JP2002528848A - 高いシース抵抗率を有する超電導複合体 - Google Patents

高いシース抵抗率を有する超電導複合体

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JP2002528848A JP2000530949A JP2000530949A JP2002528848A JP 2002528848 A JP2002528848 A JP 2002528848A JP 2000530949 A JP2000530949 A JP 2000530949A JP 2000530949 A JP2000530949 A JP 2000530949A JP 2002528848 A JP2002528848 A JP 2002528848A
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ピー.メイソン ラルフ
ジェイ.クリストファソン クレイグ
アール.ロバーツ ピーター
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Abstract

(57)【要約】 高いバルクシース抵抗率を有する超電導物品並びにそうした物品の製造方法。高温超電導体フィラメントが高い銀含有量を有する延性のマトリックス中に配置される。マトリックスはその後、溶質で被覆されそして溶質がマトリックス中に拡散することを可能なら占めるに充分高いが、超電導体を実質上劣化する若しくは毒するには高くない温度に加熱される。拡散及び冷却後、マトリックスは、純銀より高いバルク抵抗率を有する銀合金を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年2月10日付け米国仮特許出願第60/074,258
号の権益と優先権を主張する。この出願はここに言及することにより本明細書の
一部となす。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、高いシース抵抗を有する酸化物超電導体複合体に関するものである
【0003】 (発明の背景) 酸化物超電導ワイヤ及びケーブルは代表的に、金属マトリックス内の多数の超
伝導材料フィラメントから成り、金属マトリックスがフィラメント同士を離隔し
またフィラメントを周囲環境から離隔している。マトリックスは代表的に非超電
導性の金属である。銀及びその合金が、銀が延性であり、酸化物超電導滞在量に
対して化学的に中和性であり、そして酸素に対して比較的透過性であるから、特
に選択されるマトリックス金属を表す。
【0004】 酸化物超電導体の開発における最近の進展は、電力伝送ケーブル、欠陥電流制
限器、公共インダクタ、モータ及び発電器のような用途においてそれらの有用性
を実証した。しかし、最適の性能を得るためには、これら用途の多くは使用(即
ち極低温)温度において純銀におけるよりはるかに高いマトリックス抵抗を必要
とする。純銀は、80Kにおいて約0.2〜0.5μΩ・cmの抵抗率を有しそ
してこの値は温度が4Kまで低下するにつれ何分の1にも減少する。ここで使用
する用語として、抵抗率はワイヤを流れる電流を測定しそして式 ρ=VA/Ix (1) (ここで、ρは抵抗率を表し、Vはワイヤ長さxについて測定した電圧を表し、
Aはワイヤの断面積を表し、そしてIは電流を表す。) を適用することにより決定されるものとしてのバルク抵抗率として定義される。
【0005】 高い抵抗率のシースを具備する酸化物超電導体の作製と関連する多くの技術的
困難さが存在する。例えば、高い抵抗率のシースの形成と関連する処理段階は、
酸化物超電導体の処理と相容れない。特に、酸化物超電導体相を形成するのに使
用される高温条件下では、シースに高い抵抗を付与しやすいシース成分の多くは
酸化物超電導体と反応しそしてそれを毒する。加えて、酸化物超電導体及びシー
ス金属と化学的に適合する金属は代表的に非常に電導性である。
【0006】 マトリックス抵抗を増大する一つの方策は、金属マトリックス中に微細な酸化
物粒子を導入して分散酸化物/マトリックス金属合金(酸化物分散強化(oxide-
dispersion strengthened)或いはODS銀)を形成することから成る。しかし、
これは、マトリックスのバルク抵抗率を十分に増大するためには比較的大きな容
積分率の酸化物相を必要とする。こうした方策は、マトリックス金属の酸化物含
有率における増加がその脆性を増加するから、制約を受ける。従って、容認しう
る機械的性質を有するマトリックスを維持したままでは、抵抗率の例えば1−2
μΩ・cmというごく程々の増加しか可能ではない。通常のコイル形成及び巻き
線作業においてクラックが入らないようにするためには、マトリックスは少なく
とも0.5%の引張破壊歪みを具備せねばならない。1%を超える高い破壊歪み
が超電導体複合体の実用的な取り扱いには好ましい。加えて、ODS銀において
使用される酸化物析出物はしばしば酸化物超電導体と有害に反応しそして複合体
の超電導性質を劣化する傾向がある。
【0007】 また別の方策においては、シースの抵抗率を高めるために複合体の作製に先立
って或る種の金属がシース金属と合金化される。多くの金属種が金属シースと容
易に合金化されそしてそこに組み込まれうるが、この方法は、溶質金属が酸化物
超電導体の高温処理中存在することを必要とする。残念ながら、抵抗率を著しく
増大する既知の低価格溶質は代表的に超電導体を毒するか、或いは自身がこれら
処理条件下で酸化を受ける。
【0008】 Shiga 等(米国特許第5,296,456号)は、酸化物超電導体を被覆する
金属シースに様々の金属を合金化してシースに高電導度(低抵抗率)及び低電導
度(高抵抗率)領域を得ることを開示する。以下に詳しく論議されるように、Sh
iga 等により開示された金属の大半は、電気抵抗を増大するためには有効ではな
い。更に、マトリックスの総抵抗を増大するのに非常に有効である多くの金属は
、それらがマトリックス金属内に例えば金属間化合物のような第2相を容易に形
成する傾向があるから、金属シースとの合金化に良い候補ではない。
【0009】 先行技術の制限により、適度に高い抵抗率と良好な超電導性質を組み合わせた
シース付き酸化物超電導体複合体への要望がなお残っている。
【0010】 (発明の概要) 本発明の目的は、高いシース抵抗率、そして特には高いバルクシース抵抗率を
有する酸化物超電導体複合体を提供することである。
【0011】 本発明のまた別の目的は、製品の電気的性質に有害な影響なく高い抵抗率のシ
ースを得る方法を提供することである。
【0012】 本発明のまた別の目的は、高いシース抵抗率を有する酸化物超電導体複合体を
製造する方法であって、複合体の連続若しくは大量処理に適応しうる方法を提供
することである。
【0013】 本発明のまた別の目的は、本発明の高抵抗率シースにおいて使用のための、適
当な抵抗率及び酸化物超電導体との適合性を有する材料を見出すことである。
【0014】 一様相において、本発明は、銀含有マトリックス内に一つ以上の酸化物超電導
部材を含む複合酸化物超電導体物品にを包含する。マトリックスは、少なくとも
3μΩ・cm、好ましくは5μΩ・cmを超える、そしてもっとも好ましくは5
−25μΩ・cmの範囲の抵抗率を有する。マトリックスは、1気圧において3
80℃より低い沸点を有する金属元素を全く含まない。マトリックスは更に、少
なくとも0.5%そして好ましくは少なくとも1%の引張破壊歪みを有する。マ
トリックスはまた、少なくとも0.5%の、好ましくは少なくとも1%の曲げ破
壊歪みを有する。マトリックスは、銀と銀以外のガリウム、錫、カドミウム、亜
鉛、インジウム、或いはアンチモンのような一種以上の他の種金属との銀に富む
固溶体から構成しうる。溶質元素は550℃未満の温度において20時間未満内
に銀マトリックス中に拡散し得るようにそして/又は少なくとも10-12cm2
sの550℃未満での銀中での拡散率を有するように選択されうる。溶質元素は
、マトリックス組成の少なくとも2atm%、好ましくは少なくとも4atm%
、好ましくは4−50atm%そしてもっとも好ましくは4−18atm%にお
いて存在しうる。マトリックス材料は、50μm未満の、好ましくは0.1−1
5μmの範囲の粒寸を有する、微細粒となし得る。酸化物超電導体部材は、好ま
しくはBSCCO2223相、BSCCO2212相或いはYBCO群の一部材
から構成しえ、そして少なくとも70Kの臨界温度を有するものとなし得る。超
電導体物品の工業用の電流密度は、90K以下の温度において少なくとも3,0
00A/cm2であり得る(1μV/cm規準により測定したものとして)。
【0015】 また別の様相において、本発明は、酸化物超電導体を調製する方法を含む。本
方法は、銀含有マトリックス内に少なくとも一つの酸化物超電導体部材を含む物
品の形成後、物品を銀に富む固溶体を形成しうる溶質で被覆する段階と、被覆さ
れた物品を溶質がマトリックス中に拡散して固溶体を形成することを可能ならし
めるに十分な期間加熱する段階と、そして物品を追加的な拡散が実質上起こらな
い温度まで冷却する段階とを包含する。加熱段階は、1気圧における溶質の沸点
より低い温度で、好ましくは溶質の蒸気圧が0.1気圧以下であるような温度に
おいて実施される。溶質元素は、銀と熱力学的に安定な第2相を保持する材料形
から選択し得そしてこの相の形成を防止するに充分急速に冷却されうる。物品は
、化学的蒸着、物理的蒸着、浸漬被覆、ロール被覆、グラビアロール印刷、ドク
ターブレード被覆、スタンピング、スパッタリング、電気化学的付着、レーザア
ブレーション、及びプラズマ溶射を含めて多数の方法のいずれでも被覆されうる
。溶質は、ガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、或いはアンチモンの
ような金属となしえ、そして550℃より低い温度で少なくとも10-12cm2
sの銀中での拡散率を有するように選択されうる。もし溶質がガリウムであるな
ら、これは3−18atm%の範囲内の濃度を有しうる。加熱温度は、第2相の
形成が進行しないような、例えば溶質がガリウムであるとき380−520℃の
範囲において選択される。加熱及び冷却段階は、溶質に富む第2相の形成が抑制
されるに十分に急速に達成される。複合体は加熱温度において20時間以下の期
間保持されうる。物品の超電導部材は所望の最終超電導相を含みうる。
【0016】 また別の様相において、本発明は、高いシース抵抗率を有する酸化物超電導体
物品を調製する方法を包含する。本方法は、銀含有マトリックス内に少なくとも
一つの酸化物超電導体部材を含む物品の形成後、物品を銀に富む固溶体を形成し
うる一種以上の溶質元素を含む環境にマトリックス中への溶質の拡散に都合の良
い高温その他の条件において曝する段階と、物品をそうした拡散が起こるに十分
な期間該環境に保持する段階とを含む。上昇された温度は、1気圧において溶質
元素の沸点未満である。本方法は更に、複合体物品を追加的な拡散が起こらない
温度にまで冷却する段階を含む。溶質元素は、銀と熱力学的に安定な第2相を保
持する材料形から選択し得そしてこの相の形成を防止するに充分急速に冷却され
うる。環境は550℃未満の温度に保持し得そして冷却は少なくとも1℃/分、
好ましくは少なくとも10℃/分、より好ましくは少なくとも20℃/分の速度
で実施されうる。環境は、溶質元素を含有する液体金属浴或いは蒸気相から構成
しうる。溶質元素は、ガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、或いはア
ンチモンのような金属となしうる。
【0017】 また別の様相において、本発明は、高いシース抵抗率を有する酸化物超電導体
を調製する方法を包含する。本方法は、銀含有シース内に酸化物超電導体部材を
含む物品の形成後、物品を増大した抵抗率を有する銀に富む固溶体を形成しうる
そして第2相の形成に好ましくない環境に曝する段階を含む。この環境は、その
沸点が与えられた圧力において所定の温度を超えるようなそして銀に富む固溶体
を形成することのできる溶質元素を含む。物品は固溶体を形成するに十分な時間
環境に曝されそして後環境はマトリックス中への溶質の拡散が実質上抑制される
ような条件に調節される。環境は、温度、圧力及び溶質の分圧或いはその組み合
わせを変更することにより変更されうる。環境の変化速度は、マトリックス中で
の第2相の形成が実質上抑制されるよう選択される。
【0018】 また別の様相において、本発明は、超電導複合体の表面に、ガリウム含有電解
質中の複合体及び電極に電位を印加することによりガリウムを電気メッキする方
法を提供する。
【0019】 ここで使用するものとして、用語「銀に富む固溶体」とは、50atm%(原
子%)を超える銀、好ましくは75atm%を超える銀、もっとも好ましくは8
2atm%(原子%)を超える銀を有する組成を意味する。
【0020】 ここで使用するものとして、用語「第2相」とは、所望の抵抗率増進銀富化相
とは化学的に区別される、超電導相以外の、溶質元素を含む相を意味する。一般
的な第2相は、金属間化合物である。そうした組成物は、対応する固溶体に比較
して破壊歪みの減少により特徴づけられる。これらはまた、マトリックス金属へ
の溶質金属の追加的な拡散への障壁を提供する。
【0021】 別様の断りがない限り、「抵抗率」は、ワイヤ軸線に沿ってマトリックス材料
の多数の竜を横切って測定される、マトリックスのバルク抵抗を意味する。
【0022】 ここで使用するものとして、用語「反応条件」とは、酸化物超電導体と溶質元
素との反応のための、或いは酸化物超電導体の電気的性質の有意な劣化のための
好ましい動的条件を創出するに十分の条件を意味する。
【0023】 ここで使用するものとして、用語「工業用臨界電流密度」とは、超電導複合体
の超電導部材の合計臨界電流を超電導酸化物フィラメント及び銀に富むマトリッ
クスを含め複合体全体の断面積で割った値を意味する。この量はJeにより表さ
れる。
【0024】 (発明の詳細な記述) 本発明の複合体は、例えば複合体がその意図する作動電流水準を超える電流に
対して高い抵抗率を示すような電流制限器においての使用のために好適である。
シース(外装体)の抵抗率を増加することにより、複合体ワイヤは、増大せる電
圧が印可された場合でも超電導体の臨界電流を超える有意な過剰な電流を搬送し
得ない。金属シース内に包被される一本以上の酸化物フィラメントを含む通常の
超電導複合体においては、シース材料及び超電導体は並列回路を構成する。電流
が超伝導要素の臨界電流搬送容量を超えて電流を推進する水準まで増加されると
き、その抵抗は高い水準(25μΩ・cmを超える)まで急激に増大される。過
剰の電流はその後シース材料を通して流れる。この過剰の電流を制限するために
、シースは高い抵抗率を有することが所望される。
【0025】 本発明の一様相において、マトリックス内で高いバルク抵抗率を有する酸化物
超電導体物品が提供される。マトリックスの総バルク抵抗率は、T≦Tcにおい
て3μΩ・cmを超えそして代表的に5−25μΩ・cmの範囲にある。これは
従来報告された酸化物超電導体複合体のバルク抵抗率を上回っての著しい増加を
表す。
【0026】 マトリックス抵抗率は、マトリックス金属と少なくとも一種の溶質元素との固
溶体の形成により得られる。溶質は望ましくは、程々の量において添加されると
き銀の抵抗率における大きな増加をもたらす一種以上の元素から成る。
【0027】 マトリックスのバルク抵抗率が十分に増大される限り、溶質がマトリックス内
に一様に分布されることは必要でない。例えば、溶質は粒界の近傍に局在化され
そして金属中に低抵抗材料の相互連結行路が存在する限り、抵抗率における実質
的な増加をまだなお提供する。
【0028】 適当な合金化元素がマトリックスのバルク抵抗率が増加するようマトリックス
に抵抗率を付与することができる。合金抵抗に最大限の影響を有する元素が一般
的にはもっとも好ましい。しかしながら、適当な元素は銀中での高い拡散率と低
温で銀との固溶体形成能を示す。特に、溶質が600℃より低い融点、好ましく
は200℃より低い融点を持つことが所望される。低融点金属は、(以下に論議
されるように)酸化物超電導体の相組成に影響を与える温度より十分に低い温度
で容易に適用されうる。しかしながら、1気圧における溶質の沸点が処理温度を
超えることがまた所望される。これは液体の取り扱いが蒸気の取り扱いよりはる
かに簡単であるからである。例示目的のみで述べるなら、程々の条件下で銀と高
い抵抗率の固溶体合金を形成するものと予想される適当な溶質金属は、錫(Sn
)、ガリウム(Ga)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、インジウム(In
)、及びアンチモン(Sb)並びにその合金である。一種以上の溶質元素が使用
できる。
【0029】 上に論議したように、Shiga等は、渦電流によるAC損失を減じそしてワイヤ
の熱伝導率を減じるためにHTS/金属複合体において高抵抗表面層を生成する
方法を開示した。Shiga等は、ワイヤの金属領域全体を通しての電導率の減少に
は関心がなく、薄い表面層内にのみ関心を有した。従って、Shiga等の技術にと
っては、銀中での高い拡散率は本発明に対してより重要性が少なく、従って異な
った処理条件及び好ましい金属組み合わせが推奨される。
【0030】 本発明の実施のために、マトリックスは好ましくは、特に溶質の主たる拡散行
路が結晶粒界を経由する場合には細粒組織を有する。マトリックスの結晶粒寸法
が小さいほど、マトリックス内の抵抗付与溶質の注入のために得られる界面面積
は大きくなる。本発明の目的のためには、微細粒とは、50μm未満の、好まし
くは0.1〜15μmの範囲にある結晶粒寸法を意味する。こうした粒寸は、例
えば微細な酸化物粒子のような少量の粒界拘束(pinning)相の添加により実現さ
れうる。マトリックスは銀若しくは銀合金であり得る。銀は、その酸化への不活
性及び酸化物超電導体に対する代表的な形成温度での酸化物超電導体に対する不
活性、更にはその成形能によりマトリックスとして特に好適である。所望の超電
導相の形成前に添加される合金化元素は好ましくは、酸化及び形成温度での酸化
物超電導体への不活性さを分担する。
【0031】 純金属乃原子半径とは著しく異なった原子半径を有する溶質の添加は通常、材
料の格子パラメータを変更し、それによりそれを歪ませるという作用を有する。
歪みが複合体系の一成分に導入されるとき、残留応力及び歪みが生じる。銀/超
電導体複合体の場合には、こうした応力及び歪みは、作動温度(例えば77K)
への冷却に際して脆い超電導体相に欠陥を導入する恐れがある。この作用は短い
長さのワイヤに対してもっとも顕著であることが見出された。この作用は、モノ
フィラメントテープの機械的な安定化により軽減若しくは排除されうる。機械的
な安定化方法は、拡散段階後、テープを一側面若しくは両側面において合成の機
械的支持体に貼着することと関与する。貼着は、例えば半田付けにより若しくは
エポキシその他の既知の接着剤による接合によりなされうる。適当な支持体はス
テンレス鋼若しくはガラス繊維プレートを含む。
【0032】 本発明は、任意の所望される酸化物超電導体若しくはその先駆物質を使用して
実施されうる。用語「所望される酸化物超電導体」とは、最終製品において最終
的使用を意図する酸化物超電導体を意味する。代表的に、所望の酸化物超電導体
は、高い臨界温度或いは臨界電流密度のようなその優れた電気的性質に対して選
択される。所望の酸化物超電導体は代表的に、例えばBSCCO系列におけるB
SCCO2223相若しくはBSCCO2212相のような、優れた電気的性質
を示す超電導性酸化物系列の一部材である。「先駆物質」とは、適当な熱処理の
適用に際して酸化物超電導体に変換されうる任意の材料を意味する。先駆物質は
、元素、金属塩、酸化物、亜酸化物、所望の酸化物超電導体への中間段階にある
酸化物超電導体、或いは所望の酸化物超電導体の安定性領域で反応されるとき目
的とする超電導体を生成する他の種化合物を含みうる。例えば、YBCO系列の
酸化物超電導体に対しては、銅、イットリウム、及びバリウム乃元素、塩、若し
くは酸化物が含まれ、BSCCO系列の酸化物超電導体に対しては、銅、ビスマ
ス、ストロンチウム、及びカルシウム、随意的に鉛乃元素若しくは酸化物が含ま
れ、タリウム(TBSCCO)系列の酸化物超電導体に対しては銅、タリウム、
カルシウム、及びバリウム或いはストロンチウムそして随意的にビスマス及び鉛
の元素、塩、若しくは酸化物が含まれ、水銀(HBSCCO)系列の酸化物超電
導体に対しては銅、水銀、カルシウム、バリウム、或いはストロンチウムそして
随意的にビスマス及び鉛乃元素面若しくは酸化物が含まれる。YBCO系列の酸
化物超電導体は、バリウム、銅、並びにイットリウム、ランタン、ネオジム、サ
マリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミ
ウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから成る群から
選択される希土類元素を含む型式の酸化物超電導体のすべてを含むものとして考
慮される。「所望の酸化物電導体への中間段階にある酸化物超電導体中間物」と
は、所望の酸化物超電導体に変換されうる任意の酸化物超電導体を意味する。中
間物の形成は、所望の超電導酸化物により同等に具備されているとは限らない、
望ましいプロセス処理性質、例えばテキスチャ形成に順応しうる雲母状の組織を
活用するために所望されよう。先駆物質は、酸化物超電導体を形成するに十分な
量において含められる。幾つかの具体例において、先駆物質粉末が実質上化学量
論比において提供されうる。別の場合には、所望の超電導複合体を形成するのに
使用される処理条件に対処するよう化学量論の過剰若しくは欠乏の先駆物質が存
在し得よう。タリウム添加、限定されるものでないが上に挙げた随意的物質を含
むドープ物質の添加、所望される超電導酸化物の先駆物質における比率その他の
変更は斯界で周知のものであり、本発明の範囲に含まれる。
【0033】 3層の、Bi2Sr2Ca2Cu3x或いは[Bi1-yPby2Sr2Ca2Cu3
x(0<y<0.5)のようなBSCCO系列の超電導体(BSCCO222
3)の一部材の3層の高Tc相が本発明の作動に対してもっとも好ましい所望の
超電導酸化物である。BSCCO2223を含む複合体が十分にテキスチャ形成
されたとき長い長さにわたって優れた機械的及び電気的性能に対する潜在性を示
した。Bi2Sr2Ca1Cu2x及び[Bi1-yPby2Sr2Ca1Cu2x(0
<y<0.5)(BSCCO2212)もまた本発明の実施に好ましい材料であ
る。
【0034】 本発明の高抵抗率マトリックス複合体の作製の代表的方法は、十分に焼結され
た酸化物超電導体複合体への加工処理後複合体に溶質組成の相を被覆し続いて溶
質をマトリックス中に拡散して固溶体を形成することと関与する。溶質は好まし
くはマトリックス中に結晶粒界に沿って拡散し、これはマトリックスバルク中へ
の溶質の容易な進入等を促進する。しかし、複合体の性質に悪影響を与えない温
度において容認しうる輸送速度が実現されうる限り、主たる輸送機構がバルク拡
散であるような溶質もまた本発明の実施に適当である。
【0035】 溶質が粒界拡散によって進行する程度は、部分的に、化学的なシステム、即ち
マトリックス及び拡散元素の組成並びにプロセス条件により決定される。粒界及
びバルク拡散速度は温度が高いほど増大するが、粒界拡散は代表的に、低めの温
度において支配的である。Reed-Hill,等 Physical Metallurgy Principles, PWS
-KENT1992年版(12章)を含めて多くの材料科学のテキストに拡散行路並
びに代表的な高温及び低温挙動についての情報を見出すことができる。
【0036】 多くの溶質元素は、反応性条件下で存在するとき、超電導酸化物を劣化する。
従って、溶質元素がマトリックス中に存在するときそうした条件が回避されるこ
とが所望される。これは、合金化マトリックスが酸化物超電導体より先に形成さ
れる場合には、酸化物超電導体を形成する条件が必然的に反応性条件と重なるか
ら困難である。従って、高い抵抗率成分は好ましくは低温においてそして反応性
条件野本での追加的な処理がもはや起こらないような超電導性複合体の作製時点
で導入される。
【0037】 まとめとして、高い抵抗率成分をマトリックス中に酸化物超電導体が形成され
た後−ここでは後処理段階として呼ぶ−導入することが所望される。ここで使用
されるものとしての用語「後処理段階」とは、所望の酸化物超電導体を得るため
の処理が完了した後実施されるプロセス過程を意味する。こうして処理された、
酸化物超電導体は、その意図する使途に対して必要とされる電気的性質、例えば
適正な組成、酸化物粒形態及び配列特性、臨界遷移温度及び電流搬送能のすべて
を具備する。後処理段階は望ましくは、複合体の超電導性質の劣化を防止するた
めに低温において実施される。後処理段階は、周囲温度から600℃までの範囲
の温度において、実施でき、そして好ましくは550℃以下であるが酸化物超電
導体の劣化を防止するためにマトリックス内での溶質の急速な拡散を保証するに
十分な高い温度において実施されうる。
【0038】 合金化プロセスは溶質の存在において酸化物超電導体複合体を加熱することに
より達成することができる。溶質が高い蒸気圧を有する蒸気若しくは液体の形態
で存在するとき、一般的に、複合体を溶質の損失を回避するために圧力容器若し
くは類似の密閉環境に保持する必要があることが見出された。この制限は、大量
の材料の処理に際して過酷な制約を課し、そして連続的な処理を非実用的に或い
は不可能とさえしよう。
【0039】 合金化プロセスは、溶質組成物を酸化物超電導体複合体の外面に置きそして加
熱して溶質をマトリックス中に拡散させることにより達成しうる。溶質は、制限
されるわけではないが、化学的蒸着、物理的蒸着、浸漬被覆、ロール被覆、グラ
ビアロール印刷、スタンピング、スパッタリング、電気化学的付着、複合対外面
への粉末のドクターブレード形成、複合体表面へのスラリーペーストの被覆と続
いてのベーキング処理、レーザアブレーション及びプラズマ溶射を含めて任意の
従来方法により付着されうる。これら及びその他の被覆技術についての記述は、
Cohen等「Modern Coating and Drying Technology」,VCH(1992)並びにSchweizer
等「Liquid Film Coating」 Chapman-hall(1997)に見ることができる。溶質金属
を被覆する幾つかの好ましい方法は、以下に詳しく述べるように、ロール被覆方
法及びメニスカス/重力制御浸漬被覆方法である。粒界を進行しやすい元素に対
しては、粒界拡散がバルク拡散より低温において容易に達成されるから、本方法
は、これら元素が溶質金属として使用されるとき低温において実施でき、それに
より超電導性質が劣化される可能性を最少限とする。
【0040】 マトリックス中に脆い金属間化合物相の形成を最少限としつつマトリックスへ
の溶質の拡散を達成することが所望される。これは、これら相が有意量において
存在するなら、超電導複合体の破壊歪みを実質上減少する傾向があるからである
。幾つかの溶質金属に対しては、これは低温において銀マトリックスをある量の
溶質金属で被覆しそして後超電導複合体を選択された拡散温度に加熱することに
より達成される。複合体はこの温度に溶質金属を銀マトリックス中に拡散せしめ
るに十分な期間保持されそして後複合体は低温に戻して冷却される。このプロセ
スの機構の理解のために、本発明者らは、銀−ガリウム合金の特定のケースにつ
いて熱力学及び反応論を調査した。
【0041】 銀−ガリウム相図の一部が図1に示される。相図の銀に富む領域において高温
β相及び低温β’相の2種の金属間相が存在することがわかる。斜線領域10が
銀中ガリウムの単独相固溶体が存在する温度及び組成の好ましい範囲を示す。
【0042】 純ガリウム及び純銀が接触状態に置かれそして徐々に加熱されるとき、ガリウ
ムは30℃において溶融しそして主として粒界に沿って銀中に拡散し始める。界
面近くの銀の領域はガリウムに富むようになりそしてバルクへのガリウムの拡散
が比較的遅いため金属間化合物β’が生じる。同金属が接触状態に置かれそして
急速に加熱されるとき、銀中へのガリウムの輸送は急速で、そしてガリウムの量
が銀の量に対して少ないとき(例えば約18atm%未満)、ガリウムのすべて
は銀中に拡散しそして安定して固溶状態に保持される。もし、金属がその後徐冷
されるなら、β’が核生成しそして線12が相図において交差する時成長する。
もし金属がガリウムが可動である温度以下に急冷されるとき、この核生成は抑制
され、従って金属は銀中ガリウム固溶体から実質上成るものとして留まる。たと
え一部のβ’相が核生成されても、その成長は約150℃未満の温度では十分に
低いので、金属間化合物相の容積分率は少ないままでありそして金属間化合物析
出物は良く分散している。
【0043】 相図における斜線領域10、即ち380〜550℃の温度範囲及び2〜18a
tm%ガリウムの組成範囲は、本発明の実施に好ましいことが見出された領域を
示す。BSCCO2223相はガリウムが0.02〜0.2mm銀マトリックス
を通して一様に拡散するに必要な保持時間この範囲の温度により実質上悪影響を
受けないことが判明した。錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、及びアンチモン
のような、こうした銀に富む固溶体相を有するその他の底融点金属に対しても適
当なプロセス条件が存在すると予想される。従って、これら金属も本発明の実施
に適当である。
【0044】 銀シースの表面へのガリウムのような液体金属の再現性のある量を被覆する一
つの方法はロール被覆である。様々のロール被覆技術が存在する。一般に、それ
らは、制御された量の液体をローラに被覆し、結局はシースの表面に液体を被覆
することを包含する。ローラに被覆される液体の量は、例えば部分的に液体被覆
浴中に浸漬されそして精確な量の液体が主ロールに被覆されるように主ロールか
ら制御された短い距離に保持されるアプリケータロールの使用により制御されう
る。被覆される液体の量を制御する他の方法としては、ファウンテイン式の被覆
、ガスナイフによる薄層化、ドクターブレードによる被覆を挙げることができる
。これら及び他のロール被覆技術は斯界で知られておりそしてアメリカグラビア
協会により頒布された「Gravure:Process and Technology」に詳しく論議されて
いる(1991)。
【0045】 ガリウムのような液体金属を再現性のある量において銀シースの表面に被覆す
るまた別の方法は、メニスカス/重力制御浸漬被覆である。この方法において、
複合体超電導体ワイヤ或いはテープが液体金属浴に浸漬されそして一定速度にお
いて浴から引き上げられる。この方法は、ワイヤ上に一様な液体金属の被覆を付
着させ、その厚さは液体金属の表面エネルギー及び密度並びにワイヤの引き上げ
速度の関数である。銀上へのガリウムの一様なそして再現性のある被覆を形成す
るためには一様な表面エネルギーを与えるよう銀シースを清浄にすることが望ま
しいことが見出された。適当であると見出された一つの方法は、CITRANOX、アニ
オン性液体洗浄剤の浴中でシースをまず超音波洗浄しそして後蒸留水浴中で洗浄
することと関与する。
【0046】 銀シースの表面にガリウムその他の液体金属の再現性のある量を被覆するまた
別の方法は、ウエーブ被覆と続いてのガスナイフを使用しての薄肉化である。こ
の技術においては、超電導複合体ワイヤ若しくはテープは、液体金属の「ウエー
ブ(波)」により満たされた室を通されそして溶融金属の厚い被覆を受け取る。
その後、過剰の金属はテープ表面から上方及び下方ノズルからの不活性ガスの噴
流により削除され、薄いそして一様な層を残す。ノズルを流出するガスは、任意
の望ましい組成を有しうる;ガリウムのウエーブ被覆ガスナイフ削除のための好
ましい組成物は、Cu除去アルゴン、窒素、ヘリウム、若しくは二酸化炭素であ
る。最終被覆の厚さは、(少なくとも)液体金属の組成及び被覆温度、ガス噴流
の温度、組成及び速度並びにワイヤ若しくはテープの初期被覆速度の関数である
。一つの好ましい具体例において、ワイヤ若しくはテープは、装置出口において
巻き取られる前に液体金属を凝固させるように冷却されうる。別様には、ワイヤ
若しくはテープは、超電導複合体のマトリックス中への液体金属を拡散するべく
急速加熱のために炉に直接通入されうる。
【0047】 シース表面にガリウムその他の金属を付着するためのまた別の方法は、電気メ
ッキである。ガリウムをブラシメッキする方法は米国特許第4,521,328
号に記載されている。本発明者はまた、水酸化ナトリウム乃至水酸化カリウムの
ような苛性溶液中20〜130g/lの濃度に溶解されたガリウムを使用するガ
リウムメッキ浸漬方法を考案した。可能なガリウム源として、Ga23、Ga(
OH)3、GaCl3、Ga2O、Ga2(SO43、及びGa(NO33を挙げる
ことができる。DCメッキセルは、カソードとしてHTS複合体をそしてアノー
ドとしてセルを毒さない任意の材料を使用して、1A/cm2のオーダの電流密
度で操作される。白金、ニッケル、タングステン、ガリウム、及びステンレス鋼
から作製されたアノードが成功裡に使用された。このメッキ方法については例5
において更に記載する。
【0048】 ガリウムのような幾種かの金属に対しては、液体被覆テープ(上述した方法の
いずれかにより被覆された)を金属がテープの表面において銀と金属間化合物相
を形成することを可能ならしめる比較的低温の焼鈍(アニール)に曝することが
追加的な操作を容易ならしめよう。
【0049】 本発明のまた別の具体例において、被覆及び拡散段階は、超電導複合体を所望
の拡散温度における溶質に富む環境、例えば450℃におけるガリウム又はガリ
ウム/銀浴に置くことにより組み合わせることができる。
【0050】 長尺の被覆超電導複合体テープは、被覆テープとステンレス鋼テープとをリー
ルに同時巻きしてパンケーキコイルを形成することによりバッチプロセスにおい
て焼鈍されうる。パンケーキコイルはその後、炉内で平坦に置かれそして拡散熱
処理される。ステンレス鋼及び処理複合体は、熱処理後容易に巻きほどかれそし
て分離され、そしてステンレス鋼テープは再使用若しくは処分されうる。熱処理
はまた、被覆テープをマンドレル(例えばアルミニウム製マンドレル)上に巻き
付けることによっても実施されうる。テープは、単一層で巻かれうるし、或いは
多数層を処理するのに分離剤が使用されうる。
【0051】 高抵抗率の電導体の多数の長さのものを使用する場合のような幾つかの用途に
対して、多数の長さのものに対するシス抵抗率の変動が最少限であることが重要
となろう。本発明は、実現のためのプロセス制御段階を含んでいる。この技術に
おいて、複合体超電導テープは、わずか過剰のガリウムで被覆されそしてシース
抵抗率は拡散熱処理中直接測定される。抵抗率が選択された値に達するとき、炉
は熱処理を停止するためオフに切り替えられる。或程度の追加的な拡散が冷却中
おそらく起こるであろうが、このシステムは抵抗率におけるバッチ毎の変動を著
しく減じる。
【0052】 (例) 例1−Ga−Ag合金マトリックス 純銀シースされたモノフィラメントBSCCO2223複合体テープを、チュ
ーブ内標準酸化物粉末填入プロセスにより作製した。最終焼結段階後、臨界ワイ
ヤ電流は77Kにおいて約16A(1μV/cm規準)であった。10個の、1
5cm長さ部分にその後、約40℃における溶融Ga中にラテックス手袋をした
指を浸漬することにより手作業で被覆し、続いて手袋をした指上でGaプールの
Agテープ表面上に指間でテープを僅かに圧縮しながら前後に払拭した。中央帯
域(約3インチ長さ)を各テープから切断しそして計量した。既知の酸化物充填
係数及び外部テープ寸法から、銀シース重量に対する付着Ga重量%を計算する
ことができる。平均重量増加は11.23%であった。サンプルはCu除去アル
ゴン中で480℃において2及び4時間のベーキングを受け、続いてIc及び抵
抗率を測定した。2及び4時間ベーキングは共にマトリックスの抵抗率を増加し
たが、4時間のベーキングはまた、超電導ワイヤに対するIc最終/Ic初期の
低い値からわかるように超電導ワイヤの過剰の劣化をもたらした。
【0053】
【表1】 温度(℃) 時間(hr) 77Kにおける Ic(A) Ic最終/ 抵抗率(μΩ・cm) Ic初期 480 2 6 13.6 0.85 13.9 0.87 480 4 6.2 2.3 0.14 10.3 0.64
【0054】 例2−純銀テープの抵抗率 純銀テープを例1に記載した被覆方法に供してGa−Ag合金及び被覆及び拡
散プロセスの抵抗率変化を評価した。これらサンプルは、Cu除去アルゴン中で
480℃において25時間処理した。表2に呈示する抵抗率データは、本被覆及
び拡散方法により形成されたGa−Ag固溶体が25μΩ・cmを超える抵抗率
を実現しうることを例示する。
【0055】
【表2】 wt%Ga 77Kにおける抵抗率(μΩ・cm) 8.1 12.8 10.2 22.4 10.7 28.4 13.8 31.3
【0056】 例3−メニスカス/重力制御浸漬被覆 純銀シース付きモノフィラメントテープBi−2223複合体テープを標準的
な酸化物粉末により0.011cm×0.221cmの断面寸法にチューブプロ
セスにより作製した。テープは、23.4Aの平均臨界電流(77KにおけるI
c、自己磁場、1μV/cm規準)を示した。標準偏差は2.04Aであった。
対応する工業用電流密度(Je)は9.68kA/cm2であった。このテープ
の2つの長い部片を2つの異なった移行速度、〜25cm/分及び〜33.5c
m/分において浸漬被覆した。被覆方法は、テープを50℃に保持された溶融G
a浴にシリコーンゴムシールにおけるスロットを通して上方に引っ張り、溶融G
aを通してテープを約4”移行し、Gaから上方に引き出し、その表面上に比較
的一様な被覆にGaを引き延ばすことから成った。被覆の厚さは、移行速度に依
存し、速度が速いほど一層厚いGa層を生成した。テープをその後冷却し、そし
てマンドレルに巻き付け、続いて80℃において4時間から成る「乾燥」焼鈍を
−溶融Gaからテープ表面においてGa−Ag金属間化合物を形成するプロセス
−行い、それによりはるかに容易な爾後のプロセス内での取り扱いを可能ならし
めた。テープをその後、試験サンプル(各約4”長さ)に切断した。試験サンプ
ルはIc及び平均抵抗率へのGa拡散温度における時間の影響を調査するのに使
用した。シースへのGaの添加は、ワイヤ中の非超電導製材量の量を増加するこ
とにより25cm/分被覆速度に対してJeを8.25kA/cm2まで速やか
に減じた。
【0057】 この拡散実験に対して、長尺のテープから切り出された5つのサンプルを予熱
された炉の周囲温度端部帯域に置きそして密閉した。炉の雰囲気は、Cu除去ア
ルゴン若しくは空気いずれかでパージしそしてサンプルを炉の480℃予熱高温
帯域に押進した(2分未満で加熱)。サンプルを30〜120分の範囲の時間高
温帯域に保持しそしてそれらの温度を周囲温度に急冷した。サンプルをその後、
2組の1cm離間電圧タップを使用する標準的な4点プローブ法を使用してそれ
らの77K、自己電場Ic水準に対して試験した。シース抵抗率は、各複合体を
超電導体の遷移温度(−110K)まで冷却しながら一定の小電流を各複合体に
流しながら1cm間隔のタップ巻の電圧を測定し、続いて77Kへの代表的に直
線性の電圧温度依存性を外挿することにより行った。電圧対温度データから、抵
抗率は式1により与えられる(ここでVは測定電圧、AはTcを超える超電導体
がマトリックスに比較して高い抵抗率を有することを仮定してシースの断面積、
Iは印加一定電流そしてxは電圧タップ間の間隔である)。
【0058】 データを表3にまとめて示す。掲げた拡散条件は50%を超えるIc水準を保
持した。対応するJc水準は77Kにおいて4kA/cm2を超えた。抵抗率は
、多くの電流制限用途において必要とされる最少3μΩ・cmをすべて超える5
.1〜13μΩ・cmの範囲であった。
【0059】
【表3】
【0060】 例4−ロール被覆 所望量のガリウムその他の液体金属は図2a及び2bに示されるようなロール
被覆装置により金属シース付き超電導体の外面に被覆されうる。
【0061】 図2aのロール被覆装置は、送給ロール20、バックアップロール22、溜め
24及びドクターブレード26を包含する。送給ロール20の外面は好ましくは
、溶融金属により劣化されない材料製であり、例えばエラストマーその他のポリ
マー、セラミック、若しくは金属表面であり得る。もっとも好ましくは、ロール
20の外面は、ガリウムの搬送に役立つ表面性状を有するエラストマーである。
望ましい表面性状としては、限定されるわけではないが、グラインダーにより生
成されるテキスチャー仕上げ、グラビア印刷において使用されるモノに類似の四
角形乃至ピラミッド状セルを挙げることができる。
【0062】 送給ロール20は、水平に設置されそして溜め24内に収蔵される液体ガリウ
ム28(或いは別の液体金属)に部分的に浸漬される。送給ロール20が図2a
に示されるように回転されるとき、ガリウムはその表面上に搬送される。送給ロ
ール20周辺に設置されるドクターブレード26がガリウムの送出量をならしそ
して調節する役目をなす。続いて、金属シース付き超電導体30が、バックアッ
プロール22の作用により送給ロール20上のガリウム層と接触状態に持ち来さ
れそしてガリウムの一部若しくはすべてが超電導体シース30の表面に転写され
る。シース付き超電導体は、送給ロール表面と同じ法hこうも市区は反対方向に
移動されうる。前者は「順方向」ロール被覆と呼ばれそして後者は「逆方向」ロ
ール被覆と呼ばれる。
【0063】 シース付き超電導体30の第2側面は、それを裏返しにしそして同じ若しくは
また別のロール被覆装置に通すことにより被覆されうる。
【0064】 また別の設計において、図2aのドクターブレード26は、ガリウムの転写量
をならしそして調節する計量ロール(図示無し)と交換されうる。ガリウムは、
送給ロール20と計量ロールとの間のギャップによるだけでなく、計量ロールの
回転方向及び速度によっても調節される。計量ロールの使用は、送給ロール表面
の摩耗の減少を含めて幾つかの利点を提供する。
【0065】 また別の設計において、送給ロール20は図2aの溜め24に収蔵される溶融
ガリウム28中に部分的に浸漬されない。その代わり、ガリウムは、送給ロール
20にとなりあって設けられるノズル若しくはスリット(図示無し)を通して送
給ロール表面に供給される。これは、ガリウム中への気体の導入により起こりう
る泡立ち及び酸化のようなその他の作用を減じる。この設計において、過剰のガ
リウムは溜め24において回収されそしてガリウム源に戻される。
【0066】 図2bのロール被覆装置は、送給ロール32、転写若しくはオフセットロール
34、バックアップロール22、溜め24及びドクターブレード26を包含する
。送給ロール32は上述した図2aの送給ロール20と実質上同じ態様で機能す
る。ここでも、送給ロール32は溶融ガリウム28中に部分的に浸漬されるか若
しくはガリウムがノズル(図示無し)からその表面に被覆される。ガリウムの転
写量を調節するのに計量ロール(図示無し)若しくはドクターブレード26いず
れかが使用されうる。
【0067】 送給ロール32の表面に転写されるガリウムの一部若しくは全量は、転写ロー
ル34に移される。この転写の詳細は、少なくとも2つのロールの各々の回転方
向及び速度によりまたそれらの間隔により制御される。
【0068】 被覆されるべき金属シース付き超電導体30は、転写ロール34上のガリウム
層と接触状態に持ち来され、そしてガリウムの一部若しくは全量がシース表面に
転写される。順方向及び逆方向ロールいずれもの被覆形態が使用されうる。一側
面の被覆後、シースは裏返しにされそして同じ若しくはまた別の被覆装置により
反対面が被覆されうる。
【0069】 例5−電気メッキ 電気メッキの準備として、電解液は、1リットルの約70℃における5モルN
aOH中に67gのGa23を溶解することにより調製された。電解液はメッキ
に先立って室温に冷却せしめられた。メッキ設備は、DC電源、電解液、及び固
体ガリウム電極から構成した。被メッキ材料は、0.01164cm厚さ、0.
3745cm幅、40cm長さの寸法を有しそして40%充填係数を有する複合
体テープであった。メッキプロセスにおいては、複合体テープをカソードとしそ
してガリウム電極をアノードとした。0.6A/cm2の化ソード電流密度を3
0秒間印加した。生成テープ厚さは0.01336cmであり、8.6μmガリ
ウムメッキ厚さを与えた。メッキしたテープを10cm長さ部分に切断しそして
大気中100℃で1時間、その後大気中450℃で4時間熱処理した。室温で電
気的測定を行い、5.84μΩ・cmの長手方向シース抵抗率をを与えた。77
Kにおいて行った臨界電流試験は37.52a(自己磁場、1μV/cm)の平
均Icを与えた。同等の臨界電流試験を対照サンプル(メッキ及び拡散処理無し
)について行ったところ、35.01Aの平均Icを生じ、後処理が超電導フィ
ラメントを劣化しないことを示した。
【0070】 例6−合金化マトリックスの機械的試験 公称2.45mm×0.095mm断面の純銀ストリップを周囲温度において
浸漬被覆によりGaを被覆した。サンプルを被覆前後で計量してGaの量を測定
した。サンプルをその後480℃に加熱しそしてCu除去アルゴン中で様々の期
間保持した。その後、ストリップをインストロン機械試験機を使用して引張強さ
及び伸びを試験した。結果を表4に呈示する。
【0071】
【表4】
【0072】 これら結果は、合金が非常に延性であり、すべてのサンプルが10%を超える
歪みまで破断しなかった。これらの降伏強さは非常に高く、そしてそれらの引張
強さは一段と高かった。
【0073】 例7−複合体テープの機械的試験 充分に処理したモノフィラメントBSCCO2223テープサンプル銀に対し
て6.2及び12.3wt%まで浸漬法を使用してGaで被覆した。テープは公
称、1.73mm幅及び0.191mm厚さでありそして45vol%BSCC
O2223を有した。被覆後、サンプルをCu除去アルゴン中で480℃に加熱
し、この温度に4時間保持しそして周囲温度まで急冷した。サンプルはその後、
2.55mm直径のロッドに巻き(約7.5%のテープ表面引張歪み)そして表
面の損傷を調べた。
【0074】 マクロ的なそしてミクロ的な観察は表面クラック発生の兆しを何ら示さなかっ
た。この歪み水準は、BSCCO2223のようなHTS酸化物の歪み許容限を
10倍以上超えるものであった。試験は周囲温度で完了されたけれども、結果は
極低温にも等しく適用しうると予想される。
【0075】 例8−メニスカス/重力制御浸漬被覆と続いての後拡散処理 純銀シース付きモノフィラメントBi−2223複合体テープを0.115m
m×1.85mmの断面寸法チューブプロセスにおいて標準的な酸化物粉末によ
り作製した。テープは、18.6Aの平均臨界電流を示した(77KにおけるI
c、自己電場、1μV/cm規準)。相当する工業電流密度(Je)は8.74
kA/cm2であった。このテープに長い部片を約25cm/分の速度で浸漬被
覆した。例3におけるように、被覆方法は、テープを50℃に保持された溶融G
a浴にシリコーンゴムシールにおけるスロットを通して上方に引っ張り、溶融G
aを通してテープを約4”移行し、Gaから上方に引き出し、その表面上に比較
的一様な被覆にGaを引き延ばすことから成った。このテープをその後冷却し、
そしてマンドレルに巻き付け、続いて90℃において2時間から成る「乾燥」焼
鈍を−溶融Gaからテープ表面においてGa−Ag金属間化合物を形成するプロ
セス−行い、それによりはるかに容易な爾後のプロセス内での取り扱いを可能な
らしめた。テープをその後、試験サンプル(各約4”長さ)に切断した。シース
へのGaの添加は、ワイヤ中の非超電導製材量の量を増加することによりJeを
7.39kA/cm2まで速やかに減じた。
【0076】 長尺物から切断された12のサンプルを予熱された炉の周囲温度端部帯域に置
きそして密閉した。炉の雰囲気は、Cu除去アルゴン若しくは空気いずれかでパ
ージしそしてサンプルを炉の450℃予熱高温帯域に押進した(2分未満で加熱
)。サンプルを120若しくは240分高温帯域に保持しそして引き出して周囲
温度に急冷した。
【0077】 拡散処理後、ガリウム処理銀シース付きモノフィラメントBSCCO2223
複合体テープは表面に酸化物層を有し、テープに光沢のないマット仕上げを与え
た。この酸化物層の存在は、続いての処理中また最終製品作製中いずれかでこれ
ら電導体の半田付けを妨害する恐れがある。12個の試験サンプルを3つのロッ
トに分け、Icへの酸化物除去方法の影響を調査した。4サンプルテープの第1
ロットは、600グリット炭化珪素研磨紙を使用して研磨して酸化物を除去しそ
して新たな鏡面銀合金表面を創出した。4つのサンプルテープから成る第2のロ
ットを50部の水酸化アンモニウム(NH4OH)、10部の過酸化水素(H2 2 )及び50部の水から成る溶液中で約3分間化学的にエッチング処理した。こ
のエッチングは酸化物を除去しそして鏡面銀合金表面を創出した。残る4つのサ
ンプルの第3ロットは、参照グループとしてそのまま維持した。
【0078】 サンプルをその後、2組の1cm間隔の電圧テープを使用して標準4点プロー
ブ法を使用して77K、自己電場Ic水準に対して試験した。シース抵抗率は各
複合体を超電導体の遷移温度(−110K)まで冷却しながら一定の小電流を各
複合体に流しながら1cm間隔のタップ巻の電圧を測定し、続いて77Kへの代
表的に直線性の電圧温度依存性を外挿することにより行った。
【0079】 データを表5にまとめて示す。拡散熱処理後の化学的エッチング若しくは研磨
の追加的な処理段階は、Ic保持量の著しく高い値をもたらした(46%に比較
して76及び80%)。抵抗率は9.8〜9.9μΩ・cmの範囲であり、多く
の電流制限用途において必要とされる最少3μΩ・cmをすべて超えた。
【0080】
【表5】
【0081】 ここで開示した発明の詳細及び実施態様の考察から本発明の他の具体例が当業
者には明らかであろう。ここでの説明及び実施例は例示目的のみで考慮されそし
て本発明の範囲及び精神は次の請求の範囲から示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 銀−ガリウム相図において本発明の実施のための好ましい条件を例示する。
【図2】 (a)及び(b)は、金属シース超電導体を液体で被覆するのに使用される2
つのロールコータを例示する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラルフ ピー.メイソン アメリカ合衆国 01721 マサチューセッ ツ、アッシュランド、プレザント ストリ ート 97エイ (72)発明者 クレイグ ジェイ.クリストファソン アメリカ合衆国 01604 マサチューセッ ツ、ウースター、ウォール ストリ−ト 6、アパートメント ナンバー2 (72)発明者 ピーター アール.ロバーツ アメリカ合衆国 01540 マサチューセッ ツ、グロットン、ピーオーボックス 1027 Fターム(参考) 5G321 AA01 AA04 AA05 CA27 CA32 DB18 DD02 DD05

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀含有マトリックス内に一つ以上の酸化物超電導部材を含む
    複合酸化物超電導体物品であて、マトリックスは、77Kにおいて3μΩ・cm
    を超えるバルク抵抗率を有し、0.5%を超える引張破壊歪みを有し、マトリッ
    クスの金属成分が1気圧において380℃より低い沸点を有することを特徴とす
    る酸化物超電導体物品。
  2. 【請求項2】 マトリックスが銀とガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、イン
    ジウム及びアンチモンから成る群から選択される少なくとも一種の他の元素との
    銀に富む固溶体から構成される請求項1の酸化物超電導体物品。
  3. 【請求項3】 マトリックスが550℃未満の温度において20時間未満内
    に銀マトリックス中に拡散し得るに十分の拡散率を有する少なくとも一種の他の
    元素との銀に富む固溶体から構成される請求項1の酸化物超電導体物品。
  4. 【請求項4】 マトリックスが550℃未満の温度において少なくとも10 -12 cm2/sの銀中での拡散率を有する少なくとも一種の他の元素との銀に富む
    固溶体から構成される請求項1の酸化物超電導体物品。
  5. 【請求項5】 酸化物超電導部材がBSCCO2223相を構成する請求項
    1の酸化物超電導体物品。
  6. 【請求項6】 酸化物超電導部材がBSCCO2212相を構成する請求項
    1の酸化物超電導体物品。
  7. 【請求項7】 酸化物超電導部材がYBCO系列の酸化物超電導体の一部材
    を構成する請求項1の酸化物超電導体物品。
  8. 【請求項8】 マトリックスが50μm未満の粒寸を有する請求項1の酸化
    物超電導体物品。
  9. 【請求項9】 マトリックスが0.1〜15μmの範囲の粒寸を有する請求
    項1の酸化物超電導体物品。
  10. 【請求項10】 マトリックスが銀と少なくとも一種の溶質元素との銀に富
    む固溶体から構成され、溶質元素がバルクマトリックス組成の少なくとも2at
    m%を占める請求項1の酸化物超電導体物品。
  11. 【請求項11】 マトリックスが銀と少なくとも一種の溶質元素との銀に富
    む固溶体から構成され、溶質元素がバルクマトリックス組成の少なくとも4at
    m%を占める請求項1の酸化物超電導体物品。
  12. 【請求項12】 マトリックスが銀と少なくとも一種の溶質元素との銀に富
    む固溶体から構成され、溶質元素がバルクマトリックス組成の少なくとも4at
    m%〜50atm%を占める請求項1の酸化物超電導体物品。
  13. 【請求項13】 マトリックスが銀と少なくとも一種の溶質元素との銀に富
    む固溶体から構成され、溶質元素がバルクマトリックス組成の少なくとも4at
    m%〜18atm%を占める請求項1の酸化物超電導体物品。
  14. 【請求項14】 バルクマトリックス抵抗率が5μΩ・cmを超える請求項
    1の酸化物超電導体物品。
  15. 【請求項15】 バルクマトリックス抵抗率が5〜25μΩ・cmの範囲に
    ある請求項1の酸化物超電導体物品。
  16. 【請求項16】 マトリックスが1%を超える引張破壊歪みを有する請求項
    1の酸化物超電導体物品。
  17. 【請求項17】 マトリックスが0.5%を超える曲げ破壊歪みを有する請
    求項1の酸化物超電導体物品。
  18. 【請求項18】 マトリックスが1%を超える曲げ破壊歪みを有する請求項
    1の酸化物超電導体物品。
  19. 【請求項19】 物品が90K以下の温度において少なくとも3,000A
    /cm2の工業臨界電流密度を有する請求項1の酸化物超電導体物品。
  20. 【請求項20】 酸化物超電導部材が少なくとも70Kの臨界温度を有する
    請求項1の酸化物超電導体物品。
  21. 【請求項21】 銀含有マトリックス内に酸化物超電導体部材を含む物品に
    おいて最終酸化物超電導体相の形成後、 酸化物超電導体物品を銀に富む固溶体を形成しうる溶質で被覆する段階と、 溶質で被覆された複合体物品を溶質−銀固溶体の形成を増進する温度で且つ1
    気圧における溶質の沸点より低い温度に加熱する段階と、 複合体を前記温度に溶質がマトリックス中に拡散して固溶体を形成するに十分
    な期間加熱する段階と、そして 複合体物品を追加的な拡散が実質上起こらない温度までマトリックス中に第2
    層の形成を実質上防止するよう選択された速度で冷却する段階と を包含し、 冷却された物品のマトリックスが第2層を実質上含まずそして被覆前のマトリッ
    クスの抵抗率より高い抵抗率を有することを特徴とする酸化物超電導体を製造す
    る方法。
  22. 【請求項22】 加熱温度が第2相の形成が該加熱温度において進行しない
    ように更に選択される請求項21の方法。
  23. 【請求項23】 溶質元素が加熱温度において0.1気圧未満の蒸気圧を有
    する請求項21の方法。
  24. 【請求項24】 溶質元素が銀と室温において熱力学的に安定である第2相
    を形成することができそして冷却が該第2相の形成が反応力学的に実質上防止さ
    れるに充分急速である請求項21の方法。
  25. 【請求項25】 溶質が550℃未満の温度で少なくとも10-12cm2/s
    の銀中での拡散率を有する点において更に特性づけられる請求項21の方法。
  26. 【請求項26】 複合体が加熱温度に20時間を超えない期間維持される請
    求項21の方法。
  27. 【請求項27】 溶質がガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム及び
    アンチモンから成る群から選択される金属である請求項21の方法。
  28. 【請求項28】 溶質がガリウムである請求項21の方法。
  29. 【請求項29】 物品が約380〜520℃の範囲の温度に加熱される請求
    項28の方法。
  30. 【請求項30】 固溶体におけるガリウムの濃度が2〜18atm%の範囲
    にある請求項28の方法。
  31. 【請求項31】 酸化物超電導体部材が所望の超電導体相を含む請求項21
    の方法。
  32. 【請求項32】 冷却段階及び加熱段階の少なくとも一方が1℃/分を超え
    る速度で実施される請求項21の方法。
  33. 【請求項33】 冷却段階及び加熱段階の少なくとも一方が10℃/分を超
    える速度で実施される請求項21の方法。
  34. 【請求項34】 冷却段階及び加熱段階の少なくとも一方が20℃/分を超
    える速度で実施される請求項21の方法。
  35. 【請求項35】 冷却速度が有意量の第2相を形成するに充分第2相の形成
    を増進する温度範囲においての滞留を防止するに充分急速である請求項21の方
    法。
  36. 【請求項36】 金属被覆が化学的蒸着、物理的蒸着、浸漬被覆、ロール被
    覆、グラビアロール被覆、ドクターブレード被覆、スタンピング、スパッタリン
    グ、電気化学的付着、レーザアブレーション、及びプラズマ溶射のいずれかによ
    り超電導体物品に被覆される請求項21の方法。
  37. 【請求項37】 金属被覆が浸漬被覆により超電導体物品に被覆される請求
    項21の方法。
  38. 【請求項38】 金属被覆がロール被覆により超電導体物品に被覆される請
    求項21の方法。
  39. 【請求項39】 銀含有マトリックス内に酸化物超電導体部材を含む物品に
    おいて最終酸化物超電導体相の形成後、 酸化物超電導体物品を銀に富む固溶体を形成しうる溶質を含有し、銀含有マト
    リックス中への溶質元素の拡散を増進し且つ1気圧における溶質元素の沸点より
    低い昇温環境に曝する段階と、 酸化物超電導体物品を前記環境において溶質がマトリックス中に拡散して銀に
    富む固溶体を形成するに十分な期間維持する段階と、そして 複合体物品を追加的な拡散が実質上起こらない温度までマトリックス中に第2
    層の形成を実質上防止するよう選択された速度で冷却する段階と を包含し、 冷却された物品のマトリックスが第2相を実質上含まずそして昇温環境への暴露
    前のマトリックスの抵抗率より高い抵抗率を有することを特徴とする高い抵抗率
    のシースを有する酸化物超電導体物品を製造する方法。
  40. 【請求項40】 溶質元素が銀と室温において熱力学的に安定である第2相
    を形成することができそして冷却が該第2相の形成が反応速度論的に実質上防止
    されるに充分急速である請求項39の方法。
  41. 【請求項41】 溶質元素を含む環境が550℃未満の温度に保持される請
    求項39の方法。
  42. 【請求項42】 冷却が1℃/分を超える速度で実施される請求項39の方
    法。
  43. 【請求項43】 冷却が10℃/分を超える速度で実施される請求項39の
    方法。
  44. 【請求項44】 冷却が20℃/分を超える速度で実施される請求項39の
    方法。
  45. 【請求項45】 環境が溶質元素を含む液体金属浴から成る請求項39の方
    法。
  46. 【請求項46】 環境が溶質元素を含む蒸気相から成る請求項39の方法。
  47. 【請求項47】 溶質元素がガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム
    及びアンチモンから成る群から選択される請求項39の方法。
  48. 【請求項48】 銀含有マトリックス内に酸化物超電導体部材を含む物品の
    において最終酸化物超電導体相の形成後、 酸化物超電導体物品を銀含有マトリックスの抵抗率より高い抵抗率を有する銀
    に富む固溶体の形成を増進しそしてそして第2相の形成に好ましくない条件下の
    選択された温度及び圧力における環境であって、選択された圧力において選択さ
    れた温度を超える沸点を有する、銀に富む固溶体を形成することのできる溶質元
    素を含む環境に曝する段階と、 酸化物超電導体物品を前記環境中で銀に富む固溶体を形成するに十分な時間維
    持する段階と、 温度、圧力及び溶質の分圧或いはその組み合わせから成る群から選択される環
    境パラメータをマトリックス中への溶質の実質的な拡散が起こる環境を創出しマ
    トリックス中での第2相の形成を実質上抑制する選択された速度に調節する段階
    と を包含する高いシース抵抗率を有する酸化物超電導体物品を製造する方法。
  49. 【請求項49】 ガリウムで超電導体複合体を被覆する方法であって、 電極及び金属及び酸化物超電導体をガリウム含有電解質浴に浸漬する段階と、 電極及び複合体に複合体の表面にガリウムを付着するべく電位差を印加する段
    階と を包含するガリウムで超電導体複合体を被覆する方法。
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