JP7088191B2 - コンクリート構造体 - Google Patents
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Description
本出願は、2017年7月28日出願の日本出願第2017-145953号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
[本開示の効果]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。本発明の一態様に係るコンクリート構造体は、複数のコンクリート部材が並べて接続されたコンクリート構造体である。このコンクリート構造体は、一方の端部に配置される第1コンクリート部材と、他方の端部に配置される第2コンクリート部材と、第1コンクリート部材から第2コンクリート部材まで、上記複数のコンクリート部材を貫通する貫通孔内に、貫通孔を取り囲む壁面を覆うように配置されるシースと、シースの両端から端部領域が露出するようにシースの全長にわたって挿通され、長手方向に緊張力が付与された緊張材と、シースから露出する緊張材の端部領域を第1コンクリート部材または第2コンクリート部材に対して定着させる定着具と、定着具を覆う防食部と、を備える。緊張材は、複数の鋼線が撚り合わされた撚り線部と、撚り線部の外周を覆う第1被覆層と、を含む。シースと緊張材との間の空間は、グラウト材によって充填されていない。
第1被覆層を構成する材料として、エポキシ樹脂は好適である。エポキシ樹脂は防食性、耐摩耗性、耐圧縮性、および鋼線との密着性が優れており、撚り線部の腐食をより抑制することができる。
第2被覆層を構成する材料として、ポリエチレンは好適である。ポリエチレンは耐候性に優れているため防食性をさらに高めることができ、撚り線部の腐食をより抑制することができる。
次に、本発明にかかるコンクリート構造体の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態におけるコンクリート構造体である高架道路の床版構造体1は、複数のコンクリート部材であるPC床版が並べて接続された構造を有している。
床版構造体1は、一方の端部に配置される第1コンクリート部材としての第1端部床版11と、他方の端部に配置される第2コンクリート部材としての第2端部床版12と、第1端部床版11と第2端部床版12との間に配置される複数の(ここでは4つの)中間床版13とを備える。第1端部床版11、第2端部床版12および中間床版13は、流動性を有する状態のコンクリートが所望の形状を有する型内に流し込まれた後、固化して得られるPC床版である。
床版構造体1は、第1端部床版11から複数の中間床版13を通って第2端部床版12まで貫通する貫通孔19内に、貫通孔19を取り囲む壁面を覆うように配置されるシース20をさらに備える。シース20は、たとえばポリエチレンなどの樹脂からなり、中空円筒状の形状を有する。シース20は、中間床版13内においては中間走行面13Aに沿う方向に延在する。シース20は、第1端部床版11および第2端部床版12内に進入すると、それぞれ第1突出部11Bおよび第2突出部12Bの突出方向に沿う方向に延在するように屈曲する。そして、シース20は、第1突出部11Bおよび第2突出部12B内において、第1突出部11Bおよび第2突出部12Bに沿う方向に延在する。
図1を参照して、床版構造体1は、シース20の両端から端部領域30Aおよび30Bが露出するようにシース20の全長にわたって挿通され、長手方向に緊張力が付与された緊張材30をさらに備える。図1および図2を参照して、連結部材22の本体部22Aと緊張材30との間には、空間21Aが形成されている。この空間21Aは、シースユニット21と緊張材30との間にも延在している。シース20と緊張材30との間の空間21Aは、グラウト材によって充填されていない。すなわち、空間21Aは大気で満たされている。図3は、緊張材30の長手方向に垂直な断面を示す図である。図3を参照して、緊張材30は、複数の鋼線31,32が撚り合わされた撚り線部33と、撚り線部33の外周を覆う第1被覆層41と、第1被覆層41の外周側を取り囲む第2被覆層61と、第1被覆層41と第2被覆層61との間に配置される油脂層51とを含む。
図1を参照して、床版構造体1は、シース20から露出する緊張材30の端部領域30Bを第1端部床版11に対して定着させる定着具70と、第2端部床版12に対して定着させる定着具70と、各定着具70を覆う防食部80,80とをさらに備える。図4は、第1端部床版11に設置される定着具70および防食部80の構造を示す概略断面図である。また、図5は、定着具70周辺の構造を拡大して示す概略断面図である。以下、第1端部床版11に設置される定着具70および防食部80の構造について説明するが、第2端部床版12に設置される定着具70および防食部80についても同様の構造を有する。
シースに挿通された緊張材の緊張力によってコンクリート部材に圧縮力を付与する構造においては、シースと緊張材との間はグラウト材で充填するのが一般的である。これとは対照的に、本実施の形態の床版構造体1においては、シース20と緊張材30との間の空間21Aが、グラウト材によって充填されていない。言い換えると、大気で満たされている。従って、床版構造体1においては、床版構造体1を構成する第1端部床版11、第2端部床版12および中間床版13と緊張材30との一体化が解除可能な状態となっている。そのため、防食部80および定着具70を除去すれば、緊張材30の緊張が解消する。特に、本実施の形態においては、防食部80の被覆部81が解体可能型樹脂からなっている。その結果、部分的に床版11,12,13を交換することが容易となっている。
次に、床版構造体1の構築手順の概略を説明する。図1~図5を参照して、本実施の形態における床版構造体1の構築では、まず第1端部床版11、第2端部床版12および中間床版13が準備される。第1端部床版11、第2端部床版12および中間床版13は、所望の形状を有する型内にシース20(シースユニット21および連結部材22)を配置した状態で、流動性を有するコンクリートを流し込み、固化させることで準備することができる。
11 第1端部床版
11A 第1走行面
11B 第1突出部
11C 第1端部床版連通路
11D 凹部
12 第2端部床版
12A 第2走行面
12B 第2突出部
12C 第2端部床版連通路
13 中間床版
13A 中間走行面
13C 中間床版連通路
13D ホース
19 貫通孔
20 シース
21 シースユニット
21A 空間
22 連結部材
22A 本体部
22B 連通部
28 液密部材
29 樹脂部
30 緊張材
30A 端部領域
30B 端部領域
31 芯線
32 周囲線
33 撚り線部
41 第1被覆層
51 油脂層
61 第2被覆層
70 定着具
71 支持板
71A 貫通孔
72 グリップ
72A 貫通孔
73 くさび部材
73A 貫通孔
80 防食部
81 被覆部
82 キャップ
Claims (8)
- 複数のコンクリート部材が並べて接続されたコンクリート構造体であって、
一方の端部に配置される第1コンクリート部材と、
他方の端部に配置される第2コンクリート部材と、
前記第1コンクリート部材から前記第2コンクリート部材まで、前記複数のコンクリート部材を貫通する貫通孔内に、前記貫通孔を取り囲む壁面を覆うように配置されるシースと、
前記シースの両端から端部領域が露出するように前記シースの全長にわたって挿通され、長手方向に緊張力が付与された緊張材と、
前記シースから露出する前記緊張材の前記端部領域を前記第1コンクリート部材または前記第2コンクリート部材に対して定着させる定着具と、
前記定着具を覆う防食部と、を備え、
前記緊張材は、
複数の鋼線が撚り合わされた撚り線部と、
前記撚り線部の外周を覆う第1被覆層と、を含み、
前記シースと前記緊張材との間の空間は、大気で満たされており、
前記複数のコンクリート部材のうち少なくとも1つには、前記コンクリート部材の外部と前記シースの内部とを連通する連通路が形成されており、
前記連通路は、水平に対して下方に向かって形成されており、
前記シースと前記緊張材との間の空間は、前記連通路を介して大気に開放されており、
前記シースは、管状の形状を有し、長手方向に並べて配置され、互いに連結される複数のシースユニットと、
隣り合う前記シースユニットの内部同士が連通するように前記シースユニットを連結する連結部材と、を含み、
前記連結部材には、前記連結部材の内部と外部とを連通する開口部が形成されており、
前記連結部材の内部と前記連通路とが前記開口部を介して連通している、コンクリート構造体。 - 前記連結部材は、前記連通路内へと突出する連通部を含み、
前記開口部は前記連通部に形成される、請求項1に記載のコンクリート構造体。 - 前記第1被覆層はエポキシ樹脂からなる、請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造体。
- 前記緊張材は、前記第1被覆層の外周側を取り囲み、前記第1被覆層とは異なる材料からなる第2被覆層をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート構造体。
- 前記第2被覆層はポリエチレンからなる、請求項4に記載のコンクリート構造体。
- 前記緊張材は、前記第1被覆層と前記第2被覆層との間に配置される油脂層をさらに含む、請求項4または請求項5に記載のコンクリート構造体。
- 前記定着具は、前記第1被覆層に接触するように前記端部領域を拘束する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコンクリート構造体。
- 前記防食部は、解体可能型樹脂からなり、前記定着具を覆う被覆部を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコンクリート構造体。
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