JP7089749B2 - ヘルメット - Google Patents

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Description

本発明は、着用者の頭部を覆って保護するための硬質の殻体を備えるヘルメットに関する。
ヘルメットが備える殻体は、着用者の頭部を保護するために硬質材料で形成されている。このため、ヘルメットを持ち運ぶときには非常に嵩張り、また、不使用時のヘルメットを保管する場合にも広い保管スペースが必要となる不都合があった。
そこで、本出願人は、先に、殻体をドーム状殻部材と環状殻部材とで構成し、ドーム状殻部材を環状殻部材の内側に収容することができるヘルメットを提案した(下記特許文献1参照)。
特開2015-132032号公報
ヘルメットは、殻体の内面を覆う衝撃吸収ライナーを備える。衝撃吸収ライナーは、殻体と着用者の頭部との間で外部から受けた衝撃を吸収する。
上記特許文献1のように、ドーム状殻部材が環状殻部材と別体とされている場合には、ドーム状殻部材の内面を覆う第1衝撃吸収ライナーと、環状殻部材の内面を覆う第2衝撃吸収ライナーとが設けられる。
しかし、殻体がドーム状殻部材と環状殻部材とで構成されることによって、殻体には、ドーム状殻部材と環状殻部材との境界が形成される。この境界位置には、第1衝撃吸収ライナーと第2衝撃吸収ライナーとの境界も位置する。そして、着用時に、ドーム状殻部材と環状殻部材との境界部分が内側から見て露出していると、当該境界部分での衝撃吸収能力が十分に得られないおそれがある。
上記の点に鑑み、本発明は、着用状態で衝撃吸収ライナーによるドーム状殻部材と環状殻部材との境界の衝撃吸収能力を向上させることができるヘルメットを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、着用者の頭部を覆う殻体を備え、前記殻体は、着用時に着用者の頭部の上部を覆うドーム状殻部材と、着用時に着用者の頭部の側部全周を覆う環状殻部材とを備え、前記ドーム状殻部材は、非着用時に前記環状殻部材の内側に収容可能となるヘルメットにおいて、前記ドーム状殻部材の内面を覆う第1衝撃吸収ライナーと、前記環状殻部材の内面を覆う第2衝撃吸収ライナーとを備え、前記第1衝撃吸収ライナーの下部周端部と前記第2衝撃吸収ライナーの上部周端部とは、着用時に水平方向に互いに全周にわたって重合することを特徴とする。
本発明によれば、第1衝撃吸収ライナーの下部周端部と第2衝撃吸収ライナーの上部周端部とが、着用時に水平方向に互いに全周にわたって重合するので、ドーム状殻部材と環状殻部材との境界は、第1衝撃吸収ライナーと第2衝撃吸収ライナーとの重合部分によって内側から覆われる。このように、第1衝撃吸収ライナーと第2衝撃吸収ライナーとの重合部分で、ドーム状殻部材と環状殻部材との境界が覆われることにより、ドーム状殻部材と環状殻部材との境界部分の衝撃吸収能力を向上させることができる。
また、本発明において、前記第1衝撃吸収ライナーは、前記ドーム状殻部材の内部から該ドーム状殻部材の上部周端縁に沿ってはみ出すようにして露出する露出端部を備え、
前記露出端部は、着用状態のときに前記第2衝撃吸収ライナーの上部周端部の内周面に対向する対向面を備えることを特徴とする。
本発明によれば、着用状態のとき、第1衝撃吸収ライナーの露出端部が第2衝撃吸収ライナーの上部周端部に対向する対向面を備えるので、ドーム状殻部材と環状殻部材との境界は、第1衝撃吸収ライナーの露出端部と第2衝撃吸収ライナーの上部周端部との重合部分で内側から覆われる。これにより、ドーム状殻部材と環状殻部材との境界を、第1衝撃吸収ライナーの露出端部と第2衝撃吸収ライナーの上部周端部とでを確実に覆うことができる。
また、本発明において、前記第1衝撃吸収ライナーの前記露出端部は、前記ドーム状殻部材の周端縁の厚み面を覆う覆部を備えることを特徴とする。
ドーム状殻部材は、環状殻部材の内側に収容可能となっている。このため、ドーム状殻部材の最大外径は、環状殻部材の内径よりも小さく形成されている。ドーム状殻部材の最大外径部分は、ドーム状殻部材が非反転姿勢のときに環状殻部材の内側に位置し、ドーム状殻部材の周端縁の厚み面が環状殻部材の内側に露出する。
そこで、本発明においては、第1衝撃吸収ライナーの露出端部に設けた覆部によりドーム状殻部材の周端縁の厚み面を覆う。これにより、第1衝撃吸収ライナーがドーム状殻部材の内側全面が覆われるので、第1衝撃吸収ライナーによる衝撃吸収能力を一層向上させることができる。
更に、本発明において、前記第2衝撃吸収ライナーは、周方向に沿って形成されて内方に向かって突出する凸部を備えることが好ましい。これによれば、ドーム状殻部材を非反転姿勢とした状態で、環状殻部材の外側からその内部を見ても、凸部が視野を邪魔して第1衝撃吸収ライナーと第2衝撃吸収ライナーとの境界部分が視認し難くなるので、第1衝撃吸収ライナーと第2衝撃吸収ライナーとに一体感を付与することができる。
本発明は、前記ドーム状殻部材が、前記環状殻部材に枢軸を介して反転自在に連結され、前記環状殻部材が、その内側に反転姿勢の前記ドーム状殻部材を収容するヘルメットに好適に採用することができる。
本発明の一実施形態のヘルメットの外観を示す斜視図。 本実施形態のヘルメットのドーム状殻部材を反転させた状態を示す斜視図。 本実施形態のヘルメットを縦断面視した説明的斜視図。 本実施形態のヘルメットの要部を示す説明的断面図。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のヘルメットは、所謂乗車用ヘルメットであり、所定の衝撃試験に耐える硬質合成樹脂材料からなる殻体1を備えている。
図1及び図2に示すように、殻体1は、ドーム状殻部材2と環状殻部材3との2つの部材で構成されている。ドーム状殻部材2は着用者の頭部の上部をドーム状に覆う形状に形成され、環状殻部材3はドーム状殻部材2の下部に位置して着用者の頭部の側部全周を覆う形状に形成されている。ドーム状殻部材2の最大外径となる下部周端縁の外径は、環状殻部材3の最小外径となる上部周端部の内径よりも僅かに小さく形成されている。
図1及び図2に示すように、ドーム状殻部材2は、枢軸収容部4に収容された図示しない枢軸を介して環状殻部材3の上部に連結されている。枢軸は、ドーム状殻部材2の左右に対向する位置で同一軸線上に設けられる。
ドーム状殻部材2と環状殻部材3とは枢軸によって、互いに分離不能とされるが、ドーム状殻部材2は、枢軸回りに回動自在とされている。そして、ドーム状殻部材2は、枢軸回りに回動させることにより、図2に示すように、環状殻部材3に対して反転姿勢とすることができる
なお、ドーム状殻部材2の状態について、以下の説明においては、環状殻部材3の上方に露出して着用可能となる図1に示す状態を非反転姿勢と言い、環状殻部材3に対して反転させたことにより環状殻部材3の内部に収容された図2に示す状態を反転姿勢と言う。本実施形態においてドーム状殻部材2が非反転姿勢となっている状態は、本発明における着用時又は着用状態のときに相当し、ドーム状殻部材2が反転姿勢となっている状態は、本発明における非着用時に相当する。
図3に示すように、ドーム状殻部材2の前側端部と後側端部との夫々の外側面には、横溝状の前側凹部5と後側凹部6とが形成されている。環状殻部材3は、後部側にロック機構7を備えている。
ロック機構7は、環状殻部材3の内方に向かって弾発的に進退する係合部材7aを備えている。係合部材7aは、ドーム状殻部材2が非反転姿勢のときに後側凹部6に係合し、ドーム状殻部材2が反転姿勢のときに前側凹部5に係合する。
これにより、ドーム状殻部材2は、非反転姿勢と反転姿勢との何れの状態であってもそれぞれの姿勢で固定される。なお、係合部材7aは、環状殻部材3の外側に引っ張り操作することで、前側凹部5又は後側凹部6との係合を解除してドーム状殻部材2を回転させることができる。
図3に示すように、ドーム状殻部材2には、その内面を覆う第1衝撃吸収ライナー8が設けられている。環状殻部材3には、その内面を覆う第2衝撃吸収ライナー9が設けられている。第1衝撃吸収ライナー8と第2衝撃吸収ライナー9は、何れも、発泡スチロール等の衝撃吸収材により形成されている。
第1衝撃吸収ライナー8は、その下部周端部に、図2に示すように、ドーム状殻部材2の周端縁2aに沿ってはみ出すようにして露出する露出端部8aを備えている。更に、ドーム状殻部材2が非反転姿勢のとき、図4に示すように、露出端部8aは、第2衝撃吸収ライナー9の上部周端部の内周面に対向する対向面8bを備えている。
第1衝撃吸収ライナー8の露出端部8aにより対向面8bが形成され、ドーム状殻部材2が非反転姿勢のときに、第1衝撃吸収ライナー8の露出端部8aと第2衝撃吸収ライナー9の上部周端部とが重合した状態になることにより、ドーム状殻部材2と環状殻部材3との境界を内側から覆うことができる。これにより、ドーム状殻部材2と環状殻部材3との境界部分での衝撃吸収能力を向上させることができる。
また、露出端部8aは、ドーム状殻部材2の周端縁2aの厚み面2bを覆う覆部8cを備えている。これにより、第1衝撃吸収ライナー8がドーム状殻部材2の内側全面を覆って第1衝撃吸収ライナー8による衝撃吸収能力を一層向上させることができる。
また、第2衝撃吸収ライナー9は、図4に示すように、下端に向かって次第に肉厚となって内方に突出する凸部9aを備えている。凸部9aは、環状殻部材の周方向に沿って環状に形成されている。これによれば、ドーム状殻部材2を非反転姿勢とした状態で、環状殻部材3の外側からその内部を見たとき、第1衝撃吸収ライナー8と第2衝撃吸収ライナー9との境界部分が視認し難く、第1衝撃吸収ライナー8と第2衝撃吸収ライナー9とに一体感を付与することができる。
また、第2衝撃吸収ライナー9の内周面には、上端から凸部9aにかけて連続して湾曲する湾曲面9bが形成されている。湾曲面9bにより、反転姿勢となるドーム状殻部材2と第2衝撃吸収ライナー9との干渉を防止している。
なお、本実施形態においては、ドーム状殻部材2と環状殻部材3とが枢軸を介して連結されていて、環状殻部材3に対してドーム状殻部材2が反転することにより環状殻部材3の内側に収容されるものを示したが、本発明は、これに限るものではない。即ち、ドーム状殻部材2と環状殻部材3とが互いに分離できるようになっていてもよく、また、環状殻部材3の一部とドーム状殻部材2の一部とが連結されていて、環状殻部材3に対してドーム状殻部材2が回転可能且つ搖動可能とされていてもよい。
また、本実施形態においては、着用状態のとき、第1衝撃吸収ライナー8の下部周端部が第2衝撃吸収ライナー9の上部周端部の内側に重合するものを示したが、例えば図示しないが、ドーム状殻部材と環状殻部材との形状によっては、第1衝撃吸収ライナーの下部周端部が第2衝撃吸収ライナーの上部周端部の外側に重合するようにしてもよい。
また、本実施形態として所謂乗車用ヘルメットを挙げて説明したが、本発明のヘルメットの用途はこれに限るものではなく、例えば、自転車用や作業用のヘルメットとしても上記構成を適用することが可能である。
1…殻体、2…ドーム状殻部材、3…環状殻部材、8…第1衝撃吸収ライナー、8a…露出端部、8b…対向面、8c…覆部、9…第2衝撃吸収ライナー、9a…凸部。

Claims (5)

  1. 着用者の頭部を覆う殻体を備え、前記殻体は、着用時に着用者の頭部の上部を覆うドーム状殻部材と、着用時に着用者の頭部の側部全周を覆う環状殻部材とを備え、前記ドーム状殻部材は、非着用時に前記環状殻部材の内側に収容可能となるヘルメットにおいて、
    前記ドーム状殻部材の内面を覆う第1衝撃吸収ライナーと、前記環状殻部材の内面を覆う第2衝撃吸収ライナーとを備え、
    前記第1衝撃吸収ライナーの下部周端部と前記第2衝撃吸収ライナーの上部周端部とは、着用時に水平方向に互いに全周にわたって重合することを特徴とするヘルメット。
  2. 前記第1衝撃吸収ライナーは、前記ドーム状殻部材の内部から該ドーム状殻部材の上部周端縁に沿ってはみ出すようにして露出する露出端部を備え、
    前記露出端部は、着用状態のときに前記第2衝撃吸収ライナーの上部周端部の内周面に対向する対向面を備えることを特徴とする請求項1記載のヘルメット。
  3. 前記第1衝撃吸収ライナーの前記露出端部は、前記ドーム状殻部材の周端縁の厚み面を覆う覆部を備えることを特徴とする請求項2記載のヘルメット。
  4. 前記第2衝撃吸収ライナーは、前記環状殻部材の周方向に沿って形成されて内方に向かって突出する凸部を備えることを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載のヘルメット。
  5. 前記ドーム状殻部材は、前記環状殻部材に枢軸を介して反転自在に連結され、前記環状殻部材は、その内側に反転姿勢の前記ドーム状殻部材を収容することを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載のヘルメット。
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