JP7089653B2 - 電気化学的処理システム及び電極用ユニットパネル - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学的処理システム及び電極用ユニットパネルに関する。
従来、道路、鉄道などの土木建設構造物、具体的には橋梁の下部工、橋梁の橋桁、トンネルなどの地下構造物又は半地下構造物、カルバートなどの構築には、一般的に鉄筋コンクリートが使用されている。この鉄筋コンクリートは、高い圧縮強度性能を持つコンクリートと、高い引張強度性能を持つ鉄筋とを組み合わせることにより、圧縮強度と引張強度とを併せ持つ複合構造体を作ることが可能であり、構造物の材料として多く使用されている。なお、この鉄筋コンクリートを用いた構造物には、所謂PC構造物と呼ばれ、更にPC鋼材(PC鋼線、PC鋼棒、PC鋼より線など)をコンクリート内に配置したコンクリート構造物も多く存在する。
コンクリートは環境抵抗性が高く、コンクリート自体のアルカリ度はpH値で12~12.5の強アルカリ性であるため、コンクリート内部に配設された鉄筋は表面に不動態被膜を形成し腐食から防止されるものと考えられてきた。
しかしながら、近年、コンクリートの中性化や塩害によって鉄筋コンクリート構造物に劣化現象が生じていることが社会問題となってきている。
ここで、「中性化」とは、セメントの水和反応によって生成された水酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなる現象であり、この炭酸化によりコンクリートのアルカリ度が低下し、pH値が10以下になると鉄筋の不動態被膜が破壊され、鉄筋の腐食が始まる劣化現象である。
また、「塩害」とは、沿岸部にあるコンクリート構造物の場合、海水の飛沫がコンクリート表面に付着すると、その塩分がコンクリートの吸着現象や濃度勾配によりコンクリート中に浸透して鉄筋まで到達すると、塩素イオンにより鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まる劣化現象である。さらに、過去のコンクリート構造物では、細骨材として海砂が使用されることもあり、その際、管理の不十分さから塩分除去が十分に行われないまま使用されたため、多量の塩化物がコンクリート中に存在することになり、その結果、鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まるケースもあった。
上記のような鉄筋コンクリートの劣化現象が進行すると、複合構造物としての耐久性が大きく低下することになる。
そこで、劣化した鉄筋コンクリートの補修方法として、劣化部分をはつり取り、コンクリート又はモルタル等で埋め戻すなどの構造物の破壊を伴う補修方法の他に、破壊を伴うことなく電気化学的な方法により補修を行う方法が提案され、実施されてきた。
例えば、特許文献1では、板状体の一方面側に外部電極を配設するとともに、外部電極配設領域の全面を繊維質シートからなる電解質溶液保持材で被覆した電極用ユニットパネルを多数用意し、処理対象のコンクリート面に対して、電極用ユニットパネルを並べて配設するとともに、隣接する電極用ユニットパネル間の目地部及び外周部において液密性を確保した状態とし、任意箇所に電解質溶液供給口を設置するとともに、電解質溶液回収口を設置し、継続的又は断続的に、電解質溶液供給口から電解質溶液を電極用ユニットパネルとコンクリート表面との間に供給するとともに、電解質溶液回収口から電解質溶液を回収する、鉄筋コンクリートの電気化学的処理方法が提案されている。
特許第6586000号公報
特許文献1の鉄筋コンクリートの電気化学的処理方法によれば、セルロースファイバー及び電解質溶液の吹付け作業を無くし作業環境を良好に保つとともに、作業員の安全性を確保することが可能であり、また特殊産業廃棄物の発生を極力抑え、更に電解質溶液の使用量を削減できるとともに、給水作業の省力化を図り得る等、種々の効果が期待できる。
一方で、天井面において電気化学的処理を行う際は、天井面施工時の電解質の漏水有無の確認の容易化、パネルの軽量化による安全性の向上等の天井面に対する施工性を考慮する必要がある。このような点に関し、特許文献1においてはその有効性が具体的には示されていない。
以上から、本発明は、電解質の蒸発を抑制しつつ、コンクリートへの良好な電解質浸透性により安定した電圧が早く得られ、かつ、天井面に対する施工性に優れた鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討したところ、本発明者らは下記本発明に想到し、当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は下記のとおりである。
[1] コンクリート表面側に設置した電極を外部電極とし、コンクリート内部側に埋設されている鉄筋を内部電極とし、前記内部電極、電解質を保持した電解質保持材、前記外部電極、及び、透明樹脂基板をこの順に配置して、前記外部電極と内部電極との間に直流電流を通電する鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[2] 任意箇所に電解質供給口を設置するとともに、電解質回収口を設置し、継続的又は断続的に、前記電解質供給口から前記電解質を前記電解質保持材に供給するとともに、前記電解質溶液回収口から前記電解質を回収する[1]に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[3] 前記透明樹脂基板がポリカーボネート中空板である[1]又は[2]に記載の電気化学的処理システム。
[4] 前記電解質供給口の径が0.5~1.0mmであり、前記供給口と供給口との間隔が10~35mmである[2]又は[3]に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[5] 前記電解質供給口を有する複数の電解質供給管を有し、1の電解質供給管とこれに並行して設けられる他の電解質供給管との間隔が300~600mmである[2]~[4]のいずれかに記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[6] 前記複数の電解質供給管が樹脂シートで被覆されてなる[5]に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
[7] 電解質溶液保持材、電極、透明樹脂基板がこの順に配置された電極用ユニットパネル。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムに使用される[7]に記載の電極用ユニットパネル。
本発明によれば、電解質の蒸発を抑制しつつ、コンクリートへの良好な電解質浸透性により安定した電圧が早く得られ、かつ、天井面に対する施工性に優れた鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムを提供することができる。
本実施形態に係る電極用ユニットパネルをコンクリートの天井面に取り付けた状態を示す部分断面図である。 試験例で作製した角柱試験体を示す図であり、(A)が正面図であり、(B)が側面図である。 試験例で作製した角柱試験体の試験方法を説明する図であり、(A)が正面側の断面図であり、(B)が側面側の断面図である。
[電気化学的処理システム]
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムは、図1に示すように、コンクリート10の表面側に設置した電極を外部電極20とし、コンクリート10の内部側に埋設されている不図示の鉄筋を内部電極とし、当該内部電極、電解質を保持した電解質保持材22、外部電極20、透明樹脂基板24をこの順に配置して、外部電極20と内部電極との間に直流電流を通電する鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムである。
当該システムで直流電流を通電することで、例えば、コンクリート10内部の塩化物イオンを外部電極20側に泳動させて除去したり、アルカリ性の電解質溶液をコンクリート10内部の鉄筋側に電気浸透させ、中性化しているコンクリート10のアルカリ性を回復させたりすることができる。
また、電解質保持材22により、コンクリートへの電解質浸透性が向上して安定した電圧が早く得られる。
さらに、透明樹脂基板24は透明であるため天井面施工時の電解質の漏水有無の確認が容易となり、樹脂製であるためパネル全体の軽量化が図れて安全性が向上する等、天井面に対する施工性に優れた鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムとすることができる。また、透明樹脂基板24で電解質保持材22が覆われているため、特に冬場での保温効果を向上させることができる。
なお、透明樹脂基板24は、外部電極や電解質等が視認できる程度以上の透明性を有していればよく、例えば全光線透過率(JISK7361-1(2011))として70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
図1に示すように、電解質を保持した電解質保持材22、外部電極20、及び透明樹脂基板24をこの順に配置してなる電極用ユニットパネル26は、例えば、透明樹脂基板24の外側に複数の桟木30で、固定化されている。この電極用ユニットパネル26については、後述する本実施形態に係る電極用ユニットパネルを用いることが好ましい。
また、2つの桟木30の間には、電解質供給管としての給水ホース34が設けられて固定されている。給水ホース34の任意箇所には電解質供給口(不図示)が設置されている。また、給水ホース34からの電解質を回収する電解質回収口を有する回収管(不図示)も適宜が設けられている。すなわち、給水ホース34の電解質供給口からは、継続的又は断続的に、電解質が電解質保持材22に供給され、その後は電解質が回収管40で回収される。
つまり、当該システムでは、任意箇所に電解質供給口を設置するとともに、電解質回収口を設置し、継続的又は断続的に、電解質供給口から電解質を電解質保持材に供給するとともに、電解質溶液回収口から電解質を回収するようになっていることが好ましい。かかる構成とすることで、電解質の安定した供給が可能とあり当該システムの効果をより発揮させやすくすることができる。
給水ホース34の電解質供給口の径は、0.5~1.0mmであることが好ましく、0.6~0.8mmであることがより好ましい。0.5~1.0mmであることで、安定的にユニットパネルへ電解質を供給することができる。また、電解質供給口とその隣にある電解質供給口との間隔は10~35mmであることが好ましく、15~30mmであることがより好ましい。間隔が10~35mmであることで、電極用ユニットパネルへ均一に電解質を供給することができる。
電解質供給口を有する複数の電解質供給管(給水ホース34)において、1の電解質供給管とこれに並行して設けられる他の電解質供給管との間隔Wは300~600mmであることが好ましい。300~600mmであることで、電解質の量が多くなって漏水してしまうことを防ぎながら、電解質を電解質保持材に十分に行き渡らせることができる。間隔Wは400~500mmであることがより好ましい
また、複数の電解質供給管はその外側が樹脂シートで被覆されてなることが好ましい。これにより、コンクリートに均一に電解質溶液が浸透し安定した通電処理をすることができる。樹脂シートとしては、例えば、プラ段(ポリプロピレン製)等を用いることができる。
電極用ユニットパネル26の取付けは、例えば、特許第6586000号公報に記載のパネル固定金具を用いて行ってもよいし、その他の公知の手段を用いてもよい。
また、電極用ユニットパネル26を格子状に並べて配置する際には、隣接する電極用ユニットパネル26の間に所定の隙間を設けて配置し、この隙間(目地部)に特許第6586000号公報に記載の接続部材を配置して液密性を確保するようにしてもよい。
給水ホース34及び回収管はそれぞれホース等で外部と接続されている。すなわち、給水ホース34には、電解質溶液タンク(図示せず)から電解質溶液がポンプ圧送される。回収管で回収される電解質は、電解質溶液分離タンク(空気と電解質溶液を分離するタンク)、エレメントを経て電解質溶液タンクへポンプ圧送されるようになっていることが好ましい。
ここで、電解質は、コンクリート中に浸透することによりコンクリートの電気抵抗を低減し、電気を流れやすくするもので、溶液中にプラスイオンとマイナスイオンが存在するものであればよい。具体的には、溶媒である水に、溶質として各種のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を溶解した水溶液が好適に使用される。アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩としては、リチウム、ナトリウム及びカリウム、並びにマグネシウムやカルシウムなどの炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、さらに水酸化物や塩化物等が挙げられる。
電極用ユニットパネル26の外部電極20を構成する各電極棒と、コンクリート内部に埋設されている鉄筋(内部電極)とは、それぞれ電線ケーブルと接続し、電極間が通電できるようになっている。
以上のような状態で、外部電極20と、コンクリート内部に埋設されている鉄筋(内部電極)との間に直流電流を通電(好ましくはコンクリート表面積当り0.5A/m以上、より好ましくは0.7~1.5A/m)しながら、継続的又は断続的(間欠的)に、電解質の供給管に電解質溶液を供給する。
ここで、コンクリートへの効率的に電解質を電気浸透性させ、また、コンクリート内部の塩化物イオンを外部電極側に泳動させて除去する観点から、電解質の供給は断続的(間欠的)であることが好ましい。
この場合、例えば、吐出量を0.05~0.2m/min(より具体的には0.1m/min)として、タイマーにて5~15分(より具体的には10分)運転後、5~25分(より具体的には15分)休止するような操作を繰り返して電解質を供給することが好ましい。
電解質保持材の保水量はコンクリートを湿潤状態で保持する観点から、0.1~1.5ml/cmとすることが好ましく、0.4~0.8ml/cmとすることがより好ましい。保水量は下記式のようにして求めることができる。
保水量(ml/cm)=湿潤質量(g)-絶乾質量(g)/電解質保持材の体積(cm
上記の各質量を求めるには、まず、電解質保持材を20cm角に切る。その後、バットに電解質溶液を張り各時間吸水浸漬させて、ウエス等で表面の目に見える水分をぬぐった後、天秤にて質量を測定して、湿潤質量を求める。次に温度60℃の乾燥機内で24時間乾燥後、常温まで冷却して天秤にて質量を測定して、絶乾質量を求める。
電解質は、コンクリートの中性化処理が進行するに従って、pHが徐々に低下するようになる。pHの低下した電解質を使用し続けると、コンクリート表面で酸性化した電解質の影響を受け、ペースト分が溶解してコンクリートの酸荒れ現象が発生するようになるため、所定の管理値(通常pH8)までpHが低下したならば電解質を交換するようにする。
[電極用ユニットパネル]
図1に示すように、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る電極用ユニットパネル26は、電解質溶液保持材22、電極(外部電極20)、透明樹脂基板24がこの順に配置されてなる。本実施形態に係る電極用ユニットパネル26は、本発明の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システムの電極用ユニットパネルに使用されることが好ましい。
電極用ユニットパネル26は、処理対象コンクリート面に対して、格子状に並べやすいように、平面視で矩形状を成していることが好ましい。
電極用ユニットパネル26における外部電極を構成する電極は、腐食性に優れ転用を可能とするために、チタン製の丸棒を用いることが好ましく、その表面にイリジウム焼付け処理を施したものを用いることがより好ましい。丸棒サイズはφ2~5mm程度のものを用いることが好ましい。また、一般的な鋼棒に対してチタン、チタン合金又は白金などでめっき処理したものを用いてもよい。
電解質溶液保持材22の形態としては、親水性素材による不織布、親水処理された不織布又はフェルトを用いることができる。
親水性素材による不織布とは、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、綿などの天然繊維のように素材自在に親水性を有する原料により製造された不織布である。
親水処理された不織布とは、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を原料として製造された不織布であって、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた不織布である。
フェルトは、羊毛または他の獣毛繊維を縮絨してシート状にしたものである。
上記の不織布の製造方法は、特に限定はなく、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた各種の不織布を用いることができる。
各電解質溶液保持材の厚みは、2~15mmであることが好ましく、2~10mmであることがより好ましく、2~5mm程度であることがさらに好ましい。また、密度は200~500g/mであることが好ましく、300~400g/mであることがより好ましい。
透明樹脂基板は、天井面施工時の電解質の漏水有無の確認の容易化、軽量化、及び電解質保持材からの電解質の蒸発の緩和のために設けられ、例えば、ポリカーボネート中空板、透明アクリル板、硬質塩ビ板等を用いることが好ましく、耐久性の観点から、ポリカーボネート中空板を用いることがより好ましい。
ここで、ポリカーボネート中空板は、段ボールのような構造(いわゆるプラ段)で、板厚があり中骨がある程度の強度を保っているため、軽くて強く、良好な耐久性が発揮される。中空板であることでソリッドタイプよりも軽量化を図れ、波板状のものに較べると強度に優れるといった特徴がある。
透明樹脂基板の厚みは、3~6mmであることが好ましく、4~5mmであることがより好ましい。
また、電解質保持材の厚さ(T1)は、コンクリートへの電解質保持の観点から、透明樹脂基板の厚さ(T2)よりも厚いことが好ましく、T1/T2が1.1~2.5であることが好ましく、1.2~2.2であることがより好ましい。
[試験例]
(試験例1:マット工法)
下記表1に示す配合のコンクリートと、直径13mmの鉄筋を用いて、図2(A)、(B)に示すような100mm×100mm×400mmでかぶり30mmの角柱試験体を作製した。なお、コンクリートは28日間封緘養生後、試験に使用した。
Figure 0007089653000001

図3(A)、(B)に示すように、容器内に上から、透明樹脂基板、チタンメッシュ、電解質を保持した電解質保持材、及び、角柱試験体をこの順に配置した。鉄筋を内部電極とし、チタンメッシュを外部電極として、これらの間に直流電流を通電できるようにした。
ここで、電解質は、0.3mol/L炭酸カリウム(KCO)と0.2mol/Lほう酸(HBO)の混合溶液とした。当該混合液をポリプロピレン製のハズマットピグ吸収剤(ニューピグコーポレーション製のMAT309)である不織布に含浸し、電解質を保持した電解質保持材(厚さ:5mm)を作製した。また、透明樹脂基板としてポリカーボネート中空板(第一大宮(株)社製、商品名:ツインハードPC、厚さ:4mm)を用いた。
上記のような構成で通電を行った。通電は、直流電源方式は定電流方式(一定の電流値を通電)を使用し、所定の電流を流すのに必要な電圧(V)を測定し、電圧の経時変化をデータロガーにて記録保存した。コンクリートへの通電は、コンクリート表面積当り1A/mとした。電圧推移の結果を表2に示す。
Figure 0007089653000002
表2より、通電初期から電圧は低く、7日目以降は4~5V付近でほぼ安定した電圧を示した。
(比較試験例:ファイバー工法)
試験例1と同じ角柱試験体を用い、通電面に外部電極を配置し,その上にセルロースファイバーを圧縮空気とともに吹付け、その後電解質溶液を噴霧させて湿潤状態にして、試験例1と同様に直流電流を通電できるようにした。なお、通電の条件は、試験例1と同じとした。結果を表3に示す。
Figure 0007089653000003
表3より、通電初期から電圧は高く、7日目以降も8V以上の高電圧で、安定しない電圧を示した。
以上から、天井面に対する施工について、実験例(マット工法)と比較実験例(ファイバー工法)で施工した場合、施工時の電圧がマット工法よりファイバー工法での施工時の電圧が高く安全性に劣るといえる。
本発明は、道路、鉄道等の各種の土木建設構造物に用いられている鉄筋コンクリートに対し、コンクリート内部の塩化物イオンを除去したり、中性化しているコンクリートのアルカリ性を回復させたりといった電気化学的処理システム好適に使用できる。
10…コンクリート
20…外部電極
22…電解質保持材
24…透明樹脂基板
26…電極用ユニットパネル
30…桟木
34…給水ホース

Claims (3)

  1. コンクリート表面側に設置した電極を外部電極とし、コンクリート内部側に埋設されている鉄筋を内部電極とし、前記内部電極、電解質を保持した電解質保持材、前記外部電極、及び、透明樹脂基板をこの順に配置して、前記外部電極と内部電極との間に直流電流を通電し、
    任意箇所に電解質供給口を設置するとともに、電解質回収口を設置し、継続的又は断続的に、前記電解質供給口から前記電解質を前記電解質保持材に供給するとともに、前記電解質回収口から前記電解質を回収し、
    前記電解質供給口を有する複数の電解質供給管を有し、
    前記複数の電解質供給管が、前記内部電極、前記電解質保持材、及び、前記透明樹脂基板からなる複数の電極用ユニットパネルの間に位置し、
    前記複数の電解質供給管が樹脂シートで被覆されてなり、
    前記電解質保持材の厚さ(T1)が、前記透明樹脂基板の厚さ(T2)よりも厚く、T1/T2が1.1~2.5である鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
  2. 前記電解質供給口の径が0.5~1.0mmであり、前記供給口と供給口との間隔が10~35mmである請求項1に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
  3. 前記複数の電解質供給管は、1の電解質供給管とこれに並行して設けられる他の電解質供給管との間隔が300~600mmである請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリートの電気化学的処理システム。
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