JP2018160951A - リニアモータ、ステージ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】界磁磁石を含む磁気回路の端部における漏れ磁束を低減することが可能なリニアモータを提供する。
【解決手段】リニアモータは、一対のヨーク22b、22cと、一対のヨーク22b、22cに固定され磁気的空隙34を挟んで互いに対向する一対の界磁磁石列24b、24cと、を含む磁気回路ユニット23を備える。界磁磁石列24は、第1方向に配列される複数の磁石25を含む。ヨーク22の界磁磁石列24が固定される面22eは第1方向および第1方向に直交する第2方向に延在する。複数の磁石25は、大形磁石25dと、大形磁石25dより第1方向および第2方向の寸法が小さい小形磁石25aと、を含む。大形磁石25dそれぞれは、第1方向および第2方向の寸法が実質的に等しく、第1方向に連続して配置される。小形磁石25aは、第1方向の端23eに配置される。
【選択図】図3
【解決手段】リニアモータは、一対のヨーク22b、22cと、一対のヨーク22b、22cに固定され磁気的空隙34を挟んで互いに対向する一対の界磁磁石列24b、24cと、を含む磁気回路ユニット23を備える。界磁磁石列24は、第1方向に配列される複数の磁石25を含む。ヨーク22の界磁磁石列24が固定される面22eは第1方向および第1方向に直交する第2方向に延在する。複数の磁石25は、大形磁石25dと、大形磁石25dより第1方向および第2方向の寸法が小さい小形磁石25aと、を含む。大形磁石25dそれぞれは、第1方向および第2方向の寸法が実質的に等しく、第1方向に連続して配置される。小形磁石25aは、第1方向の端23eに配置される。
【選択図】図3
Description
本発明は、リニアモータおよびステージ装置に関する。
電気エネルギーを直線運動に変換するためにリニアモータが利用される。例えば、特許文献1には、多相コイルを備えた固定子と、永久磁石を備えた可動子とから構成される可動磁石型リニアモータが記載されている。
本発明者は、リニアモータについて以下のような認識を得た。
近年、リニアモータによって駆動される測定装置などの性能が向上し、リニアモータに対する漏れ磁束の仕様がより高度化している。例えば、可動磁石型のリニアモータでは、可動子に界磁磁石を含む磁気回路を備える。このような磁気回路では、その端部に開口部が形成されていることにより、この端部から界磁磁石の磁束の一部が外部に漏れており、この端部の近傍に漏れ磁束の分布のピークが形成されることが判明した。
近年、リニアモータによって駆動される測定装置などの性能が向上し、リニアモータに対する漏れ磁束の仕様がより高度化している。例えば、可動磁石型のリニアモータでは、可動子に界磁磁石を含む磁気回路を備える。このような磁気回路では、その端部に開口部が形成されていることにより、この端部から界磁磁石の磁束の一部が外部に漏れており、この端部の近傍に漏れ磁束の分布のピークが形成されることが判明した。
また、漏れ磁束のピークが大きいと、リニアモータによって駆動される装置の特性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、リニアモータで駆動される電子線装置では、漏れ磁束が微弱な場合でも計測精度に影響が及ぶことが考えられる。このような課題は可動磁石型のリニアモータに限らず、可動コイル型のリニアモータについても生じうる。
これらから、本発明者は、界磁磁石を含む磁気回路の端部における漏れ磁束を抑制する観点から、リニアモータには改善すべき余地があることを認識した。
これらから、本発明者は、界磁磁石を含む磁気回路の端部における漏れ磁束を抑制する観点から、リニアモータには改善すべき余地があることを認識した。
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、界磁磁石を含む磁気回路の端部における漏れ磁束を低減することが可能なリニアモータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のリニアモータは、一対のヨークと、一対のヨークに固定され磁気的空隙を挟んで互いに対向する一対の界磁磁石列と、を含む磁気回路ユニットを備える。界磁磁石列は、第1方向に配列される複数の磁石を含む。ヨークの界磁磁石列が固定される面は第1方向および第1方向に直交する第2方向に延在し、複数の磁石は、大形磁石と、大形磁石より第1方向および第2方向の寸法が小さい小形磁石と、を含む。大形磁石それぞれは、第1方向および第2方向の寸法が実質的に等しく、第1方向に連続して配置され、小形磁石は、第1方向の端に配置される。
この態様によると、第1方向の端に、第1方向および第2方向の寸法が小さい小形磁石を配置することができる。
本発明の別の態様のステージ装置は、上述のリニアモータを備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、界磁磁石を含む磁気回路の端部における漏れ磁束を低減することが可能なリニアモータを提供することができる。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
[実施の形態]
図1は、実施の形態に係るリニアモータ2の斜視図である。図2は、リニアモータ2の平面図である。図2は、ヨーク22bを外した状態を示している。図3は、リニアモータ2の正面図である。図3は、連結部材28cを外した状態にて、コイルユニット18を一部断面で示している。図4は、リニアモータ2の側面図である。リニアモータ2は、固定子10と、可動子20と、を備える。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向あるいは右方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向は上方向あるいは下方向と表記することがある。このような方向の表記はリニアモータ2の使用姿勢を制限するものではなく、リニアモータ2は任意の姿勢で使用されうる。
図1は、実施の形態に係るリニアモータ2の斜視図である。図2は、リニアモータ2の平面図である。図2は、ヨーク22bを外した状態を示している。図3は、リニアモータ2の正面図である。図3は、連結部材28cを外した状態にて、コイルユニット18を一部断面で示している。図4は、リニアモータ2の側面図である。リニアモータ2は、固定子10と、可動子20と、を備える。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向あるいは右方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向は上方向あるいは下方向と表記することがある。このような方向の表記はリニアモータ2の使用姿勢を制限するものではなく、リニアモータ2は任意の姿勢で使用されうる。
固定子10は図示しない静止体に固定的に支持される。固定子10は、長手方向がX軸方向である第1方向に沿うように配置される。可動子20は、固定子10の少なくとも一部を収容する磁気的空隙34を形成し、第1方向に移動可能に設けられている。第1方向は可動方向と称されることがある。可動子20は、固定子10のコイルユニット18を隙間を介して環囲している。図1〜図4では、磁気的空隙34の主な磁束は、第1方向に直交するZ軸方向を向いている。
(固定子)
固定子10は、X軸方向に延在するコイルユニット18を含む。コイルユニット18は、例えば、平面視にて矩形を呈し、Z軸方向に薄い略板状の部材である。一例として、コイルユニット18は、平面視にて、長辺がX軸方向に沿い、短辺がY軸方向に沿うように配置されている。コイルユニット18は、X軸方向に配列された複数のコイル12を含む。複数のコイル12は、例えば樹脂に包まれることによって一体化されている。コイルユニット18は、主に界磁磁石列24と対向する中間部18mと、中間部18mのY軸方向の両方の端辺に設けられる縁部18dと、を含む。縁部18dは、中間部18mよりZ軸方向に厚く形成されている。コイルユニット18は、側面視にて横向きのI文字形状の輪郭を有する。
固定子10は、X軸方向に延在するコイルユニット18を含む。コイルユニット18は、例えば、平面視にて矩形を呈し、Z軸方向に薄い略板状の部材である。一例として、コイルユニット18は、平面視にて、長辺がX軸方向に沿い、短辺がY軸方向に沿うように配置されている。コイルユニット18は、X軸方向に配列された複数のコイル12を含む。複数のコイル12は、例えば樹脂に包まれることによって一体化されている。コイルユニット18は、主に界磁磁石列24と対向する中間部18mと、中間部18mのY軸方向の両方の端辺に設けられる縁部18dと、を含む。縁部18dは、中間部18mよりZ軸方向に厚く形成されている。コイルユニット18は、側面視にて横向きのI文字形状の輪郭を有する。
(可動子)
可動子20は、磁気回路ユニット23を備える。磁気回路ユニット23は、一対のヨーク22b、22cと、一対の界磁磁石列24b、24cと、一対の連結部材28b、28cと、を含む。ヨーク22b、22cを総括するときはヨーク22と表記する。界磁磁石列24b、24cを総括するときは界磁磁石列24と表記する。連結部材28b、28cを総括するときは連結部材28と表記する。
可動子20は、磁気回路ユニット23を備える。磁気回路ユニット23は、一対のヨーク22b、22cと、一対の界磁磁石列24b、24cと、一対の連結部材28b、28cと、を含む。ヨーク22b、22cを総括するときはヨーク22と表記する。界磁磁石列24b、24cを総括するときは界磁磁石列24と表記する。連結部材28b、28cを総括するときは連結部材28と表記する。
(ヨーク)
一対のヨーク22b、22cは、第1方向に直交するZ軸方向に離れて配置される。ヨーク22は、界磁磁石列24の磁気的空隙34とは反対側に配置される。ヨーク22は、界磁磁石列24のバックヨークとして機能する。ヨーク22は、例えば、平面視にて矩形を呈し、Z軸方向に薄い略板状の部材である。一例として、ヨーク22は、平面視にて、長辺がX軸方向に沿い、短辺がY軸方向に沿うように配置されている。ヨーク22には、界磁磁石列24が固定される。ヨーク22の界磁磁石列24が固定される面22eは、第1方向および第1方向に直交する第2方向(Y軸方向)に延在する。ヨーク22は、種々の磁性材料から形成することができる。一例として、実施の形態では、ヨーク22は、軟磁性を有する金属材料で形成されている。
一対のヨーク22b、22cは、第1方向に直交するZ軸方向に離れて配置される。ヨーク22は、界磁磁石列24の磁気的空隙34とは反対側に配置される。ヨーク22は、界磁磁石列24のバックヨークとして機能する。ヨーク22は、例えば、平面視にて矩形を呈し、Z軸方向に薄い略板状の部材である。一例として、ヨーク22は、平面視にて、長辺がX軸方向に沿い、短辺がY軸方向に沿うように配置されている。ヨーク22には、界磁磁石列24が固定される。ヨーク22の界磁磁石列24が固定される面22eは、第1方向および第1方向に直交する第2方向(Y軸方向)に延在する。ヨーク22は、種々の磁性材料から形成することができる。一例として、実施の形態では、ヨーク22は、軟磁性を有する金属材料で形成されている。
(接続部材)
一対の連結部材28b、28cは、一対のヨーク22b、22cのY軸方向の端部を連結する部材である。連結部材28cは、ヨーク22の一方の端部間に架け渡される。連結部材28bは、ヨーク22の他方の端部間に架け渡される。連結部材28は、正面視にて矩形を呈し、Y軸方向に薄い略板状の部材である。一例として、連結部材28は、正面視にて、長辺がX軸方向に沿い、短辺がZ軸方向に沿うように配置されている。連結部材28は、種々の磁性材料または非磁性材料から形成することができる。一例として、実施の形態では、連結部材28は、鉄鋼材料で形成されている。一対のヨーク22b、22cと一対の連結部材28b、28cとは、側面視にて固定子10を取り囲む矩形状に結合される。ヨーク22と連結部材28とは、例えば図示しないボルトによって結合されてもよい。
一対の連結部材28b、28cは、一対のヨーク22b、22cのY軸方向の端部を連結する部材である。連結部材28cは、ヨーク22の一方の端部間に架け渡される。連結部材28bは、ヨーク22の他方の端部間に架け渡される。連結部材28は、正面視にて矩形を呈し、Y軸方向に薄い略板状の部材である。一例として、連結部材28は、正面視にて、長辺がX軸方向に沿い、短辺がZ軸方向に沿うように配置されている。連結部材28は、種々の磁性材料または非磁性材料から形成することができる。一例として、実施の形態では、連結部材28は、鉄鋼材料で形成されている。一対のヨーク22b、22cと一対の連結部材28b、28cとは、側面視にて固定子10を取り囲む矩形状に結合される。ヨーク22と連結部材28とは、例えば図示しないボルトによって結合されてもよい。
(界磁磁石)
一対の界磁磁石列24b、24cは、一対のヨーク22b、22cに固定され、磁気的空隙34を挟んで互いにZ軸方向に対向して配置される。一対の界磁磁石列24b、24cは、磁気的空隙34に界磁磁界を形成する。一対の界磁磁石列24b、24cそれぞれは、一定のピッチPで第1方向に配列される複数(例えば8個)の磁石25を含む。磁石25は、磁気的空隙34に対面する対向面を有する。
一対の界磁磁石列24b、24cは、一対のヨーク22b、22cに固定され、磁気的空隙34を挟んで互いにZ軸方向に対向して配置される。一対の界磁磁石列24b、24cは、磁気的空隙34に界磁磁界を形成する。一対の界磁磁石列24b、24cそれぞれは、一定のピッチPで第1方向に配列される複数(例えば8個)の磁石25を含む。磁石25は、磁気的空隙34に対面する対向面を有する。
磁石25は、例えば、平面視にて矩形を呈し、Z軸方向に薄い略板状の永久磁石である。一例として、磁石25は、平面視にて、長辺がY軸方向に沿い、短辺がX軸方向に沿うように配置されている。つまり、磁石25は、X軸方向である第1方向およびY軸方向である第2方向に延在している。磁石25は、長辺がX軸方向に沿い、短辺がY軸方向に沿うように配置されてもよい。複数の磁石25は、一定の磁極ピッチPごとに第1方向に配列される。磁石25は、例えば、Z軸方向に磁化され、Z軸方向の磁束を発生させる。複数の磁石25は、例えば、N極とS極とが第1方向に交互に現れるように配置される。磁石25は、種々の磁石材料から形成することができる。一例として、実施の形態では、磁石25は、NdFeB系のボンド磁石材料で形成されている。
複数の磁石25は、大形磁石25dと、大形磁石25dより第1方向および第2方向の寸法が小さい小形磁石25aと、第1方向および第2方向の寸法が小形磁石25aより大きく大形磁石25dより小さい中間磁石25bと、を含む。大形磁石25dそれぞれは、第1方向および第2方向の寸法が実質的に等しく、第1方向に連続して配置される。なお、一方の寸法と他方の寸法との差が15%以内である場合に、これらは実質的に等しいと表記する。小形磁石25aは、第1方向の左右両方の端23eにそれぞれ配置される。この例では、小形磁石25aは、複数の磁石25のうちで、第1方向および第2方向の寸法が最も小さく形成されている。中間磁石25bは、小形磁石25aの隣に配置される。つまり、大形磁石25dの左右両方の端側に中間磁石25bが配置され、中間磁石25bの端側の隣に小形磁石25aが配置される。複数の磁石25は、第1方向の中心を挟んで左右に対称に配置されている。なお、第1方向において、大形磁石25dから小形磁石25aに向かう方向を外向きまたは外側といい、小形磁石25aから大形磁石25dに向かう方向を内向きまたは内側という。
大形磁石25dのうち、小形磁石25aに最も近い磁石を大形磁石25cと表記する。
小形磁石25aから大形磁石25cまで連続して配置される磁石を端部磁石30と表記する。一例として、実施の形態では、端部磁石30は、第1方向の端23eから連続して配置される小形磁石25aと、中間磁石25bと、大形磁石25cと、を含んでいる。端部磁石30は、第1方向の端23eから内側に向かって磁石ごとに、第1方向および第2方向の寸法が順次大きくなっている。換言すると、端部磁石30それぞれの第1方向寸法および第2方向寸法は、第1方向の端23eに向かって順次小さくなるように設定されている。
小形磁石25aから大形磁石25cまで連続して配置される磁石を端部磁石30と表記する。一例として、実施の形態では、端部磁石30は、第1方向の端23eから連続して配置される小形磁石25aと、中間磁石25bと、大形磁石25cと、を含んでいる。端部磁石30は、第1方向の端23eから内側に向かって磁石ごとに、第1方向および第2方向の寸法が順次大きくなっている。換言すると、端部磁石30それぞれの第1方向寸法および第2方向寸法は、第1方向の端23eに向かって順次小さくなるように設定されている。
図5は、実施の形態の可動子20の端部周辺の磁束の流れを模式的に示す説明図である。図6は、比較例の可動子21の端部周辺の磁束の流れを模式的に示す説明図である。可動子21における複数の磁石25は、全て寸法が等しい大形磁石25dから構成されている。大形磁石25dが発生させた磁束Faは、ヨーク22において、第1方向の両側に半分ずつに分流して、それぞれ両側に隣合う大形磁石25dに流れる。しかし、第1方向の端23eに位置する大形磁石25dが発生させた磁束の一部は、ヨーク22の端部から飛出す経路を辿って磁束Fbとして流れる。このため、比較例の可動子21の端部には大きな漏れ磁束が生じる。
実施の形態の可動子20では、図5に示すように、端部磁石30それぞれの第1方向寸法および第2方向寸法が、第1方向の端23eに向かって順次小さくなるように設定されている。第1方向の端23eに位置する小形磁石25aの寸法が比較例のものと比べて小さいため、ヨーク22の端部から飛出す磁束Fbが減少し、可動子20の端部での漏れ磁束がその分だけ減少する。つまり、第1方向の端23eに、第1方向および第2方向の寸法を小さくした小形磁石を設けることによって、端23eに設けた小形磁石が形成する磁束を減らし、磁気回路ユニット23の端部から漏れる磁束をその分だけ減らすことができる。
端部磁石30の構成は、所望の漏れ磁束の大きさに応じて任意に設定することができる。特に、端部磁石30の隣合う磁石の第1方向および第2方向の寸法の変化の比率は、所望の漏れ磁束特性に応じて、シミュレーションによって設定することができる。図1〜図4および図7を参照する。図7は、実施の形態における端部磁石30の周辺を示す平面図である。図7では、主に端部磁石30の周辺の磁石25の輪郭を示している。端部磁石30を構成する各磁石の第1方向寸法は、第1方向の端23eに向かって順次50%〜90%の範囲の比率で小さくなるように設定してもよい。つまり、端部磁石30を構成する各磁石の第1方向寸法は、当該磁石の1つ内側に位置する磁石の第1方向寸法の50%〜90%の範囲に設定されてもよい。また、小形磁石25aおよび中間磁石25bの第1方向寸法は、大形磁石25dの第1方向寸法の20%〜90%の範囲に設定されてもよい。一例として、実施の形態では、端部磁石30を構成する各磁石の第1方向寸法Wa、Wbは、第1方向の端23eに向かって順次70%の比率で小さくなるように設定されている。具体的には、小形磁石25aの第1方向寸法Waは、中間磁石25bの第1方向寸法Wbの70%になるように設定され、中間磁石25bの第1方向寸法Wbは、大形磁石25cの第1方向寸法Wcの70%になるように設定されている。既述したように、大形磁石25cの第1方向寸法Wcは大形磁石25dの第1方向寸法Wdと実質的に等しく設定されている。
端部磁石30を構成する各磁石の第2方向寸法は、第1方向の端23eに向かって順次50%〜90%の範囲の比率で小さくなるように設定してもよい。つまり、端部磁石30を構成する各磁石の第2方向寸法は、当該磁石の1つ内側に位置する磁石の第2方向寸法の50%〜90%の範囲に設定されてもよい。また、小形磁石25aおよび中間磁石25bの第2方向寸法は、大形磁石25dの第2方向寸法の20%〜90%の範囲に設定されてもよい。一例として、実施の形態では、端部磁石30を構成する各磁石の第2方向寸法Ha、Hbは、第1方向の端23eに向かって順次70%の比率で小さくなるように設定されている。具体的には、小形磁石25aの第2方向寸法Haは、中間磁石25bの第2方向寸法Hbの70%になるように設定され、中間磁石25bの第2方向寸法Hbは、大形磁石25cの第2方向寸法Hcの70%になるように設定されている。既述したように、大形磁石25cの第2方向寸法Hcは大形磁石25dの第2方向寸法Hdと実質的に等しく設定されている。
図5も参照して、複数の磁石25のZ軸方向寸法について説明する。一例として、実施の形態では、端部磁石30を含めた複数の磁石25のZ軸方向寸法Dmはそれぞれ実質的に等しく設定されている。複数の磁石25のZ軸方向寸法は、それぞれ異なっていてもよい。
端部磁石30を構成する各磁石の体積は、第1方向の端23eに近い磁石ほど小さく設定される。端部磁石30を構成する各磁石の体積は、第1方向の端23eに向かって順次25%〜81%の範囲の比率で小さくなるように設定してもよい。一例として、実施の形態では、端部磁石30を構成する各磁石の体積は、第1方向の端23eに向かって順次50%以下になるように設定されている。具体的には、小形磁石25aの体積は、中間磁石25bの体積の49%に設定され、中間磁石25bの体積は大形磁石25cの体積の49%に設定されている。
一例として、実施の形態では、端部磁石30を含む一対の界磁磁石列24b、24cは、磁気的空隙34を挟んで対称に配置されている。一対の界磁磁石列24b、24cは、磁気的空隙34を挟んで非対称に配置されてもよい。
一例として、実施の形態では、図2に示すように、端部磁石30を含む複数の磁石25それぞれは、第2方向における中心位置が揃うように配置されている。複数の磁石25の第2方向における中心位置は、それぞれ異なっていてもよい。
端部磁石30を構成する磁石の数が少なすぎると、漏れ磁束を十分に低減できない可能性がある。端部磁石30を構成する磁石の数が多すぎると、磁気的空隙34に供給される磁束量がその分減少し、推力が低下するおそれがある。これらの観点から、端部磁石30を構成する磁石の数は、例えば1〜7の範囲、好ましくは2以上とすることができる。
次に、このように構成されたリニアモータ2の動作を説明する。図示しない駆動回路から、複数のコイル12に駆動電流が供給されると、この駆動電流と磁石25が形成する磁束Faとの相互作用により可動子20に第1方向の推力が発生する。リニアモータ2は、この推力によって駆動対象物を第1方向に駆動する。
次に、このように構成された実施の形態のリニアモータ2の作用・効果を説明する。
実施の形態のリニアモータ2は、一対のヨーク22b、22cと、一対のヨーク22b、22cに固定され磁気的空隙34を挟んで互いに対向する一対の界磁磁石列24b、24cと、を含む磁気回路ユニット23を備え、界磁磁石列24は、第1方向に配列される複数の磁石25を含み、ヨーク22の界磁磁石列24が固定される面22eは第1方向および第1方向に直交する第2方向に延在し、複数の磁石25は、大形磁石25dと、大形磁石25dより第1方向および第2方向の寸法が小さい小形磁石25aと、を含み、大形磁石25dそれぞれは、第1方向および第2方向の寸法が実質的に等しく、第1方向に連続して配置され、小形磁石25aは、第1方向の端23eに配置される。この構成によれば、複数の磁石25の第1方向の端には小形の小形磁石25aが配置されるため、磁気回路ユニット23の第1方向の端部から流出する漏れ磁束が好適に低減される。
実施の形態のリニアモータ2では、複数の磁石25は、第1方向および第2方向の寸法が、小形磁石25aより大きく、大形磁石25dより小さい中間磁石25bを含み、中間磁石25bは、小形磁石25aの隣に配置される。この構成によれば、中間磁石25bを含むことにより、磁石の大きさを多段階で徐々に小さくすることができるから、段階が少ない場合に比べて、端23eに最も近い小形磁石25aをより小さくすることができる。
実施の形態のリニアモータ2では、小形磁石25aの体積は、複数の磁石25のうち小形磁石25aの1つ内側に配置される磁石の体積の50%以下になるように設定されている。この構成によれば、第1方向の端23eに配置される小形磁石25aの体積を小さくすることができるから、小形磁石25aによる磁束の発生量が少なくなり、漏れ磁束が好適に低減される。
実施の形態のリニアモータ2では、複数の磁石25は、当該磁石の第2方向における中心位置が揃うように配置されている。この構成によれば、中心位置を揃えない構成と比較して、磁気的空隙34における磁束分布の対称性が向上するため、磁束分布の非対称性に起因する発生推力のアンバランスを抑制することができる。
実施の形態のリニアモータ2では、一対の界磁磁石列24b、24cは、磁気的空隙34を挟んで対称に配置される。この構成によれば、界磁磁石列が非対称に配置されている場合と比較して、磁束の方向がZ軸方向に揃うため、推力に寄与する磁束を増加させて漏れ磁束を低減することができる。
実施の形態のリニアモータ2では、磁気回路ユニット23は、可動子20に含まれる。この構成によれば、漏れ磁束が低減された磁気回路ユニット23を可動子に含むことにより、漏れ磁束がリニアモータ2によって駆動される対象装置の性能に及ぼす影響を抑制することができる。
次に、リニアモータ2の用途を説明する。図8は、実施の形態に係るリニアモータ2を用いたステージ装置100の平面図である。このステージ装置100はXYステージと称され、対象物をX方向、Y方向に位置決めする。
ステージ装置100は、主としてYステージ120と、Xステージ130と、定盤140と、を備える。Yステージ120は、一対のスライダ124を備える。一対のスライダ124の間には、Xステージ130をX方向に移動させるXリニアモータ2Xが設けられている。Xリニアモータ2Xは、一対のスライダ124に横架されX方向に延在する固定子10と、固定子10に移動可能に支持され、Xステージ130の下面に結合された可動子20と、を備える。かくしてXリニアモータ2Xの固定子10を制御することにより、Xステージ130がX方向に位置決めされる。
定盤140の両端には、一対のYリニアモータ2Yが設けられる。Yリニアモータ2Yはそれぞれ、固定子10および可動子20を備える。Yリニアモータ2Yの可動子20には、上述のスライダ124が固定される。Yリニアモータ2Yの固定子10を制御することによりYステージ120がY方向に位置決めされる。
以上がステージ装置100の構成である。実施の形態に係るリニアモータ2は、ステージ装置100のXリニアモータ2XあるいはYリニアモータ2Yに好適に用いることができる。ステージ装置100は、露光装置におけるウェハやガラス基板の位置決めに用いることができ、あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)に使用されるアクチュエータなどにも利用可能である。
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施の形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施の形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明し、重複する説明を省略する。
[第1変形例]
実施の形態では、一対のヨーク22b、22cの一方の端部間を接続する連結部材28cと、他方の端部間を接続する連結部材28bと、を含む例について説明したが、これに限定されない。例えば、連結部材28bを設けずに他方の端部間を非接続に構成してもよい。図9は、第1変形例に係るリニアモータ4の斜視図である。図10は、リニアモータ4の平面図である。図10は、ヨーク22bを外した状態を示している。図11は、リニアモータ4の正面図である。図11は、連結部材28cを外した状態にて、コイルユニット18を一部断面で示している。図12は、リニアモータ4の側面図である。
実施の形態では、一対のヨーク22b、22cの一方の端部間を接続する連結部材28cと、他方の端部間を接続する連結部材28bと、を含む例について説明したが、これに限定されない。例えば、連結部材28bを設けずに他方の端部間を非接続に構成してもよい。図9は、第1変形例に係るリニアモータ4の斜視図である。図10は、リニアモータ4の平面図である。図10は、ヨーク22bを外した状態を示している。図11は、リニアモータ4の正面図である。図11は、連結部材28cを外した状態にて、コイルユニット18を一部断面で示している。図12は、リニアモータ4の側面図である。
第1変形例に係るリニアモータ4は、実施の形態に係るリニアモータ2に対して、連結部材28bを設けていない点と、複数の磁石25の整列位置が異なる点と、で異なり、他の構成は共通である。したがって、共通の構成については、リニアモータ2の説明を参照することができる。図9〜12に示すように、リニアモータ4は、一対のヨーク22b、22cの一方の端部間を接続する連結部材28cを備え、他方の端部間を接続する連結部材28bを備えていない。
リニアモータ4では、端部磁石30を含む複数の磁石25それぞれは、第2方向(Y軸方向)の一方の端部位置が揃うように配置されている。具体的には、図10に示すように、磁石25それぞれは、第2方向における連結部材28cに近い側の端部位置が揃うように配置されている。
第1変形例に係るリニアモータ4は、実施の形態に係るリニアモータ2と同様の作用・効果を奏する。
第1変形例に係るリニアモータ4では、複数の磁石25は、当該磁石の第2方向の一方の端部位置が揃うように配置されている。この構成によれば、複数の磁石25を連結部材28cに近い側に寄せて配置することが可能になり、この場合に連結部材28cから遠い側の端部における漏れ磁束を低減することができる。
第1変形例によれば、連結部材28bを備えていないから、可動子20がその分軽量化されて応答性が向上し、また、製造工数を減らすことができる。
[その他の変形例]
実施の形態では、端部磁石30が、3つの小形磁石25a、25b、25cから構成される例について説明したが、これに限定されない。例えば、端部磁石30は、中間磁石25bを設けずに2つの小形磁石25aと大形磁石25cとから構成されてもよい。この場合、小形磁石25aと大形磁石25cとの第1方向の配置ピッチは前述のピッチPであってもよい。
また、端部磁石30は、中間磁石25bと大形磁石25cの間に配置されるとともに第1方向および第2方向の寸法が、中間磁石25bより大きく大形磁石25cより小さい1つ以上の磁石を含んでもよい。つまり、端部磁石30は、4つ以上の磁石から構成されてもよい。
これらの変形例は、実施の形態に係るリニアモータ2と同様の作用・効果を奏する。
実施の形態では、端部磁石30が、3つの小形磁石25a、25b、25cから構成される例について説明したが、これに限定されない。例えば、端部磁石30は、中間磁石25bを設けずに2つの小形磁石25aと大形磁石25cとから構成されてもよい。この場合、小形磁石25aと大形磁石25cとの第1方向の配置ピッチは前述のピッチPであってもよい。
また、端部磁石30は、中間磁石25bと大形磁石25cの間に配置されるとともに第1方向および第2方向の寸法が、中間磁石25bより大きく大形磁石25cより小さい1つ以上の磁石を含んでもよい。つまり、端部磁石30は、4つ以上の磁石から構成されてもよい。
これらの変形例は、実施の形態に係るリニアモータ2と同様の作用・効果を奏する。
説明に使用した図面では、部材の関係を明瞭にするために一部の部材の断面にハッチングを施しているが、当該ハッチングはこれらの部材の素材や材質を制限するものではない。
2・・リニアモータ、 10・・固定子、 12・・コイル、 18・・コイルユニット、 20・・可動子、 22・・ヨーク、 23・・磁気回路ユニット、 24・・界磁磁石列、 25・・磁石、 25a・・小形磁石、 25b・・中間磁石、 25c、25d・・大形磁石、 28・・連結部材、 30・・端部磁石、 34・・磁気的空隙、 100・・ステージ装置
Claims (8)
- 一対のヨークと、前記一対のヨークに固定され磁気的空隙を挟んで互いに対向する一対の界磁磁石列と、を含む磁気回路ユニットを備え、
前記界磁磁石列は、第1方向に配列される複数の磁石を含み、
前記ヨークの前記界磁磁石列が固定される面は第1方向および第1方向に直交する第2方向に延在し、
前記複数の磁石は、大形磁石と、前記大形磁石より第1方向および第2方向の寸法が小さい小形磁石と、を含み、
前記大形磁石それぞれは、第1方向および第2方向の寸法が実質的に等しく、第1方向に連続して配置され、
前記小形磁石は、第1方向の端に配置されることを特徴とするリニアモータ。 - 前記複数の磁石は、第1方向および第2方向の寸法が、前記小形磁石より大きく、前記大形磁石より小さい中間磁石を含み、
前記中間磁石は、前記小形磁石の隣に配置されることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記小形磁石の体積は、前記複数の磁石のうち前記小形磁石の1つ内側に配置される磁石の体積の50%以下になるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリニアモータ。
- 前記複数の磁石は、当該磁石の第2方向における中心位置が揃うように配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリニアモータ。
- 前記複数の磁石は、当該磁石の第2方向の一方の端部位置が揃うように配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリニアモータ。
- 前記一対の界磁磁石列は、前記磁気的空隙を挟んで対称に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のリニアモータ。
- 前記磁気回路ユニットは、本リニアモータの可動子に含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のリニアモータ。
- 請求項1から7のいずれかに記載のリニアモータを備えることを特徴とするステージ装置。
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JP2017055359A JP2018160951A (ja) | 2017-03-22 | 2017-03-22 | リニアモータ、ステージ装置 |
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-
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- 2017-03-22 JP JP2017055359A patent/JP2018160951A/ja active Pending
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