JP2015157716A - 光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子 - Google Patents
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Abstract
Description
よって、光学系全体の軽量化及び小型化を図ることが可能な、より高い屈折率(ni)を有するi線用光学ガラスが求められていた。
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
La2O3成分 10.0〜60.0%
Gd2O3成分 0〜30.0%
Y2O3成分 0〜30.0%
Yb2O3成分 0〜10.0%
Lu2O3成分 0〜10.0%
である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
TiO2成分 0〜30.0%
Nb2O5成分 0〜30.0%
WO3成分 0〜20.0%
である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
MgO成分 0〜10.0%
CaO成分 0〜20.0%
SrO成分 0〜20.0%
BaO成分 0〜20.0%
ZnO成分 0〜30.0%
である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
Li2O成分 0〜20.0%
Na2O成分 0〜15.0%
K2O成分 0〜10.0%
である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
P2O5成分 0〜20.0%
GeO2成分 0〜10.0%
Ta2O5成分 0〜15.0%
ZrO2成分 0〜20.0%
Bi2O3成分 0〜15.0%
TeO2成分 0〜20.0%
Al2O3成分 0〜20.0%
Ga2O3成分 0〜20.0%
SnO成分 0〜3.0%
Sb2O3成分 0〜3.0%
As2O3成分 0〜3.0%
F成分 0〜5.0%
である(1)から(13)のいずれか記載の光学ガラス。
〔再加熱試験(ア):屈伏点をAt[℃]、軟化点をSP[℃]、ガラス転移点をTg[℃]としたとき、At以上(At+30)[℃]以下の第1加熱温度まで22〜30時間かけて昇温した後、(SP+10)[℃]以上(SP+40)[℃]以下の第2加熱温度まで10〜20時間かけてさらに昇温させ、前記第2加熱温度で22〜30時間保持した後、(Tg−20)[℃]以上Tg[℃]以下の第1冷却温度まで2〜10時間かけて冷却させ、前記第1冷却温度で5〜10時間保持した後、(Tg/2)[℃]以下の第2冷却温度まで30〜70時間かけて冷却する。〕
B2O3成分及びLn2O3成分を含有させることで、屈折率(ni)及びアッベ数(ni)が所望の範囲内にありながらも、紫外域の光の照射によるコンパクション及びソラリゼーションを低減できる。また、B2O3成分及びLn2O3成分を含有するガラスを用いることで、紫外域の光を照射させたときの内部透過率が高められ、異常分散性Δθi,gが小さくなり、且つ再加熱処理による微結晶及び泡の形成が低減される。
従って、屈折率(ni)及びアッベ数(ni)が所望の範囲内にありながら、紫外域の光の照射によるコンパクション及びソラリゼーションが小さく、紫外域の光についての内部透過率が高く、異常分散性Δθi,gが小さく、且つ再加熱処理を用いたガラス成形体の作製を行い易い光学ガラスを提供できる。ひいては、光学系の大型化を抑制しながらも、半導体露光装置における結像性能及び処理能力を高められ、且つ、高出力の紫外域の光の照射に対する耐性が高く光学系の長寿命化を図ることが可能な光学ガラスを提供できる。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
B2O3成分は、希土類酸化物を多く含む本発明の光学ガラスでは、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、B2O3成分の含有量を5.0%以上にすることで、紫外域の光の照射によるコンパクションやソラリゼーションを抑えられる。また、これにより、ガラスの耐失透性を高め、且つガラスのアッベ数を高められる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは15.0%を下限とし、さらに好ましくは20.0%超、さらに好ましくは25.0%超、さらに好ましくは30.0%超とする。
他方で、B2O3成分の含有量を50.0%以下にすることで、屈折率の低下や、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは45.0%、さらに好ましくは40.0%、さらに好ましくは38.0%を上限とする。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
他方で、この和を60.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減できる。従って、Ln2O3成分の質量和は、好ましくは60.0%、より好ましくは55.0%、さらに好ましくは50.0%、さらに好ましくは45.0%を上限とする。
他方で、SiO2成分の含有量を20.0%以下にすることで、紫外域の光の照射によるコンパクションやソラリゼーションを抑えられる。また、これによりガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6等を用いることができる。
この比率を0.50以下にすることで、紫外域の光の照射によるコンパクションのみならず、紫外域の光の照射によるソラリゼーションも抑えられる。従って、質量比SiO2/B2O3は、好ましくは0.50、より好ましくは0.40、さらに好ましくは0.30、さらに好ましくは0.25を上限とする。
他方で、La2O3成分の含有量を60.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減できる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは60.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは48.0%、さらに好ましくは45.0%を上限とする。
La2O3成分は、原料としてLa2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の整数)等を用いることができる。
他方で、Gd2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、紫外域の光についての内部透過率を高められ、且つ、再加熱処理による成形を行い易くできる。また、これによりガラスの材料コストが低減でき、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられ、且つ耐失透性を高められる。従って、Gd2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%を上限とし、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Gd2O3成分は、原料としてGd2O3、GdF3等を用いることができる。
他方で、Y2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、紫外域の光についての内部透過率を高められ、且つ、再加熱処理による成形を行い易くできる。また、これによりガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つガラスの耐失透性を高められる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%を上限とし、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Y2O3成分は、原料としてY2O3、YF3等を用いることができる。
他方で、Yb2O3成分及びLu2O3成分の含有量をそれぞれ10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。また、これによりガラスの耐失透性を高められる。従って、Yb2O3成分及びLu2O3成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Yb2O3成分及びLu2O3成分は、原料としてYb2O3、Lu2O3等を用いることができる。
他方で、TiO2成分の含有量を30.0%以下にすることで、TiO2成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの紫外域の光についての透過率の低下を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とし、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
他方で、Nb2O5成分の含有量を30.0%以下にすることで、紫外域の光の照射によるソラリゼーションを抑えられる。また、これによりNb2O5成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの紫外域の光についての透過率の低下を抑えられる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とし、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
他方で、WO3成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの紫外域の光についての透過率の低下を抑えられる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%を上限とし、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
他方で、MgO成分の含有量を10.0%以下にすることで、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
MgO成分は、原料としてMgCO3、MgF2等を用いることができる。
他方で、CaO成分及びSrO成分の各々の含有量を20.0%以下にすることで、所望の屈折率を得易くでき、且つこれらの成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、CaO成分及びSrO成分の含有量は、各々好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
CaO成分及びSrO成分は、原料としてCaCO3、CaF2、Sr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
他方で、BaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、所望の屈折率を得易くでき、且つ、これらの成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2、BaF2等を用いることができる。
他方で、ZnO成分の含有量を30.0%以下にすることで、アッベ数の低下を抑えられ、液相温度を低くでき、且つ、ガラス転移点の必要以上の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF2等を用いることができる。
他方で、RO成分の質量和は、紫外域の光の照射によるコンパクションを抑える観点から、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは8.0%を下限としてもよい。
他方で、Li2O成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて失透を低減でき、化学的耐久性を高められる。従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とし、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
また、Na2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くでき、且つ失透を低減できる。従って、Na2O成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とし、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
また、K2O成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くでき、且つ失透を低減できる。従って、K2O成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましく5.0%を上限とし、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分は、原料としてLi2CO3、LiNO3、Li2CO3、Na2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6、K2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
他方で、P2O5成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
他方で、高価なGeO2を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
他方で、高価なTa2O5成分を15.0%以下にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。また、これにより原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストをも低減できる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
他方で、ZrO2成分の含有量を20.0%以下にすることで、ZrO2成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%を上限とし、さらに好ましくは11.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
他方で、Bi2O3成分の含有量を15.0%以下にすることで、耐失透性を高められる。また、紫外域の光についての内部透過率を高められる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
他方で、TeO2は白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは20.0%を上限とし、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
他方で、Al2O3成分及びGa2O3成分の各々の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al2O3成分及びGa2O3成分の各々の含有量は、好ましくは20.0%を上限とし、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Al2O3成分及びGa2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3、Ga2O3、Ga(OH)3等を用いることができる。
他方で、SnO2成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO2成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%未満とする。
SnO2成分は、原料としてSnO、SnO2、SnF2、SnF4等を用いることができる。
他方で、Sb2O3成分の量が多すぎると、ソラリゼーションが大きくなる。また、特に白金坩堝を用いた際に、白金成分の溶融ガラスへの溶出により、紫外域の光についての透過率が悪くなる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.3%を上限とする。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
他方で、As2O3成分の含有量を3.0%以下にすることで、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くできる。従って、As2O3成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.5%を上限とする。
As2O3成分は、原料としてAs2O3等を用いることができる。
しかし、F成分を含有すると、溶融ガラスからのF成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなるため、ガラスの生産性が低下する。他方で、F成分の含有量を低減することで部分分散比を小さくできる。
従って、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とし、最も好ましくは含有しない。
F成分は、原料として例えばZrF4、AlF3、NaF、CaF2等を用いることで、ガラス内に含有することができる。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
B2O3成分 8.0〜60.0モル%及び
La2O3成分 3.0〜20.0モル%
並びに
SiO2成分 0〜30.0モル%
Gd2O3成分 0〜10.0モル%
Y2O3成分 0〜15.0モル%
Yb2O3成分 0〜3.0モル%
Lu2O3成分 0〜3.0モル%
TiO2成分 0〜30.0モル%
Nb2O5成分 0〜15.0モル%
WO3成分 0〜10.0モル%
MgO成分 0〜20.0モル%
CaO成分 0〜15.0モル%
SrO成分 0〜20.0モル%
BaO成分 0〜15.0モル%
ZnO成分 0〜35.0モル%
Li2O成分 0〜40.0モル%
Na2O成分 0〜20.0モル%
K2O成分 0〜10.0モル%
P2O5成分 0〜15.0モル%
GeO2成分 0〜10.0モル%
Ta2O5成分 0〜5.0モル%
ZrO2成分 0〜15.0モル%
Bi2O3成分 0〜5.0モル%
TeO2成分 0〜15.0モル%
Al2O3成分 0〜20.0モル%
Ga2O3成分 0〜10.0モル%
SnO2成分 0〜2.0モル%
Sb2O3成分 0〜1.0モル%
As2O3成分 0〜1.0モル%
並びに、上記各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量 0〜20.0モル%
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で900〜1500℃の温度範囲で2〜5時間熔融して攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
ここで、原料としては、通常の光学ガラスよりも不純物の少ない高純度原料を採用することが好ましい。特に、各成分について混合された後の原料全体についての不純物濃度は、5ppm以下にすることが好ましく、3ppm以下にすることがより好ましく、1ppm以下にすることがさらに好ましい。また、得られるガラスについての不純物濃度も、この範囲内にあることが好ましい。これにより、5ppm程度の不純物濃度が許容される通常の光学ガラスよりも不純物濃度が低減されるため、紫外域の光についての透過率、特にi線についての透過率を高められ、且つ、紫外域の光の照射によるソラリゼーションを小さくできる。
なお、原料やガラスに含まれる不純物としては、例えばFe、Crをはじめとした、上述した遷移金属成分が挙げられる。
本発明の光学ガラスは、紫外域の光の照射によるコンパクションが小さい。特に、本発明の光学ガラスの、波長355nm、平均出力0.28W、パルス繰り返し数60kHz、パルス幅8.3nsのパルスレーザー光を6時間照射した後の屈折率の変化量(Δn:照射前後の屈折率の差)は、好ましくは7ppm、より好ましくは4ppm、さらに好ましくは2ppmを上限とする。これにより、光学ガラスに紫外域の光を照射させたときにも屈折率やガラス表面形状の変化が抑えられるため、例えば半導体露光装置のレンズのような、エネルギー密度の高い波長300〜400nmの光線を用いた高精度の光学系における光学素子の用途に用いたとしても、結像特性の経時的な劣化を抑えられる点で、光学素子の長寿命化を図ることができる。
特に、本発明の光学ガラスにおける、波長365nmの光についての内部透過率は、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、さらに好ましくは95%を下限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、分光透過率が5%を示す波長(λ5)は、好ましくは300nm、より好ましくは280nm、さらに好ましくは270nm、さらに好ましくは260nmを上限とする。
これらにより、ガラスの紫外域の光についての透過率、特にi線についての透過率が高められるため、この光学ガラスを、半導体露光装置のレンズをはじめとした、紫外域の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
また、本発明の光学ガラスの波長365nmの光についてのアッベ数(νi)は、好ましくは35、より好ましくは40、さらに好ましくは45、さらに好ましくは50を下限とする。他方で、アッベ数(νi)は、好ましくは70、より好ましくは65、さらに好ましくは60を上限とする。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズであっても光の波長による焦点のずれ(色収差)が小さくなる。加えて、このような低分散を有することで、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせた場合に、高い結像特性等を図ることができる。
従って、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、半導体露光装置において高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
他方で、本発明の光学ガラスの異常分散性は、好ましくは−0.0700以上、より好ましくは−0.0650以上、さらに好ましくは−0.0600以上としてもよい。
θi,g=(ni−ng)/(nF−nC)・・・(1)
νi=(ni−1)/(nF−nC)・・・(2)
また、ノーマルラインの基準として用いるNSL7とPBM2はいずれも株式会社オハラ社製の光学ガラスであり、PBM2のアッベ数(νi)は36.26,部分分散比(θi,g)は1.4214、NSL7のアッベ数(νi)は60.49、部分分散比(θi,g)は1.2185である。
よって、ノーマルラインは、PBM2及びNSL7のアッベ数(νi)及び部分分散比(θi,g)の値から、下式(3)により示される。
θi,g=(−0.00837×νd+1.725038)・・・(3)
作製された光学ガラスから、例えば再加熱処理による成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスからガラス材料を作製し、このガラス材料を成形型に入れて軟化点(SP)以上の温度で再加熱処理を行うことにより、ガラス材料の自重を用いてガラス材料を成形型に基づいた形状に変形させることで、より大型のガラス成形体を作製することができる。そして、得られるガラス成形体に対して研削及び研磨による加工を行うことで、光学素子を作製することができる。なお、ガラス成形体及び光学素子を作製する手段は、この手段に限定されない。
このとき測定される、試験片の微結晶及び泡の断面積の総和が0.03mm2のガラスを結晶析出状態1級とし、微結晶及び泡の断面積の総和が0.03mm2以上0.1mm2未満のガラスを結晶析出状態2級とした。
他方で、このとき測定される、試験片の微結晶及び泡の総個数が10個未満のガラスを内部品質A級とし、微結晶及び泡の断面積の総和が10個以上100個未満のガラスを内部品質B級とした。
ここで、再加熱試験(ア)としては、屈伏点をAt[℃]、軟化点をSP[℃]、ガラス転移点をTg[℃]としたとき、At以上(At+30)[℃]以下の第1加熱温度まで22〜30時間かけて昇温した後、(SP+10)[℃]以上(SP+40)[℃]以下の第2加熱温度まで10〜20時間かけてさらに昇温させ、前記第2加熱温度で22〜30時間保持した後、(Tg−20)[℃]以上Tg[℃]以下の第1冷却温度まで2〜10時間かけて冷却させ、前記第1冷却温度で5〜10時間保持した後、(Tg/2)[℃]以下の第2冷却温度まで30〜70時間かけて冷却する試験を行った。
Claims (20)
- 質量%で、B2O3成分を5.0%以上50.0%以下、Ln2O3成分を合計で15.0%以上60.0%以下含有し(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)、波長355nm、平均出力0.28W、パルス繰り返し数60kHz、パルス幅8.3nsのパルスレーザー光を6時間照射した後の屈折率の変化量(Δn:照射前後の屈折率の差)が7ppm以下である光学ガラス。
- 前記パルスレーザー光を6時間照射した後の透過率の低下量が10.0%以下である請求項1記載の光学ガラス。
- 波長365nmの光についての内部透過率が70%以上である請求項1又は2記載の光学ガラス。
- 波長365nmの光についての内部透過率が95%以上である請求項3記載の光学ガラス。
- 分光透過率が5%を示す波長(λ5)が300nm以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で、SiO2成分の含有量が20.0%以下である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量比(SiO2/B2O3)が0.50以下である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で、
La2O3成分 10.0〜60.0%
Gd2O3成分 0〜30.0%
Y2O3成分 0〜30.0%
Yb2O3成分 0〜10.0%
Lu2O3成分 0〜10.0%
である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。 - 質量%で、
TiO2成分 0〜30.0%
Nb2O5成分 0〜30.0%
WO3成分 0〜20.0%
である請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。 - 質量%で、
MgO成分 0〜10.0%
CaO成分 0〜20.0%
SrO成分 0〜20.0%
BaO成分 0〜20.0%
ZnO成分 0〜30.0%
である請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。 - 質量%で、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選択される1種以上)の合計含有量が30.0%以下である請求項1から10のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で、
Li2O成分 0〜20.0%
Na2O成分 0〜15.0%
K2O成分 0〜10.0%
である請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス。 - 質量%で、Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の合計含有量が20.0%以下である請求項1から12のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量%で
P2O5成分 0〜20.0%
GeO2成分 0〜10.0%
Ta2O5成分 0〜15.0%
ZrO2成分 0〜20.0%
Bi2O3成分 0〜15.0%
TeO2成分 0〜20.0%
Al2O3成分 0〜20.0%
Ga2O3成分 0〜20.0%
SnO成分 0〜3.0%
Sb2O3成分 0〜3.0%
As2O3成分 0〜3.0%
F成分 0〜5.0%
である請求項1から13のいずれか記載の光学ガラス。 - 波長365nmの光についての、屈折率(ni)が1.60以上2.00以下であり、アッベ数(νi)が35以上70以下である請求項1から14のいずれか記載の光学ガラス。
- 異常分散性Δθi,gが−0.0100以下である請求項1から15のいずれか記載の光学ガラス。
- 下記条件による再加熱試験(ア)を2回繰り返し行った後のJOGIS13−1994異物測定方法に準じた判定において、試験片の結晶析出状態が1級又は2級であり、且つA級又はB級の内部品質を有する請求項1から16のいずれかに記載の光学ガラス。
〔再加熱試験(ア):屈伏点をAt[℃]、軟化点をSP[℃]、ガラス転移点をTg[℃]としたとき、At以上(At+30)[℃]以下の第1加熱温度まで22〜30時間かけて昇温した後、(SP+10)[℃]以上(SP+40)[℃]以下の第2加熱温度まで10〜20時間かけてさらに昇温させ、前記第2加熱温度で22〜30時間保持した後、(Tg−20)[℃]以上Tg[℃]以下の第1冷却温度まで2〜10時間かけて冷却させ、前記第1冷却温度で5〜10時間保持した後、(Tg/2)[℃]以下の第2冷却温度まで30〜70時間かけて冷却する。〕 - 半導体露光装置に用いられる請求項1から17のいずれか記載の光学ガラス。
- 請求項1から18のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
- 請求項19記載に記載の光学素子を備える半導体露光装置。
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