本発明の実施形態に係る配膳車1について、図1~図10を参照しつつ説明する。図1は、配膳車1を左前方側から見た斜視図であり、図2は、扉7や前方カバーパネル10等が取り除かれた状態の配膳車1を左前方側から見た斜視図である。なお、図1及び図2の左側が、配膳車1の前側(前方)であり、右側が配膳車1の後側(後方)である。また、図1及び図2の紙面手前側が、配膳車1の左側(左方)であり、紙面奥側が、配膳車1の右側(右方)である。
配膳車1は、冷蔵機能と温蔵機能を兼ね備えた、手押し車型(カート型)の配膳車であり、断熱ユニット2と、その断熱ユニット2に対して着脱可能な機械室ユニット3等を備えている。なお、機械室ユニット3が断熱ユニット2に装着されると、断熱ユニット2及び機械室ユニット3によって、配膳車1の本体部9が構成される。また、配膳車1は、それら以外に、車輪4、天板5、ハンドル6、扉7、折り畳み式テーブル8等を備えている。図3は、左前方側から見た断熱ユニット2の斜視図であり、図4は、底面側から見た断熱ユニット2の斜視図である。また、図5は、図3のA-A線断面図であり、図6は、断熱材が充填された状態の断熱ユニット2の断面図であり、図7は、図3のB-B線断面図であり、図8は、図4のC-C線断面図である。説明の便宜上、図3~5及び図7,8では、内部の断熱材が取り除かれた状態の断熱ユニット2が示されている。
本体部9(断熱ユニット2)の下面(底面)に、複数個の車輪4が取り付けられている。また、本体部9(断熱ユニット2)の後側寄りの底面には、配膳車1を制動する圧式のペダルロック(不図示)が設置されている。本体部9(断熱ユニット2)の上面側には、天板5が取り付けられている。ハンドル6は、利用者が配膳車1を移動させる際に掴む部分であり、配膳車1の後側に位置する天板5の端部に固定されている。また、本体部9の左側面には、両開き式の一対の扉7(7A,7B)と、閉状態の扉7(7A,7B)の間に配される上下方向に延びたオペレーションパネル11とが設けられている。
断熱ユニット2は、ステンレス鋼板等の金属板と、硬質ウレタンフォーム等の発泡樹脂からなる断熱材を主体として構成されている。そのような断熱ユニット2は、第1断熱箱体21、第2断熱箱体22、及び載置台23を備えている。断熱ユニット2を構成する第1断熱箱体21、第2断熱箱体22及び載置台23は、一体的に構成されている。
第1断熱箱体21は、温蔵機能を備えた温蔵室21aを形成するための断熱箱体である。第1断熱箱体21は、全体的には、左方に開放した縦長の直方体型の箱体であり、厚みのある壁体によって構成されている。第2断熱箱体22は、冷蔵機能を備えた冷蔵室22aを形成するための断熱箱体である。第2断熱箱体22は、全体的には、第1断熱箱体21と同じく左方に開放し、かつ第1断熱箱体21よりも上下方向の長さが短い直方体型の箱体である。また、第2断熱箱体22も、厚みのある壁体によって構成されている。第1断熱箱体21は、配膳車1の後側に配され、第2断熱箱体22は、配膳車1の前側に配される。なお、第2断熱箱体22は、下方に空間が形成されるように、第1断熱箱体21の前側に接続されている。
第1断熱箱体21は、第1外箱21Aと、その内側に配される第1内箱21Bと、第1外箱21Aと第1内箱21Bとの間の空間を充填する第1断熱材21C(断熱材C)とを備えている。第1外箱21A及び第1内箱21Bは、ステンレス鋼板等の金属板が所定形状に加工されたものからなる。第1外箱21Aは、主として、第1断熱箱体21の外面部分を構成する。なお、第1外箱21Aの底面はなく、第1断熱箱体21の底面は、共通底面パネル24によって構成される。共通底面パネル24は、主として、1枚の金属板が所定形状に加工されたものからなり、第1断熱箱体21の底面と共に、後述するように、載置台23の底面も構成する(図4参照)。つまり、共通底面パネル24は、第1断熱箱体21の底面と、載置台23の底面とを互いに繋がった状態で構成する。なお、共通底面パネル24のうち、第1断熱箱体21の底面を構成する部分を、第1底面パネル部24aと表す。
第2断熱箱体22は、第2外箱22Aと、その内側に配される第2内箱22Bと、第2外箱22Aと第2内箱22Bの間の空間を充填する第2断熱材22C(断熱材C)とを備えている。第2外箱22A及び第2内箱22Bも、ステンレス鋼板等の金属板が所定形状に加工されたものからなる。第2外箱22Aは、主として、第2断熱箱体22の外面部分を構成する。
なお、第1外箱21Aの上面及び第2外箱22Aの上面は、共に無く、第1断熱箱体21の上面及び第2断熱箱体の上面は、一枚の金属板からなる共通上面パネル25によって構成されている。共通上面パネル25のうち、第1断熱箱体21の上面を構成する部分を、第1上面パネル部25aと表し、第2断熱箱体22の上面を構成する部分を、第2上面パネル部25bと表す。
このような第1断熱箱体21の周りの壁体(前側、後側及び右側)は、主として、第1外箱21Aと、第1内箱21Bと、それらの間に充填される第1断熱材21Cとで構成される。また、第1断熱箱体21の底側の壁体は、主として、第1内箱21Bの底面21Baと、共通底面パネル24の第1底面パネル部24aと、それらの間に充填される第1断熱材21Cとで構成される。また、第1断熱箱体21の天井側の壁体は、主として、第1内箱21Bの上面21Bbと、共通上面パネル25の第1上面パネル部25aと、それらの間に充填される第1断熱材21Cとで構成される。これに対し、第2断熱箱体22の壁体は、主として、第2外箱22Aと、第2内箱22Bと、それらの間に充填される第2断熱材22Cとで構成される。
第1断熱箱体21内に第1断熱材21Cが充填されていない状態において、第1外箱21Aと第1内箱21Bとの間で形成される空間を、特に「周壁空間S11」と表す。また、第1底面パネル部24aと、第1内箱21Bの底面21Baとの間で形成される空間を、「底壁空間S12」と表す。また、第1内箱21Bの上面21Bbと、第1上面パネル部25aとの間で形成される空間を、「上壁空間S13」と表す。なお、第1断熱箱体21の壁体の内部に形成されるこれらの空間を、まとめて「第1空間S1」と表す。また、第2断熱箱体22内に第2断熱材22Cが充填されていない状態において、主として第2外箱22Aと第2内箱22Bによって形成される、第2断熱箱体の壁体の内部の空間を、「第2空間S2」と表す。
第1断熱箱体21の内側の空間(第1内箱21Bで囲まれた空間)は、温蔵室21aとして利用される。温蔵室21aには、保温対象の料理が載せられたホテルパンやシートパン等が収容される。配膳車1の左方に開放した温蔵室21aは、配膳車1の後側に配される扉7(7A)によって閉塞される。第1断熱箱体21の第1内箱21Bのうち、第2断熱箱体22側に配される第1内立壁21B1の内壁側には、温蔵室21a内に温風を供給するための温風室21bが形成されている。温風室21bの壁面には、コードヒーター21cが貼り付けられている(図5参照)。なお、共通上面パネル25の略中央に設けられた凹部25cは、温風室21bに風を送るファン等の機械類を収容するための部分である。
第2断熱箱体22の内側の空間(第2内箱22Bで囲まれた空間)は、冷蔵室22aとして利用される。冷蔵室22aには、保冷対象の料理が載せられたホテルパンやシートパン等が収容される。配膳車1の左方に開放した冷蔵室22aは、配膳車1の前側に配される扉7(7B)によって閉塞される。なお、扉7(7B)は、冷蔵室22aと共に、その下方に配される部分(機械室3a)を覆う形となっている。第2断熱箱体22の第2内箱22Bの外側の壁面には、後述する冷凍サイクルを構成する一部品である蒸発器(冷却器)22bが取り付けられている(図5参照)。また、第2断熱箱体22の第2外箱22Aの底面22A1には、2つの小さな孔22A3,22A4が設けられており、それらの孔22A3,22A4から、蒸発器22bと繋がった各配管22B1,22B2が外側に露出している(図4参照)。
第2断熱箱体22は、第1断熱箱体21の前側に並ぶ形で第1断熱箱体21に溶接やネジ止め等により固定されている。第1外箱21Aが備える前側に配された第1外立壁21A1と、第2外箱22Aが備える後側に配された第2外立壁22A2は、互いに重ねられた状態で(つまり、互いに接する形)で固定されている。そして、互いに接する第1外立壁21A1と第2外立壁22A2を貫通する形で、立壁開口部26が設けられている。第1断熱箱体21内の第1空間S1と、第2断熱箱体22内の第2空間S2は立壁開口部26を介して互いに繋がっている。なお、立壁開口部26は、第1外立壁21A1の板片状の部分と、第2外立壁22A2の板片状の部分とが、互いに重ねられた状態で、クリップ型の挟持部材で厚み方向から挟み付けられた部分からなる。
第1断熱箱体21の上面(第1上面パネル部25a)の高さ位置と、第2断熱箱体22の上面(第2上面パネル部25b)の高さ位置は、互いに同じ位置となるように設定されている。
載置台23は、断熱ユニット2に機械室ユニット3が装着された際に機械室ユニット3が載せられる箇所である。載置台23は、扁平な板状の外観形状を備えており、第2断熱箱体22と空間を挟んで上下方向で重なるように第1断熱箱体21の下部21dから水平に延びている。載置台23は、全体的には、内部に断熱材が充填される扁平な箱型をなしている。載置台23の底面は、共通底面パネル24の一部で構成されている。共通底面パネル24のうち、載置台23の底面を構成する部分を、第2底面パネル部24bと表す。
載置台23は、第2底面パネル部24bとの間で、第1断熱箱体21側に開口した扁平な空間(扁平空間S3)が形成されるように、共通底面パネル24(第2底面パネル部24b)に上方から被せられる表側カバー23Aを備えている。また、載置台23は、表側カバー23Aと共通底面パネル24との間で形成される扁平空間S3を充填する載置台用断熱材23C(断熱材C)を備えている。
表側カバー23Aは、ステンレス鋼板等の金属板を加工したものからなり、共通底面パネル24に組み付けられることで、共通底面パネル24(第2底面パネル部24b)と共に第1断熱箱体21(第1外立壁21A1)側に開放した扁平な箱体を形成する。表側カバー23Aは、機械室ユニット3が載せられる水平な上面23A1を備えている。上面23A1は、平面視で矩形状をなしており、その上面23A1から立ち上がるように上面23A1の後側(第1断熱箱体21側)に板片状の固定端部23A2が設けられている。固定端部23A2は、第1外立壁21A1の下部(第1断熱箱体21の下部21d)に溶接やネジ止め等によって固定される。矩形状をなした上面23A1の周りの4辺のうち、固定端部23A2が設けられている辺以外の残りの3辺からは、下方に延びた周壁部23A3が設けられている。
第1外立壁21A1の下端21A2と、それと対向する部分の共通底面パネル24とによって、前後方向に貫通した開口部27が形成されている。この開口部27を介して、載置台23の内部にある扁平空間S3と、第1断熱箱体21の内部にある底壁空間S12とが繋がっている。なお、底壁空間S12は、周壁空間S11と共に上壁空間S13とも繋がっている。つまり、扁平空間S3は、第1断熱箱体21の内部空間全体(第1空間S1)と繋がっている。したがって、断熱ユニット2内の第1空間S1、第2空間S2及び扁平空間S3は、互いに繋がっている。なお、共通底面パネル24には、第1底面パネル部24aと第2底面パネル部24bとの境界付近に、厚み方向に貫通する形で設けられた孔からなる注入孔28が設けられている。
断熱ユニット2は、図5~図8等に示されるように、共通底面パネル24の上面24cに固定される長手状の補強部材40(40A,40B)を備えている。図9は、補強部材40の斜視図である。補強部材40は、図8に示されるように、配膳車1の右側に配される右側補強部材40Aと、その左側に配される左側補強部材40Bとからなる。なお、図8の左側が配膳車1の前側に対応し、右側が配膳車1の後側に対応する。また、図8の上側が配膳車1の右側に対応し、下側が配膳車1の左側に対応する。図8には、共通底面パネル24の上面24cに配設された右側補強部材40A及び左側補強部材40Bが示されている。なお、本明細書において、特に断りがない限り、補強部材40は、右側補強部材40A及び左側補強部材40Bの双方を意味する。
補強部材40は、開口部27を横切るように、扁平空間S3から底壁空間S12に渡って配されている。つまり、補強部材40は、載置台23の内部及び第1断熱箱体21における底側の壁体の内部に配設されている。補強部材40は、図8等に示されるように、共通底面パネル24の前後方向の長さよりも若干、短いものの、補強部材40は、共通底面パネル24の前後方向の略全長に渡って、共通底面パネル24の上面24cに配設されている。また、図8に示されるように、一対の右側補強部材40A及び左側補強部材40Bは、左右方向(図8の上下方向)において互いに間隔を保ちつつ平行に並ぶ形で、共通底面パネル24の上面24cに配設されている。なお、図8に示されるように、右側補強部材40Aと左側補強部材40Bとの間の共通底面パネル24において、その前側には、第2底面パネル部24b側に取り付けられる車輪の取付位置を補強するための補強板51が取り付けられている。また、その後側には、第1底面パネル部24a側に配される制動手段(ペダルロック)を取り付けるための取付板52が取り付けられている。
右側補強部材40A及び左側補強部材40Bは、形状が略左右対称の関係にあり、基本的な構成は同じである。図9には、左側補強部材40Bが示されている。ここで、左側補強部材40Bを例に挙げて、補強部材40の構成を説明する。左側補強部材40Bは、全体的には、配膳車1の前後方向に沿って延びた長手状をなしている。左側補強部材40Bは、前後方向に沿って長く延びた略矩形状の金属板が、折り曲げ加工や打ち抜き加工等が施されて形成されたものである。このような左側補強部材40Bは、主として、共通底面パネル24の上面24c上に密着する形で配される前後方向に延びた長手状の基部41と、この基部41から上方に立ち上がり、かつ上端が表側カバー23Aの下面に当接可能な立ち上がり部42と、立ち上がり部42を構成する板材を厚み方向に貫通する形で設けられた孔からなる複数の流通部43とを備えている。
基部41は、前後方向に延びつつ、共通底面パネル24の上面24cに沿って水平に延びた帯状の板片部分からなる。基部41は、共通底面パネル24の端部側に近い外側基部41aと、共通底面パネル24の中央側に近い内側基部41bとからなる。前後方向に延びた外側基部41aの途中には、共通底面パネル24に設けられた注入孔28と重ならないように切り欠き部44が設けられている。
立ち上がり部42は、外側基部41aと内側基部41bの間に配され、上端に表側カバー23Aの下面と当接する当接面42a1を含む凸型立ち上がり部42aと、内側基部41bの内側(凸型立ち上がり部42aの反対側)の端部から上方に立ち上がる板片状の板型立ち上がり部42bとを備えている。凸型立ち上がり部42aは、当接面42a1以外に、外側基部41aの端部から上方に立ち上がる板片状の外壁42a2と、内側基部41bの端部から上方に立ち上がる板片状の内壁42a3とを備えている。当接面42a1は、外壁42a2の上端と、内壁42a3の上端との間に配される。凸型立ち上がり部42aは、図7等に示されるように、前後方向から見て、略コの字型の断面形状を備えている。
補強部材40の基部41(外側基部41a及び内側基部41b)は、共通底面パネル24に対して、溶接やネジ止め等により固定される。また、補強部材40の凸型立ち上がり部42aは、載置台23の表側カバー23Aに対して下面側からネジ止め等により固定される。なお、補強部材40の板型立ち上がり部42bは、載置台23の表側カバー23Aに対して固定されていないものの、その上端が、表側カバー23Aの下面に当接して、載置台23に載せられた機械室ユニット3を支持するように構成されている。
図8等に示されるように、補強部材40の基部41のうち、前側寄りの部分には、前側(第2底面パネル部24b側、載置台23側)に配置される車輪4(載置台側車輪4b)を取り付けるための孔状の取付部45が複数個設けられている。また、補強部材40の基部41のうち、後側寄りの部分には、後側(第1底面パネル部24b側、第1断熱箱体21側)に配置される車輪4(第1断熱箱体側車輪4a)を取り付けるための孔状の取付部46が複数個設けられている。なお、これらの取付部45,46と重なる部分の共通底面パネル24にも、車輪4(載置台側車輪4b,第1断熱箱体側車輪4a)を取り付けるための孔が設けられている。
流通部43は、断熱ユニット2の内部に未硬化状態の断熱材(発泡樹脂)が充填される際に、載置台23の内部(扁平空間S3)や、第1断熱箱体21の底側の壁体の内部(底壁空間S12)等に補強部材40が配置されていても、補強部材40が障害とならずに、未硬化状態の断熱材が隅々まで行き渡るように設けられたものである。流通部43は、主に未硬化状態の断熱材の流れの妨げとなり易い立ち上がり部42(凸型立ち上がり部42a,板型立ち上がり部42b)に設けられる。なお、凸型立ち上がり部42aの場合、上下方向に立ち上がった部分である外壁42a2及び内壁42a3にそれぞれ複数個の流通部43が設けられる。凸型立ち上がり部42aの場合、外壁42a2及び内壁42a3の双方に流通部43を設けることが好ましい。
ところで、補強部材40は、流通部43以外に、基部41(外側基部41a及び内側基部41b)や、凸型立ち上がり部42aの当接面42a1にも、それぞれ厚み方向に貫通する孔47が複数個設けられている。これらの孔47は、主に、補強部材40の軽量化を目的として形成されている。ただし、補強部材40の強度確保等の理由により、上述した車輪4用の取付部45,46が設けられる付近については、孔47等は設けられない。
なお、これらの孔47の中でも、例えば、凸型立ち上がり部42aの当接面42a1に設けられているもののうち、第1断熱箱体21側に配されているものは、軽量化のみならず、未硬化状態の発泡樹脂が流れる孔となり得る。また、流通部43によっても、補強部材40の軽量化がある程度、図られている。なお、補強部材40の凸型立ち上がり部42aの内部には、長手方向に沿った溝状の空間があり、その中にも断熱材が充填され得る。
図7に示されるように、右側補強部材40A及び左側補強部材40Bは、開口部27の内側に配されているものの、右側補強部材40Aと左側補強部材40Bとの間には、未硬化状態の断熱材が流れるのに十分な空間が確保されている。
断熱ユニット2において、機械室ユニット3を収容する機械室3aは、載置台23の上面(表側カバー23Aの上面23A1)、第2断熱箱体22の下面(第2外箱22Aの底面22A1)及び第1断熱箱体21の第1外立壁21A1によって構成される。機械室3aには、機械室ユニット3以外に、その他の機械類が収容されてもよい。載置台23の上面のうち、約3/4の部分は、機械室ユニット3が配置される部分であり、残りの部分には、他の機械類や、第2断熱箱体22と載置台23との間に介在され、第2断熱箱体22を支える固定柱29等が設置される。
機械室ユニット3は、冷蔵室22aを冷却するための冷凍サイクルを構成する冷凍ユニット31と、冷凍ユニット31が取り付けられる板状の底部32と、底部32に立設される支持部33を備えている。冷凍サイクルは、圧縮機、凝縮器、キャピラリーチューブ、蒸発器、膨張弁等で構成され、それらを循環する冷媒の気化熱を利用した公知の冷却システムである。機械室ユニット3は、冷凍サイクルを構成する部品群(圧縮機等)のうち、蒸発器以外の部品を備えている。本明細書において、機械室ユニット3に設けられる冷凍サイクルの構成部品群を、冷凍ユニット31と称する。
底部32は、平面視で矩形状をなした板状の部材であり、金属板等から構成される。底部32の上面に、冷凍ユニット31を構成する各部品が、溶接やネジ止め等によって取り付けられている。このような底部32の前側の部分に、支持部33が取り付けられている。支持部33は、機械室ユニット3が断熱ユニット2に装着された際に、第2断熱箱体22を下方から支える。機械室ユニット3は、第2断熱箱体22と載置台23との間に、断熱ユニット2の前側から挿入される。図2には、機械室ユニット3が断熱ユニット2に装着された状態が示されている。なお、機械室ユニット3が、第2断熱箱体22と載置台23との間に収容された後、冷凍ユニット31側の各配管が、第2断熱箱体22の底面から露出する各配管22B1,22B2と溶接等により接続される。
ここで、断熱ユニット2の内部の空間(第1空間S1、第2空間S2及び扁平空間S3)に、断熱材を充填する方法を説明する。まず、断熱ユニット2を、上下を反転させた状態で配置し、その状態の断熱ユニット2に対して、断熱ユニット2の底面に設けられた注入孔28から、未硬化状態の発泡樹脂(例えば、硬質ウレタンフォーム)が、断熱ユニット2の内部に供給される。なお、断熱ユニット2には、ネジ止め等に利用される様々な孔が設けられているため、ガス抜き用の孔を積極的に設ける必要はないが、場合によってはガス抜き用の孔を設けてもよい。未硬化状態の発泡樹脂は、断熱ユニット2の内部で発泡しつつ、下側にある第1断熱箱体21内の上壁空間S13や周壁空間S11、及び第2断熱箱体22内の第2空間に充填される。そして、最終的に、上側にある第1断熱箱体21内の底壁空間S12と載置台23内の扁平空間S3に充填される。上述したように、底壁空間S12と扁平空間S3は、開口部27を介して互いに繋がっている。また、補強部材40には、複数の流通部43等が設けられている。そのため、発泡樹脂は載置台23内及び第1断熱箱体21の底側の壁体内の隅々まで行き渡ることができる。
その後、未硬化状態の発泡樹脂が断熱ユニット2の内部で硬化すると、第1空間S1、第2空間S2及び扁平空間S3を充填する断熱材Cが得られる。なお、本明細書において、第1空間S1に充填される断熱材Cを、第1断熱材21Cと表し、第2空間S2に充填される断熱材Cを、第2断熱材22Cと表し、扁平空間S3に充填される断熱材を、載置台用断熱材23Cと表す(図6参照)。第1断熱材21Cは、開口部27を介して載置台用断熱材23Cと連続している。つまり、第1断熱材21Cと載置台用断熱材23Cは互いに繋がっており、一体化している。また、第1断熱材21Cは、立壁開口部26を介して互いに連続している。つまり、第1断熱材21Cと第2断熱材22Cも互いに繋がっており、一体化している。したがって、第1断熱材21C、第2断熱材22C及び載置台用断熱材23Cは、互いに繋がっており、一体化している。なお、共通底面パネル24に設けられた注入孔28は、断熱材Cが充填された後、適宜、塞がれる。
以上のように、本実施形態の配膳車1は、第1断熱箱体21の底側のみならず、載置台23の内部にも発泡樹脂からなる断熱材C(載置台用断熱材23C)が充填されている。断熱材Cは、発泡樹脂からなるため、断熱性能のみならず、振動を吸収する機能も備えている。そのため、車輪4(載置台側車輪4b、第1断熱箱体側車輪4a)からの振動が、配膳車1の本体部9側に伝わり難い構成となっている。
また、本実施形態の配膳車1は、本体部9の底面(断熱ユニット2の底面)が、共通底面パネル24で構成されている。そのため、それらに取り付けられる車輪4(載置台側車輪4b、第1断熱箱体側車輪4a)の高さ位置(接地圧)を揃え易い構成になっている。しかも、本実施形態の場合、車輪4(載置台側車輪4b、第1断熱箱体側車輪4a)は、底面共通パネル24と共に、その上面に配設された補強部材40に固定されている。共通底面パネル24は、補強部材40によって補強されているため水平を保ち易い。そのような共通底面パネル24及び補強部材40に車輪4が取り付けられることで、特に、各車輪4(載置台側車輪4b、第1断熱箱体側車輪4a)の高さ位置(接地圧)を揃え易い構成となっている。
図10は、載置台23の上面部分を拡大した断熱ユニット2の斜視図である。上記のように発泡樹脂を断熱ユニット2内に充填する際、載置台23は、最も発泡樹脂が行き渡りにくい箇所と言える。載置台23は、第1断熱箱体21や第2断熱箱体22の壁体と比べて、厚みが小さく、しかも発泡樹脂の流れの妨げとなり易い補強部材40が配設されている。特に、載置台23の中でも、その周縁部分(特に注入孔28が設けられている箇所から、遠く離れた部分)は、発泡樹脂が行き渡り難い箇所と言える。
発泡樹脂の流れ易さ(流動性)は、発泡樹脂の充填作業を行う環境(特に、温度)によって変化する。例えば、気温の高い夏場で充填作業を行うと発泡樹脂は流れ易くなり、反対に、気温の低い冬場で充填作業を行うと発泡樹脂は流れ難くなる。断熱ユニット2内に発泡樹脂を充填する作業は、作業者の経験に頼る部分があるため、作業者は、断熱ユニット内の発泡樹脂(断熱材C)の充填状況を確かめたい場合がある。
そこで、本実施形態では、作業者が載置台23の隅々まで発泡樹脂(断熱材C)が行き渡っているか否かを容易に確認できるように、載置台23の表側を構成する表側カバー23Aに、透明な窓部60が設けられている。窓部60は、表側カバー23Aを上下方向に貫通する形で形成された孔部に、透明な板材(透明なガラス板、透明なプラスチック板等)が取り付けられたものからなる。窓部60の孔部は、透明な板材で塞がれているため、そこから発泡樹脂が漏れ出すことはない。作業者は、このような窓部60を利用することで、扁平空間S3における載置台用断熱材23Cの充填状況を容易に把握することができる。
本実施形態の窓部60は、最も発泡樹脂が行き渡り難い載置台23の前側の両端部にそれぞれ1つずつ設けられている。これらの窓部60が配置された部分は、注入孔28から遠く離れており、しかも補強部材40の立ち上がり部42よりも外側にある。なお、本実施形態の場合、載置台23の左右にある前後方向に沿った側縁のうち、前後方向の略中間部分にも、窓部60が設けられている。このように、載置台23の前後方向において、複数個所の窓部60を設けることで、扁平空間S3における載置台用断熱材23Cの充填状況を、より簡単に把握することができる。
図11は、他の実施形態に係る断熱ユニット2Xの斜視図である。この断熱ユニット2Xは、載置台23Xの表側カバー23XAに、更に多くの窓部60Xを形成したものである。なお、窓部60Xを多く形成したこと以外は、断熱ユニット2Xの構成は、上述した断熱ユニット2と同じである。図11に示されるように、載置台23Xの表側カバー23XAのうち、左右にある前後方向に沿った側縁部分に、一列に並ぶように、複数個の窓部60Xが形成されている。このように、数多くの窓部60Xを設けることにより、更に扁平空間における載置台用断熱材の充填状況を、より簡単に把握することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第1断熱箱体が温蔵室用であり、第2断熱箱体が冷蔵室用であったが、本発明はこれに限られず、例えば、第1断熱箱体が第1の温蔵室用であり、第2断熱箱体が第2の温蔵室用であってもよい。つまり、本発明は、互いに設定温度の異なる第1の温蔵室と、第2の温蔵室とを備える配膳車に適用されてもよい。
(2)上記実施形態では、第1断熱箱体が配置される側が、配膳車の後側であり、第2断熱箱体が配置される側が、配膳車の前側であったが、本発明はこれに限られず、例えば、前後が入れ替わった構成であってもよい。