JP7089933B2 - 光学ガラスおよび光学素子 - Google Patents
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Description
(1)アッベ数νdが39を超え45以下であり、
B2O3の含有量が15~35質量%であり、
La2O3の含有量が35~50質量%であり、
ZnOの含有量が5~17質量%であり、
ZrO2の含有量が3~7.5質量%であり、
SiO2の含有量が0質量%を超え5質量%以下であり、
TiO2の含有量が0質量%を超え12質量%以下であり、
Al2O3の含有量が0質量%を超え5質量%以下であり、
Gd2O3の含有量が0~5質量%であり、
BaOの含有量が0~3質量%であり、
Ta2O5の含有量が0~2.5質量%であり、
Nb2O5およびWO3の合計含有量[Nb2O5+WO3]が0~6質量%である、光学ガラス。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
アッベ数νdが39を超え45以下であり、
B2O3の含有量が15~35%であり、
La2O3の含有量が35~50%であり、
ZnOの含有量が5~17%であり、
ZrO2の含有量が3~7.5%であり、
SiO2の含有量が0%を超え5%以下であり、
TiO2の含有量が0%を超え12%以下であり、
Al2O3の含有量が0%を超え5%以下であり、
Gd2O3の含有量が0~5%であり、
BaOの含有量が0~3%であり、
Ta2O5の含有量が0~2.5%であり、
Nb2O5およびWO3の合計含有量[Nb2O5+WO3]が0~6%であることを特徴とする。
B2O3の含有量が多すぎると、屈折率ndが低下し、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られない。また、B2O3の含有量が少なすぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。
La2O3の含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、比重が増大するおそれがある。また、La2O3の含有量が少なすぎると、屈折率ndが低下し、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られない。
ZnOの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。また、ZnOの含有量が少なすぎると、ガラスの熔融時に、ガラス原料の熔け残りが生じやすくなる。
ZrO2の含有量が多すぎると、比重が増大するおそれがある。
SiO2の含有量が多すぎると、屈折率ndが低下し、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られない。また、ガラスの熔融時に、ガラス原料の熔け残りが生じやすくなる。SiO2の含有量が少なすぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。
TiO2の含有量が多すぎると、ガラスが着色して透過率が低下するおそれがある。また、TiO2の含有量が少なすぎると、屈折率ndが低下し、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られない。さらに、TiO2の含有量が少ない場合には、所望の光学恒数を有する光学ガラスを得るために、Nb2O5またはWO3といった他の高屈折率成分の含有量を増やす必要があり、結果として原料コストが増大するおそれがある。
Al2O3の含有量が多すぎると、屈折率ndが低下し、所望の光学恒数を有する光学ガラスが得られない。Al2O3を含むことで耐酸性を改善することができる。
Gd2O3の含有量が多すぎると、比重が増大し、また原料コストが増大するおそれがある。
BaOの含有量が多すぎると、比重が増大するおそれがある。
Ta2O5の含有量が多すぎると、原料コストが増大するおそれがある。
合計含有量[Nb2O5+WO3]が多すぎると、比重が増大し、原料コストが増大するおそれがある。
Cs2Oは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、Cs2Oの各含有量は、上記範囲であることが好ましい。
合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]を上記範囲とすることで、高分散化を妨げることなく化学的耐久性および熱的安定性を維持できる。
Y2O3の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。したがって、ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、Y2O3の含有量は上記範囲であることが好ましい。
Lu2O3は、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、分子量が大きいことから、ガラスの比重を増加させるガラス成分でもある。そのため、Lu2O3の含有量は上記範囲であることが好ましい。
GeO2は、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。したがって、ガラスの製造コストを低減する観点から、GeO2の含有量は上記範囲であることが好ましい。
Yb2O3の含有量が多くなると、ガラスの比重が増大し、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。したがって、Yb2O3の含有量は上記範囲であることが好ましい。
上記成分の他に、上記光学ガラスは、清澄剤としてSb2O3、CeO2等を少量含有することもできる。清澄剤の総量(外割添加量)は0%以上、1%未満とすることが好ましく、0%以上0.5%以下とすることがより好ましい。
<アッベ数νd>
本実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは39を超え45以下である。アッベ数νdは、39.5~43、または40~42とすることもできる。相対的にアッベ数νdを低くする成分は、Nb2O5、TiO2、ZrO2、Ta2O5、WO3である。相対的にアッベ数νdを高くする成分は、SiO2、B2O3、Li2O、Na2O、K2O、La2O3、BaO、CaO、SrOである。これらの成分の含有量を適宜調整することでアッベ数νdを制御できる。
本実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndは好ましくは1.77~1.84である。屈折率ndは、1.78~1.83、または1.79~1.82とすることもできる。相対的に屈折率ndを上げる成分は、Nb2O5、TiO2、ZrO2、Ta2O5、La2O3である。相対的に屈折率ndを下げる成分は、SiO2、B2O3、Li2O、Na2O、K2Oである。これらの成分の含有量を適宜調整することで屈折率ndを制御できる。
本実施形態に係る光学ガラスの比重は、好ましくは4.5以下であり、さらには4.4以下、4.33以下、4.3以下の順により好ましい。比重は小さいほど好ましく、下限は特に限定されないが、一般的には4.1程度である。相対的に比重を高くする成分は、BaO、La2O3、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5などである。相対的に比重を低くする成分は、SiO2、B2O3、Li2O、Na2O、K2Oなどである。これらの成分の含有量を調整することで比重を制御できる。
本実施形態に係る光学ガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を石英坩堝や白金坩堝中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスを得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
本実施形態に係る光学ガラスを使用して光学素子を作製するには、公知の方法を適用すればよい。例えば、上記光学ガラスの製造において、熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、本発明に係る光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製する。
表1に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
まず、ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および硫酸塩を原材料として準備し、得られる光学ガラスのガラス組成が、表1に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。こうして得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1050℃~1400℃で2~5時間加熱して熔融ガラスとし、攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tgより100℃低い温度(Tg-100℃)~Tgより30℃高い温度(Tg+30℃)の間の任意の温度で30~120分間熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1に示す各組成のとおりであることを確認した。
得られたガラスサンプルを、さらにガラス転移温度Tg付近で約30分から約2時間アニール処理した後、炉内で降温速度-30℃/時間で室温まで冷却してアニールサンプルを得た。得られたアニールサンプルについて、屈折率nd、ng、nFおよびnC、アッベ数νd、比重を測定した。結果を表1に示す。
(i)屈折率nd、ng、nF、nCおよびアッベ数νd
上記アニールサンプルについて、JIS規格 JIS B 7071-1の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、nCを測定し、下記式に基づきアッベ数νdを算出した。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
比重は、アルキメデス法により測定した。
実施例1において作製した各光学ガラスを用いて、公知の方法により、レンズブランクを作製し、レンズブランクを研磨等の公知方法により加工して各種レンズを作製した。
作製した光学レンズは、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ等の各種レンズである。
各種レンズは、他種の光学ガラスからなるレンズと組合せることにより、二次の色収差を良好に補正することができた。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
Claims (5)
- 屈折率ndが1.79~1.82であり、
アッベ数νdが39を超え45以下であり、
B2O3の含有量が15~35質量%であり、
La2O3の含有量が35~46質量%であり、
ZnOの含有量が5~17質量%であり、
ZrO2の含有量が3~7.5質量%であり、
SiO2の含有量が0質量%を超え5質量%以下であり、
TiO2の含有量が0質量%を超え12質量%以下であり、
Al2O3の含有量が0質量%を超え5質量%以下であり、
Gd2O3の含有量が0~5質量%であり、
BaOの含有量が0~3質量%であり、
Ta2O5の含有量が0~2.5質量%であり、
Nb2O5およびWO3の合計含有量[Nb2O5+WO3]が0~6質量%であり、
SiO2、B2O3の合計含有量に対するTiO2、Nb2O5、WO3、ZrO2、Ta2O5、Bi2O3、La2O3、Gd2O3、Y2O3の合計含有量の質量比[(TiO2+Nb2O5+WO3+ZrO2+Ta2O5+Bi2O3+La2O3+Gd2O3+Y2O3)/(SiO2+B2O3)]が1.7以上であって、
Fを含有するガラスを除く、光学ガラス。 - SiO2の含有量が0.5質量%以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
- Al2O3の含有量が0.2質量%以上である、請求項1または2記載の光学ガラス。
- Al2O3の含有量が0.6質量%以上である、請求項1または2記載の光学ガラス。
- 請求項1~4の何れか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
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