以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。なお以下では、「水」及び「湯」との文言が用いられる。湯供給孔からの液体と水供給孔からの液体とを区別する観点から、必要に応じて、「湯」と「水」とが使い分けられる。一方、湯供給孔からの液体と水供給孔からの液体とを総称して「水」としている記載もある。
図1は、一実施形態に係る湯水混合栓10の斜視図である。湯水混合栓10は、水栓本体12、レバーハンドル14、吐出部16、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22を有する。吐出部16は、ヘッド24を有する。ヘッド24は、切替レバー26を有する。この切替レバー26の操作により、シャワー吐出と通常吐出との切り替えが可能である。湯水混合栓10は、例えば、キッチン、洗面台等で使用される。
更に、ヘッド24は、切替ボタン28と表示部30を有する。吐出部16には、浄水カートリッジ(図示されず)が内臓されている。切替ボタン28により、浄水カートリッジを透過する流路と、浄水カートリッジを透過しない流路とが切り換えられる。浄水カートリッジを透過する流路に切り換えられると、浄水が吐出される。浄水カートリッジを透過しない流路に切り換えられると、原水が吐出される。表示部30は、吐水が浄水か原水かを表示する。
レバーハンドル14の前後回動(上下動)により、レバー前後位置が変化する。レバー前後位置により、吐出量が調整される。本実施形態では、レバーハンドル14を上側に動かすほど吐出量が増加し、レバーハンドル14を最も下側にすると止水される。レバー左右位置に拘わらず、レバーハンドル14が最も下側にあるとき、止水状態となる。逆に、レバーハンドル14を下側に動かすほど吐出量が増加してもよい。レバーハンドル14の左右回動により、レバー左右位置が変化する。レバー左右位置により、湯と水との混合割合が変化する。レバーハンドル14の左右回動により、吐水温度の調整が可能である。
図2は、バルブ組立体38及びその近傍を示す縦断面図である。図3は、バルブ組立体38の分解斜視図である。湯水混合栓10において、バルブ組立体38は交換可能である。
水栓本体12は、側面壁部12aと、底面壁部12bとを有する。側面壁部12aと底面壁部12bとで、レバー組立体38を収容する収容部13が形成されている。また水栓本体12は、レバー組立体38を上側から押さえる上側部材12cを有する。上側部材12cは雄ネジ部を有しており、この雄ネジ部が側面壁部12aの内面に設けられた雌ネジ部とネジ結合されている。上側部材12cは、レバー組立体38を上側から押さえることで、レバー組立体38を収容部13に固定している。
バルブ組立体38は、湯水混合栓10の水栓本体12に内蔵されている。図3が示すように、バルブ組立体38は、上シール部材40、上ケース42、回動体44、レバー46及びレバーシール部材48を有する。レバー46は、上部50、球面部52及び下部54を有する。上部50には、レバーハンドル14が固定される。
更に、レバー組立体38は、可動弁体60、固定弁体62、インナーシール部材64、下シール部材66及び下ケース68を有する。
下ケース68は、湯導入孔70、水導入孔72及び吐出孔74を有する。下ケース68の下側の底面壁部12bには、これら湯導入孔70、水導入孔72及び吐出孔74のそれぞれに対応した開口が設けられており、これらの開口のそれぞれに、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22が接続されている。下シール部材66は、下ケース68の各孔70,72,74と、底面壁部12bの各開口との接続部をシールしている。
固定弁体62は、下ケース68の上側に位置する。固定弁体62は、インナーシール部材64で下方から支持されつつ、このインナーシール部材64により可動弁体60に押し付けられている。下ケース68には、固定弁体62の回転を防止する係合凸部76と、上ケース42を下ケース68に固定するための係合凸部77とが設けられている。固定弁体62には、係合凸部76と係合する係合凹部78が設けられている。
固定弁体62は、湯供給孔80、水供給孔82及び排出孔84を有する。湯供給孔80は、固定弁体62を貫通している。湯供給孔80は、下ケース68の湯導入孔70に接続されている。インナーシール部材64は、この接続のシール性を担保している。水供給孔82は、固定弁体62を貫通している。水供給孔82は、下ケース68の水導入孔72に接続されている。インナーシール部材64は、この接続のシール性を担保している。排出孔84は、固定弁体62を貫通している。排出孔84は、下ケース68の吐出孔74に接続されている。インナーシール部材64は、この接続のシール性を担保している。
上述の通り、インナーシール部材64は、3つの接続箇所において水密性を担保している。図3が示すように、インナーシール部材64は3つの環状部を有する一体部材である。インナーシール部材64は、3つの環状体とされてもよい。
可動弁体60は、上側部材86と、下側部材88とを有する。上側部材86は、下側部材88に固定されている。この固定は、凸部90と凹部92との係合によって達成されている。本実施形態では、上側部材86と下側部材88とが互いに別部材である。別部材とすることで、上側部材86と下側部材88とのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法が選択されうる。可動弁体60は全体として一体的に成形されていてもよい。
図3が示すように、可動弁体60(下側部材88)の下面には、流路形成凹部94が形成されている。流路形成凹部94は、下方に向かって開口している。流路形成凹部94の上方は閉じている。
固定弁体62の上面には、第1摺動面PL1が設けられている(図3参照)。第1摺動面PL1は、平面である。前記口80、82及び84が存在していない部分に、第1摺動面PL1が形成されている。一方、下側部材88(可動弁体60)の下面には、第2摺動面PL2が設けられている。流路形成凹部94が形成されていない部分に、第2摺動面PL2が設けられている。第1摺動面PL1と第2摺動面PL2との面接触により、摺動合わせ面PL3が形成されている。この摺動合わせ面PL3では、水密性が確保されている。
上側部材86の上面には、レバー46の下部54と係合するレバー係合凹部98が設けられている。レバー46の下部54は、このレバー係合凹部98に挿入されている(図2参照)。レバー46(レバーハンドル14)の動きに連動して、可動弁体60が固定弁体62の上を摺動する。レバーハンドル14の左右回動に連動して、可動弁体60は回転する。レバーハンドル14の前後回動に連動して、可動弁体60は移動し、可動弁体60の流路形成凹部94も移動する。
流路形成凹部94が湯供給孔80及び/又は水供給孔82と排出孔84とに重複することで、吐水状態が達成される。吐水状態は、混合吐出状態、湯吐出状態及び水吐出状態を含む。流路形成凹部94が湯供給孔80及び水供給孔82に重複しているとき、混合吐出状態が達成される。混合吐出状態では、湯供給孔80からの湯と水供給孔82からの水とが混合される。流路形成凹部94が、湯供給孔80のみに重複し、水供給孔82に重複していないとき、湯吐出状態が達成される。湯吐出状態では、湯供給孔80からの湯のみが吐出され、水供給孔82からの水は吐出されない。流路形成凹部94が、水供給孔82のみに重複し、湯供給孔80に重複していないとき、水吐出状態が達成される。水吐出状態では、水供給孔82からの水のみが吐出され、湯供給孔80からの湯は吐出されない。流路形成凹部94が湯供給孔80及び水供給孔82に重複していないとき、止水状態が達成される。
湯供給孔80は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。水供給孔82は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。排出孔84は、固定弁体62に至る連通路を有していない。湯水混合栓10は、ドライ摺動型である。
回動体44は、球面支持部102と、係合部104と、円周外面105とを有する。球面支持部102は、球面の凹面であり、レバー46の球面部52と面接触している(図2参照)。係合部104は、可動弁体60(の上側部材86)のスライド係合部106に、スライド可能に取り付けられている。回動体44は、所定の角度範囲で回転可能な状態で、上ケース42に支持されている。
レバーシール部材48は、回動体44の上端面108と上ケース42とに挟まれることで、固定されている(図2参照)。レバーシール部材48は、レバー46の球面部52に密着している。
レバーハンドル14の左右回動に伴い、レバー46と共に回動体44が回転し、可動弁体60も回転する。レバーハンドル14の左右回動に伴い、レバーシール部材48も回転する。レバーハンドル14の左右回動において、レバーシール部材48は、球面部52と共に回転し、球面部52と摺動しない。あらゆるレバー左右位置において、レバーシール部材48は球面部52に密着している。なお、レバーシール部材48は、レバーハンドル14の左右回動に伴い回転しなくてもよい。
レバーハンドル14の前後回動に伴い、可動弁体60は回動体44に対してスライド移動する。レバーハンドル14の前後回動に伴い、レバーシール部材48は球面部52と摺動する。あらゆるレバー前後位置において、レバーシール部材48は球面部52に密着している。
レバーシール部材48は、レバー46に連動するレバー連動部と上ケース42との間をシールしている。本実施形態では、レバー連動部が球面部52である。レバーシール部材48にシールされるレバー連動部は球面部52に限定されない。このレバー連動部は、レバー46そのものであってもよいし、レバー46以外であってもよい。例えば、レバーシール部材48にシールされるレバー連動部は、回動体44であってもよい。すなわち、レバーシール部材48は、上ケース42と回動体44との間、及び、回動体44と上側部材86との間をシールしていてもよい。
図3が示すように、上ケース42は、小径円筒部120と、大径円筒部122と、連結部124とを有する。連結部124は、上ケース42の半径方向に延在している。
上ケース42は、シール支持部126を有する。シール支持部126は、小径円筒部120に設けられている。小径円筒部120は環状である。シール支持部126は、小径円筒部120の内面から、小径円筒部120の半径方向内側に向かって突出している。シール支持部126の下面がレバーシール部材48の上面に接触している(図2参照)。
大径円筒部122は、シール配置部128を有する。シール配置部128は、周溝である。シール配置部128は、大径円筒部122の上部に設けられている。シール配置部128に、上シール部材40が配置される。
大径円筒部122は、係合孔130を有する。この係合孔130が、下ケース68の係合凸部77と係合している。この係合により、上ケース42は、下ケース68に固定されている。
図4は可動弁体60の下側部材88を下側から見た斜視図であり、図5は下側部材88の底面図である。前述の通り、下側部材88(可動弁体60)は、その下面に、第2摺動面PL2と、流路形成凹部94とを有する。流路形成凹部94は、下開口線94aを有している。下開口線94aは、第2摺動面PL2における流路形成凹部94の輪郭線である。
更に、下側部材88(可動弁体60)の下面には、リリース溝140が設けられている。リリース溝140は、流路形成凹部94に繋がっている。リリース溝140は、第2摺動面PL2の外縁96に至ることなく終端している。リリース溝140は、流路形成凹部94から延び第2摺動面PL2内で終端している。
図6は、固定弁体62を上側から見た斜視図であり、図7は固定弁体62の平面図であり、図8は、固定弁体62の底面図である。
前述の通り、固定弁体62は、湯供給孔80、水供給孔82及び排出孔84を有する。また、固定弁体62の上面は、第1摺動面PL1を有する。
湯供給孔80は、上開口線80aを有する。この上開口線80aは、第1摺動面PL1における湯供給孔80の輪郭線である。上開口線80aは、湯供給孔80の上開口の輪郭線である。
水供給孔82は、上開口線82aを有する。この上開口線82aは、第1摺動面PL1における水供給孔82の輪郭線である。上開口線82aは、水供給孔82の上開口の輪郭線である。
排出孔84は、上開口線84aを有する。この上開口線84aは、第1摺動面PL1における排出孔84の輪郭線である。上開口線84aは、排出孔84の上開口の輪郭線である。
図7が示すように、上開口線80aと上開口線82aとは、互いに線対称の関係にない。つまり、湯供給孔80の上開口と水供給孔82の上開口とは、互いに線対称の関係にない。これらは互いに線対称の関係にあってもよい。上端面80aで囲まれる領域の面積は、上開口線82aで囲まれる部分の面積よりも小さい。つまり、湯供給孔80の上開口面積は、水供給孔82の上開口面積よりも小さい。これらの上開口面積は同じであってもよい。
固定弁体62は、漏れ水導入部150を有している。図6が示すように、漏れ水導入部150は、第1摺動面PL1よりも低い面を形成している。漏れ水導入部150は、固定弁体62の外縁100にまで至っている。第2摺動面PL2と重なっても、漏れ水導入部150は第2摺動面PL2に接触しない。漏れ水導入部150と第2摺動面PL2との間には隙間が形成される。
漏れ水導入部150は、外縁100と排出孔84との間に形成されている。漏れ水導入部150は、排出孔84の径方向外側に位置する。漏れ水導入部150と排出孔84との間は、第1摺動面PL1のみで占められている。漏れ水導入部150と排出孔84との間に、湯供給孔80は存在しない。漏れ水導入部150と排出孔84との間に、水供給孔82は存在しない。漏れ水導入部150の周方向存在範囲は、湯供給孔80の周方向存在範囲とは相違する。漏れ水導入部150の周方向存在範囲は、水供給孔82の周方向存在範囲とは相違する。
なお、固定弁体62において、周方向及び径方向は、次のように定義される。図7において2点鎖線で示されるのは、固定弁体62の最小包含円CL1である。最小包含円CL1は、次のように定義される。最小包含円CL1は、その内側に固定弁体62の全体を含む円のうち、半径が最小の円と定義される。最小包含円CL1は、図7のような平面図において決定される。この平面図は、第1摺動面PL1と平行な平面への、固定弁体62の投影図である。本実施形態では、最小包含円CL1の半径Rは、固定弁体62の外周面110を含む円周面の半径に等しい。本願における径方向とは、この最小包含円CL1の半径方向である。本願における周方向とは、この最小包含円CL1の周方向である。図7における符号C1は、最小包含円CL1の中心である。
第1摺動面PL1における漏れ水導入部150の縁152は、固定弁体62の外側に向かって凸となるように曲がる曲線部154を有する。曲線部154と排出孔84との間は、第1摺動面PL1のみで占められている。曲線部154は、レバーハンドル14を左右回動したときにおけるリリース溝140の移動方向に沿って曲がっている。
図9(a)はレバーシール部材48の斜視図であり、図9(b)はレバーシール部材48の側面図であり、図9(c)は図10(b)のC-C線に沿った断面図である。図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、レバーシール部材48単体での図面であり、外力が付与されていない自然状態のレバーシール部材48を示す。
レバーシール部材48は、無端の環状部材である。レバーシール部材48は、環状のパッキンである。レバーシール部材48は、内周面48aと、外周面48bとを有する。更に、レバーシール部材48は、上面48cと下面48dとを有する。
図9(c)がよく示すように、内周面48aは、円周面である。この円周面の中心線は、レバーシール部材48の中心線に一致している。内周面48aは凹みを有さない。外周面48bは、凹み160を有している。凹み160は、レバーシール部材48の径方向内側に向かって凹んでいる。凹み160は、レバーシール部材48の周方向に沿って延びている。上面48cは、凹み162を有している。凹み162は、下側に向かって凹んでいる。凹み162は、レバーシール部材48の周方向に沿って延びている。下面48dは、凹み164を有している。凹み164は、上側に向かって凹んでいる。凹み164は、レバーシール部材48の周方向に沿って延びている。
図2が示すように、内周面48aは、球面部52に密着している。内周面48aは、球面部52により、球面に沿った形状に変形している。上面48cは、上ケース42(シール支持部126)に密着している。下面48dは、回動体44に密着している。
図2が示すように、レバー組立体38に装着された状態において、上面48cの凹み162は、少なくとも部分的に維持されている。すなわち、凹み162は完全には潰されていない。上面48cの径方向内側の縁e1及び径方向外側の縁e2が上ケース42に接触しており、上面48cの径方向中央部は上ケース42に接触していない。同様に、レバー組立体38に装着された状態において、下面48dの凹み164は、少なくとも部分的には維持されている。すなわち、凹み164は完全には潰されていない。下面48dの径方向内側の縁e3及び径方向外側の縁e4が上ケース42に接触しており、下面48dの径方向中央部は上ケース42に接触していない。
前述の通り、レバー46の前後回動の際には、内周面48aは球面部52に対して摺動する。完全充填タイプのパッキンを用いると、球面部52と内周面48aとの間の圧力が大きくなる。この場合、摺動抵抗が増加し、レバー46の操作抵抗が過大となる。しかし、レバーシール部材48は、凹み162及び凹み164が残存した状態で装着されており、球面部52と内周面48aとの間の過度な圧力が防止されている。このため、シール性は確保されつつ、レバー46の操作抵抗は抑制されており、レバーハンドル14の操作は軽快である。
前述の通り、レバー46の左右回動の際には、レバーシール部材48は、レバー46と共に回転する。レバー46の左右回動の際には、内周面48aは球面部52と共に回転し、球面部52に対して摺動しない。一方、レバーシール部材48はレバー46と共に回転するので、上面48cは上ケース42(シール支持部126)に対して摺動する。上面48cの凹み162には、グリースが配置されている。つまり、凹み162は、グリース溜まりとして機能している。このグリースにより、レバー46の左右回転における摺動抵抗が抑制され、且つ、レバーシール部材48の水密性が高められている。グリースは、凹み164に配置されてもよい。グリースは、凹み160に配置されてもよい。このように、レバーシール部材48は、グリースが配置されうる凹みを有するのが好ましい。摺動面に面した凹みにグリースが配置されるのがより好ましい。上述の通り、レバーシール部材48では、摺動面に面した凹みは、凹み162である。
図10(a)から(f)は、可動弁体60(下側部材88)と固定弁体62との重なり図である。図10(a)から(f)は、互いに重なる下側部材88と固定弁体62とを上側から見た図である。見やすさを考慮して、固定弁体62の湯供給孔80、水供給孔82及び排出孔84に関して、図10(a)から(f)では、上開口線80a、82a及び84aのみが示されている。同様に、見やすさを考慮して、流路形成凹部94に関して、図10(a)から(f)では、下開口線94aのみが示されている。
図10(a)から(f)では、隠れ線が破線で示されている。見やすさを考慮して、固定弁体62における破線と、可動弁体60における破線との間で、破線の種類を変えている。
図10(a)では、レバー左右位置が湯側限界位置であり、レバー前後位置が最大吐水位置である。図10(a)では、流路形成凹部94が湯供給孔80と排出孔84とに重なっているので、湯のみが吐出される。この局面では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっていない。
図10(b)では、レバー左右位置が正面位置であり、レバー前後位置が最大吐水位置である。図10(b)では、流路形成凹部94が水供給孔82と排出孔84とに重なっているので、水のみが吐出される。この局面では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっていない。
図10(c)では、レバー左右位置が水側限界位置であり、レバー前後位置が最大吐水位置である。図10(c)では、流路形成凹部94が水供給孔82と排出孔84とに重なっているので、水のみが吐出される。この局面では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっていない。
図10(d)では、レバー左右位置が湯側限界位置であり、レバー前後位置が止水位置である。図10(d)では、流路形成凹部94は排出孔84のみに重なっており、湯供給孔80及び水供給孔82には重なっていないので、止水状態となる。湯側限界位置では、使用者側から見て、レバーハンドル14が、可動域における最も左側に位置する。この局面では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっている。
図10(e)では、レバー左右位置が正面位置であり、レバー前後位置が止水位置である。図10(e)では、流路形成凹部94は排出孔84のみに重なっており、湯供給孔80及び水供給孔82には重なっていないので、止水状態となる。この局面では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっている。
図10(f)では、レバー左右位置が水側限界位置であり、レバー前後位置が止水位置である。図10(f)では、流路形成凹部94は排出孔84のみに重なっており、湯供給孔80及び水供給孔82には重なっていないので、止水状態となる。水側限界位置では、使用者側から見て、レバーハンドル14が、可動域における最も右側に位置する。この局面では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっている。
図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、水及び/又は湯が吐出される吐水状態である。図10(a)、図10(b)及び図10(c)では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっていない。これらの局面では、リリース溝140は、第1摺動面PL1によって閉じられている。吐水状態では、リリース溝140は漏れ水導入部150に重ならない。
なお、図示されていないが、レバー左右位置は、湯供給孔80、水供給孔82及び排出孔84と重なる位置を含む。この局面では、湯と水とが混合されて吐出される。この局面も吐水状態であり、リリース溝140は漏れ水導入部150に重ならない。
図10(d)、図10(e)及び図10(f)は、水及び湯が吐出されない止水状態である。図10(d)、図10(e)及び図10(f)では、リリース溝140は、漏れ水導入部150に重なっている。これらの局面では、リリース溝140と漏れ水導入部150とが重なることで、リリース流路が形成される。このリリース流路は、第1摺動面PL1と第2摺動面PL2との面接触により形成される摺動合わせ面の外部と排出孔84とを連通させている。
本実施形態のように、止水状態では、あらゆるレバー左右位置において、リリース溝140が漏れ水導入部150に重なっているのが好ましい。この構成は、リリース効果(後述)に優れる。止水状態において、レバー左右位置の一部のみで、リリース溝140が漏れ水導入部150に重なっていてもよい。この場合、リリース溝140が漏れ水導入部150に重なるレバー左右位置は、正面位置を含むのが好ましい。正面位置の使用頻度は高い。
この湯水混合栓10では、弁体周囲空間S1が、複数のシール部材によって密閉されている。弁体周囲空間S1は、摺動合わせ面PL3の周囲の空間を含む。弁体周囲空間S1は、インナーシール部材64の周囲の空間を含む。弁体周囲空間S1は、レバー組立体38と収容部13との間の空間を含む。これらの空間は、部材間の隙間によって繋がっている。弁体周囲空間S1は、摺動合わせ面PL3及びインナーシール部材64から漏れた漏れ水が貯留されうる空間である。
弁体周囲空間S1の上側は、レバーシール部材48と上シール部材40とで密閉されている。上シール部材40は、上ケース42と水栓本体12との間をシールしている。本実施形態では、上シール部材40は、上ケース42(大径円筒部122)と側面壁部12aとの間をシールしている。レバーシール部材48は、レバー連動部(球面部52)と上ケース42との間をシールしている。上シール部材40及びレバーシール部材48は、摺動合わせ面PL3よりも上側に位置している。レバー組立体38の内側に位置するレバーシール部材48と、レバー組立体38の外側に位置する上シール部材40とで、弁体周囲空間S1の上側の密閉が実現されている。
弁体周囲空間S1の下側は、インナーシール部材64及び下シール部材66とで密閉されている。インナーシール部材64は、固定弁体62と下ケース68との間をシールしている。下シール部材66は、下ケース68と水栓本体12との間をシールしている。本実施形態では、下シール部材66は、下ケース68と底面壁部12bとの間をシールしている。インナーシール部材64及び下シール部材66は、摺動合わせ面PL3よりも下側に位置している。レバー組立体38の内側に位置するインナーシール部材64と、レバー組立体38の外側に位置する下シール部材66とで、弁体周囲空間S1の下側の密閉が実現されている。
このように、レバー組立体38と、水栓本体12の収容部13ととの間は、上側では上シール部材40でシールされ、下側では下シール部材66でシールされている。更に、レバー連動部は、レバーシール部材48でシールされている。また、固定弁体62と下ケース68との間は、インナーシール部材64でシールされている。これらのシール部材により、弁体周囲空間S1は密閉されている。
ドライ摺動型の湯水混合栓10では、摺動合わせ面PL3からの水の流出は望まれていない。しかし、摩耗やグリースの流出などの影響で、摺動合わせ面PL3からの水漏れは生じうる。また、劣化により、各シール部からの水漏れが生じる。通常のドライ摺動側の湯水混合栓では、弁体周囲空間S1は密閉されていない。このため、漏れ水は、弁体周囲空間S1を満たした後、水栓本体12の外部に溢れ出す。溢れ出した漏れ水は、湯水混合栓10の外壁を伝って流れ落ち、水栓根元部に溜まる。水栓根元部とは、水栓本体12と水栓設置部(流し台など)との境界部を意味する。溜まった水は、この水栓根元部を腐食させる。
本開示の湯水混合栓10では、弁体周囲空間S1が密閉されている。このため、漏れ水が外部に流出しない(密閉効果)。
上記密閉により、弁体周囲空間S1が外部から遮断される。このため、湯水混合栓10を洗浄する際に用いられる洗浄水が弁体周囲空間S1の内部に侵入することが防止され、グリースの流出が抑制される(侵入防止効果)。
湯水混合栓10では、リリース溝140及び漏れ水導入部150が設けられている。リリース溝140と漏れ水導入部150とで、リリース流路が形成される。弁体周囲空間S1内の溜まり水は、このリリース流路を通って、排出孔84に回収される。よって、溜まり水が、正規の吐水と同じく、蛇口から排出される。漏れ水が水栓本体12の外部に溢れ出すことがないため、水栓根元部の腐食が防止される(リリース効果)。
リリース流路により、弁体周囲空間S1内での圧力の過度な上昇が抑制される。このため、各シール部材への負荷が低減され、各シール部材に要求される耐圧性能を緩和することができる(内圧抑制効果)。
先端止水構造を有する水栓において先端止水をすると、両弁体を含め、先端止水部までの流路全体に水圧がかかった状態となる。このとき、弁体周囲空間S1は大気圧である。この状態で、レバー前後位置を止水位置とすると、水道管からの水圧は両弁体により止められ、両弁体から先端までは水圧がかかった状態が維持される。この状態は、例えば両弁体から吐水口までの間の流路部(ホース等)に負荷を与える。しかし本開示の構造では、リリース流路が形成されるため、当該水圧が弁体周囲空間S1によって吸収され、水圧を下げることができる。なお、先端止水構造とは、吐水口に止水機能を有する構造を意味する。
弁体周囲空間S1内の圧力が過大となると、レバーシール部材48が押し潰され、球面部52に対するレバーシール部材48の接触圧が増大しうる。この接触圧が増大すると、レバー46の操作抵抗が増加する。前述の内圧抑制効果により、この接触圧の増大が抑制され、レバー46の操作抵抗が抑制される。
湯水混合栓10では、吐水時には、リリース流路は閉鎖されている。吐水の温度が高い場合、弁体周囲空間S1内の空気及びその周辺部材が暖められて膨張する。この膨張に起因する高い空気圧が可動弁体60を押し下げる。この結果、吐水時における、摺動合わせ面PL3からの水漏れが抑制される。
湯水混合栓10では、吐水時には、リリース流路が閉鎖されている。よって、吐水がリリース流路から漏れ出すことがない。また、止水時にリリース流路が形成される。湯水混合栓10の使用では、吐水と止水とが交互に行われ、止水状態の時間は長い。リリース流路による漏れ水の排出は高頻度に且つ確実に実施され、弁体周囲空間S1内の圧力の過度な上昇は抑制される(リリース流路開閉効果)。
リリース流路が摺動合わせ面PL3に設けられているので、漏れ水の水位は、摺動合わせ面PL3よりも高くなりにくい。よって、レバーシール部材48が水没しにくく、レバーシール部材48からのグリースの流出が抑制される(グリース流出抑制効果)。
なお、湯水混合栓10において、リリース溝140及び漏れ水導入部150が設けられなくてもよい。すなわち、湯水混合栓10において、リリース流路が形成されなくてもよい。この場合、漏れ水が増加するにつれて、密閉された弁体周囲空間S1内の圧力が上昇する。この圧力がシール部材の内側の圧力と同じになると、シール部材の内側と外側との圧力差がなくなり、水漏れが生じない。またこの場合、シール部材は内側と外側とから押圧されて薄くなり、上下方向に延びようとするので、シール圧が高まる。摺動合わせ面PL3からの水漏れについても、弁体周囲空間S1の圧力が漏れ水圧と同じになれば、水漏れが防止される。このように、弁体周囲空間S1が密閉された構造は、内圧の上昇によって漏れ水を抑制しうる(内圧上昇効果)。
上シール部材40の形状は限定されない。上記実施形態のように、側面壁部12aの内周面と上ケース42の外周面との間をシールする場合、上シール部材40は環状であるのが好ましい。この環状シールとして、Oリング及びリップパッキンが例示される。上記実施形態では、Oリングが用いられている。
レバーシール部材48の形状は限定されない。上記実施形態のように、レバー46の球面部52をシールする場合、レバーシール部材48は環状であるのが好ましい。球面部52と隣接部とのシールを達成する観点から、レバーシール部材48は、球面部52に接する内周面と他の面とを有するのが好ましい。レバー46の摺動抵抗を低減する観点から、前記他の面は凹みを有するのが好ましい。上述の通り、この凹みはグリース溜まりとしても機能しうる。
インナーシール部材64の形状は限定されない。前述の通り、インナーシール部材64は、3つの環状シールであってもよいし、上記実施形態のように、3つの環状部を有して一体化されていてもよい。分離した3つの環状シールが用いられる場合、各環状シールは円筒形状であってもよい。インナーシール部材64は、固定弁体62と下ケース68との間で圧縮されて用いられる。インナーシール部材64の存在に起因して、固定弁体62と下ケース68との間には隙間が確保されている。インナーシール部材64は、この隙間を維持しつつ、固定弁体62を上側(可動弁体60側)に押圧している。この押圧力は、摺動合わせ面PL3における接触圧を高め、摺動合わせ面PL3からの漏れ水を抑制している。
下シール部材66の形状は限定されない。下シール部材66は、3つの環状シールであってもよいし、上記実施形態のように、3つの環状部を有して一体化されていてもよい。
固定弁体62において、第1摺動面PL1の面積がM1とされる。固定弁体62において、漏れ水導入部150の面積がM2とされる。面積M1及び面積M2は、固定弁体62の平面図(図7)において測定される。なお、第1摺動面PL1の面積M1は、可動弁体60の第2摺動面PL2と接触しうる接触部と、当該接触部と同一平面を構成する部分とを含む、平面全体の面積である。また面積M2は、漏れ水導入部150全体の面積である。
止水状態において、リリース流路が形成されるレバー左右位置の範囲は広いのが好ましい。レバー前後位置が止水位置にあるとき、あらゆるレバー左右位置でリリース流路が形成されるのがより好ましい。これらの観点から、M2/M1は、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上がより好ましい。一方、吐水状態においては、リリース流路が閉鎖されるのが好ましい。レバー前後位置が吐水位置にあるとき、あらゆるレバー左右位置でリリース流路が閉鎖されるのがより好ましい。これらの観点から、M2/M1は、0.4以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下がより好ましい。上記実施形態では、M2/M1は、0.17とされた。
図7において両矢印θ1で示されるのは、漏れ水導入部150の周方向存在範囲の中心角である。止水状態において、リリース流路が形成されるレバー左右位置の範囲は広いのが好ましく、あらゆるレバー左右位置でリリース流路が形成されるのがより好ましい。この観点から、中心角θ1は、80度以上が好ましく、90度以上がより好ましく、100度以上がより好ましい。摺動合わせ面PL3からの水漏れを抑制する観点からは、第1摺動面PL1は広いほうがよい。この観点から、中心角θ1は、130度以下が好ましく、120度以下がより好ましく、110度以下がより好ましい。上記実施形態では、中心角θ1は、104度とされた。
図7において両矢印θ2で示されるのは、湯供給孔80と漏れ水導入部150との周方向離間角度である。湯供給孔80からの水漏れを抑制する観点から、周方向離間角度θ2は、20度以上が好ましく、30度以上がより好ましく、40度以上がより好ましい。リリース流路が形成されるレバー左右位置の範囲を拡げる観点から、周方向離間角度θ2は、70度以下が好ましく、60度以下がより好ましく、50度以下がより好ましい。上記実施形態では、周方向離間角度θ2は、45.5度とされた。
図7において両矢印θ3で示されるのは、水供給孔82と漏れ水導入部150との周方向離間角度である。水供給孔82からの水漏れを抑制する観点から、周方向離間角度θ3は、20度以上が好ましく、30度以上がより好ましく、40度以上がより好ましい。リリース流路が形成されるレバー左右位置の範囲を拡げる観点から、周方向離間角度θ3は、70度以下が好ましく、60度以下がより好ましく、50度以下がより好ましい。上記実施形態では、周方向離間角度θ3は、45.5度とされた。
漏れ水を回収する際の流量を高める観点から、漏れ水導入部150の深さは、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上が更に好ましい。固定弁体62の強度を考慮すると、漏れ水導入部150の深さは、0.6mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.4mm以下が更に好ましい。漏れ水導入部150の深さは、第1摺動面PL1からの深さである。この深さは、第1摺動面PL1に垂直な方向に沿って測定される。上記実施形態では、漏れ水導入部150の深さは、0.3mmとされた。
漏れ水を回収する際の流量を高める観点から、リリース溝140の深さは、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.5mm以上が更に好ましい。可動弁体60の強度を考慮すると、リリース溝140の深さは、0.9mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.7mm以下が更に好ましい。リリース溝140の深さは、第2摺動面PL2からの深さである。この深さは、第2摺動面PL2に垂直な方向に沿って測定される。上記実施形態では、リリース溝140の深さは、0.6mmとされた。
リリース溝140の深さが過大であると、流路形成凹部94に流入する吐水の流れが乱れやすい。この観点から、リリース溝140の深さは、流路形成凹部94の最大深さに対して、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下がより好ましい。リリース溝140の好ましい深さを考慮すると、リリース溝140の深さは、流路形成凹部94の最大深さに対して、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、7%以上がより好ましい。流路形成凹部94の深さは、第2摺動面PL2に垂直な方向に沿って測定される。上記実施形態では、リリース溝140の深さは、流路形成凹部94の最大深さに対して、10.7%とされた。
図5において両矢印Wで示されるのは、リリース溝140の幅である。漏れ水を回収する際の流量を高める観点から、リリース溝140の幅Wは、0.5mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上が更に好ましい。幅Wが過大であると、流路形成凹部94に流入する吐水がリリース溝140にも多く流れ込み、吐水の流れが乱れる。この観点から、リリース溝140の幅Wは、1.1mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.9mm以下が更に好ましい。リリース溝140の幅Wは、リリース溝140の延在方向に対して垂直な方向に沿って測定される。リリース溝140の幅Wは、リリース溝140の開口幅とされうる。上記実施形態では、幅Wは0.8mmとされた。
上ケースの材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。上シール部材40によるシール性を高める観点から、防錆性、剛性及び強度に優れた材質が好ましい。この観点から、上ケースの材質として、真鍮、ステンレス合金及び繊維強化樹脂が好ましい。上記実施形態では、ガラス繊維強化PPS樹脂が用いられた。PPS樹脂とはポリフェニレンスルフィド樹脂である。
可動弁体の下側部材の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、金属及びセラミックが例示される。固定弁体との摺動における耐摩耗性の観点から、セラミックが好ましい。このセラミックは、水に対する腐食性、強度及び耐久性の観点からも好ましい。上記実施形態では、セラミック(アルミナ)が用いられた。
固定弁体の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、金属及びセラミックが例示される。可動弁体(下側部材)との摺動における耐摩耗性の観点から、セラミックが好ましい。このセラミックは、水に対する腐食性、強度及び耐久性の観点からも好ましい。好ましいセラミックとして、酸化アルミニウム(アルミナ)、及び、炭化ケイ素(SiC)やSiCC等の炭化ケイ素系材料が挙げられる。上記実施形態では、セラミック(アルミナ)が用いられた。
レバーシール部材48の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。球面部52に対する密着性の観点から、ゴムが好ましい。好ましいゴムとして、シリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる、上記実施形態では、ゴム(EPDM)が用いられた。
上シール部材40の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。上記実施形態では、ゴムが用いられた。
インナーシール部材64の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。上記実施形態では、ゴムが用いられた。
下シール部材66の材質として、樹脂及びゴム材(加硫ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。上記実施形態では、ゴムが用いられた。
下ケース68の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が例示される。インナーシール部材64及び下シール部材66におけるシール性の観点から、剛性及び強度に優れた材質が好ましい。この観点から、繊維強化樹脂が好ましく、ガラス繊維強化樹脂がより好ましい。上記実施形態では、ガラス繊維強化PPS樹脂が用いられた。
上述の実施形態では、固定弁体62が漏れ水導入部150を有するが、可動弁体60が漏れ水導入部150を有していてもよい。上述の実施形態では、可動弁体60がリリース溝140を有するが、固定弁体62がリリース溝140を有していてもよい。
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
ドライ摺動型の湯水混合水栓であって、
水栓本体と、
吐出量及び吐水温度を調節可能なレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔、排出孔及び第1摺動面を有する固定弁体と、
流路形成凹部及び第2摺動面を有しており、前記第2摺動面が前記第1摺動面と面接触することで摺動合わせ面を形成している可動弁体と、
前記レバーハンドルが固定されており、前記レバーハンドルの動きを前記可動弁体に伝達するレバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記上ケースと前記水栓本体との間をシールする上シール部材と、
前記レバーに連動するレバー連動部と前記上ケースとの間をシールするレバーシール部材と、
を有している湯水混合栓。
[付記2]
前記固定弁体と前記可動弁体との間に形成されており、止水時には前記排出孔と前記摺動合わせ面の外部とを連通させ、吐水時には前記摺動合わせ面によって閉鎖されるリリース流路を更に有する付記1に記載の湯水混合栓。
[付記3]
前記固定弁体の上面が、前記第1摺動面と、前記第1摺動面よりも低い面を形成し前記固定弁体の外縁にまで至る漏れ水導入部とを有しており、
前記可動弁体の下面が、前記第2摺動面と、前記流路形成凹部から延び前記第2摺動面内で終端するリリース溝とを有しており、
前記漏れ水導入部と前記リリース溝とが重なることで前記リリース流路が形成される付記2に記載の湯水混合栓。
[付記4]
前記第1摺動面の面積がM1とされ、前記漏れ水導入部の面積がM2とされるとき、M2/M1が0.05以上0.4以下である付記1から3のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
[付記5]
前記リリース溝の幅が1.1mm以下である付記1から4のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。