JP7082936B2 - 光学ガラス、光学素子及びプリフォーム - Google Patents

光学ガラス、光学素子及びプリフォーム Download PDF

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Description

本発明は、光学ガラス、光学素子及びプリフォームに関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器や、プロジェクタやプロジェクションテレビ等の画像再生(投影)機器等の各種光学機器の分野では、光学系で用いられるレンズやプリズム等の光学素子の枚数を削減し、光学系全体を軽量化及び小型化する要求が強まっている。
光学系を構成する光学素子の材料として、1.52以上1.67以下の屈折率(n)と55以上73以下のアッベ数(ν)を有する高屈折率低分散ガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率低分散ガラスとしては、例えば特許文献1~3に代表されるようなガラス組成物が知られている。
特開2009-256169号公報 特開2012-001422号公報 特開2012-126608号公報
高屈折率低分散ガラスは、光学系における収差を低減させて高い結像特性を図る等の目的で、光学特性が異なる他のガラス、例えば高分散(低いアッベ数)を有するガラスと一緒にレンズユニットに組み込まれることが多く、近年では非球面レンズとしてレンズ構成に組み入れられることも多い。しかし、特許文献1に記載されるようなフツリン酸塩系のガラスは、一般に他のガラスと比べて高い線膨張係数を有するため、光学素子を作製する際のリヒートプレス成形や、非球面レンズを作製する際の精密モールドプレス成形等の加熱成形において熱衝撃を受けやすく、ワレ、カケ等の不良を生じる懸念が大きかった。そのような事情もあり、加熱時の膨張が小さく、より安定して精密モールドプレス成形やリヒートプレス成形を行うことができる高屈折率低分散ガラスが望まれている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高屈折率低分散の光学特性を有し、且つ、より安定して加熱成形することが可能な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、カチオン成分として、P5+、Al3+、Mg2+、Ca2+及びBa2+とともにZn2+をガラスに含有させ、且つ各成分の含有量を調整することによって、所望の屈折率及びアッベ数を有しながらも、100~300℃における平均線膨張係数が小さいガラスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) カチオン%(モル%)表示で、P5+の含有率が23.0%以上52.0%以下、Al3+の含有率が0%を超え23.0%以下、Mg2+の含有率が0%を超え20.0%以下、Ca2+の含有率が0%を超え19.0%以下、Sr2+の含有率が0%以上17.0%以下、Ba2+の含有率が3.0%以上41.0%以下、Zn2+の含有率が0%を超え25.0%以下であり、アニオン%(モル%)表示で、Fの含有率が11.0%以上44.0%以下、O2-の含有率が56.0%以上89.0%以下であり、屈折率(n)が1.52以上1.67以下、アッベ数(ν)が55以上73以下であり、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003に規定される100~300℃における平均線膨張係数αが140×10-7-1以下である光学ガラス。
(2) Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群から選ばれる1種以上の合計含有率(R2+:カチオン%)が21.0~49.0%である(1)記載の光学ガラス。
(3) Ba2+の含有率に対するZn2+の含有率の比(Zn2+/Ba2+)が0.1以上である(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4) カチオン%(モル%)表示で、La3+の含有率が0~13.0%、Gd3+の含有率が0~18.0%、Y3+の含有率が0~13.0%、Yb3+の含有率が0~13.0%、Lu3+の含有率が0~13.0%である(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
(5) Y3+、La3+、Gd3+、Yb3+及びLu3+からなる群から選択される1種以上の合計含有率(Ln3+:カチオン%)が0~20.0%である(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) カチオン%(モル%)表示で、Liの含有率が0~10.0%、Naの含有率が0~10.0%、Kの含有率が0~10.0%である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) Li、Na及びKからなる群から選択される1種以上の合計含有率(Rn:カチオン%)が10.0%以下である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
(8) カチオン%(モル%)表示で、Si4+の含有率が0~10.0%、B3+の含有率が0~13.0%、Ti4+の含有率が0~10.0%、Nb5+の含有率が0~13.0%、W6+の含有率が0~13.0%、Zr4+の含有率が0~10.0%、Ta5+の含有率が0~10.0%、Ge4+の含有率が0~10.0%、Bi3+の含有率が0~10.0%、Te4+の含有率が0~10.0%
である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
(9) (1)から(8)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(10) (1)から(8)のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密モールドプレス成形用のプリフォーム。
本発明によれば、高屈折率及び低分散の光学特性を有し、且つ、より安定して加熱成形することが可能な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることができる。
また、本発明によれば、異常分散性(Δθg,F)が大きい点で特徴的な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることもできる。
本発明の光学ガラスは、カチオン%(モル%)表示で、P5+の含有率が23.0%以上52.0%以下、Al3+の含有率が0%を超え23.0%以下、Mg2+の含有率が0%を超え20.0%以下、Ca2+の含有率が0%を超え19.0%以下、Sr2+の含有率が0%以上17.0%以下、Ba2+の含有率が3.0%以上41.0%以下、Zn2+の含有率が0%を超え25.0%以下であり、アニオン%(モル%)表示で、Fの含有率が11.0%以上44.0%以下、O2-の含有率が56.0%以上89.0%以下であり、屈折率(n)が1.52以上1.67以下、アッベ数(ν)が55以上73以下であり、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003に規定される100~300℃における平均線膨張係数αが140×10-7-1以下である。カチオン成分として、P5+、Al3+、Mg2+、Ca2+及びBa2+とともにZn2+をガラスに含有させ、且つ各成分の含有量を調整することによって、高屈折率及び低分散の光学特性を有し、且つ、線膨張係数の小さな光学ガラスが得られるため、より安定して加熱成形することが可能な光学ガラスを得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所について、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
<ガラス成分>
本発明の光学ガラスを構成する各成分について説明する。
本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全てモル比に基づくカチオン%又はアニオン%で表示されるものとする。ここで、「カチオン%」及び「アニオン%」(以下、「カチオン%(モル%)」及び「アニオン%(モル%)」と表記することがある)は、本発明の光学ガラスのガラス構成成分をカチオン成分及びアニオン成分に分離し、それぞれにおいて合計割合を100モル%として、ガラス中に含有される各成分の含有率を表記した組成である。
なお、各成分のイオン価は便宜的に代表値を用いているに過ぎないため、他のイオン価のものと区別するものではない。光学ガラス中に存在する各成分のイオン価は、代表値以外である可能性がある。例えば、Pは、通常イオン価が5価の状態でガラス中に存在するので、本明細書中では「P5+」と表しているが、他のイオン価の状態で存在する可能性がある。このように、厳密には他のイオン価の状態で存在するものであっても、本明細書では、各成分が代表値のイオン価でガラス中に存在するものとして扱う。
[カチオン成分について]
5+は、ガラス形成成分であり、ガラスの異常分散性を高め、失透を抑制し、屈折率を高める性質を有する。そのため、P5+の含有率は、好ましくは23.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは28.0%を下限とし、さらに好ましくは30.0%超、さらに好ましくは32.0%超とする。
他方で、P5+の含有率を52.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高いアッベ数を得易くすることができ、また、線膨張係数を低くすることができる。そのため、P5+の含有率は、好ましくは52.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは47.0%、さらに好ましくは45.0%、さらに好ましくは42.0%を上限とする。
Al3+は、ガラスの異常分散性を高め、耐失透性を高め、磨耗度を低くし、線膨張係数を小さくする性質を有する。そのため、Al3+の含有率は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは3.0%超、さらに好ましくは5.0%超、さらに好ましくは6.0%超、さらに好ましくは8.0%超、さらに好ましくは10.0%超とする。
他方で、Al3+の含有率を23.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Al3+の含有率は、好ましくは23.0%、より好ましくは20.0%を上限とし、さらに好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは15.0%未満とする。
Mg2+は、ガラスの耐失透性を高め、摩耗度を低くし、線膨張係数を小さくする性質を有する。そのため、Mg2+の含有率の下限は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超とする。
他方で、Mg2+の含有率を20.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Mg2+の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.0%、さらに好ましくは14.0%を上限とし、さらに好ましくは11.0%未満とする。
Ca2+は、ガラスの耐失透性を高め、屈折率の低下を抑制し、磨耗度を低くし、線膨張係数を小さくする性質を有する。そのため、Ca2+の含有率の下限を、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超とする。
他方で、Ca2+の含有率を19.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの耐失透性を高め、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Ca2+の含有率は、好ましくは19.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは12.0%を上限とし、さらに好ましくは10.0%未満とする。
Sr2+は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高め、屈折率の低下を抑制する性質を有する任意成分である。そのため、Sr2+の含有率は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超としてもよい。
他方で、Sr2+の含有率を17.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの耐失透性を高め、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Sr2+の含有率は、好ましくは17.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは12.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。
Ba2+は、ガラスの耐失透性を高め、低い分散性を維持し、屈折率を高める性質を有する。そのため、Ba2+の含有率は、好ましくは3.0%以上、より好ましくは5.0%超、さらに好ましくは8.0%超、さらに好ましくは10.0%超、さらに好ましくは12.0%超としてもよい。
他方で、Ba2+の含有率を41.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの耐失透性を高め、比重を小さくし、また、線膨張係数を小さくすることができる。そのため、Ba2+の含有率は、好ましくは41.0%、より好ましくは38.0%、さらに好ましくは35.0%、さらに好ましくは32.0%を上限とする。
Zn2+は、ガラスの線膨張係数を小さくし、ガラス転移点を低くし、ガラスの耐失透性や耐酸性を高める性質を有する。そのため、Zn2+の含有率は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超、さらに好ましくは3.0%超、さらに好ましくは5.0%超、さらに好ましくは5.5%超、さらに好ましくは6.0%超とする。
他方で、Zn2+の含有率を25.0%以下の範囲内に低減することで、所望の低いアッベ数を得易くすることができる。そのため、Zn2+の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは23.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは18.0%、さらに好ましくは16.0%を上限とする。
2+は、Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群から選ばれる1種以上である。また、R2+の合計含有率は、Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群から選ばれる1種以上の合計である。
ここで、R2+の合計含有率を21.0~49.0%の範囲内にすることで、より耐失透性の高いガラスを得ることができる。
そのため、R2+の合計含有率の下限は、好ましくは21.0%、より好ましくは23.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは28.0%、さらに好ましくは30.0%とする。また、R2+の合計含有率の上限は、好ましくは49.0%、より好ましくは47.0%、さらに好ましくは45.0%、さらに好ましくは43.0%、さらに好ましくは40.0%とする。
本発明の光学ガラスは、Ba2+含有率(カチオン%)に対するZn2+含有率(カチオン%)の比(Zn2+/Ba2+)が0.10超であることが好ましい。この比(Zn2+/Ba2+)を大きくすることで、ガラスの線膨張係数を小さくすることができる。そのため、この(Zn2+/Ba2+)比は、好ましくは0.10超、より好ましくは0.15超、さらに好ましくは0.20超、さらに好ましくは0.25超としてもよい。
他方で、(Zn2+/Ba2+)比の上限は、好ましくは2.00、より好ましくは1.50、さらに好ましくは1.20としてもよい。
本発明の光学ガラスは、P5+含有率(カチオン%)に対するZn2+含有率(カチオン%)の比(Zn2+/P5+)が0.010超であることが好ましい。この比(Zn2+/P5+)を大きくすることで、ガラスの線膨張係数を小さくすることができる。そのため、この(Zn2+/P5+)比は、好ましくは0.010超、より好ましくは0.050超、さらに好ましくは0.100超、さらに好ましくは0.50超としてもよい。
他方で、(Zn2+/P5+)比の上限は、好ましくは0.800、より好ましくは0.600、さらに好ましくは0.450としてもよい。
また、本発明の光学ガラスは、P5+含有率(カチオン%)に対するMg2+含有率(カチオン%)の比(Mg2+/P5+)が1.00以下であることが好ましい。
ガラス形成成分P5+の含有率に対する、Mg2+の含有率の比を小さくすることで、ガラスの耐失透性を高め、また、ガラスを加熱により軟化してプレス成形する際の失透を低減することできる。そのため、この(Mg2+/P5+)比は、好ましくは1.00、より好ましくは0.80、さらに好ましくは0.60、さらに好ましくは0.46、さらに好ましくは0.40、さらに好ましくは0.33を上限とする。
他方で、(Mg2+/P5+)比の下限は、所望の小さい線膨張係数を有するガラスを得る観点で、好ましくは0.01、より好ましくは0.03、さらに好ましくは0.06としてもよい。
また、本発明の光学ガラスは、Zn2+含有率とMg2+含有率の合計(カチオン%)に対する、Ca2+含有率とSr2+含有率とBa2+含有率の合計(カチオン%)の比(Zn2++Mg2+)/(Ca2++Sr2++Ba2+)が0.20以上であることが好ましい。これにより、線膨張係数を小さくする作用が強いZn2+とMg2+の含有率が、その作用が弱く、又は逆に線膨張係数を大きくする作用のあるCa2+やSr2+、Ba2+の含有率に相対して増加するため、より線膨張係数の小さなガラスを得易くすることができる。そのため、この(Zn2++Mg2+)/(Ca2++Sr2++Ba2+)比は、好ましくは0.20、より好ましくは0.25、さらに好ましくは0.30を下限とする。
他方で、(Zn2++Mg2+)/(Ca2++Sr2++Ba2+)比の上限は、安定なガラスを得る観点で、好ましくは2.00、より好ましくは1.80、さらに好ましくは1.50、さらに好ましくは1.20としてもよい。
La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+及びLu3+は、少なくともいずれかを0%超含有する場合に、低い分散性を維持し、屈折率を高め、さらに耐失透性を高める性質を有する任意成分である。
他方で、La3+、Y3+、Yb3+及びLu3+のうち少なくともいずれかの含有率を13.0%以下の範囲内に低減し、またはGd3+の含有率を18.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの異常分散性を低下し難くし、また、ガラスの安定性を高めて失透し難くすることができる。そのため、La3+、Y3+、Yb3+及びLu3+の含有率は、それぞれ好ましくは13.0%を上限とし、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。また、Gd3+の含有率は、好ましくは18.0%を上限とし、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは12.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
Ln3+は、Y3+、La3+、Gd3+、Yb3+及びLu3+からなる群から選択される1種以上である。また、Ln3+の合計含有率は、Y3+、La3+、Gd3+、Yb3+及びLu3+からなる群から選択される1種以上の合計である。
ここで、Ln3+の合計含有率を20.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの異常分散性を低下し難くし、ガラスを失透し難くすることができ、また、高屈折率及び低分散を有するガラスを得易くすることができる。そのため、Ln3+の合計含有率は、好ましくは20.0%を上限とし、より好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは13.0%未満、さらに好ましくは11.0%未満とする。
Li、Na及びKは、少なくともいずれかを0%超含有する場合に、ガラス形成時の耐失透性を維持しつつ、ガラス転移点(Tg)を下げる性質を有する任意成分である。
他方で、Li、Na及びKのうち、少なくともいずれかの含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの磨耗度を低減し、化学的耐久性を高めることができる。そのため、Li、Na及びKの含有率は、それぞれ好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Rnは、Li、Na及びKからなる群から選択される1種以上である。また、Rnの合計含有率は、Li、Na及びKからなる群から選択される1種以上の合計である。
ここで、Rnの合計含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの磨耗度を低減し、化学的耐久性を高めることができる。そのため、Rnの合計含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Si4+は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高め、屈折率を高め、磨耗度を低下させる性質を有する任意成分である。
他方で、Si4+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、Si4+の過剰含有によるガラスの失透を低減することができる。そのため、Si4+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
3+は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高め、屈折率を高め、磨耗度を低下させる性質を有する任意成分である。
他方で、B3+の含有率を13.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。そのため、B3+の含有率は、好ましくは13.0%を上限とし、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Ti4+、Nb及びW6+は、少なくともいずれかを0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高める性質を有する任意成分である。加えて、Nb5+は化学的耐久性を高める性質を有し、W6+はガラス転移点を低くする性質を有する成分でもある。
他方で、Ti4+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減し、またはNb及びW6+の少なくとも一方の含有率を13.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高いアッベ数を得易くすることができる。加えて、Ti4+及びW6+の含有率をこれらの範囲内に低減させることで、ガラスの着色を低減することができる。従って、Ti4+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。また、Nb及びW6+の含有率は、それぞれ好ましくは13.0%を上限とし、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは4.0%未満とする。
Zr4+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高める性質を有する任意成分である。
他方で、Zr4+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラス中の成分の揮発による脈理を低減することができる。そのため、Zr4+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Ta5+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高める性質を有する任意成分である。
他方で、Ta5+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの失透を低減することができる。そのため、Ta5+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Ge4+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、耐失透性を高める性質を有する任意成分である。
他方で、Ge4+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの材料コストを低減することができる。そのため、Ge4+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Bi3+及びTe4+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、ガラス転移点を低くする性質を有する任意成分である。
他方で、Bi3+及びTeの少なくとも一方の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの着色や失透を低減することができる。そのため、Bi3+及びTeの含有率は、それぞれ好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
[アニオン成分について]
は、ガラスの異常分散性及びアッベ数を高め、ガラス転移点を低くし、ガラスを失透し難くする性質を有する。そのため、Fの含有率の下限は、好ましくは11.0%、より好ましくは14.0%、さらに好ましくは17.0%、さらに好ましくは20.0%とする。
他方で、Fは、含有率が多いと、ガラスのアッベ数を過剰に高め、磨耗度を低下させる性質を有する。そのため、Fの含有率は、好ましくは44.0%、より好ましくは41.0%、さらに好ましくは38.0%、さらに好ましくは35.0%を上限とする。
2-は、ガラスの失透を抑制し、磨耗度の上昇を抑制する性質を有する。そのため、O2-の含有率は、好ましくは56.0%、より好ましくは59.0%、さらに好ましくは62.0%、さらに好ましくは65.0%を下限とする。
他方で、他のアニオン成分による効果を得易くするため、O2-の含有率は、好ましくは89.0%、より好ましくは86.0%、さらに好ましくは83.0%、さらに好ましくは80.0%を上限とする。
また、ガラスの失透を抑制する観点から、O2-の含有率とFの含有率の合計は、好ましくは98.0%、より好ましくは99.0%を下限とし、さらに好ましくは100%とする。
[その他の成分について]
本発明の光学ガラスには、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加できる。
[含有すべきでない成分について]
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の遷移金属のカチオンは、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
Pb、As、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeのカチオンは、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらのうち1種以上を実質的に含有しないことが好ましい。
なお、本明細書における「実質的に含有しない」とは、好ましくは含有量を0.1%未満にすることであり、より好ましくは不可避不純物として含まれるものを除いて含有しないことである。
SbやCeのカチオンは、脱泡剤として有用ではあるが、環境に不利益を及ぼす成分として、近年光学ガラスに含めないようにする傾向がある。そのため、本発明の光学ガラスでは、このような点からSbやCeも実質的に含有しないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又はアルミナ坩堝又は白金坩堝に投入して粗溶融した後、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて900~1200℃の温度範囲で2~10時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、850℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより製造することができる。
[物性]
本発明の光学ガラスは、平均線膨張係数(α)が小さいことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスは、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003に規定される100~300℃における平均線膨張係数αが、好ましくは140×10-7-1、より好ましくは135×10-7-1、さらに好ましくは130×10-7-1を上限とする。これにより、精密モールドブレス成形やリヒートプレス成形等の加熱成形を行っても、温度変化等による不良が低減されるため、安定してレンズ等の光学素子を作製することができる。
なお、本発明の光学ガラスの平均線膨張係数(α)の下限は特に限定されないが、本発明の光学ガラスの平均線膨張係数(α)は、例えば90×10-7-1、100×10-7-1又は110×10-7-1を下限としてもよい。
本発明の光学ガラスは、高い屈折率(n)を有するとともに、低い分散性(高いアッベ数)を有する。
本発明の光学ガラスは、屈折率(n)が1.52以上1.67以下であることが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスは、屈折率の下限が、好ましくは1.52、より好ましくは1.55、さらに好ましくは1.57である。他方で、本発明の光学ガラスは、屈折率(n)の上限が、好ましくは1.67、より好ましくは1.65、さらに好ましくは1.63である。
本発明の光学ガラスは、アッベ数(ν)が55以上73以下であることが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスは、アッベ数(ν)の下限が、好ましくは55、より好ましくは57、さらに好ましくは58である。他方で、本発明の光学ガラスは、アッベ数(ν)の上限が、好ましくは73、より好ましくは71、さらに好ましくは69である。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長による焦点のずれ(色収差)を小さくできる。そのため、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
また、本発明の光学ガラスは、特徴的な部分分散比(θg,F)及び異常分散性(Δθg,F)を有することが好ましく、それにより色収差を高精度に補正することも可能である。ここで、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、0.520以上が好ましく、0.525以上がより好ましく、0.530以上がさらに好ましい。また、部分分散比(θg,F)の上限は、0.580以下が好ましく、0.575以下がより好ましく、0.570以下がさらに好ましい。
ここで、部分分散比(θg,F)とは、屈折率の波長依存性のうち、ある2つの波長域における屈折率の差の割合を示すものであり、次の式(1)で表される。
θg,F=(ng-nF)/(nF-nC)・・・・・・式(1)
ここでngはg線(435.83nm)、nFはF線(486.13nm)、nCはC線(656.27nm)における屈折率を意味する。
そして、この部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)との関係をXYグラフ上にプロットすると、一般的な光学ガラスの場合、ほぼ、ノーマルラインと呼ばれる直線上にプロットされることになる。ノーマルラインの基準となるノーマルガラスは、光学ガラスメーカー毎によっても異なるが、各社ともほぼ同等の傾きと切片で定義している。ここで、本明細書におけるノーマルラインは、部分分散比(θg,F)を縦軸に、アッベ数(ν)を横軸に採用したXYグラフ上(直交座標上)で、NSL7とPBM2の部分分散比及びアッベ数をプロットした2点を結ぶ右上がりの直線とする。(NSL7とPBM2は株式会社オハラ社製の光学ガラスであり、NSL7のアッベ数(ν)は60.5、部分分散比(θg,F)は0.5436であり、PBM2のアッベ数(ν)は36.3,部分分散比(θg,F)は0.5828である)。
他方で、異常分散性(Δθg,F)とは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(ν)のプロットが、上述のノーマルラインから縦軸方向にどの程度離れているかを示すものである。本発明の光学ガラスは、この異常分散性(Δθg,F)が大きいため、青色付近の波長範囲について、他のレンズによって生じていた色収差を補正することができる性質を有する。
なお、屈折率(n)、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01―2003に基づいて測定して得られる値である。
本発明の光学ガラスは、高い耐酸性を有することが好ましい。特に、JOGIS06-1999に準じたガラスの粉末法による化学的耐久性(耐酸性)は、好ましくはクラス1~3、より好ましくはクラス1~2、さらに好ましくはクラス1である。これにより、光学ガラスを研磨加工する際に、酸性の研磨液や洗浄液によるガラスの曇りが低減されるため、研磨加工をより行い易くすることができる。ここで「耐酸性」とは、酸によるガラスの侵食に対する耐久性であり、この耐酸性は、日本光学硝子工業会規格JOGIS06-1999「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」に基づいて測定する。ここで、化学的耐久性(耐酸性)の「クラス1」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%未満であり、「クラス2」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.20質量%以上0.35質量%未満であり、「クラス3」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.35質量%以上0.65質量%未満であり、「クラス4」は、測定前後の試料の質量の減量率が0.65質量%以上1.20質量%未満であり、「クラス5」は、測定前後の試料の質量の減量率が1.20質量%以上2.20質量%未満であり、「クラス6」は、測定前後の試料の質量の減量率が2.20質量%以上である。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密モールドプレス成形等の加熱成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密モールドプレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用である。その中でも特に、本発明の光学ガラスからプリフォームを形成し、このプリフォームを用いてリヒートプレス成形や精密モールドプレス成形等を行い、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、径の大きなプリフォームの形成が可能になるため、光学素子の大型化を図りながらも、光学機器に用いたときに高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現できる。
本発明の光学ガラスからなるガラス成形体は、例えばレンズ、プリズム、ミラー等の光学素子の用途に用いることができ、典型的には車載用光学機器やプロジェクタやコピー機等の、高温になり易い機器に用いることができる。
本発明の光学ガラスである実施例(No.1~No.38)及び比較例(No.A)のガラスの組成(カチオン%表示又はアニオン%表示のモル%で示す)、屈折率(n)、アッベ数(ν)、部分分散比(θg,F)、平均線膨張係数(α)、粉末法による化学的耐久性(耐酸性)の結果を表1~表5に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
実施例及び比較例の光学ガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の弗燐酸塩ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の溶融難易度に応じて電気炉で900~1200℃の温度範囲で2~10時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、850℃以下に温度を下げてから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
実施例及び比較例のガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)は、JIS B 7071-2:2018に規定されるVブロック法に準じて測定した。ここで、屈折率(n)は、ヘリウムランプのd線(587.56nm)に対する測定値で示した。また、アッベ数(ν)は、ヘリウムランプのd線に対する屈折率と、水素ランプのF線(486.13nm)に対する屈折率(n)、C線(656.27nm)に対する屈折率(n)の値を用いて、アッベ数(ν)=[(n-1)/(n-n)]の式から算出した。また、部分分散比(θg,F)は、g線(435.83nm)に対する屈折率(n)、水素ランプのF線に対する屈折率(n)、C線に対する屈折率(n)の値を用いて、部分分散比(θg,F)=[(n-n)/(n-n)]の式から算出した。これらの屈折率(n)、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)は、徐冷降温速度を-25℃/hrにして得られたガラスについて測定を行うことで求めた。
実施例及び比較例のガラスの平均線膨張係数(α)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に従い、100~300℃における平均線膨張係数を求めた。
実施例及び比較例のガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05-1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定した。
実施例及び比較例のガラスの耐酸性は、日本光学硝子工業会規格JOGIS06-1999「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」に基づいて測定した。すなわち、粒度425~600μmに破砕したガラス試料を比重ビンにとり、白金かごの中に入れた。白金かごを0.01N硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコに入れて、沸騰水浴中で60分間処理した後のガラス試料の減量率(質量%)を算出した。この減量率の値に基づいて、ガラスの耐酸性のクラスを特定した。
Figure 0007082936000001
Figure 0007082936000002
Figure 0007082936000003
Figure 0007082936000004
Figure 0007082936000005
表に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも平均線膨張係数αが140×10-7-1以下であり、所望の範囲内であった。他方で、本発明の範囲外である比較例Aは、この平均線膨張係数(α)が140×10-7-1を上回っていた。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例Aのガラスに比べて平均線膨張係数(α)が小さいことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率が1.52以上、より詳細には1.57以上であり、所望の範囲内であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数が55以上、より詳細には58以上であり、所望の範囲内であった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率及びアッベ数が所望の範囲内にあり、平均線膨張係数が小さいことが明らかになった。このことから、本発明の実施例の光学ガラスは、より安定して加熱成形することが可能なため、光学系の高解像度化及び小型化に寄与しうることが推察される。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも粉末法による化学的耐久性(耐酸性)がクラス1~3の範囲内にあり、より詳細にはクラス1であった。他方で、比較例のガラスは、粉末法による化学的耐久性(耐酸性)がクラス3であった。このため、実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて耐酸性に優れていることが明らかになった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、研磨加工用プリフォームを形成した後で研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。また、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、精密モールドプレス成形用のプリフォームを形成し、このプリフォームを精密モールドプレス成形加工してレンズ及びプリズムの形状に加工した。いずれの場合も、様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (10)

  1. カチオン%(モル%)表示で、
    5+の含有率が23.0%以上52.0%以下、
    Al3+の含有率が0%を超え23.0%以下、
    Mg2+の含有率が0%を超え20.0%以下、
    Ca2+の含有率が0%を超え19.0%以下、
    Sr2+の含有率が2.0%を超え17.0%以下、
    Ba2+の含有率が3.0%以上41.0%以下、
    Zn2+の含有率が6.0%を超え25.0%以下
    であり、
    アニオン%(モル%)表示で、
    の含有率が11.0%以上44.0%以下、
    2-の含有率が56.0%以上89.0%以下
    であり、
    屈折率(n)が1.52以上1.67以下、アッベ数(ν)が55以上73以下であり、
    日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003に規定される100~300℃における平均線膨張係数αが140×10-7-1以下である光学ガラス。
  2. Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群から選ばれる1種以上の合計含有率(R2+:カチオン%)が21.0~49.0%である請求項1記載の光学ガラス。
  3. Ba2+の含有率に対するZn2+の含有率の比(Zn2+/Ba2+)が0.1以上である請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. カチオン%(モル%)表示で、
    La3+の含有率が0~13.0%、
    Gd3+の含有率が0~18.0%、
    3+の含有率が0~13.0%、
    Yb3+の含有率が0~13.0%、
    Lu3+の含有率が0~13.0%
    である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
  5. 3+、La3+、Gd3+、Yb3+及びLu3+からなる群から選択される1種以上の合計含有率(Ln3+:カチオン%)が0~20.0%である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
  6. カチオン%(モル%)表示で、
    Liの含有率が0~10.0%、
    Naの含有率が0~10.0%、
    の含有率が0~10.0%
    である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
  7. Li、Na及びKからなる群から選択される1種以上の合計含有率(Rn:カチオン%)が10.0%以下である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
  8. カチオン%(モル%)表示で、
    Si4+の含有率が0~10.0%、
    3+の含有率が0~13.0%、
    Ti4+の含有率が0~10.0%、
    Nb5+の含有率が0~13.0%、
    6+の含有率が0~13.0%、
    Zr4+の含有率が0~10.0%、
    Ta5+の含有率が0~10.0%、
    Ge4+の含有率が0~10.0%、
    Bi3+の含有率が0~10.0%、
    Te4+の含有率が0~10.0%
    である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。
  9. 請求項1から8のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  10. 請求項1から8のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密モールドプレス成形用のプリフォーム。
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