JP7089653B2 - 電気化学的処理システム及び電極用ユニットパネル - Google Patents
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Description
ここで、「中性化」とは、セメントの水和反応によって生成された水酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなる現象であり、この炭酸化によりコンクリートのアルカリ度が低下し、pH値が10以下になると鉄筋の不動態被膜が破壊され、鉄筋の腐食が始まる劣化現象である。
また、「塩害」とは、沿岸部にあるコンクリート構造物の場合、海水の飛沫がコンクリート表面に付着すると、その塩分がコンクリートの吸着現象や濃度勾配によりコンクリート中に浸透して鉄筋まで到達すると、塩素イオンにより鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まる劣化現象である。さらに、過去のコンクリート構造物では、細骨材として海砂が使用されることもあり、その際、管理の不十分さから塩分除去が十分に行われないまま使用されたため、多量の塩化物がコンクリート中に存在することになり、その結果、鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まるケースもあった。
上記のような鉄筋コンクリートの劣化現象が進行すると、複合構造物としての耐久性が大きく低下することになる。
[2] 任意箇所に電解質供給口を設置するとともに、電解質回収口を設置し、継続的又は断続的に、前記電解質供給口から前記電解質を前記電解質保持材に供給するとともに、前記電解質溶液回収口から前記電解質を回収する[1]に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[3] 前記透明樹脂基板がポリカーボネート中空板である[1]又は[2]に記載の電気化学的処理システム。
[4] 前記電解質供給口の径が0.5~1.0mmであり、前記供給口と供給口との間隔が10~35mmである[2]又は[3]に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[5] 前記電解質供給口を有する複数の電解質供給管を有し、1の電解質供給管とこれに並行して設けられる他の電解質供給管との間隔が300~600mmである[2]~[4]のいずれかに記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[6] 前記複数の電解質供給管が樹脂シートで被覆されてなる[5]に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[7] 電解質溶液保持材、電極、透明樹脂基板がこの順に配置された電極用ユニットパネル。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムに使用される[7]に記載の電極用ユニットパネル。
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムは、図1に示すように、コンクリート10の表面側に設置した電極を外部電極20とし、コンクリート10の内部側に埋設されている不図示の鉄筋を内部電極とし、当該内部電極、電解質を保持した電解質保持材22、外部電極20、透明樹脂基板24をこの順に配置して、外部電極20と内部電極との間に直流電流を通電する鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムである。
また、電解質保持材22により、コンクリートへの電解質浸透性が向上して安定した電圧が早く得られる。
さらに、透明樹脂基板24は透明であるため天井面施工時の電解質の漏水有無の確認が容易となり、樹脂製であるためパネル全体の軽量化が図れて安全性が向上する等、天井面に対する施工性に優れた鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムとすることができる。また、透明樹脂基板24で電解質保持材22が覆われているため、特に冬場での保温効果を向上させることができる。
なお、透明樹脂基板24は、外部電極や電解質等が視認できる程度以上の透明性を有していればよく、例えば全光線透過率(JISK7361-1(2011))として70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
この場合、例えば、吐出量を0.05~0.2m3/min(より具体的には0.1m3/min)として、タイマーにて5~15分(より具体的には10分)運転後、5~25分(より具体的には15分)休止するような操作を繰り返して電解質を供給することが好ましい。
保水量(ml/cm3)=湿潤質量(g)-絶乾質量(g)/電解質保持材の体積(cm3)
図1に示すように、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る電極用ユニットパネル26は、電解質溶液保持材22、電極(外部電極20)、透明樹脂基板24がこの順に配置されてなる。本実施形態に係る電極用ユニットパネル26は、本発明の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムの電極用ユニットパネルに使用されることが好ましい。
親水性素材による不織布とは、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、綿などの天然繊維のように素材自在に親水性を有する原料により製造された不織布である。
親水処理された不織布とは、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を原料として製造された不織布であって、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた不織布である。
フェルトは、羊毛または他の獣毛繊維を縮絨してシート状にしたものである。
ここで、ポリカーボネート中空板は、段ボールのような構造(いわゆるプラ段)で、板厚があり中骨がある程度の強度を保っているため、軽くて強く、良好な耐久性が発揮される。中空板であることでソリッドタイプよりも軽量化を図れ、波板状のものに較べると強度に優れるといった特徴がある。
(試験例1:マット工法)
下記表1に示す配合のコンクリートと、直径13mmの鉄筋を用いて、図2(A)、(B)に示すような100mm×100mm×400mmでかぶり30mmの角柱試験体を作製した。なお、コンクリートは28日間封緘養生後、試験に使用した。
ここで、電解質は、0.3mol/L炭酸カリウム(K2CO3)と0.2mol/Lほう酸(H3BO3)の混合溶液とした。当該混合液をポリプロピレン製のハズマットピグ吸収剤(ニューピグコーポレーション製のMAT309)である不織布に含浸し、電解質を保持した電解質保持材(厚さ:5mm)を作製した。また、透明樹脂基板としてポリカーボネート中空板(第一大宮(株)社製、商品名:ツインハードPC、厚さ:4mm)を用いた。
試験例1と同じ角柱試験体を用い、通電面に外部電極を配置し,その上にセルロースファイバーを圧縮空気とともに吹付け、その後電解質溶液を噴霧させて湿潤状態にして、試験例1と同様に直流電流を通電できるようにした。なお、通電の条件は、試験例1と同じとした。結果を表3に示す。
以上から、天井面に対する施工について、実験例(マット工法)と比較実験例(ファイバー工法)で施工した場合、施工時の電圧がマット工法よりファイバー工法での施工時の電圧が高く安全性に劣るといえる。
20…外部電極
22…電解質保持材
24…透明樹脂基板
26…電極用ユニットパネル
30…桟木
34…給水ホース
Claims (3)
- コンクリート表面側に設置した電極を外部電極とし、コンクリート内部側に埋設されている鉄筋を内部電極とし、前記内部電極、電解質を保持した電解質保持材、前記外部電極、及び、透明樹脂基板をこの順に配置して、前記外部電極と内部電極との間に直流電流を通電し、
任意箇所に電解質供給口を設置するとともに、電解質回収口を設置し、継続的又は断続的に、前記電解質供給口から前記電解質を前記電解質保持材に供給するとともに、前記電解質回収口から前記電解質を回収し、
前記電解質供給口を有する複数の電解質供給管を有し、
前記複数の電解質供給管が、前記内部電極、前記電解質保持材、及び、前記透明樹脂基板からなる複数の電極用ユニットパネルの間に位置し、
前記複数の電解質供給管が樹脂シートで被覆されてなり、
前記電解質保持材の厚さ(T1)が、前記透明樹脂基板の厚さ(T2)よりも厚く、T1/T2が1.1~2.5である鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。 - 前記電解質供給口の径が0.5~1.0mmであり、前記供給口と供給口との間隔が10~35mmである請求項1に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
- 前記複数の電解質供給管は、1の電解質供給管とこれに並行して設けられる他の電解質供給管との間隔が300~600mmである請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
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