以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。複数の図面中同一のものに
は同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る可変基準電圧源の機能構成例を示す機能ブロック図である。図1に示す可変基準電圧源100は、外部から設定される設定データに対応した可変基準電圧を生成し出力1に出力する。可変基準電圧源100は、基準電圧部10、制御部20、及び積算電圧生成部30を備える。基準電圧部10は、基準電圧Vrefを出力する。
可変基準電圧源100の内部の積算電圧生成部30にはオフセットと所定の単位電圧が含まれドリフトにより経時変化するため、精度を保つには後述すつようにオフセットと単位電圧を校正する必要がある。制御部20は、積算電圧生成部30のオフセットと所定の単位電圧の校正値を含む校正データを取得する動作を制御する校正制御部21と、校正データに基づいて外部から設定される設定データに対応する可変基準電圧を生成する動作を制御する出力制御部22を備える。
積算電圧生成部30は、校正制御部210が制御する場合に所定の単位電圧を積算した積算電圧が基準電圧Vrefと等しくなるまで積算動作を繰り返し、出力制御部22が制御する場合に設定データに対応する可変基準電圧を出力する。
積算電圧生成部30は、単位電圧の大きさを基準電圧Vrefと同じ電圧又は基準電圧Vrefよりも小さい中間電位に変化させる第4スイッチ(以降、SW4)と、単位電圧の極性を決定する第2クロス・バースイッチ33と、単位電圧を積算した積算電圧を生成する積算部34と、基準電圧Vrefと積算電圧のどちらが大きいか判定する判定器32と、判定器32の一方の入力に基準電圧Vrefを入力し他方の入力に積算電圧を入力する場合と、判定器32の一方の入力に積算電圧を入力し他方の入力に基準電圧Vrefを入力する場合とで接続を切替える第1クロス・バースイッチ31とを備える。
積算部34は、演算増幅器340と、単位電圧で充電される第1コンデンサ(以降、C1)と、単位電圧を積算した積算電圧を保持する第2コンデンサ(以降、C2)と、演算増幅器340の正の入力の電圧を切替える第1スイッチ(以降、SW1)と、演算増幅器340の負に入力にC1の一方の端子を接続する場合に、C1の他方の端子を接地電位に接続させるC2と、C2両端を短絡させる第3スイッチ(以降、SW3)とを備える。
単位電圧を積算する積算動作について説明する。積算は電荷蓄積と電荷転送の動作の繰り返しにより実施される。はじめに1回の積算動作で積算される電荷および電圧を算出する。図2において波線で囲んだ部分は演算増幅器340の等価回路である。本等価回路では、演算増幅器340の負の入力に接続された寄生容量Cpを考慮している。Cpは、容量C2の演算増幅器340の負の入力に接続された電極とグランド間の寄生容量や、配線等を含む演算増幅器340の負の入力とグランド間の寄生容量等で構成されることが考えられる。演算増幅器340の正の入力や判定器32の入力、第1クロス・バースイッチ31にも寄生容量が存在するが、積算動作の電荷保存則の方程式に影響するのがCpのため、本説明ではCpのみを考慮している。
積算動作時には、図1でのSW3は開放となる。また、予め積算部34のバイアス電圧がSW1によりグランド、V1またはVrefに設定され、積算単位電圧の極性が第2クロス・バースイッチ33により設定される。以下では積算部34のバイアス電圧をグランドとし、第2クロス・バースイッチ33のs21とs24、s22とs23を接続した場合で説明する。
電荷蓄積時では図1のSW2のa2とb2が接続され、電荷転送時ではSW2のa2とc2が接続される。この接続を基に電荷蓄積時と電荷転送時の積算部34の等価回路を図2に示す。図2の等価回路においては、C1に蓄積される電荷の符号はグランド側をマイナス(-)その反対側をプラス(+)と仮定している。C2においては演算増幅器340の出力に接続された側をプラス(+)、入力に接続された側をマイナス(-)と仮定している。Cpにおいては演算増幅器340の負の入力側をプラス(+)としている。例えばC2において演算増幅器340の出力が正であればC2に蓄積された電荷の符号は正となり、演算増幅器340の出力が負であればC2に蓄積された電荷の符号は負となる。
電荷蓄積時には以下の方程式が成立する。
ここで、Q1,0とQ2,0、Qp,0はそれぞれ容量C1、C2、Cpに蓄積される電荷である。Vofopは演算増幅器340の入力に存在するオフセット電圧を表す。Vop,0は演算増幅器340の出力電圧であり積算動作を実施する前の初期値である。Viは演算増幅器340の内部の正負入力間電位差であり出力電圧Vop,0とVop,0=A Viの関係がある(Aは演算増幅器340の利得を表す)。Vop,0=A Viの関係式より式(2)、(3)は以下の式で表される。
電荷転送時において、SW2の抵抗と容量C1、C2、Cpにより生じる過渡現象が十分収束した時では、容量C1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1,1とQ2,1、Qp,1は以下の式で表される。
SW2を電荷転送時の接続とした直後の容量C1、C2、Cpに蓄積されている電荷は式(1)、式(4)、式(5)で表される電荷量であり、電荷転送時の接続とした後十分時間が経過した時にはC1、C2、Cpに蓄積されている電荷は式(6)、式(7)、式(8)で表される電荷量となる。図2(b)の回路の節点B1では電源やグランドに電荷が抜けるパスが無いため電荷保存則が成り立ち以下の式が成立する。
式(9)に、式(1)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)を代入するとVop,0とVop,1の関係式が導出でき以下のようになる。
Vop,0とVop,1の関係式を以下の等比級数の形式で定義する。
式(10)と式(11)の対比により、B1は以下の式で表される。
また、(B1-1)B0=-ηB0は以下の式で表される。
電荷蓄積と電荷転送の動作をk回繰返した時の演算増幅器340の出力Vop,kは以下の式で表される。
C1<<(A+1)C2となるように容量C1、C2と演算増幅器340の利得Aを設計すれば、η<<1となる。この場合ではマクローリン展開により式(15)をηの一次の項まで展開すれば以下の式が得られる。
積算動作をはじめて実行する前に図1のRST信号によりSW3を少なくとも1回短絡と開放することによりC2に蓄積されている電荷は0となるため、初期値Vop,0は式(4)より以下の式で表される。
式(17)を式(16)に代入することにより以下の式を得る。
式(18)より演算増幅器340の出力は積算回数kに比例しているが、kの比例係数である積算単位電圧は不明なパラメータである演算増幅器340のオフセット電圧の影響を受けることが分かる。また、C1やC2も製造バラツキと温度等で設計値からずれるため、積算単位電圧はこの影響も受けて設計値から精度良く予測することは難しい。
上述のように積算単位電圧は設計値から精度良く予測することが難しいため、校正用の信号を出力する前に演算増幅器340のオフセットと積算単位電圧の校正が必要である。本可変基準電圧源100では、この校正を校正状態で実行する。校正においては、判定器32を用いて演算増幅器340の出力がVrefより小さい最大の積算回数を求める。このとき判定器32にもオフセット電圧がある可能性があるため、判定器32のオフセット電圧の計測も必要である。
校正状態においては、オフセット極性判定処理部210、オフセット計測処理部211、中間電位計測処理部212、積算単位計測処理部213の順に処理を実行して演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧を校正する。以降、各処理部が実行する処理を、例えばオフセット極性判定処理と称する。
オフセット極性判定処理では、制御部21から出力する動作制御信号により、SW3を接続状態にして、SW2のa2とb2を接続し、SW1のa1とc1を接続する。また、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続し、判定器32の正の入力に演算増幅器340の出力を接続して負の入力にVrefを接続する。
演算増幅器340を利得Aとすると、この状態で演算増幅器340の出力は{A/(A+1)}(Vref + Vofop)となる。判定器32のオフセット電圧をVofcとすると、正の入力電圧は等価的に{A/(A+1)}(Vref + Vofop) + Vofcとなる。このため負の入力電圧であるVrefと比較して{A/(A+1)}(Vref + Vofop) + Vofcが小さい場合には判定器32からは判定信号が出力されない。判定信号が出力されないことを制御部20で確認した場合では、制御部20から出力する動作制御信号により第2クロス・バースイッチ33のs21とs24およびs22とs23を接続する。
オフセット計測処理では、SW3の接続を開放にしてSW4のa4とc4を接続した後、C2への電荷の転送により積算を行う電荷転送ステップと、C1への電荷の蓄積と演算増幅器340の出力と基準電圧Vrefの判定器32での比較を行う電荷蓄積・比較ステップとを、演算増幅器340の出力と基準電圧Vrefが等しくなるまで繰返し実施して、演算増幅器340と判定器32のオフセット電圧の和に相当する積算回数を求める。
制御部20の動作制御信号により、オフセット計測処理の電荷転送ステップでは、SW1のa1とb1を接続した演算増幅器340の正の入力をグランドにした状態で、SW2のa2とc2を接続する。オフセット計測処理の電荷蓄積・比較ステップではC1に電荷を蓄積するためにSW2のa2とb2を接続した後、SW1のa1とc1を接続して演算増幅器340の正の入力を基準電圧Vrefにして判定器32の出力を確認する。この後、SW1のa1とb1を接続する。
初回の電荷転送ステップ前の演算増幅器340の出力をVop,0とするとC2、Cpに蓄積されている電荷Q2,0、Qp,0は式(4)、式(5)で表される。C1に蓄積されていている電荷は以下の式で表される。
また、電荷転送ステップ後の演算増幅器340の出力をVopa,1とすると、C1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1a,1、Q2a,1、Qpa,1は式(6)、式(7)、式(8)において、Vop,1、Q1,1、Q2a1、Qp,1をそれぞれVopa,1、Q1a,1、Q2a,1、Qpa,1に置き換えた式となる。
電荷転送ステップ前後で演算増幅器340の負の入力に接続されたC1、C2、Cpに蓄積された電荷は式(9)での説明と同様に保存される。式(10)の展開とは式(1)と式(19)が異なるため、Vopa,1とVop,0の関係式は以下のようになる。
電荷蓄積・比較ステップでSW1のa1とc1を接続した時の演算増幅器340の出力をVopb,1とすると、Vrefが演算増幅器340の基準となっているためC2、Cpに蓄積されている電荷Q2b,1、Qpb,1は以下の式で表される。
電荷蓄積・比較ステップ前後で演算増幅器340の負の入力に接続されたC2、Cp2の電荷は保存されるため以下の式が成立する。
式(24)に式(22)、式(23)と式(7)、式(8)のVop,1、Q2,1、Qp,1をVopa,1、Q2a,1、Qpa,1に置き換えた式を代入すると以下の式を得る。
次の2回目の電荷転送ステップ前にSW1のa1とb1を接続した時の演算増幅器340の出力をVop,kとすると、グランドが演算増幅器340の基準となっているためC2、Cpに蓄積されている電荷Q2,1、Qp,1は以下の式で表される。
SW1の接続を変える前後で演算増幅器340の負の入力に接続されたC2の電荷は保存されるため以下の式が成立する。
式(26)に式(20)、式(21)、式(24)、式(25)を代入すると以下の式を得る。
式(29)は式(10)の第1項の(Vref+Vofop)が(Vref+Vofop-V1)となる個所が異なるため、電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップをk回繰り返した時の演算増幅器340の出力Vop,kは以下の式で表される。
電荷蓄積・比較ステップでの演算増幅器340の出力Vopb,kは,式(25)、式(18)を用い以下の式となる。
判定器32においては、電荷蓄積・比較ステップで判定器の正の入力電圧のVopb,kに判定器32のオフセット電圧Vofcを加算した電圧Vopb,k + Vofcが負の入力電圧Vrefより大きくなった時に判定信号を出力し制御部20で検知される。
図3に判定器32の正の入力電圧のVopb,kに判定器のオフセット電圧Vofcを加算した電圧Vopb,k + Vofc、負の入力電圧Vrefと積算回数kの関係を示す。積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは増加しVrefに近づいていき、はじめて判定信号の出力を検知した回数をko+1とするとkoをオフセット積算回数と定義する。
オフセット積算回数koは以下の方程式が成立する。
式(32)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δkoは0以上1未満の実数であり、VGδkoがVrefと積算回数koのときの演算増幅器340の出力と判定器32のオフセット電圧との差を表す。
中間電位計測処理では、SW3の接続を一旦短絡した後で開放にしてC2に蓄積されている電荷をリセットし、SW4のa4とc4を接続した状態で電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップとを繰返し実施して、積算部34の基準をV1とした時とグランドにした時の判定信号が出力される積算回数を求める。
中間電位計測処理の電荷転送ステップはオフセット計測処理の電荷転送ステップと同じ動作のため詳細な説明を割愛するが、1回目の電荷転送ステップ後の演算増幅器340の出力電圧Vopa,1は式(21)と同じである。
中間電位計測処理の電荷蓄積・比較ステップではC1に電荷を蓄積するためにSW2のa2とb2を接続した後、SW1のa1とd1を接続して積算部34のバイアス電圧をV1として判定器32での比較を実行し、SW1のa1とb1を接続して積算部34のバイアス電圧をグランドとして判定器32での比較を実行する。積算部34のバイアス電圧をV1とした時の演算増幅器340の出力をVopb,1とすると、C2、Cpに蓄積されている電荷Q2b,1、Cpb,1は以下の式で表される。
演算増幅器340の負の入力に接続されたC2、Cpの電荷が保存される条件を使用して、以下のVopa,1とVopb,1の関係式が得られる。
積算部34のバイアス電圧をグランドとした時の演算増幅器340の出力をVop,1とすると、C2、Cpに蓄積されている電荷Q2,1、Qp,1は以下の式で表される。
演算増幅器340の負の入力に接続されたC2、Cpの電荷が保存される条件を使用して、以下のVopb,1とVop,1の関係式が得られる。
式(42)は式(29)と同じであるため、k回電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップとを繰返し実施した時の演算増幅器340の出力Vop,kは式(30)と同じになる。積算部34のバイアス電圧をV1とした時の演算増幅器340の出力Vopb,kは以下の式で表される。
積算部34のバイアス電圧をV1およびグランドにした時に、はじめて判定器32で判定信号が出力される積算回数をkc1+1およびkc2+1とし、kc1を中間電位積算回数1、kc2を中間電位積算回数2と定義する。
中間電位積算回数1と中間電位積算回数2には以下の方程式が成立する。
δkc1は0以上1未満の実数であり、VGδkc1がVrefと積算部34のバイアス電圧をV1にして積算回数kc1のときの演算増幅器340の出力および判定器32のオフセット電圧の和との差を表す。また、δkc2は0以上1未満の実数であり、VGδkc2がVrefと積算部34のバイアス電圧をグランドにして積算回数kc2のときの演算増幅器340の出力および判定器32のオフセット電圧の和との差を表す。
積算単位計測処理では、SW3の接続を一旦短絡した後で開放にしてC2に蓄積されている電荷をリセットし、電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップとを繰返し実施して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態で判定信号が出力される積算回数と、第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で判定信号が出力される積算回数とを求める。
積算単位計測処理の電荷転送ステップはオフセット計測処理の電荷転送ステップと同じ動作のため詳細な説明を割愛するが、1回目の電荷転送ステップ後の演算増幅器の出力電圧Vopa,1は式(10)のVop,1をVopa,1に置き換えた式となる。
積算単位計測処理の電荷蓄積・比較ステップではC1に電荷を蓄積するためにSW2のa2とb2を接続した後、SW1のa1とb1を接続させたままで判定器32での比較を実行する。この場合では、1回目の電荷蓄積・比較ステップでの演算増幅器340の出力をVopb,1とすると、C2、Cpに蓄積されている電荷Q2b,1、Cpb,1は以下の式で表される。
オフセット計測処理の場合の式(20)での説明と同様に演算増幅器340の負の入力に接続されたC2、Cpの電荷が保存される条件を使用して、以下のVopa,1とVopb,1の関係式が得られる。
オフセット計測処理ではSW1はa1とb1が接続されたままであるため次の2回目の電荷転送ステップ前の演算増幅器340の出力Vop,1はVopb,1に等しい。式(48)よりVop,1はVopa,1にも等しいため、Vop,1の漸化式は式(10)と同じとなる。このため、Vop,kは式(18)で表され、オフセット計測処理での比較時の演算増幅器340の出力Vopb,kは以下の式で表される。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では、判定器32の正の入力には演算増幅器340の出力が接続され、負の入力にはVrefが接続される。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態での判定器32の正の入力電圧のVopb,kに判定器32のオフセット電圧Vofcを加算した電圧Vopb,k + Vofc、負の入力電圧Vrefと積算回数kの関係を図4に示す。積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは増加しVrefに近づいていき、はじめて判定信号の検知した回数をki+1とするとkiを第1の積算回数と定義する。第1の積算回数ki1は以下の方程式が成立する。
式(50)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δki1は0以上1未満の実数であり、VGδki1がVrefと積算回数ki1のときの演算増幅器340の出力と判定器のオフセット電圧との差を表す。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態では、判定器32の正の入力にはVrefが接続され、負の入力には演算増幅器340の出力が接続される。この場合の積算回数が少ない時では判定器32から判定信号が出力されており、判定器32の負の入力の演算増幅器340の出力が等価的な判定器32の正の入力のVref+Vofcより大きくなったら判定信号の出力が停止される。電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップを繰返して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で、はじめて判定信号を検知しなくなった回数をki2+1とするとki2を第2の積算回数と定義する。第2の積算回数ki2は以下の方程式が成立する。
式(51)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δki2は0以上1未満の実数である。
式展開を簡単にするため、Ko=ko+δko、Kc1=kc1+δkc1、Kc2=kc2+δkc2、Ki1=ki1+δki1、Ki2=ki2+δki2とする。式(45)と式(50)の差をとると以下の式を得る。
式(32)と式(50)の差をとると以下の式を得る。
式(34)と式(33)の比をとり式(53)を代入すると以下の式を得る。
式(44)と式(50)の差をとり式(52)、式(54)、式(55)を代入すると以下の式を得る。
式(50)と式(51)の差をとり、式(56)を代入すると以下の式を得る。
通常Vref>Vofopbであるため式(57)の右辺は正である。
式(56)と式(57)においてko、kc1、kc2、ki1、ki2はオフセット計測処理、中間電位計測処理、積算単位計測処理で得られる値であるが、δko、δkc1、δkc2、δki1、δki2は式(32)、式(44)、式(45)、式(50)、式(51)の方程式を成立させるために定義した0以上1未満の未知のパラメータである。以下で未知のパラメータδko、δkc1、δkc2、δki1、δki2を除去したVGとVofopbの校正値の決定法について説明する。
式(56)においてδko、δkc1、δki1について偏微分すると以下の式を得る。
上式では以下の条件から不等号を導出した。
(1)積算単位電圧がVG2での積算回数がKc2で、積算単位電圧がVGでの積算回数がKi1であり、VG>VG2であるためKc2>Ki1
(2)積算の範囲Vref-(Vofopb+Vofc)での積算回数がKc2で、積算の範囲が-(Vofopb+Vofc)での積算回数がKoであるためKc2>Ko
(3)積算の範囲Vref-V1-(Vofopb+Vofc)での積算回数がKc1であるため、Kc2>Kc1
Vofopbはδko、δki1に対しては単調増加であり、δkc1に対しては単調減少である。
式(56)においてδkc2について偏微分すると以下の式を得る。
式(61)が負である場合には、Vofopbはδkc2に対して単調減少であるため、Vofopbの範囲は以下の式で表される。
Vofopbの校正値を式(62)の範囲の中央値である式(63)で表されるVofopcに設定すれば式(64)で表されるΔVofopb未満の精度でVofopbの校正値を導出できる。
式(61)が正である場合には、Vofopbはδkc2に対して単調増加であるため、Vofopbの範囲は以下の式で表される。
Vofopbの校正値を式(65)の範囲の中央値である式(66)で表されるVofopcに設定すれば式(67)で表されるΔVofopb未満の精度でVofopbの校正値を導出できる。
式(64)において分子は積算回数の3乗に比例し分母は積算回数の4乗に比例するため、積算回数が大きいほうがΔVofopbは小さくなり高精度になる。また、式(67)において分子は積算回数の1乗に比例し分母は積算回数の2乗に比例するため、積算回数が大きいほうがΔVofopbは小さくなり高精度になる。従ってVofopbの校正値を高精度に導出するためには積算回数を大きくする、すなわち積算単位電圧を小さくすればよい。
上記のように決定すれば、Vofopbの校正値が所定の精度をもって既知のVrefと測定で得られるオフセット積算回数、中間電位積算回数1、中間電位積算回数2、第1の積算回数、第2の積算回数で表される。
式(57)において、δko、δkc1、δki1、δki2について偏微分すると以下の式を得る。
式(70)と式(71)においては式(57)の右辺が正であることを使用して不等号を導出した。
VGはδkc1に対しては単調増加であり、δko、δki1、δki2に対しては単調減少である。
式(57)をδkc2について偏微分すると、式(61)と同様の展開により以下の式を得る。
式(61)が負である場合と対応をとると、式(72)の右辺は正となるためVGはδkc2に対して単調増加となり、VGの範囲は以下の式で表される。
VGの校正値を式(73)の範囲の中央値である式(74)で表されるVGcに設定すれば式(75)で表されるΔVG未満の精度でVGの校正値を導出できる。
式(61)が正である場合と対応をとると、式(72)の右辺は負となるためVGはδkc2に対して単調減少となり、VGの範囲は以下の式で表される。
VGの校正値を式(76)の範囲の中央値である式(77)で表されるVGcに設定すれば式(78)で表されるΔVG未満の精度でVGの校正値を導出できる。
式(75)において分子は積算回数の4乗に比例し分母は積算回数の6乗に比例するため、積算回数が大きいほうがΔVGは小さくなり高精度になる。また、式(78)において分子は積算回数の2乗に比例し分母は積算回数の4乗に比例するため、積算回数が大きいほうがΔVGは小さくなり高精度になる。従ってVGの校正値を高精度に導出するためには積算回数を大きくする、すなわち積算単位電圧を小さくすればよい。
以上により、本実施形態では、校正状態において、センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧の校正値を所定の精度で導出できる。
以上の処理を完了したら、制御部20は演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧の校正値を校正データとして外部に出力する。
センサ回路を校正する時では、校正用可変信号源を出力状態にして、積算回数kを含む設定データにより設定された電圧を出力する。出力状態では、設定データを制御部20で取得後に、SW3を閉じることによりC2に蓄積された電荷を初期化する。次に、SW3を開放にして、電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップを積算回数k回繰り返し実行する。積算回数分の電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップが完了したら、制御部20は完了を表す校正データを出力する。
このとき可変基準電圧源100から出力される電圧は、校正状態で導出した積算単位電圧VGとVofopbの校正値を用いて式(18)、式(33)、式(35)から導出できるため、既知の電圧と扱える。したがって、可変基準電圧源100から出力される既知の電圧をセンサ回路の増幅器やADコンバータに入力し、その出力との相関関係から、増幅器のオフセットや利得、ADコンバータのオフセットの校正が可能である。
センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、本実施形態の可変基準電圧源100の校正状態によりオフセットと積算単位電圧の校正値を所定の精度で求めることができるため、経時変化によりオフセットや積算単位電圧が変化してもセンサ回路の校正が可能となる。
上述の説明では、オフセット極性判定処理において判定器32の負の入力電圧であるVrefと比較してVref + Vofop + Vofcが小さい場合で説明したが、Vrefと比較してVref + Vofop + Vofcが大きい場合では判定器32からは判定信号が出力される。判定信号が出力されたことを制御部20で確認した場合では、制御部20から出力する動作制御信号により第2クロス・バースイッチ33のs21とs23およびs22とs24を接続する。
第2クロス・バースイッチ33のs21とs23およびs22とs24を接続した状態でオフセット計測処理を実施すると、電荷蓄積・比較ステップでC1に蓄積される電荷Q1,0は以下の式で表される。
このため、Vopa,1とVop,0の関係式は以下のようになる。
Vopb,1、Vop,1、Vopa,1の関係式は変わらないため、Vop,1とVop,0の関係式は以下のようになる。
式(81)は式(10)の第1項の(Vref+Vofop)が(-Vref+Vofop+V1)となる個所が異なるため、電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップをk回繰り返した時の演算増幅器340の出力Vop,kは以下の式で表される。
電荷蓄積・比較ステップでの演算増幅器340の出力Vopb,kは以下の式となる。
判定器32においては、電荷蓄積・比較ステップで判定器32の正の入力電圧のVopb,kに判定器32のオフセット電圧Vofcを加算した電圧Vopb,k + Vofcが負の入力電圧Vrefより大きくなった時に判定信号を出力し制御部20で検知される。
図5に判定器32の正の入力電圧のVopb,kに判定器32のオフセット電圧Vofcを加算した電圧Vopb,k + Vofc、負の入力電圧Vrefと積算回数kの関係を示す。積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは減少しVrefに近づいていき、はじめて判定信号の停止を検知した回数をko+1とするとkoをオフセット積算回数と定義する。
オフセット積算回数koは以下の方程式が成立する。
中間電位計測処理、積算単位計測処理は、前述の第2クロス・バースイッチ33のs21とs24およびs22とs23を接続した場合と同じなため説明を割愛する。
式(84)と式(50)の差をとると以下の式を得る。
式(85)と式(33)の比をとることにより以下の式を得る。
式(44)と式(50)の差をとり式(52)、式(86)、式(55)、式(87)を代入すると以下の式を得る。
式(50)と式(51)の差をとるとことで得られる以下の式に式(88)を代入すれば、校正状態で得られるKo、Kc1、Kc2、Ki1、Ki2で表記されるVGが得られる。
式(88)をδko、δkc1、δki1について偏微分すると以下の式を得る。
なお、式(92)を得る際には以下の式を使用した。
式(90)、式(91)、式(92)より、Vofopbはδki1に対しては単調増加であり、δkc1およびδkoに対しては単調減少である。
式(89)をδkc2について偏微分すると以下の式を得る。
式(93)が正の場合では、Vofopbはδkc2に対して単調増加であるため、Vofopbの範囲は以下の式で表される。
Vofopbの校正値を式(94)の範囲の中央値である式(95)で表されるVofopcに設定すれば式(96)で表されるΔVofopb未満の精度でVofopbの校正値を導出できる。
式(93)が負の場合では、Vofopbはδkc2に対して単調減少であるため、Vofopbの範囲は以下の式で表される。
Vofopbの校正値を式(97)の範囲の中央値である式(98)で表されるVofopcに設定すれば式(99)で表されるΔVofopb未満の精度でVofopbの校正値を導出できる。
式(89)をδko、δkc1、δki1、δki2について偏微分すると以下の式を得る。
式(102)右辺第1項はVref>Vofopbのため負となり、右辺第2項に関しては式(92)からVofopbのδki1に対する偏微分が負となるため右辺第2項も負となる。従って式(102)の不等号が成立する。式(103)に関しては、Vref>Vofopbのため負となる
式(89)をδkc2について偏微分すると、以下の式を得る。
式(93)が正の場合に対応した式(104)が負の時には、VGはδkc2に対して単調減少であるため、VGの範囲は以下の式で表される。
VGの校正値を式(105)の範囲の中央値である式(106)で表されるVGcに設定すれば式(107)で表されるΔVG未満の精度でVGの校正値を導出できる。
式(93)が負の場合に対応した式(104)が正の時には、VGはδkc2に対して単調増加であるため、VGの範囲は以下の式で表される。
VGの校正値を式(108)の範囲の中央値である式(109)で表されるVGcに設定すれば式(110)で表されるΔVG未満の精度でVGの校正値を導出できる。
以上のように、オフセット極性判定処理において判定器32の負の入力電圧であるVrefと比較して正の入力のVref + Vofop + Vofcが大きい場合であっても、演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧の校正値を所定の精度で導出できる。
センサ回路を校正する時の動作は、オフセット極性判定処理において判定器32の負の入力電圧であるVrefと比較して正の入力のVref + Vofop + Vofcが小さい場合と同じであるため説明を割愛する。上述の動作により本実施形態の可変基準電圧源100から出力される既知の電圧をセンサ回路の増幅器やADコンバータに入力し、その出力との相関関係から、増幅器のオフセットや利得、ADコンバータのオフセットの校正が可能である。
センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、本実施形態の可変基準電圧源100の校正状態によりオフセットと積算単位電圧の校正値を所定の精度で求めることができるため、経時変化によりオフセットや積算単位電圧が変化してもセンサ回路の校正が可能となる。
〔第1実施形態の第2の構成〕
図6に第1実施形態の積算電圧生成部の第2の構成例を示す。本構成例の積算電圧生成部50では、積算部54と、正と負の入力を有し校正状態時に正の入力電圧が負の入力電圧を越えたことを判定して判定信号を出力する判定器32と、判定器32のオフセット電圧の測定に使用する第1クロス・バースイッチ31とで構成される。
SW5、SW2、SW3、SW4、第1クロス・バースイッチ31は制御部40から出力される動作制御信号のCHG1、CHG2、RST、PRE、POL1により接続を制御される。
校正状態においては、オフセットキャンセル積算単位計測処理、積算単位計測処理の順に処理を実行して演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧を校正する。オフセットキャンセル積算単位計測処理は、校正制御部41のオフセットキャンセル積算単位計測処理部410が実行する。また、積算単位計測処理は、同積算単位計測処理部213が実行する。
オフセットキャンセル積算単位計測処理は、初期・比較ステップと電荷蓄積ステップと電荷転送ステップとで構成される。
オフセットキャンセル積算単位計測処理のはじめにSW3を接続してC2の電荷をゼロに初期化し、初期・比較ステップのSW2~SW5の接続であるSW5のa1とb1の接続、SW2のa2とb2の接続、SW4のa4とb4の接続、SW3の切断を実施する。オフセットキャンセル積算単位計測処理のはじめの初期化以降SW3は切断を維持する。演算増幅器340の負の入力には図2に示すように寄生容量Cpが存在し、演算増幅器340の出力をVop,0とするとC2、Cpに蓄積されている電荷Q2,0、Qp,0は式(4)、式(5)で表される。
次に、電荷蓄積ステップでは、SW4のa4とc4を接続した後、SW2のa2とc2を接続する。SW4のa4とc4を接続することによりC2に蓄積された電荷は保存され、演算増幅器340はユニティゲインバッファとして動作する。この時の演算増幅器340の出力Vopa,1は以下の式で表される。
また、C1には基準電圧VrefとVopa,1の差の電圧が印加される。このステップでのC1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1a,1、Q2a,1、Qpa,1は以下の式で表される。
電荷転送ステップでは、SW4のa4とb4を接続した後、SW5のa1とc1を接続する。このステップでのC1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1b,1、Q2b,1、Qpb,1は以下の式で表される。
電荷転送ステップの前後で演算増幅器340の負の入力に接続された容量に蓄積された電荷は保存される。このため、Vopb,1とVop,0の関係式は以下のようになる。
再度、初期・比較ステップに遷移した時では、C2、Cpに蓄積されている電荷Q2,1、Qp,1は式(4)、式(5)においてVop,0、Q2,0、Qp,0をそれぞれVop,1、Q2,1、Qp,1に置き換えた式で表される。初期・比較ステップへの遷移前後で演算増幅器の負の入力に接続された容量に蓄積された電荷は保存される。このため、Vop,1とVopb,1の関係式は以下のようになる。
したがって、Vop,1とVop,0の関係式は以下の式となる。
式(18)の導出と同様に、式(11)の形式でVop,1とVop,0の関係式を表すとB1、η、-ηB0は以下の式で表される。
Vop,0は式(17)と同じである。式(18)の導出と同様にη<<1として、初期・比較ステップと電荷蓄積ステップと電荷転送ステップをk回繰り返した時の演算増幅器340の出力Vop,kは、式(16)に式(17)、式(122)、式(123)を代入して以下の式で表される。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では、判定器32の正の入力には演算増幅器340の出力が接続され、負の入力にはVrefが接続される。図4での説明と同様に、積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは増加しVrefに近づいていき、はじめて判定信号の検知した回数をkr1+1とするとkr1を第1のオフセットキャンセル積算回数と定義する。第1のオフセットキャンセル積算回数kr1は以下の方程式が成立する。
式(125)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δkr1は0以上1未満の実数であり、VGrδkr1がVrefと第1のオフセットキャンセル積算回数kr1のときの演算増幅器340の出力と判定器のオフセット電圧との差を表す。また、式(125)でのVofopbは式(35)と同じである。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態では、判定器32の正の入力にはVrefが接続され、負の入力には演算増幅器340の出力が接続される。電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップを繰返して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で、はじめて判定信号の検知した回数をkr2+1とするとkr2を第2のオフセットキャンセル積算回数と定義する。第2のオフセットキャンセル積算回数kr2は以下の方程式が成立する。
式(127)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δkr2は0以上1未満の実数である。
積算単位計測処理では、はじめにSW4のa4とb4を接続するとともに、SW3を接続してC2に蓄積された電荷をリセットする。これ以降、SW4はa4とb4の接続を維持する。この後、電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップとを繰返し実施して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態で判定信号が出力される積算回数を求める。
積算単位計測処理の電荷蓄積・比較ステップでは、SW5のa1とb1、SW2のa2とb2を接続し、電荷転送ステップではSW5のa1とc1、SW2のa2とc2を接続する。積算単位計測処理における動作は、第1実施形態での積算単位計測処理と同じであり、電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップの繰り返し回数kと演算増幅器340の出力Vop,kの関係は式(49)と同じとなる。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では、判定器32の正の入力には演算増幅器340の出力が接続され、負の入力にはVrefが接続される。
図4での説明と同じで積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは増加しVrefに近づいていき、はじめて判定信号の検知した回数をki+1とするとkiを第1の積算回数と定義する。第1の積算回数ki1は式(50)が成立する。
式(33)と式(126)より以下の式が成立する。
式展開を簡単にするため、Kr1=kr1+δkr1、Kr2=kr2+δkr2、Ki1=ki1+δki1とする。式(125)と式(50)の差をとり式(128)を代入するとVofopbについて以下の式を得る。
式(127)と式(128)の差をとるとVGrについて以下の式を得る。
VofopbとVGrの校正値は、第1実施形態と同様にVofopbとVGrの範囲の中央値により決定する。
式(129)をδkr1、δki1について偏微分すると以下の式を得る。
式(131)と式(132)よりVofopbはδkr1に対しては単調増加であり、δki1に対しては単調減少である。このためVofopbの範囲は以下の式で表される。
Vofopbの校正値を式(133)の範囲の中央値である式(134)で表されるVofopcに設定すれば式(135)で表されるΔVofopb未満の精度でVofopbの校正値を導出できる。
式(130)をδkr1、δkr2、δki1について偏微分すると以下の式を得る。
式(136)の不等号についてはVref>Vofopb、と∂Vofopb/∂(δkr1)>0を使用した。式(137)の不等号についてはVref>Vofopbを使用した。式(138)の不等号については∂Vofopb/∂(δki1)<0を使用した。式(136)、式(137)、式(138)より、δkr1、δkr2についてはVGrは単調減少であり、δki1については単調増加である。このためVGrの範囲は以下の式で表される。
VGrの校正値を式(139)の範囲の中央値である式(140)で表されるVGrcに設定すれば式(141)で表されるΔVGr未満の精度でVGrの校正値を導出できる。
以上のように、第2実施形態の構成例でも演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧の校正値を所定の精度で導出できる。
センサ回路を校正する時の動作は、本実施形態の可変基準電圧源200を出力状態にして、積算回数kを含む設定データにより設定された電圧を出力する。出力状態では、設定データを制御部40で取得後に、SW3を閉じることによりC2に蓄積された電荷を初期化する。次に、SW3を開放にして、オフセットキャンセル積算回数計測処理での初期・比較ステップ、電荷蓄積ステップ、電荷転送ステップを順次積算回数k回繰り返し実行する。積算回数分の電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップが完了したら、制御部40は完了を表す校正データを出力する。
このとき可変基準電圧源200から出力される電圧は、校正状態で導出した積算単位電圧VGrとVofopbの校正値を用いて式(124)から導出できるため、既知の電圧と扱える。したがって、校正用可変信号源から出力される既知の電圧をセンサ回路の増幅器やADコンバータに入力し、その出力との相関関係から、増幅器のオフセットや利得、ADコンバータのオフセットの校正が可能である。
センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、本実施形態の可変基準電圧源200の校正状態によりオフセットと積算単位電圧の校正値を所定の精度で求めることができるため、経時変化によりオフセットや積算単位電圧が変化してもセンサ回路の校正が可能となる。
〔第1実施形態の第3の構成例〕
図7に第1実施形態の積算電圧生成部の第3の構成例を示す。本実施形態の積算電圧生成部70では、積算部74と、正と負の入力を有し校正状態時に正の入力電圧が負の入力電圧を越えたことを判定して判定信号を出力する判定器32と、判定器32のオフセット電圧の測定に使用する第1クロス・バースイッチ31と、積算部74のバイアス電圧Vbおよび中間電位V1を生成する電圧生成回路75と、校正状態時に第1クロス・バースイッチ31を経由して判定器32に与える基準となる電圧を切替える判定電圧切替部76とで構成される。
SW2、SW3、SW4、SW6、第1クロス・バースイッチ31、判定電圧切替部76は制御部60から出力される動作制御信号のCHG1、CHG2、RST、PRE、POL1、THDにより接続を制御される。
本構成例は積算部74をVbでバイアスし積算単位電圧をV1により小さく設定できることが図6の構成例とは異なる。
校正状態においては、オフセットキャンセル積算単位計測処理、積算単位計測処理の順に処理を実行してバイアス電圧、演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧を校正する。
図7の積算電圧生成部70の構成例では、オフセットキャンセル積算単位計測処理において、判定電圧切替部76のst1とst3を接続してV1を判定器32に入力した場合で第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態とs11とs14およびs12とs13を接続した状態と、判定電圧切替部76のst1とst3を接続してVrefを判定器32に入力した場合で第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態とs11とs14およびs12とs13を接続した状態とで判定信号が切替わる積算回数を測定する。
オフセットキャンセル積算単位計測処理における積算の動作は、初期・比較ステップと電荷蓄積ステップと電荷転送ステップとで構成される。
オフセットキャンセル積算単位計測処理のはじめにSW3を接続してC2の電荷をゼロに初期化し、初期・比較ステップのSW2、SW3、SW4、SW6の接続であるSW6のa1とb1の接続、SW2のa2とb2の接続、SW4のa4とb4の接続、SW3の切断を実施する。オフセットキャンセル積算単位計測処理のはじめの初期化以降SW3は切断を維持する。演算増幅器340の出力をVop,0とするとC2に蓄積されている電荷Q2,0は式(4)でのVofopをVofop+Vbにした以下の式で表される。
電荷蓄積ステップでは、SW4のa4とc4を接続した後、SW2のa2とc2を接続する。SW4のa4とc4を接続することによりC2に蓄積された電荷は保存され、演算増幅器340はユニティゲインバッファとして動作する。この時の演算増幅器340の出力Vopa,1は以下の式で表される。
C1には基準電圧VrefとVopa,1の差の電圧が印加される。このステップでのC1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1a,1、Q2a,1、Qpa,1は以下の式で表される。
電荷転送ステップでは、SW4のa4とb4を接続した後、SW6のa1とc1を接続する。SW6のc1がV1に接続されているため、このステップでのC1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1b,1、Q2b,1、Qpb,1は以下の式で表される。
電荷転送ステップの前後で演算増幅器340の負の入力に接続された容量に蓄積された電荷は保存される。このため、Vopb,1とVop,0の関係式は以下のようになる。
再度、初期・比較ステップに遷移した時の演算増幅器340の出力Vop,1は、図6の第2の構成例と同様にVopb,1と同じとなる。このため、Vop,1とVop,0の関係式は以下の式となる。
式(18)の導出と同様に、式(11)の形式でVop,1とVop,0の関係式を表すとB1、η、-ηB0は以下の式で表される。
Vop,0は式(17)でのVofopをVofop+Vbにした以下の式で表される。
式(18)の導出と同様にη<<1として、初期・比較ステップと電荷蓄積ステップと電荷転送ステップをk回繰り返した時の演算増幅器340の出力Vop,kは、式(16)に式(155)、式(153)、式(154)を代入して以下の式で表される。
上述では演算増幅器340の出力Vop,kの導出のため初期・比較状態の説明を簡略化したが、実際の初期・比較状態では、SW6のa1とb1の接続、SW2のa2とb2の接続、SW4のa4とb4の接続を実施後、V1と演算増幅器340の出力の比較のために、判定電圧切替部76のst1とst3を接続し、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続して、判定器32の正の入力に演算増幅器340の出力を、判定器32の負の入力にV1を入力する。この後、判定電圧切替部76は接続を維持して第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続し判定器32の正の入力にV1を、判定器32の負の入力に演算増幅器340の出力を入力する。上述の中間電位V1と演算増幅器340の出力の比較で第1クロス・バースイッチ31の全ての接続で演算増幅器340の出力が大きくなった後は、Vrefと演算増幅器340の出力の比較のために、判定電圧切替部76のst1とst2を接続し、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続して、判定器32の正の入力に演算増幅器340の出力を、判定器32の負の入力にVrefを入力する。この後、判定電圧切替部76は接続を維持して第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続し判定器32の正の入力にVrefを、判定器32の負の入力に演算増幅器340の出力を入力する。
判定電圧切替部76のst1とst3を接続して第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では、判定器32の正の入力には演算増幅器340の出力が接続され、負の入力にはV1が接続される。積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは増加しV1に近づいていき、はじめて判定信号の検知した回数をkc+1とするとkcを第1の中間電位積算回数と定義する。第1の中間電位積算回数kc1は以下の方程式が成立する。
式(159)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δkc1は0以上1未満の実数であり、VGpδkc1がV1と積算回数kc1のときの演算増幅器340の出力と判定器のオフセット電圧との差を表す。
判定電圧切替部76のst1とst3を接続して第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態では、判定器32の正の入力にはV1が接続され、負の入力には演算増幅器340の出力が接続される。電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップを繰返して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で、はじめて判定信号の検知した回数をkc2+1とするとkc2を第2の中間電位積算回数と定義する。第2の中間電位積算回数kc2は以下の方程式が成立する。
式(160)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δkc2は0以上1未満の実数である。
判定電圧切替部76のst1とst2を接続して第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では、判定器32の正の入力には演算増幅器340の出力が接続され、負の入力にはVrefが接続される。積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは増加しVrefに近づいていき、はじめて判定信号の検知した回数をkr+1とするとkrを第1のオフセットキャンセル積算回数と定義する。第1のオフセットキャンセル積算回数kr1は以下の方程式が成立する。
式(161)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δkr1は0以上1未満の実数であり、VGpδkr1がVrefと積算回数kr1のときの演算増幅器340の出力と判定器のオフセット電圧との差を表す。
判定電圧切替部76のst1とst2を接続して第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態では、判定器32の正の入力にはVrefが接続され、負の入力には演算増幅器340の出力が接続される。電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップを繰返して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で、はじめて判定信号の検知した回数をkr2+1とするとkr2を第2のオフセットキャンセル積算回数と定義する。第2のオフセットキャンセル積算回数kr2は以下の方程式が成立する。
式(162)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器32のオフセット電圧を加算した電圧である。δkr2は0以上1未満の実数である。
積算単位計測処理では、はじめにSW4のa4とb4を接続するとともに、SW3を接続してC2に蓄積された電荷をリセットする。これ以降、SW4はa4とb4の接続を維持する。この後、電荷転送ステップと電荷蓄積・比較ステップとを繰返し実施して、クロス・バースイッチ1のs11とs13およびs12とs14を接続した状態で判定信号が出力される積算回数を求める。
積算単位計測処理の電荷蓄積・比較ステップでは、SW6のa1とb1、SW2のa2とb2を接続し、電荷転送ステップではSW6のa1とc1、SW2のa2とc2を接続する。積算単位計測処理におけるスイッチの動作は、図6の実施形態での積算単位計測処理と同じであるが、演算増幅器340の正の入力がVbに接続されていることとSW6のc1がV1と接続されているところが図6の実施形態とは異なる。
はじめの電荷蓄積・比較ステップでの演算増幅器340の出力をVop,0とすると、C1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1,0、Q2,0、Qp,0は以下の式で表される。
電荷転送ステップでの演算増幅器340の出力をVopa,1とするとC1、C2、Cpに蓄積されている電荷Q1a,1、Q2a,1、Qpa,1は以下の式で表される。
電荷転送ステップの前後で演算増幅器340の負の入力に接続されている容量に蓄積されている電荷には電荷保存則が成立するため、Vopa,1とVop,0には以下の関係式が成立する。
再度、電荷蓄積・比較ステップになった時の演算増幅器340の出力をVop,1とすると、C2、Cpに蓄積されている電荷Q2,1、Qp,1は式(164)、式(165)のQ2,0、Qp,0、Vop,0をQ2,1、Qp,1、Vop,1とした式となる。電荷蓄積・比較ステップの前後で電荷保存則が成立するため、Vop,1とVopa,1の関係式は以下の式で表される。
したがって、Vop,1とVop,0の関係式は以下の式で表される。
式(18)の導出と同様に、式(11)の形式でVop,1とVop,0の関係式を表すとB1、η、-ηB0は以下の式で表される。
Vop,0は式(155)と同じとなる。式(18)の導出と同様にη<<1として、初期・比較ステップと電荷蓄積ステップと電荷転送ステップをk回繰り返した時の演算増幅器340の出力Vop,kは、式(16)に式(155)、式(172)、式(173)を代入して以下の式で表される。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では、判定器32の正の入力には演算増幅器340の出力が接続され、負の入力にはVrefが接続される。積算回数が増加するとともにVopb,k + Vofcは増加しVrefに近づいていき、はじめて判定信号の検知した回数をki+1とするとkiを第1の積算回数と定義する。第1の積算回数ki1は以下の方程式が成立する。
式展開を簡単にするため、Kc1=kc1+δkc1、Kc2=kc2+δkc2、Kr1=kr1+δkr1、Kr2=kr2+δkr2、Ki1=ki1+δki1、Ki2=ki2+δki2とする。式(176)と式(161)の差をとり式(157)と式(175)を代入すると以下の式を得る。
式(159)と式(160)の差をとると以下の式を得る。
式(161)と式(162)の差をとると以下の式を得る。
式(179)と式(178)の差をとると以下の式を得る。
式(179) に式(177)と式(180)を代入するとVGpの式を得る。
式(177)に式(180)と式(181)を代入するとVofbの式を得る。
VofbとVGpの校正値は、第1実施形態や積算・判定・信号出力部の第2の構成例と同様にVofbとVGpの範囲の中央値により決定する。
式(181)をδkr1、δkr2、δki1について偏微分すると以下の式を得る。
ここで式(183)、式(184)、式(185)の不等号の導出では以下の条件を使用した。
「Kr1、Kr2とKc1、Kc2の計測では積算単位電圧がVGpで同じであり、Kr1、Kr2の計測のしきい値VrefはKc1、Kc2の計測のしきい値V1よりも大きいためKr1+Kr2 > Kc1+Kc2となる。」
式(183)、式(184)、式(185)よりVGpはδkr1、δkr2に対しては単調減少でありδki1に対しては単調増加である。
式(181)をδkc1、δkc2について偏微分すると以下の式を得る。
式(182)をδkr1、δki1について偏微分すると以下の式を得る。
式(187)、式(188)より、Vofbはδkr1に対しては単調増加であり、δki1に対しては単調減少である。
式(182)をδkr2、δkc1、δkc2について偏微分すると以下の式を得る。
Vofb>0の時では式(177)よりKr1>Ki1であるため、式(186)は負となり、VGpはδkc1、δkc2に対して単調減少となり、式(189)は正となるためVofbはδkr2に対して単調増加、式(190)は負となるためVofbはδkc1、δkc2に対して単調減少となる。
このため、VGpとVofbの範囲は以下のようになる。
VGpcの校正値を式(191)の範囲の中央値である式(193)で表されるVGpcにすれば式(194)で表されるΔVGpの精度でVGpの校正値を導出でき、Vofbの校正値を式(192)の中央値である式(195)で表されるVofbcに設定すれば式(196)で表されるΔVofbの精度でVofbの校正値を導出できる。
Vofb<0の時では式(177)よりKr1<Ki1であるため、式(186)は正となり、VGpはδkc1、δkc2に対して単調増加となり、式(189)は負となるためVofbはδkr2に対して単調減少、式(190)は正となるためVofbはδkc1、δkc2に対して単調増加となる。
このため、VGpとVofbの範囲は以下のようになる。
VGpcの校正値を式(197)の範囲の中央値である式(199)で表されるVGpcにすれば式(200)で表されるΔVGpの精度でVGpの校正値を導出でき、Vofbの校正値を式(198)の中央値である式(201)で表されるVofbcに設定すれば式(202)で表されるΔVofbの精度でVofbの校正値を導出できる。
VGpとVofbの導出ではkr1>ki1の場合に式(193)と式(195)を使用し、kr1<ki1の場合に式(199)と式(201)を使用する。
以上により、本実施形態では、校正状態において、センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧の校正値を所定の精度で導出できる。
以上の処理を完了したら、制御部60は演算増幅器340のオフセット電圧と積算単位電圧の校正値を校正データとして出力する。
センサ回路を校正する時の動作は、本実施形態の可変基準電圧源300を出力状態にして、積算回数kを含む設定データにより設定された電圧を出力する。Vofbより大きい電圧を出力する場合では、出力制御部62の正のオフセットキャンセル積算処理部621により、オフセットキャンセル積算回数計測処理と同じ処理で初期・比較ステップ、電荷蓄積ステップ、電荷転送ステップを繰返し実行する。このとき可変基準電圧源300から出力される電圧は、校正状態で導出した積算単位電圧VGpとVofbの校正値を用いて式(156)から導出できるため、既知の電圧と扱える。したがって、可変基準電圧源300から出力される既知の電圧をセンサ回路の増幅器やADコンバータに入力し、その出力との相関関係から、増幅器のオフセットや利得、ADコンバータのオフセットの校正が可能である。
Vofbより小さい電圧を出力する場合では、出力制御部62の負のオフセットキャンセル積算処理部620により負のオフセットキャンセル積算処理を実行する。負のオフセットキャンセル積算処理は初期・比較ステップ、電荷蓄積ステップ、電荷転送ステップで構成される。はじめにSW3を接続してC2の電荷をゼロに初期化し、初期・比較ステップのSW2、SW3、SW4、SW6の接続であるSW6のa1とc1の接続、SW2のa2とb2の接続、SW4のa4とb4の接続、SW3の切断を実施する。はじめの初期化以降SW3は切断を維持する。演算増幅器340の出力をVop,0とするとC2に蓄積されている電荷Q2,0は式(142)と同じとなる。
電荷蓄積ステップでは、SW4のa4とc4を接続した後、SW2のa2とc2を接続する。SW4のa4とc4を接続することによりC2に蓄積された電荷は保存され、演算増幅器340はユニティゲインバッファとして動作する。この時の演算増幅器340の出力Vopa,1は式(143)と同じとなる。C1には電圧V1とVopa,1の差の電圧が印加される。このステップでのC1に蓄積されている電荷Q1a,1は以下の式で表される。
C2とCpに蓄積されている電荷Q2a,1、Qpa,1は式(145)、式(146)となる。
電荷転送ステップでは、SW4のa4とb4を接続した後、SW6のa1とb1を接続する。SW6のb1がVrefに接続されているため、このステップでのC1に蓄積されている電荷Q1b,1は以下の式で表される。
C2とCpに蓄積されている電荷Q2b,1、Qpb,1は式(148)、式(149)となる。
電荷転送ステップの前後で演算増幅器340の負の入力に接続された容量に蓄積された電荷は保存される。このため、Vopb,1とVop,0の関係式は以下のようになる。
再度、初期・比較ステップに遷移した時の演算増幅器340の出力Vop,1は、図6の第1実施形態の第2の構成例と同様にVopb,1と同じとなる。このため、Vop,1とVop,0の関係式は以下の式となる。
式(206)を式(151)と比較すると、右辺第1項のV1とVrefの符号が異なるだけのため、初期・比較ステップと電荷蓄積ステップと電荷転送ステップをk回繰り返した時の演算増幅器340の出力Vop,kは、以下の式で表される。
式(207)でのVGpとVofbの校正値は校正状態で導出されているため、負のオフセットキャンセル積算処理においても積算回数k回繰返した後の演算増幅器340の出力電圧は既知の電圧と扱える。したがって、校正用可変信号源から出力される既知の電圧をセンサ回路の増幅器やADコンバータに入力し、その出力との相関関係から、増幅器のオフセットや利得、ADコンバータのオフセットの校正が可能である。
〔第2実施形態〕
図8に本発明の第2実施形態に係る可変基準電圧源の構成例を示す。図8に示す可変基準電圧源400は、基準電圧Vrefを出力する基準電圧部10と、センサノードからの命令・応答データに基づいて校正状態と出力状態に状態を変化させ校正状態ではオフセットと積算単位電圧とバッファゲインの校正の処理を実行してオフセットと積算単位電圧とバッファゲインの校正値を取得し、出力状態では校正に使用する電圧を設定して出力させる処理を実行する制御部80と、制御部80からの動作制御信号に基づいて校正状態ではオフセットおよび積算単位電圧を求めるために容量Coに蓄積された電荷に基づく電圧が基準電圧Vrefと等しくなるまで積算動作を実行し、出力状態ではセンサノードからの命令・応答データに基づいて積算動作を所定の回数実行して出力する積算電圧生成部90とで構成される。
積算電圧生成部90は、正と負の入力を有し校正状態時に正の入力電圧が負の入力電圧を越えたことを判定して判定信号を出力する判定器32と、判定器32のオフセット電圧の測定に使用する第1クロス・バースイッチ31と、容量Coと、容量Coに電荷を供給する電流源91と、容量Coに電荷を供給する際に接続するSW1と、容量Coに蓄積された電荷をリセットするSW2と、出力状態時に設定された電圧を出力する演算増幅器92と、演算増幅器92のオフセットの極性を判定する際に使用する第3クロス・バースイッチ93と、演算増幅器92のオフセットを判定する際に接続するSW3と、演算増幅器92のオフセットを校正する時と出力状態とで接続を変化させるSW4と、演算増幅器92のオフセットを校正する時と積算単位電圧を構成する時とで接続を変化させるSW5とで構成される。
本実施形態での積算動作について説明する。積算は所定の時間単位の整数倍の時間の間で電流源から容量Coに電荷を供給することで実施される。図9(a)に第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24を接続した場合の等価回路を示す。本等価回路ではCoの電流源側に接続されている電極をプラス(+)とし、グランド側をマイナス(-)としている。電流源91の出力電流をIoとし、所定の時間単位をΔtとすると、Δtのk倍の時間kΔtで電流源91から供給される電荷はIokΔtとなる。演算増幅器92の正の入力に存在する寄生容量Cp1を考慮すると、Coの電圧Voは以下の式で表される。
図9(b)に示す第3クロス・バースイッチ93のs21とs24およびs22とs23を接続した場合では、Coには演算増幅器92の負の入力側の寄生容量Cp2が接続される。このため、Δtのk倍の時間kΔtで電流源から供給された電荷によって生じるCoの電圧Voは以下の式で表される。
このように電圧Voは所定の時間Δtの整数倍kに比例する。
本実施形態の校正状態では、オフセット極性判定処理、オフセット計測処理、積算単位計測処理、バッファゲイン校正処理の順に処理を実行してオフセット電圧と積算単位電圧とバッファゲインを校正する。
オフセット極性判定処理では、制御・処理部から出力する動作制御信号により、SW5のa6とb6を接続し、SW4のa5とb5を接続し、SW3を接続状態にして、SW1とSW2を切断状態にする。また、第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24を接続する。
演算増幅器92のオフセット電圧をVofopとすると、演算増幅器92の正の入力には等価的にVref+Vofopが入力され、負の入力にはVrefが入力される。このためVofop>0の場合では演算増幅器92の出力の最大値である高出力電圧が出力され、Vofop<0の場合には演算増幅器92の出力の最小値である低出力電圧が出力される。したがって、Vofop>0の場合では判定信号が高出力電圧となり、Vofop<0の場合では判定信号が低出力電圧となる。制御部80で判定信号が高出力電圧を検出した場合には第3クロス・バースイッチ93のs21とs24およびs22とs23を接続し、低出力電圧を検出した場合には第3クロス・バースイッチ93の接続を変えずにオフセット計測処理に移行する。
オフセット計測処理では、SW5のa6とb6を、SW4のa5とb5を接続する。SW1を切断状態にしてから、SW3を接続状態にした後切断状態にする。この後、演算増幅器92の出力が変化するまで電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返す。以下ではVofop>0の場合すなわち第3クロス・バースイッチ93のs21とs24およびs22とs23を接続した場合(図9(b)に相当)で説明する。
電荷蓄積ステップでは所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にして、その後SW1を切断状態にする。電流源91からみて容量Coと寄生容量Cp2は並列に接続されているため、所定の時間Δtの期間に電流源から供給れた電荷はCoとCp2に生じる電圧が同じになるように蓄積される。所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にする前後のCoとCp2に蓄積された電荷による電圧(以下Coの電圧と記述する)をそれぞれVo,0、Vo,1とすると、所定の時間Δtの期間で電流源から供給された電荷Δt Ioと電荷保存則から以下の式が得られる。
次に、比較ステップでは、制御部80により演算増幅器92の出力をモニタする。演算増幅器92の正の入力は等価的にVref+Vofopであり、Coの電圧である負の入力が大きければ演算増幅器92の出力は低出力電圧となり、負の入力が小さければ演算増幅器92の出力は高出力電圧となる。演算増幅器92の出力が高出力電圧である場合では、電荷蓄積ステップに移行する。
Vofop>0の場合では演算増幅器92の出力がはじめの出力の高出力電圧から低出力電圧になるまで、電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返す。式(210)よりCoの電圧は等差級数で表されるため、電荷蓄積ステップと比較ステップをk回繰り返した時のCoの電圧Vo,kは以下の式となる。
オフセット計測処理では、はじめにSW3を接続状態にするため、Vo,0はVrefとなる。図10に演算増幅器92の正の入力電圧のVref+Vofopに対する負の入力電圧Vo,kと積算回数kの関係を示す。積算回数が増加するとともにVo,kは増加しVref+Vofopに近づいていく。演算増幅器92の出力がはじめの出力の高出力電圧から低出力電圧に変化する積算回数をke+1とするとkeをオフセット積算回数と定義する。演算増幅器92の正と負の入力が同等の時の以下の式が成立する。
式(213)においてδkeは0以上1未満の実数であり、VGiδkeがVref+Vofopと積算回数keのときのCoの電圧との差を表す。
Vofop>0の場合での積算単位計測処理では、SW5のa6とb6を、SW4のa5とb5を接続し、SW3を切断状態にする。はじめに第3クロス・バースイッチ93のs21とs24およびs22とs23を接続した状態で第1の積算回数を計測し、次に第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24を接続した状態で第2の積算回数を計測する。第1の積算回数と第2の積算回数の計測では、電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行する。
SW1を切断状態にした後、SW2を接続状態にしてCoに蓄積された電荷をリセットする。この後電荷蓄積ステップにおいて、所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にして、その後SW1を切断状態にする。所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にする前後のCoの電圧のそれぞれをVo,0、Vo,1とすると、以下の関係式を得る。
比較ステップでは演算増幅器92の出力を制御・処理部でモニタする。演算増幅器92の出力がはじめの高出力電圧から低出力電圧になるまで、電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返す。k回繰り返した時の演算増幅器92の出力は式(211)と同じである。演算増幅器92の出力がはじめの出力の高出力電圧から低出力電圧に変化する積算回数をkf1+1とするとkf1を第1の積算回数とする。第1の積算回数には以下の方程式が成立する。
式(215)においてδkf1は0以上1未満の実数であり、VGiδkf1がVref+Vofopと積算回数kf1のときのCoの電圧の差を表す。
第1の積算回数が得られたのち、クロス・バースイッチ2のs21とs23およびs22とs24を接続し、SW1を切断状態にした後、SW2を接続状態にしてCoに蓄積された電荷をリセットする。この後、第2の積算単位電圧が得られるまで電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行する。この状態でのはじめの演算増幅器92の出力は低出力電圧となる。
第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24の接続は図9(a)の等価回路に相当するため、CoとCp1が並列に接続さている。電荷蓄積ステップにおいて所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にして、その後SW1を切断状態にする。所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にする前後の電圧Vo,0、Vo,1の関係式は、式(210)のCp2をCp1に置き換えた式となる。
比較ステップでは、制御部80により演算増幅器92の出力をモニタする。演算増幅器92の出力がはじめの低出力電圧から高出力電圧になるまで、電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行する。k回繰返した時のCoの電圧は、Vo,0がゼロであることから以下の式で表される。
比較ステップにおいて演算増幅器92の出力がはじめの出力の低出力電圧から高出力電圧に変化する積算回数をkf2+1とするとkf2を第2の積算回数とする。第2の積算回数には以下の方程式が成立する。
式(219)においてδkf2は0以上1未満の実数であり、VGjδkf2がVrefとそれぞれ積算回数kf2のときのCoの電圧とVofopの和との差を表す。
バッファゲイン校正処理では、SW5のa6とc6を、SW4のa5とc5を接続し、SW3を切断状態にする。また、クロス・バースイッチ2のs21とs23およびs22とs24を接続する。この場合の演算増幅器92の等価回路を図11に示す。演算増幅器92の利得をAとすると、演算増幅器92の出力Vopと演算増幅器92の正の入力Voとの関係式は以下のようになる。
バッファゲイン校正処理においては、電荷蓄積ステップと比較ステップとを繰返し実施して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態で判定信号が出力される積算回数と、第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で判定信号が出力される積算回数とを求める。
はじめにSW1を切断状態にした後、SW2を接続状態にしてCoに蓄積されている電荷をリセットする。この後、SW2を切断状態にして電荷蓄積ステップを実行する。
電荷蓄積ステップでは、所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にして、その後SW1を切断状態にする。所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にする前後のCoの電圧のそれぞれをVo,0、Vo,1とすると、式(216)の関係式を得る。これをk回繰り返した時の容量Coの電圧Vo,kは式(217)で表される。したがって、演算増幅器92の出力Vop,kは式(220)により以下の式で表される。
比較ステップでは、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態と第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で判定器32の判定信号を制御部80でモニタする。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では、判定器32の正の入力には演算増幅器92の出力が接続され、負の入力にはVrefが接続される。第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態での判定器32の正の入力電圧のVop,kに判定器32のオフセット電圧Vofcを加算した電圧Vop,k + Vofcと負の入力電圧Vrefが判定器32で比較される。はじめてVop,k + VofcがVrefより大きくなり判定信号の検知した回数をkj1+1とするとkj1を第1のゲイン校正積算回数と定義する。第1のゲイン校正積算回数kj1は以下の方程式が成立する。
式(223)でδkj1は0以上1未満の実数であり、VGjδkj1がVrefと積算回数kj1のときの演算増幅器92の出力と判定器32のオフセット電圧との差を表す。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態では、判定器32の正の入力にはVrefが接続され、負の入力には演算増幅器92の出力が接続される。電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返して、第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で、はじめて判定信号の検知した回数をkj2+1とするとkj2を第2のゲイン校正積算回数と定義する。第2のゲイン校正積算回数kj2は以下の方程式が成立する。
式(224)で左辺が判定器32の負の入力電圧であり、右辺が正の入力電圧に判定器のオフセット電圧を加算した電圧である。δkj2は0以上1未満の実数である。
出力状態では式(222)で表される電圧が演算増幅器92から出力されるため、第1と第2のゲイン校正積算回数の測定まで完了したのち、VGj、Vofop、Aeの校正値を決定する。式展開を簡単にするため、Ke=ke+δke、Kf1=kf1+δkf1、Kf2=kf2+δkf2、Kj1=kj1+δkj1、Kj2=kj2+δkj2とする。式(213)より以下の式を得る。
式(215)に式(225)を代入すると以下の式を得る。
式(219)より以下の式を得る。
式(223)と式(224)の差をとると以下の式を得る。
VGj、Vofop、Aeに含まれる未知の実数δke、δkf1、δkf2、δkj1、δkj2を除去しVGj、Vofop、Aeの校正値を決定する方法を以下で説明する。式(226)をδke、δkf1について偏微分すると以下の式を得る。
式(229)、式(230)より、δkf1についてはVofopは単調減少であり、δkeについては単調増加である。このためVofopの範囲は以下の式で表される。
Vofopの校正値を式(231)の範囲の中央値である式(232)で表されるVofopcに設定すれば式(233)で表されるΔVofop未満の精度でVofopの校正値を導出できる。
式(227)をδke、δkf1、δkf2について偏微分すると以下の式を得る。
式(234)、式(235)、式(236)より、δke、δkf2についてはVGjは単調減少であり、δkf1については単調増加である。式(227)に式(226)を代入すると以下の式になり、VGjの範囲は式(237)で表される。
VGjの校正値を式(237)の範囲の中央値である式(238)で表されるVGjcに設定すれば式(239)で表されるΔVGj未満の精度でVGjの校正値を導出できる。
式(229)をδke、δkf1、δkf2、δkj1、δkj2について偏微分すると以下の式を得る。
式(240)、式(241)、式(242)、式(243)、式(244)より、δkf1、δkj1、δkj2についてはAeは単調減少であり、δke、δkf2については単調増加である。式(228)に式(226)と式(227)を代入すると以下の式になり、Aeの範囲は式(245)で表される。
Aeの校正値を式(245)の範囲の中央値である式(246)で表されるAecに設定すれば式(247)で表されるΔAe未満の精度でAeの校正値を導出できる。
以上により、本実施形態では、校正状態において、センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、演算増幅器92のオフセット電圧Vofopと積算単位電圧VGj、バッファゲインAeの校正値を所定の精度で導出できる。
以上の処理を完了したら、制御部80は演算増幅器92のオフセット電圧Vofop、積算単位電圧VGj、バッファゲインAeの校正値を校正データとして出力する。
上述の説明ではVofop>0の場合で説明したが、Vofop<0でもVGj、Vofopb、Aeの構成は可能である。
オフセット極性判定処理においてVofop<0と判定した場合では、第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24を接続したまま、オフセット計測処理に移行する。
オフセット計測処理では、第3クロス・バースイッチ93以外のスイッチの接続はVofop>0の場合と同じであるため説明を割愛する。
第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24を接続した状態は図9(a)に相当するため、寄生容量はCp1となる。このため、電荷蓄積ステップと比較ステップをk回繰返した時のCoの電圧Vo,kは式(211)のCp2をCp1に置換えた以下の式となる。
オフセット計測処理では、はじめにSW3を接続状態にした後切断状態にするためVo,0=Vrefとなる。第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24を接続した状態では演算増幅器92の正の入力にVo,kが入力され、等価的にVo,k+Vofopと負の入力のVrefが比較される。積算回数が増加するとともにVo,kは増加しVrefに近づいていく。演算増幅器92の出力がはじめの出力の低出力電圧から高出力電圧に変化する積算回数をke+1とするとkeをオフセット積算回数と定義する。演算増幅器92の正と負の入力が同等の時の以下の式が成立する。
式(249)においてδkeは0以上1未満の実数であり、VGjδkeが積算回数keのときのCoの電圧およびVofopの和とVrefとの差を表す。
Vofop<0の場合での積算単位計測処理では、第3クロス・バースイッチ93のs21とs23およびs22とs24を接続した状態で電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行して第1の積算回数を計測する。SW5、SW4、SW3の接続はVofop>0の場合と同じである。演算増幅器92の正の入力にCoの電圧が入力され負の入力にVrefが入力されているため、Coの電荷をリセットした時は演算増幅器92の出力は低出力電圧が出力されている。
SW1とSW2の動作もVofop>0の場合と同じであるため詳細な動作の説明を割愛する。電荷蓄積ステップと電荷比較ステップをk回繰返した時のCoの電圧は式(217)となる。演算増幅器92の出力がはじめの出力の低出力電圧から高出力電圧に変化する積算回数をkf1+1とするとkf1を第1の積算回数とする。第1の積算回数には以下の方程式が成立する。
式(250)においてδkf1は0以上1未満の実数であり、VGjδkf1が積算回数kf1のときのCoの電圧およびVofopの和とVrefとの差を表す。
バッファゲイン校正処理の動作はVofop>0の場合と同じであるため説明を割愛する。
出力状態では式(222)で表される電圧が演算増幅器92から出力される。第1と第2のゲイン校正積算回数の測定まで完了したのち、VGj、Vofop、Aeの校正値を決定する。式展開を簡単にするため、Ke=ke+δke、Kf1=kf1+δkf1、Kj1=kj1+δkj1、Kj2=kj2+δkj2とする。式(250)と式(249)の差をとることにより以下の式を得る。
式(249)に式(251)を代入すると以下の式を得る。
Aeに関してはVofop>0の場合と同じであり、式(228)で表される。以下でVGj、Vofop、Aeの校正値の決定法を説明する。式(226)をδke、δkf1について偏微分すると以下の式を得る。
式(223)、式(224)より、δkeについてはVofopは単調減少であり、δkf1については単調増加である。このためVofopの範囲は以下の式で表される。
Vofopの校正値を式(255)の範囲の中央値である式(256)で表されるVofopcに設定すれば式(257)で表されるΔVofop未満の精度でVofopの校正値を導出できる。
式(251)をδke、δkf1について偏微分すると以下の式を得る。
式(258)、式(259)より、δkf1についてはVGjは単調減少であり、δkeについては単調増加である。このため、VGjの範囲は式(260)で表される。
VGjの校正値を式(260)の範囲の中央値である式(261)で表されるVGjcに設定すれば式(262)で表されるΔVGj未満の精度でVGjの校正値を導出できる。
式(228)をδkf1について偏微分すると以下の式を得る。
式(228)をδkj1、δkj2について偏微分した式は式(243)、式(244)となる。式(263)、式(243)、式(244)より、δkj1、δkj2についてはAeは単調減少であり、kf1については単調増加である。式(228)に式(251)と式(252)を代入すると以下の式になり、式(228)をδkeについて偏微分した式が正の場合ではAeの範囲は式(264)で表される。
Aeの校正値を式(264)の範囲の中央値である式(265)で表されるAecに設定すれば式(266)で表されるΔAe未満の精度でAeの校正値を導出できる。
また、式(228)をδkeについて偏微分した式が負の場合ではAeの範囲は式(267)で表される。
Aeの校正値を式(267)の範囲の中央値である式(268)で表されるAecに設定すれば式(269)で表されるΔAe未満の精度でAeの校正値を導出できる。
以上により、Vofop<0の場合でも、校正状態において、センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、演算増幅器92のオフセット電圧Vofopと積算単位電圧VGj、バッファゲインAeの校正値を所定の精度で導出できる。
以上の処理を完了したら、制御部80は演算増幅器92のオフセット電圧Vofop、積算単位電圧VGj、バッファゲインAeの校正値を校正データとして出力する。
センサ回路を校正する時では、可変基準電圧源400を出力状態にして、積算回数kを含む設定データにより設定された電圧を出力する。出力状態では、設定データを制御部80で取得後に、SW2を閉じることによりCoに蓄積された電荷を初期化する。次に、SW2を開放にして、蓄積ステップと比較ステップを積算回数k回繰り返し実行する。積算回数分の蓄積ステップと比較ステップが完了したら、制御・処理部は完了を表す校正データを出力する。
このとき可変基準電圧源400から出力される電圧は、校正状態で導出したVGj、Vofopb、Aeの校正値を用いて式(222)から導出できるため、既知の電圧と扱える。したがって、可変基準電圧源400から出力される既知の電圧をセンサ回路の増幅器やADコンバータに入力し、その出力との相関関係から、増幅器のオフセットや利得、ADコンバータのオフセットの校正が可能である。
センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、本実施形態の可変基準電圧源400の校正状態によりオフセットと積算単位電圧の校正値を所定の精度で求めることができるため、経時変化によりオフセットや積算単位電圧が変化してもセンサ回路の校正が可能となる。
上述の第2の実施形態におけるAeの校正値の導出においてはオフセット積算回数ke、第1の積算回数kf1、第2の積算回数kf2を式(246)または式(265)または式(268)に代入していた。この方法のほかに、導出したVGjcとVofopcを式(228)のそれぞれVGjとVofopに代入してAeを導出することも可能である。
この場合では、式(228)のδkj1とδkj2について偏微分した式(243)と式(244)より、Aeの範囲は式(270)となる。
Aeの校正値を式(270)の範囲の中央値である式(271)で表されるAecに設定すれば式(272)で表されるΔAe未満の精度でAeの校正値を導出できる。
この方法ではVofopの符号に関わらずAeの校正値を導出する式は式(271)のみとなり、Aeの導出処理が簡便になる。
〔第2実施形態の第2の構成〕
図12に本発明にかかる第2実施形態の積算電圧生成部の第2の構成を示す。図12に示す積算電圧生成部90では、正と負の入力を有し校正状態時に正の入力電圧が負の入力電圧を越えたことを判定して判定信号を出力する判定器32と、判定器32のオフセット電圧の測定に使用する第1クロス・バースイッチ31と、容量Coと、容量Coに電荷を供給する電流源91と、容量Coに電荷を供給する際に接続するSW1と、容量Coに蓄積された電荷をリセットするSW2と、判定器32のオフセットを判定する際に接続するSW3とで構成される。
本実施形態の校正状態では、オフセット極性判定処理、オフセット計測処理、積算単位計測処理の順に処理を実行して判定器32のオフセット電圧と積算単位電圧を校正する。オフセット極性判定処理は、校正制御部111のオフセット極性判定処理部1110が実行する。また、オフセット計測処理は、同オフセット計測処理部1111が実行する。また、積算単位計測処理は、同積算単位計測処理部213が実行する。
オフセット極性判定処理では、制御部110から出力する動作制御信号により、SW3を接続状態にして、SW1とSW2を切断状態にする。また、クロス・バースイッチ1のs11とs13およびs12とs14を接続する。
判定器32のオフセット電圧をVofcとすると、判定器32の正の入力には等価的にVref+Vofcが入力され、負の入力にはVrefが入力される。このためVofc>0の場合では判定器32の出力の最大値である高出力電圧が出力され、Vofc<0の場合には判定器32の出力の最小値である低出力電圧が出力される。したがって、Vofc>0の場合では判定信号が高出力電圧となり、Vofc<0の場合では判定信号が低出力電圧となる。制御部110で判定信号が高出力電圧を検出した場合には第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続し、低出力電圧を検出した場合には第1クロス・バースイッチ31の接続を変えずにオフセット計測処理に移行する。
オフセット計測処理では、SW1を切断状態にしてから、SW3を接続状態にした後切断状態にする。この後、判定器32の出力が変化するまで電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返す。以下ではVofc>0の場合すなわち第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した場合で説明する。
本構成例において判定器32は図9での演算増幅器92と同じ回路モデルで表され、判定器32の場合では図8の演算増幅器92のVofopをVofcに置換えた等価回路となる。第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した場合では図9(b)と同じようにCoと並列に寄生容量Cp2が接続された等価回路となる。第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した場合では図9(a)と同じようにCoと並列に寄生容量Cp1が接続された等価回路となる。
電荷蓄積ステップでは所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にして、その後SW1を切断状態にする。電流源91からみて容量Coと寄生容量Cp2は並列に接続されているため、所定の時間Δtの期間に電流源から供給された電荷はCoとCp2に生じる電圧が同じになるように蓄積される。図8の実施例と同様に所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にする前後のCoの電圧をそれぞれVo,0、Vo,1とすると、所定の時間Δtの期間で電流源から供給された電荷Δt Ioと電荷保存則から以下の式が得られる。
次に、比較ステップでは、制御部110により判定器32の出力をモニタする。判定器32の正の入力は等価的にVref+Vofcであり、Coの電圧である負の入力が大きければ判定器32の出力は低出力電圧となり、負の入力が小さければ判定器32の出力は高出力電圧となる。判定器32の出力が高出力電圧である場合では、電荷蓄積ステップに移行する。
Vofc>0の場合では判定器の出力がはじめの出力の高出力電圧から低出力電圧になるまで、電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返す。式(273)よりCoの出力は等差級数で表されるため、電荷蓄積ステップと比較ステップをk回繰り返した時のCoの電圧Vo,kは以下の式となる。
オフセット計測処理では、はじめにSW3を接続状態にするため、Vo,0はVrefとなる。積算回数が増加するとともにVo,kは増加しVref+Vofcに近づいていく。判定器32の出力がはじめの出力の高出力電圧から低出力電圧に変化する積算回数をke+1とするとkeをオフセット積算回数と定義する。判定器32の正と負の入力が同等の時の以下の式が成立する。
式(276)においてδkeは0以上1未満の実数であり、VGiδkeがVref+Vofcと積算回数keのときのCoの電圧の差を表す。
Vofc>0の場合での積算単位計測処理では、SW3を切断状態にする。はじめに第1クロス・バースイッチ31のs11とs14およびs12とs13を接続した状態で第1の積算回数を計測し、次に第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態で第2の積算回数を計測する。第1の積算回数と第2の積算回数の計測では、電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行する。
SW1を切断状態にした後、SW2を接続状態にしてCoに蓄積された電荷をリセットする。Vofc>0の場合での積算単位計測処理の電荷蓄積ステップと比較ステップの動作はオフセット計測処理と同じである。電荷蓄積ステップと比較ステップをk回繰返したCoの電圧Vo,kは、はじめにCoの電荷をリセットしていることから式(274)においてVo,0=0とした式で表される。
判定器32の出力がはじめの出力の高出力電圧から低出力電圧に変化する積算回数をkf1+1とするとkf1を第1の積算回数とする。第1の積算回数には以下の方程式が成立する。
式(278)においてδkf1は0以上1未満の実数であり、VGiδkf1がVref+Vofcと積算回数kf1のときのCoの電圧の差を表す。
第1の積算回数が得られたのち、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続し、SW1を切断状態にした後、SW2を接続状態にしてCoに蓄積された電荷をリセットする。この後、第2の積算単位電圧が得られるまで電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行する。この状態でのはじめの判定器32の出力は低出力電圧となる。
電荷蓄積ステップにおいて所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にして、その後SW1を切断状態にする。第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した場合での所定の時間Δtの期間SW1を接続状態にする前後の電圧Vo,0、Vo,1の関係式は、式(273)のCp2をCp1に置き換えた式となる。
比較ステップでは、制御部110により判定器32の出力をモニタする。判定器32の出力がはじめの低出力電圧から高出力電圧になるまで、電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行する。k回繰返した時のCoの電圧は、Vo,0がゼロであることから以下の式で表される。
比較ステップにおいて判定器32の出力がはじめの出力の低出力電圧から高出力電圧に変化する積算回数をkf2+1とするとkf2を第2の積算回数とする。第2の積算回数には以下の方程式が成立する。
式(282)においてδkf2は0以上1未満の実数であり、VGjδkf2がVrefとそれぞれ積算回数kf2のときのCoの電圧とVofcの和との差を表す。
この後、VGj、Vofcの校正値を決定する。式展開を簡単にするため、Ke=ke+δke、Kf1=kf1+δkf1、Kf2=kf2+δkf2とする。式(276)より以下の式を得る。
式(278)に式(283)を代入すると以下の式を得る。
式(282)より以下の式を得る。
VGj、Vofcの校正値の決定法を以下で説明する。式(218)をδke、δkf1について偏微分すると以下の式を得る。
式(286)、式(287)より、δkf1についてはVofcは単調減少であり、δkeについては単調増加である。このためVofcの範囲は以下の式で表される。
Vofc の校正値を式(288)の範囲の中央値である式(289)で表されるVofccに設定すれば式(290)で表されるΔVofc未満の精度でVofcの校正値を導出できる。
式(285)をδke、δkf1、δkf2について偏微分すると以下の式を得る。
式(291)、式(292)、式(293)より、δke、δkf2についてはVGjは単調減少であり、δkf1については単調増加である。式(285)に式(284)を代入すると以下の式になり、VGjの範囲は式(294)で表される。
VGjの校正値を式(228)の範囲の中央値である式(295)で表されるVGjcに設定すれば式(296)で表されるΔVGj未満の精度でVGjの校正値を導出できる。
以上のように、判定器32のオフセットや利得、積算単位電圧を構成する容量等が経時変化で変動しても上述の校正状態で処理によって、判定器32のオフセットVofc、積算単位電圧VGjの校正値を所定の精度で導出できる。
上述の説明ではVofc>0の場合で説明したが、Vofc<0でもVGj、Vofcの校正は可能である。
オフセット極性判定処理においてVofc<0と判定した場合では、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続したまま、オフセット計測処理に移行する。
オフセット計測処理では、第1クロス・バースイッチ31以外のスイッチの接続はVofc>0の場合と同じであるため説明を割愛する。
第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では寄生容量はCp1となり、電荷蓄積ステップと比較ステップをk回繰返した時のCoの電圧Vo,kは式(280)となる。
オフセット計測処理では、はじめにSW3を接続状態にした後切断状態にするためVo,0=Vrefとなる。第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態では判定器32の正の入力にVo,kが入力され、等価的にVo,k+Vofopと負の入力のVrefが比較される。積算回数が増加するとともにVo,kは増加しVrefに近づいていく。判定器32の出力がはじめの出力の低出力電圧から高出力電圧に変化する積算回数をke+1とするとkeをオフセット積算回数と定義する。判定器の正と負の入力が同等の時の以下の式が成立する。
式(297)においてδkeは0以上1未満の実数であり、VGjδkeがVrefと積算回数keのときのCoの電圧の差を表す。
Vofc<0の場合での積算単位計測処理では、第1クロス・バースイッチ31のs11とs13およびs12とs14を接続した状態で電荷蓄積ステップと比較ステップを繰返し実行して第1の積算回数を計測する。SW3の接続はVofc>0の場合と同じである。判定器32の正の入力にCoの電圧が入力され負の入力にVrefが入力されているため、Coの電荷をリセットした時は判定器32の出力は低出力電圧が出力されている。
SW1とSW2の動作もVofc>0の場合と同じであるため詳細な説明を割愛する。電荷蓄積ステップと比較ステップをk回繰返した時のCoの電圧Vo,kは式(280)となる。判定器32の出力がはじめの出力の低出力電圧から高出力電圧に変化する積算回数をkf1+1とするとkf1を第1の積算回数とする。第1の積算回数には以下の方程式が成立する。
式(298)においてδkf1は0以上1未満の実数であり、VGjδkf1がVrefと積算回数kf1のときの判定器の出力の差を表す。
式展開を簡単にするため、Ke=ke+δke、Kf1=kf1+δkf1、Kj1=kj1+δkj1、Kj2=kj2+δkj2とする。式(298)と式(297)の差をとることにより以下の式を得る。
式(298)に式(299)を代入すると以下の式を得る。
式(300)をδke、δkf1について偏微分すると以下の式を得る。
式(301)、式(302)より、δkeについてはVofcは単調減少であり、δkf1については単調増加である。このためVofcの範囲は以下の式で表される。
Vofcの校正値を式(303)の範囲の中央値である式(304)で表されるVofccに設定すれば式(305)で表されるΔVofop未満の精度でVofopの校正値を導出できる。
式(299)をδke、δkf1について偏微分すると以下の式を得る。
式(306)、式(307)より、δkf1についてはVGjは単調減少であり、δkeについては単調増加である。このため、VGjの範囲は式(308)で表される。
VGjの校正値を式(308)の範囲の中央値である式(309)で表されるVGjcに設定すれば式(310)で表されるΔVGj未満の精度でVGjの校正値を導出できる。
以上により、Vofc<0の場合でも、判定器32のオフセットや利得、積算単位電圧を構成する容量等が経時変化で変動しても上述の校正状態での処理によって、判定器32のオフセットVofc、積算単位電圧VGrの校正値を所定の精度で導出できる。
センサ回路を校正する時では、本実施形態に係る可変基準電圧源500を出力状態にして、積算回数kを含む設定データにより設定された電圧を出力する。出力状態では、設定データを制御部110で取得後に、SW2を閉じることによりCoに蓄積された電荷を初期化する。次に、SW2を開放にして、蓄積ステップと比較ステップを積算回数k回繰り返し実行する。積算回数分の蓄積ステップと比較ステップが完了したら、制御部110は完了を表す校正データを出力する。
このとき可変基準電圧源500から出力される電圧は、校正状態で導出したVGj、Vofcの校正値を用いて式(214)から導出できるため、既知の電圧と扱える。したがって、可変基準電圧源500から出力される既知の電圧をセンサ回路の増幅器やADコンバータに入力し、その出力との相関関係から、増幅器のオフセットや利得、ADコンバータのオフセットの校正が可能である。
センサ回路設置後でもセンサノードの外部に校正用の基準となる測定器が不要で、本実施形態に係る可変基準電圧源500の校正状態によりオフセットと積算単位電圧の校正値を所定の精度で求めることができるため、経時変化によりオフセットや積算単位電圧が変化してもセンサ回路の校正が可能となる。
以上説明した本実施形態に係る可変基準電圧源100~500によれば、校正のための測定器が不要な可変基準電圧源を提供することができる。
本実施形態に係る可変基準電圧源100~500は、校正のための測定器を必要とせず、遠隔操作で自らを校正することができる。したがって、本発明の可変基準電圧源100~500は、遠隔地にある多数のセンサ回路と組み合わせて用いるのに好適である。
つまり、多数のセンサ回路が配置された現場に作業者が出掛けなくても、遠隔操作で各々のセンサ回路が用いる可変の基準電圧を校正することが可能になる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内で変形が可能である。