JP7089696B2 - 記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、吐出安定性等について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、ヘッド内における目詰まり耐性に優れ、かつ、耐擦性に優れる画像を形成できる水系インクジェットインク組成物を提供することを目的として、樹脂と、樹脂に対するSP値の差が3以内の含窒素溶剤と、水と、を含み、前記含窒素溶剤の含有量は樹脂1質量部に対して2~9質量部であり、標準沸点が280℃以上の有機溶剤の含有量が3質量%以下である、水系インクジェットインク組成物が開示されている。
特開2017-186472号公報
インクジェットプリンタを用いて、幅が広い記録媒体へ記録することで表示用などに有用な記録物を得ることができる。今般、記録媒体の幅が広く1回の走査の距離が長い記録を行い、インクの成分を凝集させる処理液を使用し画質の向上を図る場合に、記録媒体の画像の場所により色が異なってしまう課題が生じた。
本発明は、上記のような場合において、記録物の色の差の発生を抑制できる記録方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、濃着色インク組成物と淡着色インク組成物を併用することにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物とを含む着色インク組成物を、インクジェットヘッドから吐出して、記録媒体へ付着させるインク付着工程と、
前記着色インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する処理液を、前記記録媒体へ付着させる処理液付着工程と、を備え、
前記インク付着工程を、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体との相対位置を走査方向へ変えながら前記着色インク組成物を吐出する走査を複数回行うことにより行い、
前記インク付着工程における1回の走査の最大距離が50cm以上である、
記録方法。
〔2〕
前記淡着色インク組成物及び前記濃着色インク組成物として、濃淡のブラックインクを用いる、
〔1〕に記載の記録方法。
〔3〕
樹脂を含むクリアインク組成物をさらに用いる、
〔1〕又は〔2〕に記載の記録方法。
〔4〕
前記記録媒体を加熱する加熱工程を備え、加熱された前記記録媒体に対して前記インク付着工程を行う、又は、
前記インク付着工程において前記着色インク組成物が付着した領域へ風を送る送風工程を備える、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔5〕
前記淡着色インク組成物及び前記濃着色インク組成物として、濃淡のシアンインク、濃淡のマゼンタインク、濃淡のイエローインク、又は濃淡のブラックインクのすくなくとも何れかを用いる、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔6〕
前記淡着色インク組成物及び前記濃着色インク組成物として、2組以上の濃淡インク組成物を用いる、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔7〕
前記濃着色インク組成物に含まれる色材1質量部に対し、前記淡着色インク組成物に含まれる色材の含有量が2/3質量部以下である、
〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔8〕
前記記録媒体が、低吸収性記録媒体又は非吸収性記録媒体である、
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔9〕
前記インク付着工程において前記着色インク組成物を付着させる際の前記記録媒体の表面温度が、30~45℃である、
〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔10〕
前記インク付着工程における1回の走査の最大時間が、0.8秒以上である、
〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔11〕
前記凝集剤が、多価金属塩、有機酸又はその塩、及びカチオン性樹脂の何れか1種以上である、
〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔12〕
前記インク付着工程における1回の走査の最大距離が、50~500cmである、
〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔13〕
前記インク付着工程における前記記録媒体の表面温度の温度差が1~10℃である、
〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の記録方法。
〔14〕
同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物とを含む着色インク組成物を、インクジェットヘッドから吐出して、記録媒体へ付着させるインク付着工程と、
前記着色インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する処理液を、前記記録媒体へ付着させる処理液付着工程と、を備え、
前記インク付着工程を、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体との相対位置を走査方向へ変えながら前記着色インク組成物を吐出する走査を複数回行うことにより行い、
前記インク付着工程における前記着色インクを付着させる際の前記記録媒体の表面温度の差が1~10℃である、
記録方法。
〔15〕
〔1〕~〔14〕の何れか一項に記載の記録方法で記録を行う記録装置。
本実施形態に用いる記録装置の構成を示す概略断面図である。 インク付着工程における記録装置の部分側面図であって、(a)はキャリッジが配置されていない態様を示し、(b)はキャリッジが配置されている態様を示す。 本実施形態に用いる記録装置のキャリッジ周辺の構成例を示す概略斜視図である。 本実施形態に用いる記録装置が有するファンの一例を示す正面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔記録方法〕
本実施形態の記録方法は、同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物とを含む着色インク組成物を、インクジェットヘッドから吐出して、記録媒体へ付着させるインク付着工程と、着色インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する処理液を、記録媒体へ付着させる処理液付着工程と、を備え、インク付着工程を、インクジェットヘッドを記録媒体との相対位置を走査方向へ変えながら着色インク組成物を吐出する走査を複数回行うことにより行い、1回の走査の最大距離が50cm以上である。
上記のとおり、記録媒体の走査方向の幅が広い記録装置においては、色差が大きくなるという固有の課題があることが分かってきた。記録媒体の走査方向の幅が広い記録装置としては例えばラージフォーマットプリンタなどが挙げられる。
処理液を用いる場合、記録媒体に付着したインク滴を早期に固定できるため、画質向上するが、その反面、複数色のインク組成物を用いる場合、インク組成物の付着順により凝集に差が出るため、色差が大きくなるものと推測する。一方で、反応液を用いない場合は、付着したインク滴同士が固定される前により集まりが発生して色差が大きくなってしまうと推測する。色差は1枚の記録媒体内において同一色の画像を記録しようとしたにも拘らず場所による色の差である。特に走査方向の幅が広い記録媒体を用いる場合、走査方向の色差が発生しやすい傾向がある。幅が広く1回の走査の距離が長い場合、後述する色差の原因となる影響が大きいためと推測する。該色差を面内色差ともいう。
また、記録媒体の走査方向の幅が広い記録装置においては1パスの走査時間が長く、そのような場合には、生産性、画質を向上させるためキャリッジの移動スピードをあげて記録を行うことも行われる。しかし、これと同時に、移動による風の影響が強くなり、当該影響が色差に影響を与えうる。
処理液を用いることに加えてインクの乾燥を早めるために加熱温度を高くすることで画質改善することも行われる。特に、低吸収性記録媒体や非吸収性記録媒体に対して記録を行う場合に、記録中に加熱も行うことで乾燥を促進することが、画質の向上に効果的ではある。しかし、記録中の乾燥によっても色差が大きくなりやすいことが分かってきた。これは、乾燥手段として、記録媒体背面にヒーターを設けたり、風を当てたりした場合に、幅方向で温度のむらが生じやすく、特にラージフォーマットプリンタ等の記録媒体の走査方向の幅が広い記録装置においては、色差の観点から無視できないものであることに起因すると推測する。特に、走査方向の幅が広い場合には、ヒーターのつなぎ目や風の流出口の数が多く、装置の構成上からして面内温度差が生じやすい箇所が多いことや、温度差が大きくなりやすいことにも要因がある。結果として、上述の加熱の場所による温度ムラによる色差が生じることとなる。
さらに、加熱により、ノズル近傍の乾燥が進むことにより、吐出されるドットの重量自体が変化したり、メニスカスの不均一化による着弾ずれの発生も生じ得る。走査方向の幅が広い記録装置を用いた記録方法においては、このような複合的な要因により、色差が生じやすいものとなると推測する。
濃着色インク組成物を用いて明度の中程度~高い色(淡い色)を記録しようとした場合、特に色ずれが大きく色差が大きいことがわかってきた。
これに対して、本実施形態においては、濃着色インク組成物と淡着色インク組成物を併用することにより、色差を低減することができる。これは、淡着色インク組成物を用いて高明度領域の色を記録するほうが、着弾ずれなどにより記録面上のドットの寄り集まり状態に多少の揺らぎが生じたり、乾燥ムラによるドットの広がり方の差が生じたとしても、色差として表れにくいことによるものと考えられる。これにより、高明度から低明度まで色差の小さい記録をすることができる。
一方、濃着色インクのドットを用いてドット密度を調整することで高明度領域の色を記録媒体上に再現する場合、上記の記録面上のドットの寄り集まり状態の揺らぎやドットの広がり方の差が生じた場合に、色差が大きくなると推測する。以下、各工程について詳述する。
〔インク付着工程〕
インク付着工程は、同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物とを、インクジェットヘッドから吐出して、記録媒体へ付着させる工程である。ここで、インクジェットヘッドは、インク組成物を記録媒体に向けて吐出して記録を行うヘッドであり、当該ヘッドは、収容したインク組成物をノズルから吐出させるキャビティーと、インク組成物に対して吐出の駆動力を付与する吐出駆動部と、ヘッドの外へインク組成物を吐出するノズルと、を有する。吐出駆動部は、機械的な変形によりキャビティーの容積を変化させる圧電素子などの電気機械変換素子や、熱を発することによりインクに気泡を発生させ吐出させる電子熱変換素子などを用いて形成することができる。
また、インク付着工程は、インクジェットヘッドを記録媒体との相対位置を走査方向へ変えながらインク組成物を吐出する走査を複数回行うことにより行う。すなわち、インクジェットヘッドは、シリアルヘッドであることが好ましい。シリアルヘッドを用いたシリアル方式では、ヘッドを主走査方向(記録媒体の横方向、幅方向)に沿って移動させ、この移動に連動してヘッドのノズル開口からインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録することができる。ヘッドはキャリッジに搭載されるなどしてキャリッジが主走査方向に移動することで走査が行われてもよい。本発明において走査を主走査ともいう。
そして、走査と副走査を交互に繰り返し行うことで、徐々に記録媒体を副走査方向(記録媒体の縦方向、搬送方向)に沿って移動させることで記録を進める。
1回の走査の最大距離は、50cm以上であり、好ましくは50~500cmであり、より好ましくは50~400cmであり、さらに好ましくは55~300cmであり、よりさらに好ましくは60~200cmである。また特に好ましくは70~190cmであり、より特に好ましくは100~180cmであり、さらに特に好ましくは130~170cmである。
該距離が50cm以上であることにより、表示用などに有用な記録物とすることできる。反面、得られる記録物の色差が生じやすくなるが、本発明によれば色差の低減が可能となり、本発明が特に有用である。また、該距離の上限は特に制限されないが、記録装置の構成の観点や、色差の低減がより優れることから500cm以下が好ましい。
「1回の走査の最大距離」とは、1回の走査において、記録媒体の走査方向の端から端まで仮に記録した場合に、インクジェットヘッドの一点が記録媒体と対向している距離をいう。なお記録方法を行う際には記録すべき画像に応じて上記の1回の走査の最大距離より短い距離である走査も行われてもよい。
1回の走査の最大距離が長いほうが得られる記録物の色差が生じ易くなる原因として、前述したこと以外に、記録媒体の搬送の際にプラテンから記録媒体から浮いてしまう部分が生じて、インクの着弾ずれ(位置ずれ)が生じることもあると推測する。さらには記録媒体の浮きは記録媒体の表面温度の温度差の原因にもなる。
記録媒体は、記録媒体の走査方向の幅が、上記の1回の走査の最大距離の範囲であるものを用いることが好ましい。この場合、1回の走査の最大距離を上記のものにすることができる点で好ましい。
インク付着工程における1回の走査の最大時間は、好ましくは0.8秒以上である。好ましくは0.8~5秒以下であり、より好ましくは0.8秒以上4秒以下であり、さらに好ましくは0.8秒以上3秒以下であり、特に好ましくは1.5~2.5秒である。1回の走査の最大時間が上記範囲内であることにより、記録媒体の幅が上述の範囲である記録媒体へ記録するために適す点で好ましい。また、得られる記録物の色差が生じやすくなるが、色差の低減が可能となる点で本発明が特に有用である。なお、「1回の走査の最大時間」とは、1回の走査において、記録媒体の走査方向の端から端まで仮に記録した場合に、インクジェットヘッドの一点が記録媒体と対向している時間をいう。なお記録方法を行う際には記録すべき画像に応じて上記の1回の走査の最大時間より短い時間の走査も行われてもよい。
なお、インク付着工程における平均走査速度は、好ましくは60~100cm/秒である。
記録媒体を加熱する加熱工程を備え、加熱された記録媒体の記録面へインク付着工程を行うことが好ましい。記録媒体の加熱には、プラテンヒーターや温風ヒーターやIRヒーターなどの加温機構を用いることができる。インク付着工程においてインク組成物を付着する際の記録媒体の表面温度は、好ましくは20~60℃であり、より好ましくは20~50℃であり、さらにより好ましくは25~45℃であり、さらに好ましくは30~40℃であり、特に好ましくは32~38℃である。記録媒体を加熱し表面温度を高くすることにより、得られる記録物の画質が向上する傾向にある。また、記録媒体の表面温度が60℃以下であることにより、吐出安定性、ノズルの目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
また、加熱工程は記録装置自身の発熱を記録媒体が受ける等によって記録媒体の表面温度が常温よりも高くなってしまうことであってもよい。つまり記録媒体の表面温度が常温より高いことを意味する。
なお上記の記録媒体の表面温度は、プラテンに支持されている記録媒体のヘッドの主走査中に対向しうる領域の全体の温度を測定し、該領域の記録中の記録媒体の表面の温度のうちの最高温度とする。
該領域の記録中の記録媒体の表面の温度は最高温度より低い温度である部分を生じて温度差を生じることがある。温度差は、1回の走査の最大距離が長いほうが大きい傾向がある。この原因としては記録媒体の走査方向の全体に亘り均一に加熱することが難しくなることが挙げられる。
プラテンに支持されている記録媒体のヘッドの主走査中に対向しうる領域の全体の温度のうちの最高温度と最低温度の温度差は10℃以下が好ましく7℃以下がより好ましく5℃以下がさらに好ましい。また上記温度差は1℃以上が好ましく2℃以上がより好ましく3℃以上がさらに好ましい。温度差が上記範囲である場合、色差低減がより優れる点や、記録装置の設計の自由度が高くなる点で好ましい。また上記の記録媒体の表面温度が低いほうが温度差が小さくなる傾向があり色差低減の点で好ましい。
加熱工程によりインクの乾燥を促進することにより、濃度ムラ抑制などがより優れ、また色差抑制にもより優れる。インク付着時の記録媒体表面温度は、この点で上記範囲以上であることが好ましい。一方、色差の発生の原因となる温度ムラ発生などを抑えることで色差抑制がより優れる点で、記録媒体の表面温度が上記範囲以下であることが好ましい。
また、インク付着工程において、インク組成物が付着した領域へ風を送る送風工程を備えることが好ましい。送風方法としては、特に制限されないが、例えば、記録装置に設けられた送風機などが用いられる。送風工程を有することにより、記録媒体に付着したインク組成物を効率的に乾燥させることができ、得られる記録物のざらつきや濃度むらがより抑制される傾向にある。
送風工程の風の温度は記録媒体を加熱するような温風であってもよく、この場合上記の記録媒体を加熱する加熱工程として風を送ってもよい。この場合、得られる記録媒体の画質がより向上する点で好ましい。または記録媒体を加熱しないような常温の風として風を送ってもよい。この場合もインクの成分の蒸発を促進し得られる記録媒体の画質がより向上する点や、ヘッドからのインクの吐出安定性が優れる点で好ましい。送る風の温度は、上記の記録媒体を加熱する加熱工程の記録媒体の表面温度の温度としてもよい。または、送る風の温度は具体的に70℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましく、35℃以下がさらにより好ましく、30℃以下が特に好ましい。風の温度の下限は限るものでは無いが20℃以上が好ましい。一方、送風工程を備える場合、記録媒体の表面温度の差が生じやすい傾向がある。
着色インク組成物と処理液を付着させる記録領域に、着色インク組成物の総付着量が5~30mg/inch2である領域を有することが好ましく、7~25質量%である領域を有することがより好ましく、9~20質量%である領域を有することがさらに好ましい。このような付着量の領域を有することにより、表示用などに有用な記録物とすることができる。さらに、該記録領域のうちの着色インク組成物の総付着量が最大である領域の総付着量が上記範囲であるとすることも上記の点で好ましい。
(後加熱工程)
インク付着工程の後において、記録媒体をさらに加熱する後加熱工程を有することが好ましい。加熱方法としては、特に制限されないが、例えば、プラテンヒーターや温風ヒーターやIRヒーターが挙げられる。加熱温度は、好ましくは60℃以上とすることができる。好ましくは70~110℃であり、より好ましくは80~100℃である。
(着色インク組成物)
着色インク組成物は、同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物を含む。ここで、「同色系」とは、以下の少なくともいずれかを満たすものをいう。
(A)ライトマゼンタインクとマゼンタインク、ダークイエローインクとイエローインク、ブラックインクとグレーインク等のようにインク名が同色であることをうかがわせるもの。
(B)画像を記録して測色した時に色相角の差がお互いに10°以内であるもの。好ましくは色相角の差が5°以下である。ここで画像の記録は白色の記録媒体に例えば10mg/inch2の付着量で記録した画像とするなどしインクの色の確認に適した画像とする。測色はCIE表色系に準拠した測色器で行う。
(C)イエロー色材、シアン色材、マゼンタ色材、ブラック色材等、色材を色で区分けした時に同一の区分けに属する色材を含有するもの。好ましくは同一の色材を含有するもの。
また、「互いに色濃度の異なる」とは、以下の少なくともいずれかを満たすものをいう。
(A)インク付着量を同一として画像を記録して測色した際に画像濃度が異なるもの。明度L*で判断する。ここで画像の記録や測色は上記と同様に行う。
(B)インクに含む色材の含有量が異なるもの。好ましくは、0.8質量%以上異なるもの。
着色インク組成物が、同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物を含むことで、色差低減に優れることができる。
同色系である淡着色インク組成物と濃着色インク組成物の組み合わせは、特に制限されないが、例えば、濃淡のシアンインク、濃淡のマゼンタインク、濃淡のイエローインク、又は濃淡のブラックインクが挙げられ、好ましくは濃淡のシアンインク、濃淡のマゼンタインク、又は濃淡のブラックインクが挙げられる。色相角の異なる濃インクを2つ以上用いて表現する場合、特に色差の影響が顕著であり、本発明が有用である。また、得られる記録物のより一層の画質向上の観点から、色相角の異なる2組以上の濃淡インクセットを用いることが好ましい。
色相角の異なる2組以上の濃淡インクセットは各インクセットの濃インクについてインクの色相角を確認したときに、色相角が異なるものをいう。ここで、「色相角」は、当該インク組成物で画像を記録して測色した時のCIE表色系の色相角をいう。具体的には各1個のインクを用いて画像を記録し、記録部を測色する。ここで用いる画像は、インクの付着による記録部の色相角が確認できるものであればよい。例えば白色の記録媒体にインクを付着量10mg/inch2で付着させたものが挙げられる。色相角が10°以上異なるものでもよく30°以上異なるものでもよい。
着色インク組成物に含まれる各インク組成物は、色材を含む。好ましくは溶剤を含み、必要に応じて、樹脂、ワックス、消泡剤、界面活性剤を含むことができる。樹脂微粒子及び有機溶剤を含有することが好ましい。水系インク組成物であることが好ましい。水系の組成物は主要な溶媒成分の1つとして水を含む組成物であり、水の含有量は好ましくは45質量%以上である。着色インク組成物に含まれる各インク組成物は、それぞれ、用いる色材の含有量が異なる等により色濃度が異なること以外は、その基本組成は独立して同様のものを例示することができる。以下、各成分について説明する。なお、淡着色インク組成物と濃着色インク組成物において、各成分種及びその含有量は異なっていてもよい。
(色材)
色材としては、顔料及び染料が挙げられる。耐光性が優れるなどの点で顔料が好ましい。
顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等の無機顔料;キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。また、染料としては、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.アシッドブラックのような酸性染料;C.I.ベーシックイエロー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックオレンジ、C.I.ベーシックバイオレット、C.I.ベーシックブラックのような塩基性染料;C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクドブラックのような直接染料;C.I.リアクティブイエロー、C.I.リアクティブレッド、C.I.リアクティブブルー、C.I.リアクティブオレンジ、C.I.リアクティブバイオレット、C.I.リアクティブブラックのような反応性染料;C.I.ディスパースイエロー、C.I.ディスパースレッド、C.I.ディスパースブルー、C.I.ディスパースオレンジ、C.I.ディスパースバイオレット、C.I.ディスパースブラックのような分散染料が挙げられる。色材は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
色材の中で、淡着色インク組成物と濃着色インク組成物の組み合わせを満たすものを適宜選択することができる。
色材が顔料である場合には、顔料分散液の状態で用いることができる。顔料分散液は、顔料及び溶剤の他、必要に応じて分散剤を含んでもよい。溶剤としては、水及びジエチレングリコールなどの親水性溶剤が挙げられる。また、分散剤としては、スチレン―アクリル酸共重合体が挙げられる。特に制限されないが、分散剤の酸価はその分散性の観点から、20mgKOH/g以上が好ましい。
淡着色インク組成物と濃着色インク組成物における色材の含有量は、色材の色相角の差や、区分けされる色の違いにもよるが、それぞれ異なる。色材の含有量が淡着色インク組成物より濃着色インク組成物の方が多いことが好ましく、0.8質量%以上多いことが好ましく、1質量%以上多いことがさらに好ましく、1.5質量%以上多いことがより好ましい。
淡着色インク組成物の色材の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~7質量%であり、より好ましくは0.2~4.0質量%であり、さらに好ましくは0.3~2.0質量%であり、特に好ましくは0.4~1.5質量%である。
また、濃着色インク組成物の色材の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%であり、より好ましくは0.5~7.0質量%であり、さらに好ましくは1.0~4.0質量%であり、特に好ましくは1.5~3.0質量%である。
また、濃着色インク組成物に含まれる色材1質量部に対して、淡着色インク組成物に含まれる色材の含有量は、好ましくは2/3質量部以下であり、より好ましくは1/5~3/5質量部以下であり、さらに好ましくは1/5~1/2質量部以下である。濃淡インクにおける色材の含有量比が上記範囲内であることにより、得られる記録物の色差がより抑制される傾向にある。
より具体的には、濃淡のブラックインクの場合、濃着色インク組成物に含まれる色材1質量部に対して、淡着色インク組成物に含まれる色材の含有量は、好ましくは0.2~0.65質量部であり、より好ましくは0.3~0.6質量部であり、さらに好ましくは0.4~0.55質量部である。
濃淡のシアンインクの場合、濃着色インク組成物に含まれる色材1質量部に対して、淡着色インク組成物に含まれる色材の含有量は、好ましくは0.1~0.6質量部であり、より好ましくは0.2~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.3~0.45質量部である。
濃淡のマゼンタインクの場合、濃着色インク組成物に含まれる色材1質量部に対して、淡着色インク組成物に含まれる色材の含有量は、好ましくは0.1~0.5質量部であり、より好ましくは0.2~0.4質量部であり、さらに好ましくは0.2~0.35質量部である。
(溶媒)
溶媒としては、水及び有機溶剤が挙げられる。水の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは50~80質量%であり、より好ましくは55~75質量%であり、さらに好ましくは60~70質量%である。
有機溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、及びtert-ペンタノール等のアルコール類又はグリコール類が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは5~40質量%であり、より好ましくは10~35質量%であり、さらに好ましくは15~30質量%である。
(含窒素溶剤)
また、有機溶剤としては、含窒素溶剤を用いることも好ましい。含窒素溶剤を含むことにより、含窒素溶剤の樹脂粒子の軟化を促進させる効果により、加熱温度が低い場合でも耐擦性がより向上する傾向にある。また、記録媒体が低吸収性記録媒体または非吸収性記録媒体である場合、記録媒体表面を軟化させる効果により密着性がより向上する傾向にある。含窒素溶剤としては、特に限定されないが、ピロリドン系溶剤、イミダゾリジノン系溶剤、アミドエーテル系溶剤、ピリジン系溶剤、ピラジン系溶剤、ピリドン系溶剤、が挙げられる。
また、含窒素溶剤として好ましくはアミド系溶剤が挙げられる。アミド系溶剤としては、環状アミド系溶剤、非環状アミド系溶剤が挙げられる。環状アミド系溶剤としては上記のピロリドン系などが挙げられる。非環状アミド系溶剤としては上記のアミドエーテル系溶剤が挙げられる。ピロリドン系溶剤が中でも好ましく、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンが挙げられる。含窒素溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記観点から、含窒素溶剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは3~25質量%であり、より好ましくは5~23質量%であり、さらに好ましくは10~21質量%である。
有機溶剤のうち含窒素溶剤以外の有機溶剤の含有量は、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは5~20質量%であり、さらに好ましくは8~16質量%である。含窒素溶剤以外の有機溶剤の中でも、ポリオール類、アルキレングリコールエーテル類が好ましい。ポリオール類は分子中に水酸基を2個以上有する有機溶剤である。該水酸基数は2~3が好ましい。アルキレングリコールエーテル類はアルキレングリコールのモノ又はジエーテルである。エーテルはアルキルエーテルが好ましく炭素数1~5のアルキルエーテルがより好ましい。アルキレングリコールは炭素数2~5が好ましい。
有機溶剤は、標準沸点が180~280℃のものを含むことが好ましく、200~260℃のものを含むことがより好ましく、210~250℃のものを含むことがさらに好ましい。この場合、画像の各種画質がより優れる点で好ましい。
また、有機溶剤は、標準沸点が280℃超のものの組成物に対する含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、下限は0質量%でもよい。この場合、画像の各種画質がより優れる点で好ましい。
(樹脂)
樹脂としては、インク組成物中で溶解するもの、又は、エマルションなど微粒子の形態で分散するものが挙げられる。このような樹脂を用いることにより、耐擦性により優れた記録物が得られる傾向にある。特に、記録媒体とインク塗膜との結着性(耐擦性)の向上に寄与する傾向がある。このような樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、パラフィン樹脂、フッ素樹脂、及び水溶性樹脂、並びにこれらの樹脂を構成する単量体を組み合わせた共重合体が挙げられる。共重合体としては、特に限定されないが、例えば、スチレンブタジエン樹脂、スチレンアクリル樹脂が挙げられる。また、樹脂としては、これら樹脂を含むポリマーラテックスを用いることができる。例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂の微粒子を含むポリマーラテックスが挙げられる。なお、樹脂は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂は少なくともアクリル系モノマーを単量体として用いて重合して得た単重合体または共重合体である樹脂である。アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。アクリル樹脂が共重合体の場合、他のモノマーとしてビニル系モノマーを用いたアクリル-ビニル樹脂などが挙げられ、中でもビニル系モノマーとしてスチレンを用いたスチレンアクリル樹脂などが挙げられる。
樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが入手しやすく、所望の特性を有する樹脂として得やすい点で好ましい。
樹脂の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは1~12.5質量%であり、より好ましくは2~10質量%であり、さらに好ましくは3~7.5質量%である。樹脂の含有量が1質量%以上であることにより、上記のとおり、耐擦性がより向上する傾向にある。また、樹脂の含有量が12.5質量%以下であることにより、インクの粘度が低下し吐出安定性に優れ、目詰まり回復性に優れる傾向にある。
(ワックス)
ワックスとしては、インク組成物中で溶解するもの、又は、エマルションなどの微粒子の形態で分散するものが挙げられる。このようなワックスを用いることにより、耐擦性により優れた記録物が得られる傾向にある。特に、記録媒体上のインク塗膜の表面(空気とインク塗膜の界面)に偏在することによる耐擦性の向上に寄与する傾向がある。このようなワックスとしては、特に制限されないが、例えば、高級脂肪酸と高級1価アルコールまたは2価アルコール(好ましくは1価アルコール)とのエステルワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス若しくはオレフィンワックス又はこれらの混合物が挙げられる。
ワックスの含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~5質量%であり、好ましくは0.2~4質量%であり、好ましくは0.3~3質量%である。ワックスの含有量が0.1質量%以上であることにより、上記のとおり、耐擦性がより向上する傾向にある。また、ワックスの含有量が5質量%以下であることにより、インクの粘度が低下し吐出安定性に優れ、目詰まり回復性に優れる傾向にある。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オール及び2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ、サーフィノール465やサーフィノール61(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)などが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S-144、S-145(旭硝子株式会社製);FC-170C、FC-430、フロラード-FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO-100、FSN、FSN-100、FS-300(Dupont社製);FT-250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~3質量%であり、より好ましくは0.2~2質量%であり、さらに好ましくは0.3~1.5質量%である。
(消泡剤)
消泡剤としては、特に制限されないが、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、及びアセチレングリコール系消泡剤が挙げられる。消泡剤の市販品としては、BYK-011、BYK-012、BYK-017、BYK-018、BYK-019、BYK-020、BYK-021、BYK-022、BYK-023、BYK-024、BYK-025、BYK-028、BYK-038、BYK-044、BYK-080A、BYK-094、BYK-1610、BYK-1615、BYK-1650、BYK-1730、BYK-1770(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、サーフィノールDF37、DF110D、DF58、DF75、DF220、MD-20、エンバイロジェムAD01(以上全て商品名、日信化学工業社(Nissin Chemical Industry Co.,Ltd.)製)が挙げられる。消泡剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
消泡剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.03~0.7質量%であり、より好ましくは0.05~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.08~0.3質量%である。
(その他の成分)
本実施形態で用いるインク組成物は、その他必要に応じて、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を含んでもよい。
(クリアインク組成物)
また、本実施形態の記録方法においては、樹脂を含むクリアインク組成物をさらに用いてもよい。クリアインク組成物は、色材に関すること以外は、インク組成物と同様の組成を例示することができ、樹脂微粒子、有機溶剤を含有することが好ましい。水系クリアインク組成物であることが好ましい。なお、「クリアインク」とは、記録媒体に着色するために用いるインクではなく、その他の目的で用いるインクである。その他の目的は、記録物の耐擦性などの特性の向上や、記録媒体の光沢度の調整や、カラーインクの定着性、発色性を向上させるためなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。該目的のため、クリアインク組成物の色材の含有量は0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましく、含有量の下限は0質量%でもよい。
クリアインクに含まれる樹脂としては、上記濃淡インク組成物で例示した樹脂と同様のものを例示することができる。また、その他の成分及び樹脂を含めた各成分の含有量としても上記濃淡インク組成物で例示したものと同様に、上記濃淡インク組成物とは独立して、することができる。
クリアインクを用いる場合、耐擦性や耐水摩擦性がより優れる点で好ましい。また画像の光沢感を増すことができ、このため色差が目立たなくなる点で好ましい。
(記録媒体)
記録媒体として、例えば、吸収性記録媒体、低吸収性記録媒体、又は非吸収性記録媒体が挙げられる。このなかでも、低吸収性記録媒体、又は非吸収性記録媒体が表示用などに有用な記録物の作成ができる点で好ましい。このような記録媒体を用いることにより、得られる記録物のざらつきや濃度むらが生じやすく、本発明が特に有用である。
吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)等が挙げられる。
低吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面にインクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙、壁紙等が挙げられる。
非吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチック類のフィルムやプレート;鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート;又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート;紙や布、フィルム等の基材にポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチック類のフィルムを接着(コーティング)した記録媒体等が挙げられる。
ここで、「低吸収性記録媒体」又は「非吸収性記録媒体」は、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙-液体吸収性試験方法-ブリストー法」に述べられている。なお、低吸収性記録媒体は、上記の水吸収量が、5mL/m2以上、10mL/m2以下である記録媒体をいう。一方、吸収性記録媒体は、上記の水吸収量が10mL/m2超である記録媒体をいう。
また、非吸収性記録媒体又は低吸収性記録媒体は、記録面の水に対する濡れ性によって分類することができる。例えば、記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって記録媒体を特徴付けることができる。より具体的には、記録媒体の性質として、「非吸収性記録媒体」の非吸収性は上記の低下率が1%未満のことを指し、「低吸収性記録媒体」の低吸収性は上記の低下率が1%以上5%未満のことを指す。また、吸収性とは上記の低下率が5%以上のことを指す。なお、接触角はポータブル接触角計 PCA-1(協和界面科学株式会社製)等を用いて測定することができる。
〔処理液付着工程〕
処理液付着工程は、着色インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する処理液を、記録媒体へ付着させる工程である。なお、処理液は、少なくとも、着色インク組成物が付着した領域、又は、着色インク組成物を付着させる領域に対して行う。処理液付着工程を備えることにより、着色インク組成物の成分が記録媒体の表面で凝集しやすくなり、インクの成分を記録媒体上で早期に固定できる。処理液を用いない場合に記録媒体上でインク滴同士がブリードして濃度むらが生じることに起因して結果として得られる記録物の色差が悪化することを、処理液を用いることで濃度むらが抑制され色差も抑制できる。
しかし処理液を用いた場合でも、色差が生じる場合がある。処理液によりインク滴が記録媒体上で早期に凝集するため、主走査間で各色の着弾順が異なることの色差への影響があることや、処理液によるインク滴の凝集の具合に主走査間で差異があることの影響があると推測する。また、記録媒体に付着した処理液を加熱して乾燥させる工程を有する場合、記録媒体の場所による加熱の温度むらがあると、処理液の乾燥の程度にも場所によるむらが生じ、インクの凝集の程度に影響を及ぼすことも推測される。
処理液の付着方法としては、上記同様インクジェット方式を用いて付着させる方法の他ほのか、バーコーター、ロールコーター、スプレーなどを用いて、塗布してもよい。なお、インクジェット方式としては、上記インク組成物の吐出方法と同様の方法が例示できる。
処理液付着工程は、インク付着工程の前に行っても、後に行ってもよい。また、インク付着工程の前に処理液付着工程を行う場合、処理液が乾燥する前にインク付着工程を行っても、処理液が乾燥してからインク付着工程を行ってもよい。この際、処理液付着後からインク組成物付着までの間隔は、好ましくは20秒以内である。さらに、インク付着工程の後に処理液付着工程を行う場合、インク組成物が乾燥する前に処理液付着工程を行うことが好ましい。
処理液付着工程後または行程中において、記録媒体に付着した処理液を乾燥させる工程を有してもよい。乾燥ユニットとして、例えば加温機能を備える、プラテンヒーターや温風ヒーターやIRヒーターなどや、加温機能を備えない、送風機などが用いられる。なお、乾燥温度は70~110℃とすることができる。付着した処理液をインク付着前に乾燥させるために記録媒体を加熱してもよい。処理液の付着時及びまたは付着からインク付着までの記録媒体の表面温度は、前述のインク付着の際の記録媒体表面温度の範囲のものにしてもよい。
着色インク組成物と処理液を付着させる記録領域の少なくとも一部において、着色インク組成物の付着量に対する処理液の付着量が5~50質量%である領域を有することが好ましく、5~40質量%である領域を有することがより好ましく、5~30質量%である領域を有することがさらに好ましい。付着量が上記範囲以上であることで、画像の濃度むらやざらつきが改善され、色差がより抑制される傾向にある。また、付着量が上記範囲以下であることで、インクの凝集が進み過ぎて画像のざらつきが増し色差が増大することを防止できる。
さらに、該記録領域のうちの着色インク組成物の付着量に対する処理液の付着量が最大である領域の処理液の付着量が上記範囲であるとすることも上記の点で好ましい。
(処理液)
処理液は、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含むものであれば、特に制限されない。必要に応じて、水、有機溶剤、消泡剤、界面活性剤を含んでいてもよい。水系の処理液が好ましい。凝集剤以外の処理液に含んでもよい成分としては、前述の着色インク組成物に含んでもよい成分のうち色剤以外のものが挙げられ、それらの種類や含有量などは着色インク組成物のものと同様に、着色インク組成物とは独立して、することができる。処理液は記録媒体を着色するために用いる組成物ではない。処理液の色材の含有量は好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下であり、下限は0.00質量%である。
(凝集剤)
凝集剤としては、インク組成物の成分を凝集させるものであれば、特に制限されないが、例えば、多価金属塩、有機酸又はその塩、及びカチオン性樹脂が挙げられる。凝集剤は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
多価金属塩としては、特に限定されないが、例えば、無機酸の多価金属塩又は有機酸の多価金属塩が挙げられる。多価金属としては、特に制限されないが、例えば、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からの土類金属(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)が挙げられる。これら多価金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硫酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩が挙げられる。なお、多価金属塩は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
有機酸としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸が挙げられる。このなかでも、1価あるいは2価以上のカルボン酸が好ましい。また、有機酸は塩の状態であってもよい。なお、有機酸又はその塩は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なお、有機酸又はその塩で多価金属塩でもあるものは多価金属塩に含めるものとする。
カチオン性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アミン系樹脂が挙げられる。アミン系樹脂は構造中にアミノ基を有する樹脂であればよい。アミン系樹脂としては、アミン・エピクロロヒドリン縮合型ポリマー、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体などアミン系樹脂が挙げられる。カチオン性樹脂は、処理液に可溶な樹脂、又は樹脂エマルションなどの状態で処理液中に分散するものが好ましく、前者がより好ましい。
凝集剤の含有量は、処理液の総量に対して、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは3~10質量%である。凝集剤の含有量が上記範囲内であることにより得られる記録物の耐ブリード性及び埋まり性、耐擦性により優れる傾向にある。
(水)
水の含有量は、処理液の総量に対して、好ましくは55~85質量%であり、より好ましくは60~80質量%であり、さらに好ましくは65~75質量%である。
(有機溶剤)
処理液に含まれる有機溶剤としては、インク組成物で例示したものと同様のものを例示することができる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤の含有量は、処理液の総量に対して、好ましくは10~40質量%であり、より好ましくは15~35質量%であり、さらに好ましくは20~30質量%である。
また、処理液は、有機溶剤として含窒素系溶剤を含んでいてもよい。含窒素溶剤の含有量は、処理液の総量に対して、好ましくは3~25質量%であり、より好ましくは5~22質量%であり、さらに好ましくは8~20質量%である。含窒素溶剤としては前述の着色インク組成物に含んでもよい含窒素溶剤を着色インク組成物に含むものとは独立して用いることができる。
(界面活性剤)
処理液に含まれる界面活性剤としては、インク組成物で例示したものと同様のものを例示することができる。界面活性剤の含有量は、処理液の総量に対して、好ましくは0.1~3質量%であり、より好ましくは0.2~2質量%であり、さらに好ましくは0.3~1.5質量%である。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、処理液の濡れ性がより向上する傾向にある。
(消泡剤)
処理液に含まれる消泡剤としては、インク組成物で例示したものと同様のものを例示することができる。消泡剤の含有量は、処理液の総量に対して、好ましくは0.03~0.7質量%であり、より好ましくは0.05~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.08~0.3質量%である。
〔記録装置〕
本実施形態で用いる記録装置は、上記記録方法により記録を行うものであって、記録媒体へインク組成物を吐出するノズルを有するインクジェットヘッドと、処理液を付着させる機構と、を有するものであれば特に限定されない。記録装置の概略断面図を図1に示す。図1に示すように、記録装置1は、記録用ヘッド2と、IRヒーター3と、プラテンヒーター4と、乾燥ヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、ファン8と、を備えている。
記録用ヘッド2は記録媒体に対しインク組成物を吐出するものである。記録用ヘッド2としては、従来公知の方式を使用でき、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出するもの、即ち電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するヘッドが挙げられる。IRヒーター3及びプラテンヒーター4は、主に記録媒体10の加熱をするものであるが、記録用ヘッドも加熱され得る。IRヒーター3により、記録用ヘッド2側から記録媒体を加熱することができる。これにより、また、プラテンヒーター4を用いると、記録用ヘッド2側と反対側から記録媒体を加熱することができる。プラテンヒーター4は主走査方向にヒーター素子を複数個並べて構成したものであってもよい。こうすることでプラテンヒーターを入手しやすいことや製造し易く好ましい。反面、主走査方向の加熱の温度ムラが生じやすい。乾燥ヒーター5は、インク組成物が付着した記録媒体を乾燥するものである。画像が記録された記録媒体を加熱することにより、インク組成物中に含まれる水分などがより速やかに蒸発飛散して、インク組成物中に含まれる樹脂によって被膜が形成される。このようにして、記録媒体上においてインク乾燥物が強固に定着(接着)して、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。記録中、記録媒体10は図の右から左へ搬送される。
記録装置1は、冷却ファン6を有していてもよい。乾燥後、冷却ファン6により記録媒体上のインク組成物を冷却することにより、記録媒体上に密着性よく被膜を形成することができる傾向にある。
また、記録装置1は、記録媒体に対しインク組成物が吐出される前に、記録媒体を予め加熱する(プレ加熱する)プレヒーター7を備えていてもよい。インク組成物の吐出前に記録媒体がプレ加熱されることにより、記録媒体、特に非吸収性及び低吸収性の記録媒体上に滲みが少ない高画質な画像を形成することができる傾向にある。
記録用ヘッド2はキャリッジ9に搭載されている。キャリッジ9は、図の手前-奥方向に移動しつつインク組成物をヘッドから吐出して、ヘッドが対向する記録媒体へ付着させる走査(主走査)を行う。走査と記録媒体10の搬送(副走査)を交互に繰り返し行うことで記録が行われる。つまり走査を複数回行うことで記録が行われるシリアル記録方法を行う。
図3は、図1の記録装置のキャリッジ周辺の構成の一例を示す斜視図である。キャリッジ周辺の構成11は、キャリッジ9と、キャリッジ9に搭載されたインクジェットヘッド2と、インクジェットヘッド2の一部でありインクを吐出するノズルを含む部材12と、インク収容体(不図示)と、インク収容体からインクジェットヘッド2にインクを供給するインク供給管等のインク供給路(不図示)と、を有する。インク収容体はキャリジ9以外の場所に設けても良いしキャリジに設けても良い。また、キャリッジ9の下方に配設され記録媒体10が搬送されるプラテン4と、キャリッジ9を記録媒体10に対して相対的に移動させるキャリッジ移動機構13と、記録媒体10を副走査方向(搬送方向)に搬送するローラーである搬送手段14と、キャリッジ9等の動作を制御する制御部CONTと、を備える。S1-S2の方向が主走査方向であり、T1→T2の方向が副走査方向である。なお1回の走査で主走査方向(装置の左右方向)の何れか一方の方向に走査が行われる。
さらに、図1の記録装置1は、インク組成物の効率的な乾燥の観点や記録媒体とノズル面の温度の調整の観点から、記録媒体表面に風を送るためのファン8を備える。ファン8をより詳細に説明するため、図2で説明を行う。図2においても、記録用ヘッド2は、キャリッジに搭載されており、図の手前-奥方向である主走査方向に移動しつつインク組成物をヘッドから吐出して主走査を行う。図2において、キャリッジの主走査において、主走査方向(図の手前-奥方向)のキャリッジがない場所の風が記録媒体に流れている状態を示す図2(a)と、キャリッジがある場所の風が記録媒体に直接は流れていない状態を示す図2(b)とを示す。
ファン8は、記録媒体10の幅方向(主走査方向)に並んで複数設けられており、記録媒体10の幅の端から端に亘って常に風を帯状に送ることが可能なように設けられている。図2(a)において、風は記録媒体10の表面に当たる。当たる角度は記録媒体表面に対して図の左方向へ傾いているため、当たった後、風の向きは図の左方向へ変化し、記録媒体のインクが付着した領域において、風は、記録媒体の表面に平行に記録媒体搬送方向下流側へ送られる。こうすることで記録媒体のインクが付着した領域のインクの乾燥を促進することができる。
図4は図2のファン8をファンの正面から見た図である。図のようにファン8は記録媒体の幅方向に並んで複数が設けられている。
一方、図2(b)において、風はキャリッジの上部に設けられた風よけ部材に当たり、図の左右方向に分離して向きを変え、直接的に記録媒体表面には当たらない。こうすることで、キャリッジがある場所においては、ノズルや飛行中のインク滴が風を受けて生じる目詰まりや着弾位置ずれの影響を低減することが可能である。
ただし、図2(a)で、記録媒体の表面に平行に送られる風は向きが若干変動することがあり、キャリッジがある場所においても記録用ヘッド2に側方向から風が吹き込むため着弾位置への影響がある。また、図2(b)で、風よけ部材に当たり向きを変えた風が意図しない方向へ流れる場合があり、同様の影響が若干生じる場合がある。
なお、図2のファン8は記録媒体上に風を送る送付手段の一態様を示すものであり、記録媒体に風を送ることができるものであれば、送風手段はこれに限定されるものではない。他の態様としては、記録媒体の上層に送風口を横向きにして風を流す態様や記録媒体面のインク付着領域に対して上方向から風を当てる態様が考えられる。
(走査数)
走査数をパス数ともいう。記録媒体の記録するある位置に対して、あるインク組成物の記録に用いるノズル群が対向して通過する走査の回数を該インク組成物の走査数という。ノズル群はインクジェットヘッドの副走査方向に並ぶノズル列などノズルのグループであり、記録に際し該インク組成物を吐出するものである。主走査数は1回の副走査の距離を短くすることで多くすることができ、該距離を長くすることで少なくすることができる。例えば1回の副走査の距離を該ノズル群の副走査方向の長さの8分の1とすることで走査数を8(パス)とすることができる。走査数は1以上であり、2~20が好ましく4~10がより好ましい。主走査数が多いほうが、付着させるインク組成物の合計の付着量を多くすることができることやインク組成物を複数回の走査で分けて付着させることができる点で好ましい。一方、走査数が少ない場合、記録速度が早い点で好ましい。
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態は以下である。
同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物とを含む着色インク組成物を、インクジェットヘッドから吐出して、記録媒体へ付着させるインク付着工程と、
前記着色インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する処理液を、前記記録媒体へ付着させる処理液付着工程と、を備え、
前記インク付着工程を、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体との相対位置を走査方向へ変えながら前記着色インク組成物を吐出する走査を複数回行うことにより行い、
前記インク付着工程における前記着色インクを付着させる際の前記記録媒体の表面温度の差が1~10℃である、記録方法。
該他の実施形態は、前述の実施形態のインク付着工程において1回の走査の最大距離が50cm以上であることを必ずしも備えず、代わりにインク付着工程における着色インクを付着させる際の記録媒体の表面温度の差が1~10℃であることを備えるものである。該他の実施形態は前述したようにインク付着工程における記録物の色差が生じる原因の1つとして記録媒体の表面温度の差が生じることに注目したものである。該他の実施形態によれば記録媒体の表面温度の差が所定の範囲である場合においても、濃度ムラ低減、色差低減などが優れ好ましい。記録媒体の表面温度の差は前述の範囲がより好ましい。該他の実施形態は上記構成以外の構成については前述の実施形態と同様のものとすることができ、前述の実施形態が有する他の構成をさらに備えていてもよい。
以下、本発明を実施例、比較例、参考例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[インク組成物用の材料]
下記の実施例、比較例、及び参考例において使用したインク組成物及び処理液の主な材料は、以下のとおりである。
〔顔料分散液〕
下記製造例1参照。
〔有機溶剤〕
ジプロピレングリコールジメチルエーテル
プロピレングリコール
2-ピロリドン
〔凝集剤〕
酢酸カルシウム一水和物
酢酸
カチオマスターPD-7(四日市合成社製、カチオン性樹脂:アミン・エピクロルヒドリン縮合型ポリマー)
〔樹脂〕
St-Ac樹脂エマルジョン(下記製造例2参照。)
〔ワックス〕
AQUACER515(ビックケミー・ジャパン社製、ワックスエマルション)
〔界面活性剤〕
ダイノール607(エアープロダクツジャパン社製、アセチレンジオール系界面活性剤)
BYK348(ビックケミー・ジャパン社製、シリコーン系界面活性剤)
〔消泡剤〕
サーフィノールDF110D(日信化学工業社製、アセチレンジオール系)
〔製造例1:顔料分散液の調製〕
St-Ac酸共重合体(メタクリル酸/ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレート=25/50/15/10の質量比で共重合したもの。重量平均分子量7000、酸価150mgKOH/g)40質量部を、水酸化カリウム7質量部、水23質量部、及びトリエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル30質量部を混合した液に投入し、80℃で撹拌しながら加熱して樹脂水溶液を調製した。
顔料20質量部、樹脂水溶液10質量部、ジエチレングリコール10質量部、及びイオン交換水60質量部を混合し、ジルコニウムビーズミルを用いて分散させて、各色の顔料分散液を得た。なお、用いた顔料は、以下のとおりである。
ブラック顔料分散液;カーボンブラック
シアン顔料分散液 ;C.I.PB15:3
マゼンタ顔料分散液;C.I.PR122
イエロー顔料分散液;C.I.PY74
〔製造例2:St-Ac樹脂エマルジョンの調製〕
スチレン75質量部、アクリル酸0.5質量部、メチルメタクリレート14.5質量部、及びシクロヘキシルメタクリレート10質量部を乳化共重合させることにより、St-Ac樹脂エマルジョンを得た。なお、乳化重合用界面活性剤としては、ニューコールNT-30(日本乳化剤(株)製)を用い、その使用量は、モノマー全量を100質量部として、2質量部とした。
[インク組成物及び処理液の調製]
各材料を下記の表1~2に示す組成で混合し、十分に撹拌し、各インク組成物及び処理液を得た。なお、下記の表1~2中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。表中の顔料、樹脂は、インク中の顔料、樹脂の固形分の質量%である。
Figure 0007089696000001
Figure 0007089696000002
[記録方法]
ヒーター素子をメディア幅方向に並べて配置したプラテンヒーターと、ヘッドの上に記録媒体幅方向に並べて配置したファンを有するSC-S80650(セイコーエプソン社製)の改造機(以下、「SC-S80650改造機」という。)を用意した。インクジェットヘッドは図1のようなシリアル型としインクジェットヘッドからインク等を順番に記録可能とした。また、ファンにより記録媒体に向けて上方から常温(25℃)の風を吹かせた。
上記の処理液をインクジェットヘッドの記録媒体搬送方向上流のノズル列(360個ノズル)に充填し、各インク組成物をインクジェットヘッドの記録媒体搬送方向下流のノズル列にそれぞれ充填した。そして、インクジェット法により、インクジェットヘッドから処理液を吐出し記録媒体(Ultraflex製、JetFlex FL 80)に付着させ、次いで、インク組成物を吐出して記録媒体に付着させた。なお、反応液の付着量は、インク組成物の総付着量に対する表中の質量%とした。また、各組成物は液滴質量を20ng/dotとし、基本解像度を720×720dpiとしドット密度を調整し付着量を調整可能とした。また、組成物毎の走査回数は8パスとした。最後に、インクジェットヘッドより下流側にある二次ヒーターで、記録物を95℃で30秒加熱し乾燥させた。
上記の記録条件にて色差評価用ベタパターンを記録する。
まず各例毎に、使用するインクセットを用い下記の色を目標色とし、色、明度毎に付着させる各インクの付着量を決めた。淡着色インク組成物を使用した例においてはL*値が高いベタパターンほど淡着色インク組成物の付着量を増やした。
黒色系ベタパターン(L*=50,60,70,80,a*=b*=0)
青色系ベタパターン(L*=20,30,40,50,a*=40,b*=-40)
インク付着量を決める際には、上記の記録媒体にテスト用ベタパターンを記録し測色する。測色は、GretagMacbeth製 Spectrolinoを用いる。測色はCIELAB表色系に基づくものである。測色値が上記の各色ベタパターンの目標色となるようインク付着量を調整して決めた。
上記の決めたインク付着量にて、色、明度(L*)毎の複数の色差評価用ベタパターンを上記の記録条件で連続して記録し記録物を得た。なお、ベタパターンはメディアの横幅方向の記録可能な全範囲に記録し、かつメディア送り方向に1500mmの長さで記録した。なお、記録媒体の横幅は、記録媒体を切断又は貼り付けることにより横幅を調整して、1回の走査の最大距離を表3~4中の値に調整した。
なお、クリアインクを使用した例においては、クリアインク以外の条件をクリアインクを用いない同じ条件の例と同じに行い、これに着色インク総付着量の20質量%となるようにクリアインクを付着させた。
上記記録方法において、記録中のヘッドと対向するプラテン領域における記録媒体の表面温度が表3~4中の加熱温度になるようにプラテンヒーターを制御した。具体的には、表面温度が35℃以上とする場合は、プラテンヒーターをオンにして調整し、表面温度が25℃度以下とする場合はプラテンヒーターを使用せず室温を調整し記録時の記録媒体の表面温度を調整した。
記録媒体の表面温度は、プラテンに支持されている記録媒体のヘッドの主走査中に対向しうる領域の全体を1cm四方間隔で温度を測定し、該領域の記録媒体の表面の記録中の最高温度とした。測定は非接触式の温度計で測定した。温度測定は前述の条件で記録を1時間連続して行い、記録開始の1分後から測定を開始し記録中の1分ごとに測定した。
Figure 0007089696000003
Figure 0007089696000004
〔色差評価〕
各明度のベタパターン中の2×2cm四方の領域に区切って領域ごと測色し、各領域間で最も大きな色差(ΔE00)を得た。色差は高明度のベタパターンほど大きくなる傾向
にあるため、それを踏まえて、以下の評価基準により色差の発生について評価した。
A:全ての明度のベタパターンにおいてΔE≦1.5
B:低明度から3水準の明度のベタパターンにおいてΔE≦1.5
C:低明度から2水準の明度のベタパターンにおいてΔE≦1.5
D:低明度から1水準の明度のベタパターンにおいてΔE≦1.5
〔耐擦性〕
得られた記録物の最も低明度のベタパターンの記録領域を30×150mm矩形に切断し、学振型摩擦堅牢度試験機AB-301(テスター産業社製の商品名)に平織布を取り付けた摩擦子で、荷重500gをかけて10回擦った。そして、記録媒体の記録パターン部分の剥がれを目視で観察し、下記評価基準により評価した。なお、黒色系ベタパターン及び青色系ベタパターンの評価が低い方の評価とした。
A:剥がれが生じず、布への転写もない。
B:剥がれが生じないが、布への転写がある。
C:剥がれが生じ、剥がれた面積が評価面積に対し1割未満である。
D:剥がれが生じ、剥がれた面積が評価面積に対し1割以上である。
〔耐水摩擦性〕
得られた記録物の最も低明度のベタパターンの記録領域を30×150mm矩形に切断し、学振型摩擦堅牢度試験機AB-301(テスター産業社製の商品名)に水を含ませた平織布を取り付けた摩擦子で、荷重200gをかけて10回擦った。そして、記録媒体の記録パターン部分の剥がれを目視で観察し、下記評価基準により評価した。なお、黒色系ベタパターン及び青色系ベタパターンの評価が低い方の評価とした。
A:剥がれが生じず、布への転写もない。
B:剥がれが生じないが、布への転写がある。
C:剥がれが生じ、剥がれた面積が評価面積に対し1割未満である。
D:剥がれが生じ、剥がれた面積が評価面積に対し1割以上である。
〔画質ざらつき評価〕
得られた記録物の最も低明度のベタパターンの記録領域を目視にて確認し、下記評価基準により評価した。なお、黒色系ベタパターン及び青色系ベタパターンの評価が低い方の評価とした。 A:ざらつき感が全くない
B:ざらつき感が気になるが問題ない
C:ざらつき感がある
〔濃度むら〕
得られた記録物の各色の最も低明度のベタパターンの記録領域を目視にて確認し、下記評価基準により評価した。なお、黒色系ベタパターン及び青色系ベタパターンの評価が低い方の評価とした。
A:ベタパターン面内に濃淡のムラや、白抜け無し。
B:ベタパターン面内に濃淡のムラはないが、白抜けが若干あり。
C:ベタパターン面内に濃淡のムラ、白抜けが共にあり。
濃淡インクと処理液を用い1回の走査の最大距離が50cm以上である実施例は何れも、得られる記録物の色差抑制が優れることが分かった。これに対し、そうではない比較例は何れも色差抑制が劣っていた。以下詳細に記す。
実施例10と1の比較、11、16と3の比較から、1回の走査の最大距離が長いほど、色差が発生しやすく、記録媒体の走査方向の幅が短いほど、発生しにくくなることがわかる。
実施例6~7に示されるように、記録媒体の表面温度が低いほど色差は抑制されるが、一方で、得られる記録物の耐擦性及び耐水摩擦性、ざらつきや濃度むらが相対的に低下することがわかる。
実施例8~9に示されるように、記録媒体の表面温度が高いほど、得られる記録物の耐擦性及び耐水摩擦性、ざらつきや濃度むらが向上するが、相対的に、色差が低下することがわかる。
実施例1に示されるように、凝集剤として多価金属塩を用いることで、色差が抑制され、また濃度むらも抑制されることがわかった。
実施例13、15、1の比較から、処理液付着量が多いほうが画質はより優れるが色差は増大する傾向があり、処理液付着量が少ないほうが画質は低下するが色差は少ない傾向があった。
実施例2及び12により、含窒素系溶剤の使用量が多いことにより、色差及び濃度むらが生じにくくなることがわかる。
実施例14によれば、クリアインクを用いることで耐水摩擦性が向上することがわかる。またクリアインクを用いることで画像の光沢感が増す傾向があった。光沢感が増すことで色差が目立たなくなることがあり色差を低減する点で好ましい。
これに対して、比較例1、2によれば、淡着色インクを用いない場合に色差が大きくなった。
参考例1、2では、1回の走査の最大距離が短い場合には、色差の問題は生じないことから、色差の問題は特に記録媒体の走査方向の幅が広い場合に固有の問題であることがわかる。しかし表示用などに有用な記録物とすることはできなかった。
参考例3から、処理液を用いない場合には、画質(濃度むら)得られないことがわかる。また参考例4から、インク付着時の記録媒体加熱温度を高くしてインクの乾燥を促進し画質を得ようとすると色差が悪化することがわかる。
なお表中には記載しなかったが、色差評価用ベタパターンにおいてL*を50よりも更に低明度のパターンとして濃インクの付着量をさらに増やした各インク付着量を決めてこのベタパターンを記録して色差評価を行ったところ、比較例1の条件においても色差が低減していた。高明度のベタパターンを記録する場合に色差が顕著に発生することがわかった。
なお、記録中のヘッドの主走査によりヘッドと対向しうるプラテン領域の記録媒体の表面温度のうちの最大温度(表中の温度)と最低温度の温度差を確認した所、実施例1は4℃であり、実施例10は6℃であり、実施例9は10℃であり、実施例11は1℃であり、実施例16は2℃であり、参考例1は1℃未満であった。このことから1回の走査の最大距離が大きいほうが温度差が大きくなり易いことがわかった。また記録媒体の表面温度が高いほうが温度差が大きい傾向があった。
また表中には記載しなかったが、実施例1において、プラテンヒーターの加熱する温度をより高くし、ファンから送風する風の風力を1m/sから2m/sへ上げて、プラテンヒーターにより加熱される記録媒体の温度が風により低下することを利用して記録時の記録媒体表面温度を実施例1と同じ35℃に制御したところ、最高温度と最低温度の温度差を小さくすることが難しく温度差は6℃になり、色差評価はCとなった。このことから記録媒体の温度差が大きいことが色差の原因の少なくとも1つであることがわかった。
なお前述の他の実施形態においては上記の実施例が比較例になる場合や比較例が実施例になる場合がある。
1…記録装置、2…記録用ヘッド、3…IRヒーター、4…プラテンヒーター、5…乾燥ヒーター、6…冷却ファン、7…プレヒーター、8…ファン、9…キャリッジ、10…記録媒体、11…キャリッジ周辺の構成、12…ノズルを含む部材、13…キャリッジ移動機構、14…搬送手段

Claims (16)

  1. 加温機構により記録媒体を加熱する加熱工程と、
    同色系で互いに色濃度の異なる淡着色インク組成物と濃着色インク組成物とを含む着色インク組成物を、インクジェットヘッドから吐出して、前記加熱工程により加熱された前記記録媒体へ付着させるインク付着工程と、
    前記着色インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する処理液を、前記記録媒体へ付着させる処理液付着工程と、を備え、
    前記インク付着工程を、前記インクジェットヘッドを前記記録媒体との相対位置を走査方向へ変えながら前記着色インク組成物を吐出する走査を複数回行うことにより行い、
    前記インク付着工程における1回の走査の最大距離が50cm以上であり、
    前記記録媒体が、低吸収性記録媒体又は非吸収性記録媒体であり、
    前記凝集剤が、多価金属塩、有機酸又はその塩の何れかであり、
    前記着色インク組成物が水系のインク組成物である、
    記録方法。
  2. 前記淡着色インク組成物及び前記濃着色インク組成物として、濃淡のブラックインクを用いる、
    請求項1に記載の記録方法。
  3. 樹脂を含むクリアインク組成物をさらに用いる、
    請求項1又は2に記載の記録方法。
  4. 記インク付着工程において前記着色インク組成物が付着した領域へ風を送る送風工程を備える、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の記録方法。
  5. 前記淡着色インク組成物及び前記濃着色インク組成物として、濃淡のシアンインク、濃淡のマゼンタインク、濃淡のイエローインク、又は濃淡のブラックインクのすくなくとも何れかを用いる、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の記録方法。
  6. 前記淡着色インク組成物及び前記濃着色インク組成物として、2組以上の濃淡インク組成物を用いる、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の記録方法。
  7. 前記濃着色インク組成物に含まれる色材1質量部に対し、前記淡着色インク組成物に含まれる色材の含有量が2/3質量部以下である、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の記録方法。
  8. 前記低吸収性記録媒体が、塗工紙であり、
    前記非吸収性記録媒体が、プラスチック類のフィルムかプレート、金属類のプレートの何れかである、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の記録方法。
  9. 前記加熱工程において、前記加熱機構により加熱された前記記録媒体の表面温度が、30~45℃である、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の記録方法。
  10. 前記インク付着工程における1回の走査の最大時間が、0.8秒以上である、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の記録方法。
  11. 前記凝集剤が、前記多価金属塩ある、
    請求項1~10のいずれか一項に記載の記録方法。
  12. 前記インク付着工程における1回の走査の最大距離が、50~500cmである、
    請求項1~11のいずれか一項に記載の記録方法。
  13. 前記インク付着工程における前記記録媒体のヘッドの主走査中に対向しうる領域の全体の表面温度のうちの最高温度と最低温度の温度差が1~10℃である、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の記録方法。
  14. 前記着色インク組成物において、標準沸点が280℃超の有機溶剤の含有量が1質量%以下である、
    請求項1~13のいずれか一項に記載の記録方法。
  15. 前記送風工程において、送風の温度が30℃以下である、
    請求項4に記載の記録方法。
  16. 請求項1~15の何れか一項に記載の記録方法で記録を行う記録装置。
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