JP2018053383A - 上部反転ヘルメット - Google Patents
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Abstract
【課題】環状殻部材が受ける衝撃による影響を軽減することができる上部反転ヘルメットを提供する。【解決手段】着用者の頭部の上部を覆う硬質のドーム状殻部材2と、着用者の頭部の側部全周を覆う硬質の環状殻部材3とを備え、ドーム状殻部材2が、環状殻部材3に枢軸4を介して反転自在に連結された上部反転ヘルメットにおいて、環状殻部材3の上縁部に沿って縁取り部6を設けた。【選択図】図1
Description
本発明は、環状の環状殻部材と、環状殻部材の上部で反転可能なドーム状殻部材とを備える上部反転ヘルメットに関する。
一般に、ヘルメットが備える殻体は、着用者の頭部を保護するために硬質材料で形成されている。このため、ヘルメットを持ち運ぶときには非常に嵩張り、また、不使用時のヘルメットを保管する場合にも広い保管スペースが必要となる不都合があった。
そこで、本出願人は、先に、殻体をドーム状殻部材と環状殻部材とで構成し、ドーム状殻部材を環状殻部材に対して反転させて環状殻部材の内側に収容することができる上部回転ヘルメットを提案した(下記特許文献1参照)。
上記特許文献1の上部回転ヘルメットにおいては、環状殻部材は、ドーム状殻部材を反転可能に支持すると共にドーム状殻部材を収容可能とするために、ドーム状殻部材の外径より大きく形成される。
このため、着用状態では(即ちドーム状殻部材が非反転姿勢のとき)、環状殻部材の上縁部に段差が生じ、段部の外周には角部が形成される。そして、この角部に衝撃を受けた場合には、平坦な面で衝撃を受けた場合に比べて比較的狭い領域に衝撃が集中するおそれがある。
上記の点に鑑み、本発明は、環状殻部材が受ける衝撃による影響を軽減することができる上部反転ヘルメットを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、着用者の頭部の上部を覆う硬質のドーム状殻部材と、着用者の頭部の側部全周を覆う硬質の環状殻部材とを備え、前記ドーム状殻部材が、前記環状殻部材に枢軸を介して反転自在に連結された上部反転ヘルメットにおいて、前記環状殻部材の上縁部に沿って縁取り部が設けられていることを特徴とする。
縁取り部を環状殻部材の上縁部に設けることにより、環状殻部材に、補強や緩衝のための機能を容易に付与することができる。しかも、縁取り部に用いる材料を適宜選定することにより、補強や緩衝に限らず、例えば光が強く反射する材料を縁取り部に用いて着用者の存在を目立たせる等、所望の機能を環状殻部材に持たせることができる。
縁取り部は、環状殻部材と一体で(同一の材料で)、他部より厚みを増加させてもよく、縁取り部を環状殻部材と異なる材料で形成してもよい。縁取り部を環状殻部材と異なる材料で形成する場合には、インサート成形等により環状殻部材に一体に設けもよく、或いは、縁取り部を、環状殻部材とは個別に形成して環状殻部材に取り付けてもよい。
そして、本発明の好ましい構成として、前記縁取り部を、前記環状殻部材の上縁部を補強する補強材により形成する、或いは、前記環状殻部材の上縁部に受けた衝撃を緩和する緩衝材により形成することが挙げられる。
また、前記縁取り部は、前記環状殻部材の表側に設けて露出状態とすることも考えられるが、補強や緩衝の効果を得る場合には、前記環状殻部材の裏面側に設けられていてもよい。
このとき、前記環状殻部材の内側に衝撃吸収ライナを備えている場合には、衝撃吸収ライナに縁取り部を設けてもよい。即ち、前記縁取り部は、前記衝撃吸収ライナにおける前記環状殻部材の上縁部に対応する位置に形成されていてもよい。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の上部反転ヘルメットは、硬質合成樹脂材料からなる殻体1を備え、自転車用ヘルメットとして好適に用いることができるものである。なお、殻体1の内部にはハンモック、ヘッドバンド、顎紐等の着装体(図示しない)や後述の衝撃吸収ライナ14,15(図5参照)等を設けることができるようになっている。
図1及び図2に示すように、殻体1は、ドーム状殻部材2と環状殻部材3との2つの部材で構成されている。ドーム状殻部材2は着用者の頭部の上部をドーム状に覆う形状に形成され、環状殻部材3はドーム状殻部材2の下部に位置して着用者の頭部の側部全周を覆う形状に形成されている。
また、ドーム状殻部材2は、枢軸4を介して環状殻部材3の上部に連結されている。枢軸4は、図3に示すように、ドーム状殻部材2の左右に対向する位置で同一軸線上に設けられている。枢軸4は、ドーム状殻部材2の外面に突設されているが、環状殻部材3の凹部に収容されており、この凹部は通常は図示しない蓋部材により覆われている。
図1及び図2に示すように、環状殻部材3には、枢軸4の軸受となる軸孔5が形成されている。この軸孔5は前後方向に向かって延びる長孔状に形成されており、軸孔5の長手方向に沿った案内により、枢軸4が前後方向に移動可能とされている。
枢軸4によって、ドーム状殻部材2と環状殻部材3とは分離不能とされると共に、ドーム状殻部材2は、枢軸4回りに回動自在とされている。そして、図4に示すように、ドーム状殻部材2は、枢軸4回りに回動させることにより、環状殻部材3に対して反転姿勢とすることができる。ドーム状殻部材2の状態について、以下の説明においては、環状殻部材3の上方に露出して着用可能となる状態を非反転姿勢(図1〜図3の状態)と言い、環状殻部材3に対して反転させたことにより環状殻部材3の内部に収容された状態を反転姿勢(図4の状態)と言う。
上記のように、環状殻部材3は、反転姿勢のドーム状殻部材2が収容可能となる大きさに形成されている。このため、図3に示すように、環状殻部材3の上縁部には、ドーム状殻部材2との大きさの違いによる段差が形成される。そして、図1〜図3に示すように、このような段差を形成する環状殻部材3の上縁部に沿って、縁取り部6が取り付けられている。
また、図2に示すように、環状殻部材3の前側の上端部には環状殻部材3の内側に向かって突出する前側突部7が形成されている。環状殻部材3の後側にはロック手段8が設けられている。
ロック手段8は、ドーム状殻部材2の後方下縁に設けられた係止穴9と、環状殻部材3の後側に設けられた係止部材10とによって構成されている。係止部材10は、環状殻部材3に搖動軸11を介して搖動自在に取り付けられ、係止穴9に係止する係止爪12と、係止部材10の搖動操作を行うための指掛け部13とを備えている。更に、係止部材10は、図示しない付勢手段により、係止爪12が係止穴9に係止する方向に付勢されている。
ドーム状殻部材2が非反転姿勢のとき、ドーム状殻部材2の前側下縁が環状殻部材3の前側突部7の上面に当接した状態で、ロック手段8の係止爪12がドーム状殻部材2の係止穴9に係止する。これにより、ドーム状殻部材2の非反転姿勢が維持されて、着用可能な状態となる。
この状態から、指掛け部13を外側に引っ張り、係止部材10を搖動させると、係止部材10の係止爪12が係止穴9から離脱してドーム状殻部材2の環状殻部材3に対するロック状態が解除される。そして、ロック手段8によるロック状態を解除した後に、図4に示すように、ドーム状殻部材2を反転させると、ドーム状殻部材2が環状殻部材3の内側に収容される。ドーム状殻部材2を反転させた後には、ドーム状殻部材2の前側(反転により環状殻部材3の後側に位置する)の係止穴9´にロック手段8の係止爪12が係合し、これによって、環状殻部材3の内側にドーム状殻部材2が収容された状態が維持される。
前述したように、環状殻部材3は、反転させたドーム状殻部材2を収容することにより、ドーム状殻部材2よりも大きく形成され、これによって、環状殻部材3の上縁部には段差が生じる。万一の着用者の転倒時等には、この段差の角部に衝撃を受けることが考えられる。そこで、図1及び図3に示すように、環状殻部材3の上縁部に沿って、縁取り部6が取り付けられている。
環状殻部材3の上縁部に、縁取り部6が設けられているので、環状殻部材3の上縁部が補強され、更に、緩衝作用も得ることができる。即ち、縁取り部6は、環状殻部材3の上縁部の外側の角部を覆うことにより、環状殻部材3の上縁部を保護し、環状殻部材3の強度(耐衝撃性や耐久性)を向上させる補強材として作用する。更に、縁取り部6は、緩衝作用が得られる材料で形成することにより緩衝材として作用させることができるので、環状殻部材3の上縁部から着用者に伝達される衝撃を緩和することができる。
縁取り部6は、環状殻部材3の上縁部の全周に連続して設けることにより前後左右の何れの方向からの衝撃に対しても十分な補強効果や緩衝作用が得られる。或いは、図示しないが、所定の長さ寸法の複数の縁取り部を環状殻部材の上縁部に沿って不連続に配設してもよい。このとき、縁取り部を、必要に応じて環状殻部材の上縁部に部分的に設けてもよい。縁取り部を環状殻部材の上縁部に部分的に設ける場合には、例えば、両側の側頭部に沿って延設することが挙げられる。
また、図3に示した縁取り部6を、環状殻部材3の上縁部に対して着脱自在に構成してもよい。これによれば、汚れ等が生じた縁取り部6を、未使用の縁取り部6に交換することができ、外観低下を防止することができる。
また、図示しないが、縁取り部6の少なくとも表面に反射材による被覆を施しておくことも可能である。
また、本実施形態においては、図3に示すように、縁取り部6を、環状殻部材3の上縁部に取り付けた例を示したが、これに限るものではなく、図示しないが、例えば、環状殻部材の成形時に縁取り部をインサート成形等により一体成型してもよい。或いは、環状殻部材の上縁部を他部より肉厚に形成して縁取り部としてもよい。
また、図3に示すように、本実施形態においては、縁取り部6を、環状殻部材3の上縁部の外面側に露出させて設けた例を示したが、これ以外に、図示しないが、環状殻部材の上縁部の内側に縁取り部を設けてもよい。
ところで、図5に示すように、本実施形態の上部反転ヘルメットは、ドーム状殻部材2の内側と環状殻部材3の内側との夫々に衝撃吸収ライナ14,15が取り付けられ、これによって高い保護性能を有している。
環状殻部材3の内側の衝撃吸収ライナ15によって、着用者に伝達される衝撃緩和が十分に得られる場合には、図3に示した縁取り部6を、環状殻部材3よりも硬質の材料で形成して、環状殻部材3の強度を一層向上させることも可能である。
また、本実施形態においては、図3に示すように、環状殻部材3の上縁部に直接的に縁取り部6を設けた例を示したが、本発明における縁取り部は、環状殻部材3の上縁部に沿って設けられていれば、環状殻部材3の上縁部に直接的に設けなくてもよい。即ち、図5に示すように、環状殻部材3の内側に取り付けた衝撃吸収ライナ15における、環状殻部材3の上縁部に対応する部分に沿って、縁取り部16を設けることもできる。
縁取り部16は、環状殻部材3の内側に取り付けた衝撃吸収ライナ15と異なる材料を適宜選択して採用することができ、例えば、衝撃吸収ライナ15よりも硬度が高い材料を用いて環状殻部材3の上縁部を補強することができ、或いは、衝撃吸収ライナ15よりも柔軟性が高い材料を用いて環状殻部材3の上縁部に受けた衝撃を緩和することができる。
更に、図示しないが、縁取り部は、環状殻部材3の表側と裏側の両方に設けてもよい。
2…ドーム状殻部材、3…環状殻部材、4…枢軸、6,16…縁取り部、15…衝撃吸収ライナ。
Claims (5)
- 着用者の頭部の上部を覆う硬質のドーム状殻部材と、着用者の頭部の側部全周を覆う硬質の環状殻部材とを備え、前記ドーム状殻部材が、前記環状殻部材に枢軸を介して反転自在に連結された上部反転ヘルメットにおいて、
前記環状殻部材の上縁部に沿って縁取り部が設けられていることを特徴とする上部反転ヘルメット。 - 前記縁取り部は、前記環状殻部材の上縁部を補強する補強材により形成されていることを特徴とする請求項1記載の上部反転ヘルメット。
- 前記縁取り部は、前記環状殻部材の上縁部に受けた衝撃を緩和する緩衝材により形成されていることを特徴とする請求項1記載の上部反転ヘルメット。
- 前記縁取り部は、前記環状殻部材の裏面側に設けられていることを特徴する請求項1〜3の何れか1項記載の上部反転ヘルメット。
- 前記環状殻部材は、その内側に衝撃吸収ライナを備え、
前記縁取り部は、前記衝撃吸収ライナにおける前記環状殻部材の上縁部に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項4記載の上部反転ヘルメット。
Priority Applications (1)
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JP2016189619A JP2018053383A (ja) | 2016-09-28 | 2016-09-28 | 上部反転ヘルメット |
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