JP7086874B2 - 超電導線の接続方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、超電導線の接続方法に関する。
超電導マグネット等のコイルに使用される超電導線は、超電導材料であるNb-Ti(ニオブチタン)合金などからなる複数のフィラメントを、Cu(銅)合金等からなるマトリックスに包含した構造とされている。このような超電導線を用いた超電導機器では、超電導線のループに電流が流されるが、超電導線のループの形成には、複数の超電導線同士を接続する必要がある。永久電流モードと呼ばれる、電流減衰を極めて小さなレベルまで抑制した状態で電流を流し続けるモードが要求される機器では、1×10-11Ω以下といった極めて小さな抵抗値となるように、超電導線同士を接続する必要がある。
一般に、超電導線同士の接続は超電導性を有するはんだを用いて実施する。このはんだを用いた接続方法では、超電導線のフィラメントを包含する常電導性のCu等からなるマトリックスや、超電導性ではあるが臨界電流値の低いはんだを介しての接続となる。このため、上述のはんだを用いた接続方法で永久電流モードを実現するためには、接続部分の長さを長くして接続面積を大きくする必要がある。
これに対して、永久電流モードで使用される超電導機器においては、超電導線のフィラメント同士を直接接続する固相拡散接合が用いられる場合がある。この場合には、まず、接続部のCu等からなるマトリックスを硝酸などの酸または溶液によって溶解して除去し、フィラメントを露出させる。そして、接続するフィラメント同士を組み合わせた後、真空などの雰囲気中で加圧しながら加熱することにより接続する。
また、接続部のCu等からなるマトリックスを酸等によって溶解して除去し、フィラメントを露出させた後に、接続するフィラメント同士を組み合せ、Cuスリーブなどに通して圧着する方法も提案されている。
近年では、Cu等からなるマトリックスを酸またはその溶液で溶解して除去する代わりに、超電導線を液体状態のSn等の低融点金属に含浸し、この低融点金属中にCu等からなるマトリックスを溶解させる方法も提案されている。この方法では、まず、低融点金属中にCu等からなるマトリックスを溶解させて除去すると共に、フィラメントを低融点金属で包含させた状態とする。この後、接続するフィラメントをCuスリーブに挿通して低融点金属の融点以上に加熱し、加熱した状態でプレス(加圧)することで、フィラメントの表面に付着した低融点金属をフィラメントから排出し、フィラメントの直接接続を実現している。
また、上述の手法において液体状の低融点金属中に超電導線のマトリックスを溶解した後に、加圧力と摩擦摺動を利用して超電導線の接続を実施する手法も提案されている。この手法では、フィラメントの長さ方向と垂直な方向に加圧すると同時に、この加圧方向と垂直な方向に摩擦摺動を加えることによって、フィラメントを被覆している低融点金属を除去して、フィラメント同士の直接接続を実現している。
特開2018-60700号公報
上述のようなCu等からなるマトリックスを低融点金属中に溶解する手法は、フィラメントを酸化させることなく、Cu等からなるマトリックスを排除することができる。しかしながら、この手法では、低融点金属の溶媒を蓄えた溶媒槽を準備する必要があり、マトリックスの溶解に時間を要する。
また、この手法では、超電導線が長時間加熱されることによるフィラメントへの熱影響(熱劣化)が懸念される。例えば、Nb-Ti合金からなるフィラメントは、Nb-Ti相と微細に分散したα-Ti相とからなるが、400℃以上の温度域でα-Ti相が減少し始め、超電導線の磁気的安定性が低下して臨界電流値が低下する恐れがある。
更に、この手法では、Cu等からなるマトリックスを除去できる代わりに、フィラメントが低融点金属により被覆されてしまい、フィラメントを接続するために低融点金属を排除するためには、別途、加熱・加圧処理を必要とする。例えば、低融点金属であるSnに包含されたフィラメントを300℃に加熱した状態でプレスによって加圧し、Snを溶融させて排除する必要がある。従って、加熱装置が必要になると共に、接続部を300℃に加熱するために十分な時間が必要になる。
また、低融点金属を排出するためには、フィラメントに垂直な方向に約100MPa~400MPa程度の過大な加圧力を印加する必要があるため、フィラメントのくびれによる劣化が生じることが懸念される。
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、超電導線の端部を接続して得た接合体におけるフィラメントの熱劣化に伴う臨界電流値の低下を抑制できると共に電気抵抗値を低くでき、更に、超電導線の端部の接続を短時間に実施できる超電導線の接続方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態における超電導線の接続方法は、超電導材料からなる複数のフィラメントと、このフィラメントを包含するマトリックスとを有する超電導線の端部を接続する超電導線の接続方法において、前記超電導線の前記端部に対して、低融点金属により被覆した状態で、前記フィラメントの長さ方向と垂直な方向に5MPa~15MPaの範囲の加圧力を印加すると同時にこの加圧方向と垂直な方向に摩擦摺動を印加することで、前記低融点金属を溶融させ、この溶融した低融点金属中に前記マトリックスを溶解させて除去する第1工程と、接続される前記超電導線の前記端部における前記フィラメントであって前記第1工程により前記低融点金属に包含された前記フィラメントを重ね合せた状態で、保護層を介して、前記フィラメントの長さ方向と垂直な方向に10MPa~100MPaの範囲の加圧力を印加すると同時にこの加圧方向と垂直な方向に摩擦摺動を印加することで、前記フィラメント間に介在する低融点金属を再溶融して除去すると共に、前記フィラメント同士を接続して接合体を得る第2工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明の実施形態によれば、超電導線の端部を接続して得た接合体におけるフィラメントの熱劣化に伴う臨界電流値の低下を抑制できると共に電気抵抗値を低くでき、更に、超電導線の端部の接続を短時間に実施できる。
一実施形態に係る超電導線の接続方法における第1工程を説明する工程構成図。 図1の第1工程の後に連続して行なう第2工程を説明する工程構成図。 図2の第2工程により得られた超電導線の接合体であり、図2のIII-III線に沿う断面図。 図1及び図2の超電導線の接続方法を示すフローチャート。 第1工程、第2工程のそれぞれの条件と、得られた接合体の評価結果とを示す図表。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2に示す接続対象の超電導線10は、超電導材料である例えばNb-Ti(ニオブチタン)合金からなる複数のフィラメント11を、例えばCu(銅)合金からなるマトリックス12が包含して被覆した構造である。本実施形態は、上述の超電導線10の端部13を接続する方法であり、この接続の際に台座14、加圧治具15、加圧機構16及び超音波発振器17が用いられる。
台座14は、超電導線10を載置して支持する。また、加圧治具15は、台座14の上方に位置し、この台座14に対向して配置される。加圧機構16は、加圧治具15に連結され、この加圧治具15を台座14へ向かって接近または離反(例えば上下動)させることで、台座14に載置された超電導線10の端部13を、その長さ方向と垂直な方向に所定の加圧力P1、P2で加圧する。超音波発振器17は、台座14と加圧治具15の少なくとも一方、本実施形態では台座14及び加圧治具19に配設されて、これらの台座14及び加圧治具15に、加圧力P1、P2の加圧方向と垂直な方向の超音波振動W1、W2を付与する。
本実施形態における超電導線10の端部13の接続方法は、図1、図2及び図4に示すように、接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11を包含するマトリックス12を除去する第1工程(図1)と、接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11同士を接続する第2工程(図2)とを、例えば同一の台座14、加圧治具15、加圧機構16及び超音波発振器17を用いて連続して実施する。
第1工程では、図1に示すように、まず、接続される超電導線10のそれぞれの端部13を、シート状の低融点金属18を介在させて重ね合わせ、更にこれらの端部13の外側にも同じくシート状の低融点金属18を介在させて、一対の保護層19により挟み込み組み合せて組合せ体20を形成する。従って、この組合せ体20では、接続される超電導線10のそれぞれの端部13が、低融点金属18により被覆された状態になっている。ここで、低融点金属18は、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、In(インジウム)、Bi(ビスマス)またはGa(ガリウム)の単体もしくは合金である。また、保護層19は、Al(アルミニウム)またはCu(銅)の単体もしくは合金である。
次に、組合せ体20を台座14に載置し、加圧機構16を作動させて、加圧治具15と台座14とにより組合せ体20に対して、超電導線10の端部13におけるフィラメント11の長さ方向と垂直な方向に加圧力P1を印加する。このときの加圧力P1は、5MPa~15MPaの範囲の加圧力である。そして、上述の加圧力P1の加圧と同時に、台座14及び加圧治具15に対して超音波発振器17から、加圧力P1の加圧方向と垂直な方向の超音波振動W1を付与して、組合せ体20に超音波振動W1と同方向の摩擦摺動を印加する。このときの超音波発振器17の出力は、500W~2000W程度であり、超音波振動W1の周波数は、15kHz~200kHz程度である。
上述の組合せ体20への加圧力P1と超音波振動W1の印加によって、組合せ体20に局所的な摩擦発熱が生じて低融点金属18が溶融する。この溶融した低融点金属18中にマトリックス12が溶解すると共に、溶融して液体になった低融点金属18に超音波振動W1が加わることによるキャビテーションの効果によって、超電導線10の端部13からマトリックス12が除去される。ここで、第1工程の工程時間は、60秒以下に設定されている。
第1実施形態の終了時に、組合せ体20は、図2に示すように、接続される超電導線10のそれぞれの端部13における複数のフィラメント11が、マトリックス12ではなく低融点金属18により包含され、互いに重ね合されて、一対の保護層19により挟み込まれて組み合されている。
第2工程では、上述の組合せ体20を引き続き台座14に載置した状態で、加圧機構16を作動させて、加圧治具15と台座14とにより組合せ体20に対して、超電導線10の端部13におけるフィラメント11の長さ方向と垂直な方向に加圧力P2を印加する。このときの加圧力P2は、10Mpa~100Mpaの範囲の加圧力である。そして、上述の加圧力P2の印加と同時に、台座14及び加圧治具15に対して超音波発振器17から、加圧力P2の加圧方向と垂直な方向の超音波振動W2を付与して、上記組合せ体20に超音波振動W2と同方向の摩擦摺動を印加する。このときの超音波発振器17の出力は、第1工程と同様に500W~2000W程度であり、超音波振動W2の周波数は、第1工程と同様に15kHz~200kHz程度である。
上述の組合せ体20への加圧力P2と超音波振動W2の印加とによって、組合せ体20に局所的な摩擦発熱が生じ、接続される超電導線10のそれぞれの端部13における複数のフィラメント11間に介在する低融点金属18が再溶融する。そして、この再溶融した低融点金属18が超音波振動W2により除去されると共に、接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11同士が接続されて、接合体21が得られる。ここで、上述の低融点金属18の再溶融温度は、例えば250℃~400℃である。また、この第2工程の工程時間は、5秒以下に設定されている。
接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11同士が接続されて得られた接合体21は、図3に示すように、Nb-Ti合金から成る複数のフィラメント11と、このフィラメント11を包含する低融点金属18と、これらのフィラメント11及び低融点金属18を挟み込んで保護する保護層19と、を有して構成される。
この接合体21においては、接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11同士は、低融点金属18内で直接、及び低融点金属18を介して間接に電気的に接続されている。上述のフィラメント11同士の直接接続を実現するために、接合体21の断面に介在(即ち残存)する低融点金属18の割合(残存率)は、面積率で0%~10%の範囲に設けられる。この残存率(面積率)は、第2工程の加圧力P2が第1工程の加圧力P1よりも高い10Mpa~100Mpaの範囲に設定されて、フィラメント11同士の接続時に、再溶融した低融点金属18を押し出して除去し易くすることで実現される。
また、フィラメント11を構成するNb-Ti合金は、Nb-Ti相とα-Ti相とを構成要素とする。接合体21においては、α-Ti相は、面積換算径(不定形なα-Ti相と同一面積の円の直径)が100nm以下であり、フィラメント11内に微細に分散して存在する。このようなα-Ti相の微細分散状態は、第2工程における加圧力P2が10Mpa~100Mpaの範囲の高い値に設定されることで、第2工程の工程時間(接続時間)が短縮され、これにより接合体21の温度上昇が抑制されて、α-Ti相の粗大化が回避されることにより実現される。
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)~(4)を奏する。
(1)図1~図3に示すように、接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11は、このフィラメント11を包含するマトリックス12を除去する第1工程(図1)においても、フィラメント11同士を接続する第2工程(図2)においても、高温状態に長時間保持されることがない。このため、フィラメント11の熱劣化(即ち、フィラメント11を構成するNb-Ti合金の構成要素であるα-Ti相の粗大化)が防止されて、このα-Ti相はフィラメント11内に微細に分散した状態に維持される。この結果、フィラメント11を含む超電導線10の磁気的安定性が確保されて、超電導線10を流れる臨界電流値の低下を抑制でき、この臨界電流値を良好にできる。
(2)接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11には、このフィラメント11を包含するマトリックス12を除去する第1工程(図1)では5Mpa~15Mpaの範囲の加圧力P1が印加され、フィラメント11同士を接続する第2工程(図2)では10Mpa~100Mpaの範囲の加圧力P2が印加される。従って、超電導線10のそれぞれの端部13においてフィラメント11間に介在する低融点金属18が上述の加圧力P1、P2(特に加圧力P2)により排出されて、低融点金属18の残存率が面積率で10%以下に低下する。この結果、フィラメント11同士が直接接触する割合が増大するので、接続された超電導線10の端部13(即ち接合体21)の電気抵抗値を例えば10-11Ω以下に低下させることができる。
(3)接続される超電導線10のそれぞれの端部13のマトリックス12を除去する第1工程(図1)においても、上記端部13のフィラメント11同士を接続する第2工程(図2)においても、超電導線10の端部13に加圧力P1、P2と同時に摩擦摺動を印加することで、局所的な摩擦発熱により低融点金属18を溶融している。このため、低融点金属18の溶融のために長時間を必要とせず、従って、超電導線10の端部13の接続を短時間に実施できる。
(4)接続される超電導線10のそれぞれの端部13におけるフィラメント11には、このフィラメント11を包含するマトリックス12を除去する第1工程(図1)では5Mpa~15Mpaの加圧力P1が印加され、フィラメント11同士を接続する第2工程(図2)では10Mpa~100Mpaの範囲の加圧力P2が印加される。従って、第1工程においても、第2工程においても、超電導線10のフィラメント11には100Mpaを超える過大な加圧力が印加することがないので、超電導線10のフィラメント11のくびれによる劣化を防止できる。
(実施例)
以下、実施例及び比較例について説明する。これらの実施例及び比較例で用いた超電導線10は、Nb-Ti合金からなる複数のフィラメント11と、このフィラメント11を包含するCu-Ni合金からなるマトリックス12とから構成されている。実施例1、2及び比較例では、超電導線10をコイル状の巻き線とし、その両端部を接続した。図5の図表に、実施例1、2及び比較例における第1及び第2工程の条件と接合体の評価結果とをそれぞれ示す。
A、第1工程(マトリックス除去工程)
実施例1及び2のいずれにおいても、低融点金属18としてSnを用いてマトリックス12の除去を行った。接続される超電導線10の両端部をそれぞれシート状の低融点金属18で上下から挟み込み、Alからなる保護層19を低融点金属18の外側に設けて組合せ体20とし、この組合せ体20を加圧治具15と台座14との間に保持した。マトリックス12の除去のために、加圧治具15及び加圧機構16を用いて組合せ体20に加圧力P1を印加した。加圧力P1は、いずれも7MPaとして実施した。この加圧状態下で、その後、加圧治具15と台座14に対して、超音波発振器17から超音波振動W1を付与することにより、加圧治具15と台座14との間の組合せ体20に摩擦摺動を印加した。このときの超音波振動の周波数は20kHz、超音波発振器17の出力は1500Wとした。この第1工程の工程時間は、実施例1、実施例2ともに30秒である。
分析機能付走査電子顕微鏡による観察の結果、実施例1及び2のいずれにおいても、摩擦発熱により溶融した低融点金属18中へのマトリックス12の溶解と、液体になった低融点金属18に超音波振動W1が付与されることによるキャビテーションの効果とによって、マトリックス12が除去されていた。
一方、比較例は、特許文献1の実施例に記載の例4に従い、以下の手順でマトリックス12の除去を実施した。まず、超電導線10の端部を、加熱されて液体状態になった低融点金属18(低融点金属浴)に浸漬し、マトリックス12が十分に溶解した時点で液体状態の低融点金属18から引き出した。この比較例での第1工程の工程時間は、7000秒である。分析機能付走査電子顕微鏡による観察の結果、比較例においてもマトリックス12が除去され、フィラメント11は低融点金属18に包含されて被覆されていた。
B、第2工程(接続工程)
実施例1、2及び比較例のいずれにおいても、第2工程では、加圧治具15及び加圧機構16を用いて組合せ体20に加圧力P2を印加した。この組合せ体20は、実施例1及び2では保護層19がAlからなり、比較例では保護層19がCuからなる。印加した加圧力P2は、実施例1では20MPa、実施例2では30MPa、比較例では10MPaとした。その後、加圧力P2の加圧状態下で、加圧治具15と台座14に対して超音波発振器17から超音波振動W2を付与することで、加圧治具15と台座14との間の組合せ体20に摩擦摺動を印加した。実施例1、2及び比較例のいずれにおいても、このときの超音波振動の周波数を20kHz、超音波発振器17の出力を1500Wとした。この第2工程の工程時間(接続時間)は、実施例1では3.4秒、実施例2では1.4秒、比較例では3.4秒である。
分析機能付走査電子顕微鏡により、超電導線10の接続部(接合体21)の断面観察を実施したところ、フィラメント11間に介在(残存)する低融点金属18の割合(残存率)は、実施例1では10%程度、実施例2では5%程度、比較例では15%程度であった。また、分析機能付透過電子顕微鏡によるフィラメント11の観察の結果、実施例1及び2のいずれにおいても、フィラメント11中に存在するα-Ti相は、面積換算径で100nm程度の微細な構造を維持していた。
C、電流抵抗値と臨界電流値の評価結果
実施例1、2及び比較例について、作製した超電導線のコイルを液体ヘリウムにより4Kまで冷却し、外部磁場により上記コイルに誘導電流を流すことによって、電流の減衰から電気抵抗値を測定すると共に、コイルに流れる臨界電流値を測定した。その結果、実施例1及び2のいずれにおいても、低融点金属18の残存率が10%以下になっているため、電気抵抗値は、10-11Ω以下の良好な値を示し、図5では○印で表す。一方、比較例では、低融点金属18の残存率が15%であり、10%以下ではないので、電気抵抗値は、10-11Ω以下の良好な値とはならず、図5に△印で表す。
また、臨界電流値については、比較例との相対比較により評価し、相対的に良好な場合を○印、非常に良好な場合を◎印とし、良好とは言えない場合を△印とした。その結果、相対的な臨界電流値は、実施例1では良好な値を示し、実施例2では比較例の1.5倍以上となってより好ましい結果となった。これは、実施例2では第2工程の工程時間が最も短く、接合体21の温度上昇が抑制されてフィラメント11のα-Ti相の粗大化が防止され、超電導線10の磁気的安定性が確保されたためである。一方、比較例では良好とは言えない結果であった。これは、主に、第1工程においてフィラメント11が、加熱されて液体状態になった低融点金属18に浸漬されたことによりα-Ti相の粗大化が生じて、超電導線10の磁気的安定性が低下したことによる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、超電導線10のフィラメント11は、Nb-Ti合金に限らず、他の金属、例えばNb-Sn合金であってもよい。また、摩擦摺動の印加は、超音波発振器17に限らず、磁歪素子を利用してもよい。
10…超電導線、11…フィラメント、12…マトリックス、13…端部、14…台座、15…加圧治具、16…加圧機構、17…超音波発振器、18…低融点金属、19…保護層、20…組合せ体、21…接合体、P1、P2…加圧力、W1、W2…超音波振動

Claims (7)

  1. 超電導材料からなる複数のフィラメントと、このフィラメントを包含するマトリックスとを有する超電導線の端部を接続する超電導線の接続方法において、
    前記超電導線の前記端部に対して、低融点金属により被覆した状態で、前記フィラメントの長さ方向と垂直な方向に5MPa~15MPaの範囲の加圧力を印加すると同時にこの加圧方向と垂直な方向に摩擦摺動を印加することで、前記低融点金属を溶融させ、この溶融した低融点金属中に前記マトリックスを溶解させて除去する第1工程と、
    接続される前記超電導線の前記端部における前記フィラメントであって前記第1工程により前記低融点金属に包含された前記フィラメントを重ね合せた状態で、保護層を介して、前記フィラメントの長さ方向と垂直な方向に10MPa~100MPaの範囲の加圧力を印加すると同時にこの加圧方向と垂直な方向に摩擦摺動を印加することで、前記フィラメント間に介在する低融点金属を再溶融して除去すると共に、前記フィラメント同士を接続して接合体を得る第2工程と、を有することを特徴とする超電導線の接続方法。
  2. 前記超電導材料が、Nb-Ti合金であることを特徴とする請求項1に記載の超電導線の接続方法。
  3. 前記接合体におけるフィラメントを構成する超電導材料の構成要素であるα-Ti相は、面積換算径が100nm以下で、前記フィラメント内に微細に分散することを特徴とする請求項2に記載の超電導線の接続方法。
  4. 前記接合体の断面に介在する低融点金属の割合は、面積率で0%~10%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超電導線の接続方法。
  5. 前記低融点金属が、Sn、Zn、In、BiまたはGaの単体もしくは合金であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超電導線の接続方法。
  6. 前記保護層が、AlまたはCuの単体もしくは合金であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超電導線の接続方法。
  7. 前記低融点金属の再溶融温度が、250℃~400℃の温度範囲であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超電導線の接続方法。
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