JP7091612B2 - 鋼材の溶接方法及び溶接継手の製造方法 - Google Patents

鋼材の溶接方法及び溶接継手の製造方法 Download PDF

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本発明は、鋼材の溶接方法及び溶接継手の製造方法に関する。
B(ボロン)は、鋼中での存在状態によって鋼材の特性に及ぼす影響が変化する元素である。例えば、Bが鋼中に固溶している場合は焼入れ性を顕著に高め、強度の向上に寄与する。また、BN(窒化ボロン)は、フェライトの生成核となり、溶接熱影響部(Heat Affected Zone:HAZ)の結晶粒を微細化し、鋼材の靭性の向上に寄与する。
したがって、鋼材を溶接する場合、母材ではBが鋼中に固溶していることが望ましく、一方、HAZではBNが生成することが望ましい。このような溶接継手を得るために、従来、溶接金属に含有させたBをHAZに拡散させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、参照)。
特開2003-138339号公報
特許文献1では、母材のB含有量を10ppm以下としているが、B含有量が少ない場合は、存在状態が変化しやすい。強度を安定して高めるためには、鋼材のB含有量を10ppm以上とすることが望ましい。また、鋼材の焼入れ性を高めるにはBを鋼中に固溶させることが必要であり、一方、HAZではフェライト変態核となるBNを形成させることが望ましい。本発明は、このような実情に鑑み、B含有量が10ppm以上である鋼材の溶接方法の提供を課題とするものである。
HAZでは、B及びNが相互に拡散することから、本発明者らは、鋼材及びHAZにおけるBの存在状態に大きく影響を及ぼすNを、溶接金属から供給する溶接方法を指向した。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]質量比で、B含有量B[ppm]が10~50ppmであり、かつ、N含有量N[ppm]が10~80ppmである鋼材を、
フラックスコアードアーク溶接、タングステン-不活性ガス溶接、2電極エレクトロガスアーク溶接の何れかのガスシールドアーク溶接方法によって、
N含有量N[ppm]及びB含有量B[ppm]が、下記式(1)を満足する溶接材料を用いて接合する、鋼材の溶接方法。
0.8×{N+3.8×λ×D×(N×X-N)/3}
≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(1)
ここで、DはNの拡散係数[mm/sec]、DはBの拡散係数[mm/sec]、λは前記ガスシールドアーク溶接方法の入熱量[kJ/mm]であり、Xは、溶接方法に応じて選択される変数であり、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
[2]更に、前記鋼材のTi(チタン)含有量がTi[ppm]であり、かつ、O(酸素)含有量がO[ppm]であるとき、
前記式(1)に代えて下記式(2)を満足する溶接材料を用いて接合する、上記[1]に記載の鋼材の溶接方法。
0.8×〔{N-0.3×(Ti-2×O)}
+3.8×λ×D×〔N×X-{N-0.3×(Ti-2×O)}〕/3〕
≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(2)
[3]前記ガスシールドアーク溶接の入熱量λが4kJ/mm以上である、上記[1]又は[2]に記載の鋼材の溶接方法。
[4]質量比で、B含有量B[ppm]が10~50ppmであり、かつ、N含有量N[ppm]が10~80ppmである鋼材を、
フラックスコアードアーク溶接、タングステン-不活性ガス溶接、2電極エレクトロガスアーク溶接の何れかのガスシールドアーク溶接方法によって、
N含有量N[ppm]及びB含有量B[ppm]が、下記式(1)を満足する溶接材料を用いて接合する、溶接継手の製造方法。
0.8×{N+3.8×λ×D×(N×X-N)/3}
≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(1)
ここで、DはNの拡散係数[mm/sec]、DはBの拡散係数[mm/sec]、λは前記ガスシールドアーク溶接方法の入熱量[kJ/mm]であり、Xは、溶接方法に応じて選択される変数であり、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
[5]更に、前記鋼材のTi(チタン)含有量がTi[ppm]であり、かつ、O(酸素)含有量がO[ppm]であるとき、
前記式(1)に代えて下記式(2)を満足する溶接材料を用いて接合する、上記[4]に記載の溶接継手の製造方法。
0.8×〔{N-0.3×(Ti-2×O)}
+3.8×λ×D×〔N×X-{N-0.3×(Ti-2×O)}〕/3〕
≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(2)
[6]前記ガスシールドアーク溶接の入熱量λが4kJ/mm以上である、上記[4]又は[5]に記載の鋼材の溶接方法。
本発明によれば、B含有量が10ppm以上である鋼材のHAZ靭性を向上させる溶接方法を提供することができる。したがって、本発明は産業上の貢献が極めて顕著である。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、溶接に使用される鋼材、すなわち、母材について説明する。なお、鋼材及び溶接材料に含まれる成分の含有量の単位[ppm]は質量比である。
本発明が対象とする鋼材は、10ppm以上のBを含有する鋼材である。本発明は、一般の溶接構造物用厚鋼板に適用されるため、使用する厚鋼板の厚さは6.0mm以上であることが多い。板厚が6.0mm以下の鋼材にも適用可能であるが、ガスシールドアーク溶接以外の手法が用いられる場合は、本発明の対象外である。また、10ppm以上のBを含有させる鋼材の引張強さは、510MPa以上であることが多い。ただし、引張強さが510MPa以下であっても、10ppm以上のBを含有する鋼材に本発明を適用してもよい。
鋼材のB含有量B[ppm]は10~50ppmとする。Bは固溶状態で鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度上昇効果を得るためには10ppm以上含有することが望ましい。一方で、50ppmを超える含有は、強度上昇効果が飽和する一方で、靱性の低下が著しくなる。このため、Bは10~50ppmの範囲とする。
鋼材のN含有量N[ppm]は10~80ppmとする。N(窒素)は不純物であり、通常の製鋼プロセスでは鋼材のN含有量Nを10ppm未満に低下させることが難しい。一方、鋼材N含有量Nが80ppmを超えると、鋼の鋳造時にスラブ割れを引き起こす原因となる。製造コストの観点から、Nは20ppm以上であってもよい。鋼材の靭性などの特性を考慮すると、Nを60ppm以下とするのが好ましい。
Ti、Oを含有する鋼材では、Tiは平衡状態でTi2を形成し、残ったTiがTiNを形成する。TiNを形成せずに残ったNがBNを形成することになるので、BNを形成するために必要とされる固溶N量を考慮することが好ましい。固溶N量は、原子量を考慮するとTiを形成するOの体積分率がTiの体積分率の2倍であることから、鋼材のN含有量N[ppm]、Ti含有量Ti[ppm]、O含有量O[ppm]によって、
{N-0.3×(Ti-2×O)}
で求められる。
鋼材に含まれる、B、N以外の成分組成は特に制限されないが、本発明は、金属組織が、フェライト、マルテンサイト、ベイナイト、パーライトなどを主体とするフェライト系鋼材に対して特に有効である。フェライト系鋼材は、フェライト、マルテンサイト、ベイナイト、パーライトの1種又は2種以上の合計の面積率が50%超である鋼材と定義される。また、ステンレス鋼はNの固溶量を増加させるCrを多量に含むため、本発明はCr含有量が9質量%以下のフェライト系鋼材に対して極めて有効である。
鋼材に含まれる、B、N以外の成分組成は、例えば、質量%で、C:0.05~0.15%、Si:0.04~0.20%、Mn:0.6~2.0%、P:0.010%以下、S:0.005%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなる成分組成であることが好ましい。不純物であるO(酸素)の含有量は50ppm以下が好ましい。さらに、Cu:0.5%以下、Ni:4.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:0.5%以下、V:0.05%以下、Nb:0.020%以下、Ti:0.05%(500ppm)以下、Al:0.1%以下の1種又は2種以上を含有させてもよい。
鋼材の製造方法も特に制限されないが、例えば、常法で鋼を溶製し、成分の調整後、鋳造して得られた鋳片を熱間圧延して製造することができる。熱間圧延後は、そのまま水冷するか、又は空冷した後、再加熱して焼入れてもよい。熱間圧延後、冷間圧延して、更に熱処理を施してもよい。
鋼を溶製し、鋳造した後、そのまま熱間圧延を行ってもよいが、鋼片を、一旦、室温まで冷却し、Ac以上の温度に再加熱して、熱間圧延を行ってもよい。Acは鋼の組織がオーステナイトになる温度である。熱間圧延の加熱温度は、好ましくは1000℃以上、より好ましくは1050℃以上とする。一方、加熱温度の上限は、組織の粗大化を防止するため、1200℃、より好ましくは1150℃とする。
熱間圧延は、フェライト変態が開始する温度であるAr以上で終了することが好ましい。Ac及びArは、鋼片から試験片を採取し、加熱時及び冷却時の熱膨張挙動から求めることができる。熱間圧延後、そのまま水冷する場合は、250℃以下の温度まで焼入れる。熱間圧延後、空冷してAc以上の温度に再加熱し、焼入れを行ってもよい。
熱間圧延は、鋼板の表面温度が850~950℃の温度域における累積圧下率を30%以上とし、表面温度が840℃以下の温度域における累積圧下率を30~80%として行うことが好ましい。また、圧延終了温度は、鋼板の表面温度で700~820℃が好ましい。熱間圧延を施した後、鋼板の表面温度で300~700℃の温度域における平均冷却速度を5℃/以上とする加速冷却を施してもよい。
次に、溶接方法について説明する。溶接方法は、フラックスコアードアーク溶接(FCAW)、タングステン-不活性ガス溶接(TIG)、2電極エレクトロガスアーク溶接(EGW)の何れかのガスシールドアーク溶接方法とする。本発明では、溶接金属の成分制御が重要であり、溶接方法を、溶接棒又は溶接ワイヤとシールドガスの成分を用いて溶接金属の成分が制御可能であるガスシールドアーク溶接とする。
次に、溶接に使用される溶接材料について説明する。本発明の鋼材の溶接方法は、溶接材料に含まれるNを利用して、HAZにBNを形成するものである。そのため、母材のB含有量B[ppm]及びN含有量N[ppm]と、溶接材料のN含有量N[ppm]及びB含有量B[ppm]とが、下記式(1)を満足することが必要である。
0.8×{N+3.8×λ×D×(N×X-N)/3}
≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(1)
ここで、DはNの拡散係数[mm/sec]、DはBの拡散係数[mm/sec]、λは入熱量[kJ/mm]であり、Xは、溶接方法に応じて選択される変数であり、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
ここで、式(1)について説明する。左辺は、溶接材料からの拡散を考慮した溶接後のHAZのN量に、Bの原子量とNの原子量との比(10.8/14.0=0.8)を掛けたものである。一方、右辺は溶接材料からの拡散を考慮した溶接後のHAZのB量を示している。したがって、式(1)を満足すると、溶接後のHAZでBを固定するために必要とされるN量が、溶接後のHAZのB量以上となり、HAZではBがBNを形成し、固定される。なお、母材は溶接継手の熱影響を受けていない部分であり、溶接金属は溶融した溶接材料が凝固して形成された部分である。溶接材料に含まれる成分の含有量に対し、溶接金属の成分の含有量は、スラグアウトなどによって減少し、その割合は、溶接方法によって一定であることが知られており、Xで表す。Xは、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
まず、HAZのN量について説明する。HAZのN量は、母材と溶接金属との間の相互拡散によって決定される。また、相互拡散は母材と溶接金属のN濃度差と、Nの拡散係数、及び拡散時間で決定される。母材のN量は鋼材のN含有量と同じであるが、溶接金属のN量は溶接の影響を受けるため、溶接材料のN含有量のX倍に減少するため、母材と溶接金属のN濃度差は、鋼材のN含有量N、溶接材料のN含有量Nにより、
×X-N
で表される。
次に、拡散時間は、BNの析出開始温度となる1000℃以上で保持された場合、入熱量λ[kJ/mm]とHAZの温度-時間履歴の関係から、3.8×λで表される。母材と溶接金属との間の相互拡散量は、母材と溶接金属のN濃度差と、Nの拡散係数、及び拡散時間で決定されることから、
3.8×λ×D×(N×X-N)/3
となる。これは、Nの含有量が異なる鋼材を使用して相互拡散量を測定した試験結果に基づいて求めた式である。D、N、N、λを変数としてフィッティングを行って係数を決定しており、上式は全体として母材と溶接金属との間を相互拡散したN量となり、単位は[ppm]である。
溶接後のHAZのN量は、母材のN量と、母材と溶接金属との間で相互拡散したN量との合計である。したがって、
+3.8×λ×D×(N×X-N)/3
となる。これに、Bの原子量とNの原子量との比、すなわち0.8を掛けると、BNを形成するN量を示す、上式(1)の左辺が導出される。
HAZのB量も同様に、母材のB量と、母材と溶接金属との間で相互拡散したB量との合計である。したがって、
+3.8×λ×D×(B×X-B)/3
となる。上式(1)は、溶接後のHAZでBNを形成するN量が、HAZのB量以上であることを意味している。
溶接材料のN含有量N[ppm]は10~200ppmとし、溶接金属から母材にNを拡散させてHAZのN量を増加させるために、N量が鋼材のN含有量Nよりも多いことが好ましい。さらに、Nは鋼材のN含有量Nに対してN/X以上であることが望ましい。Nは不純物であり、溶接材料の製造過程で、溶接棒の鋼製心棒などに10ppm以上が含まれる。好ましくは20ppm以上とする。一方で、200ppmを超えるNの含有は、溶接金属の靭性を低下させる原因となる。好ましくは100ppm以下とする。
溶接材料のB含有量B[ppm]は15ppm以下に制限することが好ましく、望ましくは10ppm未満に制限する。Bは10~50ppmであってもよいが、母材と同量以下が望ましい。溶接材料のB含有量が多く、溶接金属から母材にボロンを拡散すると、HAZのB量が増加してしまい、必要な固溶N量が不足する原因となる場合がある。
鋼材のTi含有量がTi[ppm]であり、かつ、O含有量がO[ppm]であるとき、母材の固溶N量は、{N-0.3×(Ti-2×O)}で求められる。一方、HAZのB量はTi、Oの影響をほとんど受けないので、右辺は式(1)と同じでよい。したがって、鋼材に含まれるTi、Oの影響を考慮する場合は、前記式(1)に代えて下記式(2)を満足する溶接材料を用いて接合する。
0.8×〔{N-0.3×(Ti-2×O)}
+3.8×λ×D×〔N×X-{N-0.3×(Ti-2×O)}〕/3〕
≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(2)
溶接材料は、溶接方法に応じて、適宜、フラックス入りワイヤ、ソリッドワイヤを選択することができる。B、N以外の溶接材料の成分組成は、特に限定されるものではなく、所望の特性に応じて、適宜選択すればよい。
溶接材料に含まれる、B、N以外の成分組成は、例えば、質量%で、C:0.01~0.15%、Si:0.01~1.50%、Mn:0.6~2.5%を含有し、残部Fe及び不純物からなる成分組成であることが好ましい。さらに、V:1.0%以下、Nb:1.0%以下、Cu:2.0%以下、Ni:4.0%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0%以下、Al:2.0%以下の1種又は2種以上を含有させてもよい。
フラックスは特に制限されるものではなく、Ti酸化物、Si酸化物、Mn酸化物、Ca酸化物、Mg酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Fe酸化物、その他、フッ化物、硫化物を含有させることができる。
シールドガスは、主成分として、一般的なガスシールドアーク溶接で用いられるCOや、Ar、Heを用いることが好ましいが、その他特別な不活性ガスや、それらの混合ガスを用いることもできる。ただし、シールドガスに窒素(N)が含まれる場合、溶接金属のN含有量が増加しないように、Nの体積比を2%未満に制限することが好ましい。ガスの混合方法は、ガスボンベ内であらかじめ混合しておくことが好ましいが、ガス混合機を用いて混合することもできる。
ガスシールドアーク溶接の入熱量は4kJ/mm以上であることが好ましい。入熱量が小さい場合、溶接金属からHAZへの拡散時間が短くなることに加えて、冷却速度が速くなるため、BNによる靭性向上効果が得られる鋼組織が形成されない場合がある。
(実施例1)
表1に示すN含有量及びB含有量の鋼材並びに溶接材料を用いて、フラックスコアードアーク溶接(FCAW)、タングステン-不活性ガス溶接(TIG)、2電極エレクトロガスアーク溶接(2電極EGW)の何れかの溶接方法で溶接継手を製造した。鋼材、溶接材料のN含有量及びB含有量、溶接方法、入熱から、Nの拡散係数D[mm/sec]を0.0065mm/sec、Bの拡散係数D[mm/sec]を0.005mm/secとして、式(1)の左辺、右辺を計算した。表1の「式(1)」の「左辺≧右辺」の欄には式(1)を満足するものを○、満足しないものを×で示した。溶接継手のHAZからJIS Z 2242に準拠してVノッチ試験片を採取し、-40℃におけるシャルピー吸収エネルギーを測定した。
Figure 0007091612000001
表1に示すように、式(1)を満足する条件で製造した溶接継手のHAZの靭性は良好であり、-40℃におけるシャルピー吸収エネルギーが100J以上である。一方、式(1)を満足しない条件で製造した溶接継手のHAZの靭性は劣化しており、-40℃におけるシャルピー吸収エネルギーが100J未満である。
(実施例2)
表2に示すN含有量、B含有量、Ti含有量及びO含有量の鋼材、並びに表2に示すN含有量及びB含有量の溶接材料を用いて、FCAW、TIG、2電極EGWの何れかの溶接方法で溶接継手を製造した。実施例1と同様に、式(2)の左辺、右辺を計算し、表2の「式(2)」の「左辺≧右辺」の欄には式(2)を満足するものを○、満足しないものを×で示した。溶接継手のHAZからJIS Z 2242に準拠してVノッチ試験片を採取し、-40℃におけるシャルピー吸収エネルギーを測定した。
Figure 0007091612000002
表2に示すように、式(2)を満足する条件で製造した溶接継手のHAZの靭性は良好であり、-40℃におけるシャルピー吸収エネルギーが100J以上である。鋼材に含まれるTi、Oを考慮する場合、式(2)を満足する条件で溶接することにより、溶接継手のHAZの靭性を確保できることがわかる。

Claims (4)

  1. 質量比で、B含有量B[ppm]が10~50ppmであり、かつ、N含有量N[ppm]が10~80ppmである鋼材を、
    フラックスコアードアーク溶接、タングステン-不活性ガス溶接、2電極エレクトロガスアーク溶接の何れかの、入熱量λが4kJ/mm以上であるガスシールドアーク溶接方法によって、
    N含有量N[ppm]及びB含有量B[ppm]が、下記式(1)を満足する溶接材料を用いて接合する、鋼材の溶接方法。
    0.8×{N+3.8×λ×D×(N×X-N)/3}
    ≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(1)
    ここで、DはNの拡散係数[mm/sec]、DはBの拡散係数[mm/sec]、λは前記ガスシールドアーク溶接方法の入熱量[kJ/mm]であり、Xは、溶接方法に応じて選択される変数であり、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
  2. 質量比で、B含有量B[ppm]が10~50ppmであり、N含有量N[ppm]が10~80ppmであり、Ti含有量がTi[ppm]であり、かつ、O含有量がO[ppm]である鋼材を、
    フラックスコアードアーク溶接、タングステン-不活性ガス溶接、2電極エレクトロガスアーク溶接の何れかの、入熱量λが4kJ/mm以上であるガスシールドアーク溶接方法によって、
    N含有量N[ppm]及びB含有量B[ppm]が、下記式(2)を満足する溶接材料を用いて接合する、鋼材の溶接方法。
    0.8×〔{N-0.3×(Ti-2×O)}
    +3.8×λ×D×〔N×X-{N-0.3×(Ti-2×O)}〕/3〕
    ≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(2)
    ここで、DはNの拡散係数[mm/sec]、DはBの拡散係数[mm/sec]、λは前記ガスシールドアーク溶接方法の入熱量[kJ/mm]であり、Xは、溶接方法に応じて選択される変数であり、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
  3. 質量比で、B含有量B[ppm]が10~50ppmであり、かつ、N含有量N[ppm]が10~80ppmである鋼材を、
    フラックスコアードアーク溶接、タングステン-不活性ガス溶接、2電極エレクトロガスアーク溶接の何れかの、入熱量λが4kJ/mm以上であるガスシールドアーク溶接方法によって、
    N含有量N[ppm]及びB含有量B[ppm]が、下記式(1)を満足する溶接材料を用いて接合する、溶接継手の製造方法。
    0.8×{N+3.8×λ×D×(N×X-N)/3}
    ≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(1)
    ここで、DはNの拡散係数[mm/sec]、DはBの拡散係数[mm/sec]、λは前記ガスシールドアーク溶接方法の入熱量[kJ/mm]であり、Xは、溶接方法に応じて選択される変数であり、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
  4. 質量比で、B含有量B[ppm]が10~50ppmであり、N含有量N[ppm]が10~80ppmであり、Ti含有量がTi[ppm]であり、かつ、O含有量がO[ppm]である鋼材を、
    フラックスコアードアーク溶接、タングステン-不活性ガス溶接、2電極エレクトロガスアーク溶接の何れかの、入熱量λが4kJ/mm以上であるガスシールドアーク溶接方法によって、
    N含有量N[ppm]及びB含有量B[ppm]が、下記式(2)を満足する溶接材料を用いて接合する、溶接継手の製造方法。
    0.8×〔{N-0.3×(Ti-2×O)}
    +3.8×λ×D×〔N×X-{N-0.3×(Ti-2×O)}〕/3〕
    ≧B+3.8×λ×D×(B×X-B)/3 ・・・(2)
    ここで、DはNの拡散係数[mm/sec]、DはBの拡散係数[mm/sec]、λは前記ガスシールドアーク溶接方法の入熱量[kJ/mm]であり、Xは、溶接方法に応じて選択される変数であり、溶接方法がフラックスコアードアーク溶接の場合は0.95、タングステン-不活性ガス溶接の場合は0.98、2電極エレクトロガスアーク溶接の場合は1.00である。
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