JP7092240B1 - タイヤの管理方法および管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ固有情報として、タイヤ部材の特性情報をタイヤ1本分の個別サイズ単位で、より高い精度で把握できるタイヤの管理方法および管理システムを提供する。【解決手段】長尺体Lを切断してタイヤ1本分の個別サイズにしたタイヤ部材E1を含む複数種類のタイヤ部材Eを一体化してグリーンタイヤGを成形し、長尺体Lを製造した際に長尺体Lのタイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に位置特定マーク3を付し、各位置特定マーク3を付した範囲で測定した長尺体Lの所定の品質情報QLを位置特定マーク3と紐付けして記憶し、グリーンタイヤGを成形する際に、使用するタイヤ部材E1に付されている位置特定マーク3を特定マークリーダ6で読み取ることで、紐付けされている品質情報QLをタイヤTの固有情報Dとして含め、タイヤTに付されている識別ラベル8を識別ラベルリーダ7で読み取ることで固有情報Dを取得する。【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤの管理方法および管理システムに関し、さらに詳しくは、タイヤの固有情報として、タイヤ部材の品質情報をタイヤ1本分の個別サイズ単位で、より高い精度で取得できるタイヤの管理方法および管理システムに関するものである。
タイヤは、押出機等によって押出された未加硫ゴムや、未加硫ゴムと補強コードとで形成された補強層など、様々なタイヤ部材を用いて製造されている。タイヤを製造する際には、これら様々なタイヤ部材を成形工程で一体化してグリーンタイヤが成形される。次いで、このグリーンタイヤを加硫することでタイヤが製造される。製造されたタイヤにはバーコードなどの識別ラベルが取り付けられて、この識別ラベルを読み取ることで、そのタイヤの製造ロットなどの固有情報を取得することができる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1で提案されている発明では、タイヤの固有情報として、そのタイヤを構成するそれぞれのタイヤ部材の計測データが、そのタイヤ部材が成型ドラムに組み付けられた際に収集されて、成型されるタイヤのバーコードと紐付けされる。したがって、タイヤに付されたバーコードを読み取ることで、それぞれのタイヤ部材の測定データを取得できるので、タイヤ品質のトレーサビリティの向上に寄与する。
ところで、トレッド用の未加硫ゴムなどのタイヤ部材は、長尺体として製造された後に切断されて、1本のタイヤに必要な個別サイズにされて使用される。特許文献1で提案されている管理システムでは、個別サイズにされた後のタイヤ部材の計測データを取得するので、長尺体が製造された時点でのそのタイヤ部材の計測データ(品質情報)を得ることはできない。長尺体の製造工程では、その品質情報は長尺体の製造ロット単位で取得される。そのため、その長尺体が製造された時点でのタイヤ1本分の個別サイズ単位でタイヤ部材の品質情報を取得するには例えば、対応する製造ロットの長尺体の中で、対象となる1本のタイヤの個別サイズ単位のタイヤ部材に該当する部位(範囲)を推定して、その推定した部位の品質情報が用いられる。このように部位を推定する手法では、取得された品質情報には誤差が発生し易い。それ故、タイヤ部材の品質情報をタイヤ1本分の個別サイズ単位で、より高い精度で取得するには改善の余地がある。
特開2012-108593号公報
本発明の目的は、タイヤの固有情報として、タイヤ部材の品質情報をタイヤ1本分の個別サイズ単位で、より高い精度で取得できるタイヤの管理方法および管理システムを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤの管理方法は、長尺体を切断してタイヤ1本分の個別サイズに形成されたタイヤ部材を含む複数種類のタイヤ部材を一体化してグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫することで製造されたタイヤの固有情報を、このタイヤに付されている識別ラベルと紐付けて記憶装置に記憶し、識別ラベルリーダによって前記識別ラベルを読み取ることで、前記タイヤの前記固有情報を取得するタイヤの管理方法において、前記長尺体を製造した際に、前記長尺体のタイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に位置特定マークを付すとともに、それぞれの前記位置特定マークを付した範囲での前記長尺体の所定の品質情報を測定して、この測定した前記品質情報を前記位置特定マークと紐付けして記憶しておき、前記グリーンタイヤを成形する際に、使用される前記個別サイズに形成された前記タイヤ部材に付されている前記位置特定マークを読み取って前記位置特定マークに紐付けされている前記品質情報を、前記固有情報として含めることを特徴とする。
本発明のタイヤの管理システムは、長尺体を切断してタイヤ1本分の個別サイズに形成されたタイヤ部材を含む複数種類のタイヤ部材を一体化したグリーンタイヤを加硫することで製造されているタイヤの固有情報とこのタイヤに付されている識別ラベルとが紐付けて記憶される記憶装置と、前記識別ラベルを読み取ることにより前記タイヤの前記固有情報を取得する識別ラベルリーダと、を備えたタイヤの管理システムにおいて、前記長尺体が製造された際に、前記長尺体のタイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に位置特定マークを付すマーク付与機と、前記位置特定マークを付した範囲での前記長尺体の所定の品質情報を測定する測定機と、前記測定機により測定された前記品質情報と前記位置特定マークとが紐付けして記憶される記憶部と、前記グリーンタイヤが成形される際に、使用される前記個別サイズに形成された前記タイヤ部材に付されている前記位置特定マークを読み取る特定マークリーダと、を有し、前記特定マークリーダによって前記位置特定マークを読み取ることにより、前記位置特定マークに紐付けされている前記品質情報が前記固有情報として含められる構成にしたことを特徴とする。
本発明によれば、前記長尺体が製造された際に、前記長尺体のタイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に位置特定マークが付されるとともに、それぞれの前記位置特定マークを付した範囲で測定された前記長尺体の所定の品質情報と前記位置特定マークとが紐付けして記憶される。そのため、前記グリーンタイヤが成形される際に、使用される前記個別サイズに形成された前記タイヤ部材に付されている前記位置特定マークを読み取ることにより、前記位置特定マークに紐付けされている前記品質情報を前記固有情報として含めることができる。それ故、タイヤに付されている前記識別ラベルを前記識別ラベルリーダによって読み取ることにより、前記長尺体が切断して製造されている前記タイヤ部材の品質情報をタイヤ1本分の個別サイズ単位で、より高い精度で取得することが可能になる。これに伴い、タイヤ品質のトレーサビリィが向上する。
本発明のタイヤの管理システムを模式的に例示する説明図である。 図1の管理システムが適用されたタイヤ製造設備を例示する説明図である。 図2のタイヤ製造設備の一部を拡大して例示する説明図である。 図3を平面視で例示する説明図である。 識別ラベルを読み取ってタイヤの固有情報を取得している状態を例示する説明図である。
以下、本発明のタイヤの管理方法および管理システムを、図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1に例示する本発明のタイヤの管理システム1の実施形態は、それぞれのタイヤTに付されている識別ラベル8を用いて、そのタイヤTの固有情報Dを容易に取得することができる。タイヤTは様々な種類のタイヤ部材Eで構成されているが、この管理システム1によれば、長尺体Lを切断して製造されたタイヤ部材E1の製造時の品質情報QLを固有情報Dとして把握することができる。タイヤ部材E1は、長尺体Lを切断してタイヤ1本分の個別サイズに形成されたものである。
この管理システム1は、タイヤTの固有情報DとタイヤTに付されている識別ラベル8とが紐付けて記憶される記憶装置9と、識別ラベル8を読み取る識別ラベルリーダ7とに加えて、特別な構成要素を有している。この特別な構成要素は、長尺体Lに位置特定マーク3を付すマーク付与機2と、長尺体Lの所定の品質情報QLを測定する測定機4と、この品質情報QLと位置特定マーク3とが紐付けして記憶される記憶部5と、位置特定マーク3を読み取る特定マークリーダ6である。
マーク付与機2は、長尺体Lが製造された際に、長尺体Lのタイヤ1本分の個別サイズ(即ち、1つのタイヤ部材E1の長さ)に相当する範囲毎に位置特定マーク3を付す。例えば、長尺体Lの表面にインクなどを噴射、転写などによって塗布することで位置特定マーク3を付す機器などをマーク付与機2として用いることができる。搬送移動されている長尺体Lに対して、マーク付与機2を用いて位置特定マーク3を付すことができる。尚、長尺体Lのタイヤ1本分の個別サイズに相当するそれぞれの範囲毎に少なくとも1つの位置特定マーク3を付せばよいので、1つの範囲に複数の同じ位置特定マーク3を間隔をあけた位置に付してもよい。
位置特定マーク3は、これを付された位置を特定できればよいので、その仕様は特に限定されない。様々な文字、数字、記号、二次元コード、或いは、これらの組み合わせを位置特定マーク3として用いることができるが、位置特定マーク3を付した順番を示す追番を含めるとよい。位置特定マーク3は、特定マークリーダ6による読み取り精度を向上させるために、位置特定マーク3を付すタイヤ部材E1の色に対して目立つ色にすることが好ましい。タイヤ部材E1は黒色が多いので、黒色に対しては例えば、適度に視認し易い白系統色、黄系統色などの位置特定マーク3を用いる。
測定機4は、長尺体Lが製造された際に、位置特定マーク3を付したそれぞれの範囲での長尺体Lの所定の品質情報QLを測定する。品質情報QLの種類としては、例えば、長尺体Lの質量、温度、形状のうちの少なくとも1つが含まれる。測定する品質情報QLの種類に応じて、その品質情報QLの測定に適した公知の測定機4を用いることができる。したがって、複数種類の品質情報QLを測定する場合には、品質情報QLの種類数と同じ種類数の測定機4が用いられることもある。
記憶部5には、測定機4により測定された品質情報QLと、その品質情報QLを測定した範囲に付されている位置特定マーク3とが紐付けして記憶される。記憶部5としては、コンピュータ(コンピュータメモリ)が用いられる。
特定マークリーダ6は、タイヤ部材E1を含む様々なタイヤ部材Eを一体化させてグリーンタイヤGが成形される際に、使用されるタイヤ部材E1に付されている位置特定マーク3を読み取る。特定マークリーダ6は、長尺体Lが製造された際に、その表面に付された位置特定マーク3を読み取るためにも使用される。特定マークリーダ6としては、例えば、画像データを取得するデジタルカメラ等を備えた公知のスキャナ類を用いることができる。搬送移動されているタイヤ部材E1、長尺体Lに付されている位置特定マーク3を、特定マークリーダ6を用いて読み取ることができる。
識別ラベルリーダ7および識別ラベル8は、従来から使用されている公知の様々なものを使用することができる。したがって、識別ラベル8としては、バーコード、二次元コードなどが使用でき、識別ラベルリーダ7としては、これらを読み取る公知のスキャナ類を用いることができる。
記憶装置9には、タイヤTの固有情報DとこのタイヤTに付されている識別ラベル8とが紐付けて記憶される。記憶装置9としては、コンピュータサーバやコンピュータが用いられる。記憶装置9と記憶部5とを別々のコンピュータとして、互いを通信可能に構成することも、1つのコンピュータ(コンピュータサーバ)に記憶装置9と記憶部5とを設けた構成にすることもできる。
図2に例示するように、この管理システム1はタイヤ製造設備に適用される。このタイヤ製造設備は、混練機11と、押出機12と、ストック手段14と、成形機15と、加硫装置16とを備えている。タイヤ製造設備にはビード製造機など、その他の設備が備わるが図2では省略されている。
混練機11は、複数種類の原材料M(原料ゴム、各種配合剤)を混練して未加硫ゴムRを製造する。混練機11としてはバンバリーミキサなどが使用される。製造された未加硫ゴムRは、ベルトコンベヤなどの搬送機構13によって次工程の押出機12に投入される。
押出機12は、未加硫ゴムRを適度な粘度にして予め設定された断面形状に型付けして長尺体Lとして押出す。カレンダー装置によって未加硫ゴムRをシート状の長尺体Lを製造することも、未加硫ゴムRと多数本の引き揃えられた補強コードとを一体化させたシート状の長尺体Lを製造することもある。製造された長尺体Lは、ベルトコンベヤなどの搬送機構13によってストック手段14に搬送される。
ストック手段14は、長尺体Lを次工程で必要になる時まで一時的にストックする。ストック手段14としては例えば、長尺体Lをライナとともに巻き取る巻取りドラム装置が使用される。製造された長尺体Lが次工程で直ちに使用される押出・成形直結ラインなどの場合は、ストック手段14は不要になる。即ち、本発明は、長尺体Lを一旦、ストック手段14にストックする製造設備であっても、押出・成形直結ラインを備えた製造設備であっても適用することができる。
次いで、ストック手段14から繰り出された長尺体Lは、ベルトコンベヤなどの搬送機構13によって成形機15に搬送される。成形機15は、回転する成形ドラム15aを有していて、様々な種類のタイヤ部材E(トレッドゴム、サイドゴム、インナーライナ、カーカス材、ベルト材、ビードなど)が成形ドラム15a上で一体化されてグリーンタイヤGが成形される。長尺体Lは、成形機15に供給される前に例えば、搬送機構13上でカッター14aによって切断されてタイヤ1本分の個別単位のタイヤ部材E1に形成される。成形されたグリーンタイヤGには、そのグリーンタイヤGを他のグリーンタイヤGと識別できる識別ラベル8が付される。
加硫装置16は、グリーンタイヤGを加硫モールド17の中で加硫して所定形状に型付けされたタイヤTを製造する。製造されたタイヤTには、そのまま識別ラベル8が付されている。
図3、図4に例示するように、このタイヤ製造設備では、未加硫ゴムRが押出機12から押出されて長尺体Lとして製造された際に、長尺体Lの3種類の所定の品質情報QLが測定機4a、4b、4cによって測定される。長尺体Lの温度を検知する測定機4a、長尺体Lの形状を測定する測定機4b、長尺体Lの質量を測定する測定機4cが長尺体Lの搬送方向に順に配置されている。測定機4aと測定機4bとの間にマーク付与機2が配置され、測定機4cの下流側(図3、4では右側)に特定マークリーダ6が配置されている。それぞれの測定機4a、4b、4cおよびマーク付与機2の配列順序は特に限定されず、任意に設定することができる。特定マークリーダ6は、マーク付与機2の下流側に配置される。それぞれの測定機4a、4b、4cが、特定マークリーダ6の上流側に配置される構成にすることも、下流側に配置される構成にすることもできる。
長尺体Lの温度を検知する測定機4aとしては、公知の非接触型の温度センサなどを用いることができる。長尺体Lの形状を測定する測定機4bとしては、レーザ光などを長尺体Lの表面に照射、反射させて長尺体Lの表面形状(断面形状)を取得する非接触型の公知のプロファイルセンサなどを用いることができる。長尺体Lの質量を測定する測定機4cとしては、搬送機構13の下面に設置され、搬送されている長尺体Lの質量を連続的に測定できる公知の重量計などを用いることができる。
次に、管理システム1を用いた本発明のタイヤの管理方法の手順を、長尺体Lが、未加硫ゴムRが押出されて製造されたものである場合を例にして説明する。
図2に例示するように、混練機11によって製造された未加硫ゴムRを用いて、押出機12によって、所定のプロファイル形状に型付けされた長尺体Lを製造する。押出機12の口金から押出された長尺体Lは、前方に配置された搬送機構13によってストック手段14に搬送される。長尺体Lの搬送速度は常に制御装置によって把握されている。
図3、図4に例示するように、この搬送区間で、搬送されている長尺体Lの所定の品質情報QLが測定機4(4a、4b、4c)によって測定される。それぞれの測定機4によって測定された品質情報QLは、記憶部5に入力されて記憶される。搬送されている長尺体Lの表面には、マーク付与機2によって長尺体Lのタイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に順次、位置特定マーク3が付される。位置特定マーク3は、タイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲の長手方向中央部(搬送方向中央部)に付すとよい。特定マークリーダ6は、搬送されている長尺体Lに付されている位置特定マーク3を順次読み取り、その読み取った位置特定マーク3(表記情報)は記憶部5に入力されて記憶される。
それぞれの測定機4と特定マークリーダ6の配置(離間距離)は既知であり、長尺体Lの搬送速度も把握されている。したがって、特定マークリーダ6が読み取った位置特定マーク3が、それぞれの測定機4を通過した時刻は判明する。即ち、それぞれの位置特定マーク3が特定マークリーダ6によって読み取られた時点よりもどの程度前の時点で、その位置特定マーク3が付された範囲の品質情報QLがそれぞれの測定機4によって測定されているかが判明する。
そこで、図1に例示するように、記憶部5では、それぞれの位置特定マーク3を付した範囲で測定された長尺体Lの所定の品質情報QLと、それぞれの位置特定マーク3とが紐付けして記憶される。尚、特定マークリーダ6が測定機4よりも上流側に配置されている場合は、それぞれの位置特定マーク3が特定マークリーダ6によって読み取られた時点よりもどの程度後の時点で、その位置特定マーク3が付された範囲の品質情報QLがそれぞれの測定機4によって測定されているかが判明する。したがって、この場合も同様に、それぞれの位置特定マーク3を付した範囲で測定された長尺体Lの所定の品質情報QLと、それぞれの位置特定マーク3とが紐付けして記憶部5に記憶される。
次いで、図2に例示するように、ストック手段14に保管されていた長尺体Lは繰り出されて、前方に配置された搬送機構13によって成形機15に搬送される。この搬送区間では、カッター14aによって長尺体Lが切断されて、タイヤ1本分の個別サイズのタイヤ部材E1が形成される。形成されたそれぞれのタイヤ部材E1の表面には位置特定マーク3が付されている。
それぞれのタイヤ部材E1が成形機15で使用される際には、そのタイヤ部材E1に付されている位置特定マーク3が特定マークリーダ6によって読み取られる。成形機15にはタイヤ部材E1を含む様々なタイヤ部材Eが搬送されて、これらタイヤ部材Eが成形ドラム15a上で一体化されてグリーンタイヤGが成形される。
成形されるそれぞれのグリーンタイヤGには、別のグリーンタイヤGと識別するための識別ラベル8が付与されて貼り付けられる。それぞれの識別ラベル8(表記情報)は、記憶装置9に入力されて記憶される。また、記憶装置9には、それぞれのグリーンタイヤGの様々な固有情報Dがその識別ラベル8に紐付けられて記憶される。固有情報Dとしては、製造されるタイヤTの品番、サイズ、製造日時、製造場所、製造ロット、使用されているそれぞれのタイヤ部材Eの品番、加工条件、品質情報などを例示できる。
図1に例示するように、それぞれのグリーンタイヤGの成形に用いられたタイヤ部材E1の位置特定マーク3は、グリーンタイヤGを成形する際に特定マークリーダ6によって読み取られている。そこで、記憶部5に記憶されているその位置特定マーク3と、そのタイヤ部材E1が使用されたグリーンタイヤGに付された記憶装置9に記憶されている識別ラベル8とが紐付けされる。記憶部5に記憶されているそれぞれの位置特定マーク3は、測定された品質情報QLと紐付けされている。一方、記憶装置9に記憶されているそれぞれの識別ラベル8は、固有情報Dと紐付けされている。それ故、位置特定マーク3と識別ラベル8とを紐付けることで、その位置特定マーク3に紐付けされている品質情報QLを、その識別ラベル8が付されたグリーンタイヤG(タイヤT)の固有情報Dとして含めることができる。
次いで、図2に例示するように、識別ラベル8が付されたグリーンタイヤGは、加硫装置16によって加硫されることで加硫モールド17によって型付けされたタイヤTになる。この加硫済みタイヤTには識別ラベル8が付されている。
図5に例示するように、識別ラベル8を識別ラベルリーダ7によって読み取ることで、読み取った識別ラベル8(表記情報)が記憶装置9に入力される。記憶装置9には、識別ラベル8とそのタイヤTの固有情報Dとが紐付けされているので、入力された識別ラベル8に基づいて、紐付けされている固有情報Dを例えばモニタ10に表示させることができる。尚、グリーンタイヤGに付されている識別ラベル8を識別ラベルリーダ7によって読み取ることで、そのグリーンタイヤGに使用されているタイヤ部材E1の品質情報QLを、タイヤTが完成する加硫前の段階で把握することができる。
したがって本発明によれば、タイヤTに付されている識別ラベル8を識別ラベルリーダ7によって読み取ることで、長尺体Lが切断して製造されているタイヤ部材E1のその長尺体Lが製造された時点での品質情報QLをより高い精度で取得することができる。即ち、タイヤTの様々な固有情報Dとともに、タイヤ部材E1となる長尺体Lの製造時の品質情報QLを、タイヤ1本分の個別サイズ単位で、より高い精度で把握できる。
タイヤTの品質は、長尺体Lが製造された時点での長尺体Lの品質情報QLに影響を受けることがある。そのため、本発明を用いることで、タイヤ品質のトレーサビリィを向上させるに有利になる。また、本発明によれば、タイヤ品質が改善または悪化する要因を、タイヤ部材E1となる長尺体Lの製造時点に遡って分析できるので、タイヤ品質を改良するには大きく寄与する。
また、長尺体Lに過度に変形、変質した不良部分(例えば先端部や後端部など)が存在する場合、その不良部分を除去して長尺体Lをストック手段14にすることがある。このように不良部分を除去した場合であっても、ストックされた長尺体Lには、タイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に位置特定マークが付されている。そのため、このような長尺体Lを使用してグリーンタイヤGを成形し、タイヤTを製造しても、そのタイヤT(グリーンタイヤG)に付されている識別ラベル8を識別ラベルリーダ7によって読み取ることで、タイヤ部材E1となる長尺体Lの製造時の品質情報QLを、タイヤ1本分の個別サイズ単位で、より高い精度で把握できる。
長尺体Lの製造時の質量、温度、形状は、タイヤTの品質に比較的大きく影響するため、測定機4によって測定する品質情報QLとしては、これらの測定項目のうちの少なくとも1項目を含めることが好ましい。これら測定項目のうち、2項目または全項目を品質情報QLとして測定することがより好ましい。測定機4によって測定する長尺体Lの品質情報QLとしては、その他に任意に必要な項目を含めることができる。
長尺体Lは例えば、未加硫ゴムRが押出されて製造された部材、または、圧延されて製造された部材である。長尺体Lが未加硫Rのみで製造される場合、切断されて形成されるタイヤ部材E1としては、トレッドゴム、サイドゴム、インナーライナなどを例示できる。長尺体Lが未加硫ゴムRと補強コードとを複合して製造される場合、切断されて形成されるタイヤ部材E1としては、カーカス材、ベルト材などを例示できる。
グリーンタイヤGに使用された未加硫ゴムRの所定の品質情報QRを、そのグリーンタイヤGに付された識別ラベル8に紐付けて、記憶部5または記憶装置9に記憶することもできる。これにより、記憶した未加硫ゴムRの所定の品質情報QRを、そのグリーンタイヤGを加硫して製造されたタイヤTの固有情報Dとして含めることができる。未加硫ゴムRの所定の品質情報QRとしては、製造時の粘度、温度などのデータを例示できる。
長尺体Lのそれぞれの位置特定マーク3を付した範囲が製造された際の製造条件を、対応する位置特定マーク3と紐付けて、記憶部5または記憶装置9に記憶してもよい。即ち、長尺体Lの製造条件として、長尺体Lを押出す際の押出機12の押出圧力(ヘッド圧力)、押出速度などのデータをタイヤTの固有情報Dとして含めることができる。
また、グリーンタイヤGの成形条件およびグリーンタイヤGの加硫条件を、そのグリーンタイヤGに付された識別ラベル8に紐付けて記憶装置9に記憶することもできる。これにより、記憶した成形条件および加硫条件を、そのグリーンタイヤGを加硫して製造されたタイヤTの固有情報Dとして含めることができる。
この成形条件としては、そのグリーンタイヤGの成形に使用された成形機15の機番、成形時間、成形時刻、成形機15を操作した担当者名などのデータを例示できる。この加硫条件としては、そのグリーンタイヤGの加硫に使用された加硫装置16の機番、使用された加硫モールド17の固体番号および洗浄履歴、加硫時間、加硫時刻、加熱温度履歴、加圧圧力履歴、加硫装置16を操作した担当者名などのデータを例示できる。
このように、タイヤTの固有情報Dとして、そのタイヤTに使用されている長尺体Lの上述した品質情報QLを含めたそれぞれのタイヤ部材Eの品質情報、それぞれのタイヤ部材Eの製造条件、グリーンタイヤGの成形条件、加硫条件のデータを含めることが望ましい。これにより、タイヤTを製造する上流側から下流側までの一連の工程での品質情報および製造条件のデータを、そのタイヤTに付されている識別ラベル8を識別ラベルリーダ7によって読み取ることで、迅速かつ精度よく把握することが可能になる。これに伴い、タイヤ品質のトレーサビリティが一段と向上する。
本発明は空気入りタイヤに限らず、その他の種々のタイプのタイヤTを管理するために用いることができる。
1 管理システム
2 マーク付与機
3 位置特定マーク
4(4a、4b、4c) 測定機
5 記憶部
6 特定マークリーダ
7 識別ラベルリーダ
8 識別ラベル
9 記憶装置
10 モニタ
11 混練機
12 押出機
13 搬送機構
14 ストック手段
14a カッター
15 成形機
15a 成形ドラム
16 加硫装置
17 加硫モールド
G グリーンタイヤ
T 加硫済みタイヤ
L 長尺体
E(E1、E2、E3、E4、・・・) タイヤ部材
R 未加硫ゴム
M 原材料
D 固有情報
QL 長尺体の品質情報

Claims (7)

  1. 長尺体を切断してタイヤ1本分の個別サイズに形成されたタイヤ部材を含む複数種類のタイヤ部材を一体化してグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫することで製造されたタイヤの固有情報を、このタイヤに付されている識別ラベルと紐付けて記憶装置に記憶し、識別ラベルリーダによって前記識別ラベルを読み取ることで、前記固有情報を取得するタイヤの管理方法において、
    前記長尺体を製造した際に、前記長尺体のタイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に位置特定マークを付すとともに、それぞれの前記位置特定マークを付した範囲での前記長尺体の所定の品質情報を測定して、この測定した前記品質情報を前記位置特定マークと紐付けして記憶しておき、前記グリーンタイヤを成形する際に、使用される前記個別サイズに形成された前記タイヤ部材に付されている前記位置特定マークを読み取って前記位置特定マークに紐付けされている前記品質情報を、前記固有情報として含めることを特徴とするタイヤの管理方法。
  2. 前記品質情報として、前記長尺体の質量、温度、形状のうちの少なくとも1つが含まれる請求項1に記載のタイヤの管理方法。
  3. 前記長尺体が、未加硫ゴムが押出されて製造されたタイヤ部材、または、未加硫ゴムが圧延されて製造された部材である請求項1または2に記載のタイヤの管理方法。
  4. 前記未加硫ゴムの所定の品質情報を、前記固有情報として含める請求項3に記載のタイヤの管理方法。
  5. 前記長尺体のそれぞれの前記位置特定マークを付した範囲が製造された際の製造条件を、対応する前記位置特定マークと紐付けて記憶して、前記固有情報として含める請求項1~4のいずれかに記載のタイヤの管理方法。
  6. 前記グリーンタイヤの成形条件および前記グリーンタイヤの加硫条件を、前記固有情報として含める請求項1~5のいずれかに記載のタイヤの管理方法。
  7. 長尺体を切断してタイヤ1本分の個別サイズに形成されたタイヤ部材を含む複数種類のタイヤ部材を一体化したグリーンタイヤを加硫して製造されたタイヤの固有情報とこのタイヤに付されている識別ラベルとが紐付けて記憶される記憶装置と、前記識別ラベルを読み取ることにより前記固有情報を取得する識別ラベルリーダと、を備えたタイヤの管理システムにおいて、
    前記長尺体が製造された際に、前記長尺体のタイヤ1本分の個別サイズに相当する範囲毎に位置特定マークを付すマーク付与機と、前記位置特定マークを付した範囲での前記長尺体の所定の品質情報を測定する測定機と、前記測定機により測定された前記品質情報と前記位置特定マークとが紐付けして記憶される記憶部と、前記グリーンタイヤが成形される際に、使用される前記個別サイズに形成された前記タイヤ部材に付されている前記位置特定マークを読み取る特定マークリーダと、を有し、
    前記特定マークリーダによって前記位置特定マークを読み取ることにより、前記位置特定マークに紐付けされている前記品質情報が前記固有情報として含められる構成にしたことを特徴とするタイヤの管理システム。
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