JP7088011B2 - 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有粒子及び光学フィルム - Google Patents

二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有粒子及び光学フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP7088011B2
JP7088011B2 JP2018529806A JP2018529806A JP7088011B2 JP 7088011 B2 JP7088011 B2 JP 7088011B2 JP 2018529806 A JP2018529806 A JP 2018529806A JP 2018529806 A JP2018529806 A JP 2018529806A JP 7088011 B2 JP7088011 B2 JP 7088011B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vanadium
vanadium dioxide
containing particles
dissimilar metal
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018529806A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018021111A1 (ja
Inventor
智広 工藤
隆人 千葉
健司 林
昌一 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Publication of JPWO2018021111A1 publication Critical patent/JPWO2018021111A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7088011B2 publication Critical patent/JP7088011B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y40/00Manufacture or treatment of nanostructures
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G31/00Compounds of vanadium
    • C01G31/02Oxides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K9/00Use of pretreated ingredients
    • C08K9/02Ingredients treated with inorganic substances
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L101/00Compositions of unspecified macromolecular compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K9/00Tenebrescent materials, i.e. materials for which the range of wavelengths for energy absorption is changed as a result of excitation by some form of energy

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

本発明は、二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム及び光学フィルムに関する。本発明は、特に、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径の小さい二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、そのような二酸化バナジウム含有粒子、及びそれを用いた光学フィルムに関する。
住宅やビル等の建物、及び車両のような移動体等において、室内や車両内等の内部環境と外部環境との間で大きな熱交換が生じる箇所(例えば、建築用窓ガラスや車体窓ガラス等)には、省エネルギー化と快適性の確保を両立すべく、サーモクロミック材料の適用が検討されている。
ここでいう「サーモクロミック材料」とは、例えば、光透過性のような光学的特性を、温度により制御することが可能な材料である。建物の窓ガラスにサーモクロミック材料を適用した場合、夏には赤外線を反射させて熱を遮断し、冬には赤外線を透過させて熱を利用することが可能となる。
現在、最も着目されているサーモクロミック材料の一つとして、二酸化バナジウム(VO)を含む材料が挙げられる。この二酸化バナジウムは、室温近傍で相転移を起こす際に、温度により光学特性が可逆的に変化する性質である「サーモクロミック性」を示すことが知られている。したがって、この性質を利用することにより、環境温度依存型のサーモクロミック特性を示す材料を得ることができる。
ここで、二酸化バナジウムには、A相、B相、C相及びルチル型結晶相(以下、「R相」ともいう。)等、いくつかの結晶相が存在するが、その中でも、上記サーモクロミック性を100℃以下の比較的低温で示す結晶構造は、R相(ルチル型結晶相)に限定される。このR相は、相転移温度(約68℃)未満では単斜晶の構造を有し、可視光線及び赤外線の透過率が高い特性を発現する。一方、R相は、相転移温度である68℃以上の温度では正方晶の構造を有し、単斜晶構造の場合と比べて赤外線の透過率が低いという性質を示す。すなわち、相転移温度を境にして、赤外線の透過率が大きく変化するという特有の性質を有している。
このような特性を有する二酸化バナジウム含有粒子を、窓ガラス等に貼付して使用する光学フィルムに適用する場合には、粒子としての透明性(ヘイズが低いこと)が要求され、そのためには、二酸化バナジウム含有粒子が凝集していないこと(二次粒径サイズが小さいこと)、粒径がナノオーダー(100nm以下)であることが望ましい。
このような透明性の高い微粒子である二酸化バナジウム含有粒子を製造する方法として、近年、水熱反応を用いて、R相の二酸化バナジウム含有粒子を製造する方法が報告されている。また、二酸化バナジウム含有粒子に異種金属元素をドープすることで、二酸化バナジウム含有粒子の相転移温度を制御する技術も提案されている。
例えば、特許文献1には、バナジウム、ヒドラジン誘導体、水及び異種金属元素としてのタングステンを含む溶液を、水熱反応処理用オートクレーブにて水熱反応させることにより、相転移温度を低下させた二酸化バナジウム含有粒子を製造できることが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、得られる二酸化バナジウム含有粒子の吸熱時の相転移温度と発熱時の相転移温度との差(相転移の熱ヒステリシス幅)が大きく、昇温時と降温時とで透過率が変化する開始温度が異なってしまうため、更なる改善が求められている。
特開2011-178825号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径が小さい二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、そのような二酸化バナジウム含有粒子、及びそれを用いた光学フィルムを提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、流通式反応装置にバナジウム含有化合物及び異種金属元素含有化合物を供給して水熱合成する工程を行うことで、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径が小さい二酸化バナジウム含有粒子を製造できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満の二酸化バナジウム含有粒子を製造する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、
流通式反応装置において、バナジウム含有化合物、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液と、当該バナジウム含有化合物と反応する化合物と、超臨界又は亜臨界状態の水とを混合して反応液とし、
前記異種金属元素が、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、スズ及びチタンから選ばれる元素であり、
前記異種金属元素の添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.2~10.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給し、
前記反応液の通過時間を、2~1000秒の範囲内とする
水熱合成の工程を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
2.前記二酸化バナジウム含有粒子の相転移の熱ヒステリシス幅が15℃未満であることを特徴とする第1項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
.前記異種金属元素が、タングステン及びモリブデンから選ばれる元素であることを特徴とする第1項又は2項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
.タングステンの添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.5~2.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給することを特徴とする第から第3項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
.モリブデンの添加量が、バナジウム(100atm%)に対して1.0~10.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給することを特徴とする第から第3項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
.異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満であり、
前記異種金属元素が、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、スズ及びチタンから選ばれる元素である
ことを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子。
.第項に記載の二酸化バナジウム含有粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
.透明基材と、
光学機能層と、を備え、
前記光学機能層が、樹脂と、第項に記載の二酸化バナジウム含有粒子と、を含有することを特徴とする光学フィルム。
本発明によれば、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径が小さい二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、そのような二酸化バナジウム含有粒子、及びそれを用いた光学フィルムを提供することができる。
本発明の二酸化バナジウム含有粒子に対して示差走査熱量測定機による測定を行って得られたDSC曲線 本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法における製造フローの一例を示す図 本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法における製造フローの一例を示す図 本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法に適用可能な水熱反応部を具備した流通式反応装置の一例を示す概略図
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満の二酸化バナジウム含有粒子を製造する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、流通式反応装置において、バナジウム含有化合物、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液と、当該バナジウム含有化合物と反応する化合物と、超臨界又は亜臨界状態の水とを混合して反応液とし、前記異種金属元素が、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、スズ及びチタンから選ばれる元素であり、前記異種金属元素の添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.2~10.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給し、前記反応液の通過時間を、2~1000秒の範囲内とする水熱合成の工程を有することを特徴とする。この特徴は、各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、前記二酸化バナジウム含有粒子の相転移の熱ヒステリシス幅が15℃未満であることが好ましい
た、本発明においては、前記異種金属元素が、タングステン及びモリブデンから選ばれる元素であることが好ましい。これにより、二酸化バナジウム含有粒子の相転移の熱ヒステリシス幅を小さくするとともに、相転移温度を実用的な温度範囲内に調整することができる。
また、本発明においては、タングステンの添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.5~2.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給することが好ましい。これにより、二酸化バナジウム含有粒子の相転移の熱ヒステリシス幅を更に小さくでき、相転移温度をより実用的な温度範囲内に調整することができる。
また、本発明においては、モリブデンの添加量が、バナジウム(100atm%)に対して1.0~10.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給することが好ましい。これにより、二酸化バナジウム含有粒子の相転移の熱ヒステリシス幅を更に小さくでき、相転移温度をより実用的な温度範囲内に調整することができる。
また、本発明の二酸化バナジウム含有粒子は、異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満であり、前記異種金属元素が、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、スズ及びチタンから選ばれる元素であることを特徴とする。これにより、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径が小さい二酸化バナジウム含有粒子とすることができる。
また、本発明の光学フィルムは、上記二酸化バナジウム含有粒子を含有することを特徴とする。相転移の熱ヒステリシス幅の小さい二酸化バナジウム含有粒子を含有するので、昇温時と降温時とで光透過率が変化する開始温度が大きく異ならない光学フィルムとすることができる。
また、本発明の光学フィルムは、透明基材と、光学機能層と、を備え、前記光学機能層が、樹脂と、上記二酸化バナジウム含有粒子と、を含有することを特徴とする。相転移の熱ヒステリシス幅の小さい二酸化バナジウム含有粒子を含有するので、昇温時と降温時とで光透過率が変化する開始温度が大きく異ならない光学フィルムとすることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《二酸化バナジウム含有粒子の製造方法》
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満の二酸化バナジウム含有粒子を製造する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、流通式反応装置において、バナジウム含有化合物、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液と、当該バナジウム含有化合物と反応する化合物と、超臨界又は亜臨界状態の水とを混合して反応液とし、前記異種金属元素が、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、スズ及びチタンから選ばれる元素であり、前記異種金属元素の添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.2~10.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給し、前記反応液の通過時間を、2~1000秒の範囲内とする水熱合成の工程を有することを特徴とする。
本発明においては、バナジウム含有化合物を、超臨界又は亜臨界状態の水の存在下で水熱反応させ、二酸化バナジウム含有粒子を形成する方法を、「水熱合成方法」、「水熱合成」、「水熱反応方法」又は「水熱反応」ともいい、その実施工程を「水熱反応工程」とも称する。
また、本発明において、相転移の熱ヒステリシス幅とは、二酸化バナジウム含有粒子に対して、示差走査熱量測定機(DSC、Differential scanning calorimetry)を用いて下記条件で測定を行い、降温時に観測される発熱ピークのピークトップ値と、昇温時に観測される吸熱ピークのピークトップ値との差を示す。また、本発明において相転移温度とは、当該昇温時に観測される吸熱ピークのピークトップ値をいう。
<測定条件>
走査温度域:-20~100℃
昇温速度:10℃/分
降温速度:10℃/分
例えば、上記条件の測定により図1に示すDSC曲線が得られた場合、吸熱ピークのピークトップ値P1が44.3℃を示していることから、相転移温度は44.3℃であるといえる。また、吸熱ピークのピークトップ値P1が44.3、発熱ピークのピークトップ値P2が30.3であることから、相転移の熱ヒステリシス幅は、44.3-30.3=14℃であるといえる。
〔1〕流通式反応装置
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法においては、水熱反応を、水熱反応部を有する流通式反応装置を用いて行うことを特徴とする。
従来の水熱反応においては、高圧用反応分解容器、オートクレーブやテストチューブ型反応容器等の装置を用いて行っていたが、本発明においては、流通式反応装置を用いることを特徴とする。
以下、流通式反応装置を用いて水熱反応を行う好ましい形態を説明する。なお、本発明は下記形態に限定されない。
本発明に係る流通式反応装置とは、水熱反応部を備えた流通式反応装置である。ここでいう水熱反応部とは、高温高圧条件下で、高速混合及び反応を実現する混合及び反応器をいう。
水熱反応部において、高圧下、超臨界又は亜臨界状態の水及び異種金属元素の存在下で水熱合成を実施することにより、異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満の二酸化バナジウム含有粒子を製造することができる。この理由は、水熱反応を高圧下、超臨界又は亜臨界状態の水の存在下で実施することにより、ごく短時間で液混合及び反応が完了することとなり、析出した二酸化バナジウムの微結晶が大きく結晶成長するための十分な時間を与えないからであると推測している。
流通式反応装置を用いて水熱反応を行う場合は、本発明においては、流通式反応装置の水熱反応を行う水熱反応部において、バナジウム含有化合物、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液と、当該バナジウム含有化合物と反応する化合物と、超臨界又は亜臨界状態の水とを混合した反応液の通過時間を、2~1000秒の範囲内とすることを特徴とし、4~700秒の範囲内とすることがより好ましく、12~700秒の範囲内とすることが更に好ましい。
本発明に係る反応液においては、基本的には、(1)バナジウム含有化合物(A)及び水を含む原料液と、(2)当該バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)と、(3)超臨界又は亜臨界状態の水と、(4)異種金属元素含有化合物と、により構成されるが、少なくとも(1)と(3)とをそれぞれ分割し、(1)又は(3)に(2)を共存させることが好ましい。また、(1)に(4)を共存させることが好ましい。
図2A及び図2Bに、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法に好適な製造フロー1及び製造フロー2を示す。
製造フロー1においては、図2Aで示すように、まず、第1原料液容器5に、バナジウム含有化合物(A)及び水を含む原料液と、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)(例えば、水に所定の濃度で溶解したアルカリ又は還元剤)と、異種金属元素含有化合物と、を添加する。また、他方の第2原料液容器2に、水としてイオン交換水を添加する。次に、イオン交換水を加熱媒体13で所定の温度、圧力下で、超臨界又は亜臨界状態の水とした後、両者を合流点MPで会合させて反応液とした後、水熱反応部16内の加熱部配管17で水熱処理を施して、二酸化バナジウム含有粒子を調製する。
製造フロー2においては、図2Bで示すように、まず、第1原料液容器5に、バナジウム含有化合物(A)及び水を含む原料液と、異種金属元素含有化合物とを添加し、他方の第2原料液容器2に、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)を含有するイオン交換水を添加する。次に、当該バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)を含有するイオン交換水を加熱媒体13で所定の温度、圧力下で、超臨界又は亜臨界状態の水とした後、両者を合流点MPで会合させて反応液とした後、水熱反応部16内の加熱部配管17で水熱処理を施して、二酸化バナジウム含有粒子を調製する。
次いで、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法で適用する流通式反応装置の一例として、好ましく用いることができる水熱反応部を有する流通式反応装置の全体構成について、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法に適用可能な、水熱反応部を有する流通式反応装置の一例を示す概略図である。なお、図3中の「TC」は、温度センサーを示している。
図3において、水熱反応部を有する流通式反応装置1は、一方の構成液であるバナジウム含有化合物(A)、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)及び異種金属元素含有化合物を含む原料液(製造フロー1)、又は、バナジウム含有化合物(A)、水及び異種金属元素含有化合物を含む原料液(製造フロー2)を入れる第1原料液容器5、他方の構成液である超臨界水又は亜臨界水を形成するための水(製造フロー1)、又は、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)を含有するイオン交換水(製造フロー2)を入れる第2原料液容器2、水熱反応を行う加熱媒体14を有する水熱反応部16、水熱反応後の反応液を入れるためのタンク9、第1原料液容器5と第2原料液容器2とタンク9とをそれぞれ連結するための流路3、6、一方の構成液である第1原料液容器5に貯留されているバナジウム含有化合物(A)を含む原料液を、第1原料液容器5から、流路6、合流点MP、加熱部配管17、流路18及び制御弁19を経由してタンク9に送液するためのポンプ7、他方の構成液である第2原料液容器2に貯留されている超臨界水又は亜臨界水を形成するための水等を、第2原料液容器2から、流路3、加熱媒体13、合流点MP、加熱部配管17、流路18及び制御弁19を経由してタンク9に送液するためのポンプ4、等を有する。
また、流通式反応装置1には、必要に応じて、水熱反応後の二酸化バナジウム含有粒子の含む反応液を冷却するための流路18を含む冷却部8を備えても良い。また、詳細は後述するが、必要に応じて、水熱反応後の二酸化バナジウム含有粒子を含む反応液に添加する、表面修飾剤、pH調整剤、あるいは水熱反応後の反応液に混合して冷却するための冷却媒体(例えば、水)を入れるためのタンク10、表面修飾剤、pH調整剤、冷却媒体等を、流路11を介して、流路18に送液するためのポンプ12を更に有しても良い。
流通式反応装置1には、流路6又は流路3のライン中に、加熱媒体13、15を有する。特に、流路3に配置されている加熱媒体13は、第2原料液容器2に貯留されている水に、所定の温度及び圧力を付与して、超臨界水又は亜臨界水を形成する。
また、バナジウム含有化合物(A)、水及び異種金属元素含有化合物を含む原料液、化合物(B)及び水を含む原料液、水熱反応後の反応液が流通する水熱反応部16及び加熱部配管17、並びに流路3、6、11、18等を構成する配管の材質は、特に制限されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、ハステロイ等が挙げられる。
水熱反応部16の内部に構成される加熱部配管17の加熱部配管のライン長Lは、特に制限されるものではなく、合流点MPで合流した各種材料より構成される反応液が、2~1000秒の時間内で通過できる長さであることが好ましい。本発明でいう加熱部配管17のライン長Lとは、各原料液が合流点MPを経て、加熱媒体14の入口INから、水熱処理後に、加熱媒体14の出口OUTに達するまでの配管部の長さをいう。
また、水熱反応部内の加熱部配管17を通過(流通)させる混合液の速度(流通速度)は、特に制限されないが、好ましくは0.1~10m/秒、より好ましくは0.2~8.0m/秒である。このような流通速度であれば、反応液に含まれるバナジウム含有化合物(A)と、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)とを、超臨界又は亜臨界状態の水の存在下で、有効に水熱反応させることができる。
本発明で規定する水熱反応部である加熱部配管17における反応液の通過時間は、上述の反応液の流通速度と加熱部配管のライン長Lにより決定されるが、流通速度は、各流路の内径と流量を制御することにより所望の条件とすることができる。
また、原料液を送液する流路3、6、水熱反応後の反応液に添加する冷媒や表面修飾剤等を送液する流路11、反応液を冷却するための流路18の長さは、特に制限されないが、おおむね50~10000mmの範囲内であり、好ましくは100~1000mmの範囲内である。また、流路の間隙(配管の場合は内径)は、特に制限されないが、おおむね0.1~10mmの範囲内であり、好ましくは1~8mmの範囲内である。
なお、流路3、6、11、18は、上記材質、長さ、内径を有することが好ましいが、それぞれ同じであっても異なるものであっても良い。
上記の水熱反応工程によって得られた水熱反応後の反応液に対して、濾過(例えば、限外濾過)や遠心分離により、分散媒や溶媒の置換を行い、二酸化バナジウム含有粒子を水やアルコール(例えば、エタノール)等によって洗浄しても良い。得られた二酸化バナジウム含有粒子は、任意の手段により乾燥しても良い。
〔2〕水熱反応工程
本発明に係る水熱反応工程では、バナジウム含有化合物(A)、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液と、超臨界又は亜臨界状態の水と、を混合して得られる反応液(製造フロー1)、又は、バナジウム含有化合物(A)及び異種金属元素含有化合物を含む原料液と、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)を含む超臨界又は亜臨界状態の水と、を混合して得られる反応液(製造フロー2)を、それぞれ所定の温度及び圧力を付与した水熱反応部において、水熱反応させことにより、二酸化バナジウム含有粒子が得られる。
以下、本発明に係る水熱反応で適用する各材料及び条件の詳細について説明する。
〔2-1〕バナジウム含有化合物(A)、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)
本発明に適用可能なバナジウム含有化合物(二酸化バナジウム含有粒子の原料)としては、例えば、五価のバナジウム(以下、バナジウム(V)と記載する。)及び四価のバナジウム(以下、バナジウム(IV)と記載する。)が挙げられる。バナジウム(V)としては、例えば、五酸化二バナジウム(V)(V)、バナジン酸アンモニウム(V)(NHVO)、三塩化酸化バナジウム(V)(VOCl)、バナジン酸ナトリウム(V)(NaVO)等が挙げられる。バナジウム(IV)としては、例えば、シュウ酸バナジル(IV)(VOC)、酸化硫酸バナジウム(硫酸バナジルとも称する。)(IV)(VOSO)、及び四酸化二バナジウム(IV)(V)を硫酸等の酸で溶解したものが例示できる。なお、上記のバナジウム含有化合物は原料液中に溶解していても良く、分散していても良い。また、バナジウム含有化合物は1種単独で用いても良いし2種以上を混合して用いても良い。また、これらの化合物としては、水和した状態のもの(水和物)を用いても良い。
バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)としては、原料液を水熱反応させることによって二酸化バナジウム含有粒子を製造することができるものであれば、特に制限されないが、例えば、アルカリ、還元剤等が挙げられる。
具体的には、バナジウム含有化合物(A)として四価のバナジウム(IV)含有化合物を用いる場合には、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)としては、アルカリを適用する。この場合、アルカリは、製造フロー1ではバナジウム含有化合物(A)、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液に添加し、製造フロー2では超臨界又は亜臨界状態の水を形成するための水に添加される。
一方、バナジウム含有化合物(A)として五価のバナジウム(V)含有化合物を用いる場合には、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)としては、還元剤(例えば、ヒドラジン及びその水和物等)を適用することが好ましい。この場合、還元剤は、製造フロー1ではバナジウム含有化合物(A)、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液に添加し、製造フロー2では超臨界又は亜臨界状態の水を形成するための水に添加される。
次いで、バナジウム含有化合物(A)と、それに組み合わせるバナジウム含有化合物と反応する化合物(B)の詳細について説明する。
〔2-1-1〕四価のバナジウム(IV)含有化合物の場合
バナジウム(IV)含有化合物(二酸化バナジウム含有粒子の原料)は、特に制限されず、上記で列挙した化合物の中から適宜選択できる。その中でも、水熱反応後に副生成物をできるだけ生成させない観点から、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO)であることが好ましい。なお、バナジウム(IV)含有化合物は、1種単独で用いても良いし2種以上を混合して用いても良い。
反応液に含まれるバナジウム(IV)含有化合物の初期濃度は、本発明の目的効果が得られる限りにおいて特に制限されないが、好ましくは0.1~1000ミリモル/Lである。このような濃度であれば、バナジウム(IV)含有化合物を十分に溶解又は分散し、平均一次粒径が30nm以下の二酸化バナジウム含有粒子が得られ、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性、及び二酸化バナジウム含有粒子を含む光学フィルムの透明性をより高めることができる。反応液に含まれるバナジウム(IV)化合物の初期濃度は、二酸化バナジウム含有粒子の平均一次粒径、すなわち二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性、及び二酸化バナジウム含有粒子を含む光学フィルムの透明性等の観点から、より好ましくは20~600ミリモル/Lの範囲内であり、更に好ましくは50~400ミリモル/Lの範囲内である。なお、上記の「初期濃度」とは、水熱反応前における、反応液1L中のバナジウム(IV)含有化合物量(2種以上のバナジウム(IV)含有化合物を含む場合は、その合計量)である。
〈化合物(B)-1:アルカリ〉
上記したとおり、バナジウム(IV)含有化合物とともに使用可能なバナジウム含有化合物と反応する化合物(B)としては、アルカリであることが好ましい。すなわち、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)が少なくとも1種のアルカリを含む反応液を用いて行うことが好ましい。更に、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)がアルカリのみから構成されていることがより好ましい。なお、本発明でいうアルカリとは、水溶液中において水酸化物イオン(OH)を発生させる物質を意味し、それ自体が水酸化物イオンを生じる化合物の他に、それ自体が水酸化物イオンを生じるわけではなく結果的に水酸化物イオンを生じる化合物も含まれる。
アルカリとしては、特に制限されないが、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。上記アルカリは、1種単独、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、アンモニア、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましく、アンモニア又は水酸化ナトリウムがより好ましく、アンモニアが更に好ましい。
なお、アルカリ及び水より構成される原料液中のアルカリ濃度は、特に制限されないが、例えば、0.01~10mol/Lの範囲内であることが好ましく、0.1~5mol/Lの範囲内であることがより好ましい。
ここで、各原料液を混合して得られる反応液中のアルカリの量は、特に制限されないが、例えば、バナジウム含有化合物(A)、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)、異種金属元素含有化合物及び超臨界又は亜臨界状態の水により構成される反応液のpHとして、6.0~9.0の範囲内となる量を添加することが好ましく、7.0~8.0の範囲内となる量を添加することがより好ましい。
〔2-1-2〕五価のバナジウム(V)含有化合物の場合
バナジウム(V)含有化合物(二酸化バナジウム含有粒子の原料)は、特に制限されず、上記したものの中から適宜選択できる。水熱反応後に副生成物をできるだけ生成させない観点から、五酸化二バナジウム、バナジン酸アンモニウム(NHVO)又は三塩化酸化バナジウムが好ましい。より好ましくは、五酸化二バナジウム又はバナジン酸アンモニウムであり、特に好ましくはバナジン酸アンモニウムである。なお、バナジウム(V)含有化合物は、1種単独で用いても良いし2種以上を混合して用いても良い。
反応液に含まれるバナジウム(V)含有化合物の初期濃度は、本発明の目的効果が得られる限りにおいて特に制限されないが、好ましくは0.1~1000ミリモル/Lの範囲内である。このような濃度であれば、還元剤が効率良く作用し、平均一次粒径が30nm以下の二酸化バナジウム含有粒子が得られ、サーモクロミック性をより高めることができる。反応液に含まれるバナジウム(V)化合物の初期濃度は、二酸化バナジウム含有粒子の平均一次粒径、すなわち二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性等の観点から、より好ましくは20~600ミリモル/Lであり、更に好ましくは50~400ミリモル/Lである。なお、上記の「初期濃度」とは、水熱反応前における、反応液1L中のバナジウム(V)含有化合物量(2種以上のバナジウム(V)含有化合物を含む場合は、その合計量)である。
〈化合物(B)-2:還元剤〉
上記したとおり、バナジウム(V)含有化合物とともに使用可能なバナジウム含有化合物と反応する化合物(B)としては、還元剤であることが好ましい。還元剤としては、例えば、シュウ酸及びその水和物、ギ酸及びその水和物、ヒドラジン(N)及びその水和物(N・HO)、アスコルビン酸等の水溶性ビタミン類とその誘導体、エリソルビン酸ナトリウム、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム等の酸化防止剤、グルコース、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、マルトース等の還元糖が例示できる。上記還元剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明に適用する還元剤としては、ヒドラジン又はその水和物が好ましい。すなわち、水熱反応は、バナジウム(V)含有化合物と反応する化合物(B)が、ヒドラジン及びその水和物の少なくとも一方を含む反応液で行われることが好ましい。更に、バナジウム含有化合物と反応する化合物(B)が、ヒドラジン及びその水和物のいずれか一方のみであることがより好ましい。
ここで、各原料液を混合して得られる反応液中の還元剤の量は、バナジウム(V)含有化合物(A)に対して反応時のpHや反応中に分解する量も考慮して当モル以上添加することが好ましい。例えば、還元剤量は、バナジウム(V)含有化合物1モルに対しておおむね0.2~1.0モルの範囲内であることがより好ましく、0.25~0.80モルの範囲内であることが更に好ましい。
また、バナジウム含有化合物として五酸化二バナジウム(V)(V)を用いる場合は、水熱反応前に、過酸化水素の存在下で前処理を行うことが好ましい。過酸化水素を添加することにより、バナジウム含有化合物を均一に溶解することができる。又は、バナジウム含有化合物は、水熱反応前に、過酸化水素、還元剤の存在下で前処理を行っても良い。過酸化水素による前処理の後に還元剤による還元反応を採用する場合は、過酸化水素、還元剤を順次添加して、例えば、20~40℃の温度範囲内で、必要に応じて撹拌しながら0.5~10時間程度反応を行うことができる。
なお、各原料液を混合して得られる反応液のpHは、使用するバナジウム(V)含有化合物によって好ましいpHの範囲が異なり、還元剤の添加量により、所望のpHに調整することが好ましい。例えば、バナジン酸アンモニウム(NHVO)の場合は、pHが8.0~11.0の範囲内となる量を添加することが好ましく、9.0~10.0の範囲内となる量を添加することがより好ましい。五酸化二バナジウム又は三塩化酸化バナジウムの場合は、pHが3.5~5.5の範囲内となる量を添加することが好ましく、4.0~5.0の範囲内となる量を添加することがより好ましい。
〔2-2〕異種金属元素含有化合物
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法では、異種金属元素を含有する異種金属元素含有化合物を添加する。
本発明において、異種金属元素とは、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、スズ(Sn)及びチタン(Ti)から選ばれる元素であり、中でも、本発明の効果発現の観点からタングステン(W)及びモリブデン(Mo)から選ばれる元素であることが好ましい。
異種金属元素含有化合物としては、上記異種金属元素を含有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記異種金属元素の酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。より具体的な例としては、例えば、タングステン酸アンモニウムパラ五水和物((NH101241・5HO)等を挙げることができる。
異種金属元素含有化合物の反応液への添加方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。反応液への添加方法としては、バナジウム含有化合物及び水を含む原料液に添加されることが好ましい。例えば、図3に示す流通式反応装置1においては、第1原料液容器5に対してバナジウム含有化合物(A)を添加する前又は後に、異種金属元素含有化合物を添加すれば良い。また、第1原料液容器5にバナジウム含有化合物と反応する化合物(B)を添加する場合には、その前に異種金属元素含有化合物を添加することが好ましい。
また、水熱反応前の反応液へ直接添加される方法も用いることもできる。
ここで、異種金属元素含有化合物の添加量は、異種金属元素の添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.2~10.0atm%の範囲内となるように、供給することを特徴とする。また、異種金属元素としてタングステンを用いる場合、タングステンの添加量がバナジウム(100atm%)に対して0.5~2.0atm%の範囲内となるように異種金属元素含有化合物を添加することで、相転移の熱ヒステリシス幅を更に小さくでき、相転移温度をより実用的な温度範囲に調整できるため好ましい。また、異種金属元素としてモリブデンを用いる場合、モリブデンの添加量がバナジウム(100atm%)に対して1.0~10.0atm%の範囲内となるように異種金属元素含有化合物を添加することで、相転移の熱ヒステリシス幅を更に小さくでき、相転移温度をより実用的な温度範囲に調整できるため好ましい。
反応液に異種金属元素含有化合物を含有させることで、異種金属元素がドープされた二酸化バナジウム含有粒子を得ることができ、これにより、当該二酸化バナジウム含有粒子の相転移温度を調整することができる。
〔2-3〕水熱反応条件:温度、圧力
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法において、水熱反応工程では、反応液を水熱反応させて二酸化バナジウム含有粒子を形成する。なお、ここでいう「水熱反応」とは、高温の水、特に高温高圧の水の存在下で行われる鉱物の合成又は変質反応、すなわち化学反応を意味する。
本発明における水熱反応は、温度が150℃以上であり、かつ圧力が飽和蒸気圧よりも上である状態、すなわち水が超臨界又は亜臨界状態で存在している状態で行われることを特徴とする。このような高温高圧条件下で反応を行うことにより、水がほとんど存在し得ない常圧高温の場合と異なり、高圧では、水の存在により特異な反応が起こることが知られている。また、シリカやアルミナ等の酸化物の溶解性が向上し、反応速度が向上することも知られている。
本発明においては、上記で示したような条件で水熱反応を行うことで、形成される二酸化バナジウム含有粒子の平均一次粒径を30nm以下にすることができ、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性及び二酸化バナジウム含有粒子を含む光学フィルムの透明性を向上(ヘイズの減少)することができる。
これらの優れた効果は、詳細なメカニズムは不明であるが、上記で示したような条件下の水熱反応によって、析出した二酸化バナジウムの微結晶の結晶成長が抑制されることで達成されると推測される。
水熱反応条件は、水が超臨界又は亜臨界状態で存在する条件である温度が150℃以上であり、かつ圧力が飽和蒸気圧よりも上であれば特に制限されず、他の条件(例えば、反応物の量、反応温度、反応圧力、反応時間など)に応じて適宜設定することができる。
ここで、150℃、250℃、270℃及び350℃における飽和水蒸気圧はそれぞれ、0.48MPa、3.98MPa、5.51MPa及び16.54MPaである。また、温度が374.15℃以上であり、かつ圧力が22.12MPa以上であると、水は超臨界状態となる。
水熱反応における温度及び圧力の条件としては、前述のように150~500℃の範囲内であり、かつ圧力が飽和蒸気圧よりも上である状態であれば特に制限されないが、温度が300~500℃の範囲内にあり、圧力が10~40MPaの範囲内にあり、かつ設定温度における飽和蒸気圧よりも上の圧力となる条件であることがより好ましい条件である。温度が300℃以下であると、水の誘電率が高く、平均一次粒径が100nm以上の粗大粒子が生成してしまい、サーモクロミック性の低下が発生する。また、温度が500℃以上であると、二次凝集を引き起こし分散粒径が200nm以上となり、同様にサーモクロミック性が低下する。同様の観点から、温度が350~450℃の範囲内であり、圧力が20~40MPaの範囲内であり、かつ設定温度における飽和蒸気圧よりも上の圧力となる条件であることが更に好ましく、温度が380~400℃の範囲内で、圧力が25~30MPaの範囲内の超臨界水の存在下で水熱反応を行うことが更に好ましい。
本発明においては、水熱反応時間は、2~1000秒の範囲内とすることを特徴とする。上記の条により、平均一次粒径が30nm以下の二酸化バナジウム含有粒子を効率良く製造できる。また、二酸化バナジウム含有粒子の結晶性が低くなるおそれを回避できる。なお、上記水熱反応は、同じ条件を用いて1段階で行われても良いし、条件を変化させて多段階で行われても良い。本発明に係る水熱反応は、撹拌しながら実施することが好ましい。撹拌により、二酸化バナジウム含有粒子をより均一に調製できる。
〔3〕各種添加剤
〔3-1〕表面修飾剤
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法においては、水熱反応直後の二酸化バナジウム含有粒子を含む反応液に対し、表面修飾剤を添加することができる。
水熱反応により形成した二酸化バナジウム含有粒子を含む反応液に表面修飾剤を添加することによって、二酸化バナジウム含有粒子の凝集が有効に抑制・防止され、二酸化バナジウム含有粒子の大きさ(粒径)をより小さくし、粒径分布も狭くして、二酸化バナジウム含有粒子の分散安定性及び保存安定性をより向上できる。ゆえに、二酸化バナジウム含有粒子によるヘイズが低下し、また、サーモクロミック性を有効に発現させることができる。
表面修飾剤は、ヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、水等で適宜希釈して、溶液の形態で水熱反応後の反応液と混合されることが好ましい。また、表面修飾剤によって導入される有機官能基中の炭素原子数は、1~6であることが好ましい。これにより耐久性を向上させることができる。また、表面修飾剤を含む溶液は、pH調節剤を用いて適当なpH値(例えば、2~12)に調節しても良い。ここで、pH調節剤としては、特に制限されず、後述のpH調節剤と同様のものを使用できる。
表面修飾剤を使用する場合の表面修飾剤の添加量は、特に制限されないが、水熱反応により得られた二酸化バナジウム含有粒子の質量に対して、0.1~100質量%の範囲内であることが好ましく、1~10質量%の範囲内であることがより好ましい。
表面修飾剤の添加は、二酸化バナジウム含有粒子表面を修飾する観点から、水熱反応直後(反応終了時点の直後)に開始することが好ましい。具体的には反応終了時点から10秒以内に添加を行うことが好ましく、5秒以内に添加を行うことがより好ましい。
表面修飾剤の添加方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、図3に記載の流通式反応装置1を用いる場合は、水熱反応直後の反応液に対して、表面修飾剤(又は表面修飾剤を含む溶液)を、タンク10からポンプ12で流路11を介して、加熱部配管17に合流させることで、反応液と混合することができる。
表面修飾剤を含む溶液が流路11を通過(流通)する速度(流通速度)は、特に制限されないが、好ましくは0.01~10mL/秒の範囲内であり、より好ましくは0.1~5mL/秒の範囲内である。
このような流通速度であれば、表面修飾剤と二酸化バナジウム含有粒子とを十分接触させて、有機部位の割合が小さいため耐久性は確保したまま、表面修飾剤による効果(粒子の凝集抑制効果、分散安定性や保存安定性)を有効に発揮させることができる。
水熱反応後の反応液と表面修飾剤との混合位置(流路11の設置位置)は、特に制限されないが、表面修飾剤の添加を水熱反応直後に開始するために、水熱反応部16の出口OUTの直後に配置することが好ましい。また、流通式反応装置1のように、水熱反応部16の後に冷却部8を有する場合は、図3で示すように、水熱反応部16の直後であって冷却部8の前に配置することが好ましい。
なお、表面修飾剤とともに、後述のpH調整剤、後述の冷却工程における冷却媒体を用いる場合は、タンク10、流路11及びポンプ12と同様の部材により構成される別ラインを個別に設けても良い。
ここで、本発明に適用可能な表面修飾剤としては、例えば、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニア化合物、界面活性剤及びシリコーンオイル等を挙げることができる。表面修飾剤の反応性基の数は、特に制限されないが、1又は2であることが好ましい。
〈有機ケイ素化合物〉
本発明に適用可能な表面修飾剤の具体例として有機ケイ素化合物(有機シリケート化合物)が挙げられ、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラエトキシシラン(オルトケイ酸テトラエチル)、トリメチルシリルクロライド、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。また、有機ケイ素化合物は市販品としても入手することができ、例えば、SZ6187(東レ・ダウシリコーン社製)等を好適に用いることができる。
これらの有機ケイ素化合物のうち、分子量が250g/mol以下であり、高い耐久性を示す有機シリケート化合物を用いることが好ましく、特に、ヘキサメチルジシラザン、テトラエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルシリルクロライドを用いることがより好ましい。
〈有機チタン化合物〉
有機チタン化合物としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、キレート化合物として、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、リン酸チタン化合物、チタンオクチレンギリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート等が挙げられる。また、有機チタン化合物は市販品としても入手することができ、例えば、プレンアクトTTS、プレンアクトTTS44(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられる。
〈有機アルミニウム化合物〉
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムtert-ブトキシド等が挙げられる。
〈有機ジルコニア化合物〉
有機ジルコニア化合物としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。
〈界面活性剤〉
界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性剤の親水基としては、具体的には、ヒドロキシ基、炭素数1以上のヒドロキシアルキル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基等が挙げられる。ここで、アミノ基は1級、2級、3級のいずれであっても良い。界面活性剤の疎水基としては、具体的にはアルキル基、アルキル基を有するシリル基、フルオロアルキル基等が挙げられる。
ここで、アルキル基は、置換基として芳香環を有していても良い。界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1個ずつ有していれば良く、各基を2個以上有していても良い。このような界面活性剤としては、より具体的には、ミリスチルジエタノールアミン、2-ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシドデシルアミン、2-ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシトリデシルアミン、2-ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ-2-ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素数8~18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素数8~18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、パーフルオロアルケニル、パーフルオロアルキル化合物等が挙げられる。
〈シリコーンオイル〉
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイルや、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、異種官能基変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有変性シリコーンオイル及びフッ素変性シリコーン等の変性シリコーンオイルが挙げられる。
〔3-2〕pH調整剤
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法においては、水熱反応直後の反応液に対し、更に、pH調整剤を添加するものとしても良い。
pH調整剤としては、特に制限されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸(水和物を含む)、水酸化アンモニウム、アンモニア等の有機又は無機の酸又はアルカリ等を用いることができる。
水熱反応後の反応液のpHは、二酸化バナジウム含有粒子の粒径、粒径分布、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性及び二酸化バナジウム含有粒子を含む光学フィルムの透明性の観点から、3.0~9.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは4.0~7.0の範囲内である。なお、pH調節剤は、水熱反応においてバナジウム含有化合物と反応する化合物として用いたアルカリ、及び還元剤等と同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
上記pH調整剤は、メタノール、エタノール、水等で適宜希釈して、溶液の形態で水熱反応後の反応液と混合されることが好ましい。
pH調整剤の添加方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、図3に示す流通式反応装置1を用いる場合は、水熱反応直後の反応液に対して、pH調整剤(又はpH調整剤を含む溶液)を、タンク10からポンプ12で流路11を経由して、反応液と混合することができる。
水熱反応後の反応液とpH調整剤との混合位置(流路11の設置位置)としては、特に制限されないが、表面修飾剤の添加を水熱反応後に開始する観点からは、水熱反応部16の後に配置することが好ましい。また、流通式反応装置1のように、水熱反応部16の後に冷却部8を有する場合は、図3に示すように、水熱反応部16の後であって、冷却部8の前に配置しても良いし、冷却部8の後であってタンク9の前に配置されていても良い。
なお、pH調整剤とともに、前述の表面修飾剤や後述の冷却工程における冷却媒体を用いる場合は、タンク10、流路11及びポンプ12より構成される供給ラインは、それぞれ個別に設けられていても良い。また、pH調整剤及び表面修飾剤、あるいはpH調整剤及び冷却媒体を混合し、1つの供給ラインにより供給させる方法であっても良い。
また、pH調整剤の添加が、後述する冷却工程よりも前に行われる場合は、これらの添加は水熱反応工程に含まれるものとし、下記の冷却工程以後に行われる場合は、冷却工程に含まれるものとする。
〔4〕冷却工程
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応工程に加えて、水熱反応後の反応液(二酸化バナジウム含有粒子を含む分散液)を冷却する冷却工程を更に有することが好ましい。図3に示す流通式反応装置1を用いる場合、冷却部8により行うことができる。
冷却工程は、水熱反応を所定時間行って(反応終了時点)から1分以内に、水熱反応後の反応液の冷却を開始することが好ましいが、反応液全量をこの時間内に冷却することが難しい場合は、反応時間に幅を持たせて反応液を反応温度に保ちながら所定量ずつ順次冷却しても良い。
本工程では、冷却速度は適宜調整することができる。
水熱反応後の反応液の冷却方法は、特に制限されず、公知の方法と同様にして、又は適宜変更して適用できる。冷却方法としては、例えば、水熱反応後の反応液を必要であれば撹拌しながら冷却媒体中に浸漬する方法、水熱反応後の反応液と冷却媒体(特に水)とを混合する方法、水熱反応後の反応液にガス状の冷却媒体(例えば、液体窒素)を通過させる方法等が挙げられる。これらのうち、冷却速度の制御が容易である点から、図3で例示するように、水熱反応後の反応液と冷却媒体とを配管を介して接触させる方法が好ましい。ここで、少なくとも、流通式反応装置1において、冷却は、水熱反応部16に、直接又は他の構成部分を介して接続された、冷却部8を用いて行われることが好ましい。
流通式反応装置1において、水熱反応部16に接続され、内部に流路18を有する冷却部8を用いた冷却方法について説明する。なお、本発明に用いることができる冷却方法は、以下で説明する形態に限定されない。
本発明に係る冷却方法としては、水熱反応後の反応液を流通式反応装置1の流路18を通過(流通)させることにより冷却することが好ましい。すなわち、図3に示すように、水熱反応部16の下流側で、二酸化バナジウム含有粒子を含む反応液を冷却部8の流路18を通過(流通)させることにより冷却を行う。冷却部8には、冷却媒体Cが流入し、流路18を外面より冷却している。
また、他の方法としては、冷却媒体(例えば、水)と混合して冷却することを目的として、流通式反応装置1において、前述のようにタンク10を表面修飾剤やpH調整剤の供給に用いる方法に代えて、あるいは同様の添加ラインを別に設けて、冷却媒体を直接添加しても良い。このとき、冷却媒体を、流路11を介して流通させるためのポンプ12を更に有しても良い。
また、この場合、冷却媒体としては、pH調整剤が媒体として水等に溶解されている形態では、pH調整効果を有する冷却媒体として用いても良い。
冷却媒体を使用する場合の、冷却媒体の水熱反応後の反応液との混合割合は、所望の冷却速度を達成できる限り、特に制限されない。例えば、冷却媒体を、水熱反応後の反応液に比して、1~2000倍(体積比)、より好ましくは10~1000倍(体積比)の割合で混合することが好ましい。なお、上記混合割合は、水熱反応後の反応液及び冷却媒体の流通速度を上記したような割合になるように設定することによって制御できる。
また、冷却媒体の温度は、特に制限されないが、二酸化バナジウムの相転移温度(約68℃)より高いことが好ましく、70~95℃であることがより好ましい。上記に代えて又は上記に加えて、水熱反応後の反応液を水と混合してから5分間以上、水熱反応後の反応液と水との混合物の温度を70~95℃に維持することがより好ましい。このような温度に設定することによって、所望のルチル型結晶相(R相)の二酸化バナジウムの純度をより向上できる。なお、水熱反応直後の反応液と水との混合物の温度を維持する時間の上限は、特に制限されないが、水熱反応直後の反応物を水と混合してから10分以下であれば十分である。
冷却媒体を使用する場合には、水熱反応後の反応液と冷却媒体(好ましくは水)との混合物のpHは、特に制限されないが、液温25℃に換算したとき4.0~7.0の範囲内であることが好ましい。上記の範囲内にpHを設定することによって、粒子形成(結晶析出)後の二酸化バナジウム含有粒子の安定性を向上できる。ゆえに、所望のルチル型結晶相(R相)の二酸化バナジウムの純度をより向上し、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性をより有効に向上できる。なお、このようなpH値の達成手段としては、特に制限されず、前述のpH調整剤を冷却工程前の水熱反応後の反応液に添加する方法でも良いし、冷却工程においてpH調整剤が混合された冷却媒体を用いる方法でも良い。
冷却媒体を使用する場合について、水熱反応後の反応液と冷却媒体との混合位置(流路11の設置位置)は、特に制限されないが、水熱反応後の反応液の冷却効率等を考慮すると、流路11が、出口OUTから10~500mmの距離の位置で流路18に連結されていることが好ましい。
冷却された水熱反応後の反応液(冷却液)は、制御弁19を経由して、タンク9に貯留される。貯留後は、濾過(例えば、限外濾過)や遠心分離により、分散媒や溶媒の置換を行い、二酸化バナジウム含有粒子を水やアルコール(例えば、エタノール)等によって洗浄しても良い。また、得られた二酸化バナジウム含有粒子は、任意の手段により乾燥しても良い。
《二酸化バナジウム含有粒子の特性値》
二酸化バナジウム含有粒子の平均一次粒径は、30nm以下の範囲内であることが好ましく、1~30nmの範囲内であることがより好ましく、1~25nmの範囲内であることが更に好ましく、1~15nmの範囲内であることが特に好ましく、1~10nmの範囲内であることが最も好ましい。このような粒径の二酸化バナジウム含有粒子であれば、ヘイズを良好に下げ、サーモクロミック性を効果的に発現させることができる。
二酸化バナジウム含有粒子の平均一次粒径は、次のようにして測定することができる。すなわち、走査型電子顕微鏡(日立社製、Hitachi S-5000型)により撮影したSEM写真(1100nm×950nm)において、寸法及び形状が最も普遍的な粒子30個を選定し、各粒子の面積を測定し、同一の面積を有する円の直径を粒子の粒径としてその平均値を求め、これを平均一次粒径とする。
また、二酸化バナジウム含有粒子の相転移温度は、実用性の観点から、50℃以下であることが好ましく、40~50℃の範囲内であることがより好ましい。
また、二酸化バナジウム含有粒子の相転移の熱ヒステリシス幅は、0℃以上25℃未満の範囲内であることが好ましく、0℃以上15℃未満の範囲内であることがより好ましい。
また、二酸化バナジウム含有粒子の粒径度分布は、特に制限されないが、多分散指数(PDI)を指標とした場合に、多分散指数(PDI)が、0.30未満であることが好ましく、0.01~0.25の範囲内であることがより好ましく、0.01~0.15の範囲内であることが更に好ましく、0.01~0.10の範囲内であることが特に好ましく、0.01~0.08の範囲内であることが最も好ましい。このような多分散指数(PDI)を示す粒径分布を有する二酸化バナジウム含有粒子であれば、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性及び当該二酸化バナジウム含有粒子を適用した光学フィルムの透明性を有効に向上できる。なお、本発明でいう二酸化バナジウム含有粒子の粒度分布を示す「多分散指数(PDI)」は、下記の方法によって測定された値を採用する。
二酸化バナジウム含有粒子及び水を含有する分散液を、それぞれ分散液の総質量に対して二酸化バナジウム含有粒子の濃度が0.01質量%となるよう水と混合して調製し、これを超音波で15分間分散して測定用サンプルを調製する。次いで、動的光散乱解析装置(DLS-8000、大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱(Dynamic Light Scattering,DLS)法によって、流体力学的直径(nm)を測定し、これに基づいてキュムラント解析による粒径分布が正規分布すると仮定して算出した数値を多分散指数(PDI)とする。
《二酸化バナジウム含有粒子を含む分散液》
分散液としては、水熱反応工程後の反応液又は冷却工程後の冷却液(反応液)をそのまま分散液として用いても、あるいは水熱反応工程後の反応液又は冷却液(反応液)に水やアルコール等を添加して希釈し、水熱反応工程後の反応液又は冷却液(反応液)の分散媒を水やアルコール等に交換して分散液として調製しても良い。また、水熱反応工程後の反応液から二酸化バナジウム含有粒子を取り出し、乾燥させた後に、後述する分散媒中に分散させることで分散液を調製しても良い。
二酸化バナジウム含有粒子を分散させる方法は、特に制限されず、公知の分散装置、例えば、超音波分散機を用いて行うものとしても良い。
分散液の分散媒は、水のみからなるものであっても良いが、例えば、水に加えて0.1~10質量%(分散液中)程度の有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン等のケトン類等を含んでも良い。また、分散媒としては、リン酸緩衝液、フタル酸緩衝液等を用いることもできる。
分散液には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フタル酸、水酸化アンモニウム、アンモニア等の有機又は無機の酸又はアルカリが含有されて、所望のpHに調節されていても良い。
分散液中での二酸化バナジウム含有粒子の凝集が抑制されるという観点から、分散液のpHは液温25℃において4~7であることが好ましい。
分散液中での二酸化バナジウム含有粒子の濃度は、分散安定性の観点から、分散液の総質量に対して、0.01~40質量%の範囲内であることが好ましく、0.5~40質量%の範囲内であることがより好ましく、1~30質量%の範囲内であることが更に好ましい。
《光学フィルム》
本発明の光学フィルムは、上記した本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子を含有する。より具体的には、本発明の光学フィルムは、透明基材と、光学機能層と、を備え、当該光学機能層が、樹脂と、上記した本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子と、を含有することが好ましい。
光学フィルムに適用可能な透明基材としては、透明であれば特に制限はなく、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができるが、フレキシブル性の付与や生産適性(ロールtoロール適性)の観点から、透明樹脂フィルムであることが好ましい。本発明でいう透明基材における「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
透明基材の厚さは、30~200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30~100μmの範囲内であり、更に好ましくは35~70μmでの範囲内である。透明基材の厚さが30μm以上であれば、取扱い中にシワ等が発生しにくくなり、また厚さが200μm以下であれば、合わせガラス作製時、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性が良くなる。
透明基材は、光学フィルムのシワの生成や赤外線反射層の割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1~3.0%の範囲内であることが好ましく、1.5~3.0%の範囲内であることがより好ましく、1.9~2.7%の範囲内であることが更に好ましい。
光学フィルムに適用可能な透明基材としては、上述のように、透明であれば特に制限されることはないが、種々の透明樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムであり、より好ましくはポリエステルフィルムである。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等を挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性等の点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4-シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
透明樹脂フィルムとしては、二軸配向ポリエステルフィルムであることが特に好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸された一軸延伸ポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明において光学フィルムを具備した合わせガラスが、自動車のフロントガラスとして用いられる場合には、延伸フィルムがより好ましい。
透明基材として透明樹脂フィルムを用いる場合、取り扱いを容易にするために、透明性を損なわない範囲内で微粒子を含有させても良い。当該透明樹脂フィルムに適用可能な微粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機微粒子や、架橋高分子微粒子、シュウ酸カルシウム等の有機微粒子を挙げることができる。また、微粒子を添加する方法としては、フィルムを形成する原料とする樹脂(例えば、ポリエステル等)中に、微粒子を含有させる方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用しても良く、二つの方法を併用しても良い。透明樹脂フィルムには必要に応じて上記微粒子の他にも各種添加剤を加えても良い。このような添加剤としては、例えば、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料及び紫外線吸収剤等が挙げられる。
透明基材である透明樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を溶媒と混合してドープを調製し、当該ドープを連続支持体上に流延することで製膜を行い、連続回転する無端の支持体上で一部乾燥を行った後に、無端支持体から剥離し、その後十分乾燥を行うとともに、任意に乾燥中や乾燥後に延伸処理を行うことにより、未延伸又は延伸された透明樹脂フィルムを製造する溶液流延法を用いることができる。また、例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の透明樹脂フィルムを製造する溶融流延法を用いることもできる。
また、未延伸の透明樹脂フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、透明樹脂フィルムの搬送方向(縦軸方向、MD方向)又は透明樹脂フィルムの搬送方向とは直角の横軸方向(幅手方向、TD方向)に延伸することにより、延伸透明樹脂フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、透明樹脂フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2~10倍の範囲内で延伸することが好ましい。また、当該延伸処理は、あらかじめ延伸された透明樹脂フィルムに対して更に行っても良い。
透明樹脂フィルムは、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行っても良い。弛緩処理は、例えば、ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、又はテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われることが好ましい。弛緩処理は処理温度が80~200℃の範囲内で行われることが好ましく、より好ましい処理温度は100~180℃の範囲内である。また、搬送方向、横軸方向ともに、弛緩率が0.1~10%の範囲で行われることが好ましく、弛緩率が2~6%の範囲内で行われることがより好ましい。弛緩処理された透明基材は、オフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、更に、寸法安定性が良好になる。
透明樹脂フィルムは、製膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することができる。透明樹脂フィルムに対して有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等が挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下引層の塗布量としては、0.01~2g/m(乾燥状態)程度とすることができる。
透明基材上には、樹脂及び本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子を含有する光学機能層が設けられる。
ここで、樹脂としては、特に制限されず、広く一般に光学フィルムの光学機能層に使用されるものと同様の樹脂が使用でき、好ましくは水溶性高分子が使用できる。ここでいう「水溶性高分子」とは、25℃の水100gに0.001g以上溶解する高分子のことをいう。水溶性高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ゼラチン(例えば、特開2006-343391号公報記載のゼラチンを代表とする親水性高分子)、デンプン、グアーガム、アルギン酸塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ナフタリンスルホン酸縮合物や、アルブミン、カゼイン等の蛋白質、アルギン酸ソーダ、デキストリン、デキストラン、デキストラン硫酸塩等の糖誘導体等を挙げることができる。
光学機能層における二酸化バナジウム含有粒子の含有量は、所望のサーモクロミック性を得る観点から、光学機能層の総質量に対して1~60質量%の範囲内であることが好ましく、5~50質量%の範囲内であることがより好ましい。
光学機能層には、目的とする効果を損なわない範囲で、従来公知の各種添加剤を使用することができる。適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57-74193号公報、特開昭57-87988号公報及び特開昭62-261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57-74192号公報、特開昭57-87989号公報、特開昭60-72785号公報、特開昭61-146591号公報、特開平1-95091号公報及び特開平3-13376号公報等に記載の退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59-42993号公報、特開昭59-52689号公報、特開昭62-280069号公報、特開昭61-242871号公報及び特開平4-219266号公報等に記載の蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤等が挙げられる。
光学フィルムの製造方法(光学機能層の形成方法)としては、特に制限されず、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子を使用する以外は、公知の方法と同様にして又は適宜変更して適用できる。具体的には、二酸化バナジウム含有粒子を含む塗布液を調製し、当該塗布液を湿式塗布方式により透明基材上に塗布、乾燥して光学機能層を形成する方法が好ましい。
上記方法において、湿式塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書等に記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
《二酸化バナジウム含有粒子101の調製》
酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO)19.0gをイオン交換水に溶解して300mLとし、この液を撹拌しながら、アルカリとして3.0mol/LのNH水溶液を68g添加して液温25℃におけるpHを8.0として、反応液1を調製した。この反応液1を内容積が500mLのオートクレーブに入れ、250℃、3.98MPaで8時間、水熱反応処理を行った。
水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄した。更に、この残渣を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子101を得た。
《二酸化バナジウム含有粒子102~106の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子101の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するタングステンの原子比が表1に記載のとおりになるようにタングステン酸アンモニウム((NH101241・5HO、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水に溶解した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子102~106を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子107~111の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子101の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するモリブデンの原子比が表1に記載のとおりになるように七モリブデン酸六アンモニウム((NHMo24・4HO、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水に溶解した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子107~111を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子112~116の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子101の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するタンタルの原子比が表1に記載のとおりになるように塩化タンタル(TaCl、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水に溶解した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子112~116を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子117~121の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子101の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するニオブの原子比が表1に記載のとおりになるように塩化ニオブ(NbCl、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水に溶解した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子117~121を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子122~126の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子101の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するスズの原子比が表1に記載のとおりになるようにスズ酸ナトリウム三水和物(NaSnO・3HO、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水に溶解した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子122~126を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子127~131の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子101の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するチタンの原子比が表1に記載のとおりになるように塩化チタン溶液(TiCl、和光純薬工業(株)製)を添加した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子127~131を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子132の調製》
図3に示す流通式反応装置1の第1原料液容器5に、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO)19.0gを投入し、イオン交換水に溶解して300mLとし、この液を撹拌しながら、アルカリとして3.0mol/LのNH水溶液を68mL添加して、液温25℃におけるpHが8.0の原料液1を調製した。一方、流通式反応装置1の第2原料液容器2にはイオン交換水を原料液2として投入した。
酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1を、第1原料液容器5から流路6内をポンプ7により送液し、加熱媒体15で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2であるイオン交換水を、第2原料液容器2から流路3内をポンプ4により送液し、加熱媒体13で、440℃で、30MPaの条件で加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、合流点MPで酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1と、超臨界水である原料液2を、体積比として、原料液1:原料液2=1:4となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部16に送液した。水熱反応部16では、加熱媒体14内に配置されている加熱部配管17に送液した。加熱部配管17における水熱反応条件としては、400℃、30MPaの条件で、処理時間(通過時間)を2秒となる条件で行い、二酸化バナジウム(VO)含有粒子を調製した。次いで、冷却部8にて反応液2を冷却し、二酸化バナジウム含有粒子及び水を含有する分散液を調製した。
調製した分散液をろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄した。更に、この残渣を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子132を得た。
《二酸化バナジウム含有粒子133~138の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子132の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するタングステンの原子比が表2に記載のとおりになるようにタングステン酸アンモニウム((NH101241・5HO、和光純薬工業(株)製)を投入した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子133~138を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子139~143の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子132の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するモリブデンの原子比が表2に記載のとおりになるように七モリブデン酸六アンモニウム((NHMo24・4HO、和光純薬工業(株)製)を投入した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子139~143を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子144~148の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子132の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するタンタルの原子比が表2に記載のとおりになるように塩化タンタル(TaCl、和光純薬工業(株)製)を投入した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子144~148を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子149~153の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子132の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するニオブの原子比が表2に記載のとおりになるように塩化ニオブ(NbCl、和光純薬工業(株)製)を投入した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子149~153を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子154~158の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子132の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するスズの原子比が表2に記載のとおりになるようにスズ酸ナトリウム三水和物(NaSnO・3HO、和光純薬工業(株)製)を投入した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子154~158を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子159~163の調製》
上記二酸化バナジウム含有粒子132の調製において、酸化硫酸バナジウム(IV)とともに、バナジウムに対するチタンの原子比が表2に記載のとおりになるように塩化チタン溶液(TiCl、和光純薬工業(株)製)を投入した以外は同様にして、二酸化バナジウム含有粒子159~163を調製した。
《二酸化バナジウム含有粒子の評価》
上記調製した各二酸化バナジウム含有粒子について、下記の各評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
(1)相転移の熱ヒステリシス幅の評価
上記調製した各二酸化バナジウム含有粒子に対して、示差走査熱量測定機(DSC)を用いて下記条件にて測定を行い、降温時に観測される発熱ピークのピークトップ値と、昇温時に観測される吸熱ピークのピークトップ値との差を求め、これを相転移の熱ヒステリシス幅とした。
<測定条件>
走査温度域:-20~100℃
昇温速度:10℃/分
降温速度:10℃/分
得られた相転移の熱ヒステリシス幅を下記基準に従って評価した。
○:15℃未満
△:15℃以上25℃未満
×:25℃以上
(2)平均一次粒径の測定
走査型電子顕微鏡(日立社製、Hitachi S-5000型)により、上記調製した各二酸化バナジウム含有粒子を撮影し、SEM写真(1100nm×950nm)を得た。得られたSEM写真において、寸法及び形状が最も普遍的な粒子30個を選定し、各粒子の面積を測定し、同一の面積を有する円の直径を粒子の粒径としてその平均値を求め、これを平均一次粒径とした。
(3)相転移温度の測定及び評価
上記相転移の熱ヒステリシス幅の評価において得られた昇温時に観測される吸熱ピークを相転移温度として求めた。得られた相転移温度を下記基準に従って評価した。
○:40℃以上50℃以下
△:40℃未満又は50℃超
Figure 0007088011000001
Figure 0007088011000002
表1及び表2に示す結果より明らかなように、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、比較例に係る二酸化バナジウム含有粒子よりも、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径が小さくなっていることが分かる。これにより、本発明のように、流通式反応装置にバナジウム含有化合物及び異種金属元素含有化合物を供給して水熱合成する工程を行うことで、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径が小さい二酸化バナジウム含有粒子を得ることができるといえる。
また、二酸化バナジウム含有粒子133~143と、二酸化バナジウム含有粒子144~163との比較から、異種金属元素としてタングステン又はモリブデンを用いることで、相転移の熱ヒステリシス幅を小さくしやすく、相転移温度を実用的な温度範囲内に調整しやすいといえる。
また、二酸化バナジウム含有粒子133~138の比較から、異種金属元素としてタングステンを用いた場合、添加量をバナジウム(100atm%)に対して0.5~2.0atm%の範囲内とすることで、相転移の熱ヒステリシス幅をより小さく、相転移温度をより実用的な温度範囲内に調整することができるといえる。
また、二酸化バナジウム含有粒子139~143の比較から、異種金属元素としてモリブデンを用いた場合、添加量をバナジウム(100atm%)に対して1.0~10.0atm%の範囲内とすることで、相転移の熱ヒステリシス幅をより小さく、相転移温度をより実用的な温度範囲内に調整することができるといえる。
以上のように、本発明は、相転移の熱ヒステリシス幅が小さく、かつ、平均一次粒径が小さい二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、そのような二酸化バナジウム含有粒子、及びそれを用いた光学フィルムを提供することに適している。
1 流通式反応装置
2 第2原料液容器
3、6、11、18 流路
4、7、12 ポンプ
5 第1原料液容器
8 冷却部
9、10 タンク
13、14、15 加熱媒体
16 水熱反応部
17 加熱部配管
19 制御弁
C 冷媒
IN 入口
OUT 出口

Claims (8)

  1. 異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満の二酸化バナジウム含有粒子を製造する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、
    流通式反応装置において、バナジウム含有化合物、異種金属元素含有化合物及び水を含む原料液と、当該バナジウム含有化合物と反応する化合物と、超臨界又は亜臨界状態の水とを混合して反応液とし、
    前記異種金属元素が、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、スズ及びチタンから選ばれる元素であり、
    前記異種金属元素の添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.2~10.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給し、
    前記反応液の通過時間を、2~1000秒の範囲内とする
    水熱合成の工程を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  2. 前記二酸化バナジウム含有粒子の相転移の熱ヒステリシス幅が15℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  3. 前記異種金属元素が、タングステン及びモリブデンから選ばれる元素であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  4. タングステンの添加量が、バナジウム(100atm%)に対して0.5~2.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  5. モリブデンの添加量が、バナジウム(100atm%)に対して1.0~10.0atm%の範囲内となるように、前記異種金属元素含有化合物を供給することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  6. 異種金属元素がドープされ、平均一次粒径が30nm以下かつ相転移の熱ヒステリシス幅が25℃未満であり、
    前記異種金属元素が、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、スズ及びチタンから選ばれる元素である
    ことを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子。
  7. 請求項に記載の二酸化バナジウム含有粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
  8. 透明基材と、
    光学機能層と、を備え、
    前記光学機能層が、樹脂と、請求項に記載の二酸化バナジウム含有粒子と、を含有することを特徴とする光学フィルム。
JP2018529806A 2016-07-29 2017-07-19 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有粒子及び光学フィルム Active JP7088011B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016149112 2016-07-29
JP2016149112 2016-07-29
PCT/JP2017/026090 WO2018021111A1 (ja) 2016-07-29 2017-07-19 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有粒子及び光学フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018021111A1 JPWO2018021111A1 (ja) 2019-05-16
JP7088011B2 true JP7088011B2 (ja) 2022-06-21

Family

ID=61016095

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018529806A Active JP7088011B2 (ja) 2016-07-29 2017-07-19 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有粒子及び光学フィルム

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP7088011B2 (ja)
CN (1) CN109476503B (ja)
WO (1) WO2018021111A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7567190B2 (ja) 2020-03-27 2024-10-16 住友金属鉱山株式会社 晶析設備の運転方法
WO2022085494A1 (ja) * 2020-10-21 2022-04-28 アートビーム有限会社 超臨界水熱合成装置、該装置を用いて製造したvo2粉末、およびその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010031235A (ja) 2008-06-30 2010-02-12 National Institute Of Advanced Industrial & Technology サーモクロミック微粒子、その分散液、その製造方法、ならびに調光性塗料、調光性フィルムおよび調光性インク
JP2011136873A (ja) 2009-12-28 2011-07-14 Tsurumi Soda Co Ltd 二酸化バナジウム微粒子、その製造方法、及びサーモクロミックフィルム
JP2011178825A (ja) 2010-02-26 2011-09-15 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 単結晶微粒子、その製造方法、及びその用途
JP2012116737A (ja) 2010-12-03 2012-06-21 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology A相の二酸化バナジウム(vo2)粒子の製造方法
JP2013071859A (ja) 2011-09-27 2013-04-22 Sekisui Chem Co Ltd 二酸化バナジウム粒子の製造方法
JP2016130201A (ja) 2015-01-14 2016-07-21 Tdk株式会社 R相のvo2粒子含有物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105271408A (zh) * 2015-11-13 2016-01-27 北京科技大学 一种锡-钨共掺杂二氧化钒粉体及其制备方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010031235A (ja) 2008-06-30 2010-02-12 National Institute Of Advanced Industrial & Technology サーモクロミック微粒子、その分散液、その製造方法、ならびに調光性塗料、調光性フィルムおよび調光性インク
JP2011136873A (ja) 2009-12-28 2011-07-14 Tsurumi Soda Co Ltd 二酸化バナジウム微粒子、その製造方法、及びサーモクロミックフィルム
JP2011178825A (ja) 2010-02-26 2011-09-15 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 単結晶微粒子、その製造方法、及びその用途
JP2012116737A (ja) 2010-12-03 2012-06-21 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology A相の二酸化バナジウム(vo2)粒子の製造方法
JP2013071859A (ja) 2011-09-27 2013-04-22 Sekisui Chem Co Ltd 二酸化バナジウム粒子の製造方法
JP2016130201A (ja) 2015-01-14 2016-07-21 Tdk株式会社 R相のvo2粒子含有物

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2018021111A1 (ja) 2019-05-16
CN109476503B (zh) 2022-09-16
WO2018021111A1 (ja) 2018-02-01
CN109476503A (zh) 2019-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7001052B2 (ja) 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法
JPWO2016158103A1 (ja) 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法
JP5834789B2 (ja) 薄膜防曇性フィルム
Huang et al. Effect of polyethylene glycol on hydrophilic TiO2 films: Porosity-driven superhydrophilicity
JP7088011B2 (ja) 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有粒子及び光学フィルム
WO2016017611A1 (ja) 二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有微粒子、分散液及び光学フィルム
WO2017006699A1 (ja) 二酸化バナジウム含有粒子、ならびにこれを含む分散液および光学フィルム、ならびにこれらの製造方法
WO2016052740A1 (ja) 光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
Wang et al. Enhanced photochromic efficiency of transparent and flexible nanocomposite films based on PEO–PPO–PEO and tungstate hybridization
JP7173150B2 (ja) 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法
WO2016158432A1 (ja) サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子およびその製造方法
JP6465117B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
Salari et al. Novel superhydrophilic and hydrophobic nanostructured agar-like zirconia thin films: manipulating of morphology with PEG/CTAB
JP2018087094A (ja) 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、二酸化バナジウム含有粒子、分散液及び光学フィルム
WO2017006767A1 (ja) 二酸化バナジウム粒子水系分散液、二酸化バナジウム粒子水系分散液の製造方法、サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体
JP2004202899A (ja) 二軸延伸積層ポリエステルフィルム
JP7044072B2 (ja) 二酸化バナジウム含有粒子、サーモクロミックフィルム及び二酸化バナジウム含有粒子の製造方法
JP2019135273A (ja) サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子及びその製造方法と、サーモクロミックフィルム及びその製造方法
JP6973409B2 (ja) 二酸化バナジウム含有粒子、サーモクロミックフィルム及び二酸化バナジウム含有粒子の製造方法
JP2018087093A (ja) 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、分散液の調製方法及び分散液
JPWO2017073183A1 (ja) サーモクロミックフィルム及びサーモクロミックフィルムの製造方法
JP2017222806A (ja) サーモクロミックフィルムの製造方法
JP3592960B2 (ja) 包装用フィルム、包装袋および医薬品用包装袋
WO2016158603A1 (ja) ルチル型二酸化バナジウム含有粒子の製造方法、及び光学フィルムの製造方法
JP2001009976A (ja) 積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7088011

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150