化学化合物および用語体系に関する記述
一般に、本明細書中で使用される用語および表現は、それらの当該分野で承認された意味を有し、これらは、当業者に公知の標準的教科書、ジャーナル文献、および文脈を参照することによって見い出され得る。以下の定義は、本発明の文脈におけるそれらの特定の使用を明確にするために提供される。
いかなる特定の理論によっても束縛されることを望まないが、本明細書中に開示されたデバイスおよび方法に関する基本原理の信念または理解の本明細書中の議論があり得る。任意の機械論的説明または仮定の最終的な正確さに関わらず、それでもなお本発明の実施態様は作動しそして有用であり得ることが認識される。
本明細書中で使用される用語「有機化合物」は、少なくとも1つの炭素(C)原子をその中に有する化学式によって特徴付けられる化学種をいう。例えば、メタン(CH4)は気体状有機化合物である。例えば、エタノールは液体有機化合物である。用語「液体有機化合物」は、それが使用される方法の条件下で実質的に液体である(例えば、行われる方法の間、その沸点が液体のバルク温度よりも高い)有機化合物をいう。用語「気体状有機化合物」は、それが使用される方法の条件下で実質的に気体状である(例えば、例えば、行われる方法の間、その沸点が気体のバルク温度よりも低い)有機化合物をいう。
用語「キャビテーション」は、液体によって示されるかまたは液体に与えられる圧力変化(典型的には急速な圧力変化)の結果としての蒸気空洞、すなわち液体中の「キャビテーション気泡」の形成をいう。例えば、小さなオリフィスを出てより大きな体積に入る液体などの突然の膨張を受ける液体は、キャビテーション気泡の形成を生じるのに十分に突然の圧力低下を経験し得る。キャビテーションは、体積膨張による圧力変化、超音波処理(本明細書中、音波処理とも呼ばれる)を含むがこれらに限定されない力またはエネルギー源のうちの1つまたはそれらの組み合わせによって引き起こされ得る。キャビテーションは高せん断反応器において、特に気体の注入で生じ得るが、主要な反応は、おそらくせん断に由来する。流体力学キャビテーションは、体積変化によるなど、オリフィスに入る、オリフィスを通る、およびオリフィスから出る流体によるなど、流体によって与えられるかまたは経験される圧力変化によって誘発または引き起こされるキャビテーションを含む。超音波処理キャビテーション(本明細書中、音波処理キャビテーションまたは超音波キャビテーションとも呼ばれる)は、流体によって与えられるかまたは経験される超音波処理によって誘発または引き起こされるキャビテーションをいう。キャビテーション気泡の形成は、キャビテーション気泡の第1核生成を含む。キャビテーションは、多数のキャビテーション気泡の形成に関連し得、その結果いつ何時でも存在するキャビテーション気泡の合計は、「キャビテーションクラウド」を形成する。キャビテーションクラウドは、キャビテーション気泡を含む液体の領域に相当し、これは、いくつかの実施態様においてキャビテーション気泡が核となる任意の領域または位置を含む。
本明細書中で使用される用語「キャビテーション反応器」は、流体においてキャビテーションを誘発または引き起こす反応器をいう。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、キャビテーション反応器は、流体力学キャビテーション反応器、超音波キャビテーション反応器、または多機能キャビテーション反応器である。
「流体力学キャビテーション反応器」は、流体において流体力学キャビテーションを誘発または引き起こすよう構成された反応器である。好ましくは、流体力学キャビテーション反応器は、液体においてキャビテーションを誘発する(キャビテーション気泡を形成する)ための1つ以上の領域を含むシステムである。流体力学キャビテーション反応器は、典型的にはプレ-キャビテーション領域およびキャビテーション領域を含む。いくつかの実施態様において、流体力学キャビテーション反応器は、少なくとも1つのオリフィス(例えば、隙間、開口、穴、切り欠き、穿孔)を含み、その結果流体は、プレ-キャビテーション領域からオリフィスを通ってキャビテーション領域に流れる。本明細書中で開示した方法に有用な流体力学キャビテーション反応器は、オリフィス、ノズル、ベンチュリ管、ローター、およびこれらまたは当該分野で公知の他の特徴の任意の組み合わせを含むがこれらに限定されないキャビテーション気泡を形成するための種々の構成および領域/装置を含み得る。
「せん断反応器」は、流体においてせん断を誘発または引き起こすよう構成された反応器である。図18は、FM Fuko Bench高せん断ユニットなどの例示的なベンチせん断ミキサー(せん断反応器)を示す。図19は、気体が注入された場合に同様にキャビテーションを誘発することができるCharles Ross HSM-700ローターステーターインライン高速せん断ミキサーなどのせん断ミキサーを示す。
「超音波キャビテーション反応器」は、流体において超音波キャビテーションを誘発または引き起こすよう構成された反応器である。
「多機能反応器」は、化学反応を誘発するための多数の反応器または多数の異なる機構/プロセスを含む反応器であり、それによって固体炭素材料が形成される。多機能反応器は多機能キャビテーション反応器であり得、これは、多数のタイプのキャビテーションによって流体においてキャビテーションを誘発または引き起こす多数のキャビテーション反応器またはキャビテーション反応器(または、キャビテーションを誘発または引き起こすエネルギーまたは力)を含む。例えば、多機能反応器は、流体においてキャビテーションを誘発または引き起こすための多数の機構を含み得る。例えば、多機能反応器は、流体において流体力学キャビテーション、超音波キャビテーション、およびせん断のうちの少なくとも2つを誘発または引き起こすよう構成され得る。図20は、流体力学キャビテーション反応器およびせん断反応器を含む多機能キャビテーション反応器の図である。ある実施態様によれば、多機能キャビテーション反応器は、図20に示すような、直列に接続された2つの反応器を含む。気体を供給した流体力学キャビテーション反応器などの第1反応器は、グラフェン様物質などの固体炭素材料を作製し得、例えば流体は、1つ以上のオリフィスを通過すると圧力低下を経験し、そして気体はキャビテーション気泡の核生成地点の近くに注入される。ある実施態様によれば、流体(今や炭素材料を染み込ませた)は、次いで高せん断反応器などの第2反応器を通過し得、ここで例えば、グラフェン様物質は結晶性粒子にせん断され得る。ある実施態様によれば、高せん断反応器などの第2反応器に気体は注入されない。
その場で形成された炭素材料またはその場炭素材料または固体炭素材料を作製するためのその場プロセスなどの、固体炭素材料または固体炭素材料を作製するためのプロセスに関して本明細書中で使用される用語「その場(in situ)」(または「その場(in-situ)」)は、炭素材料が該プロセスによって作製され、そしてそうでなければ該プロセスへのインプットではない、炭素材料または固体炭素材料を作製するためのプロセスをいう。炭素材料を作製するためのプロセスは、本明細書中で開示した任意の実施態様による方法であり得、そして炭素材料は、本明細書中で開示した任意の実施態様による炭素材料であり得る。例えば、その場プロセスへのインプットとして提供される液体は、炭素材料を含まず、そして固体炭素材料は、その場プロセスの間に液体中で作製され、この場合、作製された炭素材料はその場炭素材料と呼ばれ得る。例えば、固体炭素材料を作製するためのその場プロセスにおいて、液体は、液体を供給する工程の間および該その場プロセスの間の該液体におけるキャビテーション気泡の形成前に炭素材料を実質的に含まない。例えば、液体は、プロセスに液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に、固体粒子を実質的に含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない。本明細書中の他のどこかで記載されるように、その場炭素材料は、炭素材料を作製するための方法の間に、キャビテーション反応器のキャビテーション領域、またはキャビテーションクラウドなどの反応器の反応領域において作製され得る。
本明細書中で使用される用語「よく分散した」は、凝集および/または液体からの沈殿が最小限でまたはなしで安定に分散している液体中の微粒子をいい得る。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、よく分散した粒子は、+40 mVより大きいかまたは-40 mVより小さいゼータ電位によって特徴付けられる。
用語「分散物」は、溶媒と呼ばれ得る液体中に分散および/または懸濁した1つ以上の固体炭素材料の粒子などの粒子の混合物をいう。コロイド混合物は、例示的な分散物である。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、分散物は均一混合物である。分散物の文脈において、用語「均一」は、裸眼で一様に見える液体混合物をいう。対照的に、不均一液体混合物は、液体混合物から沈殿したまたは液体混合物中に懸濁し、そして液体混合物中に裸眼によって明瞭に確認できるのに十分に大きい粒子を含む。不均一液体混合物は、例えば、堆積したおよび/または堆積する粒子を含む。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、用語「分散物」は、不均一液体混合物ではない溶液およびコロイドなどの分散物を含むことが広く意図される。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、分散物は、溶媒などの液体中の粒子の微視的に均一であるかまたは一様な混合物である。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、分散物は、安定に分散したままであるよう熱力学的に好まれ、または沈降により分離するよう熱力学的に好まれるが、ここで沈降は動力学的に遅いかまたは妨げられる。安定に分散していると特徴付けられる分散物の粒子は、常温常圧(NTP)および空気への曝露下、少なくとも5時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、およびより好ましくは少なくとも1週間、分散物中に分散したままであり、そして分散物の液体から沈降または沈殿しない。
本明細書中で使用される用語「炭素材料」は、固体炭素材料をいう。本明細書中で使用される用語「炭素材料」または「固体炭素材料」は、液体有機化合物(反応器に供給される液体の液体有機化合物など)をいわず、そして気体状有機化合物(反応器に供給される気体の気体状有機化合物など)をいわない。例示的な炭素材料は、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、およびこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない。
用語「同時」は、検出限界内で時間的に同時をいう。用語「ほぼ同時に」は、5分以内、4分以内、2分以内、好ましくは1分以内、より好ましくは30秒以内、好ましくはいくつかの実施態様において15秒以内、好ましくはいくつかの実施態様において10秒以内、好ましくはいくつかの実施態様において5秒以内、またはより好ましくはいくつかの実施態様において1秒以内をいう。
液体に混入された気体は、例えば、液体に溶解した気体である。注入された気体は、例えば、圧力差によってなどで液体に注入された気体であり、その結果、気体は液体に導入されまたはそうでなければ液体中に存在する(例えば、気泡形成の開始で)。液体に気体をバブリングすることは、液体に気体を注入する例である。
用語「バルク温度」は、流体または材料の実質的な部分の平均温度をいう。例えば、液体は、局所温度がバルク温度を超え得るキャビテーション気泡形成および崩壊の部位などで温度の局所的変化を含み得るが、液体のバルク温度は、おおよそ室温であり得る。例えば、流体の局所温度は、1 nm3以下、10 μm3以下、100 μm3以下、または1 mm3以下のスケールで流体温度に相当し得る。例えば、流体の局所温度は、1 mm3よりも大きいスケールで流体温度に相当し得る。
本明細書中で使用される用語「ポリマー」は、相当数の繰り返し単位(例えば、3繰り返し単位以上、必要に応じて、いくつかの実施態様において10繰り返し単位以上、いくつかの実施態様において30繰り返し単位以上)および高い数平均分子量(例えば、1,000 Daより大きい、10,000 Da以上、いくつかの実施態様において50,000 Da以上または100,000 Da以上)によってしばしば特徴付けられる共有化学結合によって連結した繰り返し構造単位からなる分子をいう。ポリマーは、通常1つ以上のモノマー前駆体の重合生成物である。用語ポリマーは、ホモポリマー、すなわち、単一の繰り返しモノマーサブユニットから実質的になるポリマーを含む。用語ポリマーはまた、2つ以上の異なるタイプのモノマーが同じポリマーにおいて結合している場合に形成されるコポリマーを含む。コポリマーは、2つ以上のモノマーサブユニットを含み得、そしてランダム、ブロック、ブラシ、ブラシブロック、交互、沈降、グラフト、テーパー、及び他の構造を含む。有用なポリマーは、非晶質、半非晶質、結晶性または半結晶性状態であり得る有機ポリマーまたは無機ポリマーを含む。ポリマーを架橋(例えば、物理的架橋)することができるポリマー側鎖は、いくつかの用途において有用であり得る。有用なコポリマーは、ブロックコポリマーおよび/またはグラフトコポリマーを含む。例示的なポリマーは、1つ以上の無置換または置換ポリイソシアネート基、ポリメタクリレート基、ポリアクリレート基、ポリメタクリルアミド基、ポリアクリルアミド基、ポリキノキサリン基、ポリグアニジン基、ポリシラン基、ポリアセチレン基、ポリアミノ酸基、ポリペプチド基、ポリクロラル基、ポリラクチド基、ポリスチレン基、ポリアクリレート基、ポリtert-ブチルアクリレート基、ポリメチルメタクリレート基、ポリシロキサン基、ポリジメチルシロキサン基、ポリn-ブチルアクリレート基、ポリエチレングリコール基、ポリエチレンオキシド基、ポリエチレン基、ポリプロピレン基、ポリテトラフルオロエチレン基、ポリビニルクロリド基およびそれらの任意の組み合わせを有する繰り返し単位を有するものを含むが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される用語「基」は、化学化合物の官能基をいう。本願化合物の基は、化合物の一部である原子または原子の集合をいう。本願化合物の基は、1つ以上の共有結合によって化合物の他の原子に結合され得る。基はまた、それらの原子価状態に関して特徴付けられ得る。本発明は、1価、2価、3価などの原子価状態として特徴付けられる基を含む。
「オリゴマー」は、ポリマーの繰り返し単位よりも少ない多数の繰り返し単位(例えば、3繰り返し単位以下)およびポリマーよりも低い数平均分子量(例えば、1,000 Da以下)によってしばしば特徴付けられる共有化学結合によって連結した繰り返し構造単位からなる分子をいう。オリゴマーは、1つ以上のモノマー前駆体の重合生成物であり得る。
用語「プレ-ポリマー」または「プレポリマー」は、モノマーまたはモノマーが反応して中間分子量状態になる1つ以上のモノマーを含む混合物をいう。プレポリマーは、さらなる重合を行って完全に硬化した高分子量状態になることができる。いくつかの実施態様において、用語プレポリマーおよびモノマーは交換可能に用いられる。
特に規定しない限り、用語「分子量」は、平均分子量をいう。特に規定しない限り、用語「平均分子量」は、数平均分子量をいう。数平均分子量は、試料容量の合計重量を試料内の分子の数で割ったものとして定義される。当該分野で慣習的でかつ周知であるように、ピーク平均分子量および重量平均分子量もまた、試料内のポリマーの分布の分子量を特徴付けるために使用され得る。
用語「重量平均分子量」(Mw)は、各ポリマー分子(Mi)の分子量にその重量画分を乗じた積の合計として定義される平均分子量(wi): Mw = ΣwiMiをいう。当該分野で慣習的でかつ周知であるように、ピーク平均分子量および数平均分子量もまた、試料内のポリマーの分布の分子量を特徴付けるために使用され得る。
用語「実質的に」は、20%以内、10%以内、5%以内、1%以内である、あるいは参照特性または条件に等しい特性または条件をいう。用語「実質的に等しい」、「実質的に等価」または「実質的に不変」は、特性または条件を記載する参照値に関して使用される場合、20%以内、10%以内、5%以内、1%以内、0.1%以内である、または必要に応じて提供された参照値または条件に等価である値または条件をいう。例えば、濃度は、濃度の値が20%以内、10%以内、5%以内、1%以内、または1質量%に等しい場合、実質的に1質量%に等しい。例えば、実質的に全ての材料または流体は、材料または流体の少なくとも80(例えば、体積、モル、または質量)%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95%、または100%が特定の領域内にある場合、特定の領域内にある。用語「実質的に大きい」は、特性または条件を記載する参照値または条件に関して使用される場合、提供された参照値または条件よりも少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも20%大きい値をいう。用語「実質的に小さい」は、特性または条件を記載する参照値または条件に関して使用される場合、提供された参照値よりも少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも20%小さい値または条件をいう。例えば、濃度は、濃度の値が1質量%よりも少なくとも20%小さい、少なくとも10%小さい、少なくとも5%小さい、または少なくとも1%小さい場合、実質的に1質量%よりも小さい。
用語「グラフェン様物質」は、手付かずのグラフェンと物理的に同種であるよう処理され得る、本願方法によって製造される固体炭素ベースの材料をいう。手付かずのグラフェンは、1%未満の酸素を含み、そして数層(例えば、1~2層)を有する。手付かずのグラフェンのプレートレットサイズは、典型的には1~5ミクロンの範囲に及ぶ。本明細書中で記載しそして流体力学条件下で炭化水素溶媒中で作製された、その場で作製された炭素材料は、約1~50ミクロン(例えば、2~25 μm、3~15 μm、または5~10 μm)の範囲に及ぶプレートレットサイズを有する複層プレートレット(2層より多い、例えば、5~15層、6~13層、7~12層、8~11層)からなる。無水炭化水素溶媒(例えば、トルエン)を用いて作製される場合、製造されるグラフェン様物質は、1%未満の酸素を有する。さらに、本願方法によって生成されるグラフェン様物質は、数層グラフェンに容易に液体剥離される。それは、グラファイトよりもより容易に液体剥離される。なぜなら、いかなる理論にも束縛されないが、バルクグラフェン様物質はその場で発生するので、バルクグラフェンシートはグラファイトにおいて見い出されるよりも弱いファンデルワールス結合と共に保持され得ると考えられるからである。
用語「攪拌槽(stir tank)反応器」および「攪拌(stirred tank)反応器」は、互いに交換可能でありそして等価な意味を有することが意図される。
本明細書中で使用される用語「その場摩擦減少」は、流体の潤滑性が変化または改善されるプロセスをいう。その場摩擦減少プロセスにおいて、流体は、潤滑剤として使用され得、そして同時にまたはほぼ同時(例えば、5分以内、4分以内、2分以内、1分以内、30秒以内、15秒以内、10秒以内、5秒以内、または1秒以内)に改善されたその潤滑特性を有する。
実施態様において、液体有機化合物または気体状有機化合物などの本発明の組成物または化合物は、単離されるかまたは実質的に精製される。実施態様において、単離または精製された化合物は、当該分野において理解されるように、少なくとも部分的に単離または実質的に精製される。実施態様において、本発明の実質的に精製された組成物、化合物または処方物は、少なくとも95%、必要に応じていくつかの用途について少なくとも97%、必要に応じていくつかの用途について少なくとも98%、必要に応じていくつかの用途について少なくとも99%、必要に応じていくつかの用途について少なくとも99.9%、必要に応じていくつかの用途について99.99%、および必要に応じていくつかの用途について99.999%純粋な化学純度を有する。
発明の詳細な説明
以下の記載において、本発明のデバイス、デバイス構成要素および方法の多数の具体的詳細は、本発明の正確な性質の完全な説明を提供するために説明される。しかし、当業者には、本発明はこれらの具体的詳細なしで実施され得ることが明らかであろう。
本明細書中、固体炭素材料を作製するための方法であって:少なくとも1つの液体有機化合物を含む液体を反応器の反応領域に供給すること;少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体を該反応器の該反応領域に供給すること;および該少なくとも1つの液体有機化合物と該少なくとも1つの気体状有機化合物との間に化学反応を誘発することを含み、ここで:該化学反応が該反応器の該反応領域において起こり;該固体炭素材料が該反応によって作製され;該固体炭素材料が、該反応の間に、該液体中に分散した該固体炭素材料を含む分散物の形態で作製され;および該化学反応が、該反応器の該反応領域における該固体炭素材料の均一核生成を含む均一反応である、方法が開示される。好ましくは、化学反応は気液物質移動を含む。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、気体の組成は液体の組成とは異なる。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、少なくとも1つの気体状化合物の組成は少なくとも1つの液体有機化合物の組成とは異なる。例えば、異なる化学組成を有する気体(またはその少なくとも1つの気体状有機化合物)および液体(またはその少なくとも1つの液体有機化合物)(例えば、プロパンおよびエタノール)は、気体および液体が等価な化学組成である等価なプロセスと比較して、得られる作製された固体炭素材料のタイプ、組成、および特性においてより広い程度の柔軟性を提供し得る。必要に応じて、化学反応は触媒上でまたは触媒において起こらない。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、方法は、固体基質上での固体炭素材料の不均一核生成を含まない。必要に応じて、液体を供給する工程は、反応領域への第1入力ストリームによって行われ、および気体を供給する工程は、反応領域への第2入力ストリームよって行われ;ここで該第1ストリームパスおよび第2入力ストリームは異なりかつ物理的に分離している。必要に応じて、液体を供給する工程および気体を供給する工程は同時に行われる。必要に応じて、気体を供給する工程は、液体が反応領域に供給された後に行われる(例えば、しかし必ずしも必要ではないが、液体がまずバッチ反応器に供給され、そして次いで反応が起こるのが望ましい期間の間に気体が供給されるバッチプロセスにおいてなど)。好ましくは、固体炭素材料は、反応領域に存在する間、液体中に分散したままである。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、液体は、液体を供給する工程の間ならびに気体を供給する工程および化学反応を誘発する工程の前に実質的に固体炭素材料を含まない。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、液体は、液体を供給する工程の間ならびに気体を供給する工程および化学反応を誘発する工程の前に実質的に固体粒子を含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、固体炭素材料は、反応器の反応領域においてのみ形成される。必要に応じて、固体炭素材料は、方法が気体を供給する工程なしで他の等価な工程および条件で行われる場合、作製されない。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、気体を供給することは、気体を混入させること、気体を注入すること、またはこれらの組み合わせを含む。必要に応じて、気体は加圧下で液体に混入され、気体は液体に注入され、または気体は液体中にバブリングされ、またはこれらの組み合わせ。好ましくは、気体は、気体を供給する工程の間に反応領域に直接供給される。反応領域における圧力は、気液物質移動を可能にする任意の適切な圧力(例えば、10~5,000 psi、50~3,000 psiなど)である。好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、気体を供給する工程および化学反応を誘発する工程は、同時にまたはほぼ同時(例えば、5分以内、4分以内、2分以内、1分以内、30秒以内、15秒以内、10秒以内、5秒以内、または1秒以内)に行われる。好ましくは、少なくとも1つの液体有機化合物および少なくとも1つの気体状有機化合物は、反応領域に同時(例えば、5分以内、4分以内、2分以内、1分以内、30秒以内、15秒以内、10秒以内、5秒以内、または1秒以内)に存在する。好ましくは、炭素材料を作製することは、液体中で炭素材料を核にすることを含む。好ましくは、炭素材料を作製することは、液体中で炭素材料を核にすることおよび液体中で炭素材料を成長させることを含む。必要に応じて、固体炭素材料は多数の炭素材料である。必要に応じて、反応器は、キャビテーション反応器、せん断反応器、攪拌槽反応器、または多機能反応器である。いくつかの実施態様において、反応器はキャビテーション反応器であり;反応帯はキャビテーション反応器のキャビテーション帯であり;および方法は、キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で液体中にキャビテーション気泡を形成することを含む。
従来の方法と比較して、本明細書中で開示した本発明の方法は、数時間よりもむしろ、数分、または数秒でさえ行うことができ、低コストであり、最小限の望ましくない化学物質を使用し、より少ないエネルギーを使用し、および/または非常に拡張性がある。驚くべきことに、本発明の方法を用いて、グラフェンまたはグラフェン様物質などの固体炭素材料が、安定な分散物を含む分散物の形態で流体において直接(すなわち、単一工程)製造され得ることが発見された。分散した固体炭素材料(例えば、グラフェンまたはグラフェン様物質)は、固体粉末と比較して1つ以上の利点を有する。これらの利点は、液体が粉末よりもずっと容易に希釈され得ること、液体が材料取扱いの観点から作業するのがより容易であること、および/または固体炭素材料を流体において単一工程で直接製造することが、粉末を製造しそして次いで該粉末を分散させることよりもコストが低いことを含む。
本発明の方法において、反応器は、少なくとも1つの気体状有機化合物および少なくとも1つの液体有機化合物から固体炭素材料を形成するための気液物質移動を容易にする任意の適切な反応器である。一般に、反応器は、キャビテーション、せん断、高圧、高温、および/または混合あるいはこれらの条件の任意の組み合わせを誘発し得るものである。実施態様において、反応器は、キャビテーション反応器、せん断反応器、攪拌槽反応器、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。キャビテーション、せん断、高圧、高温、および/または混合を誘発し得る適切な反応器の具体例は、攪拌槽反応器、タービン反応器、モノリス反応器、フォーム反応器、ローターステーター反応器、ベンチせん断反応器、高速せん断反応器(例えば、Charles Ross HSM-700)、流体力学キャビテーション反応器、オリフィス反応器、管回転反応器、回転充填床反応器、ジグザグ回転反応器、流動床反応器、Taylor-Couette反応器、チューブインチューブ反応器、回転ディスク反応器、衝突流反応器、超音速気体-固体反応器、超音波処理反応器、プローブ音波処理反応器、マイクロ波照射反応器、衝撃波反応器(例えば、衝撃波POWERTM反応器(SPR);Hydro Dynamics, Inc., Rome, GA)、連続流反応器(例えば、RAPTORTM反応器;La Mesta Chimie Fine, Gilette, France)、せん断ミキサー反応器、およびこれらの任意の組み合わせを含む。例えば、流体力学キャビテーション反応器は攪拌槽反応器と統合され得、または攪拌槽反応器はせん断反応器と統合され得る。反応器は、気液物質移動(例えば、キャビテーション、せん断、高圧、および/または高温)を誘発するための1つ以上のカテゴリーに分類され得ることが理解される。
必要に応じて、化学反応を誘発する工程は、液体中にせん断力を誘発することを含む。必要に応じて、反応器は、かき混ぜ機を含む攪拌槽反応器であり;そしてここでかき混ぜ機は液体中にせん断力を誘発する。必要に応じて、かき混ぜ機は、気体-誘発攪拌機、Rushton攪拌機/タービン、モノリス攪拌機、渦巻き攪拌機、プレートまたは放射状平面ブレード羽根車、アクシオンプロペラ、傾斜ブレード、タービンボルテックスかき混ぜ機、1つのシャフト上複数の攪拌機、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。必要に応じて、かき混ぜ機は気体-誘発攪拌機である。必要に応じて、かき混ぜ機は、200 rpm~14,000 rpm(例えば、250~12,000 rpm、500~10,000 rpm、1,000~5,000 rpm、1,000~3,000 rpm、1,000~1,200 rpm)の範囲から選ばれる回転速度によって特徴付けられる。攪拌槽反応器において羽根車によって生成されるせん断は、主に槽直径(T)に対する羽根車直径(D)の比によって決定される。D/T比は、典型的には0.1~0.6、好ましくは0.2~0.5の範囲にある。低いD/T比は、高いせん断を生成し、そして典型的にはより高いrpmで稼働し、一方高いD/T比は低いせん断を生成し、そしてより低いrpmで稼働する。必要に応じて、化学反応を誘発する工程は、反応領域において液体および気体をかき混ぜるまたは攪拌することを含み、これは、反応領域における液体中の気体の気泡の平均サイズを低減することを含み得る。必要に応じて、反応器領域における圧力は、6 bar(約87 psi)~150 bar(約2175 psi)の範囲から選ばれる。必要に応じて、反応領域における温度は、20℃~250℃(例えば、20℃~200℃、20℃~150℃、20℃~100℃、30℃~250℃、30℃~200℃、30℃~150℃、30℃~100℃、40℃~250℃、40℃~200℃、40℃~150℃、40℃~100℃、50℃~250℃、50℃~200℃、50℃~150℃、50℃~100℃、50℃~90℃、または60℃~100℃)の範囲から選ばれる。
局面において、本明細書中、固体炭素材料を作製するための方法が開示され、当該方法は:少なくとも1つの液体有機化合物を含む液体をキャビテーション反応器に供給すること;キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で液体中にキャビテーション気泡を形成すること;および少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体をキャビテーション反応器のキャビテーション領域に供給すること;それによって、液体中に分散した炭素材料を含む分散物の形態の炭素材料を作製することを含む。いくつかの実施態様において、キャビテーション反応器は、流体力学キャビテーション反応器、せん断反応器、超音波キャビテーション反応器、または多機能反応器である。いくつかの実施態様において、キャビテーション反応器は流体力学キャビテーションを含み;またはここでキャビテーション反応器は超音波キャビテーションを含む。いくつかの実施態様において、キャビテーション反応器は流体力学キャビテーションおよびローターステーター反応器を含む;またはここでキャビテーション反応器は超音波キャビテーションおよびローターステーター反応器を含む。いくつかの実施態様において、キャビテーション反応器は、ローターステーター反応器、ベンチせん断反応器、高速せん断反応器、流体力学キャビテーション反応器、オリフィス反応器、回転充填床反応器、回転ディスク反応器、衝突流反応器、超音速気体-固体反応器、超音波処理反応器、プローブ音波処理反応器、せん断ミキサー反応器、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、気体を供給することは、気体を混入させること、気体を注入すること、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、気体は液体に混入される。いくつかの実施態様において、気体は液体に注入される。いくつかの実施態様において、気体は液体中にバブリングされる。いくつかの実施態様において、気体は、気体を供給する工程の間にキャビテーション領域に直接供給される。いくつかの実施態様において、キャビテーション気泡を形成する工程および気体を供給する工程は、同時にまたはほぼ同時(例えば、5分以内、4分以内、2分以内、1分以内、30秒以内、15秒以内、10秒以内、5秒以内、または1秒以内)に行われる。いくつかの実施態様において、キャビテーション気泡を形成する工程は、キャビテーション気泡を核にすることを含む。いくつかの実施態様において、気体を供給する工程の間、気体は、キャビテーション気泡核生成領域に直接供給されるかまたはキャビテーション気泡核生成領域の1 mm以内に供給され、キャビテーション気泡核生成領域は、形成する工程の間のキャビテーション反応におけるキャビテーション気泡の核生成に相当する。いくつかの実施態様において、形成工程は、反応器のキャビテーション領域においてキャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み、ここで気体は、キャビテーションクラウド内部に直接供給されるかまたは該キャビテーションクラウドの1 mm以内に供給される。いくつかの実施態様において、分散物は反応器のキャビテーション領域において形成される。いくつかの実施態様において、形成工程は、キャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含む;ここで炭素材料は、キャビテーションクラウド内で形成される。いくつかの実施態様において、液体は、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に炭素材料を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、液体は、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に、固体粒子を実質的に含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない。いくつかの実施態様において、炭素材料を作製することは、液体中で炭素材料を核にすることを含む。いくつかの実施態様において、炭素材料を作製することは、液体中で炭素材料を核にすることおよび液体中で炭素材料を成長させることを含む。いくつかの実施態様において、炭素材料は多数の炭素材料である。
いくつかの実施態様において、キャビテーション反応器は、プレ-キャビテーション領域およびオリフィス領域を有する流体力学キャビテーション反応器であるかまたはこれを含み、ここでオリフィス領域はプレ-キャビテーション領域とキャビテーション領域との間にある。オリフィス領域は、少なくとも1つのオリフィスを含み、その結果、液体はプレ-キャビテーション領域から少なくとも1つのオリフィスを通ってキャビテーション領域に流れる。換言すると、液体を供給する工程の間、液体はプレ-キャビテーション領域に供給され得、その結果、液体は続いてプレ-キャビテーション領域から少なくとも1つのオリフィスを通ってキャビテーション領域に流れる。少なくとも1つのオリフィスのそれぞれは、プレ-キャビテーション領域の内径よりも小さい内径によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのオリフィスのすぐ外側のキャビテーション領域の内径は、オリフィスのオリフィス内径よりも大きい。いくつかの実施態様において、気体は、少なくとも1つのオリフィスのキャビテーション端部に直接供給されるかまたは該少なくとも1つのオリフィスの端部の1 mm以内に供給される;少なくとも1つのオリフィスのキャビテーション端部は、キャビテーション反応器のキャビテーション領域に最も近い少なくとも1つのオリフィスの端部である。いくつかの実施態様において、気体は、少なくとも1つのオリフィスの出口側の1 mm以内(例えば、0.8 mm以内、0.6 mm以内、0.5 mm以内、0.3 mm以内、0.2 mm以内)に供給されるかまたは該出口側に直接供給される(例えば、1つ以上の気体供給管が途切れ、そしてそこへ気体を供給する)。
いくつかの実施態様において、気体を供給する工程の間、気体は、キャビテーション気泡核生成領域の1 mm以内、0.8 mm以内、0.6 mm以内、0.5 mm以内、0.3 mm以内、0.2 mm以内、または0.1 mm以内に直接供給され、または好ましくはいくつかの用途についてキャビテーション気泡核生成領域に直接供給される。キャビテーション気泡核生成領域は、形成の工程の間のキャビテーション反応におけるキャビテーション気泡の核生成の部位に相当する。いくつかの実施態様において、気体を供給する工程の間、気体は、反応器の反応領域(例えば、キャビテーション領域)の1 mm以内、0.8 mm以内、0.6 mm以内、0.5 mm以内、0.3 mm以内、0.2 mm以内、または0.1 mm以内に直接供給され、または好ましくはくつかの用途について反応器の反応領域に直接供給される。
いくつかの実施態様において、形成工程は、反応器のキャビテーション領域においてキャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み、ここで気体は、キャビテーションクラウドの1 mm以内、0.8 mm以内、0.6 mm以内、0.5 mm以内、0.3 mm以内、または0.2 mm以内に直接供給され、または好ましくはくつかの用途についてキャビテーションクラウドの内部に直接供給される。
いくつかの実施態様において、分散物は、反応器の反応領域(例えば、キャビテーション領域)において少なくとも部分的に形成される。いくつかの実施態様において、分散物は、反応器の反応領域(例えば、キャビテーション領域)において実質的に形成される。いくつかの実施態様において、分散物は、反応器のキャビテーションクラウド(反応器がキャビテーション反応器である場合)において少なくとも部分的に形成される。いくつかの実施態様において、分散物は、反応器のキャビテーションクラウド(反応器がキャビテーション反応器である場合)において実質的に形成される。いくつかの実施態様において、分散物は、反応器のキャビテーション気泡核生成領域(反応器がキャビテーション反応器である場合)において少なくとも部分的に形成される。
いくつかの実施態様において、形成工程は、キャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み;ここで炭素材料はキャビテーションクラウド内で形成される。いくつかの実施態様において、液体は、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に、炭素材料またはその核を実質的に含まない。例えば、液体は、液体が供給される前に炭素材料またはその核を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、液体は、液体がキャビテーション反応器のキャビテーション領域に入る前に炭素材料またはその核を実質的に含まない。例えば、液体は、液体が流体力学キャビテーション反応器のオリフィス領域のオリフィスに入る前に炭素材料またはその核を実質的に含まない。例えば、液体は、液体が流体力学キャビテーション反応器のオリフィス領域のオリフィスを出る前に炭素材料またはその核を実質的に含まない。例えば、液体は、液体がキャビテーション気泡核生成領域の内部、1 mm以内、または1 cm以内にある前に炭素材料またはその核を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、液体は、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成の前に実質的に固体粒子を含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない。例えば、液体は、液体が流体力学キャビテーション反応器のオリフィス領域のオリフィスに入る前に、実質的に固体粒子を含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない。いくつかの局面において、液体は、液体が流体力学キャビテーション反応器のオリフィス領域のオリフィスを出る前に、実質的に固体粒子を含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない。例えば、液体は、液体がキャビテーション気泡核生成領域の内部、1 mm以内、または1 cm以内にある前に、実質的に固体粒子を含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない。
いくつかの実施態様において、炭素材料の形成または核生成は、液体中のキャビテーション気泡の形成後、1分以内(例えば、30秒以内、20秒以内、5秒以内、または1秒以内)に起こる。いくつかの実施態様において、炭素材料の核生成は、気体がキャビテーション領域に供給される間、キャビテーション気泡核生成領域の1 mm以内(例えば、0.8 mm以内、0.6 mm以内、0.5 mm以内、0.3 mm以内、または0.2 mm以内)でのキャビテーション気泡の核生成後、1分以内(例えば、30秒以内、20秒以内、5秒以内、または1秒以内)に起こる。
いくつかの実施態様において、固体炭素材料を作製する方法は、反応領域(例えば、キャビテーション領域)への気体の供給を終了する工程を含む。炭素材料のサイズ特性は、終了の工程後、変化してもよく、低下してもよく、または好ましくはいくつかの用途について増加してもよい。例えば、グラフェン粒子などの炭素材料粒子、またはその核は:その中のグラフェン層の数、粒子または層の長さ、粒子または層の幅、粒子または層の直径、粒子または層の厚さ、またはそれらの任意の組み合わせが増加し得る。例えば、グラフェン粒子などの炭素材料粒子、またはその核は:その中のグラフェン層の数、粒子または層の長さ、粒子または層の幅、粒子または層の直径、粒子または層の厚さ、またはそれらの任意の組み合わせが減少し得る。例えば、背圧(例えば、流体の供給を継続しつつ、キャビテーション領域から下流のバルブを閉め、そしてその中に流体を保持することによって)および/またはエッジせん断(例えば、オリフィスを流れる液体について)は、グラフェンプレートレットのサイズまたはグラフェンプレートレットにおける層の数の減少などの炭素材料のサイズ特性の低下を導き得る。いくつかの実施態様において、固体炭素材料を作製する方法は、終了の工程後60分以下(例えば、30分以下、20分以下、10分以下、5分以下、1分以下)である時間、または1~60分、2~60分、1~30分、1~20分、1~10分、または好ましくはいくつかの用途について1~5分の範囲から選ばれる時間、そして気体が反応領域(例えば、キャビテーション領域)に供給されない間、反応領域(例えば、キャビテーション領域)に分散物を保持することを含む。例えば、分散物(または、その中に分散した炭素材料を有する液体)は、気体供給が終了またはそうでなければ停止された後、反応領域(例えば、キャビテーション領域)内に循環されるかまたはそうでなければ少なくとも部分的または実質的にとどまるようにされ得る。例えば、バルブは、保持の工程の間、分散物を反応領域(例えば、キャビテーション領域)に少なくとも部分的に保持するために、反応領域(例えば、キャビテーション領域)から下流で少なくとも部分的に閉められ得る。例えば、分散物をキャビテーション領域に保持する間、分散物は、保持工程の継続時間の少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも75%の間、少なくとも部分的にまたは実質的にキャビテーションクラウド内にある。例えば、分散物をキャビテーション領域に保持する間、分散物は、保持工程の継続時間の少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも75%の間、少なくとも部分的にまたは実質的にキャビテーション気泡核生成領域内にあり得る。いくつかの実施態様において、保持工程の間、炭素材料のサイズ特性は、変化してもよく、低下してもよく、または好ましくはいくつかの用途について増加してもよい。いくつかの実施態様において、分散物における炭素材料の濃度は、気体の供給が終了された後でかつ気体が反応領域(例えば、キャビテーション領域)に供給されない間の保持の工程の間、実質的に一定のままである。いくつかの実施態様において、分散物における炭素材料の濃度は、気体の供給が終了された後の保持の工程の間、減少する。例えば、炭素材料は、気体を供給する工程の間、液体中で核を生成し得るが、炭素材料は、気体供給が止められた後、実質的に核を生成しなくなり得、にもかかわらず炭素材料の1つ以上のサイズ特性は、変化し続け得る。例えば、炭素材料の核生成の停止のせいで、炭素材料の濃度は、一定であり得るか、または例えば、炭素材粒子が融合する(例えば、凝集するおよび/または集塊する)および/または分散物に相当する液体の体積が増加する場合、減少し得る。いくつかの実施態様において、分散物を反応領域(例えば、キャビテーション領域)に保持する工程の間ならびに終了の工程後および気体が反応領域(例えば、キャビテーション領域)に供給されない間、固体炭素材料を作製する方法は、液体または分散物を脱気してその中に混入した気体の濃度を減少させる工程をさらに含む。
いくつかの実施態様において、固体炭素材料を作製する方法は、分散物から、固体または粉末形態の炭素材料を回収することを含む。回収の工程は、例えば、濾過、真空濾過、溶媒蒸発、遠心分離、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
いくつかの実施態様において、液体(例えば、水)における少なくとも1つの液体有機化合物の濃度は、1質量%~100質量%の範囲から選ばれる。実施態様において、液体における少なくとも1つの液体有機化合物の濃度は、25質量%~100質量%の範囲から選ばれる。
いくつかの実施態様において、液体における製造した固体炭素材料の濃度は、0.0025質量%~7質量%(例えば、0.0075質量%~7質量%、0.01質量%~5質量%、0.1質量%~5質量%、0.5質量%~4質量%、1質量%~3質量%、1質量%~2質量%)の範囲から選ばれる。所望の濃度は、炭素材料分散物の最終用途に依存し得る。例えば、潤滑流体について、所望の濃度は、炭素材料の実質的に約0.01質量%を有し得る。例えば、グラフェン粉末の作製について、濃度は炭素材料の実質的に約5質量%を有し得る。
いくつかの実施態様において、少なくとも1つの液体有機化合物は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機溶媒、およびそれらの任意の組み合わせを含むかまたはこれらからなる群より選ばれる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つの液体有機化合物は、サーモス(thermos)ポリウレタンTPUおよび/またはエポキシを含む。いくつかの実施態様において、少なくとも1つの液体有機化合物は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルピロリドン、d-シクロペンタジエン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、へプタン、キシレン、ジメチルスルホキシド、鉱油、モーターオイル、MOBILE 1TMモーターオイル、Syn 530モーターオイル、AMSOILTM、NonSyn、QUAKER STATETM 530、基油、水添ヒマシ油、トランスミッションオイル、ギヤオイル、植物油、炭化水素基油、添加剤添加油、添加剤無添加油(例えば、高炭素油)、灯油、ディーセル燃料、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、炭酸プロピレン、ギ酸、ブタノール、プロパノール、酢酸、オクタデセン、オレイン酸、オレイルアミン、オクタン、ジエチレングリコールエーテル、1,2-ジクロロベンゼン、酢酸メチル、テトラクロロエチレン、ジフェニルチオウレア、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、桂皮酸、トリメチルアミン、ベンゼンチオール、エタンチオール、エタンジチオール、4-アミノベンゼンチオール、アクリル酸、二硫化炭素、1,2-ジクロロベンゼン、N-メチル-2-ピロリドン、およびそれらの任意の組み合わせを含むかまたはこれらからなる群より選ばれる。
いくつかの実施態様において、気体状有機化合物は、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、アレーン、ヘテロアレーン、およびそれらの組み合わせを含むかまたはこれらからなる群より選ばれる。アルカンは、例えば、C1-20アルカン、C1-12アルカン、C1-8アルカン、C1-6アルカン、C1-4アルカンであり得る。アルケンは、例えば、C1-20アルケン、C1-12アルケン、C1-8アルケン、C1-6アルケン、C1-4アルケンであり得る。アルキンは、例えば、C1-20アルキン、C1-12アルキン、C1-8アルキン、C1-6アルキン、C1-4アルキンであり得る。シクロアルカンは、例えば、C3-10シクロアルカン、C3-6シクロアルカンであり得る。ヘテロシクロアルカンは、例えば、炭素原子およびN、S、および/またはOから選ばれる他のヘテロ原子の3~7員環を含む安定な飽和または部分的不飽和の単環式、二環式、およびスピロ環系であり得る。このようなヘテロシクロアルカンの例は、イソオキサゾール、チアゾリン、イミダゾリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、ピロール、ピロリン、ピラゾール、ピラン、ピペリジン、オキサゾール、およびモルホリンを含む。アレーンは、例えば、ベンゼンおよびナフタレンなどのC6-30アレーン、C6-18アレーン、C6-10アレーンであり得る。ヘテロアレーンは、例えば、芳香族5または6員単環式基、9または10員二環式基、または11~14員三環式基であり得、それぞれ環の少なくとも1つにおいて少なくとも1つのヘテロ原子(O、S、またはN)を有し、そして各環は少なくとも1つの炭素原子を有する。ヘテロアレーンの実例は、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ベンズイミダゾール、トリアジン、イミダゾール、(1,2,3)-および(1,2,4)-トリアゾール、ピラジン、テトラゾール、フラン、ベンゾフラン、ピロール、チエン(thiene)、イソチアゾール、チアゾール、イソオキサゾール、およびオキサジアゾール)を含む。アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、アレーン、およびヘテロアレーンは、アルキル、アリール、ハロ(F、Cl、Br、I)、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、ヒドロキシ(-OH)、チオール(-SH)、アルコキシ(-OR)、ホルミル(-C(O)H)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシアルキル(-RCOOH)、アルキルカルボキシ(-C(O)OR)、アミド(-C(O)NHまたは-NHC(O)H)、モノ-またはジアルキルアミド(-C(O)NRR’または-NRC(O)H)、アミノ、またはモノ-またはジアルキルアミノ、ここで、本明細書中で記載したようにRはアルキルであり、そしてR’は水素またはアルキルである、などの1つ以上の置換基(例えば、1~5つ、1~4つ、1~3つ、または1または2つ)で置換されていてもよい。
気体状有機化合物の例は、メタン、アセチレン、エチレン、プロパン、1,3-ブタジエン、ブタン、およびそれらの任意の組み合わせを含む。
気体状有機化合物は、使用される反応器のタイプおよび条件に適切な流量で供給される。いくつかの実施態様において、気体状有機化合物は、特に反応器が流体力学キャビテーション反応器、ベンチせん断反応器、または高速せん断反応器(例えば、Charles Ross HSM-700)である場合、反応器の反応領域において6 mL/min~15 mL/min(例えば、6 mL/min~12 mL/min、7 mL/min~10 mL/min)の範囲から選ばれる流量によって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、気体は、還元化合物(例えば、水素)、酸化化合物(例えば、酸素、オゾン、パーオキシド、または水)、不活性化合物(例えば、アルゴン、窒素)、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
いくつかの実施態様において、液体は、反応領域(例えば、キャビテーション領域)における400℃未満、300℃未満、200℃、100℃以下、80℃以下、50℃以下、40℃以下、35℃以下、および/または20℃以上のバルク温度によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、気体は、反応器における、必要に応じて反応領域(例えば、キャビテーション領域)におけるまたはその近くにおける400℃未満、300℃未満、200℃未満、100℃以下、80℃以下、50℃以下、40℃以下、35℃以下、および/または20℃以上のバルク温度によって特徴付けられる。前述の端点の任意の2つは、閉じた範囲を定義するために使用され得、または単一の端点は、開いた範囲を定義するために使用され得る。
いくつかの実施態様において、液体は、流体力学キャビテーション反応器または音波処理キャビテーション反応器のキャビテーション領域、せん断反応器、または攪拌槽反応器などの反応器の反応領域における5 L/min~200 L/min(例えば、5 L/min~100 L/min、5 L/min~50 L/min、10 L/min~200 L/min、または10 L/min~100 L/min)の範囲から選ばれる流量によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、気体は、反応領域(例えば、キャビテーション領域)における2 psi~150 psi(例えば、2~100 psi、5~100 psi、10~90 psi、20~70 psi)の範囲から選ばれる圧力で供給(例えば、注入)される。いくつかの実施態様において、反応領域(例えば、キャビテーション領域)における圧力は、10 psi~5,000 psi(例えば、200 psi~4,000 psi、1,000~3,000 psi)の範囲から選ばれる。いくつかの実施態様において、反応器はローターステーターを含み、そしてここでローターステーターは、反応器の反応領域(例えば、キャビテーション領域)において200 rpm~14,000 rpm(例えば、250~12,000 rpm、500~10,000 rpm、1,000~5,000 rpm、1,000~1,200 rpm)の範囲から選ばれる回転速度を用いて操作される。いくつかの実施態様において、反応器(例えば、キャビテーション反応器)における液体滞留時間は、0.05~20秒の範囲から選ばれる。いくつかの実施態様において、方法は、少なくとも1分、および好ましくは60分まで(例えば、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分および/または15分まで、20分まで、30分まで、40分まで、50まで)の工程時間行われる。前述の端点の任意の2つは、閉じた範囲を定義するために使用され得、または単一の端点は、開いた範囲を定義するために使用され得る。いくつかの実施態様において、反応器(例えば、キャビテーション反応器)は超音波処理反応器を含み、ここで超音波処理反応器は、20 kHz~300 kHzの超音波処理周波数および10~100%の増幅レンジで操作される。
一般に、固体炭素材料は、方法が気体を供給する工程の非存在下で別の等価な工程および条件で行われる場合、製造されない。
いくつかの実施態様において、固体炭素材料を作製する方法は、固体炭素材料を機能化して機能性固体炭素材料を提供することを含む。固体炭素材料を作製する方法のいくつかの実施態様において、分散物は第1分散物であり、炭素材料は前駆体材料であり、そしてキャビテーション反応器は第1キャビテーション反応器であり;当該方法は:該第1分散物を第2キャビテーション反応器に供給すること;該第2キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で該第1分散物中にキャビテーション気泡を形成すること;および少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体を該第2キャビテーション反応器の該キャビテーション領域に直接供給することをさらに含み;それによって該前駆体材料を第2炭素材料に変換し、該第2炭素材料は該液体中に分散した該第2炭素材料を含む第2分散物の形態であり;ここで該前駆体材料および該第2炭素材料は異なる。いくつかの実施態様において、第1キャビテーション反応器および第2キャビテーション反応器は同じである。
いくつかの実施態様において、分散物は第1分散物であり、化学反応は第1化学反応であり、気体は第1気体であり、反応器は第1反応器であり、そして固体炭素材料は前駆体材料である。このような実施態様において、当該方法は:第1分散物を第2反応器に供給すること;少なくとも1つの気体状有機化合物を含む第2気体を第2反応器の反応領域に直接供給すること;および第2反応器の反応領域において第2化学反応を誘発することをさらに含み;ここで:第2化学反応は前駆体材料を第2固体炭素材料に変換し;第2炭素材料は液体中に分散しており;そして前駆体材料および第2炭素材料は異なる。必要に応じて、第2反応器はキャビテーション反応器であり、そして誘発する工程は、本明細書中に記載したように、第2反応器の反応領域内で第1分散物中にキャビテーション気泡を形成することを含む。必要に応じて、第1反応器および第2反応器は同じである。
いくつかの実施態様において、分散物は、コロイド、懸濁液、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施態様において、炭素材料は、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素プレートレット、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、炭素材料は、硫黄およびグラフェンを含み、または六方晶窒化ホウ素およびグラフェンを含む。いくつかの実施態様において、炭素材料は、グラフェンまたはグラフェン様物質を含む。いくつかの実施態様において、炭素材料はグラフェンまたはグラフェン様物質である。いくつかの実施態様において、炭素材料はグラフェン-ポリマーナノ複合材料を含む。いくつかの実施態様において、グラフェンは、波形グラフェン、しわくちゃの(crumpled)グラフェン、穴を有するグラフェン、またはそれらの任意の組み合わせである。
いくつかの実施態様において、固体炭素材料は、10 at.%以下(例えば、7 at.%以下、5 at.%以下、1 at.%以下、0.5 at.%以下、0.1 at.%以下)(「at.%」は原子百分率である)の酸素含量によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、炭素材料は、少なくとも150:1、少なくとも175:1、少なくとも200:1、少なくとも225:1、または少なくとも249:1などの炭素:酸素原子濃度の比によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、炭素材料は実質的に酸素を含まない。いくつかの実施態様において、炭素材料は結晶性(例えば、結晶性グラフェン)である。いくつかの実施態様において、流体力学キャビテーションはミクロングラフェン-様プレートレットを生成する。いくつかの実施態様において、高せん断は結晶性グラフェン材料を生じる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、+40 mVよりも大きいかまたは-160 mVよりも小さいゼータ電位によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、+20 mVよりも大きいかまたは-20 mVよりも小さいゼータ電位によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、+30 mVよりも大きいかまたは-30 mVよりも小さいゼータ電位によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、+40 mVよりも大きいかまたは-40 mVよりも小さいゼータ電位によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、+50 mVよりも大きいかまたは-50 mVよりも小さいゼータ電位によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、+60 mVよりも大きいかまたは-60 mVよりも小さいゼータ電位によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、20 mV~100 mVの範囲から選ばれるゼータ電位の絶対値によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、20 mV~80 mVの範囲から選ばれるゼータ電位の絶対値によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、20 mV~70 mVの範囲から選ばれるゼータ電位の絶対値によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、20 mV~60 mVの範囲から選ばれるゼータ電位の絶対値によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物または分散物中の炭素材料は、20 mV~50 mVの範囲から選ばれるゼータ電位の絶対値によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、分散物は、固体炭素材料を含まない同じ液体に対して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、なおより好ましくは少なくとも30%、およびさらにより好ましくは少なくとも50%減少した摩擦係数によって特徴付けられる。
分散物中の固体炭素材料のその場形成は、流体の潤滑を増進することが発見された。増進は、固体炭素材料を含まない同じ液体に対して、摩耗痕および/または摩擦係数の減少に関して測定され得る。いくつかの実施態様において、分散物は、固体炭素材料を含まない同じ液体に対して、少なくとも3%、必要に応じて少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、なおより好ましくは少なくとも30%、およびさらにより好ましくは少なくとも50%減少した摩耗痕によって特徴付けられる。摩耗痕値は、ASTM D 4172、摩擦係数グラフを有するオイルの四球摩耗(Four Ball Wear)を含む任意の適切な技術によって測定され得る。いくつかの実施態様において、方法は、摩擦減少のために固体炭素材料または分散物を用いることをさらに含む。いくつかの実施態様において、分散物は、摩擦係数を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、および/または80%まで、70%まで、60%まで、または50%まで)減少させる。前述の端点の任意の2つは、閉じた範囲を定義するために使用され得、または単一の端点は、開いた範囲を定義するために使用され得る。いくつかの実施態様において、分散物は、分散物から炭素材料をきれにするまたは単離することなく摩擦減少のために使用される。いくつかの実施態様において、炭素材料または分散物は、バッテリー(例えば、電池負極および/または電池正極)、導電性材料、熱伝導性材料、潤滑流体、および/または熱伝導流体の一部である。必要に応じて、方法はその場摩擦減少を含む。
いくつかの実施態様において、反応器(例えば、キャビテーション反応器、攪拌槽反応器)は、冷却系を含む。いくつかの実施態様において、反応器(例えば、キャビテーション反応器、攪拌槽反応器)は、熱交換器および/または冷却装置を含む。いくつかの実施態様において、反応器(例えば、キャビテーション反応器、攪拌槽反応器)は、多数の反応領域(例えば、キャビテーション領域)を含む。いくつかの実施態様において、流体力学キャビテーション反応器は多数のオリフィスを含む。
本明細書中、液体中に分散した第1固体炭素材料を機能化するための方法であって、該液体中に分散した第1固体炭素前駆体材料が第1分散物である、方法もまた開示され、ここで当該方法は:該第1分散物を反応器の反応領域に供給する工程;ここで該液体は少なくとも1つの液体有機化合物を含み;気体を該反応器の反応領域に供給する工程;および機能化化学反応を誘発する工程を含み、ここで:該機能化化学反応は該第1炭素材料から第2炭素材料を形成し;該機能化化学反応は該反応器の反応領域において起こり;および該第2固体炭素材料は、該反応の間に第2分散物の形態で作製され、該第2分散物は該液体中に分散した該第2固体炭素材料を含む。必要に応じて、機能化化学反応は、第1固体炭素材料を化学的に、物理的に、または化学的および物理的の両方で機能化することを含む。必要に応じて、第1固体炭素材料は、酸化グラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素プレートレット、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。必要に応じて、第2固体炭素材料は、還元型酸化グラフェン、酸化グラフェン、エッジ酸化グラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素プレートレット、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。必要に応じて、第1固体炭素材料は酸化グラフェンを含み、そして第2固体炭素材料は還元型酸化グラフェンを含む。必要に応じて、第2炭素材料における酸素の原子百分率は、第1炭素材料における酸素の原子百分率よりも少なくとも50%小さい。必要に応じて、機能化化学反応は、第1固体炭素材料を酸化することを含み、その結果、第2固体炭素材料は水に可溶である。必要に応じて、液体は水を含み、そして第2分散物は、水中の第2炭素材料の水性分散物である。必要に応じて、機能化化学反応は、酸素原子を第1固体炭素材料に加えること、酸素原子を第1固体炭素材料から除去すること、炭素原子を第1固体炭素材料に加えること、窒素原子を第1固体炭素材料に加えること、硫黄原子を第1固体炭素材料に加えること、またはそれらの組み合わせを含む。必要に応じて、気体は、酸素、水蒸気、水素、窒素、二酸化硫黄、CO2、オゾン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。必要に応じて、反応器はキャビテーション反応器であり、そして反応領域はキャビテーション領域であり;方法は、キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で液体中にキャビテーション気泡を形成することを含み;そして気体はキャビテーション領域に直接注入される。必要に応じて、第1固体炭素材料は、機能化化学反応の間、固体基質と化学的に関連していない。必要に応じて、気体は少なくとも1つの気体状有機化合物(例えば、メタン、アセチレン、エチレン、プロパン、1,3-ブタジエン、ブタン、およびそれらの組み合わせ)を含む。
局面において、本明細書中、液体中に分散した材料を機能化するための方法であって、該液体中に分散した材料が第1分散物である、方法もまた開示され、当該方法は:該第1分散物をキャビテーション反応器に供給する工程;ここで該液体は少なくとも1つの液体有機化合物を含み;流体力学キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で該液体中にキャビテーション気泡を形成する工程;および少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体を該キャビテーション反応器のキャビテーション領域に直接供給する工程を含み;それによって該材料を機能化して第2分散物を形成し、該第2分散物は該液体中に分散した機能性材料を含む。いくつかの実施態様において、材料を機能化することは、材料を化学的に、物理的に、または化学的および物理的の両方で機能化することを含む。いくつかの実施態様において、材料は、グラフェン、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、六方晶窒化ホウ素、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、機能性材料は酸化グラフェンを含む。いくつかの実施態様において、機能化することは、酸素原子を材料に加えること、酸素原子を材料から除去すること、窒素原子を材料に加えること、硫黄原子を材料に加えること、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、気体は、酸素、水蒸気、水素、窒素、二酸化硫黄、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、気体は、気体を供給する工程の間、キャビテーション領域に直接供給される。いくつかの実施態様において、キャビテーション気泡を形成する工程および気体を供給する工程は、同時にまたはほぼ同時に行われる(例えば、5分以内、4分以内、2分以内、1分以内、30秒以内)。いくつかの実施態様において、キャビテーション気泡を形成する工程は、キャビテーション気泡を核生成することを含む。いくつかの実施態様において、気体を供給する工程の間、気体は、キャビテーション気泡核生成領域に直接供給されるかまたはキャビテーション気泡核生成領域の1 mm以内に供給され、キャビテーション気泡核生成領域は、形成する工程の間のキャビテーション反応におけるキャビテーション気泡の核生成に相当する。いくつかの実施態様において、形成工程は、反応器のキャビテーション領域においてキャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み、ここで気体は、キャビテーションクラウド内部に直接供給されるかまたは該キャビテーションクラウドの1 mm以内に供給される。いくつかの実施態様において、材料を機能化する方法は、気体の供給を終了することおよびキャビテーション領域において分散物を保持することを含み、その間に気体はキャビテーション領域に供給されない。いくつかの実施態様において、キャビテーション領域において分散物を保持する工程の間および終了する工程後でかつ気体がキャビテーション領域に供給されない間、機能化する方法は、分散物を脱気してそこに混入した気体の濃度を減少させる工程をさらに含む。
いくつかの実施態様において、流体力学キャビテーション反応器はプレ-キャビテーション領域およびオリフィス領域を含み、ここでオリフィス領域はプレ-キャビテーション領域とキャビテーション領域との間にある。オリフィス領域は少なくとも1つのオリフィスを含み、その結果、液体は、プレ-キャビテーション領域から少なくとも1つのオリフィスを通ってキャビテーション領域に流れる。換言すると、液体を供給する工程の間、液体はプレ-キャビテーション領域に供給され得、その結果、液体は続いてプレ-キャビテーション領域から少なくとも1つのオリフィスを通ってキャビテーション領域に流れる。少なくとも1つのオリフィスのそれぞれは、プレ-キャビテーション領域の内径よりも小さいオリフィス内径によって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのオリフィスのすぐ外側のキャビテーション領域の内径は、オリフィスのオリフィス内径よりも大きい。いくつかの実施態様において、気体は、少なくとも1つのオリフィスの端部(例えば、出口)の1 mm以内(例えば、0.8 mm以内、0.6 mm以内、0.5 mm以内、0.3 mm以内、0.2 mm以内)に供給されるかまたは該端部に直接供給される(例えば、1つ以上の気体供給管が途切れ、そしてそこへ気体を供給する)。
本明細書中、本明細書中で開示した方法の実施態様の任意の1つまたはそれらの任意の組み合わせを含む固体炭素材料またはその分散物を製造するための方法もまた開示され、固体炭素材料を製造するための方法および材料を機能化するための方法を含む。本明細書中、本明細書中で開示した方法の実施態様の任意の1つまたはそれらの任意の組み合わせを含む固体炭素材料を機能化するための方法もまた開示され、固体炭素材料を製造するための方法および材料を機能化するための方法を含む。
本明細書中、固体炭素材料を製造するための方法が含まれ、これらは種々の反応器技術と適合性がある。一般に、そしていかなる特定の理論によっても束縛されることを望まないが、本明細書中で開示した方法に使用可能な反応器は、固体炭素材料を作製するために気液物質移動を含む化学反応を促進する。固体炭素材料を作製するために気液物質移動を含む化学反応を促進する反応器は、本明細書中「気液物質移動反応器」と呼ばれる。本明細書中に記載のようなキャビテーション反応器は、固体炭素材料を作製するために気液物質移動を含む化学反応を促進する例示的な気液物質移動反応器であり得る。本明細書中に記載のようなせん断反応器は、固体炭素材料を作製するために気液物質移動を含む化学反応を促進する例示的な気液物質移動反応器であり得る。ある実施態様において、気体-誘発撹拌機などのかき混ぜ機を含む本明細書中に記載のような攪拌槽反応器は、せん断を生じて固体炭素材料を作製するために気液物質移動を含む化学反応を促進し得る。本明細書中に記載の実施態様に従って気液物質移動反応器として使用され得る関連する反応器は:撹拌または回転槽反応器(タービン、モノリス、およびフォーム反応器を含む)、管回転反応器(充填床、ジグザグ床、流動床、Taylor-Couette、およびチューブインチューブ反応器を含む)、回転ディスク反応器(ローターステーター、薄膜、および回転ディスク反応器を含む)、衝撃波反応器、および連続流反応器を含むが、これらに限定されない。
しかし、キャビテーション反応器および攪拌槽反応器などの本明細書中に記載の反応器は、例えば、必ずしも気液物質移動反応器ではなく、または固体炭素材料を作製するために気液物質移動を含む化学反応を促進する方法で使用される必要は必ずしもない(本質的でない)ことに留意すべきである。本明細書中で開示した方法は、本明細書中で記載した方法と適合可能であるよう構成され得る反応器において固体炭素材料を作製するために気液物質移動を促進する方法を記載する。
いかなる特定の理論によっても束縛されることを望まないが、本明細書中で使用される気液物質移動プロセスまたは機構は3つの工程:(3)グラフェン様物質またはオニオン-様炭素(OLC)のような固体炭素材料を作製する(2)化学反応を生じさせる(1)気液物質移動を含み得る。気液物質移動は、ある条件下で化学反応を生じさせる物理的現象である。これらの反応は、拡散した気体分子が気体-液体界面で交換されると起こる。固体炭素材料の作製を促進するため、本明細書中の実施態様に従って、気体は好ましくは液体中に分散し、小さい気体気泡を有する。より小さい気泡は、界面でより大きい表面積を生成し、そしてそれゆえ液体へのより大きい気体移動を生じる(例えば、Sideman et al., Ind. Eng. Chem. 1966, 58, 7, 32-47を参照)。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望まないが、「化学反応を伴う物質移動」の現象は、1つの相がそれと化学平衡にない1つ以上の他の相と接触するときはいつでも起こる。この現象は、工業的、生物学的、および生理学的重要性を有する。化学プロセス工学において、それは、分離プロセスおよび反応工学の両方において遭遇する。いくつかの場合において、化学反応は、物質移動の速度を加速するためおよび/または溶媒の能力を増加させるために意図的に使用され得;他の場合において、多相反応系は、製品形成の特定の目的を有するプロセスの一部である。
いかなる特定の理論によっても束縛されることを望まないが、気液物質移動反応器は、高温、熱またはエクストリーム混合(heat or extreme mixing)、せん断、またはそれぞれの組み合わせの条件を加えることによって気体の液体への移動を加速する。多数の気体-液体移動反応器技術が開発されており、これらのいくつかは、パイロット規模システムであり(Visscher et al., Chemical Engineering Research And Design, 2013, 91, 1923-1940)、その他は、工業的水処理、液体触媒水素化、およびCO2気体の反応性溶媒との反応によるCO2の除去などの工業規模システムである(Numerical Gas-Liquid Mass Transfer : Application In Water Treatment Process And Experimental Validation, October 1999, Conference: Second European Congress Of Chemical Engineering (Ecce2), At: Montpellier, France;Yuea et al., Chinese Academy Of Sciences, Beijing 100039, 21 December 2006 Available Online 17 January 2007、およびIntroduction To Modeling Of Mass Transfer Processes, P. A. Ramachandran, March 14, 2018)。
気体を液体と反応させる場合、物質移動は化学反応と同時に起こる。このような状況において、化学反応速度論は物質輸送と合わされ、これは、もはや単純な化学反応ではなく、むしろ複雑な化学-物理プロセスであることを意味する。反応器および種々の操作パラメーターに依存して、プロセスは、拡散速度が制限されるまたは反応速度が制限される傾向があり得る。例えば、プロセスは、第1に流体に気体を気泡として注入すること、これは拡散によって制限され、続いて気泡における流体と気体との界面での反応を必要とすると考えられ得る。
基本的な化学工学理論は、例えば攪拌槽反応器システムにおけるように、かき混ぜ、せん断、または混合の程度と全体の結果(K overall)との間の直線関係を仮定する。かき混ぜのより低い速度で、プロセスは制限された「拡散」速度であるが、かき混ぜのあるレベルで、結果が頭打ちになりそして「反応」速度が制限される遷移帯が存在する。これは、図22、例えば、Jonathan Wostell, 2016による書籍「Scaling Chemical Processes, Practical Guides in Chemical Engineering」からのK overall対かき混ぜ機rpmの図に説明されている。
気体が液体に可溶である程度を説明することもまた重要である。気体が液体に難溶である場合、プロセスは、拡散速度が制限される傾向がある。
前述および以下の議論から分かるように、特にグラフェンおよびグラフェン様物質を含む固体炭素材料を作製するための従来の技術に対する本明細書中に記載の方法およびシステムの顕著な改善は、例えば、固体炭素材料がその場分散物の形態で作製されることである。換言すると、作製されるようにおよび作製されると、固体炭素材料はホスト液体中に分散している。対照的に、化学蒸着を利用する技術などのグラフェンを作製するためのある従来の技術は、グラフェンを固体基質上に、またはそうでなければ固体基質と物理的および/または化学的に関連して形成する。このような従来の技術によれば、グラフェンの分散物を得ることは、続いて該基質からグラフェンを取り外し、そして次いでグラフェンを液体に分散させることを必要とし、それによってその場分散物を作製しない。グラフェン、または他の固体炭素材料の分散物は、潤滑を含むがこれに限定されない種々の用途に有用である。さらに、分散物は、最終使用が粉末形態の固体炭素材料を必要とする場合でさえ、乾燥固体粉末よりも作業するのがより容易でかつ安全であり得る。さらに、分散物を乾燥または濾過することは、固体粉末を溶媒に分散させるのに必要とされる化学よりも容易でかつ安価であり得る。従って、本明細書中で開示した方法は、複数工程よりもむしろ単一工程で製造され得る固体炭素材料を含むその場分散物を提供することにより有利である。実施態様において、本発明は、液体中に少なくとも1つの固体炭素材料を含む分散物を提供し、ここで少なくとも1つの固体炭素材料は、本明細書中で記載した方法のいずれかに従って製造される。固体炭素材料および液体は、通して記載した通りである。いくつかの実施態様において、分散物は安定であると記載され得、その結果、固体炭素材料粒子は、常温常圧(NTP)および空気への曝露下、所定の期間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも5時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、または少なくとも1週間)、分散物中に分散したままであり、そして分散物の液体から沈降または沈殿しない。
以下の記載を通して、流体力学キャビテーション反応器および流体力学キャビテーション反応器を使用する方法が記載される。前述から明らかなように、本明細書中で使用されそして記載される流体力学キャビテーション反応器は、固体炭素材料を作製するためおよび機能化するための本明細書中で開示した方法と適合可能である気液物質移動反応器の一部である。
本明細書中で開示した方法に有用な例示的な流体力学キャビテーション反応器100の一部が図1に説明される。流体力学キャビテーション反応100は、本明細書中のある実施態様による固体炭素材料を作製するための例示的な反応器である。流体力学キャビテーション反応器100はプレ-キャビテーションチャンバー102を含み、その内部体積はプレ-キャビテーション領域104に相当する。プレ-キャビテーションチャンバー102は、オリフィスプレート106に操作可能に接続される。オリフィスプレート106は、オリフィス領域108を有するオリフィス110を含む。オリフィスプレート106は、キャビテーションチャンバー112に操作可能に接続される。キャビテーションチャンバー112の内部体積は、キャビテーション領域114に相当する。プレ-キャビテーションチャンバー102とオリフィスプレート106とキャビテーションチャンバー112との間の操作可能な接続は、液体流れ方向矢印122(I)および122(II)によって説明されるように、プレ-キャビテーションチャンバー102のプレ-キャビテーション領域104に供給される液体120が、プレ-キャビテーション領域104からオリフィス110のオリフィス領域108を通ってキャビテーションチャンバー112のキャビテーション領域114に流れることを可能にする。オリフィス領域108からキャビテーション領域114に移行する液体120に関する突然の圧力変化は、キャビテーション気泡核生成領域116でのキャビテーション気泡118の形成を引き起こす。キャビテーション気泡核生成領域116を含むキャビテーション領域114は、反応器の「反応領域」に相当する。キャビテーション領域114はキャビテーション気泡核生成領域116を含む。例えば、キャビテーション気泡は、オリフィス110とキャビテーションチャンバー112との間の界面で直ちに核生成する。流体力学キャビテーション反応器100は、気体126をキャビテーション領域114に供給するための、例えばキャビテーション気泡核生成領域116に直接供給するための気体供給管124(I)および124(II)をさらに含む。気体流れ方向矢印128(I)および128(II)は、気体供給の方向を示す。必要に応じて、反応器100は、1つの気体供給管または2つより多い気体供給管を含む。必要に応じて、反応器100は、1つより多いオリフィス110を含む。本明細書中で開示した方法に有用な流体力学キャビテーション反応器は、当該分野で公知の流体力学キャビテーション反応器の特徴および構成を含む他の構成を有し得る。
本明細書中、出発炭素材料(例えば、黒鉛材料)なしで、流体力学キャビテーション反応器のキャビテーションクラウドにおいてその場炭素材料を生成する方法が含まれる。これは、気体をキャビテーションオリフィスの背面(例えば、出口)に注入することによって達成され、ここでキャビテーション気泡が形成される。これは、基本的に、付加的な製造プロセスであり、ここで新たな炭素材料の形成および構築がある。炭素材料のタイプ、体積、サイズ、および体積は、溶媒、気体、実行時間、気体圧力、流量、および/またはオリフィス構成の選択によって同時決定される。気体を供給した反応器はまた、出発黒鉛材料を用いて実行され、さらなる材料を形成し得るかまたは存在するグラフェンから物理的欠陥を除去し得る。プロセスはまた、種々の気体を用いて実行され、グラフェン、六方晶ホウ素、または他の炭素-様材料を機能化し得る。従来のプロセスと比較して、本明細書中で開示した方法は、数時間よりもむしろ、数分、または数秒でさえ行うことができ、低コストであり、最小限の望ましくない化学物質を使用し、より少ないエネルギーを使用し、および/または非常に拡張性がある。
流体力学キャビテーション反応器は、種々の化学および物理反応を生成するための特別の環境であるキャビテーションクラウドを生成する。キャビテーションクラウドは、高圧下の液体がオリフィスなどの制限するものを通過するので圧力の突然の低下がある場合、生成される。キャビテーションクラウドは、オリフィスの出口で形成される数百万の微小気泡からなる。キャビテーション気泡は3つの段階を通過する:1)気泡形成;2)短命の局所的なホットスポットを発生する非常に迅速な気泡圧縮、および3)膨大な量のエネルギーを生成する気泡崩壊。実験的結果は、キャビテーション気泡崩壊として、それらが内部温度約5000 K、おおよそ14,700 psiの圧力、および1010 K/sを超える加熱および冷却速度を生じることを示した。これらの温度および圧力変化は、数ナノ秒未満続き、そしてキャビテーションクラウドにおける数百万の位置で起こる(例えば、Understanding Hydrodynamic Cavitation Reportを参照。https://www.researchgate.net/publication/314034417_Understanding_Hydrodynamic_Cavitation_Reportから入手可能; 2018年6月28日に最後にアクセスした)。これらの激しいマイクロ反応器条件は、周囲条件(バルク温度に相当)下で行った。比較して、伝統的な反応器においてこのような高温および高圧環境を発生させることは、非常にコストがかかるものであり得る。
炭素流体が単独でまたは混入した炭素気体と組み合わせて流体力学キャビテーションまたはせん断または流体力学キャビテーションおよびせん断の組み合わせに供される場合、炭素材料(例えば、グラフェン様物質)はその場で形成されることが発見された。方法は、とりわけ、高炭素気体を、キャビテーション気泡が形成される場所の極めて近くで、すなわちオリフィスの裏側で高炭素流体に注入することを含む。本明細書中で使用されるオリフィスの「裏側」は、そこを通って流れる液体に関してオリフィスの出口点に相当し、または換言すると、キャビテーションチャンバーに面しているオリフィスの側、すなわちそれらの間の界面に相当する。
気体をオリフィスの前で(例えば、プレ-キャビテーションチャンバー中、オリフィスとプレ-キャビテーションチャンバーとの間の界面で/近くで、および/またはキャビテーションチャンバーへのオリフィスの入口で)注入することも可能であるが、炭素の形成はずっと少ない。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、キャビテーション気泡が形成される場所で気体を濃縮することは、キャビテーションクラウドにおける気体の分散物を最大にし、これは次に炭素材料の形成を増加させると考えられる。
気体を流体力学キャビテーション反応器に導入する従来の方法は、キャビテーションオリフィスの前に気体をバブリングするかまたは注入することであり、これは混入した(吸収されたまたは溶解した)気体を生成する。オリフィスの前に気体を導入する伝統的な方法は、吸着した気体を維持しないことが発見された。流体をオリフィスに通すことは、実際に気体を流体から除去する。これは、流体を脱気するために使用される従来の流体力学キャビテーション反応器によって実証される。
エタノールにアセチレンを(すなわち、キャビテーションオリフィスの前に)バブリングする伝統的な方法が使用される場合、ごく少量のグラフェン様物質が形成される。対照的に、気体がオリフィスの後方でキャビテーションクラウドに直接注入される場合、豊富なグラフェンが形成される。
さらに、炭素材料はその場で生成されるので、グラフェン粉末を生成し、そして次いで粉末を液体に再分散させる2工程のプロセスを排除することができる。例えば、炭素プレートレットは、液体(例えば、鉱油またはプロピレングリコール)中で形成されそして保持され得る。
グラフェン粉末を再分散させることに関する問題は、コロイド分散物を従来の方法で生成することが困難なことである。これは、まさにグラフェンを粉末にする行為がグラフェンプレートの間にファンデルワールス結合を生成し、これによりグラフェンプレートレットが再積み重ねされるからである。粉末を別の流体に再分散させることは、一般に、せん断、音波処理または流体力学キャビテーションの形成を必要とする。その場合にも、ナノ-様コロイド分散物を達成することは困難である。炭素を含む流体中にグラフェンを残すことができない用途において、グラフェン材料は濾過または遠心分離のいずれかによって回収され得る。
本発明は、以下の実施態様によってさらに説明される。
(実施態様1)固体炭素材料を作製するための方法であって:少なくとも1つの液体有機化合物を含む液体をキャビテーション反応器に供給すること;キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で液体中にキャビテーション気泡を形成すること;および少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体をキャビテーション反応器のキャビテーション領域に供給すること;それによって、液体中に分散した炭素材料を含む分散物の形態の炭素材料を作製することを含む、方法。
(実施態様2)キャビテーション反応器が、流体力学キャビテーション反応器、せん断反応器、超音波キャビテーション反応器、または多機能反応器である、実施態様1の方法。
(実施態様3)キャビテーション反応器が流体力学キャビテーションおよびせん断を含む;またはキャビテーション反応器が超音波キャビテーションおよびせん断を含む、実施態様2の方法。
(実施態様4)キャビテーション反応器が流体力学キャビテーションおよびローターステーター反応器を含む;またはキャビテーション反応器が超音波キャビテーションおよびローターステーター反応器を含む、実施態様2の方法。
(実施態様5)キャビテーション反応器が、ローターステーター反応器、ベンチせん断反応器、高速せん断反応器、流体力学キャビテーション反応器、オリフィス反応器、回転充填床反応器、回転ディスク反応器、衝突流反応器、超音速気体-固体反応器、超音波処理反応器、プローブ音波処理反応器、せん断ミキサー反応器、またはこれらの組み合わせを含む、実施態様2の方法。
(実施態様6)気体を供給することが、気体を混入させること、気体を注入すること、またはこれらの組み合わせを含む、実施態様1-5のいずれか1つの方法。
(実施態様7)気体が液体に混入される、実施態様6の方法。
(実施態様8)気体が液体に注入される、実施態様6の方法。
(実施態様9)気体が液体にバブリングされる、実施態様8の方法。
(実施態様10)気体が、気体を供給する工程の間、キャビテーション領域に直接供給される、実施態様1-9のいずれか1つの方法。
(実施態様11)キャビテーション気泡を形成する工程および気体を供給する工程が同時にまたはほぼ同時に行われる、実施態様1-10のいずれか1つの方法。
(実施態様12)気体を供給する工程の間、気体がキャビテーション気泡核生成領域に直接供給されるかまたはキャビテーション気泡核生成領域の1 mm以内に供給され、該キャビテーション気泡核生成領域が、形成する工程の間の流体力学キャビテーション反応におけるキャビテーション気泡の核生成に相当する、実施態様1-11のいずれか1つの方法。
(実施態様13)形成工程が、反応器のキャビテーション領域においてキャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み、ここで気体が、該キャビテーションクラウド内部に直接供給されるかまたは該キャビテーションクラウドの1 mm以内に供給される、実施態様1-12のいずれか1つの方法。
(実施態様14)分散物が反応器のキャビテーション領域において形成される、実施態様1-13のいずれか1つの方法。
(実施態様15)形成工程が、キャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み;ここで炭素材料が、キャビテーションクラウド内で形成される、実施態様1-14のいずれか1つの方法。
(実施態様16)液体が、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に炭素材料を実質的に含まない、実施態様1-15のいずれか1つの方法。
(実施態様17)液体が、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に、固体粒子を実質的に含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない、実施態様1-16のいずれか1つの方法。
(実施態様18)炭素材料の形成が、液体中のキャビテーション気泡の形成後1分以内に起こる、実施態様1-17のいずれか1つの方法。
(実施態様19)炭素材料の核生成が、気体がキャビテーション領域に供給される間、キャビテーション気泡核生成領域の0.3 mm以内でキャビテーション気泡の核生成後1分以内に起こる、実施態様1-18のいずれか1つの方法。
(実施態様20)キャビテーション反応器が、プレ-キャビテーション領域およびオリフィス領域を有する流体力学キャビテーション反応器を含み、ここで該オリフィス領域が、該プレ-キャビテーション領域とキャビテーション領域との間にあり;該オリフィス領域が少なくとも1つのオリフィスを含み、それにより液体が該少なくとも1つのオリフィスを通って該プレ-キャビテーション領域から該キャビテーション領域へと流れ;ここで該少なくとも1つのオリフィスのそれぞれが、該プレ-キャビテーション領域の直径よりも小さいオリフィス直径によって特徴付けられる、実施態様1-19のいずれか1つの方法。
(実施態様21)気体が、少なくとも1つのオリフィスのキャビテーション端部に直接供給されるかまたは少なくとも1つのオリフィスの端部の1 mm以内に供給され;該少なくとも1つのオリフィスのキャビテーション端部が、キャビテーション反応器のキャビテーション領域に最も近い少なくとも1つのオリフィスの端部である、実施態様20の方法。
(実施態様22)気体のキャビテーション領域への供給を終了する工程をさらに含み;ここで該終了する工程後、炭素材料のサイズ特性が増加する、実施態様1-21のいずれか1つの方法。
(実施態様23)終了する工程後でかつ気体がキャビテーション領域に供給されない間、60分以下の時間分散物をキャビテーション領域に保持することをさらに含み;ここで該保持する工程の間、炭素材料のサイズ特性が増加する、実施態様22の方法。
(実施態様24)キャビテーション領域において分散物を保持する工程の間および終了する工程後でかつ気体がキャビテーション領域に供給されない間、分散物を脱気してそこに混入した気体の濃度を減少させる工程をさらに含む、実施態様23の方法。
(実施態様25)分散物中の炭素材料の濃度が、終了する工程後でかつ気体がキャビテーション領域に供給されない間、実質的に一定である、実施態様22-24のいずれか1つの方法。
(実施態様26)固体炭素材料を分散物から固体または粉末形態で回収することをさらに含み、該回収する工程が、濾過、真空濾過、溶媒蒸発、遠心分離、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様1-25のいずれか1つの方法。
(実施態様27)液体中の少なくとも1つの液体有機化合物の濃度が、1質量%~100質量%の範囲から選ばれる、実施態様1-26のいずれか1つの方法。
(実施態様28)分散物中の固体炭素材料の濃度が0.0025質量%~7質量%である、実施態様27の方法。
(実施態様29)少なくとも1つの液体有機化合物が、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機溶媒、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様1-28のいずれか1つの方法。
(実施態様30)少なくとも1つの液体有機化合物が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルピロリドン、d-シクロペンタジエン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、へプタン、キシレン、ジメチルスルホキシド、鉱油、モーターオイル、MOBILE 1TMモーターオイル、Syn 530モーターオイル、AMSOILTM、NonSyn、QUAKER STATETM 530、基油、水添ヒマシ油、トランスミッションオイル、ギヤオイル、植物油、炭化水素基油、添加剤添加油、添加剤無添加油(例えば、高炭素油(HCO)、灯油、ディーセル燃料、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、炭酸プロピレン、ギ酸、ブタノール、プロパノール、酢酸、オクタデセン、オレイン酸、オレイルアミン、オクタン、ジエチレンFグリコールエーテル、1,2-ジクロロベンゼン、酢酸メチル、テトラクロロエチレン、ジフェニルチオウレア、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、桂皮酸、トリメチルアミン、ベンゼンチオール、エタンチオール、エタンジチオール、4-アミノベンゼンチオール、アクリル酸、二硫化炭素、1,2-ジクロロベンゼン、N-メチル-2-ピロリドン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様1-29のいずれか1つの方法。
(実施態様31)気体状有機化合物が、メタン、アセチレン、エチレン、プロパン、1,3-ブタジエン、ブタン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様1-30のいずれか1つの方法。
(実施態様32)液体が400℃未満のバルク温度によって特徴付けられる、実施態様1-31のいずれか1つの方法。
(実施態様33)気体が400℃未満のバルク温度によって特徴付けられる、実施態様1-32のいずれか1つの方法。
(実施態様34)液体が、キャビテーション反応器のキャビテーション領域における5 L/min~200 L/minの範囲から選ばれる流量によって特徴付けられる、実施態様1-33のいずれか1つの方法。
(実施態様35)気体が2 psi~150 psiの範囲から選ばれる圧力でキャビテーション反応器のキャビテーション領域に注入される、実施態様1-34のいずれか1つの方法。
(実施態様36)キャビテーション領域における圧力が10 psi~5,000 psiの範囲から選ばれる、実施態様1-35のいずれか1つの方法。
(実施態様37)キャビテーション反応器がローターステーターを含み、そしてここでローターステーターが、キャビテーション反応器のキャビテーション領域において200 rpm~14,000 rpmの範囲から選ばれる回転速度を用いて操作される、実施態様1-36のいずれか1つの方法。
(実施態様38)キャビテーション反応器における液体滞留時間が0.05~20秒の範囲から選ばれる、実施態様1-37のいずれか1つの方法。
(実施態様40)方法が1~60分の範囲から選ばれる工程時間行われる、実施態様1-38のいずれか1つの方法。
(実施態様41)キャビテーション反応器が超音波処理反応器を含み、そしてここで超音波処理反応器が、20 kHz~300 kHzの超音波処理周波数および10~100%の増幅レンジで操作される、実施態様1-39のいずれか1つの方法。
(実施態様42)方法が気体を供給する工程なしで他の等価な工程および条件で行われる場合、固体炭素材料が作製されない、実施態様1-40のいずれか1つの方法。
(実施態様43)分散物または分散物中の炭素材料が、+40 mVより大きいかまたは-160 mVより小さいゼータ電位によって特徴付けられる、実施態様1-41のいずれか1つの方法。
(実施態様44)分散物または分散物中の炭素材料が、+40 mVより大きいかまたは-40 mVより小さいゼータ電位によって特徴付けられる、実施態様1-42のいずれか1つの方法。
(実施態様45)分散物中の固体炭素材料における炭素の濃度(原子濃度)が92~99質量%の範囲から選ばれる、実施態様1-43のいずれか1つの方法。
(実施態様45)分散物がコロイド、懸濁液、またはそれらの組み合わせである、実施態様1-44のいずれか1つの方法。
(実施態様46)炭素材料が、グラフェン、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様1-45のいずれか1つの方法。
(実施態様47)複合材料が、硫黄およびグラフェンを含むか、または六方晶窒化ホウ素およびグラフェンを含む、実施態様46の方法。
(実施態様48)炭素材料がグラフェンを含む、実施態様1-47のいずれか1つの方法。
(実施態様49)炭素材料がグラフェンである、実施態様48の方法。
(実施態様50)炭素材料がグラフェン-ポリマーナノ複合材料を含む、実施態様1-49のいずれか1つの方法。
(実施態様51)グラフェンが、波形グラフェン、しわくちゃのグラフェン、穴を有するグラフェン、またはそれらの任意の組み合わせである、実施態様46-50のいずれか1つの方法。
(実施態様52)炭素材料が7 at.%以下の酸素含量によって特徴付けられる、実施態様1-51のいずれか1つの方法。
(実施態様53)摩擦減少のために炭素材料または分散物を用いることをさらに含む、実施態様1-52のいずれか1つの方法。
(実施態様54)分散物が摩擦係数を少なくとも5%減少させる、実施態様53の方法。
(実施態様55)分散物が、分散物から炭素材料をきれにするまたは単離することなく摩擦減少のために使用される、実施態様53または54の方法。
(実施態様56)固体炭素材料または分散物を用いて電池負極および/または電池正極を強化することをさらに含む、実施態様1-55のいずれか1つの方法。
(実施態様57)炭素材料を機能化して機能性炭素材料を提供することをさらに含む、実施態様1-56のいずれか1つの方法。
(実施態様58)分散物が第1分散物であり、炭素材料が前駆体材料であり、そしてキャビテーション反応器が第1キャビテーション反応器であり;当該方法が:該第1分散物を第2キャビテーション反応器に供給すること;該第2キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で該第1分散物中にキャビテーション気泡を形成すること;および少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体を該第2キャビテーション反応器の該キャビテーション領域に直接供給することをさらに含み;それによって該前駆体材料を第2炭素材料に変換し、該第2炭素材料が該液体中に分散した該第2炭素材料を含む第2分散物の形態であり;ここで該前駆体材料および該第2炭素材料が異なる、実施態様1-57のいずれか1つの方法。
(実施態様59)第1流体力学キャビテーション反応器および第2流体力学キャビテーション反応器が同じである、実施態様58の方法。
(実施態様60)液体中に分散した材料を機能化するための方法であって、該液体中に分散した材料が第1分散物であり、ここで当該方法が:該第1分散物をキャビテーション反応器に供給する工程;ここで該液体が少なくとも1つの液体有機化合物を含み;キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で液体中にキャビテーション気泡を形成する工程;および少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体を該キャビテーション反応器のキャビテーション領域に直接供給する工程を含み;それによって該材料を機能化して第2分散物を形成し、該第2分散物が該液体中に分散した機能性材料を含む、方法。
(実施態様61)材料を機能化することが、材料を化学的に、物理的に、または化学的および物理的の両方で機能化することを含む、実施態様60の方法。
(実施態様62)材料が、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様60または実施態様61の方法。
(実施態様63)機能性材料が酸化グラフェンを含む、実施態様60-62のいずれか1つの方法。
(実施態様64)機能化することが、酸素原子を材料に加えること、酸素原子を材料から除去すること、窒素原子を材料に加えること、硫黄原子を材料に加えること、またはそれらの組み合わせを含む、実施態様60-63のいずれか1つの方法。
(実施態様65)気体が、酸素、水蒸気、水素、窒素、二酸化硫黄、CO2、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様60-64のいずれか1つの方法。
(実施態様66)実施態様60-65のいずれか1つの方法によって調製される機能性材料。
本発明は、以下の追加の実施態様によってさらに説明される:
(実施態様101)少なくとも1つの液体有機化合物を含む液体を反応器の反応領域に供給すること;少なくとも1つの気体状有機化合物を含む気体を該反応器の該反応領域に供給すること;および該少なくとも1つの液体有機化合物と該少なくとも1つの気体状有機化合物との間に化学反応を誘発することを含み、ここで:該化学反応が該反応器の該反応領域において起こり;該固体炭素材料が該反応によって作製され;該固体炭素材料が、該反応の間に、該液体中に分散した該固体炭素材料を含む分散物の形態で作製され;および該化学反応が、該反応器の該反応領域における該固体炭素材料の均一核生成を含む均一反応である、固体炭素材料を作製するための方法。
(実施態様102)化学反応が気液物質移動を含む、実施態様101の方法。
(実施態様103)気体の組成が液体の組成とは異なる、実施態様101-102のいずれか1つの方法。
(実施態様104)少なくとも1つの気体状化合物の組成が少なくとも1つの液体有機化合物の組成とは異なる、実施態様101-103のいずれか1つの方法。
(実施態様105)化学反応が触媒上でまたは触媒において起こらない、実施態様101-104のいずれか1つの方法。
(実施態様106)固体基質上での固体炭素材料の不均一核生成を含まない、実施態様101-105のいずれか1つの方法。
(実施態様107)液体を供給する工程が、反応領域への第1入力ストリームによって行われ、および気体を供給する工程が、反応領域への第2入力ストリームよって行われ;ここで該第1ストリームパスおよび第2入力ストリームが異なりかつ物理的に分離している、実施態様101-106のいずれか1つの方法。
(実施態様108)液体を供給する工程および気体を供給する工程が同時に行われる、実施態様101-107のいずれか1つの方法。
(実施態様109)気体を供給する工程が、液体を反応領域に供給した後に行われる、実施態様101-107のいずれか1つの方法。
(実施態様110)固体炭素材料が、反応領域に存在する間、液体中に分散したままである、実施態様101-109のいずれか1つの方法。
(実施態様111)液体が、液体を供給する工程の間ならびに気体を供給する工程および化学反応を誘発する工程の前に実質的に固体炭素材料を含まない、実施態様101-110のいずれか1つの方法。
(実施態様112)液体が、液体を供給する工程の間ならびに気体を供給する工程および化学反応を誘発する工程の前に実質的に固体粒子を含まず、かつ実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない、実施態様101-111のいずれか1つの方法。
(実施態様113)固体炭素材料が反応器の反応領域においてのみ形成される、実施態様101-112のいずれか1つの方法。
(実施態様114)方法が気体を供給する工程なしで他の等価な工程および条件で行われる場合、固体炭素材料が作製されない、実施態様101-113のいずれか1つの方法。
(実施態様115)気体を供給することが、気体を混入させること、気体を注入すること、またはこれらの組み合わせを含む、実施態様101-114のいずれか1つの方法。
(実施態様116)気体が加圧下で液体に混入される、実施態様115の方法。
(実施態様117)気体が液体に注入される、実施態様115の方法。
(実施態様118)気体が液体にバブリングされる、実施態様115の方法。
(実施態様119)気体が、気体を供給する工程の間、反応領域に直接供給される、実施態様101-18のいずれか1つの方法。
(実施態様120)気体を供給する工程および化学反応を誘発する工程が同時にまたはほぼ同時に行われる、実施態様101-119のいずれか1つの方法。
(実施態様121)少なくとも1つの液体有機化合物および少なくとも1つの気体状有機化合物が、反応領域において同時に存在する、実施態様101-120のいずれか1つの方法。
(実施態様122)反応器が、攪拌槽反応器、タービン反応器、モノリス反応器、フォーム反応器、ローターステーター反応器、ベンチせん断反応器、高速せん断反応器(例えば、Charles Ross HSM-700)、流体力学キャビテーション反応器、オリフィス反応器、管回転反応器、回転充填床反応器、ジグザグ回転反応器、流動床反応器、Taylor-Couette反応器、チューブインチューブ反応器、回転ディスク反応器、衝突流反応器、超音速気体-固体反応器、超音波処理反応器、プローブ音波処理反応器、マイクロ波照射反応器、衝撃波反応器(例えば、衝撃波POWERTM反応器(SPR))、連続流反応器(例えば、RAPTORTM反応器)、せん断ミキサー反応器、またはこれらの組み合わせを含む、実施態様101-121のいずれか1つの方法。
(実施態様123)化学反応を誘発する工程が液体中にせん断力を誘発することを含む、実施態様101-122のいずれか1つの方法。
(実施態様124)反応器がかき混ぜ機を含む攪拌槽反応器であり;そしてここでかき混ぜ機が液体中にせん断力を誘発する、実施態様123の方法。
(実施態様125)かき混ぜ機が、気体-誘発攪拌機、Rushton攪拌機/タービン、モノリス攪拌機、渦巻き攪拌機、プレートまたは放射状平面ブレード羽根車、アクシオンプロペラ、傾斜ブレード、タービンボルテックスかき混ぜ機、1つのシャフト上複数の攪拌機、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様124の方法。
(実施態様126)かき混ぜ機が気体-誘発攪拌機である、実施態様125の方法。
(実施態様127)かき混ぜ機が、200~14,000 rpmの範囲から選ばれる回転速度によって特徴付けられる、実施態様124-126のいずれか1つの方法。
(実施態様128)化学反応を誘発する工程が、反応領域において液体および気体をかき混ぜるかまたは攪拌することを含む、実施態様124-127のいずれか1つの方法。
(実施態様129)反応器領域における圧力が、6 bar(約87 psi)~150 bar(約2175 psi)の範囲から選ばれる、実施態様123-128のいずれか1つの方法。
(実施態様130)反応領域における温度が、20℃~250℃の範囲から選ばれる、実施態様123-129のいずれか1つの方法。
(実施態様131)反応器がキャビテーション反応器であり;反応帯がキャビテーション反応器のキャビテーション帯であり;および当該方法が、キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で液体中にキャビテーション気泡を形成することを含む、実施態様101-122のいずれか1つの方法。
(実施態様132)キャビテーション反応器が、流体力学キャビテーション反応器、せん断反応器、超音波キャビテーション反応器、または多機能反応器である、実施態様131の方法。
(実施態様133)キャビテーション反応器が流体力学キャビテーションおよびせん断を含む;またはキャビテーション反応器が超音波キャビテーションおよびせん断を含む、実施態様132の方法。
(実施態様134)キャビテーション反応器が流体力学キャビテーションおよびローターステーター反応器を含む;またはキャビテーション反応器が超音波キャビテーションおよびローターステーター反応器を含む、実施態様132の方法。
(実施態様135)キャビテーション反応器が、ローターステーター反応器、ベンチせん断反応器、高速せん断反応器、流体力学キャビテーション反応器、オリフィス反応器、回転充填床反応器、回転ディスク反応器、衝突流反応器、超音速気体-固体反応器、超音波処理反応器、プローブ音波処理反応器、マイクロ波照射反応器、衝撃波反応器、せん断ミキサー反応器、またはこれらの組み合わせを含む、実施態様132の方法。
(実施態様136)気体が、気体を供給する工程の間、キャビテーション領域に直接供給される、実施態様131-135のいずれか1つの方法。
(実施態様137)キャビテーション気泡を形成する工程および気体を供給する工程が同時にまたはほぼ同時に行われる、実施態様131-136のいずれか1つの方法。
(実施態様138)気体を供給する工程の間、気体がキャビテーション気泡核生成領域に直接供給されるかまたはキャビテーション気泡核生成領域の1 mm以内に供給され、該キャビテーション気泡核生成領域が、形成する工程の間の流体力学キャビテーション反応におけるキャビテーション気泡の核生成に相当する、実施態様131-137のいずれか1つの方法。
(実施態様139)形成工程が、反応器のキャビテーション領域においてキャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み、ここで気体が、該キャビテーションクラウド内部に直接供給されるかまたは該キャビテーションクラウドの1 mm以内に供給される、実施態様131-138のいずれか1つの方法。
(実施態様140)形成工程が、キャビテーション気泡を含むキャビテーションクラウドを形成することを含み;ここで炭素材料が該キャビテーションクラウド内に形成される、実施態様131-139のいずれか1つの方法。
(実施態様141)液体が、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に炭素材料を実質的に含まない、実施態様131-140のいずれか1つの方法。
(実施態様142)液体が、液体を供給する工程の間およびその中でのキャビテーション気泡の形成前に、固体粒子を実質的に含まず、そして実質的にコロイド、懸濁液、またはゾル物質ではない、実施態様131-141のいずれか1つの方法。
(実施態様143)炭素材料の形成が、液体中のキャビテーション気泡の形成後1分以内に起こる、実施態様131-142のいずれか1つの方法。
(実施態様145)炭素材料の核生成が、気体がキャビテーション領域に供給される間、キャビテーション気泡核生成領域の0.3 mm以内でキャビテーション気泡の核生成後1分以内に起こる、実施態様131-143のいずれか1つの方法。
(実施態様146)キャビテーション反応器が、プレ-キャビテーション領域およびオリフィス領域を有する流体力学キャビテーション反応器を含み、ここで該オリフィス領域が、該プレ-キャビテーション領域とキャビテーション領域との間にあり;該オリフィス領域が少なくとも1つのオリフィスを含み、それにより液体が該プレ-キャビテーション領域から該少なくとも1つのオリフィスを通って該キャビテーション領域へと流れ;ここで該少なくとも1つのオリフィスのそれぞれが、該プレ-キャビテーション領域の直径よりも小さいオリフィス直径によって特徴付けられる、実施態様131-144のいずれか1つの方法。
(実施態様146)気体が、少なくとも1つのオリフィスのキャビテーション端部に直接供給されるかまたは少なくとも1つのオリフィスの端部の1 mm以内に供給され;該少なくとも1つのオリフィスのキャビテーション端部が、キャビテーション反応器のキャビテーション領域に最も近い少なくとも1つのオリフィスの端部である、実施態様145の方法。
(実施態様147)気体のキャビテーション領域への供給を終了する工程をさらに含み;ここで該終了する工程後、炭素材料のサイズ特性が増加する、実施態様131-146のいずれか1つの方法。
(実施態様148)終了する工程後でかつ気体がキャビテーション領域に供給されない間、60分以下の時間分散物をキャビテーション領域に保持することをさらに含み;ここで該保持する工程の間、炭素材料のサイズ特性が増加する、実施態様147の方法。
(実施態様149)キャビテーション領域において分散物を保持する工程の間および終了する工程後でかつ気体がキャビテーション領域に供給されない間、分散物を脱気してそこに混入した気体の濃度を減少させる工程をさらに含む、実施態様148の方法。
(実施態様150)分散物中の炭素材料の濃度が、終了する工程後でかつ気体がキャビテーション領域に供給されない間、実質的に一定である、実施態様147-149のいずれか1つの方法。
(実施態様151)固体炭素材料を分散物から固体または粉末形態で回収することをさらに含み、該回収する工程が、濾過、真空濾過、溶媒蒸発、遠心分離、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様101-50のいずれか1つの方法。
(実施態様152)液体中の少なくとも1つの液体有機化合物の濃度が、0.01質量%~100質量%の範囲から選ばれる、実施態様101-121のいずれか1つの方法。
(実施態様153)少なくとも1つの液体有機化合物が、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、有機溶媒、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様101-152のいずれか1つの方法。
(実施態様154)少なくとも1つの液体有機化合物が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルピロリドン、d-シクロペンタジエン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、へプタン、キシレン、ジメチルスルホキシド、鉱油、モーターオイル、MOBILE 1TMモーターオイル、Syn 530モーターオイル、AMSOILTM、NonSyn、QUAKER STATETM 530、基油、水添ヒマシ油、トランスミッションオイル、ギヤオイル、植物油、炭化水素基油、添加剤添加油、添加剤無添加油(例えば、高炭素油)、灯油、ディーセル燃料、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1,4-ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、炭酸プロピレン、ギ酸、ブタノール、プロパノール、酢酸、オクタデセン、オレイン酸、オレイルアミン、オクタン、ジエチレングリコールエーテル、1,2-ジクロロベンゼン、酢酸メチル、テトラクロロエチレン、ジフェニルチオウレア、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、桂皮酸、トリメチルアミン、ベンゼンチオール、エタンチオール、エタンジチオール、4-アミノベンゼンチオール、アクリル酸、二硫化炭素、1,2-ジクロロベンゼン、N-メチル-2-ピロリドン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様101-153のいずれか1つの方法。
(実施態様155)液体が水を含む、実施態様101-154のいずれか1つの方法。
(実施態様156)気体状有機化合物が、メタン、アセチレン、エチレン、プロパン、1,3-ブタジエン、ブタン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様101-155のいずれか1つの方法。
(実施態様157)液体が400℃未満のバルク温度によって特徴付けられる、実施態様101-156のいずれか1つの方法。
(実施態様158)液体が20℃以上のバルク温度によって特徴付けられる、実施態様101-157のいずれか1つの方法。
(実施態様159)気体が400℃未満のバルク温度によって特徴付けられる、実施態様101-158のいずれか1つの方法。
(実施態様160)気体が20℃以上のバルク温度によって特徴付けられる、実施態様101-159のいずれか1つの方法。
(実施態様161)液体が、キャビテーション反応器のキャビテーション領域における5 L/min~200 L/minの範囲から選ばれる流量によって特徴付けられる、実施態様101-160のいずれか1つの方法。
(実施態様162)気体が、2 psi~150 psiの範囲から選ばれる圧力によって特徴付けられる圧力で反応器の反応領域に注入される、実施態様101-161のいずれか1つの方法。
(実施態様163)反応領域における圧力が10 psi~5,000 psiの範囲から選ばれる、実施態様101-162のいずれか1つの方法。
(実施態様164)反応器がローターステーターを含み、そしてここでローターステーターが、反応器の反応領域において200 rpm~14,000 rpmの範囲から選ばれる回転速度を用いて操作される、実施態様101-163のいずれか1つの方法。
(実施態様165)反応領域における液体滞留時間が1~60分の範囲から選ばれる、実施態様101-064のいずれか1つの方法。
(実施態様166)方法が1~60分の範囲から選ばれる工程時間行われる、実施態様101-165のいずれか1つの方法。
(実施態様167)反応器が超音波処理反応器を含み、そしてここで超音波処理反応器が、20~300 kHzの超音波処理周波数および10~100%の増幅レンジで操作される、実施態様101-166のいずれか1つの方法。
(実施態様168)分散物または分散物中の炭素材料が、+40 mVより大きいかまたは-160 mVより小さいゼータ電位によって特徴付けられる、実施態様101-167のいずれか1つの方法。
(実施態様169)分散物または分散物中の炭素材料が、+40 mVより大きいかまたは-40 mVより小さいゼータ電位によって特徴付けられる、実施態様101-168のいずれか1つの方法。
(実施態様170)分散物中の固体炭素材料の濃度が0.0025質量%~7質量%である、実施態様101-169のいずれか1つの方法。
(実施態様171)分散物がコロイド、懸濁液、ゾル、またはそれらの組み合わせである、実施態様101-170のいずれか1つの方法。
(実施態様172)固体炭素材料が、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素プレートレット、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様101-171のいずれか1つの方法。
(実施態様173)複合材料が、硫黄およびグラフェンを含むか、または六方晶窒化ホウ素およびグラフェンを含む、実施態様172の方法。
(実施態様174)炭素材料がグラフェンまたはグラフェン様物質を含む、実施態様101-172のいずれか1つの方法。
(実施態様175)炭素材料がグラフェンまたはグラフェン様物質である、実施態様172の方法。
(実施態様176)炭素材料がグラフェン-ポリマーナノ複合材料を含む、実施態様101-172のいずれか1つの方法。
(実施態様177)グラフェンが、波形グラフェン、しわくちゃのグラフェン、穴を有するグラフェン、またはそれらの任意の組み合わせである、実施態様172-176のいずれか1つの方法。
(実施態様178)炭素材料が7 at.%未満の酸素含量によって特徴付けられる、実施態様101-177のいずれか1つの方法。
(実施態様179)分散物が、固体炭素材料を含まない同じ液体に対して少なくとも5%減少する摩擦係数によって特徴付けられる、実施態様101-178のいずれか1つの方法。
(実施態様180)分散物が、固体炭素材料を含まない同じ液体に対して少なくとも3%減少する摩耗痕によって特徴付けられる、実施態様101-179のいずれか1つの方法。
(実施態様181)摩擦減少のために固体炭素材料または分散物を用いることをさらに含む、実施態様101-180のいずれか1つの方法。
(実施態様182)その場摩擦減少を含む、実施態様101-181のいずれか1つの方法。
(実施態様183)分散物が、分散物から固体炭素材料をきれにするまたは単離することなく摩擦減少のために使用される、実施態様181または182の方法。
(実施態様184)固体炭素材料または分散物を用いて電池負極および/または電池正極を強化することをさらに含む、実施態様101-180のいずれか1つの方法。
(実施態様185)固体炭素材料を機能化して機能性固体炭素材料を提供することをさらに含む、実施態様101-184のいずれか1つの方法。
(実施態様186)分散物が第1分散物であり、化学反応が第1化学反応であり、固体炭素材料が前駆体材料であり、気体が第1気体であり、かつ反応器が第1反応器であり;当該方法が:該第1分散物を第2反応器に供給すること;少なくとも1つの気体状有機化合物を含む第2気体を該第2反応器の反応領域に直接供給すること;および該第2反応器の反応領域において第2化学反応を誘発することをさらに含み;ここで:該第2化学反応が該前駆体材料を第2固体炭素材料に変換し;該第2炭素材料が液体中に分散しており;および該前駆体材料および該第2炭素材料が異なる、実施態様101-185のいずれか1つの方法。
(実施態様187)第2反応器がキャビテーション反応器であり、そして誘発する工程が、第2反応器の反応領域内で第1分散物中にキャビテーション気泡を形成することを含む、実施態様186の方法。
(実施態様188)第1反応器および第2反応器が同じである、実施態様186-187のいずれか1つの方法。
(実施態様189)液体中に分散した第1固体炭素材料を機能化するための方法であって、該液体中に分散した第1固体炭素前駆体材料が第1分散物であり、ここで当該方法が:該第1分散物を反応器の反応領域に供給する工程;ここで該液体が少なくとも1つの液体有機化合物を含み;気体を該反応器の反応領域に供給する工程;および機能化化学反応を誘発する工程を含み、ここで:該機能化化学反応が該第1炭素材料から第2炭素材料を形成し;該機能化化学反応が該反応器の反応領域において起こり;および該第2固体炭素材料が、該反応の間に第2分散物の形態で作製され、該第2分散物が該液体中に分散した該第2固体炭素材料を含む、方法。
(実施態様190)機能化化学反応が、第1固体炭素材料を化学的に、物理的に、または化学的および物理的の両方で機能化することを含む、実施態様189の方法。
(実施態様191)第1固体炭素材料が、酸化グラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素プレートレット、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様189または実施態様190の方法。
(実施態様192)第2固体炭素材料が、還元型酸化グラフェン、酸化グラフェン、エッジ酸化グラフェン、グラファイト、膨張グラファイト、グラファイト様物質、グラフェン、グラフェン様物質、炭素プレートレット、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、他の炭素同素体、グラフェンを含む複合材料、カチオン性グラフェン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様189-191のいずれか1つの方法。
(実施態様193)第1固体炭素材料が酸化グラフェンを含み、そして第2固体炭素材料が還元型酸化グラフェンを含む、実施態様189-192のいずれか1つの方法。
(実施態様194)第2炭素材料における酸素の原子百分率が、第1炭素材料における酸素の原子百分率よりも少なくとも50%小さい、実施態様193の方法。
(実施態様195)機能化化学反応が第1固体炭素材料を酸化することを含み、それによって第2固体炭素材料が水に可溶である、実施態様189-192のいずれか1つの方法。
(実施態様196)液体が水を含み、そして第2分散物が水中の第2炭素材料の水性分散物である、実施態様195の方法。
(実施態様197)機能化化学反応が、酸素原子を第1固体炭素材料に加えること、酸素原子を該第1固体炭素材料から除去すること、炭素原子を該第1固体炭素材料に加えること、窒素原子を該第1固体炭素材料に加えること、硫黄原子を該第1固体炭素材料に加えること、またはそれらの組み合わせを含む、実施態様189-196のいずれか1つの方法。
(実施態様198)気体が、酸素、水蒸気、水素、窒素、二酸化硫黄、CO2、オゾン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様189-197のいずれか1つの方法。
(実施態様199)反応器がキャビテーション反応器であり、かつ反応領域がキャビテーション領域であり;当該方法が、該キャビテーション反応器のキャビテーション領域内で液体中にキャビテーション気泡を形成することを含み;および気体が該キャビテーション領域に直接注入される、実施態様189-198のいずれか1つの方法。
(実施態様200)第1固体炭素材料が、機能化化学反応の間、固体基質と化学的に関連していない、実施態様189-199のいずれか1つの方法。
(実施態様201)気体が少なくとも1つの気体状有機化合物を含む、実施態様1-200のいずれか1つの方法。
(実施態様202)気体状有機化合物が、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、アレーン、ヘテロアレーン、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、ここで該アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、アレーン、またはヘテロアレーンが1つ以上の置換基で置換されていてもよい、実施態様189-200のいずれか1つの方法。
(実施態様203)少なくとも1つの気体状有機化合物が、メタン、アセチレン、エチレン、プロパン、1,3-ブタジエン、ブタン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる、実施態様189-202のいずれか1つの方法。
(実施態様204)実施態様189-203のいずれか1つの方法によって調製される機能性材料。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、いかなる方法によってもその範囲を限定すると解釈されるべきではない。
実施例1
この実施例は、流体力学キャビテーション反応器を用いて液体中で1つ以上の炭素材料を作製するための方法を実証する。より詳細には、この実施例は、流体力学キャビテーション反応器のキャビテーションクラウドにおいて炭素材料を合成する方法を提供する。例示的な実施態様である方法は:(a)高炭素液体(有機化合物を含む液体)を流体力学キャビテーション反応器を通して(though)流すこと、および次いで(b)キャビテーション気泡の開始時にキャビテーションオリフィスの裏側で高炭素気体(有機化合物を含む気体)を導入することを含む。数秒以内に、グラフェン様材料がキャビテーションクラウドにおいて形成する。(c)所定の時間後、気体流を終了し、これは気体合成された材料の継続した形成を遅らせる。気体の圧力およびフロー時間は、初期のグラフェンプレートレットの厚さおよびサイズを決定する。(d)オプションとして、グラフェン様物質を含む液体は、さらなる時間(例えば、15分)循環したままにされ得る。このさらなる循環時間の間、混入した気体の結果として、炭素材料は形成し続ける。オリフィスプレートの裏側(例えば、出口)に導入された混入した気体は、オリフィスの前に注入された混入した気体とは異なる振る舞いをし;特に、ポスト-オリフィス(post-orifice)気体は、プレ-オリフィス(pre-orifice)注入された気体のように容易に脱気されないことが発見された。これは、気体がバブリングされるかまたはオリフィスの前に直接注入される場合、最小限の炭素材料が形成されるという事実によって実証される。しかし、ポスト-オリフィス誘発された気体を有する液体が循環したままにされる場合(気体が注入されない間)、炭素材料のさらなる蓄積がある。
キャビテーション領域において気体供給を終了しそして分散物を循環し続けた後、液体は必要に応じて脱気され得る。脱気なしで、分散物中の炭素材料の粒子によって経験されるせん断力は、粒子の1つ以上のサイズ特性の減少を引き起こし得る。脱気なしで、分散物中の炭素材料の粒子によって経験されるせん断力は、分散物中の炭素材料の1つ以上のサイズ特性の増加(例えば、より大きいおよび/またはより厚いグラフェンプレートレット)を引き起こし得る。例えば、増加したせん断力は、グラフェンプレートレットをより小さくし得る。分散物のせん断力、または増加したせん断力への曝露の間に液体に混入した気体は、より小さいプレートレットをより薄くし得る。混入した気体の減少した濃度(例えば、脱気による)は、この体制(すなわち、気体の供給なしでキャビテーション領域において分散物を保持すること)においてプレートレットが厚くなることを防止し得る。
実施例2
この実施例は、流体力学キャビテーション反応器を用いて炭素材料などの1つ以上の材料を機能化するための方法を実証する。例えば、この実施例の方法を用いてグラフェンを機能化し得る。本明細書中で記載したプロセスによって作製された炭素材料または他の方法によって製造された炭素材料を機能化することが可能である。このような機能化の例は:1)物理的欠陥を修復すること、2)種々の気体を用いる化学的機能化、および3)物理的機能化(例えば、グラフェンの形態を変化させること)を含む。
欠陥を修復すること:グラフェンプレートレットに対して物理的欠陥を修復することは、手付かずのグラフェンを製造することに対するより大きな挑戦の1つであった。グラフェン欠陥を「修復する」従来のアプローチは、CVD(化学蒸着)を用いてグラフェンプレートレットにエチレンなどの炭素豊富な気体を染み込ませることである。気体中の炭素は、欠陥に効率的に充填される。しかし、CVDプロセスは容易に拡張可能ではない。
本明細書中で記載したプロセスを用いて、炭素をグラフェンに加えてグラフェン欠陥を修復または修繕することができた。これは、非常に欠陥のあるグラフェンを形成し、そして次いでそれを機能化して欠陥を高炭素気体で固定/修復/修繕することによって実証される。例えば、高欠陥グラフェンは、酸化グラフェンから開始し、そして次いで酸化グラフェンを刺激の強い化学物質(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、硫酸)および極めて高温(例えば、1,100℃)に供することによってグラフェン上の酸素を還元することによって製造される。これは、非常に欠陥のある還元型酸化グラフェン(rGO)を生成し、これは次いでエタノールに分散される。分散物は、次いで流体力学キャビテーション反応器を通して循環され、その間、アセチレンがオリフィスの裏側でキャビテーションクラウドに注入される。アセチレン気体は、フィルターパック上の「修繕された」グラフェンの伝導度の著しい増加によって確認されるように、欠陥のあるグラフェンにおける空孔を「修繕した」。図2を参照。比較のため、同様の重量のフィルターパックを未処理高酸素GOを用いて調製しそして脱酸素し、非常に還元されたGOは欠陥を有した。図2において見られるように、3つのフィルターパック:1)未処理の低酸素グラフェン、2)脱酸素後の同じグラフェン(すなわち、欠陥を有する)、および3)本発明の方法の実施態様においてアセチレンで処理した、すなわち、「修繕した」脱酸素グラフェンの間に伝導度の顕著な差異がある。
化学的機能化:また、本明細書中で開示した方法を用いて、種々の気体をキャビテーションクラウドに導入することによって、グラフェンおよび他の炭素材料を化学的に機能化し得る。例えば、酸素をグラフェン分散物に加えて酸化グラフェンを生成することができ、アルゴンおよび/または水素を加えてグラフェンプレートレット上の酸素を還元することができ、窒素はグラフェンの潤滑特性を強化することができ、そして二酸化硫黄は硫黄をグラフェンおよび他の炭素材料に加えることができる。
物理的機能化:気体および背圧の種々の組み合わせを採用して、例えば:波形グラフェン、しわくちゃのグラフェン、または穴を有するグラフェンを生成することができる。さらに、異なる圧力および異なるオリフィス下での種々の気体および溶媒の組み合わせを実行して、炭素ナノチューブ、カーボンオニオン、または他の炭素同素体を生成することができる。
実施例3
この実施態様において、グラフェンプレートレットを本明細書中で開示したある方法に従って形成した。図3は、いくつかのグラフェン-様プレートレットの走査電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。図4は、図3に見られるプレートレットの2つの部分から測定したエネルギー分散X-線分光法(EDS)データを示す。図3のSEM画像における上部白四角および下部白四角は、図4におけるEDSグラフの「スペクトル5」および「スペクトル6」データに相当する。これらのグラフェンプレートレットに相当するEDSデータから抽出した原子組成は、表1に要約する。表1において、「C/O」は、酸素原子濃度に対する炭素子濃度の比に相当する。
図5Aおよび5Bは、本明細書中で開示した方法の実施態様によって作製した例示的なグラフェン-様プレートレットのさらなる画像を示す。
実施例4A
この実施態様において、グラフェン様物質を含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って流体力学キャビテーションを用いて作製した。
図6A-7Bを参照して、炭素材料を、供給した気体状有機化合物としてプロパンおよび液体有機化合物としてトルエンを用いて作製した。図6Aは、ミクロンサイズのグラフェンプレートレットのSEM画像を、図6Bに示すEDSスペクトルに相当する領域を識別する四角(「1」および「2」とラベルした)(四角1は「スペクトル1に相当し、そして四角2は「スペクトル2」に相当する)で示す。図6Bは、EDSスペクトルを示し、そして表2は、図6Aで同定した領域におけるEDSスペクトルから計算した炭素材料における元素の原子濃度を要約する。
図7Aは、ミクロンサイズのグラフェンプレートレットのSEM画像を、図7Bに示すEDSスペクトルに相当する領域を識別する四角(「5」および「6」とラベルした)(四角5は「スペクトル5に相当し、そして四角6は「スペクトル6」に相当する)で示す。図7Bは、EDSスペクトルを示し、そして表は、図7Aで同定した領域におけるEDSスペクトルから計算した炭素材料における元素の原子濃度を要約する。図6A-7Bに相当するこの実施態様において形成した炭素材料は、1.77 at.%未満または0.40%の低い酸素濃度を有する。
この実施態様において、5 mm オリフィスを3,000 psiの気体注入圧力で用い、そして方法を1分間行った。
実施例4B
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って流体力学キャビテーションを用いて作製した。
図8A-8Bを参照して、炭素材料を、供給した気体状有機化合物としてアセチレンおよび液体の有機化合物として液体エタノールを用いて作製した。この実施態様において、液体は完全にまたは実質的に有機化合物(エタノール)であった。図8A-8Bは炭素材料のSEM画像を示す。この実施態様において、0.5 mm オリフィスを3,000 psiの気体注入圧力で用い、そして方法を5分間行った。
流体力学反応器の他の例は:1)衝撃波POWERTM反応器(SPR)(Hydro Dynamics, Inc., Rome, GA)などの衝撃波反応器である。液体は、衝撃波反応器を通過するので、「制御されたキャビテーション」に供される。デバイスの中心は、回転する特別に設計されたローターである。回転作用は、金属表面から離れてローター空洞において流体力学キャビテーションを発生する。キャビテーションは制御され、そしてそれゆえ、損傷はない。微細キャビテーション気泡が生成されそして崩壊するので、衝撃波は、加熱および/または混合し得る液体中に発せられる。2)別の流体力学反応器は、回転ディスク反応器である。衝撃波反応器は、回転ディスクを、典型的には静止表面の近くで使用し、遠心様式で流れを加速するデバイスである。これの構成要素は、流れ(これは、典型的には液体である)を活性化し、キャビテーション(真空)を混合、かき混ぜ、せん断、生成し、そして境界層回転の影響下で温度変化を生じる。主要な機構の1つは、音響化学である(液体において音響キャビテーションを形成することによって超音波を生成する-これは化学的活性を生じる)。例えば、水に空洞が作られる(cavitated)場合、エネルギー爆発があり、これはUV光、熱、および衝撃波として知られる音を含む。
実施例5A
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、せん断を用いて作製した。この実施態様において、ベンチせん断ミキサー、特にFM300 Fukoベンチ高せん断システムをキャビテーション反応器として用い、プロパンを供給した気体状有機化合物として用い、MOBILE 1TMモーターオイルを液体の液体有機化合物として用いた。この実施態様において、液体は完全にまたは実質的に有機化合物(MOBILE 1TM)であった。合成方法を、30 psiの気体混入圧力で2分間行った。別個の圧力ポットにおいて流体に気体を混入し、ここで気体を30 psiで注入した。これは、気体を液体に混入した。大気圧下、気体は潤滑油に混入しない。気体の注入流量は11 mL/minであり、そしてせん断ミキサーの12,000 rpmを用いた。
図9Aは散乱光強度対粒子直径を示し、そして図9Bは、図9Aにおけるデータを要約する相当する表を示す。データは、この実施例に従って形成した分散物中の炭素材料の粒子に相当する。粒子サイズの範囲は、動的光散乱によって測定されるように、おおよそ4.4 nm~184 nm(流体力学直径)であった。図10Aは粒子径数分布を示し、そして図10Bは、この実施例に従って作製した炭素材料粒子に相当する、分布を要約する表を示す。粒子は主に結晶性であり、そして1.5~10.8 nmであった。
特徴付け手順の以下の記載を実施例5Aおよび5Bに適用する:
液体中に懸濁した粒子は、溶媒分子とのランダムな衝突のせいでブラウン運動の状態にある。この運動は、粒子を媒質中に拡散させる。拡散係数Dは、ストークス-アインシュタイン式:D=kBT3πη0dに従って粒子サイズに反比例する。
ここでDは拡散定数であり、kBはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、η0は粘度であり、そしてdは球形粒子直径である。:
ときどき動的光散乱とも呼ばれる光子相関分光法は、液体における小粒子の拡散係数を決定するために使用される技術である。係数は、粒子の光散乱強度を時間の関数として正確に測定することによって決定される。目的の粒子はブラウン運動のせいでサンプルセルに拡散するので、レーザー光の入射ビームは粒子を照らす。粒子は光を拡散し、散乱強度の変動を時間の関数として生成する。散乱光は、選択した角度で収集され、そして高感度検出器によって測定される。粒子の拡散率はそれらのサイズによって決定されるので、それらのサイズに関する情報は、散乱した光の変動の速度に含まれる。強度変動は、光子計数として収集され、そして自己相関関数(ACF)を生成するよう相関付けられる。拡散係数は、キュムラント法を用いてACFを適合させることによって決定され、これから平均サイズがストークス-アインシュタイン式を用いて得られる。
ゼータ電位:本明細書中で記載したプロセスは、非常に高いゼータ電位を有する結晶性粒子を生成する。従って、潤滑剤中のグラフェン粒子などの炭素材料粒子は、例えばゼータ電位が-63 mVである非常に安定な分散物を形成する。+40 mVより大きいかまたは-40 mVより小さいゼータ電位を有するコロイド分布は非常に安定であることが当該分野において認識される。
ゼータ電位は、溶液中に懸濁した粒子を取り囲む二重層における滑り面での電位の量である。二重層は、ステルン層(Stern layer)および拡散層からなる。ステルン層において、粒子表面とは逆の電荷を有するイオンは、粒子に引き付けられる。粒子表面からの距離が増加すると、逆に帯電したイオンはより拡散するようになる。イオンが周囲の媒体へと拡散し始める地点は、強く引き付けられたイオンがブラウン運動で粒子と共に移動するので、滑り面と呼ばれる。滑り面でゼータ電位が測定される。ゼータ電位は、溶液における粒子の安定性の尺度として用いられ得る。+40 mVより大きいかまたは-40 mVより小さいゼータ電位を有する粒子は、粒子が凝集するのを電荷が防ぐので、安定と考えられる。反対に、等電点である0 mVにさらに近いゼータ電位を有する粒子は、衝突しそして大きな凝集を形成する傾向を有する。
電気泳動光散乱は、溶液中の荷電粒子のゼータ電位を決定するために使用される方法である。滑り面での電荷は、DELSATMNano C粒子分析器(Beckman Coulter, Brea, CA)で直接測定することができない。代わりに、ゼータ電位は、理論モデルおよび電気泳動移動度によって決定される。電場が溶液中の粒子に印加される。粒子は、逆に帯電した電極に向かって移動する。粒子にレーザー光が照射され、そして粒子の運動のせいで散乱する。検出された散乱光は、入射レーザー光からの周波数偏移を生成する。周波数偏移は、下式:νD=Uq2πcosθ2=Unλsinθを用いて粒子の移動度に関連し得る。
図11Aは、この実施例に従って作製した炭素材料分散物についてゼータ電位を決定するための移動度データを示し、そして図11Bは、データおよび特徴付け条件を要約する表を示す。ゼータ電位は、分散物について-63.93 mVであると決定された。
実施例5B
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、せん断を用いて作製した。
プロパンを供給した気体状有機化合物として用い、鉱油を液体有機化合物として用い、そしてベンチせん断反応器を用いた。図12Aは、この実施例に従って作製したミクロンサイズのグラフェンプレートレットのSEM画像を示す。図12Bにおけるおよび表3において以下に示すEDSデータは、元素の原子百分率を要約する。
炭素材料は0.49 at.%の酸素濃度を示した。
実施例5C
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、せん断を用いて作製した。
図19のような高速せん断反応器を用いた。この実施態様において、気体状有機化合物および液体有機化合物の種々の組み合わせを用いて、炭素材料を作製した:それぞれ、(i)プロパンおよび鉱油、(ii)プロパンおよびトルエン、および(iii)アセチレンおよびトルエン。(i)の場合結晶性グラフェンを形成し、そして(ii)および(iii)の場合ミクロサイズの黒鉛材料を形成した。
実施例6
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、超音波キャビテーションを用いて作製した。#8ホーンおよび90%電力を用いて、プローブ音波処理キャビテーション反応器を用いた。方法を15分間行った。気体注入または混入流量は、必要に応じて14 L/minであった。気体状有機化合物および液体有機化合物の以下の組み合わせを用いた:(i)プロパンおよびトルエン;(ii)プロパン/E30およびMobile-1、ここでE30は、プロパンが圧力ポット中、30 psiでMobil-1に予め混入されたことを意味する;(iii)プロパン/Bおよびトルエン、プロパンが「バブリングされた」ことを意味する、および(iv)アセチレン/Bおよびトルエン。「B」は、「バブリングされた」のためである。(i)、(iii)、および(iv)の場合、ミクロン-サイズのグラフェン炭素材料が作製された。(ii)の場合、結晶性グラフェン材料が作製された。高せん断下で行われたので、せん断はミクロンサイズのグラフェン様プレートレットを結晶性(10 nm未満)粒子に破壊する。
実施例7
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、流体力学キャビテーションおよびせん断を含む多機能キャビテーション反応器を用いて作製した。プロパンを気体状有機化合物として用い、そして鉱油を液体有機化合物として用いた。結晶性炭素材料を形成した。
実施例8
この実施態様において、炭素材料が、気体状有機化合物の非存在下、固体炭素材料を作製するための方法の他の等価な条件下で形成されないことが実証される。
グラフェンなどの固体炭素材料を、プロパンを気体状有機化合物として、およびSyn 530を液体有機化合物として用いてベンチせん断反応器を用いて形成した。気体状有機化合物を供給することなく等価な条件下、方法は固体炭素材料を生成しない。Syn 530中、形成した炭素材料の分散物は、炭素材料を含まないSyn 530に関して14.6%の摩耗痕の減少および64.5%の摩擦係数の減少を生じる。
グラフェンなどの固体炭素材料を、プロパンを気体状有機化合物として、およびMOBILE 1TMを液体有機化合物として用いてベンチせん断反応器を用いて形成した。気体状有機化合物を供給することなく等価な条件下、方法は固体炭素材料を生成しない。MOBILE 1TM中、形成した炭素材料の分散物は、炭素材料を含まないMOBILE 1TMに関して8%の摩耗痕の減少および31%の摩擦係数の減少を生じる。
実施例9
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、せん断を用いて作製した。プロパンを気体状有機化合物として用いた。種々の液体有機化合物を、プロパン:Syn 530、MOBILE 1TM、AMSOILTM、NonSyn、QUAKER STATETM 530、および高炭素油(HCO)/基油と組み合わせて用いた。
またこの実施態様において、摩擦減少は、上記で列挙した有機液体中の炭素材料分散物を用いて実証される。Syn 530の場合(図14を参照)、14.6%の摩耗痕の減少および64.5%の摩擦係数の減少が、炭素材料を含まないSyn 530に関して(すなわち、この実施例に従って固体炭素材料を作製するための方法において使用しないSyn 530に関して)実証された。MOBILE 1TMの場合(図16を参照)、8%の摩耗痕の減少および31%の摩擦係数の減少が、炭素材料を含まないMOBILE 1TMに関して(すなわち、この実施例に従って固体炭素材料を作製するための方法において使用しないMOBILE 1TMに関して)実証された。AMSOILTMの場合(図15を参照)、0%の摩耗痕の減少および12%の摩擦係数の減少が、固体炭素材料を含まないAMSOILTMに関して(すなわち、この実施例に従って固体炭素材料を作製するための方法において使用しないAMSOILTMに関して)実証された。NonSyn、Quaker 530の場合、3%の摩耗痕の減少および19%の摩擦係数の減少が、炭素材料を含まないNonSyn、Quakerに関して(すなわち、この実施例に従って固体炭素材料を作製するための方法において使用しないNonSyn、Quakerに関して)実証された。HCO/基油の場合、7%の摩耗痕の減少および13%の摩擦係数の減少が、炭素材料を含まないHCO/基油に関して(すなわち、この実施例に従って固体炭素材料を作製するための方法において使用しないHCO/基油に関して)実証された。
実施例10
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、せん断を用いて作製した。プロパンを気体状有機化合物として用い、そして二硫化炭素を液体有機化合物として用いた。図13Aは、この実施例の方法に従って形成した炭素材料のSEM画像を示す。図13Aは、四角#78および四角#79でラベルされる。図13Bは、四角78(スペクトル78)および四角79(スペクトル79)における材料に相当するEDSデータを示す。表4は、元素の原子百分率を要約する。
表3において見られるように、形成した炭素材料は、四角79で炭素-硫黄複合材料を含む。複合材料はおおよそ48% at.%の炭素および15 at.%の硫黄を有する。
実施例11A
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、図18のせん断反応器などの本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、Ross Model HSM-703X-20インライン高せん断ミキサーによる超高せん断を用いて作製した。プロパンを気体状有機化合物として用い、そして鉱油を液体有機化合物として用いた。50 psiの気体注入圧力を用い、せん断反応器を10,000 rpmで稼働し、そして合成方法を15分間行った。
この実施例において作製した鉱油中の炭素分散物を、図17A-17Bに示すように、-51 mV(例えば、-50.68 mV)のゼータ電位によって特徴付けた。
特徴付け技術および条件の以下の記載を実施例11Aおよび実施例11Bに適用する:
試験設備:ゼータ電位分析を行うために使用した試験機器は、DELSATMNano Cナノ粒子サイズおよびゼータ電位分析器(Beckman Coulter, Brea, CA)であった。DELSATMNano Cは、光子相関分光法(PCS)および電気泳動光散乱技術を利用して材料の粒子サイズおよびゼータ電位を決定する。優秀な程度の精度、解像度および再現性を提供して、DELSATMNano Cはサブミクロンの粒子サイズおよびゼータ電位分析を単純化するよう設計されている。DELSATMNano Cは、0.001%~40%の範囲に及ぶサンプル濃度で0.6 nm~7 μmの範囲の正確なサイズ測定を提供する。それは、水性および非水性サンプルならびに固体表面および膜のゼータ電位の分析を行うことができる。それは、ナノテクノロジー、エレクトロニクス、医薬品、インク、食品飲料、生物医学、繊維製品などの工業における広範な種々の用途に役立っている。
液体中に懸濁した粒子は、溶媒分子とのランダムな衝突のせいでブラウン運動の状態にある。この運動は、粒子を媒質中に拡散させる。拡散係数Dは、ストークス-アインシュタイン式:D=kBT/3πη0dに従って粒子サイズに反比例する。ここでDは拡散定数であり、kBはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、η0は粘度であり、そしてdは球形粒子直径である。
ときどき動的光散乱とも呼ばれる光子相関分光法は、液体における小粒子の拡散係数を決定するために使用される技術である。係数は、粒子の光散乱強度を時間の関数として正確に測定することによって決定される。目的の粒子はブラウン運動のせいでサンプルセルに拡散するので、レーザー光の入射ビームは粒子を照らす。粒子は光を拡散し、散乱強度の変動を時間の関数として生成する。散乱光は、選択した角度で収集され、そして高感度検出器によって測定される。粒子の拡散率はそれらのサイズによって決定されるので、それらのサイズに関する情報は、散乱した光の変動の速度に含まれる。強度変動は、光子計数として収集され、そして自己相関関数(ACF)を生成するよう相関付けられる。拡散係数は、キュムラント法を用いてACFを適合させることによって決定され、これから平均サイズがストークス-アインシュタイン式を用いて得られる。
ゼータ電位は、溶液中に懸濁した粒子を取り囲む二重層における滑り面での電位の量である。二重層は、ステルン層および拡散層からなる。ステルン層において、粒子表面とは逆の電荷を有するイオンは、粒子に引き付けられる。粒子表面からの距離が増加すると、逆に帯電したイオンはより拡散するようになる。イオンが周囲の媒体へと拡散し始める地点は、強く引き付けられたイオンがブラウン運動で粒子と共に移動するので、滑り面と呼ばれる。滑り面でゼータ電位が測定される。ゼータ電位は、溶液における粒子の安定性の尺度として用いられ得る。+/-20 mVより大きいゼータ電位を有する粒子は、粒子が凝集するのを電荷が防ぐので、安定と考えられる。反対に、0 mVにさらに近いゼータ電位を有する粒子は、衝突しそして大きな凝集を形成する傾向を有する。
電気泳動光散乱は、溶液中の荷電粒子のゼータ電位を決定するために使用される方法である。滑り面での電荷は、DELSATMNano C粒子分析器で直接測定することができない。代わりに、ゼータ電位は、理論モデルおよび電気泳動移動度によって決定される。電場が溶液中の粒子に印加される。粒子は、逆に帯電した電極に向かって移動する。粒子にレーザー光が照射され、そして粒子の運動のせいで散乱する。検出された散乱光は、入射レーザー光からの周波数偏移を作成する。周波数偏移は、以下の式を用いて粒子の移動度に関連し得る:
ここでνDは粒子の周波数偏移であり、Uは粒子の移動度であり、qは散乱ベクトルであり、λは入射光の波長であり、nは媒体の屈折率であり、そしてθは散乱角である。移動度が分かると、スモルコフスキー式(Smoluchowski equation)を適用してゼータ電位を見い出すことができる。
ここでε0およびεrはそれぞれ真空および媒体における誘電率である。
溶液中の粒子のゼータ電位を測定することに加えて、固体表面のゼータ電位もまた決定され得る。粒子のゼータ電位の測定に用いた同じ原理を平面について用いた。特別に設計された平面セルを用いて固体サンプルを保持した。固体表面のゼータ電位を測定するための手順は、粒子についての典型的なゼータ電位測定と同様である。測定は、電気浸透および電気泳動の両方からの影響下、帯電したプローブ粒子の動的光散乱によって行われる。固体表面ゼータ電位による真の電気浸透流は、帯電したプローブ粒子の合計の見かけの電気浸透流から電気泳動移動度を引くことによって得られる。
試験条件およびパラメーター:ゼータ電位分析の前に、サンプルを混合し、そしておおよそ5 mLのサンプルを3,000 rpmで20分間遠心分離した。~1 mLのアリコートを遠心分離したサンプルの上部から取り出し、そして分析のために用いた。ゼータ電位を決定するため、電気泳動光散乱を用いて試料をフローセルで分析した。希釈油屈折率について1.467の参考文献値[Ref. 1]、希釈油粘度について19.1 cPの参考文献値[Ref. 2]、および油誘電率について2.1の参考文献値[Ref. 3]を用いて、実験データを分析しそしてゼータ電位を計算した。表5は、試験についての試験条件およびパラメーターを要約する。
実施例11Aおよび11Bについての参考文献:
1. Millipore Sigma (2019)。液体屈折率-鉱油。https://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sial/nist1922?lang=en®ion=US
2. EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food (ANS);Scientific Opinion on the use of high viscosity white mineral oils as a food additive on request from the European Commission. EFSA Journal, 2009;7(11):1387.
3. Honeywell (2019)。誘電率表。www.honeywellprocess.com
実施例11B
この実施態様において、グラフェンを含む炭素材料を、本明細書中で開示した方法の実施態様に従って、図18のせん断反応器のようなせん断を用いて作製した。プロパンを気体状有機化合物として用い、そしてMOBILE 1TM油を液体有機化合物として用いた。30 psiの気体注入圧力を用い、せん断反応器を12,000 rpmで稼働し、そして合成方法を15分間行った。
この実施例において作製したMOBILE 1TM中の炭素分散物を、-64 mV(例えば、-63.93 mV)のゼータ電位によって特徴付けた。
実施例12A
この実施例は、攪拌槽反応器を記載し、これは撹拌した高温、高圧槽反応器(SHTHPTR)としてもまた記載され得る。図23は、ある実施態様に従って、本明細書中で開示した方法に適合する例示的な攪拌槽反応器を説明する。図23の攪拌槽反応器、すなわちSHTHPTRは、炭素-ベースの気体と炭素-ベースの液体との間の気液物質移動を促進し、グラフェンまたはグラフェン様物質を生成し得、グラフェン材料を機能化し得、またはグラフェン-様複合材料の生成を促進し得る化学反応を生成する。この反応器において、合成気体は、液体中に溶解させるために、微小な気泡に分散される。より小さい気泡は、より多くの表面積を有し、そしてそれゆえ気体-液体物質移動を促進する。
本明細書中で開示した実施態様による気液物質移動反応器として同様に実行され得る攪拌槽反応器は、タービン、モノリス、またはフォーム槽反応器として分類され得る攪拌槽反応器を含む。
炭素液体への有機気体の一般的に低い溶解性は、6 bar(約87 psi)と150 bar(約2175 psi)までとの間などの増加した圧力で図23の攪拌槽気液物質移動反応器などの反応器を操作することによって改善され得る。反応器の操作温度は、典型的には20℃~250℃(例えば、20℃~200℃、20℃~150℃、20℃~100℃、30℃~250℃、30℃~200℃、30℃~150℃、30℃~100℃、40℃~250℃、40℃~200℃、40℃~150℃、40℃~100℃、50℃~250℃、50℃~200℃、50℃~150℃、50℃~100℃、50℃~90℃、または60℃~100℃)の範囲にある。
図23の反応器などの攪拌槽気液物質移動反応器は、かき混ぜ機を含む。いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、有機気体-有機液体反応は制限された物質移動であると考えられる。従って、かき混ぜ系は:(1)物質/液体移動を増大させる、(2)熱移動を増進し、これは化学反応を加速する、および(3)気体/液体混合物を均一化して反応プロセスの間の一様でない温度および濃度プロファイルを回避するために重要である。かき混ぜ機は、撹拌した高温、高圧槽反応器の重要な構成要素であり、そして:Rushton攪拌機/タービン、モノリス攪拌機、渦巻き攪拌機、プレート放射状平面ブレード羽根車、アクシオンプロペラ、傾斜ブレード、タービンボルテックス、および1つのシャフト上複数の攪拌機を含むがこれらに限定されないいくつかのタイプのものであり得る。
好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、気液物質移動を最大にするために使用されるかき混ぜ機は、図24において説明したような気体-誘発撹拌機である。この高性能羽根車は、反応器のヘッドスペースにおける炭素気体を微細気体気泡に分散させ、そしてそれゆえ気体と液体との間に極めて大きい界面面積を作成する。
この実施例において用いた気体-誘発羽根車は、混合容器のヘッドスペースにおける羽根車シャフトの上部で小さいミリメートルサイズの気体入口穴を有するステンレス鋼中空羽根車シャフトを含む。ヘッドスペースにおける気体は、羽根車タブに吸引され、そして次いで羽根車の4つのブレードのそれぞれの先端に位置する、羽根車における気体分散物(出口)ポートを通って液相に分散される。この羽根車は、電気的にまたは空気で駆動される撹拌機を有するSHTHPTR(図23)に適合させ、より長い稼働のために連続した回転を確保した。攪拌速度が高くなると、真空が高くなり、そして駆動力が高くなる。気体ポートを通る最大吸引のために、羽根車は通常100~3,000 rpmの範囲(例えば、600~2,000 rpm、1,000~1,200 rpm、100~600 rpm)で作動し得る。羽根車は、Parr Instrument Company(Moline, IL)などの任意の適切な供給業者から購入することができる。
実施例12B
この実施態様において、グラフェン様物質を、図23にあるような攪拌槽反応器を用いて作製し、そして特徴付けた。図25は、プロパン気体を80 psiの圧力および60℃の温度で液体トルエンに30分間注入することによって、撹拌した高温、高圧槽反応器(例えば、図23)で製造した数層グラフェン様物質を示すSEMである。作製した固体炭素材料は、アモルファス炭素よりもむしろグラフェン様物質(図25)である。
この実施例のためのプロセス槽パラメーターは:2リットルのトルエンを含む9”(22.86 cm)の槽直径、および3,000 rpmで30分間回転する4”(10.16 cm)の羽根車直径を含んだ。槽直径に対する羽根車直径の比(D/T)は0.44であった。撹拌した反応器において羽根車によって生成されるせん断は、槽直径に対する羽根車直径の比(D/T)によって主に決定される。本発明の方法のために、D/T比は、典型的には0.1~0.6、好ましくは0.2~0.5の範囲にある。低いD/T羽根車は、より低いrpmで高せん断を生じ得るが、高いD/T構成は、典型的にはより高いrpmで稼働し、そして低いせん断を生じるが、より大きい混合を生じる。本発明の方法において、目的は混合ではなく、むしろ高せん断によって気体移動を最大にすることであるので、低いD/T比が望ましいことが発見された。
実施例12C
この実施態様において、添加剤無添加高炭素油中のグラフェン様物質の分散物を、図23の反応器のような攪拌槽反応器を用いて作製した。この実施態様において、分散物を潤滑のために用い、そして潤滑特性を、グラフェン様物質を含まない同じ油の潤滑特性と比較した。高炭素油を、30 psiで60℃の温度で注入したプロパンで40分間処理した。表6は、グラフェン様物質を作製する前の油と比較して、このようにして作製した分散物を用いた潤滑の増強を示す。
実施例13
この実施例は、本明細書中で開示した方法のある実施態様に従って、酸化グラフェン(GO)の還元型酸化グラフェン(rGO)への還元を実証する。
酸化グラフェン(GO)の調査および用途における鍵となる主題は、GOの還元型酸化グラフェン(rGO)への還元である。GOをrGOに変換するために使用される大部分のプロセスの欠点は、グラフェンの品質が低下することである。これは、格子欠陥ならびに表面およびエッジに結合した官能基が酸化還元工程の間に完全に除去され得ないからである。同様に問題なのは、還元プロセスにおいて使用される強酸化剤、液体廃棄物、および有機溶媒が環境の懸念を引き起こすことである。対照的に、本明細書中で開示したある方法は、ずっとより単純であり、そしてグラフェンの品質を損なわず、または環境に好ましくない化学物質を必要としない。
図26-27は、ベンチせん断を用いてプロパンを極性溶媒N-メチル-2-ピロリドン(NMP)中に分散したGOにバブリングする、GOのrGOへの還元を示す。このプロセスは、GOにおける原子酸素の34%から20%への減少を生じ、これはC/O比を1.76から3.81に増加させた。GOに添加した炭素は、気液物質移動プロセスにおいて発生したさらなる炭素に由来した。図26および表7は、酸化グラフェンにおける元素の原子百分率を要約する。
図27および表8は、還元型酸化グラフェン(図26の還元型酸化グラフェン)における元素の原子百分率を要約する。
実施例14A
この実施態様において、本明細書中で開示したある実施態様に従って、グラフェンのその場機能化の例である、グラフェンをエッジ酸化した。
グラフェンをエッジ酸化することは、グラフェン還元の正反対である。酸素が除去される代わりに、酸素が司法上(judicially)添加される。酸素を手付かずのグラフェンに添加する主要な理由は、グラフェンを水に分散可能にすることである。これは、簡単なことではなく、なぜなら高品質のグラフェンは、グラフェンを疎水性にする欠陥をほとんど有しないからである。ジレンマは、グラフェンが水中に分散するには欠陥部位が必要であることである。現在、水性低酸素水性グラフェン分散物を得る最も一般的な方法は、いくつかの化学基を手付かずのグラフェン上の限定された欠陥部位に接合することである。
この実施例は、高品質のグラフェンを穏やかに酸化するための環境にやさしいプロセスを実証する。気液物質移動反応器を用いて、グラフェンプレートレットの格子への重大な損傷を回避するよう、グラフェンの「弱い」酸化を生成し得る。最小限の損傷は、いかなる界面活性剤も添加剤もなしで水に可溶であるグラフェンを生じる。音波処理を用いて酸素をバブリングすることはまた、水の表面張力を約42まで下げ、これはグラファイトの表面張力に一致することに近い。当業者は、液体の表面張力がグラファイトの表面張力に近い場合、液体剥離が促進されることを知っている。しかし、液体剥離のためにバブリングした酸素を用いて水の表面張力を下げることは、報告されていない。このプロセスは、界面活性剤、水/アルコール混合物、または高価な環境に有害な溶媒の使用を必要としない。水の表面張力を下げる酸素飽和の発想は、最近の分子動力学シミュレーションによって支持される(例えば、Jain, et al., AIP Advances, 2017, 7, 045001を参照)。
図28-29におけるEDS分析は、手付かずのグラフェンの流体力学キャビテーション反応器に注入した酸素での処理の1時間後、グラフェン上の酸素が~0.5%から~6%まで増加し、そしてグラフェンが水に可溶になったことを示す。図28および表9は、手付かずのグラフェンにおける元素の原子百分率を要約する。
図29および表10は、部分的酸化(エッジ酸化)グラフェン(図28の酸化グラフェン)における元素の原子百分率を要約する。
実施例14B
この実施態様において、実施例14Aのエッジ酸化グラフェンを用いて、水-ベースの潤滑剤の潤滑性を増進した。具体的には、図30は、水分散グラフェンをMaster Chemical 685の水部分に添加した場合、鋼においてねじ山を形成するのに必要とされるトルクの26%の減少があったことを示す。上部グラフは、グラフェンを含まない冷却剤であり、一方、下部グラフは、0.01%エッジ酸化グラフェンを含むものである。より低いトルクはより高い潤滑性を反映する。
実施例15
この実施態様において、カチオン性グラフェン(CGN)を、本明細書中で開示したある実施態様に従って作製した。カチオン性グラフェンを生成することによりグラフェンの電気特性を調整することは、進歩した電子的応用の広範な領域において非常に重要である。化学ドーピングは、グラフェンの電子特性を調整するための重要なアプローチである。典型的には、グラフェンを化学的にドーピングする2つの方法がある:(1)金属、または有機分子のグラフェン表面上への吸着、または(2)窒素原子およびホウ素原子などのヘテロ原子をグラフェンの炭素格子に導入する置換ドーピング。これらの方法の両方とも、グラフェンの電子特性を変化させ得る。
この実施例は、グラフェンの電子特性を変化させる異なる方法を導入する。グラフェンは通常アニオン性であるが、気液物質移動プロセスを用いてその場カチオン性グラフェンを製造することができる。プロセスは、例えば、高せん断下、プロパンを1,2-ジクロロベンゼンにバブリングすることを含む。これらの条件下、気液物質移動反応は、高せん断気体/液体系における炭素をその場グラフェンに変換する。本明細書中で記載した気液物質移動を用いて1,2-ジクロロベンゼンから製造したカチオン性グラフェンは、図31において見られるように、+4.99 mVのゼータ電位を有する。これは、グラフェンがN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散した場合の-33 mVのゼータ電位とは対照的である。
参照による援用および変形物に関する記述
本明細書中で引用した刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参考として援用されるよう個々にかつ具体的に示され、そしてその全体が本明細書中に記載されているのと同じ程度まで本明細書中に参考として援用される。
本発明を記載する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つ」および類似の参照の使用は、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。1つ以上の項目に続く用語「少なくとも1つ」(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、列挙した項目(AまたはB)から選ばれる1つの項目または列挙した項目(AおよびB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」は、特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書中に特に指示しない限り、範囲内にあるそれぞれの別個の値に個々に言及する速記方法として役割を果たすことが単に意図され、そしてそれぞれの別個の値は、それが本明細書中に個々に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書中に記載の全ての方法は、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書中に提供される任意のおよび全ての例、または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く明らかにすることが単に意図され、そして特に主張しない限り、本発明の範囲に限定を課さない。明細書中の言葉は、任意のクレームしていない要素を本発明の実施に必須であると示すと解釈されるべきではない。
本明細書中でマーカッシュグループまたは他のグループ分けが使用される場合、グループの全ての個々のメンバーおよびグループの可能な全ての組み合わせおよび部分的組み合わせは、本開示に個々に含まれることが意図される。本明細書中、例えば、式または化学名において、化合物の特定の異性体、エナンチオマーまたはジアステレオマーが特定されないように化合物が記載される場合、その記載は、記載した化合物の各異性体およびエナンチオマーを個々にまたは任意の組み合わせで含むことが意図される。さらに、特に規定しない限り、本明細書中で開示した化合物の全ての同位体変形体は、本開示によって包含されることが意図される。例えば、開示した分子中の任意の1つ以上の水素は、重水素または三重水素で置換され得ることが理解されるであろう。分子の同位体変形体は、通常、分子についてのアッセイにおける標準として、および分子またはその使用に関連する化学的および生物学的研究において有用である。このような同位体変形体を作製するための方法は、当該分野で公知である。化合物の具体的な名前は、当業者は同じ化合物を異なって命名し得ることが知られているので、例示的であることが意図される。
本明細書中で開示したある分子は、1つ以上のイオン化可能な基(そこからプロトンが除去され得る基(例えば、-COOH)またはそこからプロトンが付加され得る基(例えば、アミン)または4級化され得る基(例えば、アミン))を含み得る。このような分子およびその塩の全ての可能なイオン形態は、本明細書中の開示に個々に含まれることが意図される。本明細書中の化合物の塩に関し、当業者は、広範な種々の利用可能な対オンの中から、所定の用途について本発明の塩の調製に適切であるものを選び得る。特定の用途において、塩の調製のための所定のアニオンまたはカチオンの選択は、その塩の増加したまたは減少した溶解性を生じ得る。
特に指示しない限り、本明細書中で記載したまたは例示したあらゆる方法およびシステムを用いて本発明を実施することができる。
この発明の好ましい実施態様は、本明細書中に記載され、本発明を実施するための本発明者らに知られているベストモードを含む。これらの好ましい実施態様の変形例は、前述の記載を読めば当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形例を適切に採用することを予想し、そして本発明者らは、本明細書中に具体的に記載したもの以外で本発明が実施されることを意図する。従って、この発明は、適用法によって認められるように、本明細書に添付した特許請求の範囲に記載の主題の全ての改変体および等価体を含む。さらに、その全ての可能な変形体における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含される。