本発明では、既存のステンレス鋼製飲料貯蔵容器に内袋組立体を挿入する改造を行った上で、当該改造された容器への飲料の充填および当該改造された容器からの飲料の注出を、既存の充填装置および注出装置(ディスペンスヘッド)をそのまま用いて行うことができ、かつ、充填工程および注出工程も、既存の工程と同様に実行することができる。
以下、固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法、飲料取出方法、および、内袋組立体6に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しとなる説明は省略される。なお、以下の説明において、「ステンレス鋼製飲料貯蔵容器」は、ビールを貯蔵可能なステンレス鋼製容器を意味する。なお、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器に、ビール以外の飲料(例えば、ビール以外の発泡酒)が貯蔵されることは排除されない。
(ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6が固定された後の状態)
図2を参照して、実施形態における固定方法(固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法)が実行された後の状態の一例を説明する。図2は、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6が固定された後の状態を模式的に示す概略断面図である。
図2に記載の例において、内袋組立体6は、固定部材3を介して、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に固定されている。
ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は、容器本体20と、口金部21とを備える。口金部21には、雌ネジ部21sが設けられている。
固定部材3は、口金部21に取り付けられ、内袋組立体6をステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に固定する部材である。固定部材3は、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の雌ネジ部21sに螺合する雄ネジ部31sを有する。
実施形態では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の雌ネジ部21sに、固定部材3を取り付けることにより、内袋組立体6をステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に固定する。既存のステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の雌ネジ部21sには、フィッティング10が取り付けられている。実施形態では、当該雌ネジ部21sに、フィッティング10の代わりに固定部材3を取り付けることにより、従来のステンレス鋼製飲料貯蔵容器を、内袋組立体6が内蔵された二重容器に改造する。
実施形態では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2が繰り返し再利用され、雌ネジ部21sへの固定部材3の取り付けと、雌ネジ部21sからの固定部材3の取り外しが繰り返し実行される。この場合、雌ネジ部21sと雄ネジ部31sとに大きな負荷がかかる。実施形態では、雌ネジ部21sが耐久性の高いステンレス鋼によって形成されているため、大きな負荷に耐えることができる。また、固定部材3の雄ネジ部31sが、ステンレス鋼等の耐久性の高い金属製である場合には、大きな負荷に耐えることができる。他方、固定部材3を樹脂製とする場合には、雄ネジ部31sは劣化し易い。よって、実施形態において、樹脂製の固定部材3が採用される場合、当該固定部材3は、例えば、1回使い切りの交換部品(使い捨て部品)である。
(固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法)
図2乃至図11を参照して、第1の実施形態における固定方法(固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法)について説明する。図3は、第1の実施形態における固定方法の一例を示すフローチャートである。図4乃至図6は、第1の実施形態における固定方法の各工程が実行されている様子を模式的に示す概略断面図である。図7は、実施形態におけるダウンチューブ70の例を模式的に示す概略側面図である。図8は、実施形態における内袋本体61の一例を模式的に示す概略側面図である。図9は、実施形態における固定部材3の一例について説明するための図(概略断面図)である。図10は、実施形態における固定部材3の一例について説明するための図(概略断面図)である。図11は、実施形態における内袋組立体6の一例について説明するための図(概略断面図)である。
図4に示されるように、第1ステップST1において、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と、内袋組立体6と、固定部材3とが準備される。
ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は、容器本体20と、上端部に雌ネジ部21sを有する口金部21とを具備する。口金部21は、例えば、容器本体20に溶接により接合されている。ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は、例えば、飲食店等の飲料提供業者から回収された容器である。
回収されたステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に、フィッティング10(図1を参照。)が装着されている場合には、第1ステップST1の前に、当該フィッティング10が、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2から取り外される。よって、第1ステップST1において準備されるステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は、過去にステンレス鋼製のフィッティング10が装着されていた飲料貯蔵容器でも構わない。なお、本明細書において、フィッティング10とは、飲料取出管を支持可能であり、かつ、口金部21に装着可能な部材を意味する。フィッティング10は、ウェル(well:「井戸」を意味する。)型のフィッティングである。
代替的に、回収されたステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に、固定部材3および使用済の内袋組立体6が装着されている場合には、第1ステップST1の前に、固定部材3および使用済の内袋組立体6が、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2から取り外される。
第1ステップST1において準備される内袋組立体6は、可撓性の内袋本体61と、飲料取出弁V1を有する第1部分63と、固定部材3によって位置決めされる第2部分68とを構成要素として含む組立体である。
固定部材3は、内袋組立体6の第2部分68を位置決めする位置決め部30と、雄ネジ部31sとを具備する。
固定部材3の準備は、回収されたステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に装着されていたフィッティング10(図1を参照。)を加工すること(より具体的には、切断加工すること)により行われてもよいし、回収されたステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に装着されていた固定部材3を再利用することにより行われてもよいし、新品の固定部材3を製造することにより行われてもよい。固定部材3の一部が、再利用部品であり、固定部材3の他の一部が新品の部品であってもよい。
図4に記載の例では、固定部材3とステンレス鋼製飲料貯蔵容器2とは別体であり、固定部材3と内袋組立体6とは別体である。
図5に示されるように、第2ステップST2において、内袋組立体6がステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に挿入される。第2ステップST2は挿入工程である。第2ステップST2では、内袋本体61が、口金部21を通って、容器本体20内に挿入される。
第3ステップST3において、固定部材3の雄ネジ部31s(図6を参照。)と口金部21の雌ネジ部21sとが互いに係合される。当該係合は、雄ネジ部31sを雌ネジ部21sにねじ込むことによって行われる。第3ステップST3は、係合工程(あるいは、ねじ込み工程)である。
第4ステップST4において、固定部材3に対して内袋組立体6の第2部分68が位置決めされる。第4ステップST4は位置決め工程である。図6に記載の例では、固定部材3の位置決め部30が、内袋組立体6の第2部分68を押圧することによって、固定部材3に対して内袋組立体6の第2部分68が位置決めされる。
代替的に、第4ステップST4は、内袋組立体6の第2部分68に固定部材3を結合(例えば、係合)することによって行われてもよい。第2部分68と固定部材3との結合により、固定部材3に対して内袋組立体6の第2部分68が位置決めされることとなる。内袋組立体6の第2部分68に固定部材3を結合する場合、第4ステップST4は、第2ステップST2および第3ステップST3の前に実行されることが好ましい。
以上の工程により、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2が、内袋組立体6が内蔵された二重容器に改造される。
(ダウンチューブ70)
図6に示されるように、内袋組立体6は、ダウンチューブ70を備えていてもよい。ダウンチューブ70は、内袋組立体6の第1部分63から下方に延在し、内袋本体61内の飲料を飲料取出弁V1に向けて供給する部材である。ダウンチューブ70は、例えば、樹脂製であり、ダウンチューブ70は、例えば、可撓性のチューブである。図6に記載の例では、ダウンチューブ70は、内袋組立体6の第1部分63に装着されている。ダウンチューブ70は、溶着により第1部分63に固定されてもよいし、圧入により第1部分63に固定されてもよい。
実施形態では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と内袋本体61との間にガス(例えば、空気)を供給して内袋本体61を収縮させることにより、内袋本体61から飲料(例えば、ビール)が取り出される。このため、実施形態において、ダウンチューブ70は、必ずしも必要ではない。しかし、ダウンチューブ70を設けない場合には、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と内袋本体61との間にガス(例えば、空気)を供給することにより、内袋本体61が意図せぬ形状に収縮して内袋本体61の下部空間と上部空間との間が非連通状態となる可能性がある。この場合、内袋本体61の下部空間内の飲料を取り出すことができなくなる。
そこで、図6に記載の例では、内袋本体61内にダウンチューブ70を配置している。この場合、内袋本体61が意図せぬ形状に収縮した場合であっても、ダウンチューブ70を介して、内袋本体61内から内袋本体61外に飲料を取り出すことができる。
図7を参照して、ダウンチューブ70の構成の具体例について説明する。図7は、実施形態におけるダウンチューブ70の例を模式的に示す概略側面図である。
図7(a)乃至図7(c)に記載の例では、ダウンチューブ70の側壁71に、飲料が通過可能な飲料通過部711が設けられている。よって、内袋本体61がどのような形状に収縮した場合であっても、ダウンチューブ70の飲料通過部711およびダウンチューブ70内の空間を介して、内袋本体61内から内袋本体61外に飲料を取り出すことができる。
これに対し、ダウンチューブ70の底部のみに飲料が通過可能な孔が設けられている場合を想定する。この場合、内袋本体61が意図せぬ形状に収縮して内袋本体61の下部空間と上部空間との間が非連通状態になると、上部空間から飲料を取り出すことができなくなる可能性がある。これに対し、ダウンチューブ70の側壁71に、飲料が通過可能な飲料通過部711が設けられる場合には、内袋本体61の上部空間から飲料が取り出せなくなることがない。なお、実施形態では、ダウンチューブ70の側壁71に飲料通過部711が設けられ、かつ、ダウンチューブ70の底部72に飲料通過孔721が設けられることが好ましい。
図7(a)に記載の例では、飲料通過部711は、側壁71に設けられたスリット711aを含む。当該スリット711aは、ダウンチューブ70の長手方向に沿って延在する。側壁71にスリット711aが設けられる場合には、ダウンチューブ70の長手方向に沿って連続的に飲料通過部711が設けられることとなる。また、ダウンチューブ70にスリット711aを形成する工程は、容易に実行可能である。よって、ダウンチューブ70にスリット711aを形成することにより、安価に飲料通過部711付きのダウンチューブ70を製造することが可能である。
図7(b)に記載の例では、飲料通過部711は、側壁71に設けられた複数の飲料通過孔711bを含む。側壁71に複数の飲料通過孔711bが設けられる場合には、ダウンチューブ70の長手方向に沿って離散的に飲料通過部711が設けられることとなる。
図7(c)に記載の例では、ダウンチューブ70は、スパイラルチューブ70c(換言すれば、螺旋状に配置された帯材、または、螺旋状に配置された線材によって構成されるチューブ)を含む。図7(c)に記載の例では、スパイラルチューブ70cを構成する帯材間の隙間711c、または、スパイラルチューブを構成する線材間の隙間が、側壁71に設けられた飲料通過部711に対応する。
ダウンチューブ70が、スパイラルチューブ70cを含む場合、ダウンチューブ70に連続的な飲料通過部711が設けられることとなる。また、スパイラルチューブ70cを形成する工程は容易に実行可能な工程である。このため、スパイラルチューブ70cを形成することにより、安価に飲料通過部711付きのダウンチューブ70を製造することが可能である。
(内袋本体61)
実施形態における内袋本体61は、ガスバリア性を有し、飲料を安全に貯蔵可能な袋によって構成される。実施形態では、内袋本体61が、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2によって保護および遮光されるため、内袋本体61の材質選択の自由度が高い。内袋本体61の材質として、例えば、ポリエチレンを使用することが可能である。内袋本体61には、飲料を充填し、あるいは、飲料を取り出すための開口61aが形成されている。
図8に示されるように、内袋本体61の外面には、内袋本体61とステンレス鋼製飲料貯蔵容器2との間の空間における上下方向のガスの流通(例えば、空気)を促進するために、複数の突条61c(換言すれば、複数の線状の突起)が形成されてもよい。当該突条61cは、内袋本体61の内面の一部を内袋本体61の内面の他の一部に融着することにより形成されてもよい。複数の突条61cは、例えば、内袋本体61の下側部分に形成される。
(固定部材3)
図9、および、図10を参照して、固定部材3の一例について説明する。固定部材3は、例えば、ステンレス鋼製等の金属製である。固定部材3は、環状体C1である。固定部材3は、環状体C1の内周面によって規定される空間SPを有し、当該空間SPを、飲料を充填する充填ノズル、あるいは、ディスペンスヘッドのプランジャ部材が通過可能である。
固定部材3は、口金部21の雌ネジ部21sに螺合する雄ネジ部31sを備える。雄ネジ部31sは、環状体C1の外周面に形成されている。
固定部材3は、内袋組立体6の第2部分68を位置決めする位置決め部30を備える。図9に記載の例では、位置決め部30は、固定部材3の底部30bであり、固定部材3の底部が第2部分68(より具体的には、第2部分68の上面68u)を押圧することにより、第2部分68が位置決めされる。より詳細には、固定部材3の底部30bと、口金部21の内向き突出部22とによって第2部分68が挟まれることにより、第2部分68が位置決めされる。
図9に記載の例では、固定部材3は、ディスペンスヘッド8(図13を参照。)を取り付けるための第1係合部33を備える。第1係合部33は、例えば、バヨネット式の係合部であってもよい。換言すれば、固定部材3に向けてディスペンスヘッド8を押し込み、その後、固定部材3に対してディスペンスヘッド8を相対回転させることにより、ディスペンスヘッド8の第2係合部83と、固定部材3の第1係合部33とが互いに係合するように構成されてもよい。
図9に記載の例では、第1係合部33は、固定部材3の壁部32(より具体的には、環状壁)から内側に向かって突出している。図9には、固定部材3が、2つの第1係合部33を備える例が記載されているが、固定部材3が備える第1係合部33の数は任意である。なお、固定部材3が、複数の第1係合部33を備える場合には、複数の第1係合部33は、固定部材3の周方向に沿って、等間隔に配置されていることが好ましい。
図9に記載の例では、固定部材3は、壁部32(より具体的には、環状壁)から径内方向に向かって突出する環状突出部35を備える。当該環状突出部35は、内袋組立体6の第2弁体66a(換言すれば、ガス弁V2の弁体)が接触可能な第2弁座部35bとして機能する。
図9に記載の例では、固定部材3の外周部が、雄ネジ部31sとして機能し、固定部材3の内周部が、第1係合部33および/または第2弁座部35bとして機能し、固定部材3の底部が、内袋組立体6を位置決めする位置決め部として機能している。このように、図9に記載の例では、固定部材3が複数の異なる機能を有している。
図10に示されるように、固定部材3は、フィッティング10を加工(例えば、切断加工)することにより形成されてもよい。この場合、固定部材3の製造に要するコストが低減される。
(内袋組立体6)
図11を参照して、内袋組立体6の一例について説明する。内袋組立体6は、可撓性の内袋本体61と、第1部分63と、第2部分68とを備える。
第1部分63は、第1弁体65aおよび第1弁座部65bによって構成される飲料取出弁V1、および、第1筒状体64を有する。第1弁体65aは、第1筒状体64の内部に配置される。
図11に記載の例では、第1筒状体64は、ダウンチューブ70が取り付けられるダウンチューブ取付部641aと、内袋本体61が取り付けられる内袋本体取付部643aとを有する。図11に示されるように、第1筒状体64は、第2弁体66aが取り付けられる第2弁体取付部645aを有していてもよい。
図11に記載の例では、第1筒状体64の下側部分641がダウンチューブ取付部641bに対応する。より具体的には、下側部分641の外周面に、ダウンチューブ70の上端部70uが固着される。第1筒状体64の底部64bには、貫通孔641hが形成されており、当該貫通孔641hと、ダウンチューブ70の内部空間とが連通している。
図11に記載の例では、第1筒状体64の外側面に設けられた環状突出部643(より具体的には、環状の鍔部)が内袋本体取付部643aに対応する。内袋本体61は、例えば、環状突出部643の上面に固着(例えば、融着)される。
図11に記載の例では、第1筒状体64の上端部645が、第2弁体取付部645aに対応する。第2弁体66aは、第1筒状体64の上端部645に固着される。
図11に記載の例では、第1付勢部材67が、第1筒状体64の内部に配置されている。第1弁体65aは、第1付勢部材67によって上方に付勢されており、第1付勢部材67の付勢力によって飲料取出弁V1の閉鎖状態が維持される。第1弁体65aが第1弁座部65bに接触している状態が、飲料取出弁V1の閉鎖状態に対応する。
図11に記載の例では、第1弁座部65bと第2弁体66aとが、一つの部材(より具体的には、環状部材C2)によって形成されている。より具体的には、環状部材C2の上端部が第2弁体66aに対応し、環状部材Cの下端部が第1弁座部65bに対応する。なお、環状部材C2(換言すれば、第2弁体66a)の上端部には、第1筒状体64の上端部645よりも外側に突出するフランジ部Fが形成されている。
第1付勢部材67の下端は、第1筒状体64の底部64bに支持され、第1付勢部材67の上端は、第1弁体65aの下面を上方に押圧する。第1付勢部材67は、金属製のコイルばねであってもよいし、弾性変形可能な樹脂によって構成されていてもよい。図11に記載の例では、第1付勢部材67および第1弁体65aが第1筒状体64の内部に配置された後、環状部材C2(換言すれば、第1弁座部65bおよび/または第2弁体66a)が、第1筒状体64の上端部645に固着される。こうして、内袋組立体6の第1部分63が組み立てられる。
なお、第1弁体65aは、内袋本体61内の内圧によって、上方に付勢される。このため、第1付勢部材67の付勢力は小さくてもよい。代替的に、第1付勢部材67が省略されてもよい。
第2部分68は、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の口金部21に装着される固定部材3によって位置決めされる部分である。図11に記載の例では、第2部分68は、第1部分63(より具体的には、第1筒状体64)の外側面に面するように配置される。第2部分68は、環状体C3である。
図11に記載の例では、第2部分68(環状体C3)は、第3係合部681を備える。当該第3係合部681は、口金部21の下端部に配置された内向き突出部22と係合可能である。第3係合部681は、例えば、環状の係合部である。
図11に記載の例では、第2部分68の下側部分が、内向き突出部22と係合する係合部として機能し、第2部分68の上面68uが、固定部材3によって押圧される被押圧面として機能する。よって、第2部分68は、内向き突出部22と固定部材3とによって挟まれることにより、口金部21内で位置決め固定される。
第2部分68の下側部分には、第2部分68の径内方向に向かって突出する環状突起684が設けられている。当該環状突起684の内面は、第1部分63(より具体的には、第1筒状体64)の外側面に対向配置されており、第1部分63の上下方向の移動をガイドするガイド部として機能する。また、環状突起684の上面は、第2付勢部材69を支持する支持面として機能する。
第2付勢部材69は、第2弁体66aを上方に向けて付勢する部材である。図11に記載の例では、第2弁体66aと第1筒状体64とが固着されている。よって、第2付勢部材69は、第2弁体66aおよび第1筒状体64を上方に向けて付勢する。
図11に記載の例では、第2付勢部材69は、第2部分68の環状突起684と第2弁体66aのフランジ部Fとの間に配置されている。
第2付勢部材69の付勢力によってガス弁V2の閉鎖状態が維持される。なお、ガス弁V2は、第2弁体66aと、第2弁座部35b(図9を参照。)とによって構成される弁であり、第2弁体66aが第2弁座部35bに接触している状態が、ガス弁V2の閉鎖状態に対応する。
第2付勢部材69は、金属製のコイルばねであってもよいし、弾性変形可能な樹脂によって構成されていてもよい。図11に記載の例では、第2部分68および第2付勢部材69が第1部分63(より具体的には、第1筒状体64)の周囲に配置された後、環状部材C2(換言すれば、第1弁座部65bおよび/または第2弁体66a)が、第1筒状体64の上端部645に固着される。
内袋組立体6の材質に関し、第1筒状体64は、樹脂製であることが好ましい。また、第1弁体65a、第2弁体66a(換言すれば、環状部材C2)は、それぞれ、樹脂製であることが好ましい。また、第2部分68(換言すれば、環状体C3)は、樹脂製であることが好ましい。
図9に示される固定部材3が、ステンレス鋼製等の金属製であり、固定部材3によって位置決めされる第2部分68(内袋組立体6の第2部分68)が樹脂製である場合を想定する。この場合、固定部材3を繰り返し利用する再利用部品とし、第2部分68を1回使い切りの交換部品(使い捨て部品)とすることが可能である。固定部材3がステンレス鋼製である場合には、固定部材3を長期間(例えば、10年以上)、繰り返し使用することが可能である。
(第1の実施形態における飲料充填方法、飲料取出方法)
図12乃至図14を参照して、第1の実施形態における飲料充填方法、飲料取出方法の一例について説明する。図12は、第1の実施形態における飲料充填方法、飲料取出方法の一例を示すフローチャートである。図13および図14は、第1の実施形態における飲料取出方法の各工程が実行されている様子を模式的に示す概略断面図である。
第1の実施形態における飲料充填方法(図12における第5ステップST5)は、固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法の実行後(換言すれば、上述の第1ステップST1乃至第4ステップST4の実行後)に実行される。
内袋本体61への飲料の充填に際しては、第1に、充填ノズルが、口金部21に挿入される。充填ノズルの挿入により、飲料取出弁V1が開弁され、ガス弁V2が開弁される。第2に、充填ノズルから、飲料取出弁V1を介して、内袋本体61内に飲料が供給されるとともに、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と内袋本体61との間の空間からガス弁V2を介して空気が排出される。こうして、内袋本体61内に飲料が充填される。
なお、第1の実施形態において、口金部21の形状は、既存のステンレス鋼製飲料貯蔵容器の口金部の形状と同様の形状であり、また、固定部材3の形状は、既存のフィッティング10(図1を参照。)の上側部分の形状と同様の形状である。よって、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2内の内袋本体61への飲料の充填を、既存の飲料充填システムを用いて実行することが可能である。
続いて、飲料取出方法について説明する。
図12および図13に示されるように、第6ステップST6において、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の口金部21に装着された固定部材3に、ディスペンスヘッド8が装着される。第6ステップST6は、例えば、ディスペンスヘッド8の本体部80に設けられた第2係合部83を、固定部材3の第1係合部33に係合させることにより行われる。
図13に記載の例では、ディスペンスヘッド8は、本体部80と、本体部80に対してスライド移動可能なプランジャ部材85とを備える。
本体部80の下端部には、上述の第2係合部83が設けられ、また、本体部80の下端部には、第1シール部材S1(環状のシール部材)が保持されている。ディスペンスヘッド8が固定部材3に装着されると、第1シール部材S1は、本体部80と固定部材3との間をシールする。本体部80には、空気等のガスを導入するガス導入孔80hが設けられている。
プランジャ部材85の内部には、飲料流路P1が設けられている。プランジャ部材85の内部には、逆止弁V3が配置されていてもよい。
プランジャ部材85の外側面には、プランジャ部材85と内袋組立体6の第1部分63(より具体的には、環状部材C2)との間をシールする第2シール部材S2(環状のシール部材)が配置されている。また、プランジャ部材85の下端部は、第1弁体65aを押圧する押圧部851を有する。
プランジャ部材85と本体部80との間には、ガス流路P2が設けられている。プランジャ部材85が上方位置(図13において示される位置)にあるときには、ガス流路P2とガス導入孔80hとは、非連通状態である。また、プランジャ部材85が上方位置にあるときには、押圧部851は、第1弁体65aから離間している。また、プランジャ部材85が上方位置にあるときには、第2シール部材S2は、環状部材C2から離間している。
第7ステップST7において、飲料取出弁V1が開弁される。第7ステップST7は、例えば、プランジャ部材85を、上方位置から下方位置に向けて、本体部80に対してスライド移動させることにより実行される。プランジャ部材85が、下方位置に向けてスライド移動すると、プランジャ部材85の押圧部851が第1弁体65aを押圧する。その結果、第1弁体65aが第1弁座部65bから離間し、飲料取出弁V1が開弁される。
図14に示されるように、プランジャ部材85が、下方位置に向けてスライド移動すると、第2シール部材S2が、環状部材C2に接触する。こうして、プランジャ部材85の飲料流路P1と、プランジャ部材85と本体部80との間のガス流路P2とが互いに隔離される。図14に示されるように、プランジャ部材85が、下方位置に向けてスライド移動すると、ガス弁V2が開弁されるようにしてもよい。図14に記載の例では、第2シール部材S2が、ガス弁V2の弁体(第2弁体66a)を押圧する押圧部として機能する。
図14に示されるように、プランジャ部材85が、下方位置に向けてスライド移動すると、ガス導入孔80hと、ガス流路P2とが互いに連通する。
第8ステップST8において、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と内袋本体61との間の第1空間SP1にガス(例えば、空気)が供給される。第8ステップST8におけるガスの供給は、ディスペンスヘッド8を介して行われる。第8ステップST8は、ガス供給工程である。
より具体的には、第8ステップST8において、ガス供給源(例えば、エアポンプ)から供給されるガスが、ガス導入孔80hに導入される。ガス導入孔80hに導入されたガスは、ガス流路P2を介して、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と内袋本体61との間の第1空間SP1に供給される。第1空間SP1に供給されたガスは、内袋本体61が収縮するように内袋本体61を押圧する。
図14に記載の例では、ガス供給工程は、プランジャ部材85に装着された第2シール部材S2が内袋組立体6(より具体的には、環状部材C2)に密着している状態で、第1空間SP1にガスを供給することを含む。ガス供給工程では、ガス導入孔80hから、第1シール部材S1および前記第2シール部材S2によって隔離される第2空間SP2にガスが供給され、さらに、第2空間SP2から第1空間SP1にガスが供給される。
第9ステップST9において、内袋本体61から飲料が取り出される。第9ステップST9は、飲料取出工程である。飲料取出工程では、内袋組立体6の飲料取出弁V1、および、ディスペンスヘッド8を介して、飲料が取り出される。
第9ステップST9について、より詳細に説明する。第8ステップST8の実行により、内袋本体61は内側に向けて押圧されている。このため、内袋本体61内の飲料は、第1筒状体64の貫通孔641hおよび第1筒状体64の内部空間を介して、飲料取出弁V1に向かう。第7ステップST7において、飲料取出弁V1は開放されているため、第1筒状体64の内部空間内の飲料は、飲料取出弁V1、および、プランジャ部材85の飲料流路P1を介して、ディスペンスヘッド8の外部に取り出される。
内袋本体61内における飲料が実質的に無くなった後、第10ステップST10において、飲料取出弁V1が閉弁される。第10ステップST10は、例えば、プランジャ部材85を、下方位置から上方位置に向けて、本体部80に対してスライド移動させることにより実行される。プランジャ部材85が、上方位置に向けてスライド移動すると、プランジャ部材85の押圧部851が第1弁体65aから離間する。第1弁体65aは、第1付勢部材67および/または内袋本体61の内圧によって上方に付勢されている。このため、プランジャ部材85の押圧部851が第1弁体65aから離間すると、第1弁体65aは第1弁座部65bに向けて移動する。こうして、飲料取出弁V1が閉弁される。その後、ディスペンスヘッド8は、固定部材3から取り外される。ディスペンスヘッド8が取り外されたステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は、次回の飲料充填のために回収される。
第1の実施形態における飲料取出方法では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と内袋本体61との間の第1空間SP1にガスを供給することにより、内袋本体61から飲料が取り出される。よって、内袋本体61内の飲料が、ディスペンスヘッド8を介して供給される供給ガス(例えば、空気)と接触することがない。このため、飲料が供給ガスと接触することに起因して、飲料の味、舌触り等が悪化することがない。また、飲料がビール等の発泡性飲料である場合には、泡の感触が悪化することもない。よって、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2内の内袋本体61からの飲料の取り出しが開始されてから、長期間経過後(例えば、4日以上経過後)においても、内袋本体61内の飲料の品質が高品質に維持される。
さらに、第1の実施形態における飲料取出方法では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と内袋本体61との間の第1空間SP1に供給されるガスとして空気を使用することが可能である。このため、従来の飲料取出方法のように、炭酸ガスボンベを用意する必要がない。炭酸ガスボンベを用意する場合には、予備のボンベを含めて複数本の炭酸ガスボンベを用意する必要がある。また、炭酸ガスボンベ内のCO2の残量の監視、炭酸ガスボンベの搬入、交換等の作業が必要となる。また、複数の炭酸ガスボンベを置くためのスペースも必要となる。これに対し、第1の実施形態における飲料取出方法では、ガス供給源として、複数本の炭酸ガスボンベの代わりに、小型のエアポンプを用意するだけでよい。よって、スペースの限られる小型の店舗、あるいは、屋外においても、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2内の内袋本体61から飲料を取り出すことが可能である。ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は、耐久性、耐食性が極めて高く、かつ、遮光性に優れているため、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は屋外で保管されてもよい。なお、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2を屋外で保管する場合には、口金部21にキャップ等の閉鎖部材が配置されることが好ましい。
ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の製品寿命は、10年以上、20年以上、あるいは、30年以上である。よって、第1の実施形態では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2を10年以上、20年以上、あるいは、30年以上繰り返し再利用することが可能である。より具体的には、上述の第10ステップST10の実行後、第11ステップST11において、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2から、固定部材3および内袋組立体6が取り外される。固定部材3の取り外しは、固定部材3の雄ネジ部31sと口金部21の雌ネジ部21sとの間の螺合を解除させることにより実行される。また、内袋組立体6の取り外しは、内袋組立体6を、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2から引き抜くことにより実行される。その後、第1ステップST1乃至第4ステップST4、および、第5ステップ乃至第10ステップST10が再度実行される。
なお、2回目以降の第1ステップST1において準備されるステンレス鋼製飲料貯蔵容器2は、第10ステップST10の実行後に回収されたステンレス鋼製飲料貯蔵容器である。他方、2回目以降の第1ステップST1において準備される内袋組立体6は、新品の内袋組立体である。2回目以降の第1ステップST1において準備される固定部材3は、第10ステップST10の実行後に回収された固定部材であってもよいし、新品の固定部材であってもよい。第1の実施形態では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2(あるいは、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2および固定部材3)が繰り返し再利用されるため、環境に優しい飲料の提供方法を実現することが可能である。
また、第1の実施形態では、新品の内袋本体61に飲料が充填され、再利用されるステンレス鋼製飲料貯蔵容器2には飲料が直接接触しない。このため、飲料の安全性が確実に確保される。また、再利用されるステンレス鋼製飲料貯蔵容器2には飲料が直接接触しないため、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の内部に有機物(汚れ)が付着することが抑制される。以上のことから、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2を回収して再利用する際のステンレス鋼製飲料貯蔵容器の管理が容易となる。
なお、第1の実施形態では、固定部材3が金属製(例えば、ステンレス鋼製)であり、固定部材3が再利用可能部品である例について説明された。代替的に、固定部材3が樹脂製であり、固定部材3が使い捨て部品であってもよい。この場合、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2が回収される毎に、第1ステップST1において、新品の固定部材3が準備される。
(第2の実施形態)
図15乃至図21を参照して、第2の実施形態について説明する。図15は、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6が固定された後の状態を模式的に示す概略断面図である。図16は、第2の実施形態における固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法、飲料充填方法、飲料取出方法の一例を示すフローチャートである。図17乃至図20は、第2の実施形態における固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法の各工程が実行されている様子を模式的に示す概略断面図である。図21は、固定部材3に、ディスペンスヘッド8が取り付けられた後の状態の一例を模式的に示す概略断面図である。
第2の実施形態では、固定部材3が樹脂製である。また、第2の実施形態では、内袋組立体6がステンレス鋼製飲料貯蔵容器2内に挿入される前に、固定部材3が内袋組立体6の第2部分68に結合される。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。このため、第2の実施形態において明示的に説明しなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用可能であることは言うまでもない。
(固定部材3A)
第2の実施形態における固定部材3Aは、樹脂製である。図15に記載の例では、固定部材3Aは、内袋組立体6の第2部分68を位置決めする位置決め部30と、雄ネジ部31sとを備える。
固定部材3Aは、環状体C1である。固定部材3Aは、環状体C1の内周面によって規定される空間SPを有し、当該空間SPを、飲料を充填する充填ノズル、あるいは、ディスペンスヘッドのプランジャ部材が通過可能である。
固定部材3Aは、口金部21の雌ネジ部21sに螺合する雄ネジ部31sを備える。雄ネジ部31sは、環状体C1の外周面に形成されている。
図15に記載の例では、固定部材3Aは、ディスペンスヘッド8(図21を参照。)を取り付けるための第1係合部33を備える。第1係合部33は、例えば、バヨネット式の係合部であってもよい。換言すれば、固定部材3Aに向けてディスペンスヘッド8を押し込み、その後、固定部材3Aに対してディスペンスヘッド8を相対回転させることにより、ディスペンスヘッド8の第2係合部83と、固定部材3Aの第1係合部33とが互いに係合するように構成されてもよい。
図15に記載の例では、第1係合部33は、固定部材3Aの壁部32(より具体的には、環状壁)から内側に向かって突出している。図15には、固定部材3Aが、2つの第1係合部33を備える例が記載されているが、固定部材3Aが備える第1係合部33の数は任意である。
図15に記載の例では、固定部材3Aは、壁部32から径内方向に向かって突出する環状突出部35を備える。当該環状突出部35は、内袋組立体6の第2弁体66a(換言すれば、ガス弁V2の弁体)が接触可能な第2弁座部35bとして機能する。
図15に記載の例では、固定部材3Aは、環状突出部35の下方に配置された下側部分38を備える。当該下側部分38は、内袋組立体6の第2部分68を位置決めする位置決め部30として機能する。
固定部材3A(より具体的には、下側部分38)は、内袋組立体6の第2部分68に結合される第1接続部38aを備える。他方、内袋組立体6の第2部分68は、固定部材3A(より具体的には、下側部分38)に結合される第2接続部68bを備える。図15に記載の例では、第1接続部38aと第2接続部68bとが、係合により結合されている。より具体的には、第1接続部38aは、下側部分38の内周面に設けられた凹部(または凸部)であり、第2接続部68bは、第2部分68の外周面に設けられた凸部(または凹部)である。なお、第1接続部38aと第2接続部68bとを結合する方法は、係合による結合に限定されない。
(ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法)
図16乃至図20を参照して、第2の実施形態における固定部材3を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に内袋組立体6を固定する固定方法について説明する。
図17に示されるように、第1ステップST1Aにおいて、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2と、内袋組立体6と、固定部材3(より具体的には、固定部材3A)とが準備される。
第1ステップST1Aは、第1の実施形態における第1ステップST1と同様であるため、第1ステップST1Aについての繰り返しとなる説明は省略する。
第2ステップST2Aにおいて、固定部材3A(より具体的には、第1接続部38a)が、内袋組立体6の第2部分68(より具体的には、第2接続部68b)に結合される。図18に記載の例では、環状の固定部材3Aが、環状の第2部分68に押し込まれることにより、固定部材3Aと第2部分68とが結合される。
第2の実施形態では、第2ステップST2Aにおいて、固定部材3Aと第2部分68とが結合されることにより、固定部材3Aの位置決め部30に対して内袋組立体6の第2部分68が位置決めされる。
図19に示されるように、第3ステップST3Aにおいて、内袋組立体6がステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に挿入される。第3ステップST3Aは挿入工程である。第3ステップST3Aでは、内袋本体61が、口金部21を通って、容器本体20内に挿入される。
第4ステップST4Aにおいて、固定部材3の雄ネジ部31sと口金部21の雌ネジ部21sとが互いに係合される。当該係合は、雄ネジ部31sを雌ネジ部21sにねじ込むことによって行われる。第4ステップST4Aは、係合工程(あるいは、ねじ込み工程)である。
図20には、第4ステップST4Aを実行後の状態が示されている。図20に記載の例では、固定部材3Aの下面が、口金部21の下端部に配置された内向き突出部22の上面に接触するように配置されている。換言すれば、図20に記載の例では、内向き突出部22に固定部材3の下面が接触するまで、固定部材3Aが口金部21に対してねじ込まれる。
第2の実施形態における固定部材を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器に内袋組立体を固定する固定方法は、第1の実施形態における固定部材を介してステンレス鋼製飲料貯蔵容器に内袋組立体を固定する固定方法と同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態では、固定部材3Aが樹脂製であるため、固定部材3Aを安価に製造することができる。固定部材3Aは、例えば、1回使い切りの交換部品(使い捨て部品)である。
また、第2の実施形態において、固定部材3Aと、内袋組立体6(より具体的には、第2部分68)とが結合により一体化されている場合には、内袋組立体6をステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に固定する作業が容易である。より具体的には、内袋組立体6をステンレス鋼製飲料貯蔵容器2に固定するに際して、内袋組立体6と一体化された固定部材3Aの雄ネジ部31sを、口金部21の雌ネジ部21sにねじ込むだけでよい。
(飲料充填方法、飲料取出方法)
第2の実施形態における飲料充填方法、飲料取出方法は、第1の実施形態における飲料充填方法、飲料取出方法と同様である。よって、飲料充填方法、飲料取出方法についての繰り返しとなる説明は省略する。なお、図21には、第2の実施形態において、第6ステップST6が実行された後の状態(換言すれば、固定部材3Aに、ディスペンスヘッド8が取り付けられた後の状態)の一例が示されている。
第2の実施形態における飲料充填方法、飲料取出方法は、第1の実施形態における飲料充填方法、飲料取出方法と同様の効果を奏する。
なお、第2の実施形態において、固定部材3Aと、内袋組立体6(より具体的には、第2部分68)とが結合により一体化されている場合には、内袋組立体6をステンレス鋼製飲料貯蔵容器2から取り外す作業が容易である。より具体的には、内袋組立体6をステンレス鋼製飲料貯蔵容器2から取り外すに際して、内袋組立体6と一体化された固定部材3Aの雄ネジ部31sを、口金部21の雌ネジ部21sから離脱させるだけでよい。
(第1付勢部材67の変形例)
図22を参照して、実施形態において採用可能な第1付勢部材67の変形例について説明する。図22は、変形例における第1付勢部材67Aが第1筒状体64内に配置されている状態を模式的に示す概略断面図である。図22の上側には、第1付勢部材67Aの付勢力によって、飲料取出弁V1が閉弁されている様子が記載され、図22の下側には、第1付勢部材67Aの付勢力に抗して、飲料取出弁V1が開弁されている様子が記載されている。
図22に記載の例では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2の内部(より具体的には、第1筒状体64の内部)に配置される第1付勢部材67Aが、金属製(金属製のコイルばね)ではなく、樹脂製である。第1付勢部材67Aが樹脂製である場合には、回収された内袋組立体6の分別廃棄または再資源化が容易となる。より具体的には、第1付勢部材67Aを第1筒状体64から取り外すことなく、樹脂製の第1付勢部材67Aを樹脂製の第1筒状体64とともに廃棄すること(あるいは、再資源化すること)が可能である。
図22に記載の例では、第1付勢部材67Aは、板状の樹脂スプリングである。第1付勢部材67の下端は、第1筒状体64の底部64b上に接触配置され、第1付勢部材67Aの上端は、第1弁体65aに接続されている。なお、図22に記載の例では、第1弁体65aと第1付勢部材67Aとが、一体成形された1つの部品によって構成されている。この場合、第1弁体65aおよび第1付勢部材67Aの製造コストが低減される。代替的に、第1弁体65aと第1付勢部材67Aとは、別体であってもよい。
なお、第1付勢部材67Aの具体的形状は、図22に記載の例に限定されない。
(第2付勢部材69の第1変形例)
図23を参照して、実施形態において採用可能な第2付勢部材69の第1変形例について説明する。図23は、第1変形例における第2付勢部材69Aを模式的に示す図である。図23の上側には、第2付勢部材69Aおよび環状部材C2の概略斜視図が記載され、図23の中央には、第2付勢部材69Aおよび環状部材C2の概略断面図が記載され、図23の下側には、第2付勢部材69Aおよび環状部材C2の概略側面図が記載されている。
図23に記載の例では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2内に配置される第2付勢部材69Aが、金属製(金属製のコイルばね)ではなく、樹脂製である。第2付勢部材69Aが樹脂製である場合には、回収された内袋組立体6の分別廃棄または再資源化が容易となる。より具体的には、第2付勢部材69Aを第1筒状体64から取り外すことなく、樹脂製の第2付勢部材69Aを樹脂製の第1筒状体64とともに廃棄すること(あるいは、再資源化すること)が可能である。
図23に記載の例では、第2付勢部材69Aは、複数の弾性脚部である。第2付勢部材69Aの下端は、内袋組立体6の第2部分68上に接触配置され(図24を参照。)、第2付勢部材69Aの上端は、環状部材C2(換言すれば、第2弁体66a)に接続される。なお、図24に記載の例では、環状部材C2と第2付勢部材69Aとが、一体成形された1つの部品によって構成されている。図24に示されるように、第1筒状体64と内袋組立体6の第2部分68との間の間隔Gは小さい。図24に記載の例では、第2付勢部材69Aと環状部材C2(換言すれば、第2弁体66a)とが一体化されているため、樹脂製の第2付勢部材69Aを小さな間隔G(換言すれば、小さな環状空間)中に配置することが可能である。
なお、第2付勢部材69Aの具体的形状は、図23に記載の例に限定されない。また、第2付勢部材69Aが、複数の弾性脚部によって構成されている場合には、第2付勢部材69Aが備える弾性部材の数は、2個、3個、4個、あるいは、5個以上であってもよい。
(第2付勢部材69の第2変形例)
図25を参照して、実施形態において採用可能な第2付勢部材69の第2変形例について説明する。図25は、第2変形例における第2付勢部材69Bを模式的に示す図である。図25の上側には、第2付勢部材69Bおよび環状部材C2の概略斜視図が記載され、図25の上から2つ目には、第2付勢部材69Bおよび環状部材C2の概略断面図が記載され、図25の下から2つ目には、第2付勢部材69Bおよび環状部材C2の概略底面図が記載され、図25の下側には、第2付勢部材69Bおよび環状部材C2の概略平面図が記載されている。
図23に記載の例では、弾性脚部の先端が、全て、同一方向(例えば、底面視で、時計回り方向、あるいは、時計回り方向)に湾曲している。これに対し、図25に記載の例では、隣接する2つの弾性脚部(第2付勢部材68Bに対応する弾性脚部)の先端が、互いに向かい合う方向に湾曲している。ただし、実施形態において、各弾性脚部の先端の湾曲方向は、図23、図25に記載の例に限定されず任意である。
第2変形例における環状部材C2および第2付勢部材69Bは、その他の点では、第1変形例における環状部材C2および第2付勢部材69Aと同様である。よって、繰り返しとなる説明は省略する。
(第2付勢部材69の第3変形例)
図26を参照して、実施形態において採用可能な第2付勢部材69の第3変形例について説明する。図26は、第3変形例における第2付勢部材69Cを模式的に示す図である。図26の上側には、第2付勢部材69Cおよび第2部分68の概略斜視図が記載され、図26の中央には、第2付勢部材69Cおよび第2部分68の概略断面図が記載され、図26の下側には、第2付勢部材69Cおよび第2部分68の概略平面図が記載されている。
図26に記載の例では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2内に配置される第2付勢部材69Cが、金属製(金属製のコイルばね)ではなく、樹脂製である。第2付勢部材69Bが樹脂製である場合には、回収された内袋組立体6の分別廃棄または再資源化が容易となる。より具体的には、第2付勢部材69Cを第1筒状体64から取り外すことなく、樹脂製の第2付勢部材69Cを樹脂製の第1筒状体64とともに廃棄すること(あるいは、再資源化すること)が可能である。
図26に記載の例では、第2付勢部材69Cは、複数の弾性脚部である。第2付勢部材69Cの下端は、内袋組立体6の第2部分68に接続され、第2付勢部材69Cの上端は、環状部材C2(換言すれば、第2弁体66a)に接触配置される。なお、図26に記載の例では、第2部分68と第2付勢部材69Cとが、一体成形された1つの部品によって構成されている。図24に示されるように、第1筒状体64と内袋組立体6の第2部分68との間の間隔Gは小さい。図26に記載の例では、第2付勢部材69Cと第2部分68とが一体化されているため、樹脂製の第2付勢部材69Cを小さな間隔G(換言すれば、小さな環状空間)中に配置することが可能である。
なお、第2付勢部材69Cの具体的形状は、図26に記載の例に限定されない。また、第2付勢部材69Cが、複数の弾性脚部によって構成されている場合には、第2付勢部材69Cが備える弾性部材の数は、2個、3個、4個、あるいは、5個以上であってもよい。第2変形例における第2付勢部材69Cは、上述の第1実施形態において採用されてもよい。
(第2付勢部材69の第4変形例)
図27を参照して、実施形態において採用可能な第2付勢部材69の第4変形例について説明する。図27は、第4変形例における第2付勢部材69Dを模式的に示す図である。図27の上側には、第2付勢部材69Dおよび第2部分68の概略斜視図が記載され、図27の中央には、第2付勢部材69Dおよび第2部分68の概略断面図が記載され、図27の下側には、第2付勢部材69Dおよび第2部分68の概略平面図が記載されている。
図27に記載の例では、ステンレス鋼製飲料貯蔵容器2内に配置される第2付勢部材69Dが、金属製(金属製のコイルばね)ではなく、樹脂製である。第2付勢部材69Dが樹脂製である場合には、回収された内袋組立体6の分別廃棄または再資源化が容易となる。より具体的には、第2付勢部材69Dを第1筒状体64から取り外すことなく、樹脂製の第2付勢部材69Dを樹脂製の第1筒状体64とともに廃棄すること(あるいは、再資源化すること)が可能である。
図27に記載の例では、第2付勢部材69Dは、複数の弾性脚部である。第2付勢部材69Dの下端は、内袋組立体6の第2部分68に接続され、第2付勢部材69Dの上端は、環状部材C2(換言すれば、第2弁体66a)に接触配置される。なお、図27に記載の例では、第2部分68と第2付勢部材69Dとが、一体成形された1つの部品によって構成されている。図24に示されるように、第1筒状体64と内袋組立体6の第2部分68との間の間隔Gは小さい。図27に記載の例では、第2付勢部材69Dと第2部分68とが一体化されているため、樹脂製の第2付勢部材69Dを小さな間隔G(換言すれば、小さな環状空間)中に配置することが可能である。
なお、第2付勢部材69Dの具体的形状は、図27に記載の例に限定されない。また、第2付勢部材69Dが、複数の弾性脚部によって構成されている場合には、第2付勢部材69Dが備える弾性部材の数は、2個、3個、4個、あるいは、5個以上であってもよい。第3変形例における第2付勢部材69Dは、上述の第2実施形態において採用されてもよい。
実施形態において、付勢部材(67、69)を樹脂製にする場合において、内袋組立体6の全ての構成要素を樹脂製にしてもよい。この場合、回収された内袋組立体6の全体をそのまま廃棄するか、あるいは、再資源化することができる。よって、分別廃棄または再資源化が容易となる。
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態にも適用可能である。さらに、各実施形態における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。