図1~図27Bを参照して、塗布剤を利用してユーザの肌の状態の評価を行う肌状態評価システム、肌状態評価方法及び肌状態評価プログラムの実施形態を説明する。
[A.肌サポートサーバの利用形態]
図1を参照して、肌サポートサーバ10の構成および本発明を構成する系に対する位置付けを説明する。肌サポートサーバ10は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等を備えたコンピュータシステムにより構成される。肌サポートサーバ10は、メモリに保持された画像表示用のプログラムをCPUで実行することによって、複数のユーザU(図1ではUa,Ub,Ucを例示)の肌状態を改善又は維持するための処理(画像表示処理)を実行する機能を実現する。
肌サポートサーバ10は、インターネット等の通信ネットワーク1を介して、複数のユーザUの通信端末(ユーザ端末)30(図1では30a,30b,30cを例示)との間でデータ通信を行うことにより、ユーザUの肌状態の改善又は維持をサポートする。肌サポートサーバ10と、ユーザ端末30とにより構成されるシステムが、本発明の「肌状態評価システム」の一例に相当する。
通信ネットワーク1には、担当者T(図1ではTa,Tbを例示)の通信端末50(図1では50a,50bを例示)も接続されている。担当者Tは、通信端末50を介して、ユーザUの肌の特徴や趣味嗜好、生活スタイル等を考慮した適切な肌ケア法等の情報を含むデータを、肌サポートサーバ10及びユーザ端末30に送信することにより、ユーザUの肌状態の改善に対するアドバイスを行う。なお、担当者Tの通信端末50とユーザUのユーザ端末30とは必ずしも一対一である必要はなく、肌サポートサーバ10、担当者Tの通信端末50、通信ネットワーク1を合わせた系全体によってユーザUの肌状態の改善に対するアドバイスがユーザUのユーザ端末30に提供されればよい。例えば、ユーザUの1又は複数のユーザ端末30に対して、複数の担当者Tによってそれぞれの通信端末50を介してアドバイスを提供する方法でも良い。
さらに、肌サポートサーバ10は、複数のユーザUのユーザ端末30から送信される各ユーザの固有データを解析して、汎用的に活用可能な2次データを生成する機能を有し、この2次データを通信ネットワーク1を介して他のシステム60に提供するサービスも行うことができる。
[B.肌サポートサーバ、及びユーザ端末の構成]
図2を参照して、肌サポートサーバ10およびユーザ端末30の構成について説明する。肌サポートサーバ10は、メモリに保持された肌状態評価プログラムをCPUで実行することにより、肌状態認識部11、施策グループ選択部12、施策情報送信部13、2次データ生成部19、サーバ状態認識部21及び評価実行部22として機能する。これらの構成による処理については後述する。また、肌サポートサーバ10は、処理に使用する各種データを保持するサポートDB(データベース)20を備えている。このサポートDB20はたとえばRAM上に展開され、後述する主観および客観データの更新によって書き換え可能である。サポートDB(データベース)20は、基準記憶部23及び評価記憶部24としても機能する。
次に、本実施形態のユーザ端末30は、表示器31、タッチパネル32、カメラ33、マイク34、CPU35、メモリ36及びスピーカー38等を備えている。表示器31及びスピーカー38が、本発明の「出力部」に相当する。スピーカー38が本発明の「音声出力部」に相当する。タッチパネル32が、本発明の「入力部」に相当する。これに代えてまたは加えて、カメラ33で撮像したユーザUの画像又はマイク34から入力されたユーザUの音声に基づいてユーザの指定を認識することにより、カメラ33又はマイク34を本発明の「入力部」として機能させてもよい。カメラ33が本発明の「撮像部」に相当する。
なお、一の装置が情報を「認識する」とは、一の装置が他の装置から当該情報を受信すること、一の装置が当該一の装置に接続された記憶媒体に記憶された情報を読み取ること、一の装置が当該一の装置に接続されたセンサから出力された信号に基づいて情報を取得すること、一の装置が、受信した情報又は記憶媒体に記憶された情報又はセンサから取得した情報に基づいて、所定の演算処理(計算処理又は検索処理など)を実行することにより当該情報を導出すること、一の装置が他の装置による演算処理結果としての当該情報を当該他の装置から受信すること、一の装置が当該受信信号にしたがって内部記憶装置又は外部記憶装置から当該情報を読み取ること等、当該情報を取得するためのあらゆる演算処理が実行されることを意味する。
本実施形態においては、ユーザ端末30は例えばスマートフォンであるため、カメラ33やマイク34等を備えているが、ユーザ端末と有線無線にかかわらずやり取りできる構成であれば、外付けでの構成であったり、専門的な撮像装置を用いても良い。CPU35は、メモリ36に保持された画像表示用のアプリケーション35a(以下、肌サポートアプリ35aという)のプログラムを実行することにより、ユーザUが肌サポートアプリ35aを介して肌サポートサーバ10によるサポートを享受可能な状態とする。アプリケーション35aを実行したCPU35が本発明の「状態認識部」、「出力制御部」及び「供給量指示部」として機能する。
また、ユーザUは、肌の細胞を取得するための角質採取テープ37(図1では37a、37b、37cを例示)を別途有している。この角質採取テープ37は、予め担当者TによりユーザUに提供されたものであってもよいし、ユーザUが市販の角質採取テープ37を購入してもよい。
ユーザ端末30は、ユーザUが押圧可能な疑似的な肌を模した圧力センサ47と、ユーザUの手または顔の温度を計測可能な温度センサ46とに接続されてる。圧力センサ47および温度センサ46からの信号がユーザ端末30に入力される。
ユーザ端末30は、さらに、塗布剤容器48と通信可能に構成されている。塗布剤容器48は、塗布剤を収容する収容部48aと、収容部48aに収容された塗布剤を容器外に排出することによりユーザUに塗布剤を供給する供給部48bと、ユーザ端末30から受信した信号に従って供給部48bによる一回当たりの塗布剤の供給量を制御する制御部48cとを備える。制御部48cは、供給部48bにより一定量の塗布剤が供給された後、一定時間、ユーザUaの操作があっても塗布剤を供給しないように供給部48bの動作を制御するように構成されていてもよい。
なお、以下の説明では、説明の便宜のため、肌状態の改善又は維持のサポート処理の対象のユーザをユーザUaと表し、「ユーザUa」と異なるユーザを「他のユーザUb、Uc」と表す。
[C.肌サポートサーバによる一連の処理]
次に、図3を参照して、肌サポートサーバによる一連の処理について説明する。肌サポートサーバ10は、「1.ゴール設定」、「2.スケジュール決定」、「3.モニタリング」、「4.スケジュール修正」、[5.ゴール判定]及び「6.2次データ生成」の各工程の処理を、図4,5に示したフローチャートに従って実行する。また、ユーザ端末30は、各工程における肌サポートサーバ10による処理に応じて、図6,7に示したフローチャートによる処理を実行する。以下では、各工程における肌サポートサーバ10及びユーザ端末30のCPU35の処理について、図4~7に示したフローチャート
を参照しつつ説明する。
ユーザUaは、図6のSTEP50で、肌サポートアプリ35aのプログラムをユーザ端末30にダウンロードして肌サポートアプリ35aを起動する。そして、ユーザUaは肌サポートアプリ35aへの登録申請を行う。
肌サポートサーバ10は、図4のSTEP10で、ユーザUaからの登録申請を受け付けたときに、「ユーザUaからの登録申請を受け付けた」と認識し、STEP11に処理を進める。そしてSTEP11以降の画像表示処理を開始する。
[D.ゴール設定工程]
図3に示した「1.ゴール設定」の工程は、肌状態認識部11及び施策グループ選択部12により実行される。施策グループ選択部12は、図4のSTEP11でユーザ端末30にユーザUaの現状の肌、体、心の各状態、及びユーザUaが要望する肌状態を把握するための情報入力を促す初期情報要求データを送信する。
この初期情報要求データを受信したユーザ端末30では、肌サポートアプリ35aが、図6のSTEP51で、ユーザUaに対して、現状の肌、体、心の各状態、及びユーザUaが要望する肌状態の入力を促す画面を表示器31に表示する。それに対してユーザ端末30は、ユーザUaが入力した情報を含む初期ユーザ情報データを、肌サポートサーバ10に送信する。これらに加えてまたは変えて、肌サポートアプリ35aは、図6のSTEP100で、入力受付処理を実行する。入力受付処理の詳細については後述する。
肌状態認識部11は、図4のSTEP11において、初期ユーザ情報データを受信して、初期ユーザ情報データから認識したユーザUaの肌、心、体の各状態と、ユーザUaが要望する肌状態とに基づいて、肌状態、心状態、又は体状態の目標スコア(ゴール)を設定する。
ここで、初期ユーザ情報データには、肌状態、体状態、及び心状態についての主観データ及び客観データが含まれている。詳細な定義は後述するが、主観データはユーザの主観によって判定される項目、客観データは検査結果や画像解析、事実情報に基づいたデータである。肌状態の主観データは、現状の肌状態に対するユーザUaの満足度を、例えば10段階で示したデータである。肌状態の客観データは、ユーザUaの肌画像データである。なお、肌状態の客観データには、初期ユーザ情報データに含まれる肌状態の客観データに加え、角質採取テープ37により採取されたユーザUaの角層細胞の解析データが含まれても良い。角層細胞の解析データは、具体的には例えば保水能力と皮脂適格性に関するデータである。この場合、角層細胞の解析を、例えばユーザ端末30に接続された測定機器45により行うことで、或は、角質採取テープ37の画像データをユーザ端末30から肌サポートサーバ10に送信し、肌サポートサーバ10側で角質採取テープ37の画像を分析して保水能力と皮脂適格性などを測定してもよい。
ユーザUaの満足度は肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力によって取得される。また、肌画像データは、ユーザ端末30のカメラ33又は接続端子40に接続された外部カメラによってユーザUaがユーザUaの顔を撮像することによって取得した画像データである。
また、肌サポートアプリ35aは、ユーザUaに対して、角質採取テープ37の使用方法を表示器31に表示し、角質採取テープ37の使用と別途の郵送とを促す。肌サポートアプリ35aは、ユーザUaに対して、角質採取テープ37の使用と肌画像の撮像を促し、撮像された画像が肌サポートサーバ10に送信されるようにしてもよい。
肌状態認識部11は、図8に示したように、肌状態の初期値を、主観のスコアをたとえば3、肌画像のスコアを3、保水能力のスコアを2、皮脂適格性のスコアを1に割り当てて、合計した値を肌状態のスコアとする。なお、スコアは正の整数ではなく、小数で表現されていてもよいし、負の数で表されてもよい。
角層細胞の状態を解析したスコア(保水能力スコア及び皮脂適格性のスコア、角層バリア、メラニンスコアなど)の認識を第1認識方法と呼ぶ。第1認識方法は、これに代えてまたは加えて、角層水分量計によりユーザの肌の水分量を計測する方法及び皮脂量計によりユーザの肌の皮脂量を計測する方法のうち少なくとも1つを含む。また、第1の認識方法によるユーザの肌の認識を定期的に行うため、肌状態認識部11は、定期的にユーザ端末30に角質採取テープ37等の使用を促すメッセージを送信したりすることにより、ユーザに行動を促す。このときの「定期的」というのは厳密に時間的に等間隔である必要はなく、肌状態に影響が出ない範囲で等間隔であれば良い。例えば、3ヶ月ごとに第1の認識方法を実施する場合において、1月1日に初回を実施した場合、ちょうど3か月後の4月1日のみならず、例えばその1週間前の3月24日前後にユーザ端末30にメッセージを送信してもよいし、例えばその1週間後の4月8日前後にユーザ端末30にメッセージを送信してもよい。また、長期的にサービスを提供するときなどは、例えば細かい改善を調べたい時は1ヶ月ごとに第1の認識方法を設定し、肌状態に対する季節変化の影響を調べるために3か月ごとに第1の認識方法を設定するなど、認識のタイミングは変更可能である。
アンケート入力による肌状態の主観データに基づいて主観スコアの認識及びユーザUaの肌画像データに基づく肌画像スコアの認識のそれぞれを第2認識方法と呼ぶ。第2認識方法は、アンケート入力による肌状態の主観データに基づいて主観スコアの認識及びユーザUaの肌画像データに基づく肌画像スコアの認識の一方によってユーザUaの肌状態を認識してもよいし、これらと異なる方法を含んでもよい。また、第2認識方法は、第1の認識方法よりも頻繁に行われる。これは角質採取テープ37の使用・郵送が手間的にも煩雑かつ値段的にも高価になってしまうためである。また、角質採取テープ37の使用が頻繁であると、ユーザUaの肌へ悪影響が及ぶおそれもある。
例えば3か月間ごとに第1の認識方法が実施され、第2の認識方法は毎日実施にされる。また、第1の認識方法の実施と第2の認識方法の実施のタイミングが重なる時は、できれば同じタイミングで実施されると精度の良いデータが取れるために好ましい。ただし第1の認識方法の実施時に第2の認識方法が実施されなくても本発明の実施は可能であるし、効果も得られる。
なお、主観スコアは、主観データに基づいて認識されたスコアであればよい。
体状態の主観データと客観データは、図9に示したように分けられている。詳細な定義は後述するが、肌の主観データおよび客観データと同様に、主観データはユーザUaの主観によって判定される項目、客観データは検査結果や画像解析、事実情報に基づいたデータである。体状態の主観データは、ユーザUaが肌サポートアプリ35aを通じてアンケートを入力することによって取得される。客観データは、ユーザUaがユーザ端末30のカメラ33を用いて撮像されたユーザUaの舌・唇の画像データ、ユーザ端末30の接続端子40に接続された測定機器45により測定されたユーザUaの血圧、不整脈、尿中成分、血中成分等の測定データと、肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力により取得された頭痛又は肩こり等の体調不良の回数、疲労度判定等のデータである。なお、将来の肌ケア以外のサービスへの展開に備えて、種々の病気の発生情報などについても初
期ユーザ情報データに含めてもよい。
心状態の主観データと客観データは、図10に示したように分けられている。、詳細な定義は後述するが、肌の主観データおよび客観データと同様に、主観データはユーザUaの主観によって判定される項目、客観データは検査結果や画像解析、事実情報に基づいたデータである。主観データは、肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力によって取得される。客観データは、肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力(一日の笑った頻度等)と、測定機器による測定(脈拍モニタリングからの心理状態推定等)とにより取得される。なお、将来の肌ケア以外のサービスの展開に備えて、種々の精神疾患の発生情報についても初期ユーザ情報データに含めてもよい。
肌状態認識部11は、認識したユーザUaの肌、体、心の状態の主観データ及び客観データを、サポートDB20に記憶する。
肌状態認識部11は、このようにして初期ユーザ情報データから認識したユーザUaの肌状態、体状態、及び心状態の主観データと客観データに基づいて、図8の右側の三角形で示したように、肌状態を1~9、体状態を1~6、心状態を1~6の各スコアで表した3軸の初期値を設定する。なお、肌状態のスコアと同様に、体状態又は心状態の主観データ及び客観データから体状態又は心状態の主観スコア及び客観スコアが算出され、それらに基づいて体状態のスコア及び心状態のスコアとして扱われてもよい。
さらに、施策グループ選択部12は、初期ユーザ情報データに含まれる「なりたい肌スコア」「施策のカテゴリ、希望、頻度」「アレルギー情報」及び「現在行っている施策」を取得する。「なりたい肌スコア」「施策のカテゴリ,希望,頻度」「アレルギー情報」及び「現在行っている施策」は、肌サポートアプリ35aにより、ユーザUaが入力したものである。
ここで、「なりたい肌スコア」において、「なりたい肌」とは、乾燥感改善、ごわつき改善、敏感肌改善、ニキビ改善、しぼみ感改善、シミ改善、シワ改善、たるみ改善、くすみ改善、くま改善、顔色改善、及びハリ改善の中から選択された肌状態の改善対象である。また、「スコア」とは、各対象の肌状態に対するユーザUaの満足度であって、肌サポートアプリにおいて1~10の10段階でユーザが選択したスコアである。
サポートDB20は、各改善対象に関連付けられた肌状態の主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を記憶している。例えば、図11Cに示されるように、「乾燥感改善」には、肌状態の主観状態「乾燥感改善」と、肌状態の客観状態の基準「保水能力と皮脂適格性との差を最小化」とが関連付けられている。
例えば、「なりたい肌」が「乾燥感改善」であり、現状の肌状態の乾燥感の満足度のスコアが3であるときに、ユーザUaの選択に応じて、「乾燥感改善」と関連付けられたユーザUaの肌状態の主観状態「乾燥感改善」についての満足度5が主観的な目標スコアとして設定される。
また、施策グループ選択部12は、「乾燥感改善」に関連付けられた肌状態の客観的な改善対象を設定する。例えば、施策グループ選択部12は、「乾燥感改善」に関連付けられた基準「保水能力と皮脂適格性との差を最小化」に基づいて、ユーザUaの肌状態のうち、保水能力よりも低い皮脂適格性の値2を客観的な目標スコアとして設定する。
心状態、体状態についても同様に目標スコアが定められうる。
また、「施策のカテゴリ、希望、頻度」において、カテゴリとしては「食生活、自宅での行動、運動、化粧品の使い方、飲食、肌ケア、行動」等、希望としては「難易度、金額制約、時間制約、やりたくない施策、肌ケアを行うシーン、施策のカテゴリに関する嗜好」等、頻度としては「1日当たりのアドバイスを受ける回数」等が選択される。
「アレルギー情報」は、ユーザUaがアレルギー疾患の場合のアレルギー物質に関する情報が含まれる。
「現在行っている施策」は、ユーザUaがすでに行っている施策であり、「湯船につかる」等の内容及び頻度又は程度などにより表される。
また、初期ユーザ情報データには、ユーザUaの性別、年齢、住んでいる地域、職業、
性格等のユーザの属性を示す情報が含まれている。
[E.スケジュール決定工程]
図3に示した「2.スケジュール決定」の工程は、施策グループ選択部12、施策情報送信部13により実行される。
施策グループ選択部12は、図4のSTEP12で、ゴール(主観的な目標スコア及び客観的な目標スコア)を達成するための施策グループを選択する。この選択は、上述した各改善対象に関連付けられた、肌状態の主観状態の改善傾向と肌状態の客観状態の改善傾向と適した周辺環境とを考慮して行われる。施策グループ選択部12は、あらかじめ登録された地域またはGPSセンサ等によって検出された位置情報と、端末の時計機能から取得した日時とに基づいて、スケジュール期間におけるユーザUaの周辺環境の温度、湿度等を予測する。
例えば、施策グループ選択部12は、カテゴリの希望が「自宅での行動、食生活、運動」であり、梅雨の時期のように湿度が平均50%と予測される季節であり、主観的な目標スコアが「乾燥感」の満足度5以上、客観的な目標スコアが皮脂適格性2以上である場合、主観状態の改善傾向が「乾燥感改善」を含み、客観状態の改善傾向が「皮脂適格性向上」を含み、カテゴリに「自宅での行動、食生活、運動」のいずれかであり、適した周辺環境が湿度50%と矛盾しない施策を選択する。
ここで、主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向は、予め担当者T等の専門家によって定められたものであってもよいし、サポートDB20に記憶された他のユーザUb、Ucが実施した施策と他のユーザUb、Ucの肌状態の時系列的変化に基づいて推定される主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向であってもよいし、実施した施策とユーザUaの肌状態の時系列的変化がサポートDB20に保存されている場合には、当該情報に基づいて推定される主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向であってもよい。
例えば、サポートDB20には、他のユーザUb、Ucのそれぞれが実施した施策と、その施策を実施した前後の他のユーザUb、Ucそれぞれごとの肌状態の主観データの時系列的変化及び他のユーザUb、Ucそれぞれごとの肌状態の客観データの時系列的変化の一方又は両方とが記憶される。
また、例えば、サポートDB20には、他のユーザUb、Ucのそれぞれが実施した施策「湯船につかる」と、その施策を実施した前後における、他のユーザUb、Ucそれぞれの肌状態の主観状態の時系列的変化としての「乾燥感についての満足度」が記憶されているとする。
このとき、施策グループ選択部12は、各他のユーザUb、Ucごとに、施策「湯船につかる」について、例えば、湯船につかる前日と、湯船につかった日の肌状態の主観データ(乾燥感についての満足度)の変化量を算出する。そして、施策グループ選択部12は、各他のユーザUb、Ucごとの乾燥感についての満足度の変化量の平均値をとる。施策グループ選択部12は、例えば、「乾燥感についての満足度」の変化量の平均値が所定値以上である場合に、施策「湯船につかる」の主観状態の改善傾向を「乾燥感改善」と認識する。客観状態の改善傾向についても、主観状態の改善傾向と同様に認識できる。
施策グループ選択部12は、ユーザUaの年齢及び肌状態に基づいて、同年代、同様の肌状態等、処理対象とする他のユーザUb、Ucの範囲を絞ってもよい。
また、施策グループ選択部12は、サポートDBに実施した施策とユーザUaの肌状態の時系列的変化が保存されている場合には、上記と同様にして算出した当該情報に基づいて推定される主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識してもよい。
施策グループ選択部12は、ユーザUaの第1回目のスケジュール決定工程においては、他のユーザUb、Ucの肌状態の主観データ、客観データから上記主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識し、ユーザUaの第2回目のスケジュール決定工程においてはユーザUaの肌状態の主観データ、客観データから主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識してもよい。
施策グループ選択部12は、肌状態のみならず、心状態、体状態についても同様に主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識し、当該心状態、体状態の主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を加味して施策を選択してもよい。
施策グループ選択部12は、「現在行っている施策」と同内容及び同頻度または同程度の施策を施策グループから除外してもよい。ユーザが既に行っている施策は、提案するまでもないと考えられるからである。
図11Aの例では、施策グループ選択部12は、「湯船につかる」「ビタミンC摂取」「野菜摂取」「1万歩以上歩く」を含むように複数の施策の組合せである施策グループを選択する。
施策情報送信部13は、施策グループの中から、ユーザUaの「施策のカテゴリ、希望、頻度」に応じて施策の優先度を評価し、当該優先度に従って初期の施策を決定する。図12には、初期の施策として「湯船につかる」「野菜摂取」「1万歩以上歩く」が選択されたスケジュールの例を示している。施策情報送信部13は、このようにして決定したスケジュールの内容を示すスケジュールデータをユーザ端末30に送信する。
施策情報送信部13は、併せて、ユーザUaの指定を基に、一定期間の各工程の実施の計画を作成する。図11Bには、START時にゴール設定とスケジュール決定を行い、毎日モニタリングをし、1週間ごとにスケジュール修正を行い、1か月後に進捗グラフを作成し、F3か月目にゴール判定と新たなゴール設定を行うという一連のイベントの計画が示されている。施策情報送信部13は、ユーザUaの指定に加えてまたは代えて、あらかじめ定められた、一定期間の各工程の実施の計画を用いてもよい。
ユーザ端末30において、図6のSTEP52で、肌サポートサーバ10からスケジュールデータを受信すると、肌サポートアプリ35aは、図12に示したようなスケジュールの実行表及び図11Bに示したような作業内容の計画を表示可能にして、ユーザUaによる各施策の実施を促す。図12のスケジュールの実行表においては、各施策(「湯船につかる」、「野菜摂取」、「1万歩以上歩く」)の内容が表示される。
[F.モニタリング工程]
図3に示した「3.モニタリング」の工程は、ユーザUaが肌サポートアプリ35a上で設定した期間ごとに(図11Bでは毎日)、肌状態認識部11、施策情報送信部13、サーバ状態認識部21及び評価実行部22により実行される。肌サポートアプリ35aの利用を開始したユーザUaは、ユーザ端末30により、日々の肌、体、心の各状態と、スケジュールにより指示された施策の実施状況と、スケジュールにより指示された施策以外のユーザUaの自主的な行動(施策外行動)の実施状況とを入力する。施策の実施状況には、「湯船につかる」、「野菜摂取」、「1万歩以上歩く」をそれぞれ実施したかどうかを示す情報のほか、「30分」および「湯船につかる」、「300g」および「野菜を摂取」、「1万5千歩」および「歩く」など、時間、量などで表される施策の実行の度合いが含まれる。
肌サポートアプリ35aは、図6のSTEP53で、ユーザUaにより肌、体、心の状態が入力されると図6のSTEP100及びSTEP60に処理を進める。図6のSTEP100の処理の詳細は後述する。肌サポートアプリ35aは、図6のSTEP60において、上述した初期ユーザ情報データと同様に、ユーザUaの肌、体、心の状態についての主観データと客観データを含む現状ユーザ情報データを肌サポートサーバ10に送信してSTEP54に処理を進める。なお、肌サポートアプリ35aは、図6のSTEP53で、ユーザUaにより肌、体、心の状態が入力されない場合、そのままSTEP54に処理を進める。ここで送信されるデータには、角質採取テープ37によって採取された角層細胞に関するデータは含まれない。
また、肌サポートアプリ35aは、図6のSTEP54で、ユーザUaによりスケジュールの実行状況(各施策の実行状況)が入力されたときにSTEP61に処理を進め、スケジュールの実行状況を示す実行状況データを肌サポートサーバ10に送信して図7のSTEP55に処理を進める。なお、肌サポートアプリ35aは、図6のSTEP54で、ユーザUaによりスケジュールの実行状況(各施策の実行状況)が入力されない時は、そのままSTEP55に処理を進める。
さらに、肌サポートアプリ35aは、図7のSTEP55で、ユーザUaにより施策外行動の実施状況が入力されたときにSTEP62に処理を進め、実施された施策外行動の内容を示す施策外行動実施データを肌サポートサーバ10に送信してSTEP56に処理を進める。なお、肌サポートアプリ35aは、図7のSTEP55で、ユーザUaにより施策外行動の実施状況が入力されないときには、そのままSTEP56に処理を進める。
肌状態認識部11は、STEP13でユーザ端末30から現状ユーザ情報データを受信したときに図4のSTEP400及びSTEP20に処理を進める。図4のSTEP400の処理の詳細は後述する。肌状態認識部11は、現状ユーザ情報データをサポートDB20に蓄積してSTEP14に処理を進める。なお、肌状態認識部11は、STEP13でユーザ端末30から現状ユーザ情報データを受信しないときは、STEP14にそのまま処理を進める。
また、施策情報送信部13は、STEP14でユーザ端末30から実行状況データを受信したときに図4のSTEP21に処理を進める。施策情報送信部13は、実行状況データをサポートDB20に蓄積してSTEP15に処理を進める。一方で、STEP14でユーザ端末30から実行状況データを受信していないと判定された場合は、そのままSTEP15に処理を進める。
さらに、施策情報送信部13は、STEP15でユーザ端末30から施策外行動実施データを受信したときにSTEP22に処理を進める。施策情報送信部13は、施策外行動実施データをサポートDB20に蓄積して図5のSTEP16に処理を進める。一方で、施策情報送信部13は、STEP15でユーザ端末30から施策外行動実施データを受信しない時は、そのまま図5のSTEP16に処理を進める。
図5に移って、STEP16で、施策情報送信部13は、サポートDB20に蓄積されたユーザUaの初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、実行状況データ、及び施策外行動実施データ等に基づいて、スケジュールの進捗状況を示す進捗表データを作成し、この進捗表データをユーザ端末30に送信する。
ここで、スケジュールの進捗表は、例えば図12に示したように、上から順に、肌状態(ここでは乾燥肌)のスコア、体状態のスコア、心状態のスコア、施策(湯船につかる、野菜摂取、1万歩以上歩く)の実施状況、暮らし情報(野菜摂取量、水分摂取量)、及び暮らし特殊事例が、1日単位で表示する構成となっている。
また、スケジュール進捗表には、施策の実行度合い(「30分」湯船につかる、「30
0g」野菜摂取、「1万5千歩」歩く)が含まれている。
ユーザ端末30において、肌サポートアプリ35aは、図7のSTEP56で、肌サポートサーバ10から送信された進捗表データを受信したときにSTEP63に処理を進め、進捗表データをメモリ36に保持する。肌サポートアプリ35aは、メモリ36に格納された進捗表データを用いて、図12に示した進捗表をユーザ端末30の表示器31に表示する。
また、肌サポートアプリ35aは、進捗表データの他に、通信を介して認識した、肌サポートサーバ10のサポートDB20に蓄積されたユーザUaの初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、実行状況データ、施策外行動実施データ等を用いて、ユーザUaの肌、体、心の各状態の推移や変化を示す情報を、ユーザ端末30の表示器31に表示する。
例えば、肌サポートアプリ35aは、図13に示したように、スケジュールによる施策以外のユーザUaの行動(洗顔法の変更、マッサージを受けた等)、及びユーザの体調(生理、睡眠不足等)と、ユーザUaの肌状態の変化の関係を日単位の時系列グラフで、表示器31に表示する。
また、肌サポートアプリ35aは、図14に示したように、一カ月単位で、ユーザUaの角質状態を含む肌状態、心理状態、肌ケアの満足度、及び化粧品の使い方の評価値の変化を対比したレーダーチャートを表示器31に表示する。
ユーザUaは、肌サポートアプリ35aによるこれらの表示を視認して、自身の肌、体、心の各状態の変化を確認することにより、肌の改善度と共に、体と心の状態の変化も把握することができるため、肌、体、及び心の状態をバランス良く改善しながら、目標とする肌状態のゴールへの到達することができる。
[G.スケジュール修正]
図3に示した「4.スケジュール修正」の工程は、ユーザUaが肌サポートアプリ35a上で設定した期間ごとに(図11Bでは1週間ごとに)、施策情報送信部13により実行される。図5のSTEP17~STEP20、及びSTEP30~STEP33が、施策情報送信部13による処理である。
施策情報送信部13は、STEP17で、サポートDB20に蓄積されたユーザUaの初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、及び実行状況データ等に基づいて、ユーザUa肌状態の目標達成度、スケジュールに組み込まれた各施策の実行度、及び各施策の効果を評価する。各施策の効果とは、各施策の実行の前後におけるユーザUaのゴールに関連した、肌状態、体状態又は心状態のうち少なくとも1つの状態(指定状態)のスコアの変化により求められる。例えば、ある施策を実行したときに、指定状態のスコアが2から3に上昇した場合には、効果+1として求められうる。
施策情報送信部13は、図15Aに示した施策の評価基準を用いて、肌状態と体又は心の状態との相関関係を抽出し、この相関関係に基づいて、スケジュールに組み込まれた各施策の継続、施策グループからの除外、施策の中止、別の施策への変更を判断する。
図15Aの評価基準では、判定項目として、実施の有無、肌への影響、体への影響、心への影響という四項目が使用され、実施率が所定実施率を超え、肌に良い影響があり、且つ、体と心に悪い影響がない施策については、A評価となって継続と判断される。なお、図15Aでは、実施率が所定の実施率を超えた施策を「実施」として表記し、実施率が所
定の実施率以下であった施策を「不実施」として表記している。図12及び図15Bでも同様である。
施策の影響のタイミングと影響が継続する期間が施策ごとに定められている場合、施策情報送信部13は、施策の影響のタイミングと施策の影響が継続する期間に基づいて、各施策の影響を判定してもよい。
例えば、「湯船につかる」という施策の肌への影響、体への影響、心への影響は、翌日に影響が出、1日だけ継続すると定められていた場合、施策情報送信部13は、例えば12月15日の「湯船につかる」という施策の影響は、12月16日の各状態に反映されていると判断する。
また、「野菜摂取」という施策の肌への影響、体への影響、心への影響は、1週間後に影響が出、3日だけ継続すると定められていた場合、施策情報送信部13は、例えば12月15日の「野菜摂取」という施策の影響は、12月22日~12月24日の各状態に反映されていると判断する。
それに対して、実施され、肌に良い影響があるが、体と心のいずれかに悪い影響がある施策については、B評価となって中止或は別施策への変更と判断される。また、実施率が所定の実施率以下となった施策はユーザUaにとって負荷が大きかったと考えられるため、C評価となって中止或は別施策(例えば、ユーザUaの負荷が軽減する施策又は別の施策)への変更と判断される。
施策情報送信部13は、各施策を1日だけ実施することで肌、体、心への良いまたは悪い影響があるかの評価を行っても良いし、数日や数週間などの一定期間において各施策を実施することで、肌、体、心への良いまたは悪い影響があるかの評価を行ってもよい。一定期間で評価を行う場合、施策情報送信部13は、例えば、一定割合でいずれかの状態に悪影響が出た場合にB評価とし、実施割合が一定以下である場合にC評価とし、それ以外の場合A評価としてもよい。これに代えて、施策情報送信部13は、例えば、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定以下となった場合にB評価としてもよい。また、1日におけるいずれかの状態の満足度が所定以下となり、かつ、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定以下となった場合にC評価とし、1日の評価におけるいずれかの状態の満足度が所定以下となり、または、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定以下となった場合にB評価とし、1日におけるいずれかの状態の満足度が所定値を超え、かつ、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定値を超えた場合にA評価とするなど、1日の評価と一定期間の評価とを組み合わせて用いてもよい。
また、施策情報送信部13は、図8に示した肌状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である場合に、当該肌状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である施策を施策グループから除外してもよい。施策情報送信部13は、体状態又は心状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である場合に、体状態又は心状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である施策を施策グループから除外してもよい。
図15Bは、図15Aに示した評価基準を、本実施形態における施策(湯船につかる、野菜摂取、1万歩以上歩く)に適用した例を示している。図15Bにより、施策情報送信部13は、「湯船につかる」についてはA評価として、次のスケジュールでの継続を決定し、「野菜摂取」についてはB評価として、施策グループからの除外、次のスケジュールでの中止或は他の施策への変更を決定し、「1万歩以上歩く」についてはC評価として、施策グループからの除外、次のスケジュールでの中止或は他の施策への変更を決定している。
施策情報送信部13は、複数の施策が行われた影響については、それらの施策の組合せごとに判断する。例えば、施策情報送信部13は、「湯船につかる」「野菜摂取」の組合せが、B評価又はC評価であった場合、「湯船につかる」若しくは「野菜摂取」の単独の施策のみとするか、又はこれらのいずれかの施策と別な施策との組み合わせとするように変更してもよい。
施策情報送信部13はこのような評価処理を行って、スケジュール修正(主として施策グループの他の施策への変更による修正)の要否を判断し、スケジュール修正が必要と判断したときには、STEP30に処理を進めてスケジュールを修正する。
そして、修正したスケジュールのデータであるスケジュール修正データをユーザ端末30送信して、STEP19に処理を進める。一方、スケジュールの修正が不要であると判断したときには、施策情報送信部13は、図5のSTEP18から図5のSTEP19に処理を進め、この場合、スケジュールは修正されない。
次に、施策情報送信部13は、STEP19で、初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、及び施策外行動実施データ等に基づいて、ユーザUaが行った各施策外行動(スケジュールに組み込まれている施策以外に、ユーザが行った行動)を評価する。
施策情報送信部13は、図16Aに示した施策外行動の評価基準を用いて、施策外行動の推奨の有無又は禁止の提案を判断する。図16Aの評価基準では、判定項目として、肌、体、心の各状態への影響が使用される。
そして、「肌、体、心のいずれかに良い影響があり、且ついずれについても悪い影響が無い」場合は、D評価となって実施が推奨される。それに対して、「肌、体、心のいずれかに悪い影響がある」場合は、E評価となって禁止が提案される。また、「肌、体、心のいずれにも影響が無い」場合には、F評価となって実施が推奨されない。
図16Bは、図16Aに示した評価基準を、本実施形態における施策外行動(マッサージを受けた、チョコレートを大量に摂取した)に適用した例を示している。図16Bにより、施策情報送信部13は、「マッサージを受ける」についてはD評価として、次のスケジュールでの実施の推奨を決定している。また、「チョコレートの大量摂取」についてはE評価として、次のスケジュールでの止めるための施策(例えば、和菓子を摂取する代替案)の提案を決定している。
施策情報送信部13は、スケジュールに組み込まれた施策の中止或は変更、又は施策外行動について、実施の推奨或は禁止の提案を決定したときには、STEP20からSTEP31に処理を進める。そして、推奨を決定したときはSTEP31からSTEP33に処理を進め、施策外行動の実施を推奨する施策外行動推奨データをユーザ端末30に送信して、図4のSTEP13に処理を進める。
一方、施策情報送信部13は、禁止の提案を決定したときには、STEP31からSTEP32に処理を進め、施策外行動の禁止を提案する施策外行動禁止データをユーザ端末30に送信して、図4のSTEP13に処理を進める。
また、施策情報送信部13は、推奨又は禁止を提案する施策外行動がない場合には、STEP20から図4のSTEP13に処理を進める。なお、禁止を提案する施策外行動に代替行動がある場合には、禁止の提案に代えて代替行動への変更を提案する施策外行動禁止データをユーザ端末30に送信するようにしてもよい。
ユーザ端末30において、肌サポートアプリ35aは、図7のSTEP57で、肌サポートサーバ10からスケジュール修正データを受信すると、STEP65に処理を進め、スケジュール修正データに基づいてスケジュールを修正する。そして、肌サポートアプリ35aは、メモリ36に保持されたスケジュールデータを更新して、処理をSTEP58に進める。
また、肌サポートアプリ35aは、図7のSTEP58で、肌サポートサーバ10から施策外行動推奨データ又は施策外行動禁止データを受信すると、STEP66に処理を進め、受信したデータに応じて、施策外行動を推奨又は禁止の提案を報知する画面をユーザ端末30の表示器31に表示する。なお、この報知は、例えば図12に示した進捗表に報知メッセージを表示して行ってもよい。また、推奨する施策外行動を、新たな施策としてスケジュールを修正してもよい。
[H.ゴール判定工程]
図3に示した「5.ゴール判定」の工程は、ユーザUaが肌サポートアプリ35a上で設定した期間ごとに(図11BにおいてはSTARTから3か月後)、肌状態認識部11、施策グループ選択部12及び施策情報送信部13により実行される。
肌サポートアプリ35aは、角質採取テープ37の使用と、角質採取テープ37の郵送を促すメッセージをユーザ端末30の表示器31に表示する。
肌状態認識部11は、郵送された角質採取テープ37から得られた情報に基づいて、肌状態の客観値(保水能力、皮脂適格性など)を認識する。客観値は、水分量が0-100μS等、肌の物理状態を示す値そのままであってもよいし、それぞれの物理状態を大小に応じて1~10のいずれかに割り当てるなどして正規化した値であってもよい。
また、肌サポートアプリ35aは、アンケートの回答、肌等の撮像の使用を促すメッセージをユーザ端末30の表示器31に表示し、得られた情報を送信する。
肌状態認識部11は、肌サポートアプリ35aから得られた情報に基づいて、肌の乾燥感の主観値(主観スコア)と、肌状態の客観値(肌の画像スコア)を認識する。
施策グループ選択部12及び施策情報送信部13は、肌の乾燥感の主観値と、肌状態の客観値とに基づいて、肌状態のサポート開始時と3カ月後における評価値を比較して、ゴール達成度を判定する。
図17の例では、乾燥感の主観値のスコアが3カ月で3から5に増加しているので達成(○)と判定し、客観値についても、肌の画像スコアが3カ月で3から4に増大し、保水能力が2に維持され、皮脂適格性が1から2に増大しているので達成(○)と判定されている。そして、主観値と客観値が共にゴールを達成しているので、トータルとしてもゴールを達成したと判定している。
肌状態認識部11及び施策グループ選択部12は、ゴールを達成した場合には新たなゴールを設定するため、図3に示した「1.ゴール設定」の工程を再度実行する。肌状態認識部11及び施策グループ選択部12は、ゴール未達の場合は、「2.スケジュール決定」工程を実施してもよいし、ユーザの希望または進捗に応じて「1.ゴール設定」の工程を再度実行してもよい。
[I.2次データ生成]
図3に示した「6.2次データ生成」の工程は、2次データ生成部19により実行される。2次データ生成部19は、複数のユーザUから送信される初期ユーザ情報データ、角層細胞解析データ、現状ユーザ情報データ、実行状況データ、施策外行動実施データ等の各種データ(以下、ユーザ個別データという)を、ユーザごとにサポートDB20に順次蓄積する。
そして、2次データ生成部19は、サポートDB20に蓄積されたユーザ個別データを分析して、例えば図18に示したように、各ユーザの特性(性別、年齢、居住地、嗜好、ライフスタイル等)、サポートの改善対象(乾燥感、ごわつき、敏感、ニキビ、しぼみ感等)、スケジュールにより提案された施策(湯船につかる、野菜摂取、1万歩以上歩く等)、及び施策の実施による肌、体、心の各状態の変化等を関連付けた2次データを生成する。
また、2次データ生成部19は、施策外行動についても図18と同様に、各ユーザの特性と施策外行動の実施による肌、体、心の各状態の影響とを関連付けた2次データを生成する。
このようにして生成された2次データは、同様の特性を有するユーザについて、体及び心に良い影響を与えつつ肌状態の改善を図るために有効な施策を選択する際に、有効に活用することができる。例えば、上述した図3の「2.スケジュール決定」の工程において、施策グループ選択部12は、2次データを参照して、ユーザUaの特性に適合した施策を選択することができる。
また、上述した図3の「4.スケジュール修正」の工程において、施策情報送信部13は、ユーザUaの肌、体、心の各状態の推移に応じてスケジュールを変更する際に、2次データを参照して、より有効な施策或は施策外行動を組み込んだスケジュールに変更することができる。
さらに、2次データは、肌状態のサポートを行う上で有効に利用できると共に、ある特性を有するユーザ(例えば、東京に住む30代のアウトドア志向の女性等)をターゲットとしたマーケティング等の目的にも利用することができる。そのため、2次データを図1に示した他のシステム60等に提供してもよい。
[J.入力受付処理]
次に、図19~図21を参照して、図6のSTEP100の入力受付処理の処理の詳細について説明する。
図19のSTEP200において、肌サポートアプリ35aは、ユーザUaの塗布剤の支援をする塗布支援処理を実行する。塗布支援処理の詳細は後述する。
図19のSTEP102において、肌サポートアプリ35aは、前回のデータの取得日時を認識する。肌サポートアプリ35aは、ユーザ端末30に備えられたHDD等の記憶装置を参照することにより、前回のデータの取得日時を認識してもよいし、肌サポートサーバ10と通信することにより、前回のデータの取得日時を認識してもよい。
図19のSTEP104において、肌サポートアプリ35aは、前回のデータの取得日時が図19のSTEP104の実行時点から所定期間内であるか否かを判定する。所定期間内とは、例えば、図19のSTEP104の実行時点の前日までように、ユーザUaが前回実行の状況を覚えている蓋然性が高い期間であることが好ましい。これに代えて、図19のSTEP104では、前回のデータが存在するか否かを判定してももよい。
図19のSTEP104の判定結果が否定的である場合(図19のSTEP104でNO)、図19のSTEP106aにおいて、肌サポートアプリ35aは、第1状態入力画面P1を表示器31に出力する。
第1状態入力画面P1は、図20に示されるように、ユーザUaの肌へ塗布剤を手で塗布したときの塗布後のユーザUaの塗布先(顔)の肌の状態及び前記塗布元の手の状態に関するユーザUaの主観に関するアンケートを出力する画面である。
第1状態入力画面P1には、顔に残った化粧品に関するアンケート表示P11と、手に残った化粧品に関するアンケート表示P12と、顔の肌の乾燥具合に関するアンケート表示P13と、顔の肌の被膜感に関するアンケート表示P14と、手表面の被膜感に関するアンケート表示P15と、手で顔を触れた時のアンケート表示P16と、送信ボタンP17とが含まれている。各アンケート表示P11~P16の下には、アンケートに対応する3段階の塗布先(顔)又は塗布元(手)の状態のラジオボタンが表示されている。この状態は、「はっきり残る」「やや残る」「残らない」のように、他の日における状態との比較で表されていない塗布先又は塗布元の状態となっている。このような状態を以下において適宜「第1状態」という。なお、アンケートに対応する状態は、3段階ではなくともよく、例えば5段階であってもよい。また、アンケートに対応する回答を求める入力フォームは、ラジオボタンに限られず、例えばVAS(visual analog scale)式のスライドバーなどであってもよい。
図19のSTEP108aにおいて、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介して第1状態入力画面P1に入力された塗布先又は塗布元の第1状態を認識する。
一方、図19のSTEP104の判定結果が肯定的である場合(図19のSTEP104でYES)、図19のSTEP106bにおいて、肌サポートアプリ35aは、第2状態入力画面P2を表示器31に出力する。
第2状態入力画面P2は、図21に示されるように、ユーザUaの肌へ塗布剤を手で塗布したときの塗布後のユーザUaの塗布先(顔)の肌の状態及び前記塗布元の手の状態に関するユーザUaの主観に関するアンケートを出力する画面である。
第2状態入力画面P2には、顔に残った化粧品に関するアンケート表示P21と、手に残った化粧品に関するアンケート表示P22と、顔の肌の乾燥具合に関するアンケート表示P23と、顔の肌の被膜感に関するアンケート表示P24と、手表面の被膜感に関するアンケート表示P25と、手で顔を触れた時のアンケート表示P26と、送信ボタンP27とが含まれている。各アンケート表示P21~P26の下には、アンケートに対応する3段階の塗布先(顔)又は塗布元(手)の状態のラジオボタンが表示されている。この状態は、「前回より残る」「前回と同じ」「前回より少ない」のように、前回における状態との比較で表されている塗布先又は塗布元の状態となっている。このような状態を以下において適宜「第2状態」という。なお、アンケートに対応する状態は、3段階ではなくともよく、例えば5段階であってもよい。また、アンケートに対応する回答を求める入力フォームは、ラジオボタンに限られず、例えばVAS(visual analog scale)式のスライドバースライドバーなどであってもよい。
第2状態入力画面P2に代えて、第1状態入力画面P1に、前回入力された回答を表示させるようにしてもよい。例えば、前回の第1状態入力画面P1において、「顔へ残った化粧品」に対する回答が「はっきり残る」であった場合、STEP106bにおいて、第1状態入力画面P1において、「顔へ残った化粧品」に対する回答「はっきり残る」に灰色等の特定の色のマークを付して表示するなどのようにして、前回入力された回答をユーザに認識させるように表示してもよい。
図19のSTEP108bにおいて、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介して第2状態入力画面P2に入力された塗布先又は塗布元の第2状態を認識する。
なお、肌サポートアプリ35aは、図19のSTEP106bにおいて、タッチパネル32で検知されたユーザの操作に応じて、表示器31に表示させる第2状態入力画面P2と第1状態入力画面P1とを切り替えるように構成されていてもよい。
また、肌サポートアプリ35aは、定期的に又は肌状態の各項目のスコアに応じて、定期的に、第2状態入力画面P2に加えてまたは代えて、第1状態入力画面P1を出力して第1状態の入力を求めてもよい。
図19のSTEP110において、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介して送信ボタンP17の押圧操作が検知されたか否かを判定する。
図19のSTEP110の判定結果が肯定的である場合(図19のSTEP110でYES)、肌サポートアプリ35aは、第1状態入力画面P1又は第2状態入力画面P2に入力された情報を肌サポートサーバ10に送信する。
[K.塗布支援処理]
次に、図22~図23を参照して、図19のSTEP200の塗布支援処理の詳細を説明する。
図22のSTEP300において、肌サポートアプリ35は、温度調節処理を実行する。温度調節支援処理の詳細については後述する。温度調節支援処理においては、塗布剤の塗布先であるユーザUaの顔及び塗布剤の塗布元であるユーザUa手の温度を適温に調節するための支援が行われる。
図22のSTEP202において、肌サポートアプリ35は、塗布剤容器48との通信を確立する。
図22のSTEP204において、肌サポートアプリ35は、塗布剤容器48に塗布量を指示する情報を送信する。塗布量は、あらかじめ定められた量であってもよいし、年齢、性別等のユーザUaの属性から求められた値であってもよいし、ユーザUaの顔写真から算出された量であってもよい。
図22のSTEP206において、肌サポートアプリ35は、フィードバック情報を受信したか否かを判定する。フィードバック情報は、前回の塗布剤の塗布時において、図22のSTEP222において送信された動画に対するフィードバック情報である。フィードバック情報は、動画を視聴したアドバイザーにより作成されてもよいし、例えば撮像された動画のユーザUaの動作の特徴部分とあらかじめ定められた標準動画の塗布者の動作の特徴部分とを人工知能により比較することにより作成されてもよい。動画のユーザUaの動作の特徴部分および標準動画の塗布者の動作の特徴部分は、例えば、強化学習により認識されてもよい。図22のSTEP222の処理の詳細については後述する。
当該判定結果が肯定的である場合(図22のSTEP206でYES)、図22のSTEP208において、肌サポートアプリ35aは、画面P3(フィードバック画面)を表示器31に出力する。
フィードバック画面には、図23に示されるように、フィードバック情報の表示P31が含まれている。
当該判定結果が否定的である場合(図22のSTEP206でNO)、または図22のSTEP208の処理の後、図22のSTEP210において、肌サポートアプリ35aは、力加減案内画面を表示器31に出力する。
図23では、力加減案内画面とフィードバック画面とを同一の画面P3で構成した場合の例を示しているが、これらを別個の画面で構成してもよい。また、図22のSTEP206の判定結果が否定的である場合(図22のSTEP206でNO)、フィードバック情報の表示P31は出力されなくてもよいし、前々回以前のフィードバック情報が表示されてもよい。
力加減案内画面には、図23に示されるように、ユーザUaに圧力センサへの加圧を促す情報の表示P32と、圧力センサ47で検知された圧力の大きさに応じた長さのバーP33と、バーP33の付近に配置され、圧力の強弱を示す圧力強弱表示P34a~P34cと、圧力に関するコメント表示P35と、塗布開始ボタンP36とが含まれている。なお、バーP33および圧力強弱表示P34a~P34が、本発明の「圧力の加減に関する助言を示す情報」の一例に相当する。また、圧力に関するコメント表示P35も、本発明の「圧力の加減に関する助言を示す情報」の一例に相当する。
図22のSTEP212において、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介して塗布開始ボタンP37のユーザUaによる押圧操作が検知された否かを判定する。肌サポートアプリ35aは、塗布開始ボタンP37のユーザUaによる押圧操作のように、ユーザUaの所定の操作の検知に応じて図22のSTEP214以降の処理を開始してもよいし、マイク34により収音されたユーザUaの音声またはカメラ33で撮像されたユーザUaのジェスチャに応じて図22のSTEP214以降の処理を開始してもよい。
図22のSTEP212の判定結果が否定的である場合(図22のSTEP212でNO)、肌サポートアプリ35aは、図22のSTEP212の処理を実行する。
図22のSTEP212の判定結果が肯定的である場合(図22のSTEP212でYES)、図22のSTEP214において、肌サポートアプリ35aは、カメラ33により撮像を開始する。肌サポートアプリ35aは、この前に、ユーザUaに対し、ユーザUaの塗布動作を撮像可能な位置にユーザ端末30を配置するように促すメッセージを表示器31等に出力してもよい。
図22のSTEP216において、肌サポートアプリ35aは、塗布方法に関する音声をスピーカー38に出力する。塗布方法に関する音声は、例えば、「洗顔を行ってください」「塗布容器を操作して塗布剤を手に塗ってください」「手で顔を下からもんでいってください」「これらを〇回繰り返してください」「以上で塗布は終了です」等の言語による案内を含んでいてもよい。これに加えてまたは代えて、塗布方法に関する音声は、標準的な塗布時間の間だけ継続する音楽であってもよい。
図22のSTEP218において、肌サポートアプリ35aは、塗布方法に関する音声の出力を停止する。肌サポートアプリ35aは、音声の再生が完了した際に塗布方法に関する音声の出力を停止してもよいし、音声の出力開始から所定の時間が経過したことを要件として塗布方法に関する音声の出力を停止してもよいし、タッチパネル32、マイク34またはカメラ33により検知されたユーザUaの操作、音声またはジェスチャに応じて塗布方法に関する音声の出力を停止してもよい。
図22のSTEP220において、肌サポートアプリ35aは、カメラ33による撮像を停止する。肌サポートアプリ35aは、音声の再生が完了した際にカメラ33による撮像を停止してもよいし、撮像開始から所定の時間が経過したことを要件として撮像を停止してもよいし、タッチパネル32、マイク34またはカメラ33により検知されたユーザUaの操作、音声またはジェスチャに応じて撮像を停止してもよい。
図22のSTEP222において、肌サポートアプリ35aは、図22のSTEP214~STEP220で撮像された画像を肌サポートサーバ10に送信する。
[L.温度調節支援処理]
次に、図24~図25を参照して、図22のSTEP300の温度調節支援処理の詳細について説明する。
図24のSTEP302において、肌サポートアプリ35aは、ユーザUaに対し、塗布剤の塗布元である手の温度を温度センサ46を用いて計測するように促す情報を表示器31またはスピーカー38に出力させる。
図24のSTEP304において、肌サポートアプリ35aは、温度センサ46において計測された温度のデータを手の温度のデータとして認識する。
図24のSTEP306において、肌サポートアプリ35aは、ユーザUaに対し、塗布剤の塗布先である顔の温度を温度センサ46を用いて計測するように促す情報を表示器31またはスピーカー38に出力させる。
図24のSTEP308において、肌サポートアプリ35aは、温度センサ46において計測された温度のデータを顔の温度のデータとして認識する。なお、肌サポートアプリ35aは、ユーザが体温計等を用いて測定した手の温度および顔の温度の一方又は両方をタッチパネル32、マイク34、カメラ33を介して認識してもよい。
図24のSTEP310において、肌サポートアプリ35aは、手の温度が第1温度以下かつ顔の温度が第2温度以下であるか否かを判定する。第1温度は、塗布に適した手の温度範囲の下限値である。第2温度は、塗布に適した顔の温度範囲の下限値である。これらに代えてまたは加えて、肌サポートアプリ35aは、手の温度が塗布に適した手の温度の上限値以上であるか、顔の温度が塗布に適した手の温度の上限値以上であるか、等を判定してもよい。肌サポートアプリ35aは、図24のSTEP310において、手の温度の条件と顔の温度の条件の両方に関して判定を行う。
当該判定結果が肯定的である場合(図24のSTEP310でYES)、図24のSTEP312において、肌サポートアプリ35aは、手の温度と顔の温度との調節を促す情報を表示器31またはスピーカー38に出力する。手の温度と顔の温度との調節を促す情報は、手の温度が塗布に適した手の温度範囲に含まれやすくなり、かつ、顔の温度が塗布に適した顔の温度範囲に含まれやすくなるような情報である。手の温度と顔の温度との調節を促す情報は、例えば、空調機の調節を促す情報であってもよいし、入浴を促すメッセージであってもよい。
例えば、肌サポートアプリ35aは、図25に示す温度調節支援画面P4を表示器31に出力する。温度調節支援画面P4は、手の温度を示す手温度表示P41と、顔の温度を示す顔温度表示P42と、手の温度と顔の温度との調節を促す情報の表示P43とを含む。
当該判定結果が否定的である場合(図24のSTEP310でNO)、図24のSTEP314において、肌サポートアプリ35aは、手の温度が第1温度以下か否かを判定する。
当該判定結果が肯定的である場合(図24のSTEP314でYES)、図24のSTEP316において、肌サポートアプリ35aは、手の温度調節を促す情報を表示器31またはスピーカー38に出力する。手の温度調節を促す情報は、例えば、こたつの中に10分程度手を入れてみましょうといったメッセージであってもよいし、お湯に5分程度手を入れてみましょうといったメッセージであってもよい。
当該判定結果が否定的である場合(図24のSTEP314でNO)、図24のSTEP318において、肌サポートアプリ35aは、顔の温度が第2温度以下か否かを判定する。
当該判定結果が肯定的である場合(図24のSTEP318でYES)、図24のSTEP320において、肌サポートアプリ35aは、顔の温度調節を促す情報を表示器31またはスピーカー38に出力する。顔の温度調節を促す情報は、例えば、こたつの中に10分程度顔を入れてみましょうといったメッセージであってもよいし、お湯で顔を洗ってみましょうといったメッセージであってもよい。
当該判定結果が否定的である場合(図24のSTEP318でNO)、図24のSTEP322
において、肌サポートアプリ35aは、温度調節は必要ない旨の情報を表示器31またはスピーカー38に出力する。
[M.肌状態評価処理]
次に、図26~図27Bを参照して、図5のSTEP400の肌状態評価処理を説明する。
図26のSTEP402において、サーバ状態認識部21は、ユーザ端末30が図19のSTEP112で送信したユーザの状態(第1状態または第2状態)を示す情報を認識する。
図26のSTEP404において、評価実行部22は、当該情報に示されるユーザの状態が第1状態を示す情報か否かを判定する。例えば、評価実行部22は、受信した情報のヘッダ情報などを参照することにより、第1状態を示す情報かどうかを判定してもよい。評価実行部22は、受信した情報のフォーマットに基づいて、第1状態を示す情報かどうかを判定してもよい。
当該判定結果が肯定的である場合(図26のSTEP404でYES)、図26のSTEP406において、評価実行部22は、第1状態に基づいて基準記憶部23に記憶された第1テーブルを参照してユーザUaの肌状態の評価を実行する。
第1テーブルは、図27Aに示されるように、質問項目と、回答(第1状態)とユーザUaの肌状態(角層水分量、皮脂量、乾燥状態、脂っぽさ等)のスコアとを関連付けたテーブルである。これに加えてまたは代えて、評価実行部22は、所定の関数、計算式、マップ等を用いて第1状態に対応するユーザUaの肌状態のスコアを認識してもよい。
当該判定結果が否定的である場合(図26のSTEP404でNO)、図26のSTEP408において、評価実行部22は、評価記憶部24を参照することにより、前回の本処理実行時に評価されたユーザの肌状態のスコアを認識する。
図26のSTEP410において、評価実行部22は、前回の本処理実行時に評価されたユーザの肌状態のスコアと第2状態とに基づいて、基準記憶部22に記憶された第2テーブルを参照して、今回のユーザの肌状態のスコアを認識する。第2テーブルは、図27Bに示されるように、質問項目と、回答(第1状態)とユーザUaの肌状態(角層水分量、皮脂量、乾燥状態、脂っぽさ等)のスコアの前回からの変化量とを関連付けたテーブルである。例えば、前回の角層水分量が3で、顔へ残った化粧品の今回の回答が「前回よりも残る」であった場合、評価実行部22は、顔へ残った化粧品の回答により推定されるユーザUaの角層水分量を3-1=2として認識する。
これに加えてまたは代えて、評価実行部22は、所定の関数、計算式、マップ等を用いて前回の本処理実行時に評価されたユーザの肌状態のスコアと第2状態に対応する今回のユーザUaの肌状態のスコアを認識してもよい。
図26のSTEP406および図26のSTEP410において、評価実行部22は、各肌状態の項目ごとに、ユーザの各回答に基づいて推定されたスコアの平均値、最頻値、中央値等を当該項目のスコアとして認識してもよい。また、評価実行部22は、各肌状態の項目ごとに設定された重み係数を用いて当該項目のスコアを認識してもよい。
例えば、図26のSTEP410において、前回の角層水分量が3で、顔へ残った化粧品の今回の回答が「前回よりも残る」であり、手へ残った化粧品の今回の回答が「前回と同じ」であった場合を考える。この場合、図27Bには、顔へ残った化粧品の今回の回答が「前回よりも残る」の角層水分量の変化量は-1であることが示されているから、顔へ残った化粧品の今回の回答「前回よりも残る」に基づいて推定される今回の角層水分量のスコアは3-1=2である。また、図27Bには、手へ残った化粧品の今回の回答が「前回と同じ」の角層水分量の変化量は0であることが示されているから、手へ残った化粧品の今回の回答「前回と同じ」に基づいて推定される今回の角層水分量のスコアは3+0=3である。
この場合、評価実行部22は、角層水分量について、ユーザの各回答に基づいて推定されたスコアの平均値「2.5」等を当該項目のスコアとして認識してもよい。また、評価実行部22は、あらかじめ定められた顔へ残った化粧品の重み係数0.8と、手へ残った化粧品の重み係数0.2を用いて算出された0.8*2+0.2*3=2.2を角層水分量のスコアとして認識してもよい。
なお、評価実行部22は、各項目のとりうる範囲を規定しておき、その範囲を逸脱するような回答があった場合には、その逸脱分を無視するように構成されていてもよい。例えば、評価実行部22は、角層水分量のスコアの範囲を0~5とした場合において、前回の角層水分量のスコアが4.5であり、今回の角層水分量の変化量が+1である場合、範囲から逸脱する0.5分を無視し、今回の角層水分量のスコアを5としてもよい。
図26のSTEP412において、評価実行部22は、第1状態または第2状態と今回の肌状態のスコアを評価記憶部24に記憶する。評価実行部22は、認識された今回の肌状態のスコアをサポートDB20に記憶させてもよい。この肌状態のスコアは、スケジュールの変更処理、各施策の決定処理及び肌状態のグラフの表示処理等に用いられてもよい。また、図26のSTEP412で認識されたスコアが、指定の基準に従って、保水能力等のスコアに変換されたうえで各処理に用いられてもよい。
[N.作用効果]
本発明者らの検討により、ユーザUaの肌に塗布剤を手で塗布したときの塗布先の肌の状態及び塗布元の手の状態に関するユーザUaの主観は、ユーザUaの肌に塗布剤を塗布しない場合よりも、ユーザUaの塗布先の肌の状態との相関性が高いことが判明した。
この点に鑑みて構成された上記肌状態評価システムによれば、肌サポートアプリ35aおよびサーバ状態認識部21により、タッチパネル32等を介して入力されたユーザUaの肌へ塗布剤を手で塗布したときの塗布後のユーザUaの顔の肌の状態及び手の状態の一方または両方に対するユーザUaの主観を示す情報が認識される(図19のSTEP108a~STEP112および図26のSTEP402)。
そして、評価実行部22により、当該情報に基づいて、所定の基準に従って、前記ユーザUaの顔の肌に関する評価が実行される(図26のSTEP406または図26のSTEP410)。ここで、当該情報、すなわち、タッチパネル32等を介して入力されたユーザUaの顔の肌へ塗布剤を手で塗布したときの塗布後のユーザUaの塗布先の肌の状態及び塗布元の手の状態の一方または両方の情報に示されるユーザUaの主観は、前述したように、ユーザUaの塗布先の肌の状態との相関性が比較的高い。
よって、このようなユーザUaの肌状態との相関性が比較的高い情報に基づいて、評価実行部22によって塗布先の肌に関する評価が実行されることにより、当該評価の精度を向上させることができる。
当該構成の肌状態評価システムによれば、前記ユーザUaの顔の肌の状態の情報として、顔における前記塗布剤の過不足に関するユーザUaの主観を示す情報が勘案される(例えば、図20および図21参照)。
顔における前記塗布剤の過不足は、量的に比較的把握しやすいため、肌の状態そのものに関する主観よりもばらつきが生じにくい。このような量的に把握しやすい事柄に関するユーザUaの主観についての情報を勘案して塗布先の肌に関する評価を実行することにより、当該評価の精度を向上させることができる。
手における前記塗布剤の過不足は、量的に比較的把握しやすいため、肌の状態そのものに関する主観よりもばらつきが生じにくい。特に、塗布元(手)の塗布剤の過不足は、鏡などを使わなくとも視覚を通じて確認できるため、主観であったとしても、比較的正確な情報となりやすい。このような量的に正確に把握しやすい事柄に関するユーザUaの主観についての情報を勘案して塗布先の肌に関する評価を実行することにより、当該評価の精度を向上させることができる。
当該構成の肌状態評価システムによれば、タッチパネル32等を介して入力されたユーザUaの肌へ塗布剤を手で塗布したときの塗布後の前記ユーザUaの顔の肌の状態及び前記塗布元の手の状態の一方または両方の情報として、前回の状態と今回の状態とを比較する情報が認識される(図19のSTEP108b)。
ここで、前回の状態と今回の状態とを比較する情報は、比較的正確な情報となりやすい。
評価実行部22によりこのように比較的正確になりやすい情報が勘案されて前記ユーザの前記塗布先の肌に関する評価が実行されることにより(図26のSTEP410)、肌に関する評価の精度を向上させることができる。
当該構成の肌状態評価システムによれば、温度センサ46により、ユーザUaの手および顔の温度の一方又は両方が認識される(図24のSTEP302および図24のSTEP306)。
そして、肌サポートアプリ35aにより、塗布剤の塗布前の温度センサ46に示される顔及び手の温度の一方又は両方が所定の温度の範囲外である場合(図24のSTEP310でNO、図24のSTEP314でNO、または図24のSTEP318でNO)、手及び顔の温度の一方又は両方が所定の温度の範囲内となるように温度を調整するよう促す情報が表示器31等に出力される(図24のSTEP312、図24のSTEP316または図24のSTEP320)。
ユーザUaが出力された情報に従って温度を調節すれば、手及び顔の温度の一方又は両方が所定の範囲内となる。これにより、塗布剤の塗布態様を安定化させることができるので、塗布後の手または顔に関するユーザUaの主観も安定させることができる。
当該構成の肌状態評価システムによれば、肌サポートアプリ35aにより塗布剤の供給量を指定する情報が塗布剤容器48に送信される(図22のSTEP204)。塗布剤容器48の制御部48cにより、受信した情報に示される供給量となるように供給部48bによる塗布剤の供給量が制御される。
これにより、塗布剤の供給量がシステムにより指定された量となるので、塗布剤の供給過剰または塗布剤の供給量不足による塗布剤の塗布後のユーザUaの主観のばらつきの発生を抑制できる。
当該構成の肌状態評価システムによれば、肌サポートアプリ35aにより、ユーザUaに圧力センサ47への加圧を促す情報の表示P31が表示器31に出力される(図22のSTEP210)。これにより、ユーザUaに対し、圧力センサ47に加圧を促すことができる。
また、肌サポートアプリ35aにより、圧力センサ47により認識された圧力に応じて、塗布剤の塗布の際の手から顔にかかる圧力の加減に関する助言を示す情報の表示P33~P35が表示器31に出力される(図22のSTEP210)。
これにより、ユーザUaに対し、塗布剤の塗布の際の手から顔にかかるよい力加減を教示することができる。これにより、塗布剤の塗布方法のばらつきの発生を抑制することができ、ひいては、塗布剤の塗布方法のばらつきに起因する塗布後の手または顔に関するユーザUaの主観のばらつきの発生を抑制することができる。
当該構成の肌状態評価システムによれば、肌サポートアプリ35aにより、撮像されたユーザによる塗布剤の塗布の動作に対するフィードバック情報の表示P31が次回以降の前記塗布剤の塗布の前に表示器31に出力される(図22のSTEP208)。
これにより、塗布の動作に対するフィードバック情報を、塗布を行う前にユーザUaに知らせることができる。これにより、ユーザUaによる塗布方法を所定の塗布方法に誘導することができ、ひいては、塗布剤の塗布方法のばらつきに起因する塗布後の手または顔に関するユーザUaの主観のばらつきの発生を抑制することができる。
当該構成の肌状態評価システムによれば、スピーカー38により、塗布剤の塗布に際して、塗布剤の塗布方法を指示する音声が一定時間だけ出力される(図22のSTEP216~図22のSTEP218)。
これにより、一定の塗布方法にユーザUaを誘導することができ、ひいては、塗布剤の塗布方法のばらつきに起因する塗布後の手または顔に関するユーザUaの主観のばらつきの発生を抑制することができる。
[O.変形態様]
また、上記実施形態において、肌サポートアプリ35aが、サーバ状態認識部21及び評価実行部22の一部または全部として機能してもよい。この場合、肌サポートアプリ35aは、予めまたは処理の実行時に肌サポートサーバ10と通信して処理に必要なデータをダウンロードしてもよいし、検索等の適当な機能を肌サポートサーバ10に実行させ、その結果を受信してもよい。
温度センサ46及び圧力センサ47の一方または両方は、ユーザ端末30と一体に構成されていてもよい。
本実施形態の各処理は本発明の一例であり、上記実施形態について、各処理の省略、変更、追加、処理順の変更、表示の変更、処理タイミングの変更等の種々の修正を加えてもよい。
[P.肌状態評価用組成物]
また、本発明の一の態様において使用される塗布剤に用いられる肌状態評価用組成物について説明する。本肌状態評価用の組成物は、上述した肌状態評価システムの塗布剤として用いられうる。
この肌状態評価用組成物は、使用者が肌に塗布し、その使用感共々自身の肌の状態を評価するのに用いられるものである。その形態は、肌に塗布することができればよく、特に制限はないが、肌に塗布したときに形成した塗布膜が一定時間ダレずに肌にとどまるような性状のものであることがより好ましい。具体的には、化粧料の一般的な形態である乳液、クリーム等に準じた形態であってよく、したがって、特別な言及のない範囲において、本発明に用いられる塗布剤である肌状態評価用組成物には、そのような一般の化粧料に用いる材料を適宜選択して、その所定量を配合してよい。
本発明に用いる塗布剤として好適な肌状態評価用組成物は、ただし、硬化菜種油及びメドウフォーム油からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。これを含まない場合には、客観的評価との相関が悪くなることがある。すなわち、この組成物を使用した者による自身の肌の状態の評価と、専門評価者による肌の質感評価や肌測定器による測定値等の客観的評価との乖離が大きくなり、その客観性を十分に担保できなくなることがある。
硬化菜種油は、ナノハナ科ナノハナの種子から抽出あるいは圧搾することなどにより得られる菜種油に、触媒の存在下水素添加の処理を施して、硬化させて得られたものである。本発明においては、硬化菜種油の沃素価は15~45であることが好ましく、20~40であることがより好ましい。これは、沃素価が上記範囲の下限値を下回ったり、上記範囲の上限値を上回ったりすると、使用者自身による肌の状態の評価をなし易くするという観点から、効果が充分でない場合があるためである。硬化菜種油としては、既に市販されているものが存し、本発明においても、そのような市販品を入手し、利用することができる。好ましい市販品としては、例えば、「菜種硬化油HR-35」(横関油脂工業株式会社製)等が例示される。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、硬化菜種油は、組成物全量に対して、1~10質量%含有させることが好ましく、2~7質量%含有させることがより好ましい。これは、硬化菜種油の含有量が少なすぎると、専門評価者や肌測定器等による客観的評価との相関よく、使用者自身による肌の状態の評価を行うことができる、という上記効果を奏さない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになる場合があるあるためである。また、かかる硬化菜種油を後述のメドウフォーム油とともに用いることがより好ましい。これにより、使用者が自身の肌の状態の評価をより適切になし得る。
メドウフォーム油は、メドウフオーム(Meadowfoam)の種子を採取して絞った油である。本発明においては、メドウフォーム油の沃素価は70~110であることが好ましく、80~100であることがより好ましい。これは、沃素価が上記範囲の下限値を下回ったり、上記範囲の上限値を上回ったりすると、使用者自身による肌の状態の評価をなし易くするという観点から、効果が充分でない場合があるためである。メドウフォーム油としては、既に市販されているものが存し、本発明においても、そのような市販品を入手し、利用することができる。好ましい市販品としては、例えば、「クロピュア メドフォーム」(クローダジャパン株式会社製)等が例示される。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、メドウフォーム油は、組成物全量に対して、1~10質量%含有させることが好ましく、2~7質量%含有させることがより好ましい。これは、メドウフォーム油の含有量が少なすぎると、専門評価者や肌測定器等による客観的評価との相関よく、使用者自身による肌の状態の評価を行うことができる、という上記効果を奏さない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになる場合があるためである。また、かかるメドウフォーム油を前述の硬化菜種油とともに用いることがより好ましい。これにより、使用者が自身の肌の状態の評価をより適切になし得る。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物において、硬化菜種油とメドウフォーム油とを用いる場合、それらの組成物中における質量の比は、使用者が自身の肌の状態の評価をより客観性をもってなし得るという観点から、2:8~6:4が好ましく、3:7~5:5がより好ましい。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、更に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。これにより、硬化菜種油及び/又はメドウフォーム油に加えて、更に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことにより、使用者が自身の肌の状態の評価をより客観性をもってなし得る。この場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、その脂肪酸残基が炭素数10~20の不飽和若しくは分岐状の脂肪酸残基であることが好ましく、炭素数12~18の不飽和若しくは分岐状の脂肪酸であることがより好ましい。なかでも、オレイン酸及びイソステアリン酸が特に好ましい。また、エステル化度としてポリグリセリンの脂肪酸モノエステル又はポリグリセリンの脂肪酸ジエステルであることが好ましく、ポリグリセリンの脂肪酸モノエステルであることがより好ましい。更には、また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの重合度としては、2~10が好ましく、2~4がより好ましく、2が更に好ましい。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは市販品が多く存在するので、それらを入手して使用することが可能である。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、2種以上のものを併用してもよい。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、ポリグリセリン脂肪酸エステルは(2種類以上のものを併用する場合にはその合計量換算で)、組成物全量に対して0.01~5質量%含有させることが好ましく、0.1~2質量%含有させることがより好ましい。これは、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が少なすぎると、硬化菜種油及び/又はメドウフォーム油とあいまって、専門評価者や肌測定器等による客観的評価との相関よく、使用者自身による肌の状態の評価を行うことができる、という上記効果を奏さない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになる場合があるためである。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、更に、レシチンを含むことが好ましい。これにより、硬化菜種油及び/又はメドウフォーム油に加えて、更に、レシチンを含むことにより、使用者が自身の肌の状態の評価をより適切になし得る。この場合、レシチンは、植物、動物及び微生物の生体から抽出され、所望により精製したものを用いてもよいし、合成したものを用いてもよい。好ましくは、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来レシチンを用いることができる。また、レシチンは、水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、リゾレシチン等であってよい。なかでも水素添加レシチンが好ましい。
レシチンとしては、既に市販されているものが存し、本発明においても、そのような市販品を入手し、利用することができる。好ましい市販品としては、例えば、「レシノールS-10」(日光ケミカルズ社)(水添:有り、PC(ホスファチジルコリン)含有量:25~30%)、「レシノールS-10E」(日光ケミカルズ社)(水添:有り、PC含有量:75~85%)、「レシノールS-10EX」(日光ケミカルズ社)(水添:有り、PC含有量:>95%)、「ベイシスLP-20」(日清オイリオ社)(水添:なし、PC含有量:20~30%)、「ベイシスLP-20H」(日清オイリオ社)(水添:有り、PC含有量:未確認)、「ベイシスLS-60HR」(日清オイリオ社)(水添:有り、PC含有量:60~75%)、「ベイシスLS-60」(日清オイリオ社)(水添:なし、PC含有量:未確認)等が例示される。
一般に、レシチンには、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ビスホスアチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等が含まれる。本発明に用いられるレシチンについても同様であり、レシチンの疎水基部分を構成する脂肪酸の炭素数は特に制限されず、例えば炭素数8~20、好ましくは16~18のものを主に用いることができる。また、脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、脂肪酸は直鎖であっても分岐であってもよい。また、レシチンは、これらリン脂質の単独種の形態で用いることもできるし、複数種のリン脂質の混合物の形態で用いることもできる。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、レシチンの組成としては、ホスファチジルコリンを主体としたものが好ましく、例えば20質量%以上、好ましくは50質量%以上がホスファチジルコリンであることが好ましい。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、レシチンは(2種類以上のものを併用する場合にはその合計量換算で)、組成物全量に対して、0.001~0.1質量%含有させることが好ましく、0.001~0.01質量%含有させることがより好ましい。これは、レシチンの含有量が少なすぎると、硬化菜種油及び/又はメドウフォーム油とあいまって、専門評価者や肌測定器等による客観的評価との相関よく、使用者自身による肌の状態の評価を行うことができる、という上記効果を奏さない場合が存し、多すぎても効果が頭打ちになる場合があるためである。また、かかるレシチンを後述のフィトステロールとともに用いることがより好ましい。これにより、使用者が自身の肌の状態の評価をより適切になし得る。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、更に、フィトステロールを含むことが好ましい。これにより、硬化菜種油及び/又はメドウフォーム油に加えて、更に、フィトステロールを含むことにより、使用者が自身の肌の状態の評価をより適切になし得る。この場合、フィトステロールは、一般的にフィトステロール(植物性ステロール)に分類されるものであれば、使用でき、構成成分として、カンペステロール、シトステロール、スティグマスタノール等を含有するものが好ましく例示できる。かかる成分は、穀物の胚芽などを有機溶剤で抽出し、水溶性部分を除去することにより得ることができる。また、フィトステロールは、既に市販されているものが存し、本発明においても、そのような市販品を入手し、利用することができる。好ましい市販品としては、例えば、「フィトステロールS」(生化学工業株式会社製)等が例示される。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物においては、フィトステロールは(2種類以上の化合物からなる場合にはその合計量換算で)、組成物全量に対して、0.001~0.1質量%含有させることが好ましく、0.001~0.01質量%含有させることがより好ましい。これは、フィトステロールの含有量が少なすぎると、硬化菜種油及び/又はメドウフォーム油とあいまって、専門評価者や肌測定器等による客観的評価との相関よく、使用者自身による肌の状態の評価を行うことができる、という上記効果を奏さない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになる場合があるためである。また、かかるフィトステロールを前述のレシチンとともに用いることがより好ましい。これにより、使用者が自身の肌の状態の評価をより適切になし得る。
本発明に用いられる塗布剤の肌状態評価用組成物において、レシチンとフィトステロールとを用いる場合、それらの組成物中における質量の比は、使用者が自身の肌の状態の評価をより客観性をもってなし得るという観点から、3:7~7:3が好ましく、4:6~6:4がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、何ら本発明の技術的範囲に制限を与えるものではない。
(調製例1~5)
表1に従い、各調製例につき(ア)および(イ)に示す配合原料を80℃にて加熱混合したのち、30℃まで冷却して、乳液状の肌状態評価用組成物を得た。
<試験例1>
一般男性100人を対象にして、洗顔後20±2℃の部屋で15分順化後、専門評価者による肌の質感評価と、肌測定器による肌状態の測定とを実施した。また、上記に調製した調製例1の肌状態評価用組成物を使用してもらい、被験者自身の主観評価を実施した。そして、肌測定値及び質感評価と、主観評価との関係性を解析した。なお、別日には肌状態評価用組成物の使用なしでの評価を実施した。
・専門評価による質感評価:5人のパネラーが乾燥状態、脂っぽさ、肌荒れ状態、キメ、ハリを5段階で評価。平均値を算出した。
・肌状態の測定法:角層水分量はCorneometer CM825(Courage+Khazaka)、皮脂量はSebumeter SM815(Courage+Khazaka)、水分蒸散量はTewameter TM300(Courage+Khazaka)、粘弾性はCorneometer CM825(Courage+Khazaka)、キメ測定はVisioScan(登録商標)VC98 USB(Courage+Khazaka)を使用、3回測定し平均を算出した。
・主観評価:肌状態評価用組成物のおよそ0.5mLを肌(顔面)に塗布し、表2に記載の項目1~10の質問により、被験者の主観評価の情報を取得した。なお、別日に行った評価の場合には、肌状態評価用組成物を塗布しない状態の被験者の主観評価の情報を取得した。
・解析方法:統計解析ソフトJMP(SAS)(登録商標)を用いて回帰分析を実施し、p<0.05を有意な関係ありと判定した。
結果を表2に示す。
表2の結果に示されるように、調製例1の肌状態評価用組成物を使用して被験者自身の主観評価を取得すると、いずれの質問項目についても、肌測定値及び質感評価とその主観評価と間に有意な関係性が見出されたのに対して、そのような塗布剤を使用しない場合では、いずれも相関は見出せなかった。
以上の結果から、所定の塗布剤を使用することにより、そのような塗布剤を使用しない場合に比べて、被験者自身の主観評価に、より客観性を与えることが可能であることが明らかとなった。
<試験例2>
調製例1~5の肌状態評価用組成物について、試験例1と同様の試験を行った。具体的には、以下のとおり試験を行った。
一般男性100人を対象にして、洗顔後20±2℃の部屋で15分順化後、専門評価者による肌の質感評価と、肌測定器による肌状態の測定とを実施した。また、上記に調製した調製例1~5のいずれかの肌状態評価用組成物を使用してもらい、被験者自身の主観評価を実施した。そして、質感評価及び肌測定値と、主観評価との関係性を解析した。
・専門評価による質感評価:5人のパネラーが乾燥状態、脂っぽさ、肌荒れ状態、キメ、ハリを5段階で評価。平均値を算出した。
・肌状態の測定法:角層水分量はCorneometer CM825(Courage+Khazaka)、皮脂量はSebumeter SM815(Courage+Khazaka)、水分蒸散量はTewameter TM300(Courage+Khazaka)、粘弾性はCorneometer CM825(Courage+Khazaka)、キメ測定はVisioScan(登録商標)VC98 USB(Courage+Khazaka)を使用、3回測定し平均を算出した。
・主観評価:肌状態評価用組成物のおよそ0.5mLを肌(顔面)に塗布し、上記表2に示した項目3、4、6、7、9、10の質問により、被験者の主観評価の情報を取得した。
・解析方法:統計解析ソフトJMP(SAS)(登録商標)を用いて回帰分析を実施し、p<0.05を有意な関係ありと判定した。またその際の相関の強さをあらわす相関係数も算出し、下記の基準で表3に記載した。
(相関係数値と表中記号との関係)
×:0.1<相関係数≦0.15
▲:0.15<相関係数≦0.2
△:0.2<相関係数≦0.4
○:0.4<相関係数≦0.5
◎:0.5<相関係数
肌状態評価用組成物の有用性は×<▲<△<○<◎と判定される
結果を表3に示す。
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)調製例1の肌状態評価用組成物では、専門評価者による肌の質感(乾燥、脂っぽさ、肌荒れ状態、キメ、及びハリ)に関する各評価結果と、それぞれの質感に対応する質問項目についての主観評価の結果には、高い相関性があった。また、同様に、肌測定器による肌状態の各測定値(角層水分量、皮脂量、水分蒸散量、キメ測定値、及び粘弾性数値)と、それぞれの測定に対応する質問項目についての主観評価の結果には、高い相関性があった。
(2)硬化菜種油を配合しない以外は調製例1と同様に調製した調製例2の肌状態評価用組成物では、特に、専門評価者による油っぽさ(質問項目No7の場合)や肌荒れ状態、並びに肌測定器による水分蒸散量について、主観評価の結果との高い相関性が認められた。ただし、全体としては、調製例1の場合に比べて相関性が若干低下した。
(3)メドウフォーム油を配合しない以外は調製例1と同様に調製した調製例3の肌状態評価用組成物では、特に、専門評価者による肌荒れ状態や皮脂量(質問項目No7の場合)、並びに肌測定器による水分蒸散量について、主観評価の結果との高い相関性が認められた。ただし、全体としては、調製例1の場合に比べて相関性が若干低下した。
(4)モノオレイン酸ジグリセリルを配合しない以外は調製例1と同様に調製した調製例4の肌状態評価用組成物では、専門評価者による肌の質感(乾燥、脂っぽさ、キメ、及びハリ)に関する各評価結果と、それぞれの質感に対応する質問項目についての主観評価の結果との相関性は、おおむね良好であった。また、同様に、肌測定器による肌状態の各測定値(角層水分量、皮脂量、キメ測定値、及び粘弾性数値)と、それぞれの測定に対応する質問項目についての主観評価の結果との相関性は、おおむね良好であった。ただし、全体としては、調製例1の場合に比べて相関性が若干低下した。
(5)硬化菜種油及びメドウフォーム油を配合しない以外は調製例1と同様に調製した調製例5の肌状態評価用組成物では、専門評価者による肌の質感評価と肌測定器による肌状態の測定にかかるいずれの評価項目においても、主観評価の結果との間の相関性が乏しかった。
なお、試験例1で示された調製例1同様、調製例2~5についても回帰分析によるp値はp<0.05を満たし、調製例2~5の肌状態評価用組成物であっても、使用しない場合に比べて、被験者自身の主観評価に、より客観性を与えることが可能であった。
以上の結果から、所定の塗布剤を使用者が肌に塗布し、その使用感共々自身の肌の状態を主観的に評価するのに用いる該塗布剤には、硬化菜種油及びメドウフォーム油から選ばれた少なくとも1種が含まれることが好ましいことが明らかとなった。また、モノオレイン酸ジグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに含まれることが好ましいことが明らかとなった。