JP7095864B2 - コーヒーマシン用タブレット洗浄剤及びコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、特許文献1に記載された洗浄剤組成物では、コーヒー汚れに対して充分な洗浄性を示すものの、打錠する際には、モールド(臼や杵ともいう)に対する組成物の付着(スティッキングともいう)や、モールドから取り出した錠剤の側面に傷が入る(バインディングともいう)等の打錠障害が発生するため、大量生産に向いていないといった問題があった。
打錠性を向上させるための方法としては、一般的に滑沢剤を添加する方法が知られているが、これらの滑沢剤はステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、シリコーン(例えばジメチルポリシロキサン等)、パラフィン等の易水溶性ではない成分である。そのため、滑沢剤を使用して打錠されたタブレット洗浄剤をコーヒーマシンの洗浄に使用すると、易水溶性ではない成分が溶け残ったり、再析出を起こすために、コーヒーフィルターや配管の目詰まりを発生させたり、コーヒーマシンを損傷させてしまうという問題があった。
また特許文献1では、成形性を高めるためにノニオン性界面活性剤を使用することが開示されている。しかしながら、ノニオン性界面活性剤は一般的に液体の状態で流通しており、固体原料を混合、成形、打錠するという方法が採用されるタブレット洗浄剤を製造する方法において、液体原料を使用する場合、あらかじめ粉末原料に対して液体原料を噴霧して混合するという工程が必要となり作業性が低下してしまうという問題もあった。
(C)滑沢剤として用いられるアニオン界面活性剤は、打錠前の洗浄剤粉末の流動性を向上させることによって、該洗浄剤粉末のモールドへの充填性を向上させることができる。また、洗浄剤粉末とモールドとの摩擦を低下させることによって、圧縮性及び離型性を高めることができる。
さらに、アニオン界面活性剤は易水溶性であるため、コーヒーマシン内部で使用される場合に、コーヒーフィルターや配管が目詰まりすることを抑制することができる。また、固形物が残らないため、洗浄対象物であるコーヒーマシンを傷つけにくい。
(C)滑沢剤の水に対する50℃での溶解度が1g/100g以上であると、水に対する溶解性が高く、コーヒーフィルターや配管の目詰まりをさらに抑制することができる。
(C)滑沢剤がラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種であると、打錠性が特に良好となる。
(C)滑沢剤の含有量が0.5~20重量%であると、打錠性を向上させつつ、コーヒーフィルターや配管の目詰まりを起こしにくい。
(C)滑沢剤の含有量が0.5重量%未満であると、打錠性を向上させる効果が充分でないことがある。一方、(C)滑沢剤の含有量が20重量%を超えると、錠剤が中間部から層状に剥離(ラミネーションともいう)したり、錠剤の上下に分離する(キャッピングともいう)等の打錠障害が起こりやすくなる。
(A)アルカリ剤がアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又はケイ酸塩であると、コーヒー汚れに対する洗浄性が高い。
(A)アルカリ剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも一種であると、コーヒー汚れに対する洗浄性が特に高い。
(B)キレート剤が、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤及び多価カルボン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種であると、コーヒー汚れに対する洗浄性が特に高い。
本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤がさらに(D)酸素系漂白剤を含むと、コーヒー汚れに対する洗浄性を向上させることができる。
(D)酸素系漂白剤が、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ金属過硫酸塩及びアルカリ金属過ホウ酸塩からなる群から選択される少なくとも一種であると、コーヒー汚れに対する洗浄性をさらに向上させることができる。
本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤は、(C)滑沢剤としてアニオン界面活性剤を用いているため、滑沢剤が水に溶け残りにくく、コーヒーフィルター及び配管の目詰まりの発生を抑制することができる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウム等が挙げられる。
上述したアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩は、水和物であってもよい。
上記キレート剤はホスホン酸部分の少なくとも一部が塩になっていてもよい。
なお、(B)キレート剤には、後述する酸剤として機能するものもある。
また(C)滑沢剤は標準状態(25℃、1気圧)において固体粉末である。
(C)滑沢剤が標準状態において液体であると、滑沢剤としての効果を果たすことができず、打錠性を低下させてしまう。
(C)滑沢剤の含有量が0.5~20重量%であると、打錠性を向上させつつ、コーヒーフィルターや配管の目詰まりを起こしにくい。
(C)滑沢剤の含有量が0.5重量%未満であると、打錠性を向上させる効果が充分でないことがある。一方、(C)滑沢剤の含有量が20重量%を超えると、ラミネーションやキャッピング等の打錠障害が起こりやすくなる。
上記(C’)成分を含むと、溶け残りや再析出した成分がコーヒーフィルターや配管の目詰まりを発生させたり、コーヒーマシンを損傷させてしまう。
(C’)成分は、具体的には、水に対する50℃での溶解度が1g/100g未満のものを指す。
ノニオン界面活性剤は一般的に液体原料であるため、タブレット洗浄剤の製造工程において作業性が低下する。
(D)酸素系漂白剤を(A)アルカリ剤及び(B)キレート剤と併用することにより、コーヒー汚れに対する洗浄性を向上させることができる。
(D)酸素系漂白剤としては、アルカリ金属炭酸塩の過酸化水素付加物(アルカリ金属過炭酸塩ともいう)、アルカリ金属過硫酸塩及びアルカリ金属過ホウ酸塩が挙げられ、これらの中ではアルカリ金属過炭酸塩が好ましい。
アルカリ金属過炭酸塩としては、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属過硫酸塩としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属過ホウ酸塩としては、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウムなどが挙げられる。
本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤における(D)の含有量が1~45重量%であると、コーヒー汚れに対して充分な洗浄力を発揮することができる。
洗浄剤組成物の全量に対する(D)酸素系漂白剤の含有量が45重量%を超えた場合、アルカリ剤(A)及びキレート剤(B)の含有量が相対的に少なくなってしまい、コーヒー汚れに対して充分な洗浄力を発揮できないことがある。一方、(D)酸素系漂白剤の含有量が1重量%未満の場合、(D)酸素系漂白剤の絶対量が少なすぎて、コーヒー汚れに対する洗浄性を充分に向上させることができない場合がある。
(E)添加剤としては、例えば、芒硝、酸剤、結合剤、防腐剤、殺菌剤、酵素、色素、香料、着色料、消泡剤、腐食防止剤等が挙げられる。(E)添加剤としては、従来から洗浄剤用の添加剤として用いられているものを好適に用いることができる。
酸剤としては、コハク酸等が挙げられる。
結合剤を添加することで、タブレット洗浄剤の打錠性、及び、打錠されたタブレット洗浄剤の硬度を調整することができる。
結合剤としては、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
ポリエチレングリコールの平均分子量は特に限定されないが、1000以上であることが好ましい。
重量が上記範囲であると、コーヒーマシンの1回の洗浄に適当であり、打錠性にも優れている。
該円盤の直径は10~30mmであることが好ましい。
該円盤の厚さは2~10mmであることが好ましい。
本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤は、例えば本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法により製造することができる。
本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法は、(A)アルカリ剤、(B)キレート剤及び(C)滑沢剤を含み、上記(C)滑沢剤がアニオン界面活性剤である粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠することを特徴とする。
(A)アルカリ剤、(B)キレート剤及び(C)滑沢剤を含み、(C)滑沢剤がアニオン界面活性剤である粉末状の洗浄剤組成物は打錠性に優れる。従って、このような洗浄剤組成物を用いると、打錠障害を起こしにくく、打錠機で効率的に打錠することができる。
粉末状の洗浄剤組成物を構成する(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、(D)酸素系漂白剤及び(E)添加剤としては、本発明のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤を構成する成分と同じものを用いることができる。各種成分の含有量や好ましい化合物の種類についても同様である。
また(C’)やノニオン界面活性剤などの、含有量が少ない、又は、含まないことが好ましい化合物についても同様である。
得られた粉末状の洗浄剤組成物は、そのまま打錠機で打錠してもよいし、顆粒に成形した後に、打錠機で打錠してもよい。
打錠機は単打式の打錠機であってもよく、連続式の打錠機であってもよい。
打錠方法は特に限定されないが、直接打錠法、顆粒圧縮法のいずれでもよい。
ただし、(C)滑沢剤としてアニオン界面活性剤を含む粉末状の洗浄剤組成物は打錠性に優れるため、直接打錠法での打錠が適している。
(タブレット洗浄剤の作製)
表1に示す処方に従い、(A)アルカリ剤、(B)キレート剤、(C)滑沢剤、(D)酸素系漂白剤及び(E)添加剤を混合して、実施例1~11及び比較例1~5に係る洗浄剤組成物(粉末)を得た。なお、ポリエチレングリコールは結合剤であり、平均分子量が8600の粉末状であった。また、(C’)として使用したジメチルポリシロキサン及びノニオン界面活性剤であるプルロニックL-31は、液体状であった。液体原料を含むものは、まず液体原料を芒硝に噴霧して均一に混合した後、さらに他の原料を混合するという2段階の混合手順で洗浄剤組成物(粉末)を調製した。一方、液体原料を含まないものは、全原料を一度に混合するという1段階の混合手順で洗浄剤組成物(粉末)を調製した。
続いて、得られた洗浄剤組成物(粉末)約2gを、連続打錠機[(株)畑鐵工所製、HT-G20]を用いて打錠し、実施例1~11及び比較例1~5に係るタブレット洗浄剤を得た。錠剤の寸法は、厚さ3.6mm、直径20mmであった。
以下の方法で作業性を評価した。結果を表1に示す。
○:洗浄剤組成物(粉末)の調製が1段階の混合手順である。
×:洗浄剤組成物(粉末)の調製が2段階の混合手順である。
洗浄剤組成物(粉末)を、連続打錠機[(株)畑鐵工所製、HT-G20]を用いて1000錠連続で打錠した。得られたタブレット洗浄剤1000錠についてバインディングの有無、キャッピングの有無を確認し、バインディング発生率及びキャッピング発生率を求めた。結果を表1に示す。
なお、連続打錠では、事前に約1分間の試運転を行い、その間に打錠したものは除外した。
(バインディン防止効果)
○:バインディング発生率が0.5%未満
×:バインディング発生率が0.5%以上
(キャッピング防止効果)
○:キャッピング発生率が0.5%未満
×:キャッピング発生率が0.5%以上
洗浄剤組成物(粉末)を、連続打錠機[(株)畑鐵工所製、HT-G20]を用いて10000錠連続で打錠した。10000錠打錠した後、打錠後の杵の表面に洗浄剤組成物が付着しているかどうかを判断した。
○:10000錠連続打錠後も、杵の表面に洗浄剤組成物が付着していない。
×:10000錠連続打錠後に杵の表面に洗浄剤組成物が付着している、又は、連続打錠回数が10000回に達する前に、杵の表面に洗浄剤組成物が付着することによる打錠障害が発生したため、連続打錠を中止した。
バインディング防止効果、キャッピング防止効果及び連続打錠性の評価のうち、全ての評価が○のものを総合評価○とし、1つ以上の評価項目が×であったものを総合評価×とした。結果を表1に示す。
煮沸したコーヒー液にプラスチック板を浸漬させ、一晩自然冷却させた。
その後、プラスチック板を取り出し、乾燥させることでコーヒー汚れの付着した試験板を作製した。
続いて、タブレット洗浄剤の重量が1重量%となるように水道水に溶解させた水溶液(洗浄液)を準備し、この洗浄液中に、上記試験板を70℃で3分間浸漬し、その後流水ですすいだ。すすぎ後の試験板の表面を目視で観察し、残存する汚れの程度を以下の基準で判定した。結果を表1に示す。
◎:汚れ落ちが非常によく、汚れが確認できない。
○:汚れ落ちがよく、わずかな汚れしか確認できない。
△:汚れ落ちが悪く、明らかに汚れが確認できる。
実施例1~11及び比較例1~5に係るタブレット洗浄剤2gを50℃の水100gに溶解し、15分間撹拌溶解させた後、その外見を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:不溶物がみられない。
×:不溶物がみられる。
Claims (9)
- (A)アルカリ剤、(B)キレート剤及び(C)滑沢剤を含み、
前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤であることを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。 - 前記(C)滑沢剤の水に対する50℃での溶解度が1g/100g以上である請求項1に記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
- 前記(C)滑沢剤の含有量は、0.5~20重量%である請求項1又は2に記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
- 前記(A)アルカリ剤は、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又はケイ酸塩である請求項1~3のいずれかに記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
- 前記(A)アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~4のいずれかに記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
- 前記(B)キレート剤は、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤及び多価カルボン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~5のいずれかに記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
- さらに(D)酸素系漂白剤を含む請求項1~6のいずれかに記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
- 前記(D)酸素系漂白剤は、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ金属過硫酸塩及びアルカリ金属過ホウ酸塩からなる群から選択される少なくとも一種である請求項7に記載のコーヒーマシン用タブレット洗浄剤。
- (A)アルカリ剤、(B)キレート剤及び(C)滑沢剤を含み、前記(C)滑沢剤が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸カリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム及び第二級アルカンスルホン酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のアニオン界面活性剤である粉末状の洗浄剤組成物を打錠機で打錠することを特徴とするコーヒーマシン用タブレット洗浄剤の製造方法。
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