JP4099336B2 - 自動洗浄機用固形洗浄剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器類、食缶類、ビン類、コンテナー類、トレー類等の硬表面の洗浄に適し、固形洗浄剤の製造が容易で、安定に、かつ、短時間で固化できる自動洗浄機用固形洗浄剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ホテル、レストラン、ケータリング等においては使用後の食器や食缶などを多量に洗浄するために、自動食器洗浄機が使用されている。また、各種製造工場や流通においても器具や容器、コンテナーなどを洗浄するために自動洗浄機が使用されている。
【0003】
これらの洗浄機で使用される洗浄剤としては、強アルカリ剤を多量に配合した粉体や液体タイプが主流であったが、近年、安全性や使い勝手から固形タイプの洗浄剤が普及してきている。
固形タイプの洗浄剤としては、例えば、特公昭59−4480号公報には、加熱溶解された苛性アルカリ水溶液に、金属イオン封鎖剤を配合し、容器に注入して冷却固化することにより得られる固形注型洗浄剤等が開示されている。この洗浄剤によれば、洗浄剤を構成する洗浄成分が均一であり、強固な固形洗浄剤を得ることができるものである。
【0004】
しかしながら、このような高アルカリ洗浄剤は、金彩食器の絵柄を消失したり、グラスやアルミニウム製品を侵食したりする問題点が残されている。このグラスやアルミニウムを侵食する問題は、アルカリ金属珪酸塩を主剤として使用すると回避できることが知られているが、アルカリ金属珪酸塩を加熱溶融物中に多量添加すると冷却しても長時間固化しないという問題点がある。
【0005】
このような問題点を解決するために、特開昭64−51498号公報では、結晶性珪酸アルカリ金属塩に水和水を有するアルカリ金属の縮合リン酸塩や添加水を配合して溶融後、冷却固化する固化注型組成物が知られており、また、本願出願人の先行出願である特開2000−144196号公報では、アルカリ金属珪酸塩や水を配合して溶融後、容器に収納し冷却固化させる際に収納容器にアルカリ金属メタ珪酸塩の粒子を添加して固化速度を早めることなどが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記前者の特開昭64−51498号公報では、添加水が脱イオン化されていることが必要であり、かつ実質的には水和水を有するアルカリ金属の縮合リン酸塩を多量混合しなければならないという課題を有し、また、上記後者の特開2000−144196号公報は、優れた効果を有するものであるが、新たに収納容器にアルカリ金属メタ珪酸塩の粒子を添加しなければならないこと、また、添加水を加えると、アルカリ金属珪酸塩の水和状態の変化が生じて、長期間保存すると溶融物を注入固化した容器が膨らんだり、型抜きした固形物をポリ袋などに入れた場合、固形物に亀裂や膨らみが発生しやすい課題もある。
【0007】
一方、特開平09−217100号公報、特開平11−349997号公報では、水を全く加えることなく洗浄剤混合物を非加熱、非加圧下で自然固化させる固形洗浄剤や、全く水を加えることなく洗浄剤混合物を32℃以上であって水化物の溶融温度以下で所定時間保温した後、30℃以下で所定時間冷却する固形洗浄剤が知られている。
しかしながら、これらの公報に開示される技術では、固化させるのに時間を要し、かつ固形品になっても実質的な嵩比重は粉体と同等で、コンパクト化が得られないという課題があるのが現状である。
更に、特開2000−80400号公報では、添加水を少なくして押し出し成型機で固形物を製造することが開示されているが、この技術では、押し出し成型後、一旦金型に入れ固化させて金型から取り出し必要な大きさに切断し、更に包装するので製造工程が複雑であるという課題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、食器類、食缶類、ビン類、コンテナー類、トレー類等の硬表面を洗浄する自動洗浄機に用いられる固形洗浄剤において、アルカリ金属水酸化物を使用することなく、製造が容易で、短時間で全体を安定に固化できると共に、長期間の保存でも固形物の形状に変化が見られず、しかも、グラスやアルミニウム製品などの侵食も抑制でき、被洗物を選別することなく洗浄できる自動洗浄機用固形洗浄剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、(a)アルカリ金属珪酸塩、(b)金属イオン封鎖剤、(c)炭酸塩及び(d)水を含有し、これらを溶融させた溶融物に対して、特定形状のアルカリ金属珪酸塩を特定温度以下で添加し、冷却固化することにより、上記目的の自動洗浄機用固形洗浄剤の製造方法が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の自動洗浄機用固形洗浄剤の製造方法は、(a)アルカリ金属珪酸塩10〜50質量%、(b)金属イオン封鎖剤10〜50質量%、(c)炭酸塩1〜10質量%及び(d)水10〜40質量%を含有し、これらを溶融させた溶融物に対して、粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩0.1〜10質量%を70℃以下で添加し、冷却固化させたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の自動洗浄機用固形洗浄剤(以下、単に「洗浄剤」という)の製造方法は、(a)アルカリ金属珪酸塩10〜50質量%、(b)金属イオン封鎖剤10〜50質量%、(c)炭酸塩1〜10質量%及び(d)水10〜40質量%を含有し、これらを溶融させた溶融物に対して、粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩0.1〜10質量%を70℃以下で添加し、冷却固化させたことを特徴とするものである。
なお、以下において、「本発明方法」を「本発明」という場合がある。
【0011】
本発明の洗浄剤において、(a)成分としては、アルカリ金属珪酸塩が用いられ、これらの無水物、水和物のいずれも用いることができる。
用いることができるアルカリ金属珪酸塩としては、例えば、メタ珪酸ナトリウム無水物、メタ珪酸ナトリウム・5水塩、メタ珪酸ナトリウム・9水塩、メタ珪酸カリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、C珪酸カリウム、B珪酸カリウム、A珪酸カリウムなどが挙げられる。
これらのアルカリ金属珪酸塩は、単独でも2種類以上の混合物で用いることができる。好ましくは、アルミニウムの侵食防止や洗浄力の点から、SiO2/Na2Oのモル比が0.5〜約3の珪酸ナトリウムであり、更に好ましくは、SiO2/Na2Oのモル比が約1〜2の比率であるものが望ましい。
これらのアルカリ金属珪酸塩の含有量は、無水物換算として洗浄剤全量に対して、好ましくは、10〜50質量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、20〜40%とすることが望ましい。
【0012】
本発明の洗浄剤において、(b)成分として金属イオン封鎖剤が用いられ、これらの無水物、水和物のいずれも用いることができる。
用いることができる金属イオン封鎖剤としては、例えば、アミノカルボン酸またはその塩、ヒドロキシカルボン酸またはその塩、縮合リン酸またはその塩、ポリアクリル酸またはその塩、ポリマレイン酸またはその塩、アクリル酸との共重合体またはその塩、無水マレイン酸との共重合体またはその塩等が挙げられる。
これらの金属イオン封鎖剤は、単独または2種以上の混合物で用いることができる。塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属であり、一部または全部が中和されていてもよい。具体的には、ニトリロトリ酢酸または3ナトリウム塩、3カリウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸または4ナトリウム塩、4カリウム塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸または5ナトリウム塩、5カリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸または3ナトリウム塩、3カリウム塩、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸または6ナトリウム塩、6カリウム塩、クエン酸または3ナトリウム塩、3カリウム塩、リンゴ酸または2ナトリウム塩、2カリウム塩、ピロリン酸ナトリウム、カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリアクリル酸またはナトリウム塩、ポリマレイン酸またはナトリウム塩、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体またはナトリウム塩、オレフィン/無水マレイン酸共重合体またはナトリウム塩等を挙げることができる。
好ましくは、洗浄力、洗浄機へのスケール抑制の点から、アミノカルボン酸又はその塩、オレフィン/無水マレイン酸共重合体またはその塩、ポリアクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体またはその塩であるものが望ましい。
これらの金属イオン封鎖剤の含有量は、無水物換算として洗浄剤全量に対して、好ましくは、10〜50%、更に好ましくは、20〜40%とすることが望ましい。
【0013】
本発明の洗浄剤において、(c)成分は、製造時の溶融物の粘度低減、固形物の膨らみ防止を図るために含有するものである。この(c)成分としては、炭酸塩が用いられ、これらの無水物、水和物のいずれも用いることができる。
用いることができる炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらは単独または2種類以上の混合物で用いられる。
好ましくは、更なる製造時の溶融物の粘度低減、固形物の膨らみ防止の点から、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが望ましい。
これらの炭酸塩の含有量は、洗浄剤全量に対して、好ましくは、1〜10%、更に好ましくは、1〜7%とすることが望ましい。この炭酸塩の含有量が1%未満であると、製造時の溶融物の粘度が高くなり撹拌機による撹拌が困難となると共に、固形物の膨らみが生じたりすることがあり、好ましくない。また、10%を越えて含有すると、アルミニウム製品が浸食されてしまい、好ましくない。
【0014】
本発明の洗浄剤において、(d)成分として、水が用いられる。
用いる水は、アルカリ金属珪酸塩の水和物、金属イオン封鎖剤の水和物、炭酸塩の水和物又は添加水(精製水、イオン交換水、純水、水道水等)が用いられ、洗浄剤全量に対して、好ましくは、10〜40%、更に好ましくは、15〜30%とすることが望ましい。
この水の含有量が10%未満であると、溶融物の粘度が高くなり攪拌機による攪拌が困難となり、配合釜での製造ができなくなることがあり、また、40%を超えると、溶融物が固化できなくなったり、固化しても固形物に亀裂が入ったり、膨らんだり、また容器に入れた場合は、容器が膨らんでしまうなどの課題を生じることとなる。
【0015】
更に、本発明の洗浄剤においては、品質や製造性を損なわない範囲で必要に応じて、任意成分を添加することができる。用いることができる任意成分としては、例えば、界面活性剤、酸化剤、酵素、硫酸ナトリウム、色素、香料等を用いることができる。
界面活性剤は、洗浄力向上のために用いられるが、低泡性のものが望ましい。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0016】
本発明では、上記アルカリ金属珪酸塩、金属イオン封鎖剤、炭酸塩及び水を含有せしめて溶融させた溶融物に対して、粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩を溶融物の温度が70℃以下で添加することにより、短時間で溶融物を固化することができるものとなる。
粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩の添加量は、無水物換算として洗浄剤全量に対して、0.1〜10%、好ましくは、0.1〜5%とすることが望ましい。この添加量が0.1%未満であると、溶融物が固化できなくなったり、固化に要する時間が長くなる場合があり、また、10%を越えて添加してもその効果は変わらないが、系中の成分に分布が発生することとなる。
添加するアルカリ金属珪酸塩としては、粉末又は粒子状であり、例えば、メタ珪酸ナトリウム無水物、メタ珪酸ナトリウム・5水塩、メタ珪酸ナトリウム・9水塩等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種類以上の混合物で用いることができる。
また、添加するアルカリ金属珪酸塩の粒子の大きさは、均一に分散させて短時間に固化せしめる点から、平均粒径で、0.05〜5mm、好ましくは、0.1mm〜3mmであることが望ましい。
なお、溶融物の温度が70℃を越える温度で粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩を添加すると、短時間で溶融物を固化することができないものとなり、好ましくない。
【0017】
具体的な例としては、配合釜に水〔(d)成分〕と炭酸塩〔(c)成分〕を添加して炭酸塩を溶解または分散させ、次に、アルカリ金属珪酸塩〔(a)成分〕を添加し、好ましい溶融温度となる75℃以上の温度で攪拌しながらアルカリ金属珪酸塩を溶解または分散させる。次いで、金属イオン封鎖剤〔(b)成分〕及び任意成分を添加して均一な溶融物を調製する。次いで、冷却して溶融物の温度が70℃以下になったら粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩を添加する。好ましくは、更に短時間で溶融物を良好に固化せしめる点から、溶融物の温度が40〜70℃、更に好ましくは、50〜65℃になったらアルカリ金属珪酸塩を添加することが望ましい。
【0018】
このように構成された本発明の洗浄剤は、溶融物の粘度が低いので製造が容易であり、短時間に溶融物を安定に固化できると共に、長期間の保存でも固形物の形状に変化が見られず、しかも、グラスやアルミニウム製品などの侵食も抑制でき、被洗物を選別することなく洗浄できるものとなる。
具体的には、アルカリ金属珪酸塩、金属イオン封鎖剤、炭酸塩、水、並びに、任意成分などを含有せしめて溶融させた溶融物に対して、粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩を70℃以下で添加することにより、溶融物の粘度が低く維持されて短時間に溶融物を安定に固化できると共に、炭酸塩の含有によりアルカリ金属珪酸塩の水和状態に変化が生じることがないので、長期間の保存でも固形物の形状に変化が見られず、しかも、型抜きした固形物をポリ袋などに入れた場合にも、固形物に亀裂や膨らみも発生することがないものとなる。また、本発明の洗浄剤は、アルカリ金属水酸化物を使用しないので、グラスやアルミニウム製品などの侵食も抑制でき、被洗物を選別することなく洗浄できる自動洗浄機用固形洗浄剤が得られるものとなる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に記述するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0020】
〔実施例1〜9及び比較例1〜5〕
下記表1及び表2に示す配合組成となる洗浄剤を下記の方法により製造し、下記の評価方法により、溶融物の粘度、固化性、容器の膨らみ及びアルミニウムの侵食性の評価を行った。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0021】
〔製造法〕
(1) 実施例1〜6
下記表1に示す配合組成に従って全量が1000gになるように、1Lのステンレス容器に水と炭酸カリウムを入れて85℃ウォーターバス中で加熱し、スリーワンモーターを用いて攪拌を行った。炭酸カリウムが均一に溶解した後、液温が80℃に達したら、メタ珪酸ナトリウム・無水塩またはメタ珪酸ナトリウム・5水塩を添加し均一に溶解または分散を行った。
液温を80℃に保持したまま、ニトリロトリ酢酸3ナトリウム・1水塩またはトリポリリン酸ナトリウム、ACUSOL 460ND、硫酸ナトリウムを順次添加して均一な溶融物を調製した。
次いで、ウォーターバスの温度を65℃に調整し溶融物の温度が65℃になったら、添加粒子としてメタ珪酸ナトリウム・無水塩またはメタ珪酸ナトリウム・5水塩を添加して均一に分散させ、65℃を維持して30分間攪拌を行ない、次に60℃まで冷却を行ない、溶融物500gを開放口を有する直径80mm、高さ120mmのポリエチレン容器に収納して放冷し、室温(25℃、以下同様)になったら蓋をして放置した。
【0022】
(2) 実施例7
下記表2に示す配合組成に従って全量が1000gになるように、1Lのステンレス容器に水を入れて80℃ウォーターバス中で加熱し、スリーワンモーターを用いて攪拌を行った。液温が75℃に達したら、メタ珪酸ナトリウム・5水塩を添加し均一に溶解・分散を行った。
液温を75℃に保持したまま、炭酸カリウム、ニトリロトリ酢酸3ナトリウム、硫酸ナトリウムを順次添加して均一な溶融物を調製した。
次いで、ウォーターバスの温度を55℃に調整し溶融物の温度が55℃になったら、添加粒子としてメタ珪酸ナトリウム・無水塩の粒子を添加して均一に分散させ、55℃を維持して30分間攪拌を行ない、溶融物500gを開放口を有する直径80mm、高さ120mmのポリエチレン容器に収納して放冷し、室温になったら蓋をして放置した。
【0023】
(3) 実施例8
下記表2に示す配合組成に従って全量が1000gになるように、1Lのステンレス容器に水を入れて80℃ウォーターバス中で加熱し、スリーワンモーターを用いて攪拌を行った。液温が75℃に達したら、メタ珪酸ナトリウム・5水塩を添加し均一に溶解・分散を行った。
液温を75℃に保持したまま、炭酸ナトリウム、ニトリロトリ酢酸3ナトリウム、クィンフロー750、硫酸ナトリウムを順次添加して均一な溶融物を調製した。
次いで、ウォーターバスの温度を60℃に調整し溶融物の温度が60℃になったら、添加粒子としてメタ珪酸ナトリウム・無水塩を添加して均一に分散させ、60℃を維持して30分間攪拌を行ない、溶融物500gを開放口を有する直径80mm、高さ120mmのポリエチレン容器に収納して放冷し、室温になったら蓋をして放置した。
【0024】
(4) 実施例9
下記表2に示す配合組成に従って全量が1000gになるように、1Lのステンレス容器に水を入れて80℃ウォーターバス中で加熱し、スリーワンモーターを用いて攪拌を行った。液温が75℃に達したら、メタ珪酸ナトリウム・無水塩を添加し均一に溶解・分散を行った。
液温を75℃に保持したまま、炭酸カリウム、ニトリロトリ酢酸3ナトリウム、硫酸ナトリウムを順次添加して均一な溶融物を調製した。
次いで、ウォーターバスの温度を68℃に調整し溶融物の温度が68℃になったら、添加粒子としてメタ珪酸ナトリウム・無水塩を添加して均一に分散させ、68℃を維持して30分間攪拌を行ない、60℃まで冷却を行ない溶融物500gを開放口を有する直径80mm、高さ120mmのポリエチレン容器に収納して放冷し、室温になったら蓋をして放置した。
【0025】
(5) 比較例1
下記表1に示す配合組成に従って、実施例2で炭酸カリウムを用いない以外は実施例1と同様に行った。
(6) 比較例2
下記表1に示す配合組成に従って、実施例2で添加粒子としてメタ珪酸ナトリウム・無水塩を用いない以外は実施例2と同様に行った。
(7) 比較例3
下記表1に示す配合組成に従って、実施例6でメタ珪酸ナトリウム・無水塩の代わり水酸化ナトリウムを用い、添加粒子のメタ珪酸ナトリウム・無水塩を用いない以外は実施例6と同様に行った。
【0026】
(8) 比較例4
下記表2に示す配合組成に従って、実施例8で添加粒子の添加温度を75℃に変更した以外は実施例8と同様に行った。
(9) 比較例5
下記表2に示す配合組成に従って、実施例8で添加粒子のメタ珪酸ナトリウム・無水塩の代わりに炭酸ナトリウムを用いた以外は、実施例8と同様に行った。
【0027】
上記各製造例で得た各実施例及び比較例における各組成物は、以下の評価方法等に従って評価した。
(1) 溶融物の粘度
製造終了後のステンレス容器内の溶融物の粘度(25℃)を、B型粘度計(東京計器社製)を用いて測定を行った。
溶融粘度は、1000〜7000mPa・sの範囲であるものが均一な分散と撹拌機での撹拌が容易である点から好ましい範囲となる。
【0028】
(2) 固化性
溶融物をポリエチレン容器に収納して2時間室温で放冷後、洗浄剤表面の中心部、外側部をガラス棒で突いて、ガラス棒が内部に侵入しなくなるか否かを下記評価基準により評価した。
評価基準:
○:ガラス棒が侵入しない
×:ガラス棒が侵入する
【0029】
(3) 容器の膨らみ
溶融物を収納したポリエチレン容器を室温1日放置後の容器の胴回りを測定し、更に10℃の恒温槽に1ヵ月保存して、室温に1日放置し室温に戻して容器の胴回りを測定して、両者の差を算出した。
【0030】
(4) アルミニウムの侵食性
予め中性洗剤で洗浄、すすぎを行ない、乾燥させたアルミニウム板(25mm×75mm)を0.15%の洗浄剤溶液(65℃)が50ml入った100ml容のガラス瓶に約半分浸漬し、ウォーターバス中で65℃に維持しながら1時間放置した。放置後、アルミニウム板をビーカーから取り出し、流水で充分にすすぎ、乾燥させた。乾燥後のアルミニウム板の状態を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:浸漬前と同じ状態で変化がない
×:浸漬中はガスを発生し、アルミニウム板が黒く変色または光沢がなくなる
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜9は、本発明の範囲外となる比較例1〜5に較べて、溶融物の粘度、固化性が良好であり、容器の膨らみもなく、アルミニウムの侵食性がないことが判明した。
比較例を個別的に見ると、炭酸カリウム〔(c)成分〕を用いない場合の比較例1では、容器の膨らみが生じものとなり、添加粒子としてメタ珪酸ナトリウム・無水塩を用いない場合の比較例2では、短時間に固化することができないことが判った。
また、メタ珪酸ナトリウム・無水塩の代わりに水酸化ナトリウムを用いた比較例3では、アルミニウムの侵食性が生じるものとなり、添加粒子の添加温度が70℃を越えて75℃とした比較例4、並びに、添加粒子のメタ珪酸ナトリウム・無水塩の替わりに炭酸ナトリウムを用いた比較例5では、短時間に固化することができないことが判った。
従って、本発明範囲となるアルカリ金属珪酸塩、金属イオン封鎖剤、炭酸塩、水、並びに、任意成分などを含有せしめて溶融させた溶融物に対して、粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩を70℃以下で添加して洗浄剤とすることにより、初めて、短時間に溶融物を安定に固化できると共に、長期間の保存でも固形物の形状に変化が見られず、しかも、グラスやアルミニウム製品などの侵食も抑制でき、被洗物を選別することなく洗浄できるものとなることが判明した。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、製造が容易で、短時間で全体を安定に固化できると共に、長期間の保存でも形状の変化が見られず、しかもグラスやアルミニウムの侵食も抑制でき、被洗物を選別することなく洗浄できる自動洗浄機用固形洗浄剤の製造方法が提供される。
Claims (1)
- (a)アルカリ金属珪酸塩10〜50質量%、(b)金属イオン封鎖剤10〜50質量%、(c)炭酸塩1〜10質量%及び(d)水10〜40質量%を含有し、これらを溶融させた溶融物に対して、粉末又は粒子状のアルカリ金属珪酸塩0.1〜10質量%を70℃以下で添加し、冷却固化させたことを特徴とする自動洗浄機用固形洗浄剤の製造方法。
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