JP7096078B2 - セミカルバジド化合物の製造方法、およびトリアゾリジンジオン化合物の製造方法 - Google Patents

セミカルバジド化合物の製造方法、およびトリアゾリジンジオン化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セミカルバジド化合物の製造方法、およびトリアゾリジンジオン化合物の製造方法に関する。
近年、血中のビタミンDやビタミンD代謝物の分析の必要性が高まっている。そして、ビタミンDやビタミンD代謝物の分析方法としては、クックソン(Cookson)型誘導体化試薬を用いて誘導体化し、その後に当該誘導体を分析する方法が提案されている(特許文献1、非特許文献1~4参照)。
上記のクックソン(Cookson)型誘導体化試薬としては、例えば、PTAD(4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン)やDAPTAD(4-(4’-ジメチルアミノフェニル)-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン)等のトリアゾリンジオン化合物が挙げられる。
ここで、DAPTAD等のトリアゾリンジオン化合物(C)は、下記の反応式に示すように、4-(4’-ジメチルアミノフェニル)-1,2,4-トリアゾリジン-3,5-ジオン(DMU)等のトリアゾリジンジオン化合物(B)を酸化させて得られる(非特許文献1~4参照)。
そして、トリアゾリンジオン化合物(C)の原料となるトリアゾリジンジオン化合物(B)は、下記の反応式に示すように、セミカルバジド化合物(A)の環化によって得ることができる。したがって、トリアゾリンジオン化合物(C)を合成するために、セミカルバジド化合物(A)は、出発原料として重要な化合物となる(非特許文献3参照)。
Figure 0007096078000001
ここで、セミカルバジド化合物(A)は、以下の反応式に示すように、イソシアナート(D)とカルバジン酸エステル化合物(E)とのカップリング反応によって得られることが知られている(非特許文献5参照)。しかしながら、イソシアナート(D)は一般的に不安定である上、市販品としても種類が限られている。
Figure 0007096078000002
このため、各種のセミカルバジド化合物(A)を合成するために、イソシアナート(D)の合成を反応過程に組み込んだ合成法、例えば、イソシアナート(D)を単離することなく、セミカルバジド化合物(A)を得る合成法が有用となる。
このような合成法の一つとして、以下の反応式に示すように、カルボン酸(F)からアシルアジド(G)を合成し、得られたアシルアジド(G)のクルチウス転位により系内にイソシアナート(D)を発生させ、これを単離することなくカルバジン酸誘導体(E)と反応させて、セミカルバジド化合物(A)を得る合成法が報告されている(特許文献2、非特許文献5参照)。
Figure 0007096078000003
特開2015-166740号公報 特開平4-005287号公報
S.Ogawa,et al., Rapid Commun.Mass Spectrom, 27(2013) 2453-2460 S.Ogawa,et al., Biomed.Chromatgr., 30(2016) 938-945 S.Ogawa,et al., J.Pharm.Biomed.Anal., 136(2017) 126-133 K.D.Bruycker,et al., Chem.Rev., 116(2016) 3919-3974 Org.Synth.Coll., Vol.51(1971) 121
上記のアシルアジド(G)を経由する方法は、一般性が高く、また、3級アミノ基等の極性官能基を有する基質に対しても適用が可能である。しかしながら、アシルアジド(G)は、爆発性が懸念される化合物であり、このため安全性の面から、アシルアジドを経由しない合成法が望まれる。
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、トリアゾリンジオン化合物(C)の出発原料となるセミカルバジド化合物(A)を得るにあたり、アシルアジドを経由せずにセミカルバジド化合物(A)を得る、セミカルバジド化合物(A)の合成方法を提供することにある。
本発明者は、カルボニルジイミダゾール(CDI)やトリホスゲン(TCF)等のカルボニル化剤を、アミン化合物およびカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方に接触させて活性中間体を生成し、得られた活性中間体と、アミン化合物およびカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを反応させて、セミカルバジド化合物を合成すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を製造する方法であって、下記式(1)で示されるアミン化合物および下記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方と、トリホスゲン、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール、およびジスクシンイミジルカルボナートからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボニル化剤とを接触させて、反応系内に活性中間体を生成する第1接触工程と、前記活性中間体と、下記式(1)で示されるアミン化合物および下記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させて、下記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を得る第2接触工程と、を含む、セミカルバジド化合物の製造方法である。
Figure 0007096078000004
(式中、Rは、有機基である。)
Figure 0007096078000005
(式中、Rは、酸素原子または窒素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
Figure 0007096078000006
(式中Rは、有機基であり、Rは、酸素原子または窒素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
前記活性中間体は、カルバモイルクロリド、イソシアナート、およびイミダゾリドからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記第1接触工程では、前記式(1)で示されるアミン化合物と、前記カルボニル化剤とを接触させ、前記第2接触工程では、前記活性中間体と、前記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物とを接触させてもよい。
前記第1接触工程では、前記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物と、前記カルボニル化剤とを接触させ、前記第2接触工程では、前記活性中間体と、前記式(1)で示されるアミン化合物とを接触させてもよい。
前記カルボニル化剤は、トリホスゲンまたはカルボニルジイミダゾールであってもよい。
また別の本発明は、下記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を製造する方法であって、下記式(1)で示されるアミン化合物および下記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方と、トリホスゲン、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール、およびジスクシンイミジルカルボナートからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボニル化剤とを接触させて、反応系内に活性中間体を生成する第1接触工程と、前記活性中間体と、前記式(1)で示されるアミン化合物および前記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させて、前記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を得る第2接触工程と、前記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を環化して、下記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を得る環化工程と、を含むトリアゾリジンジオン化合物の製造方法である。
Figure 0007096078000007
(式中、Rは、有機基である。)
Figure 0007096078000008
(式中、Rは、酸素原子または窒素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
Figure 0007096078000009
(式中Rは、有機基であり、Rは、酸素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
Figure 0007096078000010
(式中Rは、有機基である。)
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法によれば、不安定なイソシアナートを単離することなく反応過程に組み込むため、安定的にセミカルバジド化合物を得ることができる。また、安全性が懸念されるアシルアジドを経由しないため、製造スケールを大きくすることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではない。
<セミカルバジド化合物の製造方法>
本発明は、下記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を製造する方法であって、下記式(1)で示されるアミン化合物および下記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方と、トリホスゲン、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール、およびジスクシンイミジルカルボナートからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボニル化剤とを接触させて、反応系内に活性中間体を生成する第1接触工程と、前記活性中間体と、下記式(1)で示されるアミン化合物および下記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させて、下記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を得る第2接触工程と、を含む。
Figure 0007096078000011
(式中、Rは、有機基である。)
Figure 0007096078000012
(式中、Rは、酸素原子または窒素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
Figure 0007096078000013
(式中Rは、有機基であり、Rは、酸素原子または窒素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
[反応式]
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法の代表的な反応式を、以下に示す。なお、以下は本発明の一例であって、本発明は以下に限定されるものではない。
Figure 0007096078000014
[第1接触工程]
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第1接触工程では、下記式(1)で示されるアミン化合物および下記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方と、トリホスゲン、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール、およびジスクシンイミジルカルボナートからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボニル化剤とを接触させて、反応系内に活性中間体を生成する。
(アミン化合物)
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法で用いられるアミン化合物は、以下の構造を有する。
Figure 0007096078000015
(式中、Rは、有機基である。)
ここで、上記式(1)におけるRは、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい、同一または異なる、アルキル基、アラルキル基、またはアリール基で置換されたジ置換アミノ基、ニトロ基、フェロセニル基、または置換基を有するキノキサリニル基を含んでいてもよい、フェニル基、含窒素複素環基、およびアルキル基からなる群より選ばれるものが好ましい。
さらに好ましくは、上記式(1)におけるRは、置換または非置換の、フェニル基、メチル基、およびエチル基からなる群より選ばれる基である。
特に好ましくは、上記式(1)におけるRは、フェニル基、メチル基、2-(6,7-ジメトキシ-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロキノキサリニル)エチル基、4-ニトロフェニル基、フェロセニルメチル基、および4-ジメチルアミノフェニル基からなる群より選ばれる基である。これらの基を有する上記式(1)のアミン化合物は、トリアゾリンジオン化合物となった際に、クックソン型誘導体化剤となりうる。
(カルバジン酸エステル化合物)
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法で用いられるカルバジン酸エステル化合物は、以下の構造を有する。
Figure 0007096078000016
(式中、Rは、酸素原子または窒素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
上記式(2)におけるRは、好ましくは、炭素数1~8の、アルキル基、アラルキル基、およびフェニル基からなる群より選ばれる基である。
さらに好ましくは、入手容易性、価格等の観点から、上記式(2)におけるRは、炭素数1~4のアルキル基である。
(カルボニル化剤)
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第1接触工程にて、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれかと接触させるカルボニル化剤は、トリホスゲン(TCF)、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール(CDI)、およびジスクシンイミジルカルボナートからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
これらの中では、入手容易性、価格、安全性等の観点から、トリホスゲン(TCF)またはカルボニルジイミダゾール(CDI)が、好ましい。
カルボニル化剤の使用量は、用いるカルボニル化剤の種類に依存するが、第1接触工程において接触させる上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物1当量に対して、0.33~2.0当量の範囲とすることが好ましい。
例えば、カルボニル化剤としてカルボニルジイミダゾール(CDI)を用いる場合には、その使用量は、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物1当量に対して、1.00~2.00当量とすることが好ましい。
また、カルボニル化剤としてトリホスゲン(TCF)を用いる場合には、その使用量は、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物1当量に対して、0.33~2.00当量とすることが好ましい。
(塩基)
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第1接触工程において、カルボニル化剤としてトリホスゲン(TCF)またはジホスゲンを用いる場合には、接触の際に、塩基を存在させることが好ましい。塩基を存在させることにより、カルバモイルクロリドまたはイソシアナートが生成する。
存在させる塩基としては、例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン等が挙げられる。なお、塩基は、反応で発生する塩化水素を中和するために用いられる。
また、塩基の使用量としては、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物1当量に対して、1.00~5.00当量とすることが好ましい。
(活性中間体)
第1接触工程では、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれかと、上記のカルボニル化剤とを接触させることにより、中間体となる活性中間体を生成させる。
生成させる活性中間体は、用いるカルボニル化剤の種類によって構造が左右されるが、カルバモイルクロリド、イソシアナート、およびイミダゾリドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの活性中間体は、安定性と反応活性を有する。
なお、本発明のセミカルバジド化合物の製造方法は、第1接触工程で生成させた活性中間体を、反応液から単離することなくそのまま、次段階となる第2接触工程に移行させることを特徴とする。反応過程に組み込んだまま単離せずに用いることにより、不安定なイソシアナート等の活性中間体を、安定的に取り扱うことが可能となる。
(溶媒)
第1接触工程にて、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれかと、上記のカルボニル化剤とを接触させる際に用いる溶媒としては、エステル類、ハロゲン含有炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アミド類、アルキルニトリル類、ジアルキルエーテル類、および尿素類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-メチルTHF)、1,4-ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができ、これらは、単独または混合溶媒として用いることができる。
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第1接触工程においては、反応加速性、価格、溶解性、安全性の観点から、これらの中でも、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
第1接触工程において用いる溶媒の量は、反応基質1質量部に対して、1~100体積量とすることが好ましい。
(接触条件)
第1接触工程において、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれかと、上記のカルボニル化剤とを接触させる温度は、-30~50℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは-10~20℃の範囲である。
また、第1接触工程において、上記式(1)で示されるアミン化合物または上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれかと、上記のカルボニル化剤とを接触させる時間は、30分~24時間とすることが好ましく、さらに好ましくは1時間~5時間の範囲である。
[第2接触工程]
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第2接触工程では、第1接触工程で得られた活性中間体と、当該活性中間体の出発物質としていない、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させて、下記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を得る。
(セミカルバジド化合物)
第2接触工程で得られるカルバジン酸エステル化合物、すなわち、本発明のセミカルバジド化合物の製造方法で最終的に得られるカルバジン酸エステル化合物は、以下の構造を有する。
Figure 0007096078000017
(式中Rは、有機基であり、Rは、酸素原子または窒素原子を含んでもよい炭素数1~20の、アルキル基、アラルキル基、または置換フェニル基である。)
なお、上記式(3)におけるRは、上記式(1)におけるRと同様の基であり、かつ、上記式(3)におけるRは、上記式(2)におけるRと同様の基である。
(接触させる化合物)
活性中間体の出発物質となっておらず、第2接触工程において活性中間体と接触させる、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方の化合物の使用量は、活性中間体1当量に対して、1.00~2.00当量の範囲とすることが好ましい。
(溶媒)
第2接触工程にて用いる溶媒は、上記の第1接触工程において用いる溶媒と、同様である。なお、第1接触工程において用いる溶媒と第2接触工程において用いる溶媒とは、同一であっても異なっていてもよいが、本発明のセミカルバジド化合物の製造方法においては、第1接触工程で得られる反応液をそのまま第2接触工程で用いることから、第1接触工程で用いる溶媒と第2接触工程で用いる溶媒とは、同一であることが好ましい。
第2接触工程において用いる溶媒の量は、反応基質1質量部に対して、1~100体積量とすることが好ましい。
(塩基)
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第1接触工程にて、カルボニル化剤としてトリホスゲン(TCF)またはジホスゲンを用いる場合には、第2接触工程においても同様に、塩基を存在させることが好ましい。塩基を存在させることにより、第1接触工程で不充分であった脱塩化水素を完結し、セミカルバジド化合物への変換を完了させることができる。
存在させる塩基としては、上記した第1接触工程で用いられるものと同様である。なお、第1接触工程において用いる塩基と第2接触工程において用いる塩基とは、同一であっても異なっていてもよいが、本発明のセミカルバジド化合物の製造方法においては、第1接触工程で得られる反応液をそのまま第2接触工程で用いることから、第1接触工程で用いる塩基と第2接触工程で用いる塩基とは、同一であることが好ましい。
また、塩基の使用量としては、活性中間体1当量に対して、1.00~2.00当量とすることが好ましい。
(接触条件)
第2接触工程において、活性中間体と、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させる温度は、-30~50℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは-10~20℃の範囲である。
また、第2接触工程において、活性中間体と、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させる時間は、30分~24時間とすることが好ましく、さらに好ましくは1時間~5時間の範囲である。
[第1接触工程と第2接触工程との組み合わせ]
本発明のセミカルバジド化合物の製造方法においては、第1接触工程において、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方と、上記したカルボニル化剤とを接触させ、第2接触工程において、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方と、第1接触工程で得られる活性中間体とを接触させる。
したがって、本発明のセミカルバジド化合物の製造方法としては、以下の第1反応経路および第2反応経路のいずれの方法も適用できる。また、本発明においては、以下の第1反応経路と第2反応経路とを、同一の系内で同時に進行させてもよい。なお、本発明においては、第1反応経路では毒性が危惧されるイソシアナート(例えば、メチルイソシナナート)を副生することから、第2反応経路のほうがより好ましい。
(第1反応経路)
第1接触工程では、上記式(1)で示されるアミン化合物と、上記のカルボニル化剤とを接触させ、第2接触工程では、第1接触工程で得られた活性中間体と、上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物とを接触させる。
(第2反応経路)
第1接触工程では、上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物と、上記のカルボニル化剤とを接触させ、第2接触工程は、第1接触工程で得られた活性中間体と、上記式(1)で示されるアミン化合物とを接触させる。
上記した本発明のセミカルバジド化合物の製造方法の代表的な反応式では、上部の2つの経路は、上記の第1反応経路の代表的な例であり、下部の2つの経路は、上記の第2反応経路の代表的な例を示している。
具体的には、代表的な反応式に示した上部の2つの経路(第1反応経路)は、第1接触工程でアミン化合物(1)を出発原料として用い、第2接触工程でカルバジン酸エステル化合物を用いるものであり、カルボニル化剤として、カルボニルジイミダゾール(CDI:図中に構造式を示す)を用いた経路と、塩基存在のもとトリホスゲン(TCF:図中に構造式を示す)を用いた経路の2つである。
第1反応経路に相当する2つの経路のうち、カルボニル化剤としてカルボニルジイミダゾール(CDI)を用いる経路では、活性中間体として、イソシアナート(4)とイミダゾリド(5)の混合物が生成する。カルボニル化剤としてトリホスゲン(TCF)を用いる経路では、活性中間体として、イソシアナート(4)が生成する。その後、第1反応経路に相当する2つの経路においては、第2接触工程にて、得られた活性中間体とカルバジン酸エステル化合物(2)とを接触させて、セミカルバジド化合物(3)を得る。
また、代表的な反応式に示した下部の2つの経路(第2反応経路)は、第1接触工程でカルバジン酸エステル化合物を出発原料として用い、第2接触工程でアミン化合物(1)を用いるものであり、カルボニル化剤として、塩基存在のもとトリホスゲン(TCF:図中に構造式を示す)を用いた経路と、カルボニルジイミダゾール(CDI:図中に構造式を示す)を用いた経路の2つである。
第2反応経路に相当する2つの経路のうち、カルボニル化剤としてトリホスゲン(TCF)を用いる経路では、活性中間体として、カルバモイルクロリド(6)が生成する。カルボニル化剤としてカルボニルジイミダゾール(CDI)を用いる経路では、活性中間体として、イソシアナート(4)とイミダゾリド(5)の混合物が生成する。その後、第2反応経路に相当する2つの経路においては、第2接触工程にて、得られた活性中間体とアミン化合物(1)とを接触させて、セミカルバジド化合物(3)を得る。
(第1反応経路と第2反応経路の同時進行)
第1反応経路と第2反応経路とを、同一の系内で同時に進行させる場合には、同一系内に、原料となる、上記式(1)で示されるアミン化合物と上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物との両者を存在させて、上記のカルボニル化剤と反応させた活性中間体を得る。
カルボニル化剤としてカルボニルジイミダゾール(CDI)を用いる場合には、活性中間体として、イソシアナート(4)とイミダゾリド(5)の混合物が生成する。カルボニル化剤としてトリホスゲン(TCF)を用いる経路では、活性中間体として、カルバモイルクロリド(6)とイソシアナート(4)が生成する。最終的には、得られた活性中間体を経由して、セミカルバジド化合物(3)を得る。
<トリアゾリジンジオン化合物の製造方法>
本発明のトリアゾリジンジオン化合物の製造方法は、下記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を製造する方法である。具体的には、上記した本発明のセミカルバジド化合物の製造方法で得られるセミカルバジド化合物(3)を、反応液から単離することなくそのまま環化して、下記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を得る環化工程を含む、トリアゾリジンジオン化合物の製造方法である。
さらに具体的には、本発明のトリアゾリジンジオン化合物の製造方法は、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方と、トリホスゲン、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール、およびジスクシンイミジルカルボナートからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボニル化剤とを接触させて、反応系内に活性中間体を生成する第1接触工程と、前記活性中間体と、上記式(1)で示されるアミン化合物および上記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させて上記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を得る第2接触工程と、上記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を環化して、下記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を得る環化工程と、を含む。
Figure 0007096078000018
(式中Rは、有機基である。)
ここで、上記式(4)におけるRは、上記式(1)および上記式(3)におけるRと同様の基である。
[第1接触工程]
本発明のトリアゾリジンジオン化合物の製造方法における第1接触工程は、上記した本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第1接触工程と同様である。
[第2接触工程]
本発明のトリアゾリジンジオン化合物の製造方法における第2接触工程は、上記した本発明のセミカルバジド化合物の製造方法における第2接触工程と同様である。
[環化工程]
本発明のトリアゾリジンジオン化合物の製造方法における環化工程では、第2接触工程で得られた上記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を環化して、上記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を得る。
環化工程においては、第2接触工程で得られた上記式(3)で示されるセミカルバジド化合物が溶解する反応液に、塩基を添加して加熱攪拌することにより、上記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を得ることができる。
(溶媒)
環化工程で用いる溶媒としては、エステル類、ハロゲン含有炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アミド類、アルキルニトリル類、ジアルキルエーテル類、尿素類、これら溶媒の含水溶媒、および水からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-メチルTHF)、1,4-ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができ、これらは、単独または混合溶媒として用いることができる。
本発明のトリアゾリジンジオン化合物の製造方法における環化工程においては、反応加速性、価格、溶解性、安全性の観点から、これらの中でも、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジメチルホルムアミド(DMF)を用いることが好ましい。
また、環化工程において用いる溶媒の量は、反応基質1質量部に対して、1~100体積量とすることが好ましい。
(塩基)
環化工程で用いる塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等の水酸化アルカリ金属塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属塩、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸セシウム等の重炭酸アルカリ金属塩、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、DBU等の有機アミン等が挙げられる。これらの中では、反応性、溶解性、安全性、価格の観点から、水酸化カリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。
環化工程において用いる塩基の量は、セミカルバジド化合物1当量に対して、0.05~10当量とすることが好ましい。
(環化条件)
環化工程において、セミカルバジド化合物を環化する温度は、10~150℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは50~100℃の範囲である。
また、環化工程において、セミカルバジド化合物を環化する時間は、30分~24時間とすることが好ましい。
[トリアゾリジンジオン化合物の晶析]
本発明のトリアゾリジンジオン化合物の製造方法において得られるトリアゾリジンジオン化合物は、以下の方法で晶析させることができる。
(晶析溶媒)
トリアゾリジンジオン化合物を晶析させるための溶媒としては、水、または、ジメチルホルムアミド(DMF)を含む水溶液が好ましく、さらに好ましくは、水である。溶媒の使用量は、基質1質量部に対して、1~20体積量とすることが好ましい。なお、溶媒のpHは、4.0~8.0の範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは5.0~7.0の範囲である。
(晶析条件)
トリアゾリジンジオン化合物を晶析させる温度は、0~100℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0~40℃の範囲である。また、トリアゾリジンジオン化合物を晶析させる時間は、30分~24時間とすることが好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
第1接触工程:アミン化合物とカルボニル化剤(トリホスゲン)とを接触
第2接触工程:活性中間体とカルバジン酸エステル化合物とを接触
[第1接触工程]
トリホスゲン(TCF)0.89g(3mmol)を、塩化メチレン25mL(安定剤としてアミレンを含む)に溶解し、トリホスゲンが溶解した塩化メチレン溶液を得た。得られた塩化メチレン溶液は、氷水にて5℃まで冷却した。
4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン1.36g(10mmol)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン2.58g(20mmol)とを、塩化メチレン50mLに溶解し、アミン化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を調製した。
続いて、トリホスゲンが溶解した塩化メチレン溶液に、アミン化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を、7℃以下で2時間かけて滴下した。
得られた反応液の一部を減圧濃縮し、IRスペクトルを測定したところ、2300cm-1に強い吸収を示した。したがって、イソシアナート体が生成したことが分かった。
[第2接触工程]
カルバジン酸エチル1.04g(10mmol)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン1.29g(10mmol)とを、塩化メチレン10mLに溶解し、カルバジン酸エステル化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を調製した。
第1接触工程で得られた反応液を、氷冷を維持したままで、カルバジン酸エステル化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を、10℃以下で15分かけて滴下し、同温で1時間攪拌した。
続いて、得られた反応液に水100mLを添加し、分液の後、有機層を減圧濃縮して濃縮液とした。濃縮液にヘキサン30mLを添加し、室温で2時間攪拌し、析出した結晶を、濾過、乾燥することにより、セミカルバジド化合物を得た。得られたセミカルバジド化合物は、1.6g、収率60%であった。
[反応式]
実施例1にて実施した反応式を、以下に示す。
Figure 0007096078000019
[物性評価]
得られたセミカルバジド化合物について、各種分析を実施した。結果を以下に示す。
Mp: 161~165℃
IR(KBr): 3306,1755cm-1
H-NMR(CDCl):
δ 8.90(s,1H),
8.45(s,1H),
7.90(s,1H),
7.25(d、J=15Hz,2H),
6.75(d, J=15Hz,2H),
4.10(q,J=8.5Hz,2H),
2.90(s,6H),
1.15(t,J=8.5Hz,3H)
<実施例2>
第1接触工程:カルバジン酸エステル化合物とカルボニル化剤(トリホスゲン)とを接触
第2接触工程:活性中間体とアミン化合物とを接触
[第1接触工程]
トリホスゲン(TCF)0.38g(1.3mmol)を塩化メチレン10mL(安定剤としてアミレンを含む)に溶解し、トリホスゲンが溶解した塩化メチレン溶液を得た。得られた塩化メチレン溶液は、氷水にて5℃まで冷却した。
カルバジン酸エチル0.38g(3.6mmol)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン0.95g(7.3mmol)とを、塩化メチレン10mLに溶解し、カルバジン酸エステル化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を調製した。
続いて、トリホスゲンが溶解した塩化メチレン溶液に、カルバジン酸エステル化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を、7℃以下で2時間かけて滴下し、同温で2時間攪拌した。
得られた反応液の一部を減圧濃縮し、IRスペクトルを測定したところ、1726cm-1に強い吸収を示した。したがって、カルバモイルクロリドが生成したことが分かった。
[第2接触工程]
4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン0.50g(3.6mmol)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン0.47g(3.6mmol)とを、塩化メチレン10mLに溶解し、アミン化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を調製した。
第1接触工程で得られた反応液を、氷冷を維持したままで、アミン化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を、7℃以下で1時間かけて滴下し、同温で3時間攪拌し、さらに室温で一終夜攪拌した。
続いて、得られた反応液を水15mLで洗浄し、塩化メチレン層を結晶が析出するまで濃縮して濃縮液とした。濃縮液にヘキサン20mLを添加し、室温で2時間攪拌し、析出した結晶を、濾過後、得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥することにより、セミカルバジド化合物を得た。得られたセミカルバジド化合物は、0.7g、収率73%であった。
[反応式]
実施例2にて実施した反応式を、以下に示す。
Figure 0007096078000020
[物性評価]
得られたセミカルバジド化合物について、各種分析を実施した。結果は、実施例1と同じとなった。
参考例3>
第1接触工程:カルバジン酸エステル化合物とカルボニル化剤(トリホスゲン)とを接触
第2接触工程:活性中間体とアミン化合物とを接触
[第1接触工程]
トリホスゲン(TCF)2.0g(6.72mmol)を塩化メチレン50mL(安定剤としてアミレンを含む)に溶解し、トリホスゲンが溶解した塩化メチレン溶液を得た。得られた塩化メチレン溶液は、氷水にて5℃まで冷却した。
カルバジン酸エチル2.0g(19.2mmol)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン5.0g(38.7mmol)とを、塩化メチレン50mLに溶解し、カルバジン酸エステル化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を調製した。
続いて、トリホスゲンが溶解した塩化メチレン溶液に、カルバジン酸エステル化合物および塩基を含む塩化メチレン溶液を、7℃以下で2時間かけて滴下した。
[第2接触工程]
第1接触工程で得られた反応液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン5.0g(38.7mmol)を添加した。続いて、メチルアミン塩酸塩1.3g(19.3mmol)を、氷冷下で添加し、室温で一終夜攪拌した。
得られた反応液に水を添加し、塩酸でpH1.0に調整した後、分液した。塩化メチレン層を濃縮し、得られた結晶を乾燥することにより、セミカルバジド化合物を得た。得られたセミカルバジド化合物は、1.3g、収率42%であった。
[反応式]
参考例3にて実施した反応式を、以下に示す。
Figure 0007096078000021
[物性評価]
得られたセミカルバジド化合物について、各種分析を実施した。結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl):
δ 8.70(brs,1H),
7.67(brs,1H),
6.22(brs,1H),
3.97(q,J=6.8Hz,2H),
2.49-2.50(m,3H),
1.13(t,J=6.8Hz,3H)
<実施例4>
第1接触工程:アミン化合物とカルボニル化剤(カルボニルジイミダゾール)とを接触
第2接触工程:活性中間体とカルバジン酸エステル化合物とを接触
[第1接触工程]
N,N-カルボニルジイミダゾール(CDI)0.72g(4.4mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)10mLに溶解し、N,N-カルボニルジイミダゾールが溶解したジメチルホルムアミド溶液を得た。
4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン0.50g(3.6mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)5mLに溶解し、4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリンが溶解したジメチルホルムアミド溶液を得た。
N,N-カルボニルジイミダゾールが溶解したジメチルホルムアミド溶液に、4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリンが溶解したジメチルホルムアミド溶液を、20℃で1時間かけて滴下し、同温で1時間攪拌した。
反応液をTLC(ヘキサン:酢酸エチル=3/1)で確認したところ、イミダゾライド(Rf=0.2)とイソシアナート(Rf=0.8)の混合物であった。
[第2接触工程]
第1接触工程で得られた反応液に、カルバジン酸エチル0.38g(3.6mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。
得られた反応液を減圧濃縮した後、濃縮残渣に水6mLを加えた。得られた水溶液のpHは、8.4であった。得られた水溶液に濃塩酸を添加してpH6.0に調整し、析出した結晶を濾過、乾燥することにより、セミカルバジド化合物を得た。得られたセミカルバジド化合物は、0.79g、収率81.4%であった。
[反応式]
実施例4にて実施した反応式を、以下に示す。
Figure 0007096078000022
<実施例5>
第1接触工程:カルバジン酸エステル化合物とカルボニル化剤(カルボニルジイミダゾール)とを接触
第2接触工程:活性中間体とアミン化合物とを接触
[第1接触工程]
N,N-カルボニルジイミダゾール(CDI)13.6g(83.9mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)200mLに溶解し、N,N-カルボニルジイミダゾールが溶解したジメチルホルムアミド溶液を得た。
得られたN,N-カルボニルジイミダゾールが溶解したジメチルホルムアミド溶液に、カルバジン酸エチル7.27g(69.8mmol)を添加し、室温で3時間攪拌した。
[第2接触工程]
4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン2塩酸塩14.6g(69.8mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)200mLに溶解し、4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン2塩酸塩が溶解したジメチルホルムアミド溶液を得た。さらに、トリエチルアミン21.2g(208.7mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。
第1接触工程で得られた、N,N-カルボニルジイミダゾールとカルバジン酸エチルとが溶解したジメチルホルムアミド溶液に、2時間攪拌後の4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン2塩酸塩とトリエチルアミンとを溶解させたジメチルホルムアミド溶液を添加し、室温で16時間攪拌した。
得られた反応液を濾過し、反応液の半量を減圧濃縮した後、濃縮残渣に水57mLを添加した。得られた水溶液に濃塩酸を加えてpH6.0に調整し、析出した結晶を濾過、乾燥することにより、セミカルバジド化合物を得た。得られたセミカルバジド化合物は、7.56g、収率81.6%であった。
[反応式]
実施例5にて実施した反応式を、以下に示す。
Figure 0007096078000023
<実施例6>
第1接触工程:カルバジン酸エステル化合物とカルボニル化剤(カルボニルジイミダゾール)とを接触
第2接触工程:活性中間体とアミン化合物とを接触
環化工程:セミカルバジド化合物を環化
[第1接触工程]
N,N-カルボニルジイミダゾール(CDI)13.6g(83.9mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)200mLに溶解し、N,N-カルボニルジイミダゾールが溶解したジメチルホルムアミド溶液を得た。
得られたN,N-カルボニルジイミダゾールが溶解したジメチルホルムアミド溶液に、カルバジン酸エチル7.27g(69.8mmol)を添加し、室温で3時間攪拌した。
[第2接触工程]
4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン2塩酸塩14.6g(69.8mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)200mLに溶解し、4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン2塩酸塩が溶解したジメチルホルムアミド溶液を得た。さらに、トリエチルアミン21.2g(208.7mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。
第1接触工程で得られた、N,N-カルボニルジイミダゾールとカルバジン酸エチルとが溶解したジメチルホルムアミド溶液に、2時間攪拌後の4-(N,N-ジメチルアミノ)アニリン2塩酸塩とトリエチルアミンとを溶解させたジメチルホルムアミド溶液を添加し、室温で16時間攪拌した。
[環化工程]
得られた反応液を濾過し、反応液の半量を減圧濃縮した後、濃縮残渣に水100mLを添加し、さらに炭酸カリウム(分子量:138.21)14.5g(104.9mmol)を添加して、90℃で7時間攪拌した。
反応液を濾過し、濾液に活性炭(0.9g)を添加して、室温で1時間攪拌した後、濾過した。濾液を酢酸エチルで2回洗浄した後、水層を70gまで濃縮して、濃縮液を得た。得られた濃縮液を希塩酸でpH6.0に調整し、析出した結晶を濾過、乾燥することにより、トリアゾリジンジオン化合物を得た。得られたトリアゾリジンジオン化合物は、4.5g、収率58.7%であった。
[反応式]
実施例6にて実施した反応式を、以下に示す。
Figure 0007096078000024
[物性評価]
得られたトリアゾリジンジオン化合物について、各種分析を実施した。結果を以下に示す。
Mp: >215℃
IR(KBr): 1669cm-1
H-NMR(DMSO-d6):
δ 10.25(brs、2H),
7.20(d,J=15Hz, 2H),
6.75(d,J=15Hz,2H),
3.00(s,6H)

Claims (6)

  1. 下記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を製造する方法であって、
    下記式(1)で示されるアミン化合物および下記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物のいずれか一方と、トリホスゲン、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール、およびジスクシンイミジルカルボナートからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボニル化剤とを接触させて、反応系内に活性中間体を生成する第1接触工程と、
    前記活性中間体と、前記式(1)で示されるアミン化合物および前記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物の残りの一方とを接触させて、前記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を得る第2接触工程と、を含む、セミカルバジド化合物の製造方法。
    Figure 0007096078000025
    (式中、Rは、置換または非置換のフェニル基である。)
    Figure 0007096078000026
    (式中、R、炭素数1~4のアルキル基である。)
    Figure 0007096078000027
    (式中Rは、前記式(1)と同義であり、Rは、前記式(2)と同義である。)
  2. 前記活性中間体は、カルバモイルクロリド、イソシアナート、およびイミダゾリドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のセミカルバジド化合物の製造方法。
  3. 前記第1接触工程では、前記式(1)で示されるアミン化合物と、前記カルボニル化剤とを接触させ、
    前記第2接触工程では、前記活性中間体と、前記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物とを接触させる、請求項1または2に記載のセミカルバジド化合物の製造方法。
  4. 前記第1接触工程では、前記式(2)で示されるカルバジン酸エステル化合物と、前記カルボニル化剤とを接触させ、
    前記第2接触工程では、前記活性中間体と、前記式(1)で示されるアミン化合物とを接触させる、請求項1または2に記載のセミカルバジド化合物の製造方法。
  5. 前記カルボニル化剤は、トリホスゲンまたはカルボニルジイミダゾールである、請求項1~4のいずれか1項に記載のセミカルバジド化合物の製造方法。
  6. 下記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を製造する方法であって、
    求項1~5のいずれか1項に記載のセミカルバジド化合物の製造方法により、前記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を製造する工程と、
    前記式(3)で示されるセミカルバジド化合物を環化して、下記式(4)で示されるトリアゾリジンジオン化合物を得る環化工程と、を含む、トリアゾリジンジオン化合物の製造方法。
    Figure 0007096078000028
    (式中Rは、前記式(1)と同義である。)
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