JP7083307B2 - コンバイン - Google Patents

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Description

本発明は、自脱型や汎用型のコンバインに係り、詳しくは、機体フレームの左右方向に併設するエンジンとラジエータの上方にエアクリーナを設け、これらエンジン等を覆うエンジンカバーの前方に運転席を備える操縦部を設けるコンバインに関する。
農業用の作業車輌であるコンバインは、クローラ式の走行装置を下部に備える機体フレームの右側に水冷式のディーゼルエンジンを、そのクランクシャフトが左右方向を向くように搭載し、機体フレームの前方や左側に設ける刈取部や脱穀部等の機体各部を駆動する。また、このエンジンは、クーリングファンの前方にエンジンの冷却水を冷却するラジエータを併設し、さらに、エンジンとラジエータの上方にエンジンに清浄な空気を供給するエアクリーナを設ける。
また、このようにエンジンとラジエータとエアクリーナ等から構成する原動部を機体フレームの右側に設けるコンバインは、その原動部をエンジンカバーによって覆い、このエンジンカバーの前方に運転席を備える操縦部を設け、また、エンジンカバーの後方に刈取部によって刈り取って脱穀部によって脱穀した穀粒を貯留するグレンタンクを設ける。
そして、この場合、エンジンはそのクーリングファンによって機体右側から吸引した冷却風をラジエータに作用させてエンジンの冷却水を冷却すると共に、冷却水を冷却した後の排風をエンジンの周囲を通過させてエンジン自体を更に冷却しながら、エンジンカバーを設けないエンジンの左側方或いはエンジンの下方から機外に抜けるように構成する。
そのため、機外に排出する排風は外気より相当高温となっており、この排風が機体の中央寄りに設ける走行装置等の伝動装置や左側に設ける脱穀部に当たって吹き返り、その吹き返った排風がエアクリーナに取り込まれると、エンジンは高温のエアを吸引することになって、エンジン性能に影響を及ぼし、場合によってはエンジンのコンバインへの搭載条件を満たさなくなる虞がある。
また、稲や大豆等を刈り取って収穫するコンバインは、その刈取走行作業に伴って発生する藁屑等を含む塵埃の発生が多い環境で使用する。そのため、この塵埃をそのままエアクリーナが吸い込むとエアフィルタの目詰まりが進み、これによって吸気圧が低下してエンジン性能に悪影響を及ぼすから、エアフィルタの掃除やエアフィルタの交換を頻繁に行う必要が生ずる。
そこで、これを解消すべくエアクリーナの上流側にプレクリーナ等を設け、このプレクリーナを例えば、原動部から相当離した高所に設け、エンジンを冷却した後の排風を含まず、また、塵埃の少ない外気を取り込めるように設けることが行われている(特許文献1参照)。しかし、このように構成するとプレクリーナやエアクリーナにエアを導く吸気パイプが必要となり、しかも、プレクリーナを高所に取り付けるための部材費が嵩み、吸気量の多い大型のコンバインにおいてのみ採用される。
そのため、エンジンの吸気量のあまり多くないコンバインでは、エンジンやラジエータの上方にこれらエンジン等とは隔絶した状態で吸気室を設け、この吸気室にエアクリーナを収容して、吸気室の機体右外方側に設ける防塵体を備える取入口から取り込んだ外気を、エアクリーナの吸気管の先端の吸気口から取り入れる構造を採用し、これによってエンジンの排風を含まず、また、塵埃の比較的少ない外気をエアクリーナに取り込めるようにしている。
なお、エアクリーナの吸気作用に伴って発生する騒音の減少を目的として、内部にエンジンとラジエータとを収納するエンジンルームの上側に、後側を防塵網とし外側に開閉板を有し、その他の部分を側板で囲んで構成する吸気室を設ける。
また、この吸気室にエアクリーナを内装して、エアパイプはその一端部をエアクリーナに連通させ他端部を下方のエンジンルームに内装したエンジンに連通させ、エンジンにエアを吸引させる構成とする。また、吸気管は、基部をエアクリーナに連通させ、先端を開口して後方の防塵網の内側に接近させて設けるか、或いは防塵網の外側に位置させて設けることが知られている(特許文献2参照)。
特開2017-216945号公報 特開平5-316854号公報
前述のようにコンバインでは、機体フレームの右側に操縦部と原動部、また、原動部の後方にグレンタンクを設け、その内、原動部を構成するエンジンとラジエータ及びエアクリーナは、その周囲をエンジンカバーで覆い、また、エアクリーナはエンジンやラジエータの上方にこれ等とは隔絶した吸気室に収容して設ける。さらに、吸気室に設けるエアクリーナは、その吸気口を吸気室内において開放して吸気室内に取り込まれる外気を直接取り込んだり、高所に設けるプレクリーナに接続してプレクリーナに取り込まれる外気を取り込む。
そして、エアクリーナを収容する吸気室は、下方に設けるエンジンやラジエータ、また、エンジンを冷却した排風からの熱的影響を遮り、また、高温となった冷却排風をエアクリーナが直接吸い込まないように、或いは高温となった冷却排風が吸気室の外気の取入口やエアクリーナの点検口から逆に吹き出さないように密閉した空間に構成する必要がある。
従って、エンジンカバーで周囲を覆ったエンジンルーム内に更にエアクリーナを収容する密閉した吸気室を形成するためには、エンジンやラジエータとエアクリーナとの間に少なくとも3面以上を備えた仕切板を設けて両者を隔絶しなければならず、エンジンカバーを取り付ける骨格となるエンジンフレームにも仕切板を取り付ける梁等が当然に必要になって、それらの加工費が増えたり部材費が増え、また、全体の重量もそれに伴って増大することになる。
一方、コンバインに搭載するディーゼルエンジンは、近年のエンジンの排気ガス規制の強化に伴って、完全燃焼で発生する窒素酸化物や不完全燃焼で発生する煤などの粒子状物質の発生を低減するコモンレール式燃料噴射システム、過給機、及び排出ガス再循環システム(EGR)を採用し、また、エンジン本体で浄化し切れなかった窒素酸化物や粒子状物質を、ディーゼル酸化触媒(DOC)とディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)等の排気ガス浄化装置を用いて除去する。
そのため、エンジンは高度化した各装置の点検・交換修理のためのメンテナンス頻度が増加する傾向にあり、例えば、エンジンの上面側に設ける排出ガス再循環システムの配管及びEGRクーラーホース、インテークマニホールド、イグゾーストマニホールド、或いはエアクリーナの吐出管に設ける吸入空気量を測定するエアフローセンサ等の定期的な点検や交換を必要とする。そして、これ等の点検・交換修理を行うためには、エンジンカバーを取り外してエンジンを露出させたり、エアクリーナを取り外す必要がある。
しかし、エンジンとラジエータの上方にエアクリーナを収容する吸気室を設けると、特にエンジンの上方が吸気室の底板やカバーフレームの梁等によって蓋されて、エンジンカバーの一部を取り外してもエンジンの上方を直ちに開放することができないと共に、エアクリーナにしても吸気室から簡単に取り外すことができず、これ等のメンテナンス性に問題があった。
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、エンジンとラジエータの上方にエアクリーナを設けてこれ等をエンジンカバーによって覆う場合に、藁屑等の塵埃や高温となるエンジンの冷却排風を極力含まない外気をエアクリーナに供給すると共に、エアクリーナのエンジンカバー内への収容方法を見直し、これらのカバーやフレームを簡素化してコスト低減を図り、更にはエンジン等のメンテナンス性を向上させることができるコンバインを提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため第1に、機体フレームの左右方向に併設するエンジンとラジエータの上方にエアクリーナを設け、これらエンジンとラジエータとエアクリーナを覆うエンジンカバーの前方に運転席を備える操縦部を設けるコンバインにおいて、前記エアクリーナの後方にその後方から外気を取り込む吸気室を設け、この吸気室の吹出口にエアクリーナの吸気口を結合して、吸気室の後方から取り込んだ外気をエアクリーナによって清浄化してエンジンに供給するように構成し、前記エンジンとラジエータとエアクリーナの機体後方側を覆う後部カバーの上部寄りに、後部カバーの後方の外気を取り込む取入口を備えるエアダクトを取り付けて吸気室を構成し、前記エンジンをクーリングファンで取り込んだ外気で冷却し、エンジンを冷却した後の排風を、エンジンとエンジンカバーによって形成される排風通路を通って、エンジンカバーによって覆われていない機体の中央側となる左側から排出するように構成すると共に、前記後部カバーとその後方に設けるグレンタンクの前面との間で、且つ前記エアダクトの取入口に対して左側に遮蔽体を設け、この遮蔽体によって、エンジンの冷却後の排風のエアダクト内への回り込みを少なくすることを特徴とする。
本発明は第2に、前記エアダクトの取入口に防塵体を設けることを特徴とする。
本発明は第に、前記エアダクトの取入口に設ける防塵体とエアクリーナの吸気口との間に抵抗板を設け、この抵抗板によってエアクリーナの吸気口の直前面側からの吸気量を抑制して防塵体の局所的な目詰まりを防止することを特徴とする。
本発明は第に、前記エアクリーナは、そのケーシングに設けるフィルタ取出口が機体外側方を向き、また、先端に吸気口を備える吸気管が機体後方を向くようにエンジンとラジエータの上方に設けると共に、このフィルタ取出口を蓋するキャップとラジエータの前面側を開閉自在な側部カバーで覆うことを特徴とする。
本発明は第に、前記エアダクトを六面体の一面を開放する角ダクトに構成すると共に、エアクリーナのフィルタ取出口を蓋するキャップに臨む角ダクトの一面を斜め外側方に向けて拡開させることを特徴とする。
本発明は第に、前記エアクリーナをエンジンカバーを取り付けるカバーフレームに着脱自在に取り付けると共に、その吸気管を吸気室の吹出口に抜き差し自在に設け、また、エアクリーナホースをエンジンの吸気管に着脱自在に設け、さらに、このエアクリーナホースと共に取り外したエアクリーナをエンジン等の機体前方側を覆う前部カバーを取り外した点検口から取り出せるように構成することを特徴とする。
本発明は第に、前記エアクリーナの吐出管からエンジンの吸気管にエアを導くエアクリーナホースを、エアクリーナ本体の長手方向となる幅内に納まる略直線的な吸気経路に形成することを特徴とする。
本発明のコンバインによれば、機体フレームの左右方向に併設するエンジンとラジエータの上方にエアクリーナを設け、これらエンジンとラジエータとエアクリーナを覆うエンジンカバーの前方に運転席を備える操縦部を設けるコンバインにおいて、前記エアクリーナの後方にその後方から外気を取り込む吸気室を設け、この吸気室の吹出口にエアクリーナの吸気口を結合して、吸気室の後方から取り込んだ外気をエアクリーナによって清浄化してエンジンに供給する。
従って、エアクリーナの後方に設ける吸気室は自らの後方から外気を取り込み、また、エアクリーナは後方に設ける吸気室内のエアをその吸気口から取り込んでエンジンに供給することができる。そして、この吸気室に取り込む外気は、刈取部によって引き起こしながら刈り取る穀稈等から発生し、その後、走行に伴って左右に流れてエンジンカバーやグレンタンクの側面に沿って浮遊しながら徐々に落下する藁屑等を含む外気とは距離的にも離れて、また、取り込む方向も異なる塵埃の少ない外気となるから、エアクリーナの早期の目詰まりを防止して、エンジンに清浄なエアを長時間にわたって供給することができる。
また、エアクリーナはその吸気口を吸気室の吹出口に結合するものの、エアクリーナ自体は吸気室に収容する訳ではなく、エンジンやラジエータと共にエンジンカバーによって周囲を覆ったエンジンルーム内に設けるものであるから、エンジンやラジエータとエアクリーナとを従来のように仕切板を設けて両者を隔絶する必要がなくなり、また、エアクリーナを収容する大容積の吸気室も不要となり、エンジンルームを至って簡素なカバー構造になしてコストダウンを図ることができる。
なお、繰り返しになるが、エアクリーナは自らの後方から外気を取り込んだ吸気室内のエアをその吸気口から取り込んでエンジンに供給する一方、エンジンや自らを収容するエンジンルーム内の高温となったエアをその吸気口から取り込んでエンジンに供給するものではないから、エンジンが高温のエアを吸引してエンジン性能に影響を及ぼし、エンジンのコンバインへの搭載条件を満たさなくなる虞を無くすことができる。
しかも、エアクリーナを収容する大容積の吸気室を無くすことによってエンジンカバーの例えば、前部カバーを取り外せば、エアクリーナと共にエンジンを外部に露出させることができ、また、この状態でエアクリーナを取り外せばエンジンの上方側に遮るものが無くなって、エンジンの点検、或いはその構成部品の交換修理を行うスペース(点検空間)を設けることができ、エンジン等のメンテナンス性を向上させることができる。
また、前記エンジンとラジエータとエアクリーナの機体後方側を覆う後部カバーの上部寄りに、後部カバーの後方の外気を取り込む取入口を備えるエアダクトを取り付けて吸気室を構成すると、エアダクトを後部カバーを利用して取り付け、エアダクトを余計な取付部材を設けることなく安価にエンジンルームとは隔絶した吸気室に構成することができる。
しかも、エアダクトは後部カバーの上部寄りに取り付けるから、エアダクトの外気の取入口は塵埃の浮遊の少ない高所に設けることができ、これによってエアクリーナの早期の目詰まりを防止することができる。また、エンジンの冷却排風の吹き返しに伴う後部カバーの後面側への回り込みに対しても、エアダクトの外気の取入口を高所に設けることによって高温となる冷却排風の取り込みを抑制することができる。
また、前記後部カバーとその後方に設けるグレンタンクの前面との間で、且つ前記エアダクトの取入口に対して左側に遮蔽体を設け、この遮蔽体によってエンジンの冷却後の排風のエアダクト内への回り込みを少くすると、エアダクト内への冷却排風の取り込みをより一層抑制することができると共に、この遮蔽体によって機体中央寄りの脱穀部の入口部等において発生する藁屑等のエアダクト内への吸い込みを阻止することができる。
さらに、前記エアダクトの取入口に防塵体を設けると、藁屑等のエアダクト内への吸い込みを確実に阻止することができる。また、前記エアダクトの取入口に設ける防塵体とエアクリーナの吸気口との間に抵抗板を設け、この抵抗板によってエアクリーナの吸気口の直前面側からの吸気量を抑制して防塵体の局所的な目詰まりを防止すると、エアダクトの取入口に作用する吸気圧に基づく吸気量の差異を抵抗板によって均等化し、特にエアクリーナの吸気口の直前面側に臨む防塵体の局所的な藁屑等の目詰まりを防止して、外気の取入面積を確保しながら防塵体のメンテナンス頻度を少なくすることができる。
また、前記エアクリーナは、そのケーシングに設けるフィルタ取出口が機体外側方を向き、また、先端に吸気口を備える吸気管が機体後方を向くようにエンジンとラジエータの上方に設けると共に、このフィルタ取出口を蓋するキャップとラジエータの前面側を開閉自在な側部カバーで覆うと、エアクリーナとラジエータの機体外方側を側部カバーによって覆い、エンジンの冷却排風の機体外方側への吹き出しを防止することができる。
そして、この側部カバーを開くとエアクリーナとラジエータの前面側は開放されるから、エアクリーナのキャップを取り外してフィルタ取出口からフィルタエレメントを引き出してフィルタを清掃したり、新しいフィルタエレメントに交換することができ、また、同時にラジエータのコアやフィンに付着した塵埃をエアダスター等を用いて清掃することができる。なお、この場合、エアクリーナの吸気管は機体後方を向くから吸気管がキャップやフィルタエレメントの取り外しに邪魔になることはない。
また、前記エアダクトを六面体の一面を開放する角ダクトに構成すると共に、エアクリーナのフィルタ取出口を蓋するキャップに臨む角ダクトの一面を斜め外側方に向けて拡開させると、エアクリーナのフィルタ取出口を蓋するキャップの取り外しスペースを角ダクトの一面側に確保しながら、余ったデッドスペースをエアダクトの取入口を含む吸気室の容積の拡大に利用して、エアダクトに設ける防塵体への目詰まりを少なくすることができる。
なお、角ダクトの機体内方側となる側面は前後方向の側面として吸気室の必要な容積を確保し、また、その側面の機体内方側の余ったスペースにエンジンの燃料噴射制御等を行うエンジンECUを取り付けることができる。
また、前記エアクリーナをエンジンカバーを取り付けるカバーフレームに着脱自在に取り付けると共に、その吸気管を吸気室の吹出口に抜き差し自在に設け、また、エアクリーナホースをエンジンの吸気管に着脱自在に設け、さらに、このエアクリーナホースと共に取り外したエアクリーナをエンジン等の機体前方側を覆う前部カバーを取り外した点検口から取り出せるように構成すると、エンジンの上方側を開放してエンジンを露出した状態でメンテナンスを行うことができると共に、エアクリーナとエアクリーナホースをエンジンルームから取り出してメンテナンスを行うことができる。
そして、この場合、先ずエンジンカバーの内、側部カバーを開いて機体の外側方からエアクリーナをカバーフレームから取り外す。次に、カバーフレームから前部カバーを取り外した点検口からエアクリーナホースをエンジンの吸気管から取り外す。その後、エアクリーナを前方に引くとエアクリーナの吸気管は吸気室から抜け出て、エアクリーナホースと共にエアクリーナを点検口から取り出すことができる。
そのため、エンジンとラジエータの上方に設けるエアクリーナとエアクリーナホースは比較的簡単にエンジン等の上方から取り除くことができ、エンジンやエアクリーナの整備性を向上させることができる。また、点検・交換修理した後、逆の手順を踏めば比較的簡単にエンジン等の上方にエアクリーナとエアクリーナホースを元通り取り付けることができるから、整備時間を短縮することができる。
また、前記エアクリーナの吐出管からエンジンの吸気管にエアを導くエアクリーナホースを、エアクリーナ本体の長手方向となる幅内に納まる略直線的な吸気経路に形成すると、カバーフレームから前部カバーを取り外した点検口からエアクリーナとエアクリーナホースをアッセンブリーとして出し入れすることが可能となると共に、エアクリーナホースは、エアクリーナとエンジンとを略直線的な吸気経路によって接続し、エアクリーナホース長さを短くして重量も軽減することができる。
コンバインの右斜め後方側から見た斜視図である。 コンバインの左斜め前方側から見た斜視図である。 原動部の右斜め後方側から見た斜視図である。 原動部の左斜め前方側から見た斜視図である。 原動部の左斜め後方側から見た斜視図である。 原動部の背面図である。 後部寄りを断面とする原動部の平面図である。 原動部のカバーフレームを示す斜視図である。 エンジン等の搭載状態を示す正面図である。 エンジン等の搭載状態を示す背面図である 運転席を取り外した状態を示す原動部の斜視図である。 前上カバーを取り外した状態を示す原動部の斜視図である。 エアクリーナ等を取り外す前の状態を示す原動部の斜視図である。 エアクリーナ等を取り外した状態を示す原動部の斜視図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように稲や麦を刈取りながら脱穀する4条刈り乃至5条刈りの自脱型コンバイン1は、略矩形状に枠組みする機体フレーム(機体)2の下方に走行フレーム3を介して左右のクローラ走行装置を設ける。なお、左右のクローラ走行装置は、トランスミッションケース4の左右から突出する駆動軸に取り付ける駆動スプロケット5と、走行フレーム3に軸支するアイドルホイール6及びトラックローラ7と、これらに巻回するゴムクローラ8を備える。
また、機体フレーム2の機体前進方向の右側前部に略直方体状に枠組みする運転フレーム9を一体的に連結し、この運転フレーム9及びその後方の機体フレーム2にかけて操縦部10を設ける。なお、操縦部10はフロア11の後方に運転席12を設け、また、フロア11の前部にはフロントコンソール(前部操作盤)13を、フロア11と運転席12の左側にはサイドコンール(側部操作盤)14を設ける。
また、機体フレーム2の左側前部から操縦部10の前方にかけて刈取部15を図示しない油圧シリンダによって昇降自在に設ける。そして、刈取部15は、その前端下部に設ける分草体16とナローガイド17によって、圃場の立毛穀稈を刈取穀稈と未刈取穀稈とに区分けし、左右の分草体16の間に入った刈取穀稈を引起爪を備える引起装置18によって引起し、その後、突起付き掻込ベルトとスターホイールで構成する掻込装置で寄せ集めながら穀稈の株元をレシプロ方式の刈刃装置19によって切断する。
さらに、刈刃装置19によって切断して刈取った穀稈は、掻込装置のスターホイールと突起付き株元搬送チェンで後方に送り、後方に送った穀稈の株元側は突起付き搬送チェーンで構成する株元搬送装置と扱深さ搬送装置20と補助搬送装置21によって後上方に向けて搬送し、また、穀稈の穂先側はこれらの上方側に設ける穂先搬送装置22の搬送チェーンに取り付ける搬送爪に係止して搬送する。
また、脱穀部23は、刈取部15後方の機体フレーム2の左側に設け、その上方を覆うシリンダーカバー24の下方に第1と第2の扱室を設ける。この内、第1扱室には刈取部15から搬送してきた穀稈を扱口に沿って搬送する脱穀フイードチェン25とその挟持レール26、扱歯を備える第1扱胴とその受網等を設ける。また、第2扱室は第1扱胴の後端穂先側より機体の後方に向かうように第1扱室に併設し、第1扱室で脱粒処理しきれなかった穀粒の混ざった藁屑等を処理する第2扱胴とその受網を設ける。さらに、扱室の下方には選別室を設ける。
この選別室には揺動運動する揺動流板、1番螺旋及び2番螺旋、唐箕ファン及び吸引排塵ファン等を設け、扱室の受網より漏下した穀粒等を揺動流板上において選別し、選別した穀粒は1番螺旋から揚穀螺旋を備える揚穀装置27を介してグレンタンク28に移送し、藁屑等が混じった2番物は2番螺旋から2番還元螺旋を介して揺動流板上に戻す。また、揺動流板の終端に至った藁屑、吸引排塵ファンに捕捉された藁屑、或いは第2扱胴の終端から排出された藁屑は、脱穀部23の後部から機外に排出する。
さらに、前記グレンタンク28は、操縦部10の後方に設けるディーゼルエンジン等から構成する原動部29のさらに後方に設け、揚穀装置27によって移送された穀粒を一時的に貯留する。また、グレンタンク28内に穀粒が満杯になると、グレンタンク28の下部に設ける横ラセンとグレンタンク28の後方に旋回並びに昇降自在に設ける排出オーガ30の縦パイプ31内に設ける縦ラセンを駆動して、グレンタンク28から穀粒を機外のコンテナ等に放出する。
そして、脱穀処理を完了して扱室から排出される排稈は、突起付き株元排藁チェーンとその挟持レールと搬送爪付き穂先排藁チェーン等で構成する排藁搬送装置によって機体の後部に設けるディスク型カッター32に向けて右斜め後方に移送する。また、ディスク型カッター32は排藁搬送装置によって移送した排稈を、カッター32の後方へそのまま排出したり、カッター32によって細断して刈取跡地に切藁として放出する。
次に、機体の各部を駆動する原動部29について説明すると、図9、図10、及び図13等に示すように原動部29は、立形水冷4ストロークディーゼルエンジン33を備える。そして、このエンジン33は、コンバイン1の各部を駆動する出力プーリ34が機体フレーム2の中央側に、また、クーリングファン35が機体フレーム2の右側となるように、そのクランクシャフトを機体の左右方向となして防振ゴム36を介して機体フレーム2に搭載する。
また、このディーゼルエンジン33は、排気ガス規制に対応するためにサプライポンプで高圧にした燃料をレール(蓄圧室)内に蓄え、エンジンECU制御のもとにタイミングよくインジェクタから各気筒に適切な量の燃料を噴射するコモンレールシステムを採用し、これにより高い燃料噴射圧力により燃料を微粒にして、燃料の燃え残りを少なくして粒子状物質の発生を抑える。
さらに、強制的に密度の高い空気を送り込むターボチャージャと空冷式のインタークーラを設け、エンジンの出力アップ、燃費の改善、及び二酸化炭素と粒子状物質の排出量を低減する。また、EGRバルブ、絞りバルブ、高温になる排気ガスの温度を下げる水冷式のEGRクーラー等によって排気ガスの一部をエンジン33に再循環させるEGRシステムを採用し、これによりエンジンの燃焼温度を下げることで窒素酸化物の発生を抑える。
そして、排気ガス規制の更なる強化にともなって、排気に含まれる粒子状物質をフィルターで捕らえる共に、DPF再生して燃焼処分するDPFシステムを用いた排気ガス浄化装置(後処理装置)を採用し、ここでディーゼル酸化触媒(DOC)とディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を内蔵するDPFケースは、エンジン33後方の脱穀部23とグレンタンク28の間の空きスペースに設ける。
一方、エンジン33のクーリングファン35の前方には、エンジン33の冷却水を空冷するラジエータ37を設ける。このラジエータ37は、後述するラジエータ枠38の開孔38aに臨む内面に取付け、また、ラジエータ37の背面にはファンシュラウド39を設ける。そして、クーリングファン35によって吸い込まれたエアは、ラジエータ37のコアとフィンの間を通過する間にエンジン33の冷却水を冷し、更にエンジン33をその排風によって冷却する。
また、ラジエータ枠38の開孔38aの前面側には、防塵網と共にオイルクーラやインタークーラ等の熱交換器を設け、これらの熱交換器もラジエータ37と同様にクーリングファン35によって吸い込まれたエアによって各媒体を冷やすことができる。なお、クーリングファン35は、図示しない電動モータによって切り換える正転プーリと逆転プーリによって、その回転を正逆に切り換える正逆転機構を備え、定期的にクーリングファン35を逆回転させてラジエータ37のコアやフィン、或いは防塵網等に付着した塵埃を機体外方側に吹き飛ばすことができる。
さらに、ラジエータ37とエンジン33の略真上にはエアクリーナ40を設ける。このエアクリーナ40は、その長手方向を左右方向としてフィルタ取出口40bが機体外側方を向き、その内部にフィルタエレメントを内装するケーシング40aと、そのケーシング40aにクランプで着脱自在になしフィルタ取出口40bを蓋するキャップ40cと、キャップ40cに設けるバキュエータバルブ40dと、先端に吸気口40eを備えて機体後方を向く吸気管40fと、ケーシング40aの左端に設けて下方に向かうエルボにエアフローセンサ41を設ける吐出管40gを備え、エアクリーナ40の吐出管40gとエンジン33の吸気管33aには、エアクリーナホース42の両端をクランプで固定して接続する。
次に、前述のエンジン33とラジエータ37とエアクリーナ40等から構成する原動部29をエンジンカバーによって覆いエンジンルームを構成する原動部のカバー構造について説明する。先ず、エンジンカバーを取り付けるカバーフレーム43は、図8に示すように原動部29の前方に設ける操縦部10を構成するフレームと共に一体に形成し、主に複数の角パイプを溶接して枠組みする。また、このカバーフレーム43は、その操縦部10を構成する前部寄りを運転フレーム9の上部に、原動部29を構成する後部寄りを機体フレーム2の前部寄りの上部にボルトで取り付ける。
そして、カバーフレーム43は、上下方向となる前右脚44、中右脚45、中左脚46、後右脚47、後左脚48と、左右方向となる前上横梁49、前下横梁50、中横梁51、後上横梁52、後中横梁53、後下横梁54と、前後方向となる右前縦梁55、右後縦梁56、左前縦梁57と、後中横梁53の右中央寄りと運転フレーム9の後上部寄りに両端を取り付けるく字状に屈折する補器取付梁58等を備える。
また、図3及び図4に示すように、このように構成するカバーフレーム43の前方寄りの下部にはプレート11を取り付けて、操縦部10のフロア11を構成する。また、フロア11の前部には前上横梁49をベースにフロントコンソール13を設ける。さらに、フロア11の左側には逆L字状にプレート59、60を組み合わせてサイドコンール14のベースを構成する。そして、フロア11の後部には原動部29の機体前方側を覆う前部カバーを設ける。
そして、この前部カバーは略矩形状になす上方側の前上カバー61と下方側の前下カバー62の2つのカバーで構成し、その内、前上カバー61は、中右脚45の後上方に傾斜する辺の内側に一体的に取り付けるカバー右取付枠63と、後上横梁52と中横梁51に亘って取り付けるカバー左取付枠64にボルトで着脱自在に取り付ける。また、前下カバー62は、カバー右取付枠63とカバー左取付枠64と中横梁51にボルトで着脱自在に取り付ける。
なお、前上カバー61はその中央部に後方に向かう凹部61aを設ける(図11参照)。そして、この凹部61aは、運転席12のシートクッション(座面)12aの後部寄りとシートバック(背凭れ)12bの下部寄りを収容し、これによって運転席12をフロア11から後方に離して操縦空間を後方に拡張して、居住性を向上させることができる。
また、カバー左取付枠64の左方側には点検孔やレバー挿通孔を備えるプレート65を取り付ける。さらに、前上カバー61とプレート65の上方には、やや幅狭ではあるが原動部29の上方側を覆う上部カバー66を後上横梁52に取り付けて設ける。従って、全体から見れば原動部29の前方側と上方側は、上部カバー66、後上方に向けて傾斜する前上カバー61、プレート65、上下方向となす前下カバー62、サイドコンール14のベースプレート59、60によって一連に覆うことになる。
次に、原動部29の機体右側を覆う側部カバー67について説明すると、図8に示すように側部カバー67は、中右脚45と後右脚47に取り付けるラジエータ枠38との間にわたって上下のヒンジ68を設け、その前部寄りを左右に回動自在に取り付ける。そして、側部カバー67は合成樹脂によって一体成型する所定幅を備えた略矩形状の枠体67aを主体として構成し、この枠体67aにラジエータ枠38の開孔38aに臨む通風孔67bと、ラジエータ枠38の上部寄りに設けるエアクリーナ開孔38bに臨む開孔67cを上下に設ける。
そして、この上方の開孔67cは裏面側に取り付ける閉鎖板69によって閉じるが、下方の通風孔67bの裏面側には多数の小孔を設ける防塵体70を取り付けて外気を防塵体70の多数の小孔を通して枠体67aの内側に取り込むことができるようにする。なお、枠体67aの裏面側の中程には仕切りリブ67dを設け、上方の閉鎖板69と下方の防塵体70を設ける内部空間を仕切って、側部カバー67を閉じて枠体67aがラジエータ枠38に当接する際には、閉鎖板69を設ける室から防塵体70を設ける室にエンジン33の冷却排風が排出されないように遮る。
そして、以上のように構成する側部カバー67は、後部のヒンジ68を中心にして機体外側方に向けて開くと、ラジエータ枠38のエアクリーナ開孔38bを通してエアクリーナ40のフィルタ取出口40bを蓋するキャップ40c側を露出させ、このキャップ40cを取り外してフィルタエレメントの掃除や交換を行うことができると共に、エアクリーナ40のケーシング40aに設けるフランジ40hを補器取付梁58の上部寄りに取り付けるボルトを装脱して、エアクリーナ40を補器取付梁58に取付固定したり取り外すことができる。
また、側部カバー67を開いた際、ラジエータ枠38の開孔38aを通してラジエータ37の前面側を露出させることができ、ラジエータ37のコアやフィンに付着した塵埃をエアダスター等を用いて清掃することができる。また、側部カバー67をラジエータ枠38に設けるクランプ71に係止し、更にボルトbでラジエータ枠38に取り付けて閉じた際には、側部カバー67が原動部29の機体右側を覆うと共に、機体右側からラジエータ37に向かう冷却風となる外気を防塵体70を介して取り込むことができる。
次に、原動部29の機体後側を覆う後部カバーについて説明すると、図3、図5、図6、図7、図10に示すように後部カバーは、後右脚47と後左脚48及び後上横梁52と後中横梁53にボルトで取り付ける後部上カバー72と、後右脚47と後左脚48及び後中横梁53と後下横梁54にボルトで取り付ける後部下カバー73とによって構成する。そして、この後部上カバー72はその中央から右側にやや偏倚して矩形状に切り欠いている。
また、後部上カバー72の切り欠いた左右の内面側の縁部にエアダクト74の取付部74aを接合し、後部上カバー72にエアダクト74をボルトで取り付ける。また、エアダクト74は上面74bと下面74cを台形とし、右面74dと左面74eと前面74fを長方形となし、更に外気の取入口74gとなる後面を開放する(六面体の一面を開放する)角ダクトで構成する。そして、エアダクト74の前面74fには丸孔を穿設し、その丸孔の周縁にドーナツ状のウエザーストリップ75を装着して、このウエザーストリップ75の中央の孔を外気の吹出口74hとする。
さらに、エアダクト74の外気の取入口74gには金網で構成する防塵体76を取り付けると共に、エアダクト74の上面74bと下面74cに亘ってプレートで構成する抵抗板77を設ける。また、後部カバー72、73と、その後方に設けるグレンタンク28の前面との間には両者の間に生ずる隙間を塞ぐ遮蔽体を設ける。
そして、この遮蔽体は後左脚48に沿ってその上部寄りに取り付ける第1のカバー78と、後部上カバー72と後部下カバー73に上下方向として取り付ける第2のカバー79、80と、後上横梁52と第1のカバー78の上部寄りに取り付ける第3のカバー81で構成する。また、この内、第1のカバー78はその上面と折り曲げた下面を鉄板で形成し、残る第2のカバー79、80と第3のカバー81は可撓性を備える天然ゴム或いは合成ゴムによって形成する。
以上、原動部29のカバー構造について説明したが、次にエンジン33の吸気系を主体にしてその作用について説明すると、先ず、前述のエアクリーナ40を補器取付梁58に取付固定した状態では、エアクリーナ40の機体後方を向く吸気管40fは、エアダクト74の前面74fに設けるウエザーストリップ75に差し込まれて、エアダクト74の吹出口74hと吸気管40fの吸気口40eは結合している。
そして、この状態でエンジン33を始動すると、エアダクト74の取入口74gから取り込んだ外気は、エアダクト74で囲まれた吸気室R内に取り込まれ、また、吸気室R内に取り込まれた微細な塵埃を含むエアは、吸気管40fを介してエアクリーナ40に取り込まれ、そして、エアクリーナ40はこの塵埃を取り除いて清浄化したエアを、その吐出管40gとエアクリーナホース42とエンジン33の吸気管33aを介してエンジン33に供給する。
また、エンジン33の始動とともに正転するクーリングファン35は、閉じている側部カバー67の防塵体70を介して取り込んだ外気をラジエータ37に作用させてエンジン33の冷却水を空冷する。また、冷却水を空冷した冷却風はその後、エンジン33とエンジンカバーとによって形成される排風通路を通って、エンジンカバーによって覆っていない機体の中央側となる左側、或いはエンジン33の下方側に流れて機外に排出される。なお、この間に冷却排風はエンジン33が発生する熱を奪って高温となる。
さらに、クーリングファン35が逆転すると、クーリングファン35は、エンジンルーム内のエアをラジエータ37に吹きかけてコアやフィンに付着した塵埃を側部カバー67側に吹き落とす。また、側部カバー67の内側は高圧となって側部カバー67の防塵体70の小孔からエアが吹き出すので、防塵体70に付着した塵埃も除去することができる。
そして、圃場において刈取走行を行う場合、刈取部15によって穀稈を引き起こしたり搬送する間に藁屑等が発生し、この藁屑は直ぐには落下せず風等の影響も受けて暫く浮遊する。また、浮遊する藁屑等はコンバイン1の走行に伴って機体の左右に分かれて流れ、その内、機体の右側を流れる藁屑等はエンジン33の側部カバー67やグレンタンク28の外側方を通過する間にやがて圃場に落下する。また、機体の左側を流れる藁屑等は脱穀部23の外側方を通過しながら落下する。
なお、コンバイン1は刈取走行を行う際に、左右の立毛穀稈の間を割りながら刈り取りを行う中割刈りより、右側を既刈地側として反時計回りに刈り取りを行う回刈りを行う頻度が高く、藁屑等の発生量でみると機体の右側の方が左側より少なくなる傾向がある。そのため、エンジン33に供給する外気は、藁屑等の塵埃の少ない機体の右側から取り込むことが有利であり、更には、機体の右側ではあってもエンジン33の側部カバー67やグレンタンク28の外側方を流れる藁屑を含む外気を取り込まないようにこれらの流れから離れた高所の外気を取り込む必要がある。
そのため、機体の右側のエンジン33の側部カバー67やグレンタンク28の外側面から出来るだけ機体の中央側に離し、尚且つ藁屑を含む外気の機体後方側への流れとは、直接的に関わりを持たず、その流れとは逆行する外気の方が塵埃を含む割合が低くなるから、エアクリーナ40に取り込む外気は、比較的高い位置に設けることになるエアクリーナ40の後方であって、且つエアクリーナ40の後方から前方に向けて取り込む外気であることが望ましい。
そこで、以上の観点から本発明においては、エアクリーナ40の後方にその後方から外気を取り込む吸気室Rを設け、この吸気室Rの吹出口74hにエアクリーナ40の吸気口40eを結合して、吸気室Rの後方から取り込んだ外気をエアクリーナ40によって清浄化してエンジン33に供給する。そのため、吸気室Rに取り込む外気は、機体の右側寄りであっても更に塵埃の少ない外気を取り込むことになって、エアクリーナ40の早期の目詰まりを防止して、エンジン33に清浄なエアを長時間にわたって供給することができる。
また、エアクリーナ40はその吸気口40eを吸気室Rの吹出口74hに結合するものの、エアクリーナ40自体は吸気室Rに収容する訳ではなく、エンジン33やラジエータ37と共にエンジンカバーによって周囲を覆ったエンジンルーム内に設けるものであるから、エンジン33やラジエータ37とエアクリーナ40とを従来のように仕切板を設けて両者を隔絶する必要がなくなり、また、エアクリーナ40を収容する大容積の吸気室も不要となり、エンジンルームを至って簡素なカバー構造になしてコストダウンを図ることができる。
なお、エアクリーナ40は自らの後方から外気を取り込んだ吸気室R内のエアをその吸気口40eから取り込んでエンジン33に供給する一方、エンジン33や自らを収容するエンジンルーム内の高温となったエアをその吸気口40eから取り込んでエンジン33に供給するものではないから、エンジン33が高温のエアを吸引してエンジン性能に影響を及ぼし、エンジン33のコンバイン1への搭載条件を満たさなくなる虞を無くすことができる。
しかも、エアクリーナ40を収容する大容積の吸気室を無くすことによってエンジンカバーの例えば、前上カバー61と前下カバー62を取り外すせば、エアクリーナ40と共にエンジン33を外部に露出させることができ、また、この状態でエアクリーナ40を取り外せばエンジン33の上方側に遮るものが無くなって、エンジン33の点検、或いはその構成部品の交換修理を行うスペースを設けることができ、エンジン33等のメンテナンス性を向上させることができる。
また、エンジン33等の機体後方側を覆う後部上カバー72に、後部カバーの後方の外気を取り込む取入口74gを備えるエアダクト74を取り付けて吸気室Rを構成するから、エアダクト74を後部上カバー72を利用して取り付け、エアダクト74を余計な取付部材を設けることなく安価にエンジンルームとは隔絶した吸気室Rに構成することができる。
しかも、エアダクト74は後部上カバー72に取り付けるから、エアダクト74の外気の取入口74gは塵埃の浮遊の少ない高所に設けることができ、これによってエアクリーナ40の早期の目詰まりを防止することができる。また、エンジン33の冷却排風の吹き返しに伴う後部カバー72、73の後面側への回り込みに対しても、エアダクト74の外気の取入口74gを高所に設けることによって高温となる冷却排風の取り込みを抑制することができる。
さらに、後部カバー72、73とその後方に設けるグレンタンク28の前面との間に遮蔽体78、79、80、81を設け、この遮蔽体によってエンジン33の冷却後の排風のエアダクト74内への回り込みを少くする。そのため、エアダクト74内への冷却排風の取り込みをより一層抑制することができると共に、この遮蔽体によって機体中央寄りの脱穀部23の入口部等において発生する藁屑等のエアダクト74内への吸い込みを阻止することができる。
なお、遮蔽体の内、第2のカバー79、80と第3のカバー81は可撓性を備える天然ゴム或いは合成ゴムによって形成する。これは、グレンタンク28と脱穀部23との間に設ける伝動装置や後部下カバー73を取り外してエンジン33をメンテナンスする場合に、邪魔になるグレンタンク28を排出オーガ30の旋回中心のもとに回動させた際に、グレンタンク28の前面が遮蔽体79、80、81を押しても、遮蔽体がその可撓性によって退避して、グレンタンク28の回動を阻害しないようにするためである。
しかし、グレンタンク28の前面との間により多くの隙間を許容することが可能ならこれ等の遮蔽体79、80、81を鉄板で形成してもよい。また、遮蔽体はエアダクト74の取入口74gに対して左側とその左側の上方側に設けるが、左側の下方側に遮蔽体を設けて塵埃を含んだ排風の吹き上がりを阻止してもよい。
また、エアダクト74の外気の取入口74gには防塵体76を設ける。そのため、仮に藁屑等の大きなごみがエアダクト74内へ吸い込まれようとする際に、この防塵体76は大きなごみのエアダクト74内への侵入を阻止し、また、エンジン33の停止と共に防塵体76に付着したごみは下方に落下して取り除かれる。
さらに、エアダクト74の取入口74gに設ける防塵体76とエアクリーナ40の吸気口40eとの間に抵抗板77を設ける。そして、この抵抗板77によってエアクリーナ40の吸気口40eの直前面側からの吸気量を抑制して防塵体76の局所的な目詰まりを防止する。即ち、エアダクト74の取入口74gに作用する吸気圧は、エアクリーナ40の吸気口40eの直前面に臨むほど低くなり、それから離れるほど高くなり、逆に外気の吸気量は吸気口40eの直前面に臨むほど多くなって、防塵体76の局所的な目詰まりを生じさせる。
そこで、エアダクト74の取入口74gに作用する吸気圧に基づく吸気量の差異を抵抗板77によって均等化し、エアクリーナ40の吸気口40eの直前面側に臨む防塵体76の局所的な藁屑等の目詰まりを防止して、エアダクト74の外気の取入がその取入口74gの全面域となることを確保して、防塵体76にこびり付いた塵埃の除去作業の頻度を少なくすることができるようにする。
なお、エアダクト74は、エアクリーナ40のフィルタ取出口40bを蓋するキャップ40cに臨む右側面74dを斜め外側方に向けて拡開させて、エアダクト74の取入口74gを含む吸気室Rの容積を拡大させている。そのため、抵抗板77は拡開させた取入口74g側からも外気を取り込むことができるようにエアダクト74の右側面74dに略平行となるように傾けてエアダクト74内に設ける。しかし、抵抗板77はエアクリーナ40の吸気口40eに平行に対面させて設けてもよく、また、抵抗板77に小孔を穿設して、この小孔を通して外気を多少吸い込ませてもよい。なお、エアダクト74の左側面74eの左側には、図示しないがエンジン33の燃料噴射制御等を行うエンジンECUを設ける。
以上、エンジン33の吸気系を主体にして原動部29の作用について説明したが、次に、エンジン33等のメンテナンス方法について以下に説明する。先ず、前述のようにエアクリーナ40やラジエータ37の点検を行う場合は側部カバー67を開いて行う。そして、エアクリーナ40であれば、クランプを外してキャップ40cを取り外しフィルタエレメントを取り出し、エアダスター等を用いて塵埃の除去やフィルタエレメントの交換を行う。
なお、キャップ40cの脱着を行う際には、エアダクト74のキャップ40cに臨む右側面74dは後方に向けて斜め外側方に向けて拡開させているから、クランプの掛け外しの空間を確保することができてエアダクト74が邪魔になることはない。また、バキュエータバルブ40dはエンジン33の停止に伴ってエアクリーナ40内が正圧になることによってバルブが開き、捕捉した塵埃を放出してエンジンルーム内から地上に落下させる。しかし、バルブ内に塵埃が残っている際には手動でバルブを開くと塵埃を放出することができる。また、ラジエータ37に付着する塵埃の除去もエアダスター等を用いて同時に行うことができる。
また、ラジエータ37のリザーバータンク等の点検を行う場合は、グレンタンク28を回動させて作業空間を確保し、ノブ付きボルトを外して後部下カバー73を取り外すとエンジン33等の原動部29の後面側が開放されるので、ラジエータ枠38に取り付けてあるリザーバータンク82の冷却水のレベルを確認し、また、不足しているのであればキャップを外して注水する。また、エンジン33のオイルフィルタ83の点検も同時に行うことができる。なお、エンジン33の燃料フィルタやセジメンタ等は運転フレーム9に設けており、燃料タンクは機体フレーム2の右側後部に設けているので、当該箇所で点検を行う。
さらに、エンジン33の上面側に設ける排出ガス再循環システムの配管及びEGRクーラーホース、インテークマニホールド、イグゾーストマニホールド、或いはエアクリーナ40の吐出管40gに設ける吸入空気量を測定するエアフローセンサ41等の点検や修理交換を行う場合には、先ず、側部カバー67を開いてエアクリーナ40を補器取付梁58に取り付けているボルトを取り外す。また、前上カバー61と前下カバー62に取り付けている運転席12を図11に示すように取り外したうえで、これらのカバー61、62をカバーフレーム43から取り外す。
そして、カバー61、62を取り外すと図12に示すようにエンジン33の前面側を臨むことができるので、エンジン33の吸気管33aからクランプを外してエアクリーナホース42を取り外す。或いはエアフローセンサ41とエンジンECUとを接続するコネクタを取り外す。そこで、エアクリーナ40を前方に引くとエアクリーナ40の吸気管40fは吸気室Rから抜け出て、エアクリーナホース42と共にエアクリーナ40を前上カバー61を取り外した後の点検口から取り出すことができる(図14参照)。
なお、この際、エアクリーナ40の吐出管40gからエンジン33の吸気管33aにエアを導くエアクリーナホース42は、エアクリーナ40本体の長手方向となる幅h内に納まる略直線的な吸気経路に形成するから、前上カバー61を取り外した後の広幅な点検口からエアクリーナ40とエアクリーナホース42をアッセンブリーとして簡単に出し入れすることができる。
また、エアクリーナホース42は、エアクリーナ40とエンジン33とを略直線的な吸気経路によって接続しているから、エアクリーナホース42の長さを短くして重量を軽くすることができる。なお、エアクリーナホース42はエンジン33の給油プラグ33bを避けて配管する(図7参照)ことになるので、エンジンオイルの交換のために前上カバー61を取り外して給油プラグ33bを脱着する際にエアクリーナホース42を取り外す必要はない。
さらに説明を続けると、このようにエアクリーナ40とエアクリーナホース42をアッセンブリーとして取り出すと、エンジン33の上方側を開放してエンジン33を露出した状態で各部のメンテナンスを行うことができる。また、取り出したエアクリーナ40とエアクリーナホース42を機外において何らの制約を受けずにメンテナンスを行うことができる。
従って、上述の手順を踏むことで、エンジン33とラジエータ37の上方に設けるエアクリーナ40とエアクリーナホース42は比較的簡単にエンジン33等の上方から取り除くことができ、エンジン33やエアクリーナ42の整備性を向上させることができる。また、点検・交換修理した後、逆の手順を踏めば比較的簡単にエンジン33等の上方にエアクリーナ40とエアクリーナホース42を元通り取り付けることができるから、整備時間を短縮することができる。
なお、前記実施形態において、操縦部10はキャビンで覆っていないが、実施形態のカバーフレーム43をキャビン仕様のフレームに修正を加えれば、操縦部10をキャビンで覆うことが比較的簡単にできる。また、エアクリーナホース42とエアクリーナ40の吐出管40gとの結合や、ラジエータ37をエンジン33を繋ぐラジエータホースの結合を取り外したうえで、後左脚48側を中心にしてカバーフレーム43を機体外側方へ回動できるようになすと、エンジン33を完全に露出させて点検修理、或いは搭載替えを行うことも容易に行うことができ、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
1 コンバイン
2 機体フレーム
33 エンジン
37 ラジエータ
40 エアクリーナ
42 エアクリーナホース
61 前上カバー(前部カバー)
67 側部カバー
72 後部上カバー(後部カバー)
74 エアダクト
76 防塵体
77 抵抗板
79 遮蔽体
R 吸気室

Claims (7)

  1. 機体フレームの左右方向に併設するエンジンとラジエータの上方にエアクリーナを設け、これらエンジンとラジエータとエアクリーナを覆うエンジンカバーの前方に運転席を備える操縦部を設けるコンバインにおいて、前記エアクリーナの後方にその後方から外気を取り込む吸気室を設け、この吸気室の吹出口にエアクリーナの吸気口を結合して、吸気室の後方から取り込んだ外気をエアクリーナによって清浄化してエンジンに供給するように構成し、前記エンジンとラジエータとエアクリーナの機体後方側を覆う後部カバーの上部寄りに、後部カバーの後方の外気を取り込む取入口を備えるエアダクトを取り付けて吸気室を構成し、前記エンジンをクーリングファンで取り込んだ外気で冷却し、エンジンを冷却した後の排風を、エンジンとエンジンカバーによって形成される排風通路を通って、エンジンカバーによって覆われていない機体の中央側となる左側から排出するように構成すると共に、前記後部カバーとその後方に設けるグレンタンクの前面との間で、且つ前記エアダクトの取入口に対して左側に遮蔽体を設け、この遮蔽体によって、エンジンの冷却後の排風のエアダクト内への回り込みを少なくすることを特徴とするコンバイン。
  2. 前記エアダクトの取入口に防塵体を設けることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
  3. 前記エアダクトの取入口に設ける防塵体とエアクリーナの吸気口との間に抵抗板を設け、この抵抗板によってエアクリーナの吸気口の直前面側からの吸気量を抑制して防塵体の局所的な目詰まりを防止することを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
  4. 前記エアクリーナは、そのケーシングに設けるフィルタ取出口が機体外側方を向き、また、先端に吸気口を備える吸気管が機体後方を向くようにエンジンとラジエータの上方に設けると共に、このフィルタ取出口を蓋するキャップとラジエータの前面側を開閉自在な側部カバーで覆うことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のコンバイン。
  5. 前記エアダクトを六面体の一面を開放する角ダクトに構成すると共に、エアクリーナのフィルタ取出口を蓋するキャップに臨む角ダクトの一面を斜め外側方に向けて拡開させることを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
  6. 前記エアクリーナをエンジンカバーを取り付けるカバーフレームに着脱自在に取り付けると共に、その吸気管を吸気室の吹出口に抜き差し自在に設け、また、エアクリーナホースをエンジンの吸気管に着脱自在に設け、さらに、このエアクリーナホースと共に取り外したエアクリーナをエンジン等の機体前方側を覆う前部カバーを取り外した点検口から取り出せるように構成することを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載のコンバイン。
  7. 前記エアクリーナの吐出管からエンジンの吸気管にエアを導くエアクリーナホースを、エアクリーナ本体の長手方向となる幅内に納まる略直線的な吸気経路に形成することを特徴とする請求項6に記載のコンバイン。
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