JP7099935B2 - 光学ガラス、光学素子及びプリフォーム - Google Patents
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Description
La3+の含有率が0~15.0%、
Gd3+の含有率が0~10.0%、
Y3+の含有率が0~10.0%、
Yb3+の含有率が0~10.0%、
である(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
Li+の含有率が0~10.0%、
Na+の含有率が0~10.0%、
K+の含有率が0~10.0%
である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
Si4+の含有率が0~10.0%、
B3+の含有率が0~10.0%、
Ti4+の含有率が0~10.0%、
Nb5+の含有率が0~10.0%、
W6+の含有率が0~10.0%、
Zr4+の含有率が0~10.0%、
Ta5+の含有率が0~10.0%、
Ge4+の含有率が0~10.0%、
Bi3+の含有率が0~10.0%、
Te4+の含有率が0~10.0%
である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
本発明の光学ガラスを構成する各成分について説明する。
本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全てモル比に基づくカチオン%又はアニオン%で表示されるものとする。ここで、「カチオン%」及び「アニオン%」(以下、「カチオン%(モル%)」及び「アニオン%(モル%)」と表記することがある)は、本発明の光学ガラスのガラス構成成分をカチオン成分及びアニオン成分に分離し、それぞれにおいて合計割合を100モル%として、ガラス中に含有される各成分の含有率を表記した組成である。
なお、各成分のイオン価は便宜的に代表値を用いているに過ぎないため、他のイオン価のものと区別するものではない。光学ガラス中に存在する各成分のイオン価は、代表値以外である可能性がある。例えば、Pは、通常イオン価が5価の状態でガラス中に存在するので、本明細書中では「P5+」と表しているが、他のイオン価の状態で存在する可能性がある。このように、厳密には他のイオン価の状態で存在するものであっても、本明細書では、各成分が代表値のイオン価でガラス中に存在するものとして扱う。
P5+は、ガラス形成成分であり、ガラスの異常分散性を高め、失透を抑制し、屈折率を高める性質を有する。そのため、P5+の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは22.0%、さらに好ましくは24.0%を下限とする。
他方で、P5+の含有率を38.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高いアッベ数を得易くすることができ、また、線膨張係数を低くすることができる。そのため、P5+の含有率は、好ましくは38.0%以下、より好ましくは32.0%未満、さらに好ましくは30.0%未満とする。
他方で、Al3+の含有率を33.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Al3+の含有率は、好ましくは33.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは27.0%、さらに好ましくは24.0%を上限とする。
他方で、Mg2+の含有率を23.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Mg2+の含有率は、好ましくは23.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは17.0%、さらに好ましくは14.0%を上限とする。
他方で、Ca2+の含有率を35.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの耐失透性を高め、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Ca2+の含有率は、好ましくは35.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは28.0%を上限とする。
他方で、Sr2+の含有率を35.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの耐失透性を高め、所望の高い屈折率を得易くすることができる。そのため、Sr2+の含有率は、好ましくは35.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは26.0%を上限とする。
他方で、Ba2+の含有率を25.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの耐失透性を高め、比重を小さくし、また、線膨張係数を小さくすることができる。そのため、Ba2+の含有率は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは17.0%未満とする。
他方で、Zn2+の含有率を22.0%以下の範囲内に低減することで、所望の低いアッベ数を得易くすることができる。そのため、Zn2+の含有率は、好ましくは22.0%、より好ましくは18.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは13.0%を上限とする。
ここで、R2+の合計含有率を30.0~60.0%の範囲内にすることで、より耐失透性の高いガラスを得ることができる。
そのため、R2+の合計含有率の下限は、好ましくは30.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは37.0%、さらに好ましくは39.0%とする。また、R2+の合計含有率の上限は、好ましくは60.0%、より好ましくは58.0%、さらに好ましくは55.0%、さらに好ましくは52.0%、さらに好ましくは50.0%とする。
他方で、(Zn2+/P5+)比の上限は、好ましくは0.800、より好ましくは0.600、さらに好ましくは0.500としてもよい。
他方で、(Zn2++Mg2+)/(Ca2++Sr2++Ba2+)比の上限は、安定なガラスを得る観点で、好ましくは1.50、より好ましくは1.20、さらに好ましくは1.00、さらに好ましくは0.80としてもよい。
他方で、La3+の含有率を15.0%以下の範囲内に低減し、又は、Gd3+、Y3+、Yb3+及びLu3+のうち、少なくともいずれかの含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの異常分散性を低下し難くし、また、ガラスの安定性を高めて失透し難くすることができる。そのため、La3+の含有率は、好ましくは15.0%を上限とし、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満とする。また、Gd3+、Y3+、Yb3+及びLu3+の含有率は、それぞれ好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
ここで、Ln3+の合計含有率を15.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの異常分散性を低下し難くし、ガラスを失透し難くすることができ、また、高屈折率及び低分散を有するガラスを得易くすることができる。そのため、Ln3+の合計含有率は、好ましくは15.0%を上限とし、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、Li+、Na+及びK+のうち、少なくともいずれかの含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの磨耗度を低減し、化学的耐久性を高めることができる。そのため、Li+、Na+及びK+の含有率は、それぞれ好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
ここで、Rn+の合計含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの磨耗度を低減し、化学的耐久性を高めることができる。そのため、Rn+の合計含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、Si4+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、Si4+の過剰含有によるガラスの失透を低減することができる。そのため、Si4+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、B3+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。そのため、B3+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、Ti4+、Nb5及びW6+のうち、少なくともいずれかの含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、所望の高いアッベ数を得易くすることができる。加えて、Ti4+及びW6+の含有率を低減させることで、ガラスの着色を低減することができる。従って、Ti4+、Nb5及びW6+の含有率は、それぞれ好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、Zr4+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラス中の成分の揮発による脈理を低減することができる。そのため、Zr4+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、Ta5+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの失透を低減することができる。そのため、Ta5+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、Ge4+の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの材料コストを低減することができる。そのため、Ge4+の含有率は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
他方で、Bi3+及びTe4の少なくとも一方の含有率を10.0%以下の範囲内に低減することで、ガラスの着色や失透を低減することができる。そのため、Bi3+及びTe4の含有率は、それぞれ好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
F-は、ガラスの異常分散性及びアッベ数を高め、ガラス転移点を低くし、ガラスを失透し難くする性質を有する。そのため、F-の含有率の下限は、好ましくは35.0%、より好ましくは38.0%、さらに好ましくは40.0%、さらに好ましくは43.0%とする。
他方で、F-は、含有率が多いと、ガラスのアッベ数を過剰に高め、磨耗度を低下させる性質を有する。そのため、F-の含有率は、好ましくは75.0%、より好ましくは70.0%、さらに好ましくは68.0%を上限とする。
他方で、他のアニオン成分による効果を得易くするため、O2-の含有率は、より好ましくは65.0%、より好ましくは60.0%、さらに好ましくは57.0%を上限とする。
本発明の光学ガラスには、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加できる。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又はアルミナ坩堝又は白金坩堝に投入して粗溶融した後、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて900~1200℃の温度範囲で2~10時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、850℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより製造することができる。
本発明の光学ガラスは、平均線膨張係数(α)が小さいことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスは、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003に規定される100~300℃における平均線膨張係数が、好ましくは170×10-7℃-1、より好ましくは165×10-7℃-1、さらに好ましくは160×10-7℃-1、さらに好ましくは155×10-7℃-1を上限とする。これにより、精密モールドブレス成形やリヒートプレス成形等の加熱成形を行っても、温度変化等による不良が低減されるため、安定してレンズ等の光学素子を作製することができる。
なお、本発明の光学ガラスの平均線膨張係数(α)の下限は特に限定されないが、本発明の光学ガラスの平均線膨張係数(α)は、例えば100×10-7℃-1、110×10-7℃-1又は120×10-7℃-1を下限としてもよい。
本発明の光学ガラスは、屈折率(nd)が1.48以上1.58以下であることが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスは、屈折率の下限が、好ましくは1.48、より好ましくは1.49、さらに好ましくは1.50、さらに好ましくは1.505である。他方で、本発明の光学ガラスは、屈折率(nd)の上限が、好ましくは1.58、より好ましくは1.56、さらに好ましくは1.55である。
本発明の光学ガラスは、アッベ数(νd)が68以上82以下であることが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスは、アッベ数(νd)の下限が、好ましくは68、より好ましくは69、さらに好ましくは70である。他方で、本発明の光学ガラスは、アッベ数(νd)の上限が、好ましくは82、より好ましくは80、さらに好ましくは79である。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長による焦点のずれ(色収差)を小さくできる。そのため、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
θg,F=(ng-nF)/(nF-nC)・・・・・・式(1)
ここでngはg線(435.83nm)、nFはF線(486.13nm)、nCはC線(656.27nm)における屈折率を意味する。
そして、この部分分散比(θg,F)とアッベ数(νd)との関係をXYグラフ上にプロットすると、一般的な光学ガラスの場合、ほぼ、ノーマルラインと呼ばれる直線上にプロットされることになる。ノーマルラインの基準となるノーマルガラスは、光学ガラスメーカー毎によっても異なるが、各社ともほぼ同等の傾きと切片で定義している。ここで、本明細書におけるノーマルラインは、部分分散比(θg,F)を縦軸に、アッベ数(νd)を横軸に採用したXYグラフ上(直交座標上)で、NSL7とPBM2の部分分散比およびアッベ数をプロットした2点を結ぶ右上がりの直線とする。(NSL7とPBM2は株式会社オハラ社製の光学ガラスであり、NSL7のアッベ数(νd)は60.5、部分分散比(θg,F)は0.5436であり、PBM2のアッベ数(νd)は36.3,部分分散比(θg,F)は0.5828である)。
なお、本発明の光学ガラスのガラス転移点の下限は特に限定されないが、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは350℃、より好ましくは400℃、さらに好ましくは420℃を下限としてもよい。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05-1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密モールドプレス成形等の加熱成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密モールドプレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
Claims (9)
- カチオン%(モル%)表示で、
P5+の含有率が20.0%以上30.0%未満、
Al3+の含有率が12.0%を超え27.0%以下、
Mg2+の含有率が2.0%を超え17.0%以下、
Ca2+の含有率が0%以上30.0%以下、
Sr2+の含有率が0%を超え30.0%以下、
Ba2+の含有率が1.0%を超え20.0%未満、
Zn2+の含有率が3.0%を超え15.0%以下
であり、
前記P 5+ の含有率に対する前記Zn 2+ の含有率の比(Zn 2+ /P 5+ )が0.219超であり、
アニオン%(モル%)表示で、
F-の含有率が35.0%以上75.0%以下、
O2-の含有率が25.0%以上65.0%以下
であり、
屈折率(nd)が1.48以上1.58以下、アッベ数(νd)が68以上82以下であり、
日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003に規定される100~300℃における平均線膨張係数αが170×10-7℃-1以下である光学ガラス。 - Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群から選ばれる1種以上の合計含有率(R2+:カチオン%)が30.0~59.0%である請求項1に記載の光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、
La3+の含有率が0~15.0%、
Gd3+の含有率が0~10.0%、
Y3+の含有率が0~10.0%、
Yb3+の含有率が0~10.0%、
である請求項1または2に記載の光学ガラス。 - Y3+、La3+、Gd3+、Yb3+及びLu3+からなる群から選択される1種以上の合計含有率(Ln3+:カチオン%)が0~15.0%である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、
Li+の含有率が0~10.0%、
Na+の含有率が0~10.0%、
K+の含有率が0~10.0%
である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。 - Li+、Na+及びK+からなる群から選択される1種以上の合計含有率(Rn+:カチオン%)が10.0%以下である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、
Si4+の含有率が0~10.0%、
B3+の含有率が0~10.0%、
Ti4+の含有率が0~10.0%、
Nb5+の含有率が0~10.0%、
W6+の含有率が0~10.0%、
Zr4+の含有率が0~10.0%、
Ta5+の含有率が0~10.0%、
Ge4+の含有率が0~10.0%、
Bi3+の含有率が0~10.0%、
Te4+の含有率が0~10.0%
である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。 - 請求項1から7のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項1から7のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密モールドプレス成形用のプリフォーム。
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