JP7088667B2 - リニアモータ - Google Patents
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Description
生産設備に組み込まれるリニアモータは、高さ寸法が小さく薄いことが望ましい。リニアモータとして、磁気的空隙を介して高さ方向に対向配置された一対の磁石を備える構成が考えられる。この構成では、磁気回路からの漏れ磁束を減らすために一対の磁石の外側に設けられた一対のバックヨークを備えることが考えられる。このリニアモータの高さ寸法を低減するために、バックヨークを薄くすることが考えられる。しかし、バックヨークが薄すぎると、バックヨークは磁気的に飽和し、漏れ磁束が増大する可能性がある。
これらから、本発明者は、リニアモータには、漏れ磁束の増大を抑制しつつ薄型化を可能にする観点から、改善すべき課題があることを認識した。
このような課題は、生産設備に組み込まれるリニアモータに限らず他の用途のリニアモータについても生じうる。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
図1~図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るリニアモータ100について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るリニアモータ100を示す正面図である。図2は、リニアモータ100を示す平面図である。図2(a)は、第2ヨーク26を取付けた状態のリニアモータ100を示す。図2(b)は、第2ヨーク26を外した状態のリニアモータ100を示す。図2(c)は、コイル12とスペーサ28を外した状態のリニアモータを示す。図3は、リニアモータ100を示す側面図である。図3は、一対のスペーサ28bのうち手前側の1つを外した状態のリニアモータを示す。
リニアモータ100は、可動子10と、固定子20と、を備える。固定子20は磁気的空隙30gを含む磁気回路30を有する。リニアモータ100は、磁気的空隙30gにおいて可動子10に可動方向の推力を生じさせるエネルギー変換機構として機能する。図1~図4では、リニアモータ100は、可動方向がY軸方向と一致するように配置されている
可動子10は、コイル12と、コイル12をY軸方向に移動可能に支持する支持機構(不図示)と、を含む。コイル12は、X軸方向およびY軸方向に延在してZ軸方向に薄い板状の部材である。平面視において、コイル12は、X軸方向に平行な2辺とY軸方向に平行な2辺とを有し、四隅がR形状に丸められた略矩形の輪郭を有する。コイル12は、有鉄芯コイルであってもよいが、この例では、空芯コイルである。コイル12は、Z軸の周りを周回するように巻かれたワイヤから構成されてもよい。コイル12に駆動電流が流されると、コイル12はZ軸方向の磁束を発生する。
固定子20は、界磁磁石22と、第1ヨーク24と、第2ヨーク26と、スペーサ28と、を含む。界磁磁石22、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、磁気的空隙30gに界磁磁界を形成する磁気回路30を構成する。磁気的空隙30gは、界磁磁石22と第2ヨーク26の間の空隙である。磁気的空隙30gは界磁磁石22および第2ヨーク26それぞれに面している。
第1ヨーク24および第2ヨーク26の形状に限定はないが、この例では、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、X軸方向およびY軸方向に延在してZ軸方向に薄い板状の部材である。平面視において、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、X軸方向に平行な2辺とY軸方向に平行な2辺とを有する略矩形の輪郭を有する。第1ヨーク24および第2ヨーク26は、公知の様々な軟磁性材料で形成されてもよい。この例では、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、軟磁性鋼板で形成されている。第1ヨーク24および第2ヨーク26は、Z軸方向に離れて互いに平行に配置されている。特に、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、互いに対向するように配置されている。
界磁磁石22は、磁気的空隙30gに界磁磁界を形成する磁束の供給源として機能する。界磁磁石22は、1または複数の磁石を含んでもよい。この例では、互いにY軸方向に隣接して配列された2個の磁石22bを含んでいる。各磁石22bは、X軸方向およびY軸方向に延在してZ軸方向に薄い板状の部材である。平面視において、各磁石22bは、X軸方向に平行な2辺とY軸方向に平行な2辺とを有する略矩形の輪郭を有する。各磁石22bの磁気的空隙30g側の表面は、Z軸に直交する平面に平行に設けられている。各磁石22bは、公知の様々な磁石材料で形成されてもよい。この例では、各磁石22bは、NdFeBなどの希土類磁石材料で形成されている。第1ヨーク24と第2ヨーク26との間において磁界を形成する磁石は、界磁磁石22だけである。界磁磁石22は、対向する2つのヨークの一方である第1ヨーク24にのみ設けられており、第2ヨーク26には設けられていない。
スペーサ28は、第1ヨーク24と第2ヨーク26のZ軸方向の間隔を保持する部材として機能する。スペーサ28は、1または複数のスペーサを含んでもよい。この例では、互いにX軸方向に離間して配列された一対のスペーサ28bを含んでいる。各スペーサ28bは、第1ヨーク24と第2ヨーク26のX軸方向の両端近傍に配置されている。各スペーサ28bは正面視の断面が略矩形の輪郭を有し、Y軸方向に伸びる角柱状の部材である。一例として、各スペーサ28bは、非磁性のステンレス材料で形成されてもよい。図2の例では、各スペーサ28bには、所定の間隔でY軸方向に配列された3つの孔28hが設けられており、各孔28hはZ軸方向に貫通している。各孔28hは、第1ヨーク24と第2ヨーク26とを固定するためのボルト18bを挿通させるためのボルト孔である。各孔28hは、各ヨークの孔24hと対応する位置に設けられている。
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るリニアモータ200について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係るリニアモータ200を示す正面図である。図5は、図1に対応する。第2実施形態に係るリニアモータ200は、第1実施形態に係るリニアモータ100に対して、別の固定子20(B)と、別の可動子10(B)と、が設けられている点で相違し、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。
別の可動子10(B)は、コイル14と、コイル14をY軸方向に移動可能に支持する支持機構(不図示)と、を含む。コイル14は、第1実施形態のコイル12と同様であり、第1実施形態の説明はコイル14に適用されうる。
別の固定子20(B)は、界磁磁石32と、第3ヨーク34と、スペーサ28と、を含む。界磁磁石32と、第3ヨーク34は、磁気的空隙36gに界磁磁界を形成する磁気回路36を構成する。磁気的空隙36gは、界磁磁石22と第3ヨーク34の間の空隙である。磁気的空隙36gは界磁磁石32および第3ヨーク34それぞれに面している。スペーサ28は、第1実施形態のスペーサ28と同様である。
界磁磁石32は、磁気的空隙36gに界磁磁界を形成する。界磁磁石32は、互いにY軸方向に隣接して配列された2個の磁石32bを含んでいる。各磁石32bは、第1実施形態の磁石22bと同様であり、第1実施形態の説明は各磁石32bに適用されうる。界磁磁石32は、第2ヨーク26にのみ設けられており、第3ヨーク34には設けられていない。図5の符号Cの枠内の図は、各磁石の磁化方向を模式的に示す部分図である。界磁磁石32はZ軸方向に磁化されている。一方の磁石32bの上面(磁気的空隙36g側の表面)にはN極の磁極が設けられており、他方の磁石32bの上面(磁気的空隙36g側の表面)にはS極の磁極が設けられている。各磁石32bの磁極は磁気的空隙36gにZ軸方向の界磁磁界を発生させる。界磁磁石32は、接着により第2ヨーク26に固定されてもよい。
図6を参照して、本発明の第3実施形態に係るリニアモータ300について説明する。リニアモータ300は、複数のリニアモータが配列されたリニアモータアレイとして機能する。図6は、本発明の第3実施形態に係るリニアモータ300を示す正面図である。図6は、図1に対応する。第3実施形態に係るリニアモータ300は、第2実施形態に係るリニアモータ200に対して、別の固定子20(B)および別の可動子10(B)の配置が異なり、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。
図7を参照して、本発明の第4実施形態に係るリニアモータ400について説明する。リニアモータ400は、複数のリニアモータが配列されたリニアモータアレイとして機能する。図7は、本発明の第4実施形態に係るリニアモータ400を示す正面図である。図7は、図1に対応する。第4実施形態に係るリニアモータ400は、第2実施形態に係るリニアモータ200に対して、別の固定子20(B)および別の可動子10(B)の配置が異なり、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。
上述の各実施形態の説明では、各ヨークの表面が平坦である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ヨークの表面は必要に応じて凸部または凹部が設けられてもよい。特に、ヨークの磁気的空隙側の面は、Z軸方向に沿った高さ寸法が各領域の磁束密度に応じて大きくまたは小さく形成されてもよい。磁束密度の高い領域には、Z軸方向に沿った高さ寸法が周囲の領域より大きい肉厚領域が設けられてもよい。肉厚領域が設けられることにより、その領域の磁気飽和を緩和し、漏れ磁束を抑制しうる。磁束密度の低い領域には、Z軸方向に沿った高さ寸法が周囲の領域より小さい肉薄領域が設けられてもよい。肉薄領域が設けられることにより、その削減した空間を有効利用してリニアモータやリニアモータを搭載する機器を小型化しうる。また、その削減した空間に応じて質量が減少し、リニアモータやリニアモータを搭載する機器を軽量化しうる。
上述の各実施形態の説明では、各ヨークが平坦な部材であり、これらのヨークのZ軸方向の間隔を保持するためにスペーサ28を用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。これらのヨークの一部または全部は、屈曲した部分を有していてもよい。例えば、Z軸方向に対向する2枚のヨークの一方のX軸方向の端部が他方のヨークに向かって屈曲してもよい。また、この屈曲した部分を他方のヨークに固定してもよい。
上述の各実施形態の説明では、界磁磁石22が2個の磁石22bを含む例について説明したが、本発明はこれに限定されない。界磁磁石は、1個または3個以上の磁石を含んでもよい。
上述の各実施形態の説明では、各可動子が1個のコイルを含む例について説明したが、本発明はこれに限定されない。各可動子は2個以上のコイルを含んでもよい。
上述の各実施形態の説明では、各ヨークの間に2個のスペーサが設けられ、各ヨークと2個のスペーサとを正面視で矩形に組み合わせた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。スペーサは各ヨークのX軸方向の一方の端部間にのみ設けられ、各ヨークのX軸方向の他方の端部間は開放されていてもよい。この場合、各ヨークと1個のスペーサとは、正面視で横向きのU字形を形成するように組み合わせされてもよい。
上述の第2~第4実施形態の説明では、リニアモータがZ軸方向に沿った高さ方向に積層された2組の固定子と可動子とを備える例について説明したが、本発明はこれに限定されない。リニアモータは、高さ方向に積層された3組以上の固定子と可動子とを備えてもよい。
上述の各実施形態の説明では、各固定子は各可動子を同一の方向に駆動するように配置される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。各固定子は、各可動子を平面視において互いに交差する方向に駆動するように配置されてもよい。例えば、固定子20は可動子10をY軸方向に駆動するように配置され、固定子20(B)は可動子10(B)をX軸方向に駆動するように配置されてもよい。
Claims (6)
- 磁気的空隙において可動方向に移動可能に設けられる可動子と、
互いに対向するように、前記可動方向と直交する第1方向に離隔して配置された第1ヨーク及び第2ヨークと、
前記第1ヨークに固定され、前記磁気的空隙を介して前記第2ヨークと対向し、前記磁気的空隙に界磁磁界を形成する界磁磁石と、
を備え、
前記可動方向および前記第1方向それぞれに直交する第2方向に離隔して配置され、前記第1ヨークと前記第2ヨークの間の前記第1方向の間隔を保持する第1スペーサおよび第2スペーサを有し、
前記可動子は、前記可動方向および前記第2方向に延在する単一のコイルを含み、
前記第1スペーサおよび前記第2スペーサは、前記可動方向から見たときに、前記コイルと重複しない位置において前記コイルを挟んで配置され、
前記磁気的空隙は前記第2ヨークに面しており、
前記可動方向の幅において、前記コイルの幅は前記第1ヨークおよび前記第2ヨークの幅よりも小さく、
前記コイルの前記第2方向幅は、前記界磁磁石の前記第2方向幅よりも大きく、前記第1スペーサと前記第2スペーサの間の間隔よりも小さいことを特徴とするリニアモータ。 - 前記第1ヨークと前記第2ヨークは、前記コイルの前記可動方向の最大幅よりも狭い間隔で、前記可動方向に互いに離れて配置される複数のボルトによって互いに固定されることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記第1ヨークおよび前記第2ヨークは、軟磁性鋼板で形成されており、
前記第1スペーサおよび前記第2スペーサは、非磁性のステンレス材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリニアモータ。 - 別の磁気的空隙において移動可能に設けられる別の可動子と、
前記第2ヨークと対向するように、前記第2ヨークの前記第1ヨークとは反対側に離隔して配置された第3ヨークと、
前記第2ヨークに固定され、前記別の磁気的空隙を介して前記第3ヨークと対向し、前記別の磁気的空隙に別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石と、
をさらに備え、
前記別の磁気的空隙は前記第3ヨークに面しており、
前記界磁磁石および前記別の界磁磁石は、前記第1方向に磁化されており、
前記界磁磁石の前記第1方向で前記別の界磁磁石側の表面の磁極と、前記別の界磁磁石の前記第1方向で前記界磁磁石側の表面の磁極と、は互いに逆極性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリニアモータ。 - 別の磁気的空隙において移動可能に設けられる別の可動子と、
前記第1ヨークと対向するように、前記第1ヨークの前記第2ヨークとは反対側に離隔して配置された第3ヨークと、
前記第1ヨークに固定され、前記別の磁気的空隙を介して前記第3ヨークと対向し、前記別の磁気的空隙に別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石と、
をさらに備え、
前記別の磁気的空隙は前記第3ヨークに面しており、
前記界磁磁石および前記別の界磁磁石は、前記第1方向に磁化されており、
前記界磁磁石の前記第1方向で前記別の界磁磁石側の表面の磁極と、前記別の界磁磁石の前記第1方向で前記界磁磁石側の表面の磁極と、は互いに逆極性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリニアモータ。 - 別の磁気的空隙において移動可能に設けられる別の可動子と、
前記第2ヨークと対向するように、前記第2ヨークの前記第1ヨークとは反対側に離隔して配置された第3ヨークと、
前記第3ヨークに固定され、前記別の磁気的空隙を介して前記第2ヨークと対向し、前記別の磁気的空隙に別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石と、
をさらに備え、
前記別の磁気的空隙は前記第2ヨークに面しており、
前記界磁磁石および前記別の界磁磁石は、前記第1方向に磁化されており、
前記界磁磁石の前記第1方向で前記別の界磁磁石側の表面の磁極と、前記別の界磁磁石の前記第1方向で前記界磁磁石側の表面の磁極と、は互いに逆極性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリニアモータ。
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