JP7082566B2 - 不透明な弾球遊技用樹脂基盤とその製造方法、及び、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤 - Google Patents
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Description
また、ゴム粒子を含むメタクリル系樹脂組成物からなる樹脂シートを長時間連続的に押出成形すると、樹脂シートの内部に、樹脂劣化によるヤケ異物及びゴム粒子の凝集物等の異物が発生する場合がある。特に、シート、フィルム、又は他の任意の形状の成形品として1回以上成形加工されたことのある成形材料であるリワーク材を用いて樹脂シートを製造する場合、上記異物の生成がより顕著となる傾向がある。透明樹脂シートにおいて、上記異物は欠点として視認され、外観品質上好ましくなく、製品として不適切である。押出機の先端にスクリーンメッシュ等のフィルターを設置することで、上記異物をろ過により取り除くことができるが、長時間生産後にフィルターが目詰まりすれば、押出機を停止して、フィルターを新品に交換する必要があり、生産性が低下する。
[1] 85~50質量%のメタクリル系樹脂(PM)と15~50質量%の多層構造ゴム粒子(RP)とを含有し、厚みが8~22mmであるメタクリル系樹脂層を含む樹脂シートからなり、全光線透過率が30%以下である、弾球遊技用樹脂基盤。
[2] JIS K8722に準拠して測定される反射モードでの測色データにおいて、a*の絶対値が20以下、b*の絶対値が20以下である、[1]の弾球遊技用樹脂基盤。
[3] JIS K8722に準拠して測定される反射モードでの測色データにおいて、L*が20以下である、[1]又は[2]の弾球遊技用樹脂基盤。
[4] 前記メタクリル系樹脂層が黒色顔料及び/又は組合せにより黒色を呈する2種類以上の有機染料を含有する、[1]~[3]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[5] 前記メタクリル系樹脂層の厚みをA(mm)とし、前記メタクリル系樹脂層中の着色剤の含有量をC(質量%)としたとき、下記式(1)を充足する、[1]~[4]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
0.01≦C×A≦5.0・・・(1)
[6] JIS K7111に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が3.0kJ/m2以上である、[1]~[5]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[7] 前記メタクリル系樹脂層の全原料樹脂のうち100~61質量%が、前記弾球遊技用樹脂基盤に使用される前に1回以上成形加工に使用されたことのあるリワーク材である、[1]~[6]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[8] 前記樹脂シートは、前記メタクリル系樹脂層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートである、[1]~[7]のいずれかの弾球遊技用樹脂基盤。
[10] 前記印刷フィルム側から当該印刷フィルムを貫通して前記弾球遊技用樹脂基盤の内部又は裏面に到達する釘打ち用の孔が形成された、[9]の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
[11] 前記釘打ち用の孔の内部に釘が打ち込まれた、[10]の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)とを含有するメタクリル系樹脂層を含む樹脂シートからなる。樹脂シートは、上記メタクリル系樹脂層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートであってもよい。本発明の弾球遊技用樹脂基盤中のメタクリル樹脂組成物の含有量は特に制限されず、好ましくは20~100質量%である。
メタクリル系樹脂層の厚みAは8~22mmであり、好ましくは8~19mm、より好ましくは8~16mmである。メタクリル系樹脂層は、厚みAが8mm以上であれば、釘を良好に保持することができ、厚みAが22mm以下であれば、切削加工性が良好となる。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、全光線透過率が30%以下である不透明な基盤である。
メタクリル系樹脂層は、メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)とを含有するメタクリル系樹脂組成物からなる。
メタクリル系樹脂(PM)は光沢、透明性、及び表面硬度等に優れる樹脂であるが、一般的にメタクリル系樹脂単独では耐衝撃性が不充分である。メタクリル系樹脂(PM)に多層構造ゴム粒子(RP)を添加することで、耐衝撃性が改善され、釘打ち時の樹脂割れが抑制される。釘打ち時の樹脂割れが抑制される結果、樹脂割れによる打ち釘の保持力の低下が抑制される。
メタクリル系樹脂組成物中の多層構造ゴム粒子(RP)の濃度が高くなる程、耐衝撃性が高くなるが、NC(numerical control machining)加工機(多軸孔開け機)等を用いた孔開け加工又はルーター(トリミング)等を用いた切削加工の際には、樹脂融着により適切な加工が困難となる恐れがある。また、切削加工面の光沢性が低下したり、切削加工面に欠けが生じる恐れがある。
メタクリル系樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(PM)の含有量は85~50質量%であり、好ましくは80~55質量%、より好ましくは78~60質量%、特に好ましくは76~64質量%である。メタクリル系樹脂組成物中の多層構造ゴム粒子(RP)の含有量は15~50質量%であり、好ましくは20~45質量%、より好ましくは22~40質量%、特に好ましくは24~36質量%である。メタクリル系樹脂組成物の組成をこのように設計することで、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好な弾球遊技用樹脂基盤が安定的に得られる。
メタクリル系樹脂(PM)は、好ましくはメタクリル酸メチル(MMA)を含む1種以上のメタクリル酸炭化水素エステル(以下、単に「メタクリル酸エステル」とも言う。)に由来する構造単位を含む単独重合体又は共重合体である。メタクリル酸エステル中の炭化水素基は、メチル基、エチル基、及びプロピル基等の非環状脂肪族炭化水素基であっても、脂環式炭化水素基であっても、フェニル基等の芳香族炭化水素基であってもよい。メタクリル系樹脂(PM)中のメタクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
多層構造ゴム粒子(RP)は、好ましくはアクリル系多層構造ゴム粒子である。多層構造ゴム粒子(RP)としては、1種以上のアクリル酸アルキルエステル共重合体を含む1層以上のグラフト共重合体層を含むアクリル系多層構造ゴム粒子が挙げられる。かかるアクリル系多層構造ゴム粒子としては、特開2004-352837号公報等に開示のものを使用できる。アクリル系多層構造ゴム粒子は好ましくは、炭素数6~12のアクリル酸アルキルエステル単位を含む架橋重合体層を含むことができる。
多層構造ゴム粒子(RP)の層数は特に制限されず、2層でも3層以上でもよい。好ましくは、多層構造ゴム粒子(RP)は、最内層(RP-a)と1層以上の中間層(RP-b)と最外層(RP-c)とを含む3層以上のコアシェル多層構造粒子である。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、全光線透過率が30%以下であり、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下である。
メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)とを含有するメタクリル系樹脂層を含む樹脂シートを長時間連続的に押出成形すると、樹脂シートの内部に、樹脂劣化によるヤケ異物及びゴム粒子の凝集物等の異物が発生する場合がある。特に、シート、フィルム、又は他の任意の形状の成形品として1回以上成形加工されたことのある成形材料であるリワーク材を用いて樹脂シートを製造する場合、上記異物の生成はより顕著となる傾向がある。
全光線透過率が30%以下であれば、本発明の弾球遊技用樹脂基盤は充分に不透明となり、内部に上記異物が存在していても、遊技者からは異物が欠点として視認されにくく、外観品質が良好なものとなる。上記全光線透過率は例えば、メタクリル系樹脂組成物に着色剤及び/又はメタクリル系樹脂(PM)と屈折率の異なる樹脂を添加することで、実現することができる。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤の色調は特に制限されず、JIS K8722に準拠して測定される反射モード(ただし、正反射は含まない)での測色データにおいて、a*の絶対値、b*の絶対値はいずれも、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは7以下、最も好ましくは5以下である。
また、JIS K8722に準拠して測定される反射モード(ただし、正反射は含まない)での測色データにおいて、L*(明度)の値は、好ましくは20以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは15以下、特に好ましくは13以下、最も好ましくは10以下である。
弾球遊技用樹脂基盤の内部に異物が存在していても外観品質上問題とならないため、原料の少なくとも一部に、異物を生成しやすいリワーク材を用いることができる。また、弾球遊技用樹脂基盤の色調を黒色又はそれに近い色調に調整する場合には、原料として用いるリワーク材の色調は特に制限されず、任意の色調のリワーク材を原料として使用することができる。これらのことは、原料コスト低減及び地球環境保護の観点から、好ましい。
上記色調は例えば、メタクリル系樹脂組成物に着色剤及び/又はメタクリル系樹脂(PM)と屈折率の異なる樹脂を添加することで、実現することができる。
着色剤としては、顔料及び有機染料が挙げられる。着色剤は、1種又は2種以上用いることができる。
顔料としては、カーボンブラック、マグネタイト型四酸化三鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、及び有機顔料等が挙げられる。
有機染料としては、アンスラキノン類、アゾ類、アントラピリドン類、ペリレン類、アントラセン類、ペリノン類、インダンスロン類、キナクリドン類、キサンテン類、チオキサンテン類、オキサジン類、オキサゾリン類、インジゴイド類、チオインジゴイド類、キノフタロン類、ナフタルイミド類、シアニン類、メチン類、キノリン類、ピラゾロン類、ラクトン類、クマリン類、ビス-ベンズオキサゾリルチオフェン類、ナフタレンテトラカルボン酸類、フタロシアニン類、トリアリールメタン類、アミノケトン類、ビス(スチリル)ビフェニル類、アジン類、ローダミン類、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
弾球遊技用樹脂基盤を黒色とし、内部に存在する異物を効果的に隠蔽する観点から、カーボンブラック等の黒色顔料及び/又は組合せにより黒色又はそれに近い色調を呈する2種類以上の有機染料が好ましい。
0.01≦C×A≦5.0・・・(1)
(上記式中、Cはメタクリル系樹脂層中の着色剤(好ましくは黒色顔料及び/又は2種類以上の有機染料)の含有量(質量%)を示し、Aはメタクリル系樹脂層の厚み(mm)を示す。)
本発明の弾球遊技用樹脂基盤は、上記式(1)を充足することで、充分に不透明となり、内部の異物を効果的に隠蔽することができる。C×Aは、好ましくは0.01~5.0、より好ましくは0.02~2.0、さらに好ましくは0.03~1.0、特に好ましくは0.04~0.50、最も好ましくは0.05~0.3である。
メタクリル系樹脂(PM)と屈折率の異なる樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、メタクリル系樹脂(PM)との屈折率差が0.01以上である樹脂が好ましい。具体的には、変性メタクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体)、及びABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹;ポリ塩化ビニル;ポリエステル;ポリアミド;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリフェニレンオキサイド;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いることができる。
メタクリル系樹脂組成物は必要に応じて、着色剤及びメタクリル系樹脂(PM)と屈折率の異なる樹脂以外の他の各種添加剤を含むことができる。他の添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、光拡散剤、艶消し剤、ブロック共重合体等の耐衝撃性改質剤、及び蛍光体等が挙げられる。メタクリル系樹脂組成物中のこれら添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定できる。メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)との合計100質量部に対して、例えば、酸化防止剤の含有量は0.01~1質量部、紫外線吸収剤の含有量は0.01~3質量部、光安定剤の含有量は0.01~3質量部、滑剤の含有量は0.01~3質量部が好ましい。
メタクリル系樹脂組成物に、着色剤、メタクリル系樹脂(PM)と屈折率の異なる樹脂、又は他の各種添加剤を添加させる場合、添加タイミングは特に制限されず、メタクリル系樹脂(PM)の重合時、多層構造ゴム粒子(RP)の重合時、メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)の混合時のいずれのタイミングでもよい。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤のJIS K7111に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度(測定条件:ノッチあり)は特に制限されず、釘打ち時の樹脂割れを効果的に抑制する観点から、好ましくは3.0kJ/m2以上、より好ましくは3.5kJ/m2以上、さらに好ましくは3.7kJ/m2以上、特に好ましくは4.0kJ/m2以上、最も好ましくは4.5kJ/m2以上である。
シャルピー衝撃強度は、メタクリル系樹脂層中の多層構造ゴム粒子(RP)及び/又は着色剤の含有量等によって調整することができる。
本発明の弾球遊技用樹脂基盤を構成する樹脂シートは、メタクリル系樹脂層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートであってもよい。他の樹脂層の構成樹脂としては特に制限されず、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びこれらの樹脂の組成物等が挙げられる。
メタクリル系樹脂層を含む単層構造又は積層構造の樹脂シートは、押出成形法、キャスト成形法、及び射出成形法等の公知の成形方法を用いて成形することができる。メタクリル系樹脂層中の多層構造ゴム粒子(RP)の均一分散性等の観点から、押出成形法が好ましい。積層シートの場合は、共押出成形法が好ましい。
メタクリル系樹脂(PM)、多層構造ゴム粒子(RP)、必要に応じて着色剤及び/又はメタクリル系樹脂(PM)と屈折率の異なる樹脂、及び必要に応じて他の添加剤を押出機に投入し、溶融混練し、得られた溶融状態の樹脂組成物をTダイからシート状の形態で押出し、複数の冷却ロールを用いて加圧及び冷却し、引取りロールによって引き取ることで、単層構造の樹脂シートを成形することができる。
積層構造の場合は、溶融状態の各層の樹脂原料をTダイ流入前に積層するフィードブロック方式又はTダイ内部で積層するマルチマニホールド方式にて積層した後、Tダイから積層シート状の形態で押出し、複数の冷却ロールを用いて加圧及び冷却し、引取りロールによって引き取ることで、成形することができる。
「バージン材」とは、過去に成形加工に供されたことが一度もない成形材料である。
「リワーク材」とは、過去に、シート、フィルム、又は他の任意の形状の成形品として1回以上成形加工されたことのある成形材料である。リワーク材として利用される成形品としては、押出成形においてシート幅方向の両端部のトリミング処理によって生成された端材、押出成形において生産条件の調整時等に発生する板厚等の物性が規格外である規格外品、弾球遊技用樹脂基盤の切削加工によって生じる端材、押出成形以外の方法で成形された規格外成形品(射出成形品等)等が挙げられる。製品として出荷されない端材及び規格外品等を用いて得られたリワーク材を用いることで、資源を有効利用でき、好ましい。
リワーク材の使用量が増加するにつれて、メタクリル系樹脂層の全光線透過率が低下する傾向がある。リワーク材を使用することで、着色剤及び/又はメタクリル系樹脂(PM)と屈折率の異なる樹脂の使用量を低減しても、又は使用せずとも、弾球遊技用樹脂基盤の全光線透過率を低下させることができる。
透明樹脂シートの場合、上記異物は欠点として視認されるため、外観品質上好ましくなく、製品として不適切である。押出機の先端にスクリーンメッシュ等のフィルターを設置することで、上記異物をろ過により取り除くことができる。しかしながら、長時間生産後にフィルターが目詰まりすれば、押出機を停止して、フィルターを新品に交換する必要があり、生産性が低下する。
本発明で使用する不透明な樹脂シート(好ましくは黒色又はそれに近い色調の樹脂シート)では、内部に異物が存在していても、遊技者からは異物が欠点として視認されにくく、外観品質上不良品とならない。本発明では、樹脂シートの内部に異物が存在していても外観品質上問題とならないため、原料の少なくとも一部に、異物を生成しやすいリワーク材を用いることができ、フィルターを用いて異物を除去する必要もない。リワーク材の使用は、シートの不透明化、原料コスト低減、及び地球環境保護の観点から好ましい。また、異物を除去するフィルターの不使用は、生産性の観点から好ましい。
バージン材とリワーク材とを併用する場合、リワーク材は、メタクリル系樹脂(PM)単独材料でもよいし、メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)との混合材料でもよいし、メタクリル系樹脂(PM)及び多層構造ゴム粒子(RP)以外の1種以上の任意の樹脂(混合物)(例えば、AS樹脂等)でもよい。
本発明の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤は、メタクリル系樹脂(PM)と多層構造ゴム粒子(RP)とを含有するメタクリル系樹脂層を含む上記の本発明の不透明な弾球遊技用樹脂基盤の一方の面に、接着剤層を介して、印刷加工を施された透明フィルムが積層されたものである。
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤の構成について、説明する。図1は要部模式断面図である。
本実施形態の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1は、85~50質量%のメタクリル系樹脂(PM)と15~50質量%の多層構造ゴム粒子(RP)とを含有し、厚みが8~22mmであるメタクリル系樹脂層を含み、全光線透過率が30%以下である弾球遊技用樹脂基盤10と、その一方の面に積層された印刷フィルム20とを含む。印刷フィルム20は、弾球遊技用樹脂基盤10の一方の面(遊技者側の面)に接着剤層30を介して積層されている。
印刷フィルム20は、基材フィルムである透明フィルム21の一方の面に、文字、数字、記号、模様、パターン、図形、及び写真等の印刷加工が施されて、印刷層22が形成されたものである。印刷フィルム20の弾球遊技用樹脂基盤10側の面には、弾球遊技用樹脂基盤10に貼り合わされる前にあらかじめ接着剤層30が形成されていてもよい。弾球遊技用樹脂基盤10に印刷フィルム20を貼り合わせることで、意匠性が向上し、娯楽性が向上する。
遊技者は、図示上方から矢印Aの方向に印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1を視認する。弾球遊技用樹脂基盤10と印刷フィルム20との間に白フィルム又は白紙からなる白色層51を配置することで、遊技者からは黒色等の不透明な弾球遊技用樹脂基盤10が視認されず、印刷フィルム20の演色性が良好となり、好ましい。
印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1は、上記以外の構成要素を有していてもよい。例えば、演出効果向上のために、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤1の裏面側(図示下側)に、液晶表示パネル等の表示パネル及びLED(発光ダイオード)等の照明装置等を取り付けてもよい。
印刷フィルム20の基材フィルムである透明フィルム21としては特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステル系樹脂フィルム;メタクリル系樹脂フィルム;メタクリル系樹脂とアクリル系ゴム粒子とを含む耐衝撃メタクリル系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニル樹脂フィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム;セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)フィルム;セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)フィルム等が挙げられる。中でも、印刷性、メタクリル系樹脂層を含む弾球遊技用樹脂基盤との貼り合わせやすさ、孔開け加工性、切削加工性、環境試験における弾球遊技用樹脂基盤の反り抑制、及び環境試験における印刷フィルムの剥離の抑制等の観点から、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、アクリル系ゴム粒子を含む耐衝撃メタクリル系樹脂フィルム、及びポリ塩化ビニル系樹脂フィルム等が好ましい。
印刷加工は、公知方法にて行うことができる。
白色層51に用いる白フィルム又は白紙としては特に制限されず、公知のものを用いることができる。
[評価項目及び評価方法]
評価項目及び評価方法は、以下の通りである。
(重量平均分子量(Mw))
樹脂のMwは、下記の手順でGPC法により求めた。GPC装置として、示差屈折率検出器(RI検出器)を備えた東ソー株式会社製のHLC-8320(品番)を使用した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。カラムとして東ソー株式会社製の「TSKgel SuperMultipore HZM-M」の2本と「SuperHZ4000」とを直列に繋いだものを用いた。樹脂4mgをテトラヒドロフラン(THF)5mlに溶解させて試料溶液を調製した。カラムオーブンの温度を40℃に設定し、溶離液流量0.35ml/分の条件で、試料溶液20μlを注入して、クロマトグラムを測定した。分子量が400~5,000,000の範囲内にある標準ポリスチレン10点についてGPC測定を行い、保持時間と分子量との関係を示す検量線を作成した。この検量線に基づいてMwを決定した。
ダイヤモンドナイフを用いて弾球遊技用樹脂基盤から超薄切片を切り出し、リンタングステン酸を用いてアクリル酸ブチル部分を選択的に染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製「JSM-7600」)を用いて撮像した。粒子全体が写っている30個の多層構造ゴム粒子(RP)を無作為に選択し、各粒子について染色部分の直径を測定し、平均値を体積基準平均粒径とした。
多層構造ゴム粒子と着色剤を含む弾球遊技用樹脂基盤を約80℃で一昼夜(12時間以上)乾燥した後、約0.7gの小片を切り出し、精秤した(W1)。その後、80mLのアセトンで小片を溶解させ、室温で約1日間静置した。得られた懸濁液を遠沈管内に入れ、久保田製作所製の遠心分離機(テーブルトップ、多本架遠心機、7780II)を用い、15000rpmで5分間の遠心分離を行った。上澄み液をデカンテーションにより除いた後、新たにアセトン80mLを加え、室温で1時間静置した。さらに、上記と同一方法と条件で遠心分離とデカンテーションを3回繰り返した。以上の操作後に得られた懸濁液をビーカーに移し、80℃のホットプレートを用いて加熱することで、アセトンを除去した。得られた樹脂(この樹脂は多層構造ゴム粒子と着色剤からなる)の質量を精秤した(W2)。次式により、多層構造ゴム粒子の含有量(質量%)を算出した。
多層構造ゴム粒子の含有量(質量%)=(W2/W1)×100
なお、W2には着色剤の質量が含まれるが、多層構造ゴム粒子の割合に対して微量であるため、無視した。
弾球遊技用樹脂基盤から50×50mmの試験片を切り出し、村上色彩技術研究所製「HM-150」を用いて全光線透過率を測定した。
(色調)
弾球遊技用樹脂基盤から50×50mmの試験片を切り出した。JIS K8722に準拠し、測定装置として島津製作所社製「紫外・可視・近赤外分光光度計UV-3600」を用いて、反射モード(ただし、正反射は含まない)での吸収スペクトルを測定した。測定波長は380~780nmとした。次いで、色調として、JIS Z8781-4で定義されるL*a*b*表色系におけるL*、a*、b*の値を求めた。
ダイヤモンドソーを用いて弾球遊技用樹脂基盤を切削し、80mm×10mm×4mm(片側Vノッチ付き)の試験片を作製し、JIS K7111に準拠して、温度23℃相対湿度47%の条件で衝撃強度を測定した。測定を10回行い、平均値をシャルピー衝撃強度とした。
弾球遊技用樹脂基盤に対して、ボール盤を用い、1.73mmφ径のドリルで、1個の貫通孔を形成した。次に、島津製作所社製「オートグラフAG-2000B」を用い、上記貫通孔の内部に、500mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.85mmφ径、釘頭を除いた部分の長さ26.5mm、ネジ部の長さ5.5mm)を基盤厚の深さ分だけ打ち込んだ。同操作を10回繰り返し、目視にて、打ち釘の周辺の樹脂割れの有無を下記基準にて評価した。
<判定基準>
A(良):すべての釘打ち部の周辺に、樹脂割れが発生しなかった。
B(可):1~2箇所の釘打ち部の周辺に、樹脂割れが発生した。
C(不可):3箇所以上の釘打ち部の周辺に、樹脂割れが発生した。
弾球遊技用樹脂基盤に対して、ボール盤を用い、1.73mmφ径のドリルで、間隔を空けて10個の貫通孔を形成した。次に、島津製作所社製「オートグラフAG-2000B」を用い、各貫通孔の内部に、500mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.85mmφ径、釘頭を除いた部分の長さ26.5mm、ネジ部の長さ5.5mm)を基盤厚の深さ分だけ打ち込んだ。次に、熱風オーブンを用い、上記基盤を吊り下げ状態で1時間45℃で加熱した後、熱風オーブンから基盤を取り出し、室温下で充分に自然冷却した。
次に、島津製作所社製オートグラフ「AG-2000B」を用い、基盤に打ち込まれた10本の釘についてそれぞれ、釘頭をチャックで把持し、毎分25mmの速度で引き抜いた時の最大荷重(kg)を測定した。最大荷重の平均値を釘抜き強度として求めた。なお、釘打ち部の周辺に樹脂割れの生じているものは測定対象外とした。下記基準にて評価した。
<判定基準>
A(良):釘抜き強度が50kgf以上。
B(可):釘抜き強度が20kgf以上50kgf未満。
C(不可):釘抜き強度が20kgf未満。
NCルーター(庄田鉄工株式会社製、ベーシックNCルーターマシン「NC5001」)に超硬ルータビット(庄田鉄工株式会社製、直径:3mm、刃の角度:逃げ角17度、すくい角:25度、歯数:1、材質:超硬鋼材)を使用し、回転速度17000rpm、切削速度1.5m/分、切削長さ28mmの切削加工条件で、切削粉片吸引方式にて冷却しながら樹脂シートの孔開け切削加工を行い、光沢、欠け、及び融着を下記基準にて評価した。
<光沢の判定基準>
A(良):切削加工面の全面が光沢を有する。
B(可):切削加工面の一部に光沢を有さない箇所がある。
C(不可):切削加工面のほぼ全面が光沢を有さない。
<欠けの判定基準>
A(良):切削加工面の全面に欠けがない。
B(可):切削加工面の一部に欠けが存在する。
C(不可):切削加工面のほぼ全面に欠けが存在する。
<融着の判定基準>
A(良):切削加工面の全面に融着がない。
B(可):切削加工面の一部に融着が存在する。
C(不可):切削加工面のほぼ全面に融着が存在する。
実施例10-1、10-2、11-1、11-2、比較例3-1、3-2では、複数の金属製冷却ロールの下流にオンライン欠点検査機を設置し、透過光を用いた光学的検出により樹脂シートの内部に含まれる0.3mm2以上のサイズの異物の個数を測定した。検査領域の面積は1000m2とし、この領域内で検出された0.3mm2以上のサイズの異物の個数を内部異物個数としてカウントした。
なお、実際にはシート内部に0.3mm2以上のサイズの異物があったとしても、上記方法にて光学検出されない場合には、個数にカウントされない。
また、シートの表面に存在する表面転写欠点(ロール剥離時に生じる転写欠点)は、内部異物とは別物として光学的に識別し、内部異物個数としてカウントされないようにした。
実施例10-1、10-2、11-1、11-2、比較例3-1、3-2では、押出成形と得られた樹脂シートの粉砕とを繰り返し、10回目の押出成形で得られた、原料全体の80質量%としてリワーク材を含むメタクリル系樹脂シート(厚み10mm)を製品の弾球遊技用樹脂基盤(厚み10mm)とし、連続生産を実施した。
押出機の先端に設置するフィルターを新品に取替えて運転を開始した時点から、押出機の先端に設置してある樹脂圧力計の値が低下して15MPaに達した時点までの日数を連続運転時間とした。
用いた材料は、以下の通りである。
<メタクリル系樹脂(PM)>
(PM1-1)メタクリル酸メチル(MMA)単位とアクリル酸メチル(MA)単位とからなるメタクリル系共重合体(MMA:MA(質量比)=94:6、Mw=120,000)。
(RP1)
以下の組成の共重合体からなる最内層(RP-a1)、中間層(RP-b1)、及び最外層(RP-c1)を順次形成して、3層構造のアクリル系多層構造ゴム粒子(RP1)を製造した。粒子径は0.23μmであった。
最内層(RP-a1):メタクリル酸メチル(MMA)単位/アクリル酸メチル(MA)単位/架橋性単量体であるメタクリル酸アリル単位(質量比)=32.91/2.09/0.07、
中間層(RP-b1):アクリル酸ブチル単位/スチレン単位/架橋性単量体であるメタクリル酸アリル単位(質量比)=37.00/8.00/0.90、
最外層(RP-c1):メタクリル酸メチル(MMA)単位/アクリル酸メチル(MA)単位(質量比)=18.80/1.20。
(D1)メタクリル系共重合体粒子、メタクリル酸メチル(MMA)単位/アクリル酸メチル単位(質量比)=90/10、粒子径:0.11μm。
多層構造ゴム粒子(RP1)を含むラテックスと分散用粒子(D1)を含むラテックスとを固形分質量比67対33の割合で混合した。得られた混合ラテックスを-30℃で4時間かけて凍結させた。凍結したラテックスの2倍量の90℃温水に凍結ラテックスを投入し、溶解してスラリーとした後、20分間90℃に保持して脱水し、80℃で乾燥して多層構造ゴム粒子含有粉体(RD1)を得た。
(カーボンブラック)三菱ケミカル社製のカーボンブラック「#1000」。
(有機染料)Macrolex Green 5B、Macrolex Yellow 3G、及びDiaresin Red Sの混合物(混合物の色調は黒色)。
(酸化チタン)大日精化工業株式会社製の酸化チタン。
多層構造ゴム粒子(RP1)濃度が28.1質量%、カーボンブラック濃度が0.0100質量%となるように、メタクリル系樹脂(PM1-1)、多層構造ゴム粒子含有粉体(RD1)、及びカーボンブラックをドライブレンドした。なお、すべての原料樹脂についてバージン材を用いた。押出機として150mmφ単軸押出機(東芝機械株式会社製)を用いて、上記ドライブレンド材料の溶融混練を行い、溶融状態の樹脂をTダイから押出した。押出された溶融樹脂を複数の金属製冷却ロールを用いて加圧及び冷却することにより、メタクリル系樹脂シートからなる単層構造の弾球遊技用樹脂基盤(厚み10mm)を得、評価した。主な製造条件と評価結果を表1、表2に示す。
メタクリル系樹脂シートに含まれる多層構造ゴム粒子(RP1)の濃度及び着色剤の種類と濃度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、メタクリル系樹脂シートからなる単層構造の弾球遊技用樹脂基盤を得、評価した。これらの例において、表1に記載のない条件は共通条件とした。評価結果を表1、表2に示す。
メタクリル系樹脂シートに含まれる多層構造ゴム粒子(RP1)の濃度及び着色剤の種類と濃度が表1に示す値となるように、メタクリル系樹脂(PM1-1)(バージン材)、多層構造ゴム粒子含有粉体(RD1)(バージン材)、及び着色剤(バージン材)をドライブレンドした。 押出機として150mmφ単軸押出機(東芝機械株式会社製)を用いて、上記ドライブレンド材料の溶融混練を行い、溶融状態の樹脂をTダイから押出した。実施例10-1、11-1、比較例3-1では、押出機の先端に表3に記載の目開きを持つフィルター(スクリーンメッシュ)を設置し、Tダイから押出する前に溶融状態の樹脂に含まれる異物を除去した。押出された溶融樹脂を複数の金属製冷却ロールを用いて加圧及び冷却することにより、メタクリル系樹脂シート(厚み10mm)を得た(1回目の押出成形)。
次いで、粉砕機を用いて得られたシートの全量を粉砕し、長さが1~15mm程度のフレーク状不定形物とした。
次いで、メタクリル系樹脂シートに含まれる多層構造ゴム粒子(RP1)の濃度及び着色剤の種類と濃度が表1に示す値となるように、メタクリル系樹脂(PM1-1)(バージン材)、多層構造ゴム粒子含有粉体(RD1)(バージン材)、着色剤(バージン材)、及び、上記フレーク状不定形物(リワーク材)をドライブレンドした。原料全体に対して、バージン材の量は20質量%、リワーク材の量は80質量%とした。得られたリワーク材を80質量%含むドライブレンド材料を用い、1回目の押出成形と同様の方法にて、メタクリル系樹脂シート(厚み10mm)を押出成形した(2回目の押出成形)。
押出成形により得られたメタクリル系樹脂シートの粉砕と、粉砕により得られたフレーク状不定形物を原料全体の80質量%に用いた押出成形を繰り返した。10回目の押出成形で得られた、原料全体に対してリワーク材を80質量%含むメタクリル系樹脂シート(厚み10mm)を製品である弾球遊技用樹脂基盤(厚み10mm)とし、評価した。主な製造条件と評価結果を表1~表3に示す。
実施例10-2では、押出機の先端にフィルターを設置しなかった以外は実施例10-1と同様にして、原料全体に対してリワーク材を80質量%含むメタクリル系樹脂シートからなる弾球遊技用樹脂基盤(厚み10mm)を得、評価した。
実施例11-2では、押出機の先端にフィルターを設置しなかった以外は実施例11-1と同様にして、原料全体に対してリワーク材を80質量%含むメタクリル系樹脂シートからなる弾球遊技用樹脂基盤(厚み10mm)を得、評価した。
比較例3-2では、押出機の先端にフィルターを設置しなかった以外は比較例3-1と同様にして、原料全体に対してリワーク材を80質量%含むメタクリル系樹脂シートからなる単層構造の弾球遊技用樹脂基盤(厚み10mm)を得、評価した。
主な製造条件と評価結果を表2、表3に示す。
実施例1~9では、85~50質量%のメタクリル系樹脂(PM)と15~50質量%の多層構造ゴム粒子(RP)と着色剤とを含有し、厚みが8~22mmであるメタクリル系樹脂シートからなり、全光線透過率が30%以下である不透明な弾球遊技用樹脂基盤を製造した。これら実施例ではいずれも、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好な弾球遊技用樹脂基盤が得られた。
実施例1~8では、黒色顔料であるカーボンブラック又は組合せにより黒色を呈する2種類以上の有機染料を添加することで、黒色の不透明な弾球遊技用樹脂基盤が得られた。実施例9では、白色顔料である酸化チタンを添加することで、白色の不透明な弾球遊技用樹脂基盤が得られた。
実施例11-1(フィルター設置あり)、実施例11-2(フィルター設置なし)では、実施例4と同じ組成であるが、全原料のうち80質量%にリワーク材(9回の成形加工履歴を有するリワーク材を含む)を用いて、黒色の不透明なメタクリル系樹脂シートを成形した。
これら実施例においても、実施例3、4と同様、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好な弾球遊技用樹脂基盤が得られた。
一般的にリワーク材を用いた押出成形では、シート内部に異物が生成されやすい傾向があるが、異物を除去するフィルターの使用の有無によらず、光学的に検出された内部異物の個数は0又はそれに近い個数であった。なお、光学検出において全く又はほとんど内部異物が検出されないということは、遊戯者からは実質的に視認されず、製品として外観品質が良好であると言える。リワーク材を用いても外観品質が良好な製品が得られることは、原料コスト低減及び環境保護の観点から、好ましい。また、フィルター不使用でも問題なく製品を製造できることは、フィルター交換による生産停止が不要であり、生産性の観点から、好ましい。
比較例2では、メタクリル系樹脂シート中の多層構造ゴム粒子(RP)の含有量を50質量%超としたため、得られた弾球遊技用樹脂基盤は切削加工性が不良であり、切削加工面は光沢性が不良で樹脂融着も見られた。
これら比較例では、釘打ち時の樹脂割れが抑制され、打ち釘の保持力が良好で、切削加工性が良好な弾球遊技用樹脂基盤が得られた。しかしながら、異物を除去するフィルターを使用しない場合に光学的に検出された内部異物の個数が顕著に多かった。異物を除去するフィルターの使用により、光学的に検出された内部異物の個数の低減が見られたが、連続生産の時間が短くなり、生産性の観点から、不適切であった。
10 弾球遊技用樹脂基盤
20 印刷フィルム
21 透明フィルム
22 印刷層
30 接着剤層
51 白色層
52 接着剤層
Claims (12)
- 85~50質量%のメタクリル系樹脂(PM)と15~50質量%の多層構造ゴム粒子(RP)とを含有し、厚みが8~22mmであるメタクリル系樹脂層を含む樹脂シートからなり、全光線透過率が30%以下である、弾球遊技用樹脂基盤。
- JIS K8722に準拠して測定される反射モードでの測色データにおいて、a*の絶対値が20以下、b*の絶対値が20以下である、請求項1に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- JIS K8722に準拠して測定される反射モードでの測色データにおいて、L*が20以下である、請求項1又は2に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記メタクリル系樹脂層が黒色顔料及び/又は組合せにより黒色を呈する2種類以上の有機染料を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記メタクリル系樹脂層の厚みをA(mm)とし、前記メタクリル系樹脂層中の着色剤の含有量をC(質量%)としたとき、下記式(1)を充足する、請求項1~4のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
0.01≦C×A≦5.0・・・(1) - JIS K7111に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が3.0kJ/m2以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記メタクリル系樹脂層の全原料樹脂のうち100~61質量%が、前記弾球遊技用樹脂基盤に使用される前に1回以上成形加工に使用されたことのあるリワーク材である、請求項1~6のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記樹脂シートは、前記メタクリル系樹脂層と1つ以上の他の樹脂層とからなる積層シートである、請求項1~7のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の前記弾球遊技用樹脂基盤の一方の面に、接着剤層を介して、透明フィルムの一方の面に印刷加工が施された印刷フィルムが積層された、印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記印刷フィルム側から当該印刷フィルムを貫通して前記弾球遊技用樹脂基盤の内部又は裏面に到達する釘打ち用の孔が形成された、請求項9に記載の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記釘打ち用の孔の内部に釘が打ち込まれた、請求項10に記載の印刷フィルム付き弾球遊技用樹脂基盤。
- 前記メタクリル系樹脂層の全原料樹脂のうち100~61質量%は、前記弾球遊技用樹脂基盤に使用される前に1回以上成形加工に使用されたことのあるリワーク材を使用して、前記樹脂シートを成形する、請求項1~8のいずれか1項に記載の弾球遊技用樹脂基盤の製造方法。
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