JP7092179B2 - 衛生用品の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

本件は、搬送される帯状の抄造体から衛生用品を製造する方法および装置に関する。
従来、保湿剤や芳香剤といった薬剤が原紙に塗工された機能性の衛生用紙が知られている。たとえば、保湿性のティシュペーパが製品化されている。
このような衛生用紙を製造する方法の一つとして、下記の工程1~3を実施することが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
工程1:スラリーから帯状の原紙を抄造する
工程2:帯状の原紙を重ね合わせて薬剤を塗布した後に所定の幅方向寸法に裁断する
工程3:裁断された原紙を折り畳んで所定の搬送方向寸法に分断して包装する
上記の工程1では、パルプの懸濁したスラリーが帯状の湿紙に抄造され、この湿紙が乾燥ロール(いわゆるヤンキーロール)で乾燥される。乾燥された原紙は、乾燥ロールからこれに突き当てられたドクターブレードによって剥がされ、縮緬状の原紙(いわゆるクレープ原紙)となって巻取ロールに巻き取られる。そして、第一原反が製造される。
上記の工程2では、二つの第一原反が設置され、第一原反のそれぞれから繰り出された原紙が重ね合わせられる。その後、重ね合わせられた原紙に薬剤が塗布され、所定の幅方向寸法に裁断される。そして、巻取ロールに巻き取られて第二原反が製造される。
上記の工程3では、第二原反から繰り出された原紙が折り畳まれる。そして、所定の搬送方向寸法に分断され、ティシュ箱に包装される。
特許第4676564号公報
しかしながら、上述した製法のように、原紙に薬剤が塗布されてから、所定の幅方向寸法に原紙を裁断する工程,原紙を巻き取る工程,原紙を繰り出す工程といった種々の工程が実施されると、製品機能の低下や破損を招くおそれがある。
このように、薬剤が塗布された抄造体から製造される衛生用品は、品質を高めるうえで改善の余地がある。
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、衛生用品の品質向上を目的の一つとする。
ここで開示する衛生用品の製造方法では、テンション工程,塗布工程,エンボス付与工程が実施される。前記テンション工程では、クレープが形成されたシートを引っ張る。前記塗布工程では、前記テンション工程で引っ張られた前記シートに薬液を塗布する。前記エンボス付与工程では、前記塗布工程で前記薬液が塗布された前記シートにエンボスを付与する。さらに、前記エンボス付与工程で前記エンボスが付与された前記シートを、巻き取らずに積層し、折り畳む。
本件によれば、衛生用品の品質を向上させることができる。
ティシュペーパを製造する過程の概要を示す模式図である。 抄紙機を示す模式図である。 積層機を示す模式図である。 折畳機を示す模式図であり、(A)は(B)のX-X矢視図である。 ティシュペーパを製造する手順を示すフローチャートである。 折畳機の変形例を示す図である。
本件を実施するための形態を説明する。下記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。この実施形態の各構成は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
[I.一実施形態]
本実施形態の装置および方法によって製造される衛生用品は、抄造体である。
抄造体とは、繊維を用いて抄造された物である。この抄造体としては、パルプ繊維から抄造される紙や樹脂繊維から抄造される不織布が挙げられる。たとえば、抄造体には、ティシュペーパやペーパタオルなどの衛生用紙のほか衛生用不織布といった衛生用品が含まれる。
以下の実施形態では、上記した衛生用品の一例として、搬送される帯状の原紙(抄紙)から製造される枚葉状(シート状)のティシュペーパを挙げる。
なお、下記の実施形態では、原紙が搬送される方向(以下「搬送方向」と略称する)を基準に上流および下流を定める。また、原紙について、長手方向,幅方向,厚み方向の三方向を定める。長手方向は、原紙の延在面において帯状に延びる方向である。この長手方向は、搬送方向に沿う。幅方向は、原紙の延在面において長手方向に直交する方向である。厚み方向は、長手方向および幅方向の何れにも直交する方向である。
[1.製造装置]
ティシュペーパを製造する装置の構成を概説する。
図1に示すように、ティシュペーパの製造装置は、三つのパートP1,P2,P3に大別される。
第一パートP1では、図2に示す抄紙機1によって、帯状の原紙W(抄造体,シート)が抄造(抄紙)される。
第二パートP2では、図3に示す積層機3によって、第一パートP1で抄造された原紙Wどうしが重ね合わせられる。
なお、重ね合わせられた後の原紙Wについては、二層構造(いわゆる2プライ)であり、重ね合わせられる前の一層構造(いわゆる1プライ)の原紙Wとは構造が異なるものの、可読性に配慮して単に「原紙W」と称する。
第三パートP3では、図4に示す折畳機5によって、第二パートP2で重ね合わせられた原紙Wが折り畳まれる。
そして、所定の搬送方向寸法に原紙Wが分断される。このように分断されるまでの原紙Wは、張架された状態で搬送される。ここでいう「張架された状態」とは、搬送方向に沿う張力(テンション)が印加された状態かつロール間に架け渡された状態を意味する。原紙Wは、搬送時に印加された張力が保持された状態で保管もされる。これらより、抄造されてから分断されるまでの原紙Wは、張力が印加された状態が保持される。
第一パートP1において、抄造された原紙Wが巻き取られる。原紙Wは、第二パートP2に運搬される。そして、原紙Wが繰り出される。同様に、第二パートP2において、重ね合わせられた原紙Wが巻き取られる。原紙Wは、第三パートP3に運搬される。そして、原紙Wが繰り出される。
すなわち、第一パートP1の下流に第一巻取パート15(図2参照)が設けられ、第二パートP2の上流に第一繰出パート30(図3参照)が設けられる。また、第二パートP2の下流に第二巻取パート38(図3参照)が設けられ、第三パートP3の上流に第二繰出パート50(図4参照)が設けられる。さらに、第一パートP1と第二パートP2との間に第一運搬パートP12(第一運搬部)が設けられ、第二パートP2と第三パートP3との間に第二運搬パートP23(第二運搬部)が設けられる。
搬送される原紙Wは、第一パートP1および第二パートP2で巻き取られることにより張力が印加される。平たく言えば、第一パートP1および第二パートP2の巻き取りによって、原紙Wが搬送方向に沿って引っ張られる。
以下、抄紙機1,積層機3および折畳機5の各構成を述べる。
[1-1.抄紙機]
図2を参照して、抄紙機1の構成を詳述する。
抄紙機1は、原料から帯状の原紙Wを抄造するティシュマシンである。
抄紙機1には、原紙Wを抄造する抄紙パート10(抄造部)が設けられている。そのほか、抄紙パート10で抄造された原紙Wを巻き取る第一巻取パート15(第一巻取部)も設けられている。
抄紙パート10は、原料から湿った状態の原紙W(湿紙)を抄造するワイヤパート11,湿った状態の原紙Wから水分を圧搾するプレスパート12,水分が圧搾された原紙Wを乾燥させるドライヤパート13,乾燥した原紙Wの平滑度を高めるカレンダパート14に細別される。カレンダパート14によって平滑度の高められた原紙Wが第一巻取パート15で巻き取られる。
以下、抄紙機1の各パート11,12,13,14,15を製造工程順に説明する。
〈ワイヤパート〉
ワイヤパート11には、原紙Wの原料であるスラリーを射出するヘッドボックスHが設けられている。スラリーには、パルプ繊維の懸濁した原料液が用いられる。
ワイヤパート11には、フォーミングロールRTの外周に一部が巻き掛けられた二種のワイヤベルトBT,BCが設けられている。
ワイヤベルトBT,BCは、ベルト搬送ロールに巻き掛けられたメッシュ状の無端ベルトである。フォーミングワイヤベルトBTは、スラリーに対してフォーミングロールRT側とは反対側(外周側)に巻き掛けられ、搬送ワイヤベルトBCは、スラリーに対してフォーミングロールRT側(内周側)に巻き掛けられる。
フォーミングロールRTの外周においてワイヤベルトBT,BCどうしの間に射出されたスラリーが脱水されることにより、湿った状態の原紙Wが抄造される。
図2に示すように、ヘッドボックスHには、フォーミングワイヤベルトBT側(外周側)に第一原料液を射出する第一射出口HE1と、搬送ワイヤベルトBC側(内周側)に第二原料液を射出する第二射出口HE2とが設けられている。第二原料液よりも第一原料液のほうが懸濁するパルプの繊維長が短く設定される。
原紙Wは、搬送されるワイヤベルトBT,BC上で搬送される際にスラリーから抄造されるため、パルプが搬送方向に沿う配向をなす。そのため、原紙Wは、幅方向に沿っては裂けにくく長手方向に沿っては裂けやすい引き裂き強度の指向性をもつ。
原紙Wは、搬送ワイヤベルトBCによって、次のプレスパート12へ搬送される。
〈プレスパート〉
プレスパート12には、ベルト搬送ロールに巻き掛けられた吸水性の搬送ベルトBAが設けられている。搬送ベルトBAには、吸水性をもつ材料(たとえばフェルト)の無端ベルトが用いられる。
搬送ベルトBAのうち上流側の部位は、上記した搬送ワイヤベルトBCで搬送される原紙Wに対して付勢された状態に設けられる。
ベルト搬送ロールのうち、原紙Wに対して付勢する箇所の搬送ワイヤベルトBCが巻き掛けられるロールには、原紙Wを吸引するサクション機構MSの内蔵されたサクションロールRAが設けられている。サクションロールRAによって、原紙Wの搬送経路が搬送ワイヤベルトBC上から搬送ベルトBA上に切り替えられる。
原紙Wに対する搬送ワイヤベルトBCの付勢箇所において、原紙Wから水分が圧搾される。このようにして脱水された原紙Wは、搬送ベルトBAによって、次のドライヤパート13へ搬送される。
〈ドライヤパート〉
ドライヤパート13には、原紙Wを乾燥させる乾燥ロールRD(「ヤンキーロール」とも称される)が設けられている。
乾燥ロールRDには、搬送ベルトBAのうち下流側の部位が原紙Wを介して付勢されている。搬送ベルトBAで搬送された原紙Wは、回転する乾燥ロールRDの外周面上へ張り付くように移行する。乾燥ロールRDは、たとえば筒内に導入された蒸気によって筒面が加熱され、その筒面上の原紙Wを乾燥させる。
ドライヤパート13には、乾燥した原紙Wを乾燥ロールRDから剥離させるドクターブレードDDが設けられている。
ドクターブレードDDは、乾燥ロールRDの筒面に対して刃先が突き当てられた姿勢で配置される。ドクターブレードDDは、乾燥ロールRDから剥離する原紙Wにクレープ(縮緬状の皺)を付与する。原紙Wには、密に皺寄せられた箇所や疎に皺寄せられた箇所の混在したクレープが付与される。
乾燥ロールRDに対するドクターブレードDDの突き当て角度や剥離された原紙Wの搬送速度に応じて、原紙Wに付与されるクレープの状態が変化する。逆に言えば、ドクターブレードDDの突き当て角度や乾燥ロールRDから剥離された原紙Wの搬送速度を制御することにより、原紙Wに付与されるクレープの状態を調節することが可能である。
このようにして乾燥ロールRDから剥離された原紙Wは、次のカレンダパート14へ搬送される。
〈カレンダパート〉
カレンダパート14には、一対のカレンダロールRLが設けられている。カレンダロールRLは、原紙Wの搬送速度に応じた速度で回転し、搬送される原紙Wを挟み込んだ状態で互いに対向して配置される。カレンダロールRLどうしの間で原紙Wが厚み方向に圧縮される。
このようにしてカレンダ処理された原紙Wは、次の第一巻取パート15へ搬送される。
〈第一巻取パート〉
第一巻取パート15には、原紙Wを巻き取る第一巻取ロールRW1が設けられている。第一巻取ロールRW1に帯状の原紙Wが巻き取られて第一原反ロールWR1が製造される。第一巻取パート15は、原紙Wが引っ張られて巻き取られることから、第一テンションパート(第一テンション部)や第一張力印加パート(第一張力印加部)とも言える。
以下の説明では、半製品(中間体)の第一原反ロールWR1について、装置構造をなすロールとの混同を防ぐため、「第一原反ロールWR1」を「第一原反WR1」と略称する。
[1-2.積層機]
図3を参照して、積層機3の構成を詳述する。
積層機3は、原紙Wどうしを重ね合わせるプライマシンである。積層機3では、二つの第一原反WR1,WR1が設置され、第一原反WR1,WR1から繰り出された原紙Wどうしが積層される。すなわち、原紙Wが二層構造となる。
積層機3には、各第一原反WR1から原紙Wを繰り出す第一繰出パート30(第一繰出部)や原紙Wを巻き取る第二巻取パート38(第二巻取部)に加えて、第一繰出パート30で繰り出された原紙Wどうしを重ね合わせる積層パート32(積層部)が設けられている。積層機3には、積層パート32で重ね合わせられた二層の原紙Wどうしを係合させる係合パート35(係合部)が設けられ、係合された原紙Wを裁断する裁断パート36(裁断部)も設けられている。積層パート32と係合パート35との間には、カレンダパート33が設けられている。
以下、積層機3の各パート30,32,33,35,36,38を製造工程順に説明する。
〈第一繰出パート〉
第一繰出パート30では、それぞれに第一原反WR1の設置された二つの第一繰出ロールRU1,RU1が設けられ、第一繰出ロールRU1の第一原反WR1から各原紙Wが繰り出される。
このように繰り出された原紙Wは、次の積層パート32へ搬送される。
〈積層パート〉
積層パート32には、外周の一部に二つの原紙Wが重畳して巻き回される積層ロールRPが設けられている。積層ロールRPで二つの原紙Wが重ね合わせられる。
このように重ね合わせられた原紙Wについては、外側を向く二面のうち一方を第一面F1(一方の原紙Wの表面FF)とし、他方を第二面F2(他方の原紙Wの表面FF)とする。
上記のように積層された原紙Wは、次のカレンダパート33へ搬送される。
〈カレンダパート〉
カレンダパート33には、カレンダパート14と同様のカレンダロールRL1,RL2が二組設けられ、原紙Wに対して二段階にカレンダ処理を施す。
このようにカレンダ処理された原紙Wは、次の係合パート35へ搬送される。
〈係合パート〉
係合パート35には、原紙Wの一部を厚み方向に係合させる係合ロールRCが設けられている。係合ロールRCには、凸ロールRC1および受ロールRC2が設けられている。凸ロールRC1および受ロールRC2は、原紙Wの搬送速度に応じた速度で回転し、原紙Wを挟んで互いに対向して配置される。凸ロールRC1には、原紙Wのうち端縁に沿う箇所に対応して外周に凸部が設けられている。この凸部は、受ロールRC2の外周に突き当てられ、受け止められる。
凸ロールRC1の凸部が原紙Wを介して受ロールRC2の外周に突き当てられることにより、原紙Wが厚み方向に交絡した状態となる。言い換えれば、原紙Wの二層が互いに噛み込んだ状態となり、二層構造の層どうしが一体的に係合する。
受ロールRC2の外周が金属製であり、凸ロールRC1の凸部が原紙Wに対して受ロールRC2側に突出しにくい構造が採用されている。そのため、係合パート35で係合処理された原紙Wは、凸ロールRC1側の一部(たとえば搬送方向に沿う線状の部位)が凹設され、受ロールRC2側はほぼ平坦状をなす。このような係合構造は、「クリンパ」や「コンタクタエンボス」とも称され、両面に凹凸をもつエンボスとは構造的に相異する。
上記のように係合処理された原紙Wは、次の裁断パート36へ搬送される。
〈裁断パート〉
裁断パート36には、長手方向に沿って原紙Wを裁断するスリッタSが設けられている。スリッタSは、裁断箇所の幅方向位置に応じたさまざまな幅方向寸法に原紙Wを断裁することができる。たとえば、原紙Wに対して幅方向位置が調節可能に設けられた刃(カッタ)および刃受けロールがスリッタSに設けられる。
裁断パート36では、原紙Wの裁断寸法が所定の幅方向寸法に設定されている。
「所定の幅方向寸法」とは、折畳機5(図4参照)に設置される原紙Wの幅方向寸法を意味する。この幅方向寸法としては、完成したティシュペーパのうち端辺(長辺または短辺)の寸法(すなわち製品幅)やこの整数倍の寸法などが挙げられる。
このような幅方向寸法に裁断された各原紙Wは、次の第二巻取パート38へ搬送される。
〈第二巻取パート〉
第二巻取パート38には、第一巻取パート15と同様に、原紙Wを巻き取る第二巻取ロールRW2が設けられている。第二巻取ロールRW2に帯状の原紙Wが巻き取られて第二原反ロールWR2が製造される。第二巻取パート38では、第一巻取パート15と同様に、原紙Wが引っ張られつつ巻き取られることから、第二テンションパート(第二テンション部)や第二張力印加パート(第二張力印加部)とも言える。なお、第二原反ロールWR2についても、装置構造をなすロールとの混同を防ぐため、「第二原反WR2」と略称する。
[1-3.折畳機]
図4を参照して、折畳機5の構成を詳述する。
折畳機5は、原紙Wを折り畳むインターフォルダである。折畳機5には、いわゆるマルチスタンド方式のインターフォルダ(「多連機」とも称される)が採用されており、製品状態で包装される枚数(ティシュ箱に収容される枚数)に応じた多数の第二原反WR2が設置される。
折畳機5には、各第二原反WR2から原紙Wを繰り出す第二繰出パート50(第二繰出部)や原紙Wを折り畳む折畳パート54(折畳部)に加えて、第二繰出パート50で繰り出された後であって折畳パート54で折り畳まれる前の原紙Wに薬剤を塗布する塗布パート52(塗布部)が設けられている。折畳機5には、折畳パート54で折り畳まれた原紙Wを分断する分断パート56(分断部)および分断パート56で分断された原紙Wの包装パート58(包装部)も設けられている。
一台の第二繰出パート50には、二つの第二原反WR2が設置(たとえば並設)される。製品状態で包装される二枚で一組のティシュを製造する場合には、第二繰出パート50に設置される二つの第二原反WR2はそれぞれ二層構造であることから、一つの第二原反WR2からは一組(二枚の原紙Wが重なっている状態)のティシュが製造される。つまり、一台の第二繰出パート50から二組のティシュが製造される。すなわち、製品状態で包装されるティシュ(一箱のティシュ)における総組数の半数と同台数の第二繰出パート50が設置される。
塗布パート52および折畳パート54は、第二繰出パート50と同様に、多数の箇所に設けられる。一方、分断パート56および包装パート58は、折畳機5の下流において一箇所に設けられる。
以下、折畳機5の各パート50,52,54,56,58を製造工程順に説明する。
上流側のパート50,52,54については図4(A)を参照し、下流側のパート56,58については図4(B)を参照して詳述する。
〈第二繰出パート〉
第二繰出パート50では、第二原反WR2が設置された第二繰出ロールRU2が設けられ、第二繰出ロールRU2の第二原反WR2から原紙Wが繰り出される。
このように繰り出された原紙Wは、次の塗布パート52へ搬送(導出)される。
〈塗布パート〉
塗布パート52では、原紙Wに薬剤が塗布される。
この薬剤としては、保湿剤や芳香剤をはじめ、医療成分,清涼剤,顔料といったさまざまな液剤が挙げられる。たとえば、原紙Wの保湿機能を高める機能性の薬剤として、グリセリンやソルビトールが水溶した保湿液(薬液)が用いられる。
塗布パート52には、原紙Wの両面F1,F2をそれぞれ塗工する二つの塗布パート52A,52B(マルチ塗布部)が設けられている。原紙Wの第一面F1は、第一塗布パート52A(第一塗布部)によって塗工される。原紙Wの第二面F2は、第二塗布パート52B(第二塗布部)によって塗工される。
塗布パート52A,52Bでは、原紙Wに対する薬剤の塗布方向が同方向に設定される。言い換えれば、塗布パート52A,52Bは、所定方向から薬剤を原紙Wに塗布する。ここでは、薬剤塗布に関する所定方向として鉛直方向下側からとしたもの(すなわち下方からの薬剤の塗工)を例示する。
塗布パート52には原紙Wの向きを反転させる反転ローラRR1,RR2(面返し部)が設けられ、塗布パート52A,52Bのそれぞれで両面F1,F2が下方(一方向)を向き、上記した塗布を可能としている。
表裏反転ローラRR1は第二繰出パート50と第一塗布パート52Aとの間に配置され、裏表反転ローラRR2は第一塗布パート52Aと第二塗布パート52Bとの間に配置される。
図4(A)には、二つの表裏反転ローラRR1および二つの裏表反転ローラRR2を例示する。ただし、反転ローラRR1,RR2の設置数は、原紙Wの搬送経路や周囲の構成,要求仕様などに応じて設定すればよく、単数であっても三つ以上の複数であってもよい。
反転ローラRR1,RR2は、下記のように原紙Wの向きを反転させる。
表裏反転ローラRR1に進入する直前の原紙Wは、第一面F1が上方を向き、第二面F2が下方を向いている。つづいて、表裏反転ローラRR1によって両面F1,F2の向きが反転し、第一面F1が下方を向くとともに第二面F2が上方を向き、第一塗布パート52Aで下方から第一面F1に薬剤が塗布される。その後、裏表反転ローラRR2によって再び両面F1,F2の向きが反転し、第一面F1が上方を向くとともに第二面F2が下方を向き、第二塗布パート52Bで下方から第二面F2に薬剤が塗布される。
塗布パート52A,52Bには、版目(凹部)が周面に刻設されたグラビアロールRG1,RG2で塗工する方式(いわゆるグラビア方式)が用いられている。
第一塗布パート52Aにはオフセットグラビア方式の第一塗布機構M1Aが採用され、第二塗布パート52Bにはダイレクトグラビア方式の第二塗布機構M2Aが採用されている。
第一塗布機構M1Aは、オフセットロールRO1を介してグラビアロールRG1から原紙Wに薬剤を間接的に塗布するロールコータである。
第一塗布機構M1Aには、オフセットロールRO1(「転写ロール」とも称される)およびグラビアロールRG1に加えて、貯留された薬剤をグラビアロールRG1に供給する供給ロールRF1が設けられている。グラビアロールRG1に供給された薬剤のうち余剰分を掻き落とすドクターブレードDG1と原紙Wを介してグラビアロールRG1に対向して配置されたバックアップロールRB1(「圧着ロール」とも称される)とが設けられている。
グラビアロールRG1は、オフセットロールRO1と互いに当接した状態で配置される。オフセットロールRO1は、バックアップロールRB1との間に原紙Wを挟んで当接した状態で配置される。供給ロールRF1からグラビアロールRG1に供給された薬剤は、オフセットロールRO1に転写され、オフセットロールRO1からオフセットロールRO1とバックアップロールRB1との間を通過する原紙Wに対して塗布される。
第二塗布機構M2Aは、グラビアロールRG2から原紙Wに薬剤を直接的に塗布するロールコータである。
第二塗布機構M2Aには、オフセットロールRO1が設けられていない点を除いて第一塗布機構M1Aと同様に、グラビアロールRG2のほか、供給ロールRF2,ドクターブレードDG2,バックアップロールRB2が設けられている。
上記したように薬剤が塗布された原紙Wは、次のエンボス形成パート53へ搬送される。
〈エンボス形成パート〉
エンボス形成パート53には、原紙Wに凹凸を形成する一対のエンボスロールREが原紙Wを挟んで互いに対向して配置されている。エンボスロールREの周面には、原紙Wに形成される凹凸に対応する凸凹が刻設されている。
エンボス形成パート53では、エンボスロールREの凸凹が原紙Wに押し付けられて、原紙Wに凹凸が形成される。
エンボス形成パート53では、両面エンボス方式が採用され、第一面F1に凹凸を形成する第一エンボスロールRE1と、第二面F2に凹凸を形成する第二エンボスロールRE2とが設けられる。図4(A)に例示するように、原紙Wに凹凸が形成される箇所(エンボスロールRE1,RE2のニップ箇所)において、第一エンボスロールRE1の凸凹と第二エンボスロールRE2の凸凹とが互い違いに原紙Wを押し付ける両面エンボス方式が用いられている。
ただし、エンボスロールの凸凹のうち凸部どうしが突き合せられる両面エンボス方式を用いてもよく、一方のエンボスロールのみが凸凹をもつ片面エンボス方式を用いてもよい。片面エンボス方式では、他方のエンボスロールにゴムロールが用いられ、原紙の凹凸形成面とは反対の面にも凹凸が形成される。
エンボス形成パート53は、原紙Wに凹凸を形成してエンボスを付与することから、エンボス付与パート(エンボス付与部)とも言える。
上記したように凹凸が形成された原紙Wは、次の折畳パート54へ搬送される。
〈折畳パート〉
折畳パート54には、折畳機構として折板Pを用いて原紙Wを折り畳む機構(折板式,原紙Wの折畳形態はポップアップ方式)が採用されている。
折畳パート54には、原紙Wを折り畳む折板Pのほか、原紙Wの幅方向に交差して配置された傾斜ロールCRI1,CRI2や一組の原紙W,Wどうしを離間させる離間ロールCRS1,CRS2といった種々の搬送ロールが設けられている。
折畳パート54は、第一面F1が外側の状態であって第二面F2が内側の状態で原紙Wを折り畳み、折板Pによる折り目を原紙Wの搬送方向に沿って形成する。
上記したように折り畳まれた原紙Wは、並設された他の第二繰出パート50,塗布パート52,エンボス形成パート53および折畳パート54を経て折り畳まれた原紙Wと積み重ねられ、搬送ベルトBIによって、次の分断パート56へ搬送される。
〈分断パート〉
分断パート56には、幅方向に沿って原紙Wを裁断するカッタCが設けられている。このように裁断された原紙Wは、長手方向に亘る連続が分断される。このように分断されることで、原紙Wに対して印加されていた搬送方向に沿う張力が解除される。このことから、薬剤が塗布された原紙Wは、巻き取られずに、積層され、折り畳まれるものと言える。第一パートP1の第一巻取パート15,第二パートP2(パート30,32,33,35,36,38)第二運搬パートP23,第三パートP3の第二繰出パート50などの分断パート56よりも上流側は、原紙Wに印加された張力が保持されることから、張力保持パート(張力保持部)とも言える。
カッタCは、裁断タイミング(ここでは上下動の制御間隔)に応じてさまざまな搬送方向寸法に原紙Wを断裁することができる。たとえば、カッタCの裁断間隔が長いほど、裁断後に原紙Wが搬送される距離が延びることから、搬送方向寸法の長い原紙Wが切り分けられる。
分断パート56は、上述した裁断パート36の下流で原紙Wを裁断することから、第二裁断パートとも言える。逆に、裁断パート36は、第一裁断パートとも言える。
原紙Wの裁断寸法は、所定の搬送方向寸法に設定されている。
「所定の搬送方向寸法」とは、完成したティシュペーパのうち、上述した所定の幅方向寸法に裁断された端辺に対して直交する端辺の寸法を意味する。具体的に言えば、ティシュペーパのうち、ティシュ箱の長手方向に沿う端辺の長さとして設定された寸法が、所定の搬送方向寸法に設定される。
このように分断パート56で分断された原紙W(枚葉状の衛生用品)は、包装前のティシュペーパであり、次の包装パート58へ搬送される。
〈包装パート〉
包装パート58では、分断パート56で分断された原紙Wを包装用のカートン59(ティシュ箱)に収容する。
このように包装が完了すると、箱入りのティシュペーパが完成する。
[2.製造方法]
上述した製造装置を用いてティシュペーパを製造する方法を述べる。
本方法では、図5に示すように、はじめに、抄紙機1の製法に対応する第一工程(ステップS10およびS15)が実施される。それから、抄紙機1で巻き取られた第一原反WR1を積層機3へ運搬する第一運搬工程(ステップS20)が実施される。
その後、積層機3の製法に対応する第二工程(ステップS30~S38)が実施される。それから、積層機3で巻き取られた第二原反WR2を折畳機5へ運搬する第二運搬工程(ステップS40)が実施される。
このように、第一工程,第二工程および第三工程の工程間には、原反WR1,WR2を移動させる運搬工程が実施される。
そして、折畳機5の製法に対応する第三工程(ステップS50~S58)が実施される。
第一工程では、抄紙パート10の製法に対応する抄造工程(ステップS10)が実施される。この抄造工程では、原料のスラリーから湿った状態の原紙Wを乾燥させ、原紙Wにクレープが付与される。
そして、第一巻取パート15で原紙Wを巻き取る第一巻取工程(ステップS15)が実施される。この第一巻取工程は、第一巻取パート15の別称に倣って、第一テンション工程や第一張力印加工程とも言える。
第二工程では、第一繰出パート30で原紙Wを繰り出す第一繰出工程(ステップS30)が実施される。つづいて、積層パート32で原紙Wを重ね合わせる積層工程(ステップS32)が実施される。
それから、カレンダパート33で原紙Wをカレンダ処理した後に、係合パート35で原紙Wどうしを係合する係合工程(ステップS35)が実施される。その後、裁断パート36で原紙Wを所定の幅方向寸法に裁断する裁断工程(ステップS36)が実施される。
そして、第二巻取パート20で二層構造の原紙Wを巻き取る第二巻取工程(ステップS38)が実施される。この第二巻取工程は、第二巻取パート38の別称に倣って、第二テンション工程や第二張力印加工程とも言える。
第三工程では、第二繰出パート50で原紙Wを繰り出す第二繰出工程(ステップS50)が実施される。それから、塗布パート52で原紙Wに薬剤を塗布する塗布工程(ステップS52)が実施される。詳細には、原紙Wの両面F1,F2に薬剤を塗布するマルチ塗布工程(ステップS52)が実施される。
このマルチ塗布工程では、まず、表裏反転ローラRR1で原紙Wの向き反転させる第一面返し工程(ステップS522)が実施される。それから、第一塗布パート52Aで原紙Wの第一面F1に薬剤を塗布する第一塗布工程(ステップS524)が実施される。
その後、裏表反転ローラRR2で原紙Wの向きを再び反転させる第二面返し工程(ステップS526)が実施される。そして、第二塗布パート52Bで原紙Wの第二面F2に薬剤を塗布する第二塗布工程(ステップS528)が実施される。
第一塗布工程は、オフセットグラビア方式で薬剤を原紙Wに塗布することから、間接塗布工程とも言える。また、第二塗布工程は、ダイレクトグラビア方式で薬剤を原紙Wに塗布することから、直接塗布工程とも言える。これらの面返し工程は、薬剤を塗布する面を変更することから、面変更工程とも言える。
その後、エンボスロールREで原紙Wに凹凸を形成するエンボス形成工程(ステップS53)が実施される。このエンボス形成工程は、所定の幅方向寸法に裁断された原紙Wに凹凸を形成することから、「裁断後エンボス形成工程」とも言える。また、エンボス形成工程は、原紙Wに凹凸を形成してエンボスを付与することから、エンボス付与工程とも言える。
つづいて、折畳パート54で原紙Wを折り畳む折畳工程(ステップS54)が実施される。
その後、分断パート56で折り畳まれた原紙Wを所定の搬送方向寸法に分断する分断工程(ステップS56)が実施される。
このようにして、薬剤が塗布された原紙Wを巻き取ることなく、原紙Wの折り畳みや積層を実施する。
そして、原紙W(ティシュペーパ)をカートン59に包装する。
このような手順でティシュペーパが製造される。
[3.作用および効果]
本実施形態で開示するティシュペーパの製造方法および製造装置は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
以下、主に製法に関する作用および効果を述べる。
(1)積層機において原紙に薬剤を塗布する従来製法では、薬剤塗布から原紙の分断や包装までに巻取工程や繰出工程をはじめとした多数の工程が実施される。
これに対し、本製法では、積層機3よりも下流の折畳機5で原紙Wに薬剤を塗布する。そのため、原紙Wに薬剤が塗布されてから包装されるまでの工程数は、巻取工程や運搬工程,繰出工程が設定されていないことから、上記した従来製法の工程数よりも抑えられる。
よって、原紙Wが湿潤した状態かつ張力が印加された状態の期間が抑えられる。このようにして、原紙Wが伸びやすい期間が短縮される。そのため、原紙Wの厚み低下を抑えることができる。したがって、ティシュペーパの厚みを確保することができ、触感や風合いを高めることもできる。このように、ティシュペーパの品質を高めることができる。
従来、所定の幅方向寸法に裁断される前の原紙に薬剤を塗布する製法では、一種の薬剤を用いる限り、裁断された原紙のそれぞれに異なる薬剤を塗布することは困難である。仮に、原紙において裁断される各幅方向領域に薬剤を塗り分ければ、裁断後の原紙にそれぞれ異なる薬剤が塗布されるものの、薬剤を塗布する機構の複雑化を招く。
これに対し、本製法では、所定の幅方向寸法への裁断後に薬剤を原紙Wに塗布する。そのため、折畳機5ごとに種々の薬剤を使い分ければ、簡素な構成でティシュペーパにさまざまな機能をもたせることができる。
ここで、薬剤が塗布された原紙Wの物性を述べる。
原紙Wが薬剤塗布によって湿潤すると、クレープをなす縮緬状の皺が解され、水素結合力(分子間力)に低下によって繊維の交絡が弱まる。すなわち、原紙Wは、水分が浸透するにつれて徐々に伸びやすくなる物性をもつ。このような状態の原紙Wに対策しなければ、皺やヨレの発生を招く。
これに対し、本製法では、薬剤塗布によって繊維の交絡が弱化した原紙Wに対して、エンボス形成工程で凹凸が形成される。この凹凸によって原紙Wにおける繊維どうしの交絡が強化される。そのため、原紙Wに対する皺やヨレの発生を抑えることができる。また、エンボス形成工程で形成される凹凸で原紙Wが厚み方向に伸ばされることによっても、皺やヨレの発生を抑えることができる。よって、ティシュペーパの品質を高めることができる。
さらに、凹凸が形成される原紙Wの繊維交絡が弱化した状態であることから、塗布工程後に実施されるエンボス形成工程によれば、凹凸を明瞭に形成することができる。これにより、原紙Wの見栄えや原紙Wによる拭取性を高めることもできる。
そのほか、塗布工程によって湿潤した状態の原紙が巻き取られ、運搬され、繰り出される従来製法では、繊維の交絡が弱化した原紙に振動や擦れといった負荷がかかり、原紙の破損を招くおそれがある。これに対し、本製法では、巻取工程,運搬工程,繰出工程が塗布工程の前に設定されることから、原紙Wの破損を抑えることができる。
特に、原紙Wを引っ張りながら巻き取る巻取工程が塗布工程よりも上流に設定されるため、原紙Wの破損を確実に抑えることができる。逆に言えば、ここで開示する製造方法および製造装置は、第一工程(抄紙機1)や第二工程(積層機3)に塗布工程を設定するのではなく、これらよりも下流の第三工程(折畳機5)――原紙Wに対する張力の主な印加源となる巻取工程が設定されていない工程――に塗布工程を設定している。このように塗布工程を下流側に設定することにより、ティシュペーパの品質を高めることができる。
(2)第一塗布工程(間接塗布工程)にはオフセットグラビア方式が採用され、オフセットロールRO1を介して薬剤が原紙Wに塗布される。そのため、原紙Wにおいて外側に折り畳まれる第一面F1にグラビアロールRG1の版目が転写されにくい。そのため、良好な外観のティシュペーパを製造することができる。
また、第二塗布工程(直接塗布工程)にはダイレクトグラビア方式が採用され、ドクターブレードDG2の付設されたグラビアロールRG2から原紙Wに薬剤が直接的に塗布される。そのため、原紙Wに薬剤を確実に塗布することができる。
(5)上記したように、本製法の塗布工程には、原紙Wの両面F1,F2に薬剤を塗布するマルチ塗布工程が設定されることから、原紙Wに対する薬剤の塗布量を確保することができる。よって、ティシュペーパに対して付加する機能を高めることができる。
このマルチ塗布工程で両面F1,F2のそれぞれを塗工する第一塗布工程および第二塗布工程の間には、第二面返し工程が設定される。そのため、原紙Wに対する薬剤の塗布方向が一方向に限定された塗工方式を採用することができる。具体的には、下方から塗工するグラビア方式を第一塗布工程および第二塗布工程の双方に適用することができる。
(6)仮に、重ね合わせられた原紙の片面だけに薬剤が塗布された場合には、層どうしの伸張度合いの相異によって、原紙に皺やヨレを招くおそれがある。原紙の層どうしが係合されている場合には、更に大きな皺やヨレの発生が憂慮される。
これに対し、本製法では、係合処理された原紙Wの両面F1,F2に薬剤が塗布されることから、皺やヨレの発生を抑えることができる。この点からも、ティシュペーパの品質を確保することができる。
(7)抄造工程においてクレープが付与される原紙Wは、塗布工程の薬剤塗布による湿潤によって、クレープをなす縮緬状の皺が解される。このように伸張しやすい前提構造をもつ原紙Wに対して上述したように薬剤塗布およびエンボス形成を施すことにより、原紙Wの皺やヨレの発生を抑えることができる。
(8)本製造装置によっても、上述した作用および効果を得ることができる。
[II.その他]
最後に、その他の変形例について述べる。
グラビア方式の塗布パートには、少なくともグラビアロールが設けられていればよい。
薬剤の塗布方式には、上述したグラビア方式に限らず、キスコート方式やダイコート方式といった公知のロールコート方式を用いてもよい。更に言えば、ロールコート方式に限らず、原紙への薬剤噴霧や薬剤への原紙浸漬といった他の方式を用いてもよい。
薬剤の両面塗布に際して原紙を反転させる形態は、鉛直平面に直交する向きのままで原紙が反転する形態に限らず、原紙が種々の姿勢に変化する形態であってもよい。たとえば、幅方向に対して傾斜配置された反転ローラを用いて、原紙を捻るように反転させてもよい。
原紙は三層(3プライ)以上に重ね合わせられてもよい。反対に、積層工程を省略して一層のティシュペーパを製造してもよい。この場合には係合工程も省略される。
原紙に薬剤を塗布する塗布工程が裁断工程後に設定されていれば、抄造工程およびエンボス形成工程を除く他の工程は省略してもよい。たとえば、第二塗布工程を省略して片面塗工のティシュペーパを製造してもよい。この場合には、面返し工程も省略される。さらに、巻取工程,運搬工程,繰出工程を省略して、連続的にティシュペーパを製造してもよい。このようなインライン製法によれば、ティシュペーパの生産効率を高めることができる。
ワイヤパートには長網式,円網式といった他の方式を用いてもよく、ドライヤパートには多筒式(シリンダドライヤ)ロールを用いてもよい。
図6に示すように、ロータリ式のインターフォルダを折畳機5′に用いてもよい。この折畳機5′では、一組の原紙W′,W′が折り畳まれて積み重ねられ、原紙W′の幅方向に沿う折り目が形成される。このように一組の原紙W′,W′が設置される折畳機5′によれば、上述したマルチスタンド方式の折畳機5と比べて、塗布部の設置数を抑えることができ、装置コストを低減させることができる。
1 抄紙機
3 積層機
5,5′ 折畳機
10 抄紙パート(抄造部)
15 第一巻取パート(第一巻取部)
30 第一繰出パート(第一繰出部)
32 積層パート(積層部)
35 係合パート(係合部)
36 裁断パート(裁断部)
38 第二巻取パート(第二巻取部)
50 第二繰出パート(第二繰出部)
52 塗布パート(塗布部)
52A 第一塗布パート(第一塗布部)
52B 第二塗布パート(第二塗布部)
53 エンボス形成パート(エンボス形成部)
54 折畳パート(折畳部)
56 分断パート(分断部)
C カッタ
D ドクターブレード
G1 ドクターブレード
G2 ドクターブレード
F 表面
B 裏面
1 第一面
2 第二面
1A 第一塗布機構
2A 第二塗布機構
1 第一パート
2 第二パート
3 第三パート
12 第一運搬パート
23 第二運搬パート
C 係合ロール
D 乾燥ロール
E エンボスロール
E1 第一エンボスロール
E2 第二エンボスロール
G1,RG2 グラビアロール
O1 オフセットロール
P 積層ロール
R1 表裏反転ローラ
R2 裏表反転ローラ
T フォーミングロール
U1,RU2 繰出ロール
W1,RW2 巻取ロール
S スリッタ
W,W′ 原紙(抄造体)
R1 第一原反(ロール)
R2 第二原反(ロール)

Claims (1)

  1. クレープを有する原紙を抄造する抄造工程と、
    前記抄造工程で抄造された前記原紙を巻き取って第一原反ロールを製造する第一巻取工程と、
    前記第一巻取工程で製造された複数の前記第一原反ロールのそれぞれから繰り出された前記原紙を重ね合わせた積層原紙を巻き取って第二原反ロールを製造する第二巻取工程と、
    前記第一巻取工程と前記第二巻取工程との間に、前記積層原紙で重ね合わせられた前記原紙どうしを係合させる係合工程と、
    前記第二巻取工程で製造された前記第二原反ロールから繰り出された前記積層原紙に薬液を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で前記薬液が塗布された前記積層原紙にエンボスを付与するエンボス付与工程と、
    前記エンボス付与工程で前記エンボスが付与された前記積層原紙を巻き取らずに折り畳む折畳工程と、
    前記折畳工程で折り畳まれて積み重ねられた前記積層原紙を所定の搬送方向寸法に分断する分断工程と、を備え、
    前記塗布工程は、前記積層原紙の両面に前記薬液を塗布し、
    前記エンボス付与工程は、前記積層原紙の第一面に凹凸を形成する第一エンボスロールと、前記積層原紙の第二面に凹凸を形成する第二エンボスロールとにより、前記積層原紙の前記第一面に形成される前記凹凸に対応する前記第一エンボスロールの凸凹と前記積層原紙の前記第二面に形成される前記凹凸に対応する前記第二エンボスロールの凸凹とが互い違いに前記積層原紙に押し付けられて前記積層原紙に両面エンボスを形成する、
    衛生用品の製造方法
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