図1は、ガスコンロ1の外観を示した斜視図である。本実施例のガスコンロ1は、図示しないシステムキッチンのカウンタートップに開口する収容空間に嵌め込んで設置されるビルトインタイプであり、収容空間に収容される箱形状のコンロ本体2と、コンロ本体2上に載置されてコンロ本体2の上面を覆う天板3とを備えている。
コンロ本体2には、燃料ガスを燃焼させるコンロバーナ10が2つ左右に設置されており、天板3に形成された挿通孔からコンロバーナ10の上部が突出している。また、天板3上には、コンロバーナ10の上方に鍋などの調理容器を置くための五徳5がコンロバーナ10を囲んで設置されている。尚、ガスコンロ1に搭載するコンロバーナ10の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。
ガスコンロ1の前面には、グリル扉6が設けられており、コンロ本体2に内蔵されたグリルの前方を開閉可能になっている。グリル扉6の左方には、使用者がグリルの点火時や消火時、あるいは火力調節時などに操作するグリル操作ボタン7が設けられている。一方、グリル扉6の右方には、2つのコンロバーナ10の各々に対応して、使用者が点火時や消火時、あるいは火力調節時などに操作するコンロ操作ボタン8が設けられている。また、コンロ操作ボタン8の下方には、コンロバーナ10の火力を周期的に切り換える周期制御モードの設定などを使用者が行う設定パネル9が設けられている。
図2は、ガスコンロ1に搭載されたコンロバーナ10を示した側面図である。本実施例のコンロバーナ10は、円環形状の混合室が内部に形成されたバーナボディ11と、バーナボディ11から延設されて混合室と連通する混合管12と、バーナボディ11に載置されて混合室の上面開口部を覆う円環形状のバーナヘッド13などを備えている。前述したようにコンロバーナ10の上部は、天板3に形成された挿通孔から突出している。
バーナヘッド13は、外周部の下面側に複数の溝(炎口溝)がバーナヘッド13の中心に対して放射状に形成されており、バーナボディ11にバーナヘッド13を載置すると、バーナヘッド13の上面と複数の炎口溝とによって、混合室に連通する複数の炎口14が形成される。
バーナボディ11から延設された混合管12の開口端12aには、燃料ガスを供給するガス通路15に接続されたノズル16が設置されている。ガス通路15には、ガス通路15を開閉する遮断バルブ17や、コンロバーナ10に供給される燃料ガスの流量を調節する流量調節バルブ18が設けられている。尚、遮断バルブ17および流量調節バルブ18は、2つのコンロバーナ10の各々に対応して設けられている。
遮断バルブ17を開くと、ガス通路15を通って燃料ガスがノズル16に供給され、ノズル16から噴射された燃料ガスは、燃焼用の一次空気を吸い込みながら混合管12に流入する。そして、混合管12を通過する燃料ガスと一次空気とが混合されて、バーナボディ11の混合室に混合ガスが供給される。こうして混合室に供給された混合ガスは、複数の炎口14から噴出し、図示しない点火プラグで火花を飛ばすと、混合ガスの燃焼が開始されてバーナヘッド13の周囲に炎が形成される。これにより、五徳5上に置かれた調理容器を加熱することができる。また、コンロバーナ10の火力(熱量)は、流量調節バルブ18を制御して燃料ガスの流量を増減することにより、変更することが可能である。
図3は、流量調節バルブ18の構造の一例を示した説明図である。まず、図3(a)には、流量調節バルブ18の断面図が示されている。流量調節バルブ18の内部には、円筒形状の弁室20が形成されており、この弁室20の一端面に、燃料ガスが流入する流入路21が接続され、弁室20の周面に、燃料ガスが流出する流出路22が接続されている。
弁室20内には、円柱形状の弁体23が収容されており、弁室20の中心軸に沿った進退方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)に移動可能になっている。図示した流量調節バルブ18は、弁体23の流入路21側の先端部23aがテーパー状に形成されており、いわゆるニードルバルブである。そして、弁体23の移動に伴い、弁室20における流入路21との接続部分に形成された弁座20aの開口面積(弁座20aと弁体23の先端部23aとの隙間)が変動することで、弁室20に流入してコンロバーナ10へと供給される燃料ガスの流量が変化する。
すなわち、弁体23を流入路21側に移動させると、弁座20aの開口面積が小さくなることで、弁室20に流入する燃料ガスの流量が減少する。図3(a)では、弁体23の先端部23aが弁座20aに当接した状態を破線で表している。一方、弁体23を流入路21とは反対側に移動させると、弁座20aの開口面積が大きくなることで、弁室20に流入する燃料ガスの流量が増加する。尚、弁室20と弁体23とは、間にOリング24を介在させることで、流出路22よりも流入路21から離れた位置でシールされている。
図示した流量調節バルブ18は、弁体23の先端部23aとは反対側の端部に、弁体23の進退方向と直交してピン25が挿通されている。また、このピン25が挿通された弁体23の端部を内部に収容する円筒形状の円筒カム26が設けられており、円筒カム26の周面には、ピン25を通すスリット26aが形成されている。さらに、円筒カム26は、バルブモータ27の回転軸に取り付けられている。本実施例のバルブモータ27には、ステッピングモータを採用しており、バルブモータ27の駆動によって、弁体23の軸回りに円筒カム26が回転する。尚、弁体23は、図示しないガイド機構によって軸回りに回転不能に進退方向の移動が案内されている。
図3(b)には、弁体23および円筒カム26が斜視図で示されている。図示されるように円筒カム26のスリット26aは、円筒カム26の周面に沿って螺旋状に形成されている。そのため、図示した例では、円筒カム26を図中の時計回りに回転させると、ピン25がスリット26aに沿ってバルブモータ27とは反対側に移動して、弁体23の先端部23aが弁座20aに近付く。一方、円筒カム26を図中の反時計回りに回転させると、ピン25がスリット26aに沿ってバルブモータ27側に移動して、弁体23の先端部23aが弁座20aから離れる。このようにバルブモータ27の駆動による円筒カム26の回転運動が弁体23の進退方向の直線運動に変換される。
尚、流量調節バルブ18は、作動機構として上述のように円筒カム26を用いたものに限られず、回転運動を直線運動に変換可能であれば、他の機構を採用してもよい。また、流量調節バルブ18には、ニードルバルブに代えて、周知のディスクバルブを採用してもよい。さらに、バルブモータ27の駆動によって燃料ガスの流量を変更する本実施例の流量調節バルブ18は、本発明の「電動バルブ」に相当している。
図4は、コンロバーナ10の火力を調節するための制御ブロック図である。前述したように2つのコンロバーナ10は、それぞれ対応する流量調節バルブ18を制御して燃料ガスの流量を増減することで、火力を変更することが可能であり、各流量調節バルブ18を駆動するバルブモータ27がコントローラ30と電気的に接続されている。また、コントローラ30には、コンロ操作ボタン8や、設定パネル9が接続されている。
コントローラ30は、火力調節のために使用者によってコンロ操作ボタン8が操作されると、バルブモータ27の駆動によって流量調節バルブ18を制御し、コンロ操作ボタン8の操作量に応じてコンロバーナ10の火力を変更する。また、本実施例のガスコンロ1では、コンロバーナ10の火力を周期的に切り換える周期制御モードを使用者が設定パネル9で設定することが可能であり、コントローラ30は、周期制御モードが設定されると、設定された周期でバルブモータ27の駆動によって流量調節バルブ18を制御し、コンロバーナ10の火力を設定の火力に変更する。尚、本実施例のコントローラ30は、本発明の「制御部」に相当している。
加えて、本実施例のコントローラ30には、バルブモータ27の電源となる電池31が接続されていると共に、この接続された電池31の電圧(電池電圧)を検出する検出部32が内蔵されている。さらに、本実施例のコントローラ30には、検出部32による電池電圧の検出値が基準値よりも小さいか否かを判断する判断部33が内蔵されていると共に、使用者に電池31の消耗を報知するための電池交換ランプ34が接続されており、電池電圧の検出値が基準値よりも小さくなると、電池交換ランプ34を点灯させる。
図5は、本実施例のコントローラ30がコンロバーナ10の火力を制御するために実行する火力制御処理のフローチャートである。この火力制御処理は、使用者がコンロ操作ボタン8に対して点火操作を行うことで開始され、2つのコンロバーナ10の少なくとも一方が燃焼中に実行される処理である。火力制御処理を開始すると、まず、コンロ操作ボタン8に対して火力調節の操作が行われたか否かを判断する(STEP100)。本実施例のガスコンロ1では、使用者がコンロ操作ボタン8を回転操作することによって、対応するコンロバーナ10の火力調節が可能となっている。
コンロ操作ボタン8で火力調節の操作(回転操作)が行われた場合は(STEP100:yes)、コンロ操作ボタン8の操作量(回転量)に応じてバルブモータ27を作動させる(STEP102)。すると、バルブモータ27の駆動によって流量調節バルブ18の開度(弁座20aの開口面積)が変動し、対応するコンロバーナ10に供給される燃料ガスの流量が変化するので、コンロバーナ10の火力が切り換わる。
また、バルブモータ27の作動中における電池電圧を検出し(STEP104)、その電池電圧の検出値が所定の基準値よりも小さいか否かを判断する(STEP106)。この基準値は、電池31の消耗を判定するための基準となる値であり、1.5V規格の電池31を2つ用いているガスコンロ1では、基準値が例えば2.3Vに設定される。
電池電圧の検出値が基準値よりも小さい場合は(STEP106:yes)、電池交換ランプ34を点灯させることで、消耗した電池31の交換を使用者に促す(STEP108)。一方、電池電圧の検出値が基準値以上である場合は(STEP106:no)、電池31はそれほど消耗していないので、STEP108の処理を省略し、続いて、燃焼中のコンロバーナ10があるか否かを判断する(STEP110)。
2つのコンロバーナ10の少なくとも一方が燃焼中である場合は(STEP110:yes)、STEP100の処理に戻り、コンロ操作ボタン8に対して火力調節の操作が行われたか否かを再び判断する。そして、コンロ操作ボタン8で火力調節の操作が行われていない場合は(STEP100:no)、次に、周期制御を実行しているか否かを判断する(STEP112)。本実施例のガスコンロ1では、前述したようにコンロバーナ10の火力を周期的に切り換える周期制御モードを使用者が設定パネル9で設定することが可能である。例えば、パスタなどの麺類を茹でる際に、鍋の湯の沸騰状態を維持しながら吹きこぼれないように、コンロバーナ10の火力を大きくしたり小さくしたりを周期的に繰り返すことが可能となっている。
そして、設定パネル9で周期制御モードが設定されておらず、周期制御を実行していない場合は(STEP112:no)、STEP110の処理に進み、2つのコンロバーナ10の少なくとも一方が燃焼中であれば(STEP110:yes)、STEP100の処理に戻る。
一方、設定パネル9で周期制御モードが設定され、周期制御を実行している場合は(STEP112:yes)、コンロバーナ10の火力を周期的に切り換えるために、以下のような周期制御処理を実行する(STEP114)。
図6は、本実施例の周期制御処理のフローチャートである。周期制御処理では、まず、複数のコンロバーナ10に対して周期制御を実行しているか否かを判断する(STEP120)。本実施例のガスコンロ1では、2つのコンロバーナ10のうち一方に対して周期制御を実行中に、他方のコンロバーナ10に対しても周期制御を実行することが可能になっている。
そして、2つのコンロバーナ10のうち一方だけに対して周期制御を実行している場合は(STEP120:no)、その周期制御におけるバルブモータ27の作動タイミングか否かを判断する(STEP122)。本実施例のガスコンロ1では、設定パネル9で周期制御モードを設定する際に、切り換える火力の大きさと、各火力を維持しておく時間とを設定するようになっており、火力の大きさは大・中・小の3段階の中から設定する。
周期制御の設定に従ってバルブモータ27の作動タイミング、すなわち、次の火力に切り換えるタイミングである場合は(STEP122:yes)、設定された火力の大きさに応じてバルブモータ27を作動させる(STEP124)。すると、バルブモータ27の駆動によって流量調節バルブ18の開度(弁座20aの開口面積)が変動し、対応するコンロバーナ10に供給される燃料ガスの流量が変化するので、コンロバーナ10の火力が切り換わる。
これに対して、バルブモータ27の作動タイミングではない場合は(STEP122:no)、バルブモータ27を作動させることなく(STEP124の処理を省略し)、図6の周期制御処理を終了して、図5の火力制御処理に復帰する。
以上では、STEP120の判断において、2つのコンロバーナ10のうち一方だけに対して周期制御を実行している場合(STEP120:no)について説明したが、2つのコンロバーナ10の両方に対して周期制御を実行している場合は(STEP120:yes)、2つのバルブモータ27で作動タイミングが重複するか否かを判断する(STEP126)。
本実施例のガスコンロ1では、2つのコンロバーナ10に対して個別に周期制御の条件(切り換える火力の大きさ、各火力を維持しておく時間)を設定することが可能であることから、2つのバルブモータ27で作動タイミングが重複することがある。特に、火力の切り換え(強弱)を短い周期で繰り返す場合には、こうした作動タイミングの重複が発生し易い。このとき、2つのバルブモータ27を同時に作動させると、電池電圧が急激に低下する。このような電池電圧の低下は一時的であるものの、基準値を下回って、電池31の想定耐用期間(例えば6ヶ月)よりも早く電池交換ランプ34が点灯してしまうことにより、使用者にしてみれば、電池31の寿命が短く感じられる。
そこで、予め2つのバルブモータ27の作動タイミングを比較し、作動タイミングが重複する場合は(STEP126:yes)、何れかのバルブモータ27の作動タイミングを変更することにより、作動タイミングの重複を回避する(STEP128)。本実施例のガスコンロ1では、対応するコンロバーナ10への燃料ガスの周期制御中における平均供給量を多くすることなく、少なくするように作動タイミングを変更する。すなわち、周期制御でコンロバーナ10の火力を大きくする(燃料ガスの流量を増やす)ためのバルブモータ27の作動タイミングを繰り下げたり、あるいは、コンロバーナ10の火力を小さくする(燃料ガスの流量を減らす)ためのバルブモータ27の作動タイミングを繰り上げたりすることにより、周期制御中におけるコンロバーナ10への燃料ガスの平均供給量を少なくする。また、周期制御を実行中の2つのコンロバーナ10で平均火力(燃料ガスの周期制御中における平均供給量)が異なる場合には、平均火力が大きい方のコンロバーナ10に対応するバルブモータ27の作動タイミングを変更するようになっている。
一方、2つのバルブモータ27で作動タイミングが重複していない場合は(STEP126:no)、作動タイミングを変更する必要がないので、STEP128の処理を省略し、STEP122の処理に進む。そして、バルブモータ27の作動タイミングであれば(STEP122:yes)、設定の火力に応じてバルブモータ27を作動させ(STEP124)、バルブモータ27の作動タイミングでなければ(STEP122:no)、バルブモータ27を作動させることなく、図6の周期制御処理を終了して、図5の火力制御処理に復帰する。
火力制御処理では、周期制御処理(STEP114)から復帰すると、バルブモータ27を作動させていれば、作動中の電池電圧を検出し(STEP104)、電池電圧の検出値が基準値よりも小さい場合は(STEP106:yes)、電池交換ランプ34を点灯させ(STEP108)、電池電圧の検出値が基準値以上である場合は(STEP106:no)、電池交換ランプ34を点灯させることなく(STEP108の処理を省略し)、燃焼中のコンロバーナ10があるか否かを判断する(STEP110)。そして、2つのコンロバーナ10の少なくとも一方が燃焼中である場合は(STEP110:yes)、STEP100の処理に戻る。一方、2つのコンロバーナ10の何れも燃焼を停止した場合は(STEP110:no)、図5の火力制御処理を終了する。
図7は、2つのコンロバーナ10に対して周期制御を実行中に2つのバルブモータ27の作動タイミングが重複する場合の第1の回避例を示すタイムチャートである。まず、図7(a)は、左コンロバーナ10Lに対して実行される周期制御の例であり、上段に左コンロバーナ10Lに対応する左バルブモータ27Lの状態(作動/停止)が示されており、下段に左コンロバーナ10Lの火力(供給される燃料ガスの流量)の変化が示されている。
図示されるように、バルブモータ27を作動させて流量調節バルブ18の開度を大きくすることで、コンロバーナ10の火力が大きくなり、その後、バルブモータ27を再び作動させて流量調節バルブ18の開度を小さくすることで、コンロバーナ10の火力が小さくなる。左コンロバーナ10Lでは、中火力と小火力とを周期的に切り換えるように設定されている。
一方、図7(b)は、右コンロバーナ10Rに対して実行される周期制御の例であり、上段に右コンロバーナ10Rに対応する右バルブモータ27Rの状態が示されており、下段に右コンロバーナ10Rの火力の変化が示されている。右コンロバーナ10Rでは、大火力と中火力とを周期的に切り換えるように設定されており、火力を切り換える周期が図7(a)の左コンロバーナ10Lよりも長くなっている。
そして、図7(b)中に破線で示すように右コンロバーナ10Rで火力を大きくするための右バルブモータ27Rの作動タイミングが、左コンロバーナ10Lで火力を小さくするための左バルブモータ27Lの作動タイミングと重複している。そこで、周期制御中における平均火力(燃料ガスの平均供給量)が左コンロバーナ10Lよりも大きい右コンロバーナ10Rに対して、右バルブモータ27Rの作動タイミングを繰り下げることにより、重複を回避する。この結果、右コンロバーナ10Rでの中火力の期間が設定よりも長くなることにより、周期制御中における右コンロバーナ10Rへの燃料ガスの平均供給量は少なくなる。
このとき、仮に左コンロバーナ10Lに対して左バルブモータ27Lの作動タイミングを繰り下げることにより、重複を回避したとすると、周期制御中における左コンロバーナ10Lへの燃料ガスの平均供給量が多くなり、左コンロバーナ10Lの火力を小さくするタイミングが遅れることで調理容器から吹きこぼれてしまうことがある。これに対して、右バルブモータ27Rの作動タイミングを繰り下げれば、調理容器を加熱し過ぎることはない。
尚、図7では、2つのバルブモータ27の作動タイミング(作動期間)が完全に重複する例を示したが、作動期間の一部でも重複していれば、たとえ右バルブモータ27Rの当初の作動開始が左バルブモータ27Lよりも僅かに早かったとしても、重複を避けるために、右バルブモータ27Rの作動タイミングを繰り下げる。また、図7に示した例では、火力を大きくするための右バルブモータ27Rの作動タイミングを繰り下げた後、その次に火力を小さくするための作動タイミングは変更せず当初のまま維持しており、結果として、大火力の期間が設定よりも短くなっている。しかし、火力を大きくするための作動タイミングを繰り下げたのに伴い、それ以降の作動タイミングを一様に繰り下げることにより、大火力の期間を設定通りに確保してもよい。
図8は、2つのコンロバーナ10に対して周期制御を実行中に2つのバルブモータ27の作動タイミングが重複する場合の第2の回避例を示すタイムチャートである。図8(a)は、左コンロバーナ10Lに対して実行される周期制御の例であり、中火力と小火力とを周期的に切り換えるように設定されている。一方、図8(b)は、右コンロバーナ10Rに対して実行される周期制御の例であり、大火力と中火力とを周期的に切り換えるように設定され、火力を切り換える周期が図8(a)の左コンロバーナ10Lよりも長くなっている。
そして、図8(b)中に破線で示すように右コンロバーナ10Rで火力を小さくするための右バルブモータ27Rの作動タイミングが、左コンロバーナ10Lで火力を小さくするための左バルブモータ27Lの作動タイミングと重複している。そこで、周期制御中における平均火力(燃料ガスの平均供給量)が左コンロバーナ10Lよりも大きい右コンロバーナ10Rに対して、右バルブモータ27Rの作動タイミングを繰り上げることにより、重複を回避する。この結果、右コンロバーナ10Rでの大火力の期間が設定よりも短くなることにより、周期制御中における右コンロバーナ10Rへの燃料ガスの平均供給量は少なくなる。
尚、図8では、周期制御中における平均火力(燃料ガスの平均供給量)を比較すると、左コンロバーナ10Lに比べて右コンロバーナ10Rの方が大きくなっている例を示したが、平均火力が同程度である場合には、何れのバルブモータ27の作動タイミングを変更してもよい。また、図8に示した例で、火力を小さくするための右バルブモータ27Rの作動タイミングを繰り上げた後、その次に火力を大きくするための作動タイミングを変更せず当初のまま維持すると、中火力の期間は設定よりも長くなる。これに対して、火力を小さくするための作動タイミングを繰り上げたのに伴い、それ以降の作動タイミングを一様に繰り上げることにより、中火力の期間は設定通りとなる。
以上に説明したように本実施例のガスコンロ1では、2つのコンロバーナ10のうち一方に対して火力を周期的に切り換える周期制御を実行中に、他方のコンロバーナ10に対しても周期制御を実行することが可能であり、2つのバルブモータ27で作動タイミングが重複する場合には、何れかのバルブモータ27の作動タイミングを変更することとして、対応するコンロバーナ10への燃料ガスの周期制御中における平均供給量を多くするのではなく、少なくする方向に変更するようになっている。これにより、2つのコンロバーナ10に対して周期制御を実行していても、2つのバルブモータ27で作動タイミングが重複することを回避して電池電圧の急激な低下を抑制できるので、想定耐用期間に亘って電池31の使用を保つことが可能となる。そして、バルブモータ27の作動タイミングを変更しても、対応するコンロバーナ10への燃料ガスの周期制御中における平均供給量を少なくすることから、調理容器を当初の設定よりも加熱し過ぎることはなく、調理容器からの吹きこぼれを抑制することができる。
また、本実施例のガスコンロ1では、周期制御を実行中の2つのコンロバーナ10で平均火力(燃料ガスの周期制御中における平均供給量)が異なる場合には、平均火力が大きい方のコンロバーナ10に対応するバルブモータ27の作動タイミングを変更するようになっている。仮に平均火力が小さい方のコンロバーナ10に対応するバルブモータ27の作動タイミングを変更したとすると、もともと少ない燃料ガスの平均供給量が更に少なくなることによって、調理容器の加熱量が不足し易く、例えば、湯の沸騰状態の維持が困難となる。これに比べて、平均火力が大きい方のコンロバーナ10では、対応するバルブモータ27の作動タイミングを変更しても、調理容器の加熱量が変化する割合が小さいので、調理への影響を小さく抑えることができる。
上述した本実施例のガスコンロ1には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図9は、変形例の周期制御処理のフローチャートである。前述したように周期制御処理は、図5の火力制御処理において、設定パネル9で周期制御モードが設定されて周期制御を実行している場合(STEP112:yes)に行われる処理である(STEP114)。変形例の周期制御処理は、2つのコンロバーナ10のうち一方に対して周期制御を実行中である場合に開始され、まず、他方のコンロバーナ10に対して周期制御を実行することを禁止する(STEP130)。このため、変形例のガスコンロ1では、何れかのコンロバーナ10に対して周期制御を実行中は、他のコンロバーナ10に対して周期制御が実行されることはない。
続いて、周期制御を実行中のコンロバーナ10に対して設定されたバルブモータ27の作動タイミング、すなわち、次の火力に切り換えるタイミングであるか否かを判断する(STEP132)。そして、バルブモータ27の作動タイミングである場合は(STEP132:yes)、設定された火力の大きさに応じてバルブモータ27を作動させる(STEP134)。すると、バルブモータ27の駆動によって流量調節バルブ18の開度(弁座20aの開口面積)が変動し、対応するコンロバーナ10に供給される燃料ガスの流量が変化するので、コンロバーナ10の火力が切り換わる。
これに対して、バルブモータ27の作動タイミングではない場合は(STEP132:no)、バルブモータ27を作動させることなく(STEP134の処理を省略し)、図9の周期制御処理を終了して、図5の火力制御処理に復帰する。
以上のように変形例のガスコンロ1では、何れかのコンロバーナ10に対して周期制御を実行中は、他のコンロバーナ10に対しての周期制御の実行を禁止しておくようになっている。これにより、周期制御において2つのバルブモータ27の作動タイミングが重複することはないので、電池電圧の急激な低下を抑制して電池31の使用を想定耐用期間に亘って保つことが可能となる。
以上、本実施例および変形例のガスコンロ1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、前述した実施例では、周期制御で切り換える火力の大きさを大・中・小の3段階の中から設定していたが、複数の火力に切り換え可能であればよく、4段階以上設けられた火力の中から設定可能としてもよい。
また、周期制御は、2段階の火力(例えば、大火力と中火力)を周期的に切り換えるものに限られず、3段階以上の火力を周期的に切り換えるものであってもよい。
また、前述した実施例では、周期制御を実行中の2つのコンロバーナ10で平均火力(燃料ガスの周期制御中における平均供給量)を比較し、平均火力が大きい方のコンロバーナ10に対応するバルブモータ27の作動タイミングを変更するようになっていたが、これに限られず、平均火力が小さい方のコンロバーナ10に対応するバルブモータ27の作動タイミングを変更してもよい。