向に収縮し、積層体90の隣接するエンボス凹部3、3間の離間距離が縮められる。これに伴って上層不織布83では、エンボス凹部3,3間において構成繊維が、下層ウェブ82の配された面側とは反対側の面側に膨らみ、凸部4を形成する。このようにして凹凸賦形が行われ、上層不織布83の配された面側に凹凸形状を備えた凹凸不織布10を形成することができる。
熱収縮のための熱風の温度は、製造される凹凸不織布10の風合いを良好にする観点から、上層不織布83の繊維に使用されている樹脂の融点よりも低くすることが好ましい。具体的には、熱収縮加工のための熱風の温度は、130℃以下が好ましく、125℃以下がさらに好ましく、120℃以下がさらに好ましい。また、熱収縮を首尾よく行い、凹凸化させ、風合いを付与する観点から、熱収縮のための熱風の温度は、90℃以上が好ましく、95℃以上が好ましく、100℃以上がさらに好ましい。この熱風は不織布を通過させてもよいし、通過させずに、両面や片面のみに吹くだけでもよい。
以上のとおり、本実施形態の製造方法においては、上層不織布83と下層ウェブ82との積層体90に対して、カレンダー部106で先にカレンダー加工工程を行い(工程604の(3))、その後、熱収縮加工部108によって熱処理による凹凸賦形工程を行う(工程603)。
第1実施形態の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法においては、これらの工程601、工程602、工程603及び工程604を実行することによって、嵩高さと滑らかな肌触りとをいずれも優れたものとして両立させて風合いを向上させた吸収性物品用凹凸不織布を製造することができる。また、第1実施形態の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法によれば、所望の凸部を精度よく形成して、上記の吸収性物品用凹凸不織布を効率的に製造することができる。製造された吸収性物品用エアスルー不織布10は、必要によりロール状に巻き取られる。
さらに第1実施形態において、エアスルー加工部107によるエアスルー加工は、複数のエアスルー処理を有することが好ましい。
図3は、第1エアスルー処理部117と第2エアスルー処理部127とを有するエアスルー加工部の態様を示している。この態様では、エアスルー加工を、第1エアスルー処理と第2エアスルー処理の2回行う。ただし、エアスルー処理の回数は、図3の2回に限らず、3回以上であってもよい。エアスルー加工が3回以上のエアスルー処理を有する場合、「最初のエアスルー処理」に対する「後段のエアスルー処理」は、2回目以降のエアスルー処理を意味する。図3の2回のエアスルー処理において、「最初のエアスルー処理」とは第1エアスルー処理であり、「後段のエアスルー処理」とは第2エアスルー処理を意味する。図3に示すエアスルー工程(2回のエアスルー処理)では、第1エアスルー処理部117のフード107Cにおいて熱風吹き付けを行い(矢印F1)、第2エアスルー処理部127のフード107Dにおいて熱風吹き付けを行う(矢印F2)。このとき、コンベアベルト107Bによって、上層ウェブ81を第1エアスルー処理部117から第2エアスルー処理部127へと連続的に搬送する。これにより、第1エアスルー処理と第2エアスルー処理とを上層ウェブ81に対して連続的に施す。
前記エアスルー工程においては、最初のエアスルー処理よりも後段のエアスルー処理の方が熱風の風速が速いことが好ましい。これにより、最初のエアスルーが遅いことで厚みを潰さずに、不織布を形成しながら熱処理により厚みを嵩高くすることが可能で、その後のエアスルー処理によって、嵩高な不織布を十分に熱融着させ、所望の嵩高で滑らかな風合いを実現することが出来る。
具体的には、最初のエアスルー処理における熱風の風速S1は、0.4m/sec以上が好ましく、0.5m/sec以上がより好ましく、0.6m/sec以上が更に好ましい。これにより、安定的にエアスルー炉内にエアーを循環させながらも、厚みを潰さずに不織布を形成しつつ、その厚みを回復することができる。
また、最初のエアスルー処理における熱風の風速S1は、1.2m/sec以下が好ましく、1m/sec以下がより好ましく、0.8m/sec以下が更に好ましい。これにより、不織布を潰しながら熱融着をさせることがなくなるため、不織布が嵩高くなりやすい。
後段のエアスルー処理における熱風の風速S2は、1.2m/sec以上が好ましく、1.3m/sec以上がより好ましく、1.4m/sec以上が更に好ましい。これにより、十分な強度を有するエアスルー不織布を作製することが出来る。
また、後段のエアスルー処理における熱風の風速S2は、2m/sec以下が好ましく、1.8m/sec以下がより好ましく、1.6m/sec以下が更に好ましい。これにより、嵩高さを維持しながら柔らかな風合いのエアスルー不織布作製することができる。
最初のエアスルー処理における熱風の風速S1と後段のエアスルー処理における熱風の風速S2との差S3(=S2-S1)は、0.2m/sec以上が好ましく、0.4m/sec以上がより好ましく、0.6m/sec以上が更に好ましい。これにより、最初のエアスルー処理が緩やかになることで、不織布を嵩高く作製することが可能になる。
また、最初のエアスルー処理における熱風の風速S1と後段のエアスルー処理における熱風の風速S2との差S3(=S2-S1)は、1m/sec以下が好ましく、0.9m/sec以下がより好ましく、0.8m/sec以下が更に好ましい。これにより、極端な風速差によるエアスルー不織布の地合い不良を抑制したり、連続生産性を担保したりすることが出来るようになる。
また、前記エアスルー工程においては、最初のエアスルー処理よりも後段のエアスルー処理の方が熱風の温度が高いことが好ましい。これにより最初のエアスルーで厚みを回復させ、後段のエアスルーでしっかり熱融着をさせることで、強度なども十分に担保しながら嵩高でなめらかな不織布を作製させることが出来る。
具体的には、最初のエアスルー処理における熱風の温度P1は、85℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましく、105℃以上が更に好ましい。これにより、熱可塑性繊維のガラス転移点を上回ることで繊維を軟化させて、不織布厚みを回復させやすくなる。
また、最初のエアスルー処理における熱風の温度P1は、136℃以下が好ましく、125℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。これにより、エアスルー不織布の熱融着を促進させ過ぎず、不織布厚みが潰れたり、不織布の風合いが極端に悪化させずに不織布を作製することができる。
後段のエアスルー処理における熱風の温度P2は、130℃以上が好ましく、133℃以上がより好ましく、136℃以上が更に好ましい。これにより、十分に熱融着したエアスルー不織布を作製することが可能になる。
また、後段のエアスルー処理における熱風の温度P2は、150℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましい。これにより、過剰な熱融着を抑制することで滑らかな風合いを持つ不織布を作製することができる。
最初のエアスルー処理における熱風の温度P1と後段のエアスルー処理における熱風の温度P2との差P3(=P2-P1)は、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上が更に好ましい。これにより、熱融着による風合いの悪化を抑制しつつ厚みを回復した不織布を作製することが可能となる。
また、最初のエアスルー処理における熱風の温度P1と後段のエアスルー処理における熱風の温度P2との差P3(=P2-P1)は、41℃以下が好ましく、31℃以下がより好ましく、21℃以下が更に好ましい。これにより、エアスルーの強度を落とさずに厚みを回復した不織布を作製することが可能となる。
次に、図4及び5を参照して、第2実施形態の製造方法及び第3実施形態の製造方法について説明する。
第2実施形態の製造方法及び第3実施形態の製造方法はそれぞれ、第1実施形態の製造方法と、カレンダー部106によるカレンダー加工工程(工程604)を行う段階が異なり、該加工を施す対象が異なる。以下、第1実施形態の製造方法との相違点のみを説明し、第1実施形態の製造方法と共通する部分については同一の符合を付しその説明を省略する。
第2実施形態の製造方法においては、カレンダー加工工程を、エアスルー加工を経て得られた上層不織布83に対して行う(工程604の(2))。すなわち、積層体90に組み込まれる前の単独の上層不織布83に対して行う。図4に示す製造装置100では、カレンダー部106がエアスルー加工部107の下流であって、カーディング部104から搬出される下層ウェブ82との合流地点よりも上流に配置されて、上層不織布83のみに対してカレンダー加工を行うようにされている。このように上層不織布83に対してカレンダー加工を行うことによって、繊維塊部を直接的に押し潰すことができる。また、その後の凹凸賦形工程における凸部4の形成を良好にすることができる。
第2実施形態の製造方法において、カレンダーの線圧、ロールの素材及びD硬度等の条件については、第1実施形態と同様のものとすることができる。ただし、上層不織布83に対してカレンダー加工を行うことを鑑みて、繊維塊部の効果的な潰れの実現の観点から下記のようにすることが好ましい。すなわち、エアスルー後の十分に冷却された不織布にカレンダー加工をかけることが望ましい。これにより、冷却された繊維自体はカレンダー加工により潰されることが無く、不織布の中でも硬い繊維塊部のみを効率的に潰すことが可能になる。
また、第2実施形態の製造方法において、エアスルー加工のエアスルー処理の回数並びに熱風の風速及び温度等の条件についても第1実施形態と同様のものとすることができる。ただし、上層不織布83に対してカレンダー加工を行うことを鑑みて、繊維塊部の効果的な潰れの実現の観点から下記のようにすることが好ましい。すなわち、カレンダー前の熱処理温度は、熱融着するのに十分な温度が必要だが、前述の上限以下とすることが好ましい。これにより、エアスルー後に素早く不織布の温度が低下し、硬い繊維塊部を効率的に潰すことが可能になる。
第3実施形態の製造方法においては、カレンダー加工工程を、エアスルー加工が施される前の上層ウェブ81に対して行う(工程604の(1))。図5に示す製造装置100では、カレンダー部106がエアスルー加工部107の上流であって、カーディング部103から上層ウェブ81が搬出される地点の下流に配置されて、上層ウェブ81のみに対してカレンダー加工を行うようにされている。
上層ウェブ81に対してカレンダー加工を行う場合、構成繊維は、エアスルー加工による繊維同士の融着固定がされる前の状態あるため大きく移動しやすい。そのため、繊維塊部をより効果的に潰すことができる。すなわち、第3実施形態のカレンダー加工においては、繊維同士の融着部における繊維の剥離や破壊等を生じさせる虞が無く、繊維の状態を良好に保ったまま繊維塊部に集まる繊維を好適に離散させ(繊維間の間隔を広げ)、繊維塊部をより良好に効果的に潰すことができる。これにより繊維塊部の硬さ低減効果が高くなる。また、上層ウェブ81に対してカレンダー加工を行うため、その後のエアスルー加工を不織布厚みの回復加工処理として活用することが可能になる。すなわち、この順に行う加工工程が、上層ウェブ81の厚みを回復させて、より嵩高い上層不織布83を形成するのに有意である。こられにより、その後の凹凸賦形工程における凸部4の形成も更に良好になされ好ましい。
第3実施形態の製造方法において、カレンダーの線圧、ロールの素材及びD硬度等の条件については、第1実施形態と同様のものとすることができる。ただし、上層ウェブ81に対してカレンダー加工を行うことを鑑みて、繊維塊部の効果的な潰れの実現の観点から下記のようにすることが好ましい。すなわち、エアスルー炉から2m以上離間させて処理することが望ましい。これにより、処理されたウェブが、自然回復する時間を付与することが可能になり、厚みが回復しやすくなり、嵩高で滑らかな風合いを付与しやすくなる。
また、第3実施形態の製造方法において、エアスルー加工のエアスルー処理の回数並びに熱風の風速及び温度等の条件についても第1実施形態と同様のものとすることができる。ただし、上層ウェブ81に対してカレンダー加工を行うことを鑑みて、繊維塊部の効果的な潰れの実現の観点から、図3を参照して説明したように、複数のエアスルー処理を行う工程であることが好ましい。また、複数のエアスルー処理について前述した、熱風の風速及び温度に関する好ましい条件を採用することが好ましい。この複数のエアスルー処理は、その前段の上層ウェブ81に対してカレンダー加工(ウェブカレンダー加工ともいう。)との組み合わせによって、加圧された上層ウェブ81の厚み回復をより効果的にし、その後の凹凸賦形工程をより良好なものとする。特に、第3実施形態のウェブカレンダー加工後のエアスルー加工工程では、過度の熱融着を抑えて滑らかな風合いを得る観点から、最初のエアスルー処理を低温低風速で行うことが好ましい。最初のエアスルー処理における熱風の温度P1は105℃以下が好ましい。最初のエアスルー処理における熱風の風速S1は0.8m/sec以下が好ましく、0.4m/sec以下がより好ましい。具体的には、最初のエアスルー処理における熱風の温度P1を105℃以下、風速S1を0.8m/sec以下とすることが好ましく、熱風の温度P1を105℃以下、風速S1を0.4m/sec以下とすることがより好ましい。また、この場合の最初のエアスルー処理の熱風と後段のエアスルー処理の熱風との間の温度及び風速の差(P3、S3)は、第1実施形態で示した範囲において適宜に好適に設定することができる。
本発明の吸収性物品用凹凸不織布製造方法においては、前述の第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態それぞれのカレンダー加工(前記工程604の(1)、(2)、(3))を適宜組み合わせて、複数の工程段階でカレンダー加工を行うようにしてもよい。また、それぞれのカレンダー加工(前記工程604の(1)、(2)、(3))について複数回行ってもよい。
本発明の吸収性物品用凹凸不織布製造方法によって製造された凹凸不織布は、吸収性物品の製造工程において、その目的に応じて吸収性物品における所定の構成部材として組み込まれる(組み込み工程)。該組み込み工程は、例えば次のような工程であることが好ましい。すなわち、製造された吸収性物品用エアスルー不織布を、目的に応じた大きさや形状に裁断するなどして調製し、他の構成部材に対して所定位置に載置する。次いで、必要に応じて他の部材と共に回転、折り畳みを行い、接合して吸収性物品に組み込む。このように、吸収性物品の製造工程で、本発明の吸収性物品用エアスルー不織布を組み込む工程を経て、目的の吸収性物品を製造する。
その中でも、製造された吸収性物品用凹凸不織布は、嵩高さと滑らかな肌触りとをいずれも優れたものとして両立させて風合いを向上させたものであることから、前記組み込み工程が、吸収性物品の肌面側の最外層の部材(例えば表面シートやサイドシート)に組み込む工程であることが好ましい。特に、肌に触れる表面シートとして吸収性物品に組み込む工程であることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
図2に示す製造装置を用い、加工速度10m/minにて、下記に示すとおり実施例1の凹凸不織布試料を作製した。
まず、上層1を形成する繊維71として、繊維径1.35dtexの芯鞘型(芯がポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、鞘がポリエチレン(PE)樹脂)の熱可塑性繊維を用いた。この繊維71を用いて、開繊部101及びカード部103において複数回の開繊処理を施し、坪量10g/mの上層ウェブ81を作製した。また、下層2を形成する繊維72として、繊維径2.3dtexの芯鞘型(芯がポリエチレンテレフタレート樹脂、鞘が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂)の熱収縮性繊維を用いた。この繊維72を用いて、開繊部102及びカード部104において複数回の開繊処理を施し、坪量15g/mの下層ウェブ82を作製した。
上層ウェブ81に対して、エアスルー加工部107において、図3に示す2回のエアスルー処理を施すエアスルー加工を行った。第1エアスルー処理の風速及び温度は表1に示すものとし、第2エアスルー処理の熱風の温度は136℃、熱風の風速は1.2m/secとした。これにより、上層不織布83を作製した。
これら上層不織布83と下層ウェブ82とを積層し、この積層体に対し、エンボス加工部105によるエンボス加工を施して、両層を部分的に接合した。このエンボス加工は、加工速度1.3m/sec、線圧34N/cmの条件で行った。エンボスパターンは特開2015-186543号公報の図4に記載のものとした。
部分的に接合された上層不織布83と下層ウェブ82との積層体90に対し、カレンダー部106にてカレンダー加工(工程603の(3))をおこなった。上側のカレンダーロール106Aを鋼体ロールとし、下側のカレンダーロール106BをD硬度90度の樹脂ロールとした。これらのカレンダーロール106A及び106Bを用いて、加える線圧を200N/cmとした。
次いで、カレンダー加工を施した積層体90に対し、熱収縮加工部108にて、熱風の温度105℃、熱風の風速1.2m/secの熱処理を行って下層ウェブ82の熱収縮を発現させて凹凸賦形を行った。これにより、実施例1の凹凸不織布試料を得た。
(実施例2)
カレンダー部106によるカレンダー加工を、図4に示す上層ウェブ81から形成された上層不織布83に対して行った(工程603の(2))以外は、実施例1と同様にして実施例2の凹凸不織布試料を作製した。
(実施例3~7)
カレンダー部106によるカレンダー加工を、図5に示す上層ウェブ81に対して行い(工程603の(1))、その後のエアスルー加工における、第1エアスルー処理の風速及び温度を表1に示すものとした以外は、実施例1と同様にして実施例3~7の凹凸不織布試料をそれぞれ作製した。
(比較例1)
カレンダー加工を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の凹凸不織布試料を作製した。
(比較例2)
凹凸賦形を行って得た凹凸不織布に対し、上側の鋼体ロールと下側の樹脂ロール(D硬度:90度)との一対のカレンダーロールを用いて線圧200N/cmのカレンダー加工を行った以外は、比較例1と同様にして、比較例2の凹凸不織布試料を作製した。
(試験)
[1]0.05kPa荷重下の不織布試料の厚み測定(嵩高性)
嵩高さは厚みとして評価した。厚みが厚いほど嵩高であることを示す。レーザー式厚み計としてオムロン株式会社製のレーザーセンサ(型番ZS-LD80)及びコントローラー(型番ZS-LDC11)を用いて測定した。
厚み測定の際には、レーザーセンサの先端部と測定対象の不織布試料との間に重り(0.05kpa)を配置して、斯かる加圧状態の厚みを測定した。測定は、それぞれ5点以上行い、それらの平均値とした。なお、0.05kPaは、人間が柔らかさ(特にクッション感)を感じる時の荷重を想定した荷重である。
[2]摩擦
滑らかな肌触りは摩擦係数として評価した。表面試験機KES-FB4(商品名、カトーテック株式会社製)を用い、各凹凸不織布試料の上層側の面(凸部4の配された面)についてSENS:2×5、荷重4.9kPa/mの条件にて、繊維塊部が配置された位置及び繊維塊部が配置されていない位置におけるMMD値を測定した。不織布の製造時におけるMD方向に直交するCD方向における摩擦係数を測定した。測定はそれぞれ3点以上行い、それらの平均値とした。MMD値は、平均摩擦係数の標準偏差であり、値が大きいほど表面はざらざらして風合いが悪く、小さいほどが滑らかであり風合いが良いと評価される。
Figure 0007096110000001
表1に示すとおり、カレンダー加工を施している、実施例1~7の不織布のCD方向におけるMMD(摩擦係数の標準偏差)が、比較例1に比べて、低くなっていることが分かった。CD方向は、前述のとおり、生理用ナプキン等の吸収性物品におけるズレの生じやすい方向(股下を繋ぐ方向)に一致する。そのため、CD方向のMMDの低減は、着用者が実感し得る滑らかさ等の良好な着用感に繋がる効果を示している。また、表1に示されたMMDの低減の幅は、着用者の股下などのデリケートな部分における違和感を低減し、滑らかさを実感できる大きな効果を示している。
加えて、実施例1~7においては、熱収縮による凹凸賦形加工の前にカレンダー加工を施すことによって、凹凸賦形加工後にカレンダー加工を施した比較例2に比べて、不織布厚みが大きくなっていることがわかった。
また、実施例1~7におけるMMDの値について、上層ウェブや上層不織布のみへのカレンダー加工(実施例2~7)よりも、より上層繊維が動きにくい積層エンボス不織布へのカレンダー加工(実施例1)の方が、CD方向のMMDが低下していた。実施例1では、エンボス加工の後にカレンダー加工を行うことがMMD低減に寄与したものと考えられる。すなわち、エンボス加工を施す際に繊維が溶融圧着されることでエンボス端部に引っ掛かりやすい部分が形成されCD方向のMMDが大きくなる。しかし、それがカレンダー加工で潰され、滑らかになることで、エンボス後にカレンダー加工されていない実施例2~7よりも、MMDが小さく肌触りが優れる結果となった。また、実施例1~7において、CD方向は、今回のエンボス柄の場合、凹凸が少なくなるため、より繊維塊部の影響が数字に出やすくなっていたことが影響したものと考えられる。
さらに、実施例3~7において行った2段階のエアスルー処理では、第1エアスルー処理の熱風の温度と風速を第2エアスルー処理の熱風の温度と風速よりも低くする程、CD方向のMMDが低下する傾向であった。
1 上層
2 下層
3 エンボス凹部(凹状接合部)
4 凸部
10 吸収性物品用凹凸不織布
100 吸収性物品用凹凸不織布の製造装置
101、102 開繊部
103、104 カード部
105 エンボス加工部
106 カレンダー部
106A、106B カレンダーロール
107 エアスルー加工部
117 第1エアスルー処理部
127 第2エアスルー処理部
108 熱収縮加工部
71、72 原料繊維
81 上層ウェブ
82 下層ウェブ
83 上層不織布
90 積層体

Claims (8)

  1. 上層ウェブを形成し、エアスルー加工を施して上層不織布を形成する工程と、
    前記上層不織布に熱収縮性繊維を含む下層ウェブを重ねて、該下層ウェブと前記上層不織布を部分的に接合する工程と、
    部分的に接合された前記上層不織布と前記下層ウェブとの積層体を熱処理して前記下層ウェブを熱収縮させて、前記上層不織布に凸部を備える凹凸不織布を形成する凹凸賦形工程とを有し、
    前記凹凸賦形工程における前記の熱処理する領域よりも上流側にて、下記(1)及び(3)から選ばれる1又は複数のカレンダー加工工程を有する、吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
    (1)前記上層ウェブに対するカレンダー加工工
    3)部分的に接合された前記上層不織布と前記下層ウェブとの積層体に対するカレンダー加工工程
  2. 前記カレンダー加工工程において、加える線圧を20N/cm以上700N/cm以下とする、請求項1記載の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
  3. 前記カレンダー加工工程にて用いる一対のカレンダーロールが、樹脂ロールと鋼体ロールとの組み合わせである、請求項1又は2記載の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
  4. 前記樹脂ロールの硬度がD硬度において20以上100以下である、請求項3記載の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
  5. 前記上層ウェブに対して行うエアスルー加工が複数のエアスルー処理を有し、最初のエアスルー処理よりも後段のエアスルー処理の方が熱風の風速が速い、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
  6. 前記最初のエアスルー処理における熱風の風速が0.4m/sec以上1.2m/sec未満である、請求項5記載の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
  7. 前記上層ウェブに対して行うエアスルー加工が複数のエアスルー処理を有し、最初のエアスルー処理よりも後段のエアスルー処理の方が熱風の温度が高い、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
  8. 前記最初のエアスルー処理における熱風の温度が85℃以上136℃以下である、請求項7記載の吸収性物品用凹凸不織布の製造方法。
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