JP6801575B2 - 塗工装置、衛生用品の製造装置、塗工方法、および、衛生用品の製造方法 - Google Patents
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Description
(2)前記被塗工シートが、衛生用の抄造体であることが好ましい。
(3)ここで開示する衛生用品の製造装置は、張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する。本製造装置は、前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布部を備えている。また、前記塗布部が、前記塗工装置であって、前記薬剤を前記液剤として前記抄造体に塗布する。
[I.第1実施形態]
抄造体とは、繊維を用いて抄造された物である。この抄造体としては、パルプ繊維から抄造される紙や樹脂繊維から抄造される不織布が挙げられる。たとえば、抄造体には、ティシュペーパやペーパタオルなどの衛生用紙のほか衛生用不織布といった衛生用品が含まれる。
なお、下記の実施形態では、原紙が搬送される方向(以下「搬送方向」と略称する)を基準に上流および下流を定める。また、原紙について、長手方向,幅方向,厚み方向の三方向を定める。長手方向は、原紙の延在面において帯状に延びる方向である。この長手方向は、搬送方向に沿う。幅方向は、原紙の延在面において長手方向に直交する方向である。厚み方向は、長手方向および幅方向の何れにも直交する方向である。
なお、本実施形態の構成の説明では、各実施形態に共通またはほぼ共通な製造装置の構成について説明し、その後、本実施形態に係る塗工装置について説明する。
ティシュペーパを製造する装置の構成を概説する。
図1に示すように、ティシュペーパの製造装置は、三つのパートP1,P2,P3に大別される。
第一パートP1では、図2に示す抄紙機1によって、帯状の原紙W(抄造体,シート)が抄造(抄紙)される。
なお、重ね合わせられた後の原紙Wについては、二層構造(いわゆる2プライ)であり、重ね合わせられる前の一層構造(いわゆる1プライ)の原紙Wとは構造が異なるものの、可読性に配慮して単に「原紙W」と称する。
そして、所定の搬送方向寸法に原紙Wが分断される。このように分断されるまでの原紙Wは、張架された状態で搬送される。ここでいう「張架された状態」とは、搬送方向に沿う張力(テンション)が印加された状態かつロール間に架け渡された状態を意味する。原紙Wは、搬送時に印加された張力が保持された状態で保管もされる。これらより、抄造されてから分断されるまでの原紙Wは、張力が印加された状態が保持される。
以下、抄紙機1,積層機3および折畳機5の各構成を述べる。
図2を参照して、抄紙機1の構成を詳述する。
抄紙機1は、原料から帯状の原紙Wを抄造するティシュマシンである。
抄紙機1には、原紙Wを抄造する抄紙パート10(抄造部)が設けられている。そのほか、抄紙パート10で抄造された原紙Wを巻き取る第一巻取パート15(第一巻取部)も設けられている。
以下、抄紙機1の各パート11,12,13,14,15を製造工程順に説明する。
ワイヤパート11には、原紙Wの原料であるスラリーを射出するヘッドボックスHが設けられている。スラリーには、パルプ繊維の懸濁した原料液が用いられる。
このワイヤパート11には、フォーミングロールRTの外周に一部が巻き掛けられた二種のワイヤベルトBT,BCが設けられている。
フォーミングロールRTの外周においてワイヤベルトBT,BCどうしの間に射出されたスラリーが脱水されることにより、湿った状態の原紙Wが抄造される。
原紙Wは、搬送ワイヤベルトBCによって、次のプレスパート12へ搬送される。
プレスパート12には、ベルト搬送ロールに巻き掛けられた吸水性の搬送ベルトBAが設けられている。搬送ベルトBAには、吸水性をもつ材料(たとえばフェルト)の無端ベルトが用いられる。
搬送ベルトBAのうち上流側の部位は、上記した搬送ワイヤベルトBCで搬送される原紙Wに対して付勢された状態に設けられる。
原紙Wに対する搬送ワイヤベルトBCの付勢箇所において、原紙Wから水分が圧搾される。このようにして脱水された原紙Wは、搬送ベルトBAによって、次のドライヤパート13へ搬送される。
ドライヤパート13には、原紙Wを乾燥させる乾燥ロールRD(「ヤンキーロール」とも称される)が設けられている。
乾燥ロールRDには、搬送ベルトBAのうち下流側の部位が原紙Wを介して付勢されている。搬送ベルトBAで搬送された原紙Wは、回転する乾燥ロールRDの外周面上へ張り付くように移行する。乾燥ロールRDは、たとえば筒内に導入された蒸気によって筒面が加熱され、その筒面上の原紙Wを乾燥させる。
ドクターブレードDDは、乾燥ロールRDの筒面に対して刃先が突き当てられた姿勢で配置される。ドクターブレードDDは、乾燥ロールRDから剥離する原紙Wにクレープ(縮緬状の皺)を付与する。原紙Wには、密に皺寄せられた箇所や疎に皺寄せられた箇所の混在したクレープが付与される。
このようにして乾燥ロールRDから剥離された原紙Wは、次のカレンダパート14へ搬送される。
カレンダパート14には、一対のカレンダロールRLが設けられている。カレンダロールRLは、原紙Wの搬送速度に応じた速度で回転し、搬送される原紙Wを挟み込んだ状態で互いに対向して配置される。カレンダロールRLどうしの間で原紙Wが厚み方向に圧縮される。
このようにしてカレンダ処理された原紙Wは、次の第一巻取パート15へ搬送される。
第一巻取パート15には、原紙Wを巻き取る第一巻取ロールRW1が設けられている。第一巻取ロールRW1に帯状の原紙Wが巻き取られて第一原反ロールWR1が製造される。第一巻取パート15は、原紙Wが引っ張られて巻き取られることから、第一テンションパート(第一テンション部)や第一張力印加パート(第一張力印加部)とも言える。
以下の説明では、半製品(中間体)の第一原反ロールWR1について、装置構造をなすロールとの混同を防ぐため、「第一原反ロールWR1」を「第一原反WR1」と略称する。
図3を参照して、積層機3の構成を詳述する。
積層機3は、原紙Wどうしを重ね合わせるプライマシンである。積層機3では、二つの第一原反WR1,WR1が設置され、第一原反WR1,WR1から繰り出された原紙Wどうしが積層される。すなわち、原紙Wが二層構造となる。
以下、積層機3の各パート30,32,33,35,36,37,38を製造工程順に説明する。
第一繰出パート30では、それぞれに第一原反WR1の設置された二つの第一繰出ロールRU1,RU1が設けられ、第一繰出ロールRU1の第一原反WR1から各原紙Wが繰り出される。
このように繰り出された原紙Wは、次の積層パート32へ搬送される。
積層パート32には、外周の一部に二つの原紙Wが重畳して巻き回される積層ロールRPが設けられている。積層ロールRPで二つの原紙Wが重ね合わせられる。
このように重ね合わせられた原紙Wについては、外側を向く二面のうち一方を第一面F1(一方の原紙Wの表面FF)とし、他方を第二面F2(他方の原紙Wの表面FF)とする。
上記のように積層された原紙Wは、次のカレンダパート33へ搬送される。
カレンダパート33には、カレンダパート14と同様に、カレンダロールRL1,RL2が二組設けられ、原紙Wに対して二段階にカレンダ処理を施す。
このようにカレンダ処理された原紙Wは、次の係合パート35へ搬送される。
係合パート35には、原紙Wの一部を厚み方向に係合させる係合ロールRCが設けられている。係合ロールRCには、凸ロールRC1および受ロールRC2が設けられている。凸ロールRC1および受ロールRC2は、原紙Wの搬送速度に応じた速度で回転し、原紙Wを挟んで互いに対向して配置される。凸ロールRC1には、原紙Wのうち端縁に沿う箇所に対応して外周に凸部が設けられている。この凸部は、受ロールRC2の外周に突き当てられ、受け止められる。
受ロールRC2の外周が金属製であり、凸ロールRC1の凸部が原紙Wに対して受ロールRC2側に突出しにくい構造が採用されている。そのため、係合パート35で係合処理された原紙Wは、凸ロールRC1側の一部(たとえば搬送方向に沿う線状の部位)が凹設され、受ロールRC2側はほぼ平坦状をなす。このような係合構造は、「クリンパ」や「コンタクタエンボス」とも称され、両面に凹凸をもつエンボスとは構造的に相異する。
上記のように係合処理された原紙Wは、次の裁断パート36へ搬送される。
裁断パート36には、長手方向に沿って原紙Wを裁断するスリッタSが設けられている。スリッタSは、裁断箇所の幅方向位置に応じたさまざまな幅方向寸法に原紙Wを断裁することができる。たとえば、原紙Wに対して幅方向位置が調節可能に設けられた刃(カッタ)および刃受けロールがスリッタSに設けられる。
「所定の幅方向寸法」とは、折畳機5(図4参照)に設置される原紙Wの幅方向寸法を意味する。この幅方向寸法としては、完成したティシュペーパのうち端辺(長辺または短辺)の寸法(すなわち製品幅)やこの整数倍の寸法などが挙げられる。
このような幅方向寸法に裁断された各原紙Wは、次の湿潤パート37へ搬送される。
湿潤パート37には、原紙Wを湿潤させる装置が設けられている。この湿潤装置として、ここでは(図3には)原紙Wの両面F1,F2に水を吹き付ける噴霧器A1,A2(マルチ湿潤部)を例示する。詳細には、原紙Wの第一面F1に水分を含有させる第一噴霧器A1と、原紙Wの第二面F2に水分を含有させる第二噴霧器A2とが設けられている。
湿潤パート37は、上記したように水を原紙Wに含有させて湿潤度合いを増加させることから、加湿パート(加湿部)とも言える。
このようにして含水した原紙Wは、次の第二巻取パート38へ搬送される。
第二巻取パート38には、第一巻取パート15と同様に、原紙Wを巻き取る第二巻取ロールRW2が設けられている。第二巻取ロールRW2に帯状の原紙Wが巻き取られて第二原反ロールWR2が製造される。第二巻取パート38では、第一巻取パート15と同様に、原紙Wが引っ張られつつ巻き取られることから、第二テンションパート(第二テンション部)や第二張力印加パート(第二張力印加部)とも言える。なお、この第二原反ロールWR2についても、装置構造をなすロールとの混同を防ぐため、「第二原反WR2」と略称する。
図4を参照して、折畳機5の構成を詳述する。
折畳機5は、原紙Wを折り畳むインターフォルダである。この折畳機5には、いわゆるマルチスタンド方式のインターフォルダ(「多連機」とも称される)が採用されており、製品状態で包装される枚数(ティシュ箱に収容される枚数)に応じた多数の第二原反WR2が設置される。
エンボス形成パート51,塗布パート52および折畳パート54は、第二繰出パート50と同様に、多数の箇所に設けられる。一方、分断パート56および包装パート58は、折畳機5の下流において一箇所に設けられる。
上流側のパート50,51,52,54については図4(A)を参照し、下流側のパート56,58については図4(B)を参照して詳述する。
第二繰出パート50では、第二原反WR2が設置された第二繰出ロールRU2が設けられ、第二繰出ロールRU2の第二原反WR2から原紙Wが繰り出される。
このように繰り出された原紙Wは、次のエンボス形成パート51へ搬送(導出)される。
エンボス形成パート51は、所定の幅方向寸法に裁断された原紙Wに凹凸を形成する(このことからエンボス形成パート51は「裁断後エンボス形成部」とも言える)。
エンボス形成パート51には、原紙Wに凹凸を形成する一対のエンボスロールREが原紙Wを挟んで互いに対向して配置されている。エンボスロールREの周面には、原紙Wに形成される凹凸に対応する凸凹が刻設されている。
エンボス形成パート51では、エンボスロールREの凸凹が原紙Wに押し付けられて、原紙Wに凹凸が形成される。
エンボス形成パート51は、原紙Wに凹凸を形成してエンボスを付与することから、エンボス付与パート(エンボス付与部)とも言える。
上記したように凹凸が形成された原紙Wは、次の塗布パート52へ搬送される。
塗布パート52では、原紙Wに薬剤が塗布される。
この薬剤としては、保湿剤や芳香剤をはじめ、医療成分,清涼剤,顔料といったさまざまな液剤が挙げられる。たとえば、原紙Wの保湿機能を高める機能性の薬剤として、グリセリンやソルビトールが水溶した保湿液(薬剤)が用いられる。
塗布パート52A,52Bでは、原紙Wに対する薬剤の塗布方向が同方向に設定される。言い換えれば、塗布パート52A,52Bは、所定方向から薬剤を原紙Wに塗布する。ここでは、薬剤塗布に関する所定方向として鉛直方向下側からとしたもの(すなわち下方からの薬剤の塗工)を例示する。
表裏反転ローラRR1は第二繰出パート50と第一塗布パート52Aとの間に配置され、裏表反転ローラRR2は第一塗布パート52Aと第二塗布パート52Bとの間に配置される。
図4(A)には、二つの表裏反転ローラRR1および二つの裏表反転ローラRR2を例示する。ただし、反転ローラRR1,RR2の設置数は、原紙Wの搬送経路や周囲の構成,要求仕様などに応じて設定すればよく、単数であっても三つ以上の複数であってもよい。
表裏反転ローラRR1に進入する直前の原紙Wは、第一面F1が上方を向き、第二面F2が下方を向いている。つづいて、表裏反転ローラRR1によって両面F1,F2の向きが反転し、第一面F1が下方を向くとともに第二面F2が上方を向き、第一塗布パート52Aで下方から第一面F1に薬剤が塗布される。その後、裏表反転ローラRR2によって再び両面F1,F2の向きが反転し、第一面F1が上方を向くとともに第二面F2が下方を向き、第二塗布パート52Bで下方から第二面F2に薬剤が塗布される。
上記したように薬剤が塗布された原紙Wは、次の折畳パート54へ搬送される。
折畳パート54には、折畳機構として折板Pを用いて原紙Wを折り畳む機構(折板式、原紙Wの折畳形態はポップアップ方式)が採用されている。
折畳パート54には、原紙Wを折り畳む折板Pのほか、原紙Wの幅方向に交差して配置された傾斜ロールCRI1,CRI2や一組の原紙W,Wどうしを離間させる離間ロールCRS1,CRS2といった種々の搬送ロールが設けられている。
上記したように折り畳まれた原紙Wは、並設された他の第二繰出パート50,エンボス形成パート51,塗布パート52および折畳パート54を経て折り畳まれた原紙Wと積み重ねられ、搬送ベルトBIによって、次の分断パート56へ搬送される。
分断パート56には、幅方向に沿って原紙Wを裁断するカッタCが設けられている。このように裁断された原紙Wは、長手方向に亘る連続が分断される。このように分断されることで、原紙Wに対して印加されていた搬送方向に沿う張力が解除される。このことから、薬剤が塗布された原紙Wは、巻き取られずに、積層され、折り畳まれるものと言える。第一パートP1の第一巻取パート15,第二パートP2(パート30,32,33,35,36,38)第二運搬パートP23,第三パートP3の第二繰出パート50などの分断パート56よりも上流側は、原紙Wに印加された張力が保持されることから、張力保持パート(張力保持部)とも言える。
分断パート56は、上述した裁断パート36の下流で原紙Wを裁断することから、第二裁断パートとも言える。逆に、裁断パート36は、第一裁断パートとも言える。
「所定の搬送方向寸法」とは、完成したティシュペーパのうち、上述した所定の幅方向寸法に裁断された端辺に対して直交する端辺の寸法を意味する。具体的に言えば、ティシュペーパのうち、ティシュ箱の長手方向に沿う端辺の長さとして設定された寸法が、所定の搬送方向寸法に設定される。
このように分断パート56で分断された原紙W(枚葉状の衛生用品)は、包装前のティシュペーパであり、次の包装パート58へ搬送される。
包装パート58では、分断パート56で分断された原紙Wを包装用のカートン59(ティシュ箱)に収容する。
このように包装が完了すると、箱入りのティシュペーパが完成する。
塗布パート52の詳細構成を説明する。
図4(A)に示すように、各塗布パート52A,52Bにはそれぞれ、被塗工シートである原紙Wを搬送する反転ローラRR1,RR2を備えた搬送部520Mに加えて、液状の薬剤(塗工剤)を泡状にする泡生成部521と、泡生成部521により生成された泡状の薬剤を、搬送部520Mを搬送される原紙Wに塗布する塗布部522とを備えた塗工装置520が装備されている。
本実施形態の塗工装置520は、塗布部522よりも下流に、原紙Wに残存する薬剤の泡を消す消泡部524をさらに備えている。
泡生成部521は、薬剤CLを液状から泡状(泡状薬剤)CFに生成するが、ここでは、図7に示すように、泡生成部521は、液状薬剤CLを貯留する容器521aと、容器521a内に貯留された液状薬剤CLに気体(ここでは、空気とする)を吹き込むエアノズル521bとを備え、液状薬剤CLに空気を吹き込むことで薬剤CLを液状から泡状CFにする。
上述した製造装置を用いてティシュペーパを製造する方法を述べる。
本方法では、図5に示すように、はじめに、抄紙機1の製法に対応する第一工程(ステップS10およびS15)が実施される。それから、抄紙機1で巻き取られた第一原反WR1を積層機3へ運搬する第一運搬工程(ステップS20)が実施される。
その後、積層機3の製法に対応する第二工程(ステップS30〜S38)が実施される。それから、積層機3で巻き取られた第二原反WR2を折畳機5へ運搬する第二運搬工程(ステップS40)が実施される。
このように、第一工程,第二工程および第三工程の工程間には、原反WR1,WR2を移動させる運搬工程が実施される。
そして、折畳機5の製法に対応する第三工程(ステップS50〜S58)が実施される。
そして、第一巻取パート15で原紙Wを巻き取る第一巻取工程(ステップS15)が実施される。この第一巻取工程は、第一巻取パート15の別称に倣って、第一テンション工程や第一張力印加工程とも言える。
それから、カレンダパート33で原紙Wをカレンダ処理した後に、係合パート35で原紙Wどうしを係合する係合工程(ステップS35)が実施される。その後、裁断パート36で原紙Wを所定の幅方向寸法に裁断する裁断工程(ステップS36)が実施される。
そして、第二巻取パート20で二層構造の原紙Wを巻き取る第二巻取工程(ステップS38)が実施される。この第二巻取工程は、第二巻取パート38の別称に倣って、「第二テンション工程」や「第二張力印加工程」とも言える。
このマルチ塗布工程では、まず、表裏反転ローラRR1で原紙Wの向き反転させる第一面返し工程(ステップS522)が実施される。それから、第一塗布パート52Aで原紙Wの第一面F1に薬剤を塗布する第一塗布工程(ステップS524)が実施される。
なお、第一面返し工程および第二面返し工程は、薬剤を塗布する面を変更することから、面変更工程とも言える。
その後、分断パート56で折り畳まれた原紙Wを所定の搬送方向寸法に分断する分断工程(ステップS56)が実施される。
このようにして、薬剤が塗布された原紙Wを巻き取ることなく、原紙Wの折り畳みや積層を実施する。
このような手順でティシュペーパが製造される。
[3−1.塗工装置]
本実施形態で開示する塗工装置520は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
したがって、特に装置を大型化することなく、省スペース化を図りながら塗布量の調整を容易にすることができる。
なお、泡状薬剤CFの性状によっては滴下するおそれが極めて少ないものも想定できるので、この場合には、泡状薬剤CFを原紙Wに上方から塗布してもよく、この場合、原紙Wの上下両方から同時に、あるいは、搬送方向にずらせて泡状薬剤CFを原紙Wに塗布することができ、原紙Wの反転操作が不要になる。
なお、本実施形態の塗布ロール522Rは、特に前記搬送部520Mにおいて、原紙Wを所定の搬送経路に案内するガイドロールではないが、塗布ロール522Rとガイドロールとを兼用させるようにすれば、構成を簡素化できる。
また、塗布ロール522Rの反対側にカウンタロールを配置して、原紙Wを塗布ロール522Rとカウンタロールとの間を通過させながら泡状薬剤CFを原紙Wに塗布してもよい。この場合、塗布量をより安定させることができる。
本実施形態で開示するティシュペーパの製造方法および製造装置は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
(1)
積層機において原紙に薬剤を塗布する従来製法では、薬剤塗布から原紙の分断や包装までに巻取工程や繰出工程をはじめとした多数の工程が実施される。
よって、原紙Wが湿潤した状態かつ張力が印加された状態の期間が抑えられる。このようにして、原紙Wが伸びやすい期間が短縮される。そのため、原紙Wの厚み低下を抑えることができる。したがって、ティシュペーパの厚みを確保することができ、触感や風合いを高めることもできる。このように、ティシュペーパの品質を高めることができる。
これに対し、本製法では、所定の幅方向寸法への裁断後に薬剤を原紙Wに塗布する。そのため、折畳機5ごとに種々の薬剤を使い分ければ、簡素な構成でティシュペーパにさまざまな機能をもたせることができる。
原紙Wが湿潤すると、クレープをなす縮緬状の皺が解され、水素結合力(分子間力)に低下によって繊維の交絡が弱まる。すなわち、原紙Wは、水分が浸透するにつれて徐々に伸びやすくなる物性をもつ。薬剤の水分が原紙Wに浸透することによっても、上記のように原紙Wが経時的に伸張しやすくなる状態が引き起こされる。
(2)本製法では、原紙Wに対して両面F1,F2を湿潤させるため、薬剤の塗布される原紙Wを予め確実に伸張させることができる。そのため、原紙Wに対する皺やヨレの発生を確実に抑えることができる。
このマルチ塗布工程で両面F1,F2のそれぞれを塗工する第一塗布工程および第二塗布工程の間には、第二面返し工程が設定される。そのため、原紙Wに対する薬剤の塗布方向が一方向に限定された塗工方式を採用することができる。具体的には、下方から塗工する方式を第一塗布工程および第二塗布工程の双方に適用することができる。
これに対し、本製法では、係合処理された原紙Wの両面F1,F2に対して、湿潤工程で湿潤処理が実施され、塗布工程で塗布処理が実施されることから、皺やヨレの発生を抑えることができる。この点からも、ティシュペーパの品質を確保することができる。
(7)本製造装置によっても、上述した作用および効果を得ることができる。
次に、第2実施形態を説明する。本実施形態は、塗工装置530の塗布部532が第1実施形態の塗工装置520の塗布部522と異なっている。泡生成部521および泡供給路523については第1実施形態のものと同様に構成される。そこで、本実施形態の塗工装置530の特徴点を、図10〜図12を参照して説明する。
内側の中空ロール533は、中空内部533hと、中空内部533hから中空ロール533のロール周面(外周)533cに開口するように連通する1本のスリット(連通孔)533aとを有している。スリット(連通孔)533aは、ロール周面533cの母線方向(軸方向)に延びて形成されている。
なお、スリット533aの近傍には、図示しない駆動装置で周方向に微小駆動されて、スリット533aの開度を調整する開度調整部材533bが装備されている。
なお、本実施形態においても、必要であれば塗布部532の下流にたとえば第1実施形態に示したような消泡部524を装備することができる。
次に、第3実施形態を説明する。本実施形態は、塗工装置540の塗布部が第1,2実施形態の塗工装置520,530の塗布部522,532と異なっている。泡生成部521および泡供給路523については第1実施形態のものと同様またはほぼ同様に構成される。そこで、本実施形態の塗工装置540の特徴点を、図13を参照して説明する。
原紙Wは、その両面F1,F2が同時に貯留槽542の内部542aで泡状薬剤CFが塗布されるため、原紙Wを反転させる必要がなく、塗布パート52をより簡素に構成することができる。たとえば、ガイドロール543の上流側のガイドロールRg1を塗布パート52の入口に配置し、ガイドロール543の下流側のガイドロールRg2を塗布パート52の出口に配置すれば、塗布パート52のガイドロールはこれら3個のみで構成できる。
最後に、その他の変形例について述べる。
第二工程の湿潤工程は、原紙に薬剤が塗布される前であれば、所定の幅方向寸法に原紙が裁断される前や二層に原紙が係合される前に設定されてもよい。湿潤工程は、第二工程に限らず、第一工程や第三工程に設定されてもよい。第三工程において第二繰出工程後に湿潤工程が設定されてもよいし、第一工程において第一巻取工程前に湿潤工程が設定されてもよい。
上記した種々の湿潤工程のうち二つに、第一噴霧器A1および第二噴霧器A2を分離して配置してもよい。すなわち、原紙の第一面を湿潤させる工程と原紙の第二面を湿潤させる工程とを独立して設定してもよく、これらの工程を別個に設定してもよい。
また、エンボス形成工程前の塗布工程で上述した塗工装置520〜540を適用すれば、原紙に対する薬剤の塗布量が安定化することで、エンボス形成工程前にも皺やヨレの発生が抑えられるため、エンボス形成工程でより適切に凹凸を形成することができる。
原紙は三層(3プライ)以上に重ね合わせられてもよい。反対に、積層工程を省略して一層のティシュペーパを製造してもよい。この場合には係合工程も省略される。
あるいは、図6に示すように、ロータリ式のインターフォルダを折畳機5′に用いてもよい。この折畳機5′では、一組の原紙W′,W′が折り畳まれて積み重ねられ、原紙W′の幅方向に沿う折り目が形成される。このように一組の原紙W′,W′が設置される折畳機5′によれば、上述したマルチスタンド方式の折畳機5と比べて、塗布部の設置数を抑えることができ、装置コストを低減させることができる。
3 積層機
5,5′ 折畳機
10 抄紙パート(抄造部)
15 第一巻取パート(第一巻取部)
30 第一繰出パート(第一繰出部)
32 積層パート(積層部)
35 係合パート(係合部)
36 裁断パート(裁断部)
37 湿潤パート(湿潤部)
38 第二巻取パート(第二巻取部)
50 第二繰出パート(第二繰出部)
51 エンボス形成パート(エンボス形成部)
52 塗布パート(塗布部)
52A 第一塗布パート(第一塗布部)
52B 第二塗布パート(第二塗布部)
54 折畳パート(折畳部)
56 分断パート(分断部)
520,530,540 塗工装置
521 泡生成部
520M 搬送部
522,532,542 塗布部
522R,532R 塗布ロール
522h,533h 中空内部
522s,533s スリット(連通孔)
523 泡供給部
524 消泡部
533b 開度調整部材
542 貯留槽(泡保持部)
543 ガイドロール
A1,A2 噴霧器
C カッタ
DD ドクターブレード
DG1 ドクターブレード
DG2 ドクターブレード
FF 表面
FB 裏面
F1 第一面
F2 第二面
P1 第一パート
P2 第二パート
P3 第三パート
P12 第一運搬パート
P23 第二運搬パート
RC 係合ロール
RD 乾燥ロール
RE エンボスロール
RE1 第一エンボスロール
RE2 第二エンボスロール
RO1 オフセットロール
RP 積層ロール
RR1 表裏反転ローラ
RR2 裏表反転ローラ
RT フォーミングロール
RU1,RU2 繰出ロール
RW1,RW2 巻取ロール
S スリッタ
W,W′ 原紙(抄造体)
WR1 第一原反(ロール)
WR2 第二原反(ロール)
Claims (25)
- 液状の塗工剤を泡状にする泡生成部と、
帯状の被塗工シートを搬送する搬送部と、
前記泡生成部により生成された泡状の塗工剤を、前記搬送部を搬送される前記被塗工シートに塗布する塗布部と、を備え、
前記搬送部の前記塗布部よりも下流に、前記被塗工シートに残存する前記泡状の塗工剤の泡を消す消泡部を備えている
塗工装置。 - 前記泡生成部は、前記液状の塗工剤に気体を吹き込んで泡状にする
請求項1に記載された塗工装置。 - 前記塗布部は、前記被塗工シートに接触して前記泡状の塗工剤を塗布する塗布ロールを備えている
請求項1又は2に記載された塗工装置。 - 前記塗布ロールは、中空内部と、ロール周面に開口し前記中空内部と連通する連通孔とを有し、
前記泡生成部と前記中空内部とを接続する泡供給路を備えている
請求項3に記載された塗工装置。 - 前記連通孔の開口面積が可変に構成されている
請求項4に記載された塗工装置。 - 前記連通孔は、前記被塗工シートが前記塗布ロールに接触する位置のロール周面に配置され一または複数形成されている
請求項4または5に記載された塗工装置。 - 前記連通孔は、前記塗布ロールのロール周面に軸方向に延びたスリットである
請求項4〜6の何れか1項に記載された塗工装置。 - 前記塗布ロールは、前記搬送部に備えられ、前記被塗工シートを所定の搬送経路に案内するガイドロールである
請求項3〜7の何れか1項に記載された塗工装置。 - 前記塗布部は、前記搬送部を搬送される前記被塗工シートの下方に配置され、前記被塗工シートの下面に前記泡状の塗工剤を塗布する
請求項1〜8の何れか1項に記載された塗工装置。 - 前記搬送部は、前記被塗工シートを所定の搬送経路に案内するガイドロールを備え、
前記塗布部は、前記泡状の塗工剤を保持する泡保持部を備え、
前記ガイドロールは、前記被塗工シートを、前記泡保持部に保持された前記泡状の塗工剤の中を通過するように案内する
請求項1または2に記載された塗工装置。 - 前記被塗工シートは、衛生用の抄造体である
請求項1〜10の何れか1項に記載された塗工装置。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する装置であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布部と、
前記塗布部で前記薬剤が塗布された前記抄造体を所定の搬送方向寸法に分断する分断部と、を有し、
前記塗布部に、請求項11に記載された塗工装置が装備され、
前記薬剤が塗布された前記抄造体を巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造装置。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する装置であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布部と、
前記塗布部で前記薬剤が塗布された前記抄造体に凹凸を形成するエンボス形成部と、を有し、
前記塗布部に、請求項11に記載された塗工装置が装備され、
前記エンボス形成部で前記凹凸が付与された前記抄造体を、巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造装置。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する装置であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布部と、
前記塗布部で前記抄造体に前記薬剤が塗布される前に、前記抄造体に凹凸を形成するエンボス形成部と、を有し、
前記塗布部に、請求項11に記載された塗工装置が装備され、
前記塗布部で前記薬剤が塗布された前記抄造体を、巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造装置。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する装置であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布部と、
前記塗布部で前記抄造体に前記薬剤が塗布される前に、前記抄造体を湿潤させる湿潤部と、を有し、
前記塗布部に、請求項11に記載された塗工装置が装備され、
前記塗布部で前記薬剤が塗布された前記抄造体を、巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造装置。 - 液状の塗工剤を泡状にする泡生成工程と、
帯状の被塗工シートを搬送する搬送工程と、
前記泡生成工程により生成された泡状の塗工剤を、前記搬送工程で搬送される前記被塗工シートに塗布する塗布工程と、を備え、
前記塗布工程後に、前記被塗工シートに残存する前記泡状の塗工剤の泡を消す消泡工程を備えている
塗工方法。 - 前記泡生成工程では、前記液状の塗工剤に気体を吹き込んで泡状にする
請求項16に記載された塗工方法。 - 前記塗布工程では、前記被塗工シートに接触する塗布ロールにより前記泡状の塗工剤を塗布する
請求項16又は17に記載された塗工方法。 - 前記塗布工程では、前記搬送工程で搬送される前記被塗工シートの下方から、前記被塗工シートの下面に前記泡状の塗工剤を塗布する
請求項16〜18の何れか1項に記載された塗工方法。 - 前記搬送工程では、ガイドロールによって前記被塗工シートを所定の搬送経路に案内し、
前記塗布工程では、泡保持部に前記泡状の塗工剤を保持して、前記ガイドロールにより、前記被塗工シートを、前記泡保持部に保持された前記泡状の塗工剤の中を通過するように案内して前記泡状の塗工剤を塗布する
請求項16または17に記載された塗工方法。 - 前記被塗工シートは、衛生用の抄造体である
請求項16〜20の何れか1項に記載された塗工方法。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する方法であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で前記薬剤が塗布された前記抄造体を所定の搬送方向寸法に分断する分断工程と、を有し、
前記塗布工程に、請求項21に記載された塗工方法が適用され、
前記薬剤が塗布された前記抄造体を巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造方法。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する方法であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布部で前記薬剤が塗布された前記抄造体に凹凸を形成するエンボス形成工程と、を有し、
前記塗布工程に、請求項21に記載された塗工方法が適用され、
前記エンボス形成工程で前記凹凸が付与された前記抄造体を、巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造方法。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する方法であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で前記抄造体に前記薬剤が塗布される前に、前記抄造体に凹凸を形成するエンボス形成工程と、を有し、
前記塗布工程に、請求項21に記載された塗工方法が適用され、
前記塗布工程で前記薬剤が塗布された前記抄造体を、巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造方法。 - 張架された状態で搬送される帯状の抄造体から所定の幅方向寸法をなす衛生用品を製造する方法であって、
前記所定の幅方向寸法に裁断された前記抄造体に薬剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で前記抄造体に前記薬剤が塗布される前に、前記抄造体を湿潤させる湿潤工程と、を有し、
前記塗布工程に、請求項21に記載された塗工方法が適用され、
前記塗布工程で前記薬剤が塗布された前記抄造体を、巻き取らずに積層し、折り畳む、
衛生用品の製造方法。
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