JP7096008B2 - 非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法および容量劣化率推定装置、システム - Google Patents

非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法および容量劣化率推定装置、システム Download PDF

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Description

本発明は、非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法及び容量劣化率推定装置、並びに非水系リチウム型蓄電素子とその容量劣化率推定装置を備えるシステムに関する。
近年、地球環境の保全及び省資源を目指すエネルギーの有効利用の観点から、風力発電の電力平滑化システム又は深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システム等が注目を集めている。
これらの蓄電システムに用いられる電池の第一の要求事項は、エネルギー密度が高いことである。このような要求に対応可能な高エネルギー密度電池の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
第二の要求事項は、出力特性が高いことである。例えば、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)又は燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、加速時には蓄電システムにおける高出力放電特性が要求されている。
現在、高出力蓄電デバイスとしては、電気二重層キャパシタ、ニッケル水素電池等が開発されている。
電気二重層キャパシタのうち、電極に活性炭を用いたものは、0.5~1kW/L程度の出力特性を有する。この電気二重層キャパシタは、耐久性(サイクル特性及び高温保存特性)も高く、前記高出力が要求される分野で最適のデバイスと考えられてきた。しかしながら、そのエネルギー密度は1~5Wh/L程度に過ぎないため、更なるエネルギー密度の向上が必要である。
他方、現在ハイブリッド電気自動車で採用されているニッケル水素電池は、電気二重層キャパシタと同等の高出力を有し、かつ160Wh/L程度のエネルギー密度を有している。しかしながら、そのエネルギー密度及び出力をより一層高めるとともに、耐久性(特に、高温における安定性)を高めるための研究が精力的に進められている。
また、リチウムイオン電池においても、高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(蓄電素子の放電容量の何%を放電した状態かを示す値)50%において3kW/Lを超える高出力が得られるリチウムイオン電池が開発されている。しかしながら、そのエネルギー密度は100Wh/L以下であり、リチウムイオン電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて抑制した設計となっている。また、その耐久性(サイクル特性及び高温保存特性)については、電気二重層キャパシタに比べ劣るため、リチウムイオン電池は、実用的な耐久性を持たせるためには、放電深度が0~100%の範囲よりも狭い範囲での使用となる。実際に使用できるリチウムイオン電池の容量は更に小さくなるから、耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
上記のように、高エネルギー密度、高出力特性及び耐久性を兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められている。しかしながら、上述した既存の蓄電素子には、それぞれ一長一短があるため、これらの技術的要求を充足する新たな蓄電素子が求められている。その有力な候補として、リチウムイオンキャパシタと呼ばれる蓄電素子が注目され、開発が盛んに行われている。
キャパシタのエネルギーは1/2・C・V(ここで、Cは静電容量であり、かつVは電圧である)で表される。
リチウムイオンキャパシタは、リチウム塩を含む非水系電解液を使用する蓄電素子(非水系リチウム型蓄電素子)の一種であって、正極においては約3V以上で電気二重層キャパシタと同様の陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、負極においてはリチウムイオン電池と同様のリチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応によって、充放電を行う蓄電素子である。
上述の電極材料とその特徴をまとめると、電極に活性炭等の材料を用い、活性炭表面のイオンの吸着・脱離(非ファラデー反応)により充放電を行う場合は、高出力かつ高耐久性を実現するが、エネルギー密度が低くなる(例えば1倍とする。)。他方、電極に酸化物又は炭素材料を用い、ファラデー反応により充放電を行う場合は、エネルギー密度が高くなる(例えば活性炭を用いた非ファラデー反応の10倍とする。)が、耐久性及び出力特性に課題がある。
これらの電極材料の組合せとして、電気二重層キャパシタは、正極及び負極に活性炭(エネルギー密度1倍)を用い、正負極共に非ファラデー反応により充放電を行うことを特徴とし、高出力かつ高耐久性を有するがエネルギー密度が低い(正極1倍×負極1倍=1)という特徴がある。
リチウムイオン二次電池は、正極にリチウム遷移金属酸化物(エネルギー密度10倍)、負極に炭素材料(エネルギー密度10倍)を用い、正負極共にファラデー反応により充放電を行うことを特徴とし、高エネルギー密度(正極10倍×負極10倍=100)だが、出力特性及び耐久性に課題がある。更に、ハイブリッド電気自動車等で要求される高耐久性を満足させるためには放電深度を制限しなければならず、リチウムイオン二次電池では、そのエネルギーの10~50%しか使用できない。
リチウムイオンキャパシタは、正極に活性炭(エネルギー密度1倍)、負極に炭素材料(エネルギー密度10倍)を用い、正極では非ファラデー反応、負極ではファラデー反応により充放電を行うことを特徴とし、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオン二次電池の特徴を兼ね備えた新規の非対称キャパシタである。リチウムイオンキャパシタは、高出力かつ高耐久性でありながら、高エネルギー密度(正極1倍×負極10倍=10)を有し、リチウムイオン二次電池の様に放電深度を制限する必要がない。
リチウムイオンキャパシタの用途としては、例えば、鉄道、建機、自動車用蓄電等が挙げられる。これらの用途では、蓄電素子を搭載するためのスペースが限られているため、よりエネルギー密度が高く、かつ小型化可能な蓄電素子が求められている。例えば、特許文献3では、正極の活性炭に、遷移金属酸化物の1種であるリチウムリン酸鉄(LiFePO)を混合することによって、リチウムイオンキャパシタのエネルギー密度を向上する技術が開示されている。
他方、前述の用途、例えば自動車用途などでは、リチウムイオンキャパシタは、低温から高温までの幅広い温度環境で使用されるため、使用中に劣化が進む。リチウムイオンキャパシタの充放電を適切に制御するためには、劣化状態を、蓄電システム使用中に高い精度で推定する方法が求められる。例えば、特許文献1では、蓄電池の温度から劣化の進行を高い精度で予測する方法が提案されている。また、特許文献2では、稼働中のキャパシタの温度と電圧から劣化を推定する方法が提案されている。しかしながら、特許文献3に記述されるような正極活物質に活性炭と遷移金属酸化物を混合した非水系リチウム型蓄電素子の劣化を高精度に予測するのは容易ではなかった。
特開2003-161768号公報 特許第4042917号 特開2012-89825号公報
いずれの特許文献にも、正極に活性炭とオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物を混合した、非水系リチウム型蓄電素子の劣化を推定する技術については、言及されていない。活性炭は非ファラデー反応により、オリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物はファラデー反応により、それぞれ容量を発現するため、それぞれの容量の劣化を適切に推定する手法の開発が必要である。したがって、本発明が解決しようとする課題は、正極に活性炭とオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物を混合した、非水系リチウム型蓄電素子の劣化を推定する方法及び劣化推定装置、並びに非水系リチウム型蓄電素子とその容量劣化率推定装置を備えるシステムを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を次の技術的手段により解決できることを見出し、本発明を完成させた。
[1]
正極、負極、セパレータ、及びリチウムイオンを含む非水系電解液を備える非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法であって、
該負極が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、該負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を含み、
該正極が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、該正極活物質は、活性炭とリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含み、
該非水系リチウム型蓄電素子を定電流放電した際の放電容量を横軸に、電圧を縦軸に取ることにより得られた放電カーブを、該放電カーブの二次導関数の最大値及び最小値に基づいて、高電圧側から順に3つの領域:第1領域、第2領域、及び第3領域;に分割し、それぞれの領域の容量劣化係数を、電圧及び温度のパラメータとして表したデータベース群を予め作成し、かつ
該非水系リチウム型蓄電素子の稼働中の電圧と温度を測定して、該測定した電圧と温度に相当する容量劣化係数を該データベース群より演算して求めて、該第1、第2及び第3領域の容量劣化率をそれぞれ推定することによって、該非水系リチウム型蓄電素子の全容量劣化率を推定し、さらに時間毎の容量劣化量を積算することによって該非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率を推定することを特徴とする非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
[2]
前記リチウム遷移金属酸化物が、下記式:
Lix2FePO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
Lix2CoPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、及び
Lix2MnPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
から成る群より選ばれる少なくとも1種のリチウム遷移金属酸化物を含む、[1]に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
[3]
前記リチウム遷移金属酸化物の含有率が、前記正極活物質層の総質量を基準として、1.0質量%~50.0質量%である、[1]又は[2]に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
[4]
前記正極活物質層中に占める前記活性炭の質量割合をAとし、前記リチウム遷移金属酸化物の質量割合をAとしたとき、A/Aが0.1以上2.5以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
[5]
前記正極が、炭酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウムから成る群から選ばれる1種以上を、前記正極活物質の総量に対して0.2質量%以上50質量%以下で含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
[6]
正極、負極、セパレータ、及びリチウムイオンを含む非水系電解液を備える非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置であって、
該非水系リチウム型蓄電素子の該負極が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、該負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を含み、
該非水系リチウム型蓄電素子の該正極が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、該正極活物質は、活性炭とリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含み、かつ
該容量劣化率推定装置は:
該非水系リチウム型蓄電素子を定電流放電した際の放電容量を横軸に、電圧を縦軸に取ることにより得られた放電カーブを高電圧側から順に3つの領域;第1領域、第2領域、及び第3領域;に分割し、それぞれの領域の容量劣化係数を、電圧及び温度のパラメータとして表したデータベース群を有する記憶部と、
該非水系リチウム型蓄電素子の稼働中の電圧と温度を測定する測定部と、
前記測定した電圧と温度に相当する容量劣化係数を前記データベース群より演算して求めて、該第1、第2及び第3領域の容量劣化率をそれぞれ推定し、合計することによって、該非水系リチウム型蓄電素子の全容量劣化率を推定し、さらに時間毎の推定容量を積算することによって、該非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率を推定する演算処理部と、
を備える非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
[7]
前記リチウム遷移金属酸化物が、下記式:
Lix2FePO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
Lix2CoPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、及び
Lix2MnPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
から成る群より選ばれる少なくとも1種のリチウム遷移金属酸化物を含む、[6]に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
[8]
前記リチウム遷移金属酸化物の含有率が、前記正極活物質層の総質量を基準として、1.0質量%~50.0質量%である、[6]又は[7]に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
[9]
前記正極活物質層中に占める前記活性炭の質量割合をAとし、前記リチウム遷移金属酸化物の質量割合をAとしたとき、A/Aが0.1以上2.5以下である、[6]~[8]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
[10]
前記正極が、炭酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウムから成る群から選ばれる1種以上を、前記正極活物質の総量に対して0.2質量%以上50質量%以下で含む、[6]~[9]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
[11]
前記非水系リチウム型蓄電素子が停止している間の、前記非水系リチウム型蓄電素子の電圧及び温度の推移を予測し、前記非水系リチウム型蓄電素子が停止している間の容量劣化率を予測する機構を備える、[6]~[10]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
[12]
(a)正極、負極、セパレータ、及びリチウムイオンを含む非水系電解液を備える非水系リチウム型蓄電素子であって、該負極が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、かつ該負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を含み、該正極が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、該正極活物質は、活性炭と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含む非水系リチウム型蓄電素子;並びに
(b)[6]~[11]のいずれか一項に記載の容量劣化率推定装置;
を含むシステム。
[13]
前記システムが、蓄電モジュールシステム、電力回生アシストシステム、電力負荷平準化システム、無停電電源システム、非接触給電システム、エナジーハーベストシステム、蓄電システム、電動パワーステアリングシステム、非常用電源システム、インホイールモーターシステム、アイドリングストップシステム、輸送機器システム、急速充電システム及びスマートグリッドシステムから成る群から選択される少なくとも一つである、[12]に記載のシステム。
[14]
前記システムが、前記非水系リチウム型蓄電素子と前記容量劣化率推定装置に加えて、
(c)前記非水系リチウム型蓄電素子と直列又は並列に接続した鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池又は燃料電池;
を含む、[12]に記載のシステム。
[15]
前記システムが、蓄電システム、電動パワーステアリングシステム、非常用電源システム、インホイールモーターシステム、アイドリングストップシステム、輸送機器システム、急速充電システム及びスマートグリッドシステムから成る群から選択される少なくとも一つである、[14]に記載のシステム。
[16]
前記システムが、太陽光発電蓄電システムである、[15]に記載のシステム。
[17]
前記システムが、前記輸送機器システムであり、かつ電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車又は電動バイクである、[15]に記載のシステム。
[18]
前記システムが停止している間の、前記非水系リチウム型蓄電素子の電圧及び温度の推移を予測し、該システムが停止している間の容量劣化率を予測する機構を備える、[11]~[17]のいずれか一項に記載のシステム。
本発明の方法、装置又はシステムを使用することで、正極に活性炭とオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物を混合した、非水系リチウム型蓄電素子の劣化を高精度かつ簡便に推定することができる。
図1は、本発明の一実施形態における非水系リチウム型蓄電素子の放電カーブを示す模式図である。 図2は、本発明の一実施形態における非水系リチウム型蓄電素子の放電カーブの一次導関数dV/dQを示す模式図である。 図3は、本発明の一実施形態における非水系リチウム型蓄電素子の放電カーブの二次導関数dV/dQを示す模式図である。 図4は、容量劣化率推定装置の構成図である。 図5は、モジュールで実施したサイクルパターンである。 図6は、目的温度の前後の温度の劣化係数データベースより劣化係数を補完演算する方法の模式図である。 図7は、目的電圧の前後の電圧の劣化係数データベースより劣化係数を補完演算する方法の模式図である。 図8は、第1領域の容量劣化係数データベース群からデータ欠落部分を推定する方法の模式図である。 図9は、非水系リチウム型蓄電素子を用いた蓄電モジュールシステムの構成図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。本実施形態の各数値範囲における上限値及び下限値は任意に組み合わせて任意の数値範囲を構成することができる。
非水系リチウム型蓄電素子は一般に、正極、負極、セパレータ、電解液、及び外装体を主な構成要素として有する。電解液としては、リチウム塩を溶解させた有機溶媒(以下、非水系電解液という。)を用いる。
[容量劣化率推定方法]
本発明の第一の態様は、正極活物質に活性炭とリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含む非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法である。本実施形態では、非水系リチウム型蓄電素子を定電流放電した際の放電容量を横軸に、電圧を縦軸に取ることにより得られた放電カーブを高電圧側から順に3つの領域、より詳細には:活性炭の高電圧容量が主として発現する第1領域;オリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物の容量が主として発現する第2領域、活性炭の低電圧容量が主として発現する第3領域;に分割し、それぞれの領域の容量劣化係数を電圧及び温度のパラメータとして表したデータベース群を予め作成し、そして非水系リチウム型蓄電素子の稼働中の電圧と温度を測定して、測定された電圧と温度に相当する容量劣化係数を前記データベース群より演算して求めて、上記第1、第2及び第3領域の容量劣化率を推定し、合計することによって、該蓄電素子の容量劣化率を推定し、さらに時間毎の推定容量を積算することによって、該蓄電素子の容量劣化率を高精度に推定できる。
活性炭の劣化の進み方とオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物の劣化の進み方は異なるため、本発明のように容量劣化を3領域に分けて行うことによって、活性炭の劣化とオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物の劣化とを別々に推定でき、蓄電素子の高精度な劣化推定が可能となる。
[放電カーブ]
先ず、非水系リチウム型蓄電素子を25℃に設定した恒温槽内で、1Cの電流値で上限電圧(例えば4.0V)に到達するまで定電流充電を行い、次いで、上限電圧(例えば4.0V)の定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分行う。その後、下限電圧(例えば2.0V)まで1Cの電流値で定電流放電を施した際の容量をQ(mAh)とする。このときのセル電圧V(V)に対する放電容量の推移を本明細書中の放電カーブとして規定する。放電カーブの模式図を図1に示す。図1には、放電容量が横軸に、電圧が縦軸にそれぞれ示されている。
[第1領域、第2領域、第3領域の容量の算出]
前述した放電カーブより、一次導関数dV/dQ(図2参照)、ならびに二次導関数dV/dQ(図3参照)を求め、二次導関数が最大となるときの放電容量QをQ、これに対応する電圧VをVとする。一方、二次導関数が最小となるときの放電容量QをQ、これに対応する電圧VをVとする。第1領域の容量QをQ=Qとして規定する。第2領域の容量QをQ=Q-Qとして規定する。第3領域の容量QをQ=Q-Qとする。第1領域の容量は、主として活性炭の高電圧容量が発現しており、第2領域の容量は、オリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物の容量が主として発現しており、第3領域の容量は、活性炭の低電圧容量が主として発現していると推定される。
[容量劣化率]
容量劣化率は蓄電素子の容量が稼働により、どれだけ劣化するかを示す割合である。本発明における容量劣化率は下記のように定義される。蓄電素子の稼働前の初期の、全容量、第1領域容量、第2領域容量、第3領域容量をそれぞれ、Q、Q、Q、Qとし、該蓄電素子が稼働し、劣化した後の全容量、第1領域容量、第2領域容量、第3領域容量をそれぞれ、Q’、Q’、Q’、Q’とすると、全容量、第1領域容量、第2領域容量、第3領域容量の容量劣化率は、それぞれ、
k=Q’/Q
k1=Q’/Q
k2=Q’/Q
k3=Q’/Q
で表される。
[容量劣化係数]
本発明における容量劣化係数は、容量劣化率を時間の関数としたときの係数として産出される。一般に、蓄電素子における劣化率は、時間の平方根に比例する場合が多く、k=α√tで表される関係があるときのαが容量劣化係数である。
劣化の内容によっては、他の関係式(例えば、k=αtなど)で表される場合もあるが、その場合は、最適な関係式に基づき、適切な容量劣化係数を用いればよい。
本発明の説明では、容量劣化の関係式として一般的なk=α√tを使用する。
[容量劣化係数のデータベース群]
本実施形態では、予め蓄電素子の温度及び/又は電圧を変化させた耐久性試験を実施することで、容量劣化係数をデータベース化しておく。耐久性試験の方法としては特に制限されないが、例えば、電圧U、温度Tにおける耐久性は、以下のような方法で測定することができる:
先ず、非水系リチウム型蓄電素子をセルとして100Cの電流値で電圧Uに到達するまで定電流充電し、続いて電圧Uの定電圧を印加する定電圧充電を10分間行う。その後、セルを温度T環境下に保存し、1か月後に温度T環境下から取り出し、前述の放電カーブ測定方法により、1か月後の放電カーブを測定する。このとき、前述の第1領域、第2領域、第3領域の容量の算出方法により、得られた放電カーブについて、二次導関数を求め、第1領域、第2領域、第3領域の容量Q 、Q 、Q を算出し、容量劣化率をそれぞれ前述の方法に従い算出し、そして必要に応じて、ガス発生量を測定する。その後、前述の充電工程によってセル電圧Uに充電した後、再びセルをT環境下で保存する。この1か月の保存、容量測定、及びガス測定を繰り返す。得られた容量劣化率k1、k2及びk3をそれぞれ時間の平方根に対してプロットし、最小二乗法により各々の傾きを求めることで電圧Uと温度Tにおける第1領域、第2領域、及び第3領域の容量劣化係数αU1T1 、αU1T1 、αU1T1 がそれぞれ算出される。
本実施形態では、前記の方法で第1領域、第2領域、及び第3領域の容量劣化係数を電圧・温度の組み合わせを変えて測定し、予めデータベース化する。第1領域、第2領域及び第3領域について、容量劣化係数を電圧と温度のパラメータとしてデータベース群にした例をそれぞれ下記表1、表2、及び表3に示す。
Figure 0007096008000001
Figure 0007096008000002
Figure 0007096008000003
なお、一般に、活性炭及び遷移金属酸化物の容量劣化反応は、温度及び電圧が高いほど顕著になる。つまり、表1、表2又は表3の右下の欄に近付くほど劣化係数は大きいものとなる。
電圧の区間としては、蓄電デバイスの仕様電圧(例えば4.0Vから2.0Vまで)の上限から下限まで、温度の区間としては、該蓄電デバイスの仕様温度(例えば60℃から-10℃まで)の上限から下限までの容量劣化係数を予め取得しておくことが好ましい。また、電圧と温度の刻み(例えば、表中の電圧又は温度の測定間隔)は、できるだけ細かくすることにより、容量劣化を推定する際の精度が向上する。測定間隔の区切りは一定でも構わないが、劣化係数の増大が顕著になる高電圧領域及び/又は高温領域においては区切りを細かくすることが、容量劣化率推定の精度を上げる観点から好ましい。
本発明では、容量劣化係数を第1、第2、第3領域それぞれで求めてデータベース化しておくことにより、後述する稼働中の蓄電素子の容量劣化率の推定を高い精度で行うことができる。仮に、活性炭とリチウム遷移金属化合物とを混合した正極を有する非水系リチウム型蓄電素子に対して、全容量に関する劣化係数データベースのみにより容量劣化率の推定を行う方法を用いると、正極のそれぞれの活物質の容量劣化の仕方が本質的には異なるため、容量推定の際の誤差が大きくなると推察される。
[電圧と温度の測定]
本発明では、稼働中の非水系リチウム型蓄電素子の電圧と温度の測定データより、容量劣化率を推定するため、該蓄電素子の電圧と温度を各時間で測定する。電圧は、該蓄電素子の正極端子と負極端子の間で測定する。また、温度に関しては、正極端子または負極端子または蓄電素子の本体部を測定する方法のいずれを用いてもよいが、組電池として蓄電素子をスタックしている場合も想定すると、正極端子または負極端子の温度を測定することが好ましい。
[容量劣化率の推定]
本発明では、蓄電素子の容量劣化率を、下記の手順で推定する。
或る十分短い時間dt(例えば1秒)の平均電圧U、温度Tを測定データから求める。次に容量劣化係数データベース群を参照し、適切な容量劣化係数を取得する。このとき、データベース群の電圧、温度の軸の区切りが粗い場合には、データベースにない中間の温度、電圧の容量劣化係数を、前後の容量劣化係数データベースから関数フィッティングして補間演算することにより求められる。
その際のフィッティング関数は、劣化係数が適切に近似されれば、特に制限はされないが、例えば、温度軸に関しては下記(式1)、電圧軸に関しては下記(式2)の使用などが挙げられる。
Figure 0007096008000004
(式1)ただし、A、Bは定数。
Figure 0007096008000005
(式2)ただし、C、Dは定数。
活性炭の高電圧容量が主として発現する第1領域の容量劣化率k1は、各時間の劣化率を積算する下記(式3)により推定される。
Figure 0007096008000006
(式3)
オリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物の容量が主として発現する第2領域の容量劣化率k2は、各時間の劣化率を積算する下記(式4)により推定される。
Figure 0007096008000007
(式4)
活性炭の低電圧容量が主として発現する第3領域の容量劣化率k3は、各時間の劣化率を積算する下記(式5)により推定される。
Figure 0007096008000008
(式5)
したがって、全容量の劣化率kは下記(式6)により推定される。
Figure 0007096008000009
(式6)
本発明の方法によれば、稼働中の非水系リチウム型蓄電素子の電圧と温度のデータから容量劣化率を推定できるため、実容量劣化量の測定を伴うことがない。したがって、本発明の方法は、ユーザーが蓄電素子を使用している際にも蓄電素子の劣化推定を逐次に行うことが可能である。さらに、本発明の方法は、ユーザーの使用を妨げることなく、簡便に蓄電素子の劣化推定を行うことができるため好ましい。
また、本発明の方法によれば、稼働中の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率を簡便に逐次に推定できるため、推定容量劣化率データを基に非水系リチウム型蓄電素子の使用負荷の調整をすることも可能である。例えば、予め定めた劣化率に対して、推定容量劣化率が大きくなった場合は、非水系リチウム型蓄電素子の使用負荷を下げるといった対応を非水系リチウム型蓄電素子を搭載したシステムに命令することが可能となる。これにより、非水系リチウム型蓄電素子の寿命を延長することが可能となる。
[容量劣化率推定装置]
本発明の第二の態様は、正極、負極、セパレータ、及びリチウムイオンを含む非水系電解液を備える非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率を推定する装置(以下、「容量劣化率推定装置」という)である。
非水系リチウム型蓄電素子に含まれる正極、負極、セパレータ及び非水系電解液については後述される。
本実施形態では、容量劣化率推定装置は:
非水系リチウム型蓄電素子を定電流放電した際の放電容量を横軸に、電圧を縦軸に取ることにより得られた放電カーブを高電圧側から順に3つの領域、より詳細には:活性炭の高電圧容量が主として発現する第1領域;オリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物の容量が主として発現する第2領域;活性炭の低電圧容量が主として発現する第3領域;に分割し、それぞれの領域の容量劣化係数を電圧及び温度のパラメータとして表したデータベース群を有する記憶部と、
該非水系リチウム型蓄電素子の稼働中の電圧と温度を測定する測定部と、
上記で測定された電圧と温度に相当する劣化係数を上記データベース群より演算して求めることによって、上記第1、第2及び第3領域の容量劣化率を推定し、推定された第1、第2及び第3領域の容量劣化率を合計することによって、該蓄電素子の容量劣化率を推定し、さらに時間毎の推定容量を積算することによって、該蓄電素子の容量劣化率を推定する演算処理部と、
を備える。
図4に容量劣化率推定装置の構成の例を示す。図4では、電圧測定部から電圧データが、温度測定部から温度データが、それぞれ演算処理部に送達される。演算処理部は、電圧と温度の実測データに対応する劣化係数を、記憶部の劣化係数データベース群から読み出すか、補間演算することによって取得し、容量劣化率を推定する。推定された容量劣化率は出力部を介して観測者に示される。なお、電圧測定部と温度測定部が一体化した部品(図示せず)を用いてもよい。
[容量劣化率推定装置の用途]
本発明の別の実施形態では、
(a)非水系リチウム型蓄電素子と、
(b)上記で説明された容量劣化率推定装置と、
を含むシステムが提供される。容量劣化率推定装置は、非水系リチウム型蓄電素子を含むシステムに、例えば、蓄電モジュールシステム、電力回生アシストシステム、電力負荷平準化システム、無停電電源システム、非接触給電システム、エナジーハーベストシステム、蓄電システム、太陽光発電蓄電システム、電動パワーステアリングシステム、非常用電源システム、インホイールモーターシステム、アイドリングストップシステム、輸送機器システム、急速充電システム、スマートグリッドシステム等に使用されることができる。
図9は、非水系リチウム型蓄電素子を用いた蓄電モジュールシステムの構成図である。蓄電モジュール9は、複数のエンドプレート(3,3)の間に、タブ端子5を有する蓄電素子1が複数積層されたセルスタック2を有し、かつエンドプレート3とセルスタック2を横切るように配置された締結体4により補強される。複数のタブ端子(5,5)の間にはバスバー6が配置されることができる。蓄電モジュール9の容量劣化率を推定するときに、図9に示されるように、容量劣化率推定装置の電圧測定端子7及び温度測定端子8を蓄電モジュール9のタブ端子5にそれぞれ接触させて、蓄電モジュール9の電圧及び温度を測定してよい。なお、図面では正負タブが蓄電素子の両端から出ている構造を示しているが、片側から正負タブが出ていても適用可能である。
蓄電システムは太陽光発電又は風力発電等の自然発電に、電力負荷平準化システムはマイクログリッド等に、無停電電源システムは工場の生産設備等に、それぞれ好適に利用される。非接触給電システムにおいて、非水系リチウム型蓄電素子は、マイクロ波送電又は電界共鳴等の電圧変動の平準化及びエネルギーの蓄電のために、エナジーハーベストシステムにおいて、非水系リチウム型蓄電素子は、振動発電等で発電した電力を使用するために、それぞれ好適に利用される。
蓄電システム、電動パワーステアリングシステム、非常用電源システム、インホイールモーターシステム、アイドリングストップシステム、輸送機器システム、急速充電システム、スマートグリッドシステム等においては、セルスタックとして、複数個の(a)非水系リチウム型蓄電素子が直列若しくは並列に接続されるか、又は(a)非水系リチウム型蓄電素子と、(c)鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池若しくは燃料電池とが直列又は並列に接続されることができる。
また、上記で説明された容量劣化推定装置は、輸送機器システムに、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク等の輸送機器に搭載されることができる。
上記で説明された電力回生アシストシステム、電動パワーステアリングシステム、非常用電源システム、インホイールモーターシステム、アイドリングストップシステム、又はこれらの組み合わせは、輸送機器に好適に搭載される。
[システム停止時の劣化推定]
上記で説明されたシステムが停止している間にも、非水系リチウム型蓄電素子は劣化することがある。高精度に素子の容量劣化を予測するためには、システム稼働中の劣化に加えてシステム停止中の劣化も推定して積算することが好ましい。本発明の一実施形態の容量劣化率推定装置では、非水系リチウム型蓄電素子を含むシステムが停止している間の非水系リチウム型蓄電素子の電圧と温度の推移を予測し、該システムが停止している間の容量劣化率を予測する方法を行うことができる。
具体的な方法は特に限定されないが、例えば、システム停止前に測定した非水系リチウム型蓄電素子の温度および電圧に基づいて、これらの温度および電圧がシステム停止中もそのまま保持すると見なして、劣化係数データベース群より、適切な劣化係数を引用するか、または補間演算により劣化係数を求めて、システム停止時間に基づいて、上記(式3)、(式4)、(式5)及び(式6)を利用してシステム停止中における容量劣化率を求める方法が挙げられる。また、別の方法として、例えば、システム停止前に測定した非水系リチウム型蓄電素子の温度および電圧、並びにシステム停止前に測定した該システム周辺の環境温度に基づいて、システム停止中の非水系リチウム型蓄電素子の温度の時間推移、電圧の時間推移を演算予測し、各時間における容量劣化係数を求めて、上記(式3)、(式4)、(式5)及び(式6)を利用してシステム停止中における容量劣化率を求める方法が挙げられる。
本実施形態では、上記で説明された容量劣化率推定装置又はシステムは、非水系リチウム型蓄電素子又はシステムが停止している間に非水系リチウム型蓄電素子の電圧及び温度の推移を予測し、非水系リチウム型蓄電素子が停止している間の容量劣化率を予測する機構を備える。その機構は、例えば、図4に示される電圧・温度測定部、図4に示される演算処理部及び記憶部、又はそれらの任意の組み合わせでよい。
[正極]
正極は、正極集電体と、その片面又は両面に存在する正極活物質層とを有する。
また、正極は、蓄電素子組み立て前の正極前駆体として、リチウム化合物を含むことが好ましい。後述のように、本実施形態では蓄電素子組み立て工程内で、負極にリチウムイオンをプレドープすることが好ましいが、そのプレドープ方法としては、リチウム化合物を含む正極前駆体、負極、セパレータ、外装体、及び非水系電解液を用いて蓄電素子を組み立てた後に、正極前駆体と負極との間に電圧を印加することが好ましい。リチウム化合物は、正極前駆体の正極集電体上に形成された正極活物質層に含有されることが好ましい。リチウム化合物は、正極前駆体中にいかなる態様で含まれていてもよい。例えば、リチウム化合物は、正極集電体と正極活物質層との間に存在してもよく、正極活物質層の表面上に存在してもよい。
本明細書において、リチウムドープ工程前における正極状態のことを正極前駆体、リチウムドープ工程後における正極状態のことを正極と定義する。
[正極活物質層]
本実施形態に係る正極に含まれる正極活物質層は、活性炭とリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含む正極活物質を含有する。正極活物質層は、活性炭及びオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物以外に、必要に応じて、遷移金属酸化物、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含むことが好ましく、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な遷移金属酸化物を含むことがより好ましい。
また、正極前駆体の正極活物質層には、正極活物質以外のリチウム化合物が含有されることが好ましい。
[正極活物質]
本実施形態に係る正極活物質は、活性炭とリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含む。また、正極活物質には、他の炭素材料(カーボンナノチューブ、導電性高分子、又は多孔性の炭素材料)を併用してもよい。
[活性炭]
正極活物質として用いる活性炭の種類及びその原料には特に制限はない。
高い入出力特性と、高いエネルギー密度とを両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、(1)高い入出力特性のためには、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が1,500m/g以上3,000m/g以下である活性炭(以下、活性炭1ともいう。)が好ましく、また(2)高いエネルギー密度を得るためには、0.8<V1≦2.5、及び0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が2,300m/g以上4,200m/g以下である活性炭(以下、活性炭2ともいう。)が好ましい。
[遷移金属酸化物]
本実施形態に係る正極活物質は、蓄電素子の高エネルギー密度化と高出力化を両立し、かつ、それらの特性を広い温度範囲内で維持するという観点から、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物を含む。なお、本明細書では、用語「遷移金属酸化物」は、遷移金属リン酸塩を含むものとする。
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有する遷移金属酸化物として、具体的には、下記式:
Lix1MPO{式中、Mは、Co、Ni、Fe、Mn及びCuから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、かつx1は、0≦x1≦2を満たす。}、及び
Li(PO{式中、zは0≦z≦3を満たす}、
から成る群より選ばれる少なくとも1種のリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。
上記で説明されたリチウム遷移金属酸化物の中でも、高エネルギー密度化と高出力化を両立し、かつ、それらの特性を広い温度範囲内で維持するという観点から、下記式:
Lix2FePO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
Lix2CoPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、及び
Lix2MnPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
から成る群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
リチウム遷移金属酸化物の平均粒子径は、0.1~20μmであることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、活物質層の密度が高いために電極体積当たりの容量が高くなる傾向がある。平均粒子径が小さくなるにつれて耐久性も低くなるという欠点を招来する場合があるが、平均粒子径が0.1μm以上であれば、そのような欠点が生じ難い。他方で、平均粒子径が20μm以下であると、高速充放電には適合し易くなる傾向がある。平均粒子径は、より好ましくは0.5~15μmであり、更に好ましくは1~10μmである。更に、リチウム遷移金属酸化物の平均粒子径が炭素材料の平均粒子径より小さいと、平均粒子径の大きな炭素材料により形成される空隙にリチウム遷移金属酸化物を配置することができ、蓄電素子を低抵抗化できるため好ましい。
[リチウム遷移金属酸化物の量]
前記正極活物質層の総質量を基準として、リチウム遷移金属酸化物の含有率をGとするとき、Gが1.0質量%以上50.0質量%以下であり、好ましくは10.0質量%以上45.0質量%以下であり、より好ましくは15.0質量%以上40.0質量%以下である。含有率Gが1.0質量%以上50.0質量%以下であれば、本発明の容量劣化率推定方法を用いることで高精度に蓄電素子又はシステムの容量劣化率を推定することができる。また、含有率Gが1.0質量%以上であれば、蓄電素子のエネルギー密度をより高めることが可能であり、含有率Gが50.0質量%以下であれば蓄電素子を高出力化することができる。
[活性炭とリチウム遷移金属酸化物の質量割合]
正極活物質層中に占める活性炭の質量割合をAとし、リチウム遷移金属酸化物の質量割合をAとしたとき、A/Aが0.1以上2.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.2以上2.0以下、さらに好ましくは0.3以上1.2以下である。A/Aが0.1以上2.5以下であれば、本発明の容量劣化率推定方法を用いることで高精度に蓄電素子又はシステムの容量劣化率を推定することができる。また、A/Aが0.1以上であれば正極活物質層の嵩密度を高め、蓄電素子を高容量化できる。A/Aが2.5以下であれば活性炭間の電子伝導が高まるために蓄電素子を低抵抗化できる。
[正極活物質の含有割合]
正極活物質層における正極活物質の含有割合は、正極前駆体における正極活物質層の全質量を基準として、35質量%以上95質量%以下であることが好ましい。正極活物質の含有割合の下限としては、45質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。他方、正極活物質の含有割合の上限としては、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。この範囲の含有割合に調整することにより、蓄電素子が好適な充放電特性を発揮する。
[リチウム化合物]
本実施形態の正極前駆体の正極活物質層には、正極活物質以外のリチウム化合物が含有されることが好ましい。本明細書では、用語「リチウム化合物」は、電解質としてのリチウム塩及び上記で説明されたリチウム遷移金属酸化物とは異なるものである。
本実施形態に係るリチウム化合物としては、炭酸リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、フッ化リチウム、塩化リチウム、シュウ化リチウム、ヨウ化リチウム、窒化リチウム、シュウ酸リチウム、及び酢酸リチウムから選択される1種以上が好適に用いられる。中でも、炭酸リチウム、酸化リチウム、及び水酸化リチウムがより好適であり、空気中での取り扱いが可能であり、かつ吸湿性が低いという観点から炭酸リチウムがさらに好適に用いられる。このようなリチウム化合物は、電圧の印加によって分解し、負極へのリチウムドープのドーパント源として機能するとともに、正極活物質層において空孔を形成するから、電解液の保持性に優れ、イオン伝導性に優れる正極を形成することができる。非水系電解液として、後述するLiPF等のリチウム塩を予め溶解させた電解液を用いる場合には、リチウム金属炭酸塩を単独で用いることもできる。正極前駆体中に含まれるリチウム化合物は1種でもよく、2種以上のリチウム化合物を含んでいてもよく、リチウム化合物と他のアルカリ金属炭酸塩を混合して用いてもよい。
正極前駆体に含まれるリチウム化合物の質量割合が10質量%以上50質量%以下含まれるように正極前駆体を作製することが好ましい。リチウム化合物の質量割合が10質量%以上であれば負極に十分な量のリチウムイオンをプレドープすることができ、非水系リチウム型蓄電素子の容量が高まる。リチウム化合物の質量割合が50質量%以下であれば、正極前駆体中の電子伝導を高めることができるので、リチウム化合物の分解を効率よく行うことができる。
正極前駆体が、リチウム金属化合物の他に上記2種以上のアルカリ金属化合物、又はアルカリ土類金属化合物を含む場合は、アルカリ金属化合物、及びアルカリ土類金属化合物の総量が、正極前駆体の片面当たり正極活物質層中に1質量%以上50質量%以下の割合で含まれるように正極前駆体を作製することが好ましい。
[正極前駆体のリチウム化合物]
リチウム化合物は、粒子状であることが好ましい。正極前駆体に含有されるリチウム化合物の平均粒子径は0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。正極前駆体に含有されるリチウム化合物の平均粒子径の上限としては50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましく、10μm以下であることが最も好ましい。他方、正極前駆体に含有されるリチウム化合物の平均粒子径の下限としては0.3μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることが更に好ましい。リチウム化合物の平均粒子径が0.1μm以上であれば、正極におけるリチウム化合物の酸化反応後に残る空孔が電解液を保持するのに十分な容積を有することとなるため、高負荷充放電特性が向上する。リチウム化合物の平均粒子径が100μm以下であれば、リチウム化合物の表面積が過度に小さくはならないから、該リチウム化合物の酸化反応の速度を確保することができる。リチウム化合物の平均粒子径の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
[正極のリチウム化合物]
本実施形態では、正極が含有する、正極活物質以外のリチウム化合物の平均粒子径をXとするとき、0.1μm≦X≦10.0μmの範囲であることが好ましい。リチウム化合物の平均粒子径のより好ましい範囲は、0.5μm≦X≦5.0μmである。Xが0.1μm以上の場合、蓄電素子の高負荷充放電サイクルで生成するフッ素イオンを吸着することにより高負荷充放電サイクル特性が向上する。Xが10.0μm以下の場合、蓄電素子の高負荷充放電サイクルで生成するフッ素イオンとの反応面積が増加するため、フッ素イオンの吸着を効率良く行うことができる。
正極が含有する、正極活物質以外のリチウム化合物は、正極における正極活物質層の全質量を基準として、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。リチウム化合物の含有量が0.5質量%以上であると、必ずしも理由は定かではないが、本発明の容量劣化率推定方法による、容量劣化推定精度が向上する。リチウム化合物の含有量が0.5質量%以上であると、高温環境下における正極上での電解液溶媒の分解反応を炭酸リチウム等のリチウム化合物が抑制するため、高温耐久性が向上し、2.5質量%以上でその効果が顕著になる。また、リチウム化合物の含有量が50質量%以下であると、正極活物質間の電子伝導性がリチウム化合物により阻害されることが比較的小さいため、高い入出力特性を示し、35質量%以下であると、入出力特性の観点から特に好ましい。尚、リチウム化合物の含有量の下限と上限の組み合わせは任意のものであることができる。
[正極活物質層のその他の任意成分]
本実施形態における正極活物質層は、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
導電性フィラーとしては、特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、カーボンナノチューブ、これらの混合物等を用いることができる。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、アクリル共重合体等を用いることができる。
分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース誘導体等を用いることができる。
[正極集電体]
本実施形態における正極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化が起こらない材料であれば特に制限はないが、金属箔が好ましい。本実施形態の非水系リチウム型蓄電素子における正極集電体としては、アルミニウム箔がより好ましい。
該金属箔は凹凸や貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等を施した凹凸を有する金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。
特に、電極作製の容易性、高い電子伝導性の観点から、正極集電体は、無孔状であることが好ましい。
本明細書において、「無孔状の正極集電体」とは、少なくとも正極活物質層の塗工された領域において、リチウムイオンが正極集電体を通過して、正極の表裏でリチウムイオンが均一化する程度の孔を有しない正極集電体を意味する。したがって、無孔状の正極集電体は、本発明の効果を奏する範囲内において、極めて小径又は微量の孔を有する正極集電体、及び正極活物質層の塗工されていない領域に孔を有する正極集電体をも排除するものではない。
また、正極集電体のうち少なくとも正極活物質層が塗工された領域は無孔状であることがより好ましく、正極集電体のうち正極活物質が塗工されていない余剰部分には孔があってもよいし、無くてもよい。
正極集電体の厚みは、正極の形状及び強度を十分に保持できれば特に制限はないが、例えば、1~100μmが好ましい。
[正極前駆体の製造]
本実施形態において、非水系リチウム型蓄電素子の正極となる正極前駆体は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等における電極の製造技術によって製造することが可能である。例えば、正極活物質として、活性炭及びリチウム遷移金属化合物、並びに必要に応じて使用されるリチウム化合物その他の任意成分を、水又は有機溶剤中に分散又は溶解してスラリー状の塗工液を調製し、この塗工液を正極集電体上の片面又は両面に塗工して塗膜を形成し、これを乾燥することにより正極前駆体を得ることができる。さらに、得られた正極前駆体にプレスを施して、正極活物質層の膜厚又は嵩密度を調整してもよい。代替的には、溶剤を使用せずに、正極活物質として、活性炭及びリチウム遷移金属化合物、又は、さらに必要に応じて使用されるリチウム化合物その他の任意成分を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて正極集電体に貼り付ける方法も可能である。
正極前駆体の塗工液は、正極活物質を含む各種材料粉末の一部若しくは全部をドライブレンドし、次いで水若しくは有機溶媒、及び/又はそれらに結着剤若しくは分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質を追加して調製してもよい。また、水又は有機溶媒に結着剤又は分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質の中に、正極活物質を含む各種材料粉末を追加して、塗工液を調製してもよい。前記ドライブレンド法として、例えばボールミル等を使用して正極活物質及びリチウム化合物、並びに必要に応じて導電性フィラーを予備混合して、導電性の低いリチウム化合物に導電性フィラーをコーティングさせる予備混合をしてもよい。これにより、後述のリチウムドープ工程において正極前駆体でリチウム化合物が分解し易くなる。前記塗工液の溶媒に水を使用する場合には、リチウム化合物を加えることで塗工液がアルカリ性になることもあるため、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。
正極前駆体の塗工液の調製には、特に制限されるものではないが、好適にはホモディスパー又は多軸分散機、プラネタリーミキサー、薄膜旋回型高速ミキサー等の分散機等を用いることができる。
正極前駆体の塗膜の形成は特に制限されるものではないが、好適にはダイコーター又はコンマコーター、ナイフコーター、グラビア塗工機等の塗工機を用いることができる。塗膜は単層塗工で形成してもよいし、多層塗工で形成してもよい。多層塗工の場合には、塗膜各層内のリチウム化合物の含有量が異なるように塗工液組成を調整してもよい。
正極前駆体の塗膜の乾燥については、特に制限されるものではないが、好適には熱風乾燥、赤外線(IR)乾燥等の乾燥方法を用いることができる。塗膜の乾燥は、単一の温度で乾燥させてもよいし、多段的に温度を変えて乾燥させてもよい。また、複数の乾燥方法を組み合わせて塗膜を乾燥させてもよい。乾燥温度は、25℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上180℃以下、さらに好ましくは50℃以上160℃以下である。乾燥温度が25℃以上であれば、塗膜中の溶媒を十分に揮発させることができる。他方、乾燥温度が200℃以下であれば、急激な溶媒の揮発による塗膜のヒビ割れ又はマイグレーションによる結着剤の偏在、及び正極集電体又は正極活物質層の酸化を抑制できる。
正極前駆体のプレスには、特に制限されるものではないが、好適には油圧プレス機、真空プレス機等のプレス機を用いることができる。正極活物質層の膜厚、嵩密度及び電極強度は、後述するプレス圧力、隙間、及びプレス部の表面温度により調整できる。
また、プレス部の表面温度は室温でもよいし、必要によりプレス部を加熱してもよい。加熱する場合のプレス部の表面温度の下限は、使用する結着剤の融点マイナス60℃以上が好ましく、より好ましくは融点マイナス45℃以上、さらに好ましくは融点マイナス30℃以上である。他方、加熱する場合のプレス部の表面温度の上限は、使用する結着剤の融点プラス50℃以下が好ましく、より好ましくは融点プラス30℃以下、さらに好ましくは融点プラス20℃以下である。例えば、結着剤にPVdF(ポリフッ化ビニリデン:融点150℃)を用いた場合、プレス部の表面を90℃以上200℃以下に加温することが好ましく、より好ましく105℃以上180℃以下、さらに好ましくは120℃以上170℃以下にプレス部の表面を加熱することである。また、結着剤にスチレン-ブタジエン共重合体(融点100℃)を用いた場合、プレス部の表面を40℃以上150℃以下に加温することが好ましく、より好ましくは55℃以上130℃以下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下にプレス部の表面を加温することである。
結着剤の融点は、DSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量分析)の吸熱ピーク位置で求めることができる。例えば、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC7」を用いて、試料樹脂10mgを測定セルにセットし、窒素ガス雰囲気中で、温度30℃から10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し、昇温過程における吸熱ピーク温度が融点となる。
また、プレス圧力、隙間、速度、及びプレス部の表面温度の条件を変えながら複数回プレスを実施してもよい。
正極活物質層の目付は、正極集電体の片面当たり20g・m-2以上150g・m-2以下であることが好ましく、より好ましくは片面当たり25g・m-2以上120g・m-2以下であり、更に好ましくは30g・m-2以上80g・m-2以下である。150g・m-2以下であれば、正極内の劣化が均質に生じるため、本発明の容量劣化率推定法により、高精度に容量劣化率を推定できる。この目付が20g・m-2以上であれば、十分な充放電容量を発現することができる。他方、この目付が150g・m-2以下であれば、電極内のイオン拡散抵抗を低く維持することができる。このような目付の調整により蓄電素子の十分な出力特性が得られるとともに、セル体積を縮小することができるため、エネルギー密度を高めることができる。上記正極活物質層の目付の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
正極活物質層の膜厚は、正極集電体の片面当たり20μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは片面当たり25μm以上140μm以下であり、更に好ましくは30μm以上100μm以下である。この膜厚が20μm以上であれば、十分な充放電容量を発現することができる。他方、この膜厚が200μm以下であれば、正極内の劣化が均質に生じるため、本発明の容量劣化率推定法により、高精度に容量劣化率を推定できる。また、膜厚が200μm以下であれば、電極内のイオン拡散抵抗を低く維持することができ、十分な出力特性が得られるとともに、セル体積を縮小することができるため、エネルギー密度を高めることができる。上記正極活物質層の膜厚の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。なお、集電体が貫通孔又は凹凸を有する場合における正極活物質層の膜厚とは、集電体の貫通孔又は凹凸を有していない部分の片面当たりの膜厚の平均値をいう。
[リチウムドープ工程後の正極]
後述のリチウムドープ工程後の正極における正極活物質層の嵩密度は、0.25g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.30g/cm以上1.3g/cm以下の範囲である。正極活物質層の嵩密度が0.25g/cm以上であれば、高いエネルギー密度を発現でき、蓄電素子の小型化を達成できる。他方、この嵩密度が1.3g/cm以下であれば、正極活物質層内の空孔における電解液の拡散が十分となり、高い出力特性が得られ、また、正極内の劣化が均質に生じるため、本発明の容量劣化率推定法により、高精度に容量劣化率を推定できる。
[正極活物質層中の炭素材料、リチウム遷移金属酸化物の量の測定方法]
正極活物質層中に含まれる炭素材料の質量割合をA、リチウム遷移金属酸化物の質量割合をA、その他の成分の質量割合をAとしたとき、これらの値の定量方法は特に限定されないが、例えば下記の方法により定量することができる。
測定する正極の面積は特に制限されないが、測定のばらつきを軽減するという観点から5cm以上200cm以下であることが好ましく、より好ましくは25cm以上150cm以下である。面積が5cm以上あれば測定の再現性が確保される。面積が200cm以下であればサンプルの取扱い性に優れる。
まず、非水系リチウム型蓄電素子を23℃の部屋に設置された露点-90℃以下、酸素濃度1ppm以下で管理されているArボックス内で解体して正極を取り出す。取り出した正極を、ジメチルカーボネート(DMC)で浸漬洗浄した後、大気非暴露を維持した状態下で、サイドボックス中で真空乾燥させる。真空乾燥後に得られた正極について、重量(M)を測定する。続いて、正極の重量の100~150倍の蒸留水に3日間以上浸漬させ、炭素材料とリチウム遷移金属酸化物以外の成分を水中に溶出させる。浸漬の間、蒸留水が揮発しないよう容器に蓋をすることが好ましい。3日間以上浸漬させた後、蒸留水から正極を取り出し、上記と同様に真空乾燥する。得られた正極の重量(M)を測定する。続いて、スパチュラ、ブラシ、刷毛等を用いて正極集電体の片面、または両面に塗布された正極活物質層を取り除く。残った正極集電体の重量(M)を測定し、以下の(I)式でAを算出する。
=(M-M)/(M-M)×100 (I)式
続いて、A、Aを算出するため、上記アルカリ金属化合物を取り除いて得られた正極活物質層について、以下の条件にてTG曲線を測定する。
・試料パン:白金
・ガス:大気雰囲気下、又は圧縮空気
・昇温速度:0.5℃/min以下
・温度範囲:25℃~500℃以上リチウム遷移金属酸化物の融点マイナス50℃の温度以下
得られるTG曲線の25℃の質量をMとし、500℃以上の温度にて質量減少速度がM×0.01/min以下となった最初の温度における質量をMとする。
炭素材料は、酸素含有雰囲気(例えば、大気雰囲気)下では500℃以下の温度で加熱することですべて酸化・燃焼する。他方、リチウム遷移金属酸化物は酸素含有雰囲気下でもリチウム遷移金属酸化物の融点マイナス50℃の温度までは質量減少することがない。
そのため、正極活物質層におけるリチウム遷移金属酸化物の含有量Aは以下の(II)式で算出できる。
=(M/M)×{1-(M-M)/(M-M)}×100 (II)式
また、正極活物質層における炭素材料の含有量Aは以下の(III)式で算出できる。
={(M-M)/M}×{1-(M-M)/(M-M)}×100 (III)式
[負極]
負極は、負極集電体と、その片面又は両面に存在する負極活物質層とを有する。
負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる負極活物質を含む。負極活物質層は、負極活物質以外に、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
[負極活物質]
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料を用いることができる。蓄電素子の出力と容量を両立し、かつ広い温度範囲内でそれらを維持するという観点からは、2種類の負極活物質を用いてもよい。
負極活物質としては、具体的には、炭素材料、チタン酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素合金、ケイ素化合物、錫及び錫化合物等が例示される。好ましくは、負極活物質の総量に対する炭素材料の含有率が50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。炭素材料の含有率は、100質量%でよいが、他の材料の併用による効果を良好に得る観点から、例えば、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
負極活物質には、リチウムイオンをドープすることが好ましい。本明細書において、負極活物質にドープされたリチウムイオンとしては、主に3つの形態が包含される。
第一の形態としては、非水系リチウム型蓄電素子を作製する前に、負極活物質に設計値として予め吸蔵させるリチウムイオンである。
第二の形態としては、非水系リチウム型蓄電素子を作製し、出荷する際の負極活物質に吸蔵されているリチウムイオンである。
第三の形態としては、非水系リチウム型蓄電素子をデバイスとして使用した後の負極活物質に吸蔵されているリチウムイオンである。
負極活物質にリチウムイオンをドープしておくことにより、得られる非水系リチウム型蓄電素子の容量及び作動電圧を良好に制御することが可能となる。
前記炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素材料;易黒鉛化性炭素材料;カーボンブラック;カーボンナノ粒子;活性炭;人造黒鉛;天然黒鉛;黒鉛化メソフェーズカーボン小球体;黒鉛ウイスカ;ポリアセン系物質等のアモルファス炭素質材料;石油系のピッチ、石炭系のピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、合成樹脂(例えばフェノール樹脂等)等の炭素質材料前駆体を熱処理して得られる炭素質材料;フルフリルアルコール樹脂又はノボラック樹脂の熱分解物;フラーレン;カーボンナノフォーン;及びこれらの複合炭素材料を挙げることができる。
本実施形態において、負極活物質層は、負極活物質の重量を基準として、BET法により算出した比表面積が4m/g以上75m/g以下であることが好ましい。BET法により算出した比表面積の下限値は、より好ましくは5m/g以上、さらに好ましくは6m/g以上、特に好ましくは7m/g以上である。BET法により算出した比表面積の上限値は、より60m/g以下、さらに好ましくは40m/g以下、特に好ましくは30m/g以下である。
代替的には、負極活物質層は、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なチタン酸リチウム、並びにリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な酸化チタンから成る群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。例えば、チタン酸リチウムは、一般式LiTi(式中、xは0.8≦x≦1.4を満たし、かつyは1.6≦y≦2.2を満たす)で表される。例えば、酸化チタンとしては、ルチル型の酸化チタン、アナターゼ型の酸化チタン等が挙げられる。これらの中でも、Liイオンの挿入脱離に伴う反応抵抗の上昇が小さく、低温環境下でも高出力を維持できるという観点から、Li4/3Ti5/3が好ましい。
[負極活物質層のその他の任意成分]
本実施形態に係る負極活物質層は、必要に応じて、負極活物質の他に、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
導電性フィラーの種類は特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が例示される。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、アクリル共重合体等を用いることができる。
分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース誘導体等を用いることができる。
[負極集電体]
本発明における負極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、非水系電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化がおこらない金属箔であることが好ましい。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。本実施の形態の非水系リチウム型蓄電素子における負極集電体としては、銅箔が好ましい。
該金属箔は凹凸や貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等を施した凹凸を有する金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。
特に、電極作製の容易性、高い電子伝導性の観点から、本実施形態における負極集電体は、無孔状であることが好ましい。
本明細書において、「無孔状の負極集電体」とは、少なくとも負極活物質層の塗工された領域において、リチウムイオンが負極集電体を通過して負極の表裏でリチウムイオンが均一化する程度の孔を有しない負極集電体を意味する。したがって、無孔状の負極集電体は、本願発明の効果を奏する範囲内において、極めて小径又は微量の孔を有する負極集電体や、負極活物質層の塗工されていない領域に孔を有する負極集電体をも排除するものではない。また、負極集電体のうち少なくとも負極活物質層が塗工された領域は無孔状であることがより好ましく、負極集電体のうち負極活物質が塗工されていない余剰部分には孔があってもよいし、無くてもよい。
負極集電体の厚みは、負極の形状及び強度を十分に保持できれば特に制限はないが、例えば、1~100μmが好ましい。なお、負極集電体が孔又は凹凸を有するときには、孔又は凹凸が存在しない部分に基づいて負極集電体の厚みを測定するものとする。
[負極の製造]
負極は、負極集電体の片面上又は両面上に負極活物質層を有して成る。典型的な態様において負極活物質層は負極集電体に固着している。
負極は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等における電極の製造技術によって製造することが可能である。例えば、負極活物質を含む各種材料を水又は有機溶剤中に分散又は溶解してスラリー状の塗工液を調製し、この塗工液を負極集電体上の片面又は両面に塗工して塗膜を形成し、これを乾燥することにより負極を得ることができる。さらに得られた負極にプレスを施して、負極活物質層の膜厚又は嵩密度を調整してもよい。代替的には、溶剤を使用せずに、負極活物質を含む各種材料を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて負極集電体に貼り付ける方法も可能である。
塗工液は、負極活物質を含む各種材料粉末の一部若しくは全部をドライブレンドし、次いで水又は有機溶媒、及び/又はそれらに結着剤若しくは分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質を追加して調製してもよい。また、水又は有機溶媒に結着剤又は分散安定剤が溶解又は分散した液状又はスラリー状の物質の中に、負極活物質を含む各種材料粉末を追加して塗工液を調製してもよい。前記塗工液の調製には、特に制限されるものではないが、好適にはホモディスパー又は多軸分散機、プラネタリーミキサー、薄膜旋回型高速ミキサー等の分散機等を用いることができる。
塗膜の形成には、特に制限されるものではないが、好適にはダイコーター又はコンマコーター、ナイフコーター、グラビア塗工機等の塗工機を用いることができる。塗膜は単層塗工で形成してもよいし、多層塗工して形成してもよい。
塗膜の乾燥は、特に制限されるものではないが、好適には熱風乾燥、赤外線(IR)乾燥等の乾燥方法を用いることができる。塗膜は、単一の温度で乾燥させてもよいし、多段的に温度を変えて乾燥させてもよい。また、複数の乾燥方法を組み合わせて塗膜を乾燥させてもよい。乾燥温度は、25℃以上200℃以下であることが好ましい。乾燥温度は、より好ましくは40℃以上180℃以下、さらに好ましくは50℃以上160℃以下である。乾燥温度が25℃以上であれば、塗膜中の溶媒を十分に揮発させることができる。他方、乾燥温度が200℃以下であれば、急激な溶媒の揮発による塗膜のヒビ割れ又はマイグレーションによる結着剤の偏在、及び負極集電体又は負極活物質層の酸化を抑制できる。
負極のプレスには、特に制限されるものではないが、好適には油圧プレス機、真空プレス機等のプレス機を用いることができる。負極活物質層の膜厚、嵩密度及び電極強度は後述するプレス圧力、隙間、プレス部の表面温度により調整できる。プレス部の表面温度は室温でもよいし、必要により加熱してもよい。加熱する場合のプレス部の表面温度の下限は、使用する結着剤の融点マイナス60℃以上が好ましく、より好ましくは融点マイナス45℃以上、さらに好ましくは融点マイナス30℃以上である。他方、加熱する場合のプレス部の表面温度の上限は、使用する結着剤の融点プラス50℃以下が好ましく、より好ましくは融点プラス30℃以下、さらに好ましくは融点プラス20℃以下である。例えば、結着剤にPVdF(ポリフッ化ビニリデン:融点150℃)を用いた場合、プレス部の表面温度を90℃以上200℃以下に加温することが好ましい。プレス部の表面温度は、より好ましく105℃以上180℃以下、さらに好ましくは120℃以上170℃以下に加熱することである。また、結着剤にスチレン-ブタジエン共重合体(融点100℃)を用いた場合、プレス部の表面温度を40℃以上150℃以下に加温することが好ましい。プレス部の表面温度はより好ましくは55℃以上130℃以下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下に加温することである。
結着剤の融点は、DSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量分析)の吸熱ピーク位置で求めることができる。例えば、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC7」を用いて、試料樹脂10mgを測定セルにセットし、窒素ガス雰囲気中で、温度30℃から10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し、昇温過程における吸熱ピーク温度が融点となる。
また、プレス圧力、隙間、速度、プレス部の表面温度の条件を変えながら複数回プレスを実施してもよい。
負極活物質層の目付は、負極集電体の片面当たり10g・m-2以上100g・m-2以下であることが好ましく、より好ましくは片面当たり12g・m-2以上80g・m-2以下であり、更に好ましくは15g・m-2以上50g・m-2以下である。この目付が10g・m-2以上であれば、高負荷充放電特性を向上させることができる。他方、この目付が100g・m-2以下であれば、電極内のイオン拡散抵抗を低く維持することができるため、セル内の劣化が均質に進み、本発明の容量劣化率推定方法を用いて、高精度に劣化率を推定することが可能となる。また、十分な出力特性が得られるとともに、セル体積を縮小することが可能となり、エネルギー密度を高めることができる。上記負極活物質層の目付の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
負極活物質層の膜厚は、片面当たり、10μm以上150μm以下が好ましい。該負極活物質層の膜厚の下限は、より好ましくは12μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。該負極活物質層の膜厚の上限は、より好ましくは120μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下である。この膜厚が10μm以上であれば、負極活物質層を塗工した際にスジ等が発生せず、塗工性に優れる。他方、この膜厚が150μm以下であれば、セル内の劣化が均質に進み、本発明の容量劣化率推定方法を用いて、高精度に劣化率を推定することが可能となる。また、セル体積を縮小することによって高いエネルギー密度を発現できる。なお、集電体が貫通孔又は凹凸を有する場合における負極活物質層の膜厚とは、集電体の貫通孔又は凹凸を有していない部分の片面当たりの膜厚の平均値をいう。
負極活物質層の嵩密度は、好ましくは0.30g/cm以上1.8g/cm以下であり、より好ましくは0.40g/cm以上1.5g/cm以下、さらに好ましくは0.45g/cm以上1.3g/cm以下である。嵩密度が0.30g/cm以上であれば、十分な強度を保つことができるとともに、負極活物質間の十分な導電性を発現することができる。また、嵩密度が1.8g/cm以下であれば、負極活物質層内でイオンが十分に拡散できる空孔が確保でき、セル内の劣化が均質に進み、本発明の容量劣化率推定方法を用いて、高精度に劣化率を推定することが可能となる。
[正極と負極の設計]
本実施形態において、正極の正極活物質層の目付をC(g/m)とし、負極の負極活物質層の目付をC(g/m)とするとき、C/Cが0.35以上5.80以下であることが好ましい。より好ましくは0.40以上3.00以下であり、さらに好ましくは0.60以上2.50以下である。C/Cが0.35以上5.80以下であれば、正極・負極の片方に負荷が偏ることなく、均質に劣化が進むため、本発明の容量劣化率推定法による、高精度の容量劣化率推定が可能である。
また、正極の正極活物質層の厚みをD(μm)とし、負極の負極活物質層の厚みをD(μm)とするとき、D/Dが0.30以上5.00以下であることが好ましく、より好ましくは0.70以上3.50以下であり、さらに好ましくは1.00以上2.50以下である。D/Dが0.30以上5.00以下であれば、正極・負極の片方に負荷が偏ることなく、均質に劣化が進むため、本発明の容量劣化率推定法による、高精度の容量劣化率推定が可能である。
[正極活物質層目付の算出]
正極前駆体の場合、正極前駆体の一部を所定の面積に切り出し、重量を測定する。測定する正極の面積は特に制限されないが、測定のばらつきを軽減するという観点から5cm以上200cm以下であることが好ましく、より好ましくは25cm以上150cm以下である。面積が5cm以上あれば測定の再現性が確保される。面積が200cm以下であればサンプルの取扱い性に優れる。続いて正極前駆体の正極活物質層をスパチュラ、ブラシ、刷毛等を用いて削り取り、正極集電箔の重量を測定する。切り出した正極前駆体の面積をSZC(m)、切り出した正極前駆体の重量をMZC1(g)、正極集電箔の重量をMZC2(g)とすると、正極前駆体の正極活物質層目付CZ1は以下の式(IV)で算出できる。
Z1(g・m―2)=(MZC1-MZC2)/SZC 数式(IV)
リチウムドープ工程を経た正極の場合の正極活物質層目付の算出法を以下に記載する。アルゴンボックス中で、電圧を2.9Vに調整した非水系リチウム型蓄電素子を解体して電極積層体を取り出し、電極積層体から正極を切り出して有機溶媒で洗浄する。有機溶媒としては、正極表面に堆積した電解液分解物を除去できればよく、特に限定されないが、リチウム化合物の溶解度が2%以下である有機溶媒を用いることでリチウム化合物の溶出が抑制される。そのような有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、アセトン、酢酸メチル等の極性溶媒が好適に用いられる。測定する正極の面積は特に制限されないが、測定のばらつきを軽減するという観点から5cm以上200cm以下であることが好ましく、より好ましくは25cm以上150cm以下である。面積が5cm以上あれば測定の再現性が確保される。面積が200cm以下であればサンプルの取扱い性に優れる。
正極の洗浄方法は、正極の重量に対し50~100倍のエタノール溶液に正極を3日間以上十分に浸漬させる。浸漬の間、エタノールが揮発しないよう、例えば容器に蓋をすることが好ましい。3日間以上浸漬させた後、正極をエタノールから取り出し、真空乾燥する。真空乾燥の条件は、温度:100~200℃、圧力:0~10kPa、時間:5~20時間の範囲で正極中のエタノールの残存が1質量%以下になる条件とする。エタノールの残存量については、後述する蒸留水洗浄後の水のGC/MSを測定し、予め作成した検量線を基に定量することができる。
真空乾燥後に得られた正極の面積をX(m)とする。スパチュラ、ブラシ、刷毛等を用いて正極の正極活物質層をすべて取り除き、正極活物質層の重量をM0xC(g)として、得られた正極の集電体の重量Mx2Cを測定する。続いて、測定した正極活物質層重量の100~150倍の蒸留水に3日間以上十分に浸漬させる。浸漬の間、蒸留水が揮発しないよう容器に蓋をすることが好ましく、リチウム化合物の溶出を促進させるために時折水溶液を撹拌させることが好ましい。3日間以上浸漬させた後、蒸留水から正極活物質層を取り出し、上記のエタノール洗浄と同様に真空乾燥し、真空乾燥後の重量Mx1C(g)を測定する。正極活物質層の目付Cx1(g/m)は、数式(V)にて算出できる。
x1=(Mx1C-Mx2C)/X 数式(V)
[負極活物質層目付の算出]
注液工程前の負極の場合には、負極の一部を所定の面積に切り出し、重量を測定する。測定する負極の面積は特に制限されないが、測定のばらつきを軽減するという観点から5cm以上200cm以下であることが好ましく、より好ましくは25cm以上150cm以下である。面積が5cm以上あれば測定の再現性が確保される。面積が200cm以下であればサンプルの取扱い性に優れる。続いて負極中の負極活物質層をスパチュラ、ブラシ、刷毛等を用いて削り取り、負極集電箔の重量を測定する。切り出した負極の面積をSZA(m)、切り出した負極の重量をMZA1(g)、負極集電箔の重量をMZA2(g)とすると、正極前駆体の正極活物質層目付AZ1は以下の数式(VI)で算出できる。
Z1(g・m―2)=(MZA1―MZA2)/SZA 数式(VI)
リチウムドープ工程を経た負極の場合の負極活物質層の目付の定量方法を以下に記載する。前記アルゴンボックス中で電極積層体から負極を切り出して有機溶媒で洗浄する。洗浄に使用する有機溶媒としては、負極表面に堆積した電解液分解物を除去し、負極中のリチウムイオンと反応する溶媒がよく、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、又はこれらの混合溶媒が好適に用いられる。
測定する負極の面積は特に制限されないが、測定のばらつきを軽減するという観点から5cm以上200cm以下であることが好ましく、更に好ましくは25cm以上150cm以下である。面積が5cm以上あれば測定の再現性が確保される。面積が200cm以下であればサンプルの取扱い性に優れる。
負極の洗浄方法は、負極の重量に対し50~100倍のエタノール溶液に負極を3日間以上十分に浸漬させる。浸漬の間、エタノールが揮発しないよう、例えば容器に蓋をすることが好ましい。3日間以上浸漬させた後、負極をエタノールから取り出し、真空乾燥する。真空乾燥の条件は、温度:100~200℃、圧力:0~10kPa、時間:5~20時間の範囲で負極中のエタノールの残存が1質量%以下になる条件とする。
エタノールの残存量については、真空乾燥後の負極をジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、又はエチルメチルカーボネート等の有機溶媒に浸漬した後、前記有機溶媒のGC/MSを測定し、予め作成した検量線を基に定量することができる。
真空乾燥後に得られた負極の面積をX(m)とする。スパチュラ、ブラシ、刷毛等を用いて負極の負極活物質層をすべて取り除き、負極活物質層の重量M0xA(g)と得られた負極の集電体の重量Mx2Aを測定する。続いて、測定した負極活物質層重量の100~150倍の蒸留水に3日間以上十分に浸漬させる。浸漬の間、蒸留水が揮発しないよう容器に蓋をすることが好ましく、リチウム化合物の溶出を促進させるために時折水溶液を撹拌させることが好ましい。3日間以上浸漬させた後、蒸留水から負極活物質層を取り出し、上記のエタノール洗浄と同様に真空乾燥する。真空乾燥後の重量Mx1A(g)を測定する。負極活物質層の目付Ax1(g/m)は、数式(VII)にて算出できる。
x1=(Mx1A-Mx2A)/X 式(VII)
[電解液]
本実施形態の電解液は、非水系であり、すなわち、この電解液は、後述する非水溶媒を含む。非水系電解液は、非水系電解液の総量を基準として、0.5mol/L以上のリチウム塩を含有することが好ましい。すなわち、非水系電解液は、リチウムイオンを電解質として含むことが好ましい。
[リチウム塩]
本実施形態の非水系電解液は、リチウム塩として、例えば、(LiN(SOF))、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SOCF)(SOH)、LiC(SOF)、LiC(SOCF、LiC(SO、LiCFSO、LiCSO、LiPF、LiBF等を単独で用いることができ、2種以上を混合して用いてもよい。高い伝導度を発現できることから、非水系電解液は、LiPF、LiN(SOF)及びLiBFから成る群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、LiPF及び/又はLiBFを含むことがより好ましく、LiPF及び/又はLiBFとLiN(SOF)とを含むことがさらに好ましい。
非水系電解液中のリチウム塩濃度は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5mol/L以上であることが好ましく、0.5mol/L以上2.0mol/L以下の範囲がより好ましい。リチウム塩濃度が0.5mol/L以上であれば、陰イオンが十分に存在するので蓄電素子の容量を十分高くできる。また、リチウム塩濃度が2.0mol/L以下である場合、未溶解のリチウム塩が非水系電解液中に析出すること、及び電解液の粘度が高くなり過ぎることを防止でき、伝導度が低下せず、出力特性も低下しないため好ましい。
[非水溶媒]
本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、好ましくは、環状カーボネートを含有する。非水系電解液が環状カーボネートを含有することは、所望の濃度のリチウム塩を溶解させる点、及び正極活物質層にリチウム化合物を適量堆積させる点で有利である。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
環状カーボネートの合計含有量は、非水系電解液の総量を基準として、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。上記合計含有量が15質量%以上であれば、所望の濃度のリチウム塩を溶解させることが可能となり、高いリチウムイオン伝導度を発現することができ、さらに正極活物質層にリチウム化合物を適量堆積させることが可能となり、電解液の酸化分解を抑制することができる。
本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、鎖状カーボネート化合物であるジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を含有することが好ましい。前記ジメチルカーボネートに対する前記エチルメチルカーボネートの体積比率(DMC/EMC)が0.5以上8.0以下であることが好ましく、0.8以上6.0以下であることがより好ましく、1.0以上4.0以下であることがさらに好ましい。DMC/EMCが0.5以上であれば、電解液の低粘度化が可能であり、高いリチウムイオン伝導度を発現することができる。DMC/EMCが8.0以下であれば、混合溶媒の融点を低く保つことが可能となり、低温環境下でも高い入出力特性を発揮することができる。
また、本実施形態の非水系電解液は、非水溶媒として、その他の鎖状カーボネートを含んでいてもよい。その他の鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネート化合物が挙げられる。ジアルキルカーボネート化合物は典型的には非置換である。
鎖状カーボネートの合計含有量の下限値は、非水系電解液の総量を基準として、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であり、その上限値は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記鎖状カーボネートの合計含有量が30質量%以上であれば、電解液の低粘度化が可能であり、高いリチウムイオン伝導度を発現することができる。上記合計含有量が95質量%以下であれば、電解液が、後述する添加剤をさらに含有することができる。
[添加剤]
本実施形態の非水系電解液は、更に添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、特に制限されないが、例えば、チオフェン化合物、環状硫酸化合物、スルトン化合物、上記環状亜硫酸化合物、環状ホスファゼン、非環状含フッ素エーテル、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、及び環状酸無水物等を単独で用いることができ、また、これらの2種以上が混合されてもよい。
[セパレータ]
正極前駆体及び負極は、セパレータを介して積層又は捲回され、正極前駆体、負極及びセパレータを有する電極積層体または電極捲回体が形成される。
セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜等のポリオレフィン製微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙、ポリエステル系樹脂を含む不織布等を用いることができる。これらのセパレータの片面または両面に、有機または無機の微粒子から成る膜が絶縁層として積層されていてもよい。また、セパレータの内部に有機または無機の微粒子が含まれていてもよい。
セパレータの厚みは5μm以上35μm以下が好ましい。5μm以上の厚みとすることにより、非水系リチウム型蓄電素子内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、35μm以下の厚みとすることにより、非水系リチウム型蓄電素子の入出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
また、有機または無機の微粒子から成る膜の厚みは、1μm以上10μm以下が好ましい。有機または無機の微粒子から成る膜を1μm以上の厚みとすることにより、非水系リチウム型蓄電素子内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、10μm以下の厚みとすることにより、非水系リチウム型蓄電素子の入出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
[非水系リチウム型蓄電素子]
本実施形態の非水系リチウム型蓄電素子は、後述するとおり、電極積層体又は電極捲回体が、非水系電解液とともに外装体内に収納されて構成される。
[組立]
セル組み立て工程で得られる電極積層体は、枚葉の形状にカットした正極前駆体と負極を、セパレータを介して積層して成る積層体に、正極端子と負極端子を接続したものである。積層型電極にすることで、外装体に収納した際に、正極と負極の距離を均一化することができるため、内部抵抗が低減し、蓄電素子を高出力化することができる。
また、電極捲回体は、正極前駆体と負極を、セパレータを介して捲回して成る捲回体に正極端子及び負極端子を接続したものである。電極捲回体の形状は円筒型であっても、扁平型であってもよいが、パック化する際の蓄電素子の充填率を向上させる観点から、扁平型であることが好ましい。捲回型電極にすることで、セル組立工程に要する時間を短縮することができるため、生産効率が向上する。
正極端子と負極端子の接続の方法は特に限定はしないが、抵抗溶接や超音波溶接などの方法で行う。
[外装体]
外装体としては、金属缶、ラミネート包材等を使用できる。
金属缶は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されているものが好ましい。金属缶の蓋体には、安全弁が設けられていることが好ましい。安全弁が設置されていることで、ガス発生により電池の内圧が上昇した場合に、ガスを放出することができる。金属缶を用いることで、外装体内の電極積層体の充填率を高めることができるため、エネルギー密度を向上させることができる。
ラミネート包材としては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムから成る3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは、接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン又はポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内装樹脂フィルムは、内部に収納する非水系電解液から金属箔を保護するとともに、外装体のヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。ラミネート包材を用いることで、蓄電素子の放熱性を高めることができ、高温耐久性を向上させることができる。
[外装体への収納]
乾燥した電極積層体又は電極捲回体は、金属缶やラミネート包材に代表される外装体の中に収納し、開口部を1方だけ残した状態で封止することが好ましい。電極捲回体の場合、外装体へ収納する前に、プレス機を用いて扁平上に成形することが好ましい。この際、加圧時に加温してもよい。捲回体を扁平上に成形した後に、外装体へ収納する。外装体と電極捲解体の密着性を向上させるという観点から、収納後に再度プレス機を用いて加圧、及び加温することが好ましい。
外装体の封止方法は特に限定しないがラミネート包材を用いる場合は、ヒートシール、インパルスシールなどの方法を用いる。
外装体から正極端子、負極端子を取り出す方向は特に制限されない。外装体の両端部からそれぞれ取り出す方法、又は片側から正極端子、負極端子ともに取り出す方法がある。
[乾燥]
外装体へ収納した電極積層体又は電極捲回体は、乾燥することで残存溶媒を除去することが好ましい。乾燥方法に限定はないが、真空乾燥などにより積層体又は捲回体を乾燥する。残存溶媒は、正極活物質層又は負極活物質層の質量当たり、1.5質量%以下が好ましい。残存溶媒が1.5質量%より多いと、系内に溶媒が残存し、自己放電特性又はサイクル特性を悪化させるため、好ましくない。
[注液、含浸、封止工程]
組立工程の終了後に、外装体の中に収納された電極積層体又は電極捲回体に、非水系電解液を注液する。注液工程の終了後に、更に、含浸を行い、正極、負極、及びセパレータを非水系電解液で十分に浸すことが望ましい。正極、負極、及びセパレータのうちの少なくとも一部に非水系電解液が浸っていない状態では、後述するリチウムドープ工程において、ドープが不均一に進むため、得られる非水系リチウム型蓄電素子の抵抗が上昇したり、耐久性が低下したりする。上記含浸の方法としては、特に制限されないが、例えば、注液後の電極積層体又は電極捲回体を、外装体が開口した状態で、減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にし、再度大気圧に戻す方法等を用いることができる。含浸工程終了後、ラミネート包材を用いる場合は、外装体が開口した状態の電極積層体又は電極捲回体を減圧しながら封止することで密閉する。金属缶を用いる場合は、溶接、カシメ等の封口手段を用いる。
[リチウムドープ工程]
リチウムドープ工程において、好ましくは、前記正極前駆体と負極との間に電圧を印加して前記リチウム化合物を分解することにより、正極前駆体中のリチウム化合物を分解してリチウムイオンを放出し、負極でリチウムイオンを還元することにより負極活物質層にリオチウムイオンがプレドープされる。
このリチウムドープ工程において、正極前駆体中のリチウム化合物の酸化分解に伴い、CO等のガスが発生する。そのため、電圧を印加する際には、発生したガスを外装体の外部に放出する手段を講ずることが好ましい。この手段としては、例えば、外装体の一部を開口させた状態で電圧を印加する方法;前記外装体の一部に予めガス抜き弁、ガス透過フィルム等の適宜のガス放出手段を設置した状態で電圧を印加する方法;等を挙げることができる。
リチウムドープ工程において、その他に、金属リチウム箔を用いたドープ方法が挙げられる。具体的には、例えば金属リチウム箔を圧着により負極活物質に接着させた後、注液するドープ方法、又は負極とリチウム箔を電気的に短絡させた状態で注液する方法などである。本発明の容量劣化率推定方法を用いる場合、特に、正極前駆体にリチウム化合物を分解してドープする方法を用いた非水系リチウム型蓄電素子に適用したときに、容量劣化を高い精度で推定することができる。理由は必ずしも定かではないが、リチウム箔を使用したドープ方法を使用した非水系リチウム型蓄電素子は、長期間に使用しているうちに、ドープ時に残存した微細な金属リチウムが、正負極間に入ることなどを原因として、微短絡を引き起こすことで、容量劣化係数のデータベースからは大きく外れた劣化モードが入ってしまうため、容量劣化係数データベースを用いた本発明の方法を使用すると、実際の容量劣化よりも劣化量を小さく推定してしまうためと推察される。
[エージング工程]
リチウムドープ工程の終了後に、電極積層体又は電極捲回体にエージングを行うことが好ましい。エージング工程において非水系電解液中の溶媒が電極-電解液界面で分解し、電極にリチウムイオン透過性の固体高分子被膜が形成される。
上記エージングの方法としては、特に制限されないが、例えば、高温環境下で非水系電解液中の溶媒を反応させる方法等を用いることができる。
[ガス抜き工程]
エージング工程の終了後に、更にガス抜きを行い、非水系電解液、正極、及び負極中に残存しているガスを確実に除去することが好ましい。非水系電解液、正極、及び負極の少なくとも一部にガスが残存している状態では、イオン伝導が阻害されるため、得られる非水系リチウム型蓄電素子の抵抗が上昇してしまう。
上記ガス抜きの方法としては、特に制限されないが、例えば、前記外装体を開口した状態で電極積層体又は電極捲回体を減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にする方法等を用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特徴を更に明確にする。しかしながら、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[正極の作製]
市販の水蒸気賦活活性炭を52.3質量部、リチウム遷移金属酸化物として平均粒子径が3.5μmのLiFePOを5.2質量部、平均粒径0.5μmの炭酸リチウムを30.0質量部、ケッチェンブラックを3.0質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を1.5質量部、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.0質量部、並びに固形分の重量比が24.5%になるようにNMP(N-メチル-2-ピロリドン)を混合し、その混合物をPRIMIX社製の薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス(登録商標)」を用いて、周速20m/sの条件で3分間分散して正極塗工液を得た。活性炭の質量Aと、リチウム遷移金属酸化物の質量Aの比は0.1であった。
東レエンジニアリング社製の両面ダイコーターを用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔の片面又は両面に正極塗工液を塗工し、乾燥炉の温度を70℃、90℃、110℃、130℃の順番に調整し、乾燥し、その後、IRヒーターで乾燥して正極前駆体を得た。正極前駆体を、ロールプレス機を用いてプレスした。正極活物質層の膜厚は片面当たり70μmであった。目付を算出した結果、正極活物質層の目付は片面当たり45g・m-2であった。
[負極活物質の作製]
平均粒子径が6.2μm、かつBET比表面積が7.2m/gの人造黒鉛150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:65℃)15gを入れたステンレス製バットの上に置き、両者を電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置した。籠とバットを窒素雰囲気下、1,250℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持することにより熱反応させ、負極活物質Aを得た。得られた負極活物質Aを自然冷却により60℃まで冷却した後、電気炉から取り出した。
[負極の作製]
上記で得られた負極活物質Aを用いて負極を製造した。
負極活物質Aを85質量部、アセチレンブラックを10質量部、及びPVdF(ポリフッ化ビニリデン)を5質量部、並びにNMP(N-メチルピロリドン)を混合し、混合物をPRIMIX社製の薄膜旋回型高速ミキサーフィルミックスを用いて、周速15m/sの条件で分散して塗工液を得た。上記塗工液を東レエンジニアリング社製のダイコーターを用いて、厚さ10μmの貫通孔を持たない電解銅箔の両面に塗工速度1m/sの条件で塗工し、乾燥温度85℃で乾燥して負極を得た。ロールプレス機を用いて圧力4kN/cm、プレス部の表面温度25℃の条件で負極のプレスを実施した。負極の負極活物質層の片面当たりの目付は30g/m、膜厚は40μmであった。
[電解液の調製]
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):メチルエチルカーボネート(EMC)=34:44:22(体積比)の混合溶媒を用い、全電解液に対してLiN(SOF)及びLiPFの濃度比が25:75(モル比)であり、かつLiN(SOF)及びLiPFの濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解して非水系電解液を得た。
[蓄電素子の組立]
得られた負極および両面正極前駆体を10cm×10cm(100cm)にカットした。最上面と最下面は片面正極前駆体を用い、更に両面負極21枚と両面正極前駆体20枚とを用い、負極と正極前駆体との間に、厚み15μm、空孔率65%のポリエチレン製微多孔膜セパレータAを挟んで積層した。
[端子の溶接]
その後、負極と正極前駆体とに、それぞれ負極端子と正極端子を超音波溶接にて接続して電極積層体を形成した。この電極積層体を80℃、50Pa、及び60hrの条件下で真空乾燥した。この電極積層体を、露点-45℃のドライ環境下にて、アルミニウムラミネート包材から成る外装体内に挿入し、電極端子部およびボトム部の外装体3方を180℃、20sec及び1.0MPaでヒートシールした。
[蓄電素子の注液、含浸、封止工程]
アルミニウムラミネート包材の中に収納された電極積層体に、温度25℃、露点-40℃以下のドライエアー環境下にて、上記非水系電解液を大気圧下で約80g注入して、非水系リチウム型蓄電素子を形成した。続いて、減圧チャンバーの中に前記非水系リチウム型蓄電素子を入れ、常圧から-87kPaまで減圧した後、大気圧に戻し、5分間静置した。その後、蓄電素子を常圧から-87kPaまで減圧した後、大気圧に戻す工程を4回繰り返した後、素子を15分間静置した。さらに、蓄電素子を常圧から-91kPaまで減圧した後、大気圧に戻した。同様に素子を減圧し、大気圧に戻す工程を合計7回繰り返した(それぞれ-95,-96,-97,-81,-97,-97,-97kPaまで減圧した)。以上の工程により、非水系電解液を電極積層体に含浸させた。
その後、非水系リチウム型蓄電素子を減圧シール機に入れ、-95kPaに減圧した状態で、180℃で10秒間、0.1MPaの圧力でシールすることによりアルミラミネート包材を封止した。
[リチウムドープ工程]
得られた非水系リチウム型蓄電素子に対して、東洋システム社製の充放電装置(TOSCAT-3100U)を用いて、25℃環境下、電流値0.7Aで電圧4.4Vに到達するまで定電流充電を行った後、続けて4.4V定電圧充電を10時間継続する手法により初期充電を行い、負極にリチウムドープを行った。
[エージング工程]
リチウムドープ後の非水系リチウム型蓄電素子に対して、25℃環境下、0.7Aで電圧3.0Vに到達するまで定電流放電を行った後、4.0Vまで定電流定電圧充電を1時間行うことにより電圧を4.0Vに調整した。続いて、非水系リチウム型蓄電素子を60℃の恒温槽に20時間保管した。
[ガス抜き工程]
上記の追加充放電工程後、温度25℃、露点-40℃のドライエアー環境下で非水系リチウム型蓄電素子のアルミニウムラミネート包材の一部を開封した。続いて、減圧チャンバーの中に前記非水系リチウム型蓄電素子を入れ、KNF社製のダイヤフラムポンプ(N816.3KT.45.18)を用いて大気圧から-80kPaまで3分間掛けて減圧した後、3分間掛けて大気圧に戻す工程を合計3回繰り返した。その後、減圧シール機に非水系リチウム型蓄電素子を入れ、-90kPaに減圧した後、200℃で10秒間、0.1MPaの圧力でシールすることによりアルミニウムラミネート包材を封止することで非水系リチウム型蓄電素子Aを完成した。
[放電カーブ、初期容量の測定]
先ず、劣化前の非水系リチウム型蓄電素子Aに対して、25℃に設定した恒温槽内で、1Cの電流値で4.0Vに到達するまで定電流充電を行い、次いで、4.0Vの定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分行う。その後、蓄電素子Aに、2.0Vまで1Cの電流値で定電流放電を施した際の容量が1000mAhであった。このときのセル容量に対して、セル電圧V(V)をプロットすることで放電カーブを得た。この放電カーブより、一次導関数dV/dQ、ならびに二次導関数dV/dQを求め、二次導関数が最大となるときの放電容量QをQ、これに対応する電圧VをVとする。一方、二次導関数が最小となるときの放電容量QをQ、これに対応する電圧VをVとする。第1領域の容量QをQ=Qより求めた。第2領域の容量QをQ=Q-Qより求めた。第3領域の容量QをQ=Q-Qより求めた。
[容量劣化係数のデータベース群]
非水系リチウム型蓄電素子Aに100Cの電流値で電圧4.0Vに到達するまで定電流充電し、続いて電圧4.0Vの定電圧を印加する定電圧充電を10分間行う。その後、セルを温度80℃環境下に保存し、2週間後に温度80℃環境下から取り出し、前述と同様に放電カーブを測定し、このとき、前述の第1領域、第2領域、第3領域の容量の算出方法により、得られた放電カーブについて、二次導関数を求め、第1領域、第2領域、第3領域の容量Q 、Q 、Q を算出し、容量劣化率をそれぞれ前述の方法に従い算出する。その後、前述の充電工程にてセル電圧Uに充電した後、再びセルをT環境下で保存する。この2週間に亘る保存、容量測定及びガス測定を6回繰り返した。得られた容量劣化率k1、k2、k3をそれぞれ時間の平方根に対してプロットし、最小二乗法により各々の傾きを求めることで電圧4.0V、温度80℃における第1領域、第2領域、第3領域の容量劣化係数α4.0V、80℃ 、α4.0V、80℃ 、α4.0V、80℃ をそれぞれ算出した。この容量劣化係数を、合計48個の非水系リチウム型蓄電素子Aを用いて、(4.0V、3.8V、3.6V、3.4V、3.0V、2.6V、2.3V、2.0V)×(80℃、70℃、60℃、40℃、25℃、0℃)の48条件で求めた。
[非水系リチウム型蓄電素子を用いた蓄電モジュールの作製]
完成した非水系リチウム型蓄電素子Aのうち12個を直列に接続したもの、12直の蓄電素子に流れた電流を測定及び記録する電流記録・測定部、12直の蓄電素子の電圧を測定及び記録する電圧記録・測定部、および各セルの電圧センサー、および4セル毎に1セルの正極タブ温度を測定する温度センサーを備えた蓄電モジュールを図9のように作製した。
[蓄電モジュールの耐久性評価、温度電圧測定]
上記蓄電モジュールに対する耐久性評価を、槽内温度30℃の恒温槽内で実施した。蓄電モジュールを上限電圧48Vに充電し、そして下限電圧24Vに放電する1.8kWの定電力サイクルを実施した。5サイクル毎に36Vで15分間の休止を入れるサイクルパターン(図5)を3時間実施した。この間の各セル電圧、および4セル枚のセル温度を測定し、1秒刻みでデータを収集した。次に21時間充放電を停止した。なお、21時間充放電を停止した時も恒温槽内温度は30℃に保った。この3時間サイクル、21時間充放電停止を繰り返すことで、蓄電モジュールを搭載したシステム(例えば、輸送用機器の電力回生システム又は電力標準化システムなど)を3時間稼働し、21時間停止するような環境を模擬した。この試験を1年間継続して実施した。
[実容量劣化率測定]
上記蓄電モジュールで上限電圧48Vから下限電圧24Vまで1Aで放電することで放電容量Ahを測定し、劣化後容量Ahとした。劣化後容量を劣化前の容量1000mAhで割ることによって実容量劣化率を算出したところ、0.91であった。
[容量劣化率の推定]
一方で、一日のうち3時間の稼働時の電圧及び温度の時間推移記録データに基づいて各時間(1秒ごと)における第1容量域、第2容量域、第3容量域における劣化係数を容量劣化係数のデータベース群から参照した。さらに、時間毎の容量劣化量を算出し、(式3)、(式4)、(式5)及び(式6)に従い、積算したところ、推定容量劣化率は0.96であった。
なお、目的電圧及び温度の劣化係数がデータベース群に存在しない場合は、目的温度前後の温度電圧の劣化係数データから(式1)および(式2)に従って推定した。
Figure 0007096008000010
(式1)ただし、A、Bは定数。
Figure 0007096008000011
(式2)ただし、C、Dは定数。
具体的には、例えば3.9V、50℃の第1容量域の劣化係数データを取得する場合は、図6に従ってα3.8V、50℃ 、およびα4.0V、50℃ を推測し、これらに基づいて図7に従ってα3.9V、50℃ を算出する。すなわち、図8のようにデータベース群の空白部の係数を前後の温度及び/又は電圧データベース群から推測した。
[推定劣化率の実劣化率に対する誤差]
推定劣化率を実劣化率で割って、100倍し、100を引くことによって推定誤差を求めたところ、(0.96÷0.91)×100-100=5.5%であった。
<実施例2>
実施例1の正極の作製において水蒸気賦活活性炭を38.3質量部、LiFePOを19.2質量部としたこと以外は実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
<実施例3>
実施例1の正極の作製において水蒸気賦活活性炭を28.8質量部、LiFePOを28.8質量部としたこと以外は実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
<実施例4>
実施例1の正極の作製において水蒸気賦活活性炭を28.0質量部、LiFePOを34.5質量部とし、かつ炭酸リチウムをシュウ酸リチウムへ変更したこと以外は実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
<実施例5>
実施例1の正極の作製において水蒸気賦活活性炭を16.4質量部、LiFePOを41.1質量部としたこと以外は実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
<実施例6>
実施例1の正極の作製において水蒸気賦活活性炭を38.3質量部、LiFePOを19.2質量部として実施例1と同様に評価し、実容量劣化率を測定したところ、0.89であった。
[容量劣化率の推定]
実施例1ではシステムの停止中すなわち1日当たり21時間の停止時間における劣化は露には劣化推定に組み入れなかった。劣化推定を高精度に行うために、このシステム停止時間の間に進行する劣化も下記のようにして計算に組み入れた。
まず、非水系リチウム型蓄電素子の温度については、システム停止直前の温度測定データ、および周辺環境温度30℃、および蓄電モジュールの熱伝達係数から、システム停止している間の温度時間推移を推定する。一方で、電圧に関しては、自己放電による電圧降下は無視し、一定電圧に維持されると想定した。実施例1の稼働中の劣化率推定と同様の方法で、システム停止時の劣化率を推定し、稼働中の劣化率に合算した。これにより、推定容量劣化率は0.90と算出され、実容量劣化率との誤差は1.1%であり、システム停止時の劣化推定を考慮しない、実施例2の場合と比較して推定精度が向上することが確認された。
<実施例7>
実施例6の正極の作製において水蒸気賦活活性炭を28.8質量部、LiFePOを28.8質量部とした以外は、実施例6と同様に評価した。結果を表4に示す。
<実施例8>
下記の工程以外については実施例1と同様にして蓄電素子及びモジュールの組立および評価を行った。結果を表4に示す。
[正極の作製]
市販の水蒸気賦活活性炭を38.3質量部、リチウム遷移金属酸化物として平均粒子径が3.5μmのLiFePOを19.2質量部、ケッチェンブラックを3.0質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を1.5質量部、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.0質量部として使用して塗工液を得て、正極活物質層の目付片面当たり31.5g・m-2となるように塗工を調整して、正極を作製した。
[負極の作製]
厚さ15μmのφ100μmの貫通孔を有する銅箔を使用した以外は実施例1と同様に負極を作製した。
[負極へのリチウム箔の貼り付け]
実施例1と同様に作製した負極の片面に9cm×9cmのサイズに切り出した厚さ15μmのLi金属箔をロールプレスにて圧着して負極に貼り付けた。
[リチウムドープ工程]
得られた非水系リチウム型蓄電素子に対して、東洋システム社製の充放電装置(TOSCAT-3100U)を用いて、25℃環境下、電流値0.7Aで電圧4.0Vに到達するまで定電流充電を行った後、続けて4.0V定電圧充電を10時間継続する手法により初期充電を行い、負極にリチウムドープを行った。
<実施例9>
実施例8の正極の作製において、水蒸気賦活活性炭を28.8質量部、LiFePOを28.8質量部とした以外は、実施例8と同様にして評価した。結果を表4に示す。
<比較例1>
下記の工程以外については実施例1と同様にして蓄電素子及びモジュールの組み立ておよび評価を行った。結果を表4に示す。
[正極の作製]
実施例1の正極の作製において水蒸気賦活活性炭を9.6質量部、LiFePOを47.9質量部とした以外は実施例1と同様に正極を作製した。
[放電カーブ、初期容量の測定]
先ず、劣化前の非水系リチウム型蓄電素子に対して、25℃に設定した恒温槽内で、1Cの電流値で4.0Vに到達するまで定電流充電を行い、次いで、4.0Vの定電圧を印加する定電圧充電を合計で30分行う。その後、非水系リチウム型蓄電素子に対して2.0Vまで1Cの電流値で定電流放電を施した際の容量が3000mAhであった。
[容量劣化係数のデータベース群]
非水系リチウム型蓄電素子に100Cの電流値で電圧4.0Vに到達するまで定電流充電し、続いて電圧4.0Vの定電圧を印加する定電圧充電を10分間行う。その後、セルを温度80℃環境下に保存し、2週間後に温度80℃環境下から取り出し、前述と同様に放電カーブを測定し、容量Qを算出し、容量劣化率を前述の方法に従い算出する。その後、前述の充電工程にてセル電圧4.0Vに充電した後、再びセルを80℃環境下で保存する。この2週間に亘る保存、容量測定及びガス測定を、6回繰り返した。得られた容量劣化率をそれぞれ時間の平方根に対してプロットし、最小二乗法により各々の傾きを求めることで電圧4.0V、温度80℃における容量劣化係数α4.0V、80℃、を算出した。この容量劣化係数を合計48個の非水系リチウム型蓄電素子を用いて、(4.0V、3.8V、3.6V、3.4V、3.0V、2.6V、2.3V、2.0V)×(80℃、70℃、60℃、40℃、25℃、0℃)の48条件で求めた。
[非水系リチウム型蓄電素子を用いた蓄電モジュールの作製]
実施例1と同様に実施した。
[蓄電モジュールの耐久性評価、温度電圧測定]
実施例1と同様に実施した。
[実容量劣化率測定]
実施例1と同様に実施したところ、実容量劣化率は0.5であった。
[容量劣化率の推定]
一方で、一日のうち3時間の稼働時の電圧及び温度の時間推移記録データに基づいて、各時間(1秒ごと)における容量劣化係数を容量劣化係数データベース群から参照した。さらに、時間毎の容量劣化量を算出し、積算したところ、推定容量劣化率は0.54であった。
なお、目的電圧、温度の劣化係数がデータベース群に存在しない場合は、実施例1と同様の方法で推定した。
Figure 0007096008000012
(式1)ただし、A、Bは定数。
Figure 0007096008000013
(式2)ただし、C、Dは定数。
[推定劣化率の実劣化率に対する誤差]
推定劣化率を実劣化率で割って、100倍し、100を引くことによって推定誤差を求めたところ、+8.0%であった。
<比較例2>
比較例1の正極の作製において、水蒸気賦活活性炭を28.8質量部、LiFePOを28.8質量部とした以外は、比較例1と同様に評価した結果を表4に示す。
<比較例3>
比較例1の正極の作製において、水蒸気賦活活性炭を38.3質量部、LiFePOを19.2質量部とした以外は、比較例1と同様に評価した結果を表4に示す。
Figure 0007096008000014
以上の実施例により、本発明の方法、装置及びシステムを使用することで、正極に活性炭とオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物を混合した、非水系リチウム型蓄電素子の劣化を高精度かつ簡便に推定することができることが検証された。
本発明の方法、装置及びシステムは、例えば、自動車のハイブリット駆動システムの瞬間電力ピークのアシスト用途等における非水系リチウム型蓄電素子に好適に利用できる。
1 蓄電素子
2 セルスタック
3 エンドプレート
4 締結体
5 タブ端子
6 バスバー
7 電圧測定端子
8 温度測定端子
9 蓄電モジュール

Claims (17)

  1. 正極、負極、セパレータ、及びリチウムイオンを含む非水系電解液を備える非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法であって、
    該負極が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、該負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を含み、
    該正極が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、該正極活物質は、活性炭とリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含み、
    該非水系リチウム型蓄電素子を定電流放電した際の放電容量を横軸に、電圧を縦軸に取ることにより得られた放電カーブを、該放電カーブの二次導関数の最大値及び最小値に基づいて、高電圧側から順に3つの領域:第1領域、第2領域、及び第3領域;に分割し、それぞれの領域の容量劣化係数を、電圧及び温度のパラメータとして表したデータベース群を予め作成し
    該非水系リチウム型蓄電素子の稼働中の電圧と温度を測定して、該測定した電圧と温度に相当する容量劣化係数を該データベース群より演算して求めて、該第1、第2及び第3領域の容量劣化率をそれぞれ推定することによって、該非水系リチウム型蓄電素子の全容量劣化率を推定し、さらに時間毎の容量劣化量を積算することによって該非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率を推定し、かつ
    該非水系リチウム型蓄電素子が停止している間の、該非水系リチウム型蓄電素子の電圧及び温度の推移を予測し、該非水系リチウム型蓄電素子が停止している間の容量劣化率を予測することを特徴とする非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
  2. 前記リチウム遷移金属酸化物が、下記式:
    Lix2FePO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
    Lix2CoPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、及び
    Lix2MnPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
    から成る群より選ばれる少なくとも1種のリチウム遷移金属酸化物を含む、請求項1に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
  3. 前記リチウム遷移金属酸化物の含有率が、前記正極活物質層の総質量を基準として、1.0質量%~50.0質量%である、請求項1又は2に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
  4. 前記正極活物質層中に占める前記活性炭の質量割合をAとし、前記リチウム遷移金属酸化物の質量割合をAとしたとき、A/Aが0.1以上2.5以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
  5. 前記正極が、炭酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウムから成る群から選ばれる1種以上を、前記正極活物質の総量に対して0.2質量%以上50質量%以下で含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定方法。
  6. 正極、負極、セパレータ、及びリチウムイオンを含む非水系電解液を備える非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置であって、
    該非水系リチウム型蓄電素子の該負極が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、該負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を含み、
    該非水系リチウム型蓄電素子の該正極が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、該正極活物質は、活性炭とリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含み、かつ
    該容量劣化率推定装置は:
    該非水系リチウム型蓄電素子を定電流放電した際の放電容量を横軸に、電圧を縦軸に取ることにより得られた放電カーブを高電圧側から順に3つの領域;第1領域、第2領域、及び第3領域;に分割し、それぞれの領域の容量劣化係数を、電圧及び温度のパラメータとして表したデータベース群を有する記憶部と、
    該非水系リチウム型蓄電素子の稼働中の電圧と温度を測定する測定部と、
    前記測定した電圧と温度に相当する容量劣化係数を前記データベース群より演算して求めて、該第1、第2及び第3領域の容量劣化率をそれぞれ推定し、合計することによって、該非水系リチウム型蓄電素子の全容量劣化率を推定し、さらに時間毎の推定容量を積算することによって、該非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率を推定する演算処理部と、
    を備え、さらに
    該非水系リチウム型蓄電素子が停止している間の、該非水系リチウム型蓄電素子の電圧及び温度の推移を予測し、該非水系リチウム型蓄電素子が停止している間の容量劣化率を予測する機構も備える、非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
  7. 前記リチウム遷移金属酸化物が、下記式:
    Lix2FePO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
    Lix2CoPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、及び
    Lix2MnPO{式中、x2は、0.8≦x2≦1.2を満たす。}、
    から成る群より選ばれる少なくとも1種のリチウム遷移金属酸化物を含む、請求項6に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
  8. 前記リチウム遷移金属酸化物の含有率が、前記正極活物質層の総質量を基準として、1.0質量%~50.0質量%である、請求項6又は7に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
  9. 前記正極活物質層中に占める前記活性炭の質量割合をAとし、前記リチウム遷移金属酸化物の質量割合をAとしたとき、A/Aが0.1以上2.5以下である、請求項6~8のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
  10. 前記正極が、炭酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウムから成る群から選ばれる1種以上を、前記正極活物質の総量に対して0.2質量%以上50質量%以下で含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子の容量劣化率推定装置。
  11. (a)正極、負極、セパレータ、及びリチウムイオンを含む非水系電解液を備える非水系リチウム型蓄電素子であって、該負極が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、かつ該負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を含み、該正極が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、該正極活物質は、活性炭と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なオリビン構造を有するリチウム遷移金属酸化物とを含む非水系リチウム型蓄電素子;並びに
    (b)請求項6~10のいずれか一項に記載の容量劣化率推定装置;
    を含むシステム。
  12. 前記システムが、蓄電モジュールシステム、電力回生アシストシステム、電力負荷平準化システム、無停電電源システム、非接触給電システム、エナジーハーベストシステム、蓄電システム、電動パワーステアリングシステム、非常用電源システム、インホイールモーターシステム、アイドリングストップシステム、輸送機器システム、急速充電システム及びスマートグリッドシステムから成る群から選択される少なくとも一つである、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記システムが、前記非水系リチウム型蓄電素子と前記容量劣化率推定装置に加えて、
    (c)前記非水系リチウム型蓄電素子と直列又は並列に接続した鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池又は燃料電池;
    を含む、請求項11に記載のシステム。
  14. 前記システムが、蓄電システム、電動パワーステアリングシステム、非常用電源システム、インホイールモーターシステム、アイドリングストップシステム、輸送機器システム、急速充電システム及びスマートグリッドシステムから成る群から選択される少なくとも一つである、請求項13に記載のシステム。
  15. 前記システムが、太陽光発電蓄電システムである、請求項14に記載のシステム。
  16. 前記システムが、前記輸送機器システムであり、かつ電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車又は電動バイクである、請求項14に記載のシステム。
  17. 前記システムが停止している間の、前記非水系リチウム型蓄電素子の電圧及び温度の推移を予測し、該システムが停止している間の容量劣化率を予測する機構を備える、請求項11~16のいずれか一項に記載のシステム。
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