JP7075745B2 - 軌道走行式機械の制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軌道走行式機械の制動装置に関するものである。
図6は一般的な軌道走行式機械としてのコンテナクレーンの一例を示すものであって、1はコンテナクレーン、2はコンテナクレーン1が配備される港湾、3は港湾2における岸壁、4は岸壁3に図6の紙面と直交する方向へ延びるよう敷設されたレールであり、コンテナクレーン1のクレーン本体5の支持脚6には、レール4に沿って転動自在な走行車輪7を有する走行装置8が取り付けられている。
前記コンテナクレーン1は、荷役作業中に強風に煽られると、運転者の意に反して走行が止まらず、逸走してしまい、隣接する機械や近接構造物への衝突や倒壊に至る虞がある。
このため、前述の如き軌道走行式機械の逸走を防止する装置として、従来、例えば、特許文献1に開示されているようなクランプ装置がある。該クランプ装置は、先端部に挟み部が形成された一対の接触子をその略中間部が軸を中心として回動自在となるよう連結した挟み機構と、該挟み機構における前記接触子の基端部に設けられ且つ該接触子の基端部間を狭めて前記挟み部が常時レールを挟む閉方向へ前記接触子を回動させるようにしたばね機構と、前記一対の接触子の基端部に形成されたカム受部をその内側から押し開く方向へ駆動して前記挟み部によるレールの挟み付けを解放するための回転カムとを備えている。
しかしながら、特許文献1に開示されたクランプ装置では、レールを両側から挟み付ける方式を採用しているため、レール面との摩擦係数を高めるためにクランプ装置側の接触面にギザギザの歯を付けたり、或いは接触面を硬化させてヤスリのようにしたりしている場合、レールの側面に傷を付けてしまう可能性があった。又、レールの側面の精度が低く、その幅方向における中心線から側面までの寸法に左右でばらつきが生じているような場合、若しくはレールの腐食等が生じている場合、前記挟み部による挟み付けが均一に行われずに締付力が大きく低下してしまい、充分な保持力が得られなくなる可能性もあった。
こうした不具合を解消するため、レールの走行車輪転動面に対し直交する方向へブレーキパッドを押付・離反自在な油圧シリンダ等の流体圧シリンダを備えた制動装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平6-72690号公報 特開2015-58805号公報
ところで、近年、前記コンテナクレーン1等の軌道走行式機械においては、前記走行装置8の下部に制動装置を設けることができるようにする要求が高まっている。これは、流体圧シリンダによる荷重入力点と制動力の発生位置を近づけることにより、流体圧シリンダに対するモーメントの発生を低減して強度的に有利な構造とするためである。
ここで、前記走行装置8の下部に制動装置を設けようとした場合、二枚の板材で構成される下部イコライザビームの底面側に掛け渡すように取り付けられた平板状のベースプレートの下面に前記流体圧シリンダのシリンダ本体を取り付け、該流体圧シリンダのピストンロッドにブレーキパッドを、前記レール4の走行車輪転動面に対し該レール4と直交する方向へ押付・離反自在となるよう連結する形となる。
しかしながら、前記流体圧シリンダを伸長駆動し、ブレーキパッドを前記レール4の走行車輪転動面に対し該レール4と直交する方向へ押し付けるように作動させた場合、その反力でベースプレートが撓み、前記流体圧シリンダの軸線が鉛直方向からずれてしまい、前記流体圧シリンダに負荷が掛かると共に、該流体圧シリンダが作動不良を起こす虞があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、流体圧シリンダに対するモーメントの発生を低減して強度的に有利な構造とし得、作動の円滑化を図り得る軌道走行式機械の制動装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明の軌道走行式機械の制動装置は、レール上を走行する支持脚の下部に、走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された上側イコライザビームと、該上側イコライザビームの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された一対の下側イコライザビームとからなるイコライザ装置を少なくとも一段有し、最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの走行方向両端部にレールに沿って転動自在な走行車輪が配設された走行装置を備え、
前記最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームとレールとの間に配設される流体圧シリンダによりブレーキパッドを、前記レールの走行車輪転動面に対し該レールと直交する方向へ押付・離反自在となるよう配設した軌道走行式機械の制動装置であって、
前記下側イコライザビームは、複数枚の板材がレールの幅方向へ所要間隔をあけて配設されることにより構成され、
前記下側イコライザビームの板材の直下位置に対応させて複数配設される流体圧シリンダと、該流体圧シリンダを保持するフレームとを有し、該流体圧シリンダによるブレーキパッドのレールへの押付に伴う前記フレームの変形を吸収しつつ前記流体圧シリンダからブレーキパッドへ荷重伝達する制動機構を備え
前記制動機構のフレームは、
前記最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの下面に設けられる固定フレームと、
該固定フレームの下面側に前記流体圧シリンダを介して昇降自在に配設され且つ下面に湾曲凹面が形成された押圧フレームと、
該押圧フレームの下面側に吊り下げられて前記ブレーキパッドが下面に取り付けられ且つ前記流体圧シリンダからの荷重付与による押圧フレームの変形時に前記湾曲凹面が密着する湾曲凸面が上面に形成された伝達フレームと
を備えることができる。
前記軌道走行式機械の制動装置においては、前記押圧フレームの変形時に流体圧シリンダの軸線の傾動を許容して該流体圧シリンダへの負荷を吸収する吸収機構と、
前記固定フレームと押圧フレームとの間に介装され且つ前記ブレーキパッドがレールから離反する方向へ前記押圧フレームを付勢する制動解除機構と、
前記流体圧シリンダのシリンダ室へ作動流体を給排自在で且つ作動流体の供給時には前記制動解除機構の付勢力に抗して流体圧シリンダを伸長させる流体圧ユニットと
を備えることができる。
前記軌道走行式機械の制動装置において、前記吸収機構は、
前記流体圧シリンダのシリンダ本体の端面及びピストンの端面に形成された凸状球面と、
該凸状球面が摺動自在に係合するよう前記固定フレーム及び押圧フレームに形成された凹状球面と
を備えることができる。
前記軌道走行式機械の制動装置において、前記制動解除機構は、
前記固定フレームに対し押圧フレームを近接・離反自在に連結する連結ロッドと、
該連結ロッドに伸縮自在に嵌装され且つ前記固定フレームに対し押圧フレームを近接させる方向へ付勢する圧縮バネと
を備えることができる。
本発明の軌道走行式機械の制動装置によれば、流体圧シリンダに対するモーメントの発生を低減して強度的に有利な構造とし得、作動の円滑化を図り得るという優れた効果を奏し得る。
本発明の軌道走行式機械の制動装置の実施例を示す正面図である。 本発明の軌道走行式機械の制動装置の実施例を示す概要構成図であって、制動を解除した状態を示す図である。 本発明の軌道走行式機械の制動装置の実施例を示す平面図であって、図2のIII-III矢視相当図である。 本発明の軌道走行式機械の制動装置の実施例における押圧機構の押圧フレームに対する伝達フレームの接合構造を示す断面図である。 本発明の軌道走行式機械の制動装置の実施例を示す概要構成図であって、制動を行っている状態を示す図である。 軌道走行式機械としてのコンテナクレーンの一例を示す全体側面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1~図5は本発明の軌道走行式機械の制動装置の実施例であって、図中、図6と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
図1に示す軌道走行式機械としてのコンテナクレーン1では、クレーン本体5の支持脚6間に、該支持脚6をつなぐようレール4に沿って延びる下部フレーム6aが設けられ、該下部フレーム6aの底面側に、複数(図1の例では二基)の走行装置8が設けられている。
前記走行装置8は、上部イコライザビーム9aと、中間部イコライザビーム9bと、下部イコライザビーム9cと、走行車輪7とを備えている。
前記上部イコライザビーム9aは、前記下部フレーム6aの底面側に、走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10aにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。前記中間部イコライザビーム9bは、前記上部イコライザビーム9aの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10bにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。前記下部イコライザビーム9cは、前記中間部イコライザビーム9bの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10cにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。
前記走行車輪7は、前記下部イコライザビーム9cの走行方向両端部にレール4に沿って転動自在となるよう配設されている。
尚、図1に示す例では、上部イコライザビーム9aと中間部イコライザビーム9bとからなるイコライザ装置9Aと、中間部イコライザビーム9bと下部イコライザビーム9cとからなるイコライザ装置9Bとが上下二段に形成されている。因みに、上段の前記イコライザ装置9Aにおける上部イコライザビーム9aは上側イコライザビームとなり、中間部イコライザビーム9bは下側イコライザビームとなる。又、下段の前記イコライザ装置9Bにおける中間部イコライザビーム9bは相対的に上側イコライザビームとなり、下部イコライザビーム9cは下側イコライザビームとなる。但し、前記軌道走行式機械としてのコンテナクレーン1の規模に応じて、前記イコライザ装置9Aを一段だけ形成して、下側イコライザビーム(この場合は中間部イコライザビーム9b)に走行車輪7を配設しても良い。又、前記イコライザ装置を上下三段以上形成して、最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの走行方向両端部にレール4に沿って転動自在な走行車輪7を配設しても良い。
前記下部イコライザビーム9c(下側イコライザビーム)は、複数枚(図2及び図3の例では二枚)の板材9cpがレール4の幅方向へ所要間隔をあけて配設されることにより構成されている。
前記走行装置8の各々には制動機構40を配置してある。但し、必ずしも前記走行装置8の各々に制動機構40を配置する必要はなく、充分な制動力が得られるのであれば、制動機構40は一つであっても良い。
前記制動機構40は、前記走行車輪7が配設された下部イコライザビーム9c(下側イコライザビーム)に取り付けられ、図2に示す如く、流体圧シリンダ13と、フレーム50とを有している。
前記制動機構40のフレーム50は、固定フレーム51と、押圧フレーム52と、伝達フレーム53とを備えている。前記固定フレーム51は、前記最下段のイコライザ装置における下部イコライザビーム9c(下側イコライザビーム)の下面に設けられている。前記押圧フレーム52は、前記固定フレーム51の下面側に前記流体圧シリンダ13を介して昇降自在に配設されている。前記押圧フレーム52の下面には湾曲凹面52aが形成されている。前記伝達フレーム53は、前記押圧フレーム52の下面側に吊り下げられてブレーキパッド12が下面に取り付けられている。前記伝達フレーム53の上面には、前記流体圧シリンダ13からの荷重付与による押圧フレーム52の変形時に前記湾曲凹面52aが密着する湾曲凸面53aが形成されている。これにより、前記制動機構40は、流体圧シリンダ13によるブレーキパッド12のレール4への押付に伴う前記フレーム50(押圧フレーム52)の変形を吸収しつつ前記流体圧シリンダ13からブレーキパッド12へ荷重伝達するよう構成されている。尚、前記伝達フレーム53は、図3に示す如く、四隅部に孔53bが穿設され、該孔53bに対し、図4に示す如く、リーマピン54を遊嵌させ、該リーマピン54の先端ネジ部54bを前記押圧フレーム52の下面にねじ込むことにより、前記リーマピン54の下端に位置する頭部54aで伝達フレーム53が押圧フレーム52の下面側に吊り下げられるように支持され、該押圧フレーム52の変形を許容できるようになっている。
更に、前記制動機構40の固定フレーム51及び押圧フレーム52と流体圧シリンダ13との間には、吸収機構60が備えられている。前記吸収機構60は、前記流体圧シリンダ13のシリンダ本体13aの端面及びピストン13bの端面に凸状球面61,62を形成すると共に、該凸状球面61,62が摺動自在に係合するよう前記押圧フレーム52及び固定フレーム51に凹状球面63,64を形成してなる構成を有している。これにより、前記吸収機構60は、図5に示す如く、前記押圧フレーム52の変形時に流体圧シリンダ13の軸線の傾動を許容して該流体圧シリンダ13への負荷を吸収するようになっている。尚、前記押圧フレーム52の実際の変形量はごく微小となるが、図5には説明上、前記押圧フレーム52の変形を誇張して示している。
前記固定フレーム51と押圧フレーム52との間には制動解除機構70が介装されている。前記制動解除機構70は、連結ロッド71と、圧縮バネ72とを備えている。前記連結ロッド71は、前記固定フレーム51に対し押圧フレーム52を近接・離反自在に連結するようになっている。前記圧縮バネ72は、前記連結ロッド71に伸縮自在に嵌装され且つ前記固定フレーム51に対し押圧フレーム52を近接させる方向へ付勢するようになっている。これにより、前記制動解除機構70は、前記ブレーキパッド12がレール4から離反する方向へ前記押圧フレーム52を付勢するようになっている。尚、前記連結ロッド71は、図3に示す如く、前記固定フレーム51及び押圧フレーム52の四隅部に遊嵌され、図5に示す如く、前記押圧フレーム52の変形を許容できるようになっている。
前記流体圧シリンダ13には、流体圧ユニット14が接続されている。
前記流体圧ユニット14は、前記流体圧シリンダ13のシリンダ室13cへ作動流体を給排自在で且つ作動流体の供給時には前記制動解除機構70の付勢力に抗して流体圧シリンダ13を伸長させるようになっており、以下にその構成について詳述する。
前記流体圧ユニット14は、前記作動流体が貯留されたタンク15から延びる圧送ライン16と、前記流体圧シリンダ13のシリンダ室13cに接続される給排ライン17と、前記タンク15へ通じる戻しライン19とを備えている。前記圧送ライン16途中には、モータ20にて駆動されるポンプ21と、該ポンプ21にて圧送される作動流体の逆流を阻止する逆止弁22とが設けられている。前記圧送ライン16及び戻しライン19と、前記給排ライン17とは、ソレノイドバルブ23を介して接続され、前記逆止弁22とソレノイドバルブ23との間における圧送ライン16途中から分岐させた蓄圧ライン24には、アキュムレータ25が接続されている。
前記ソレノイドバルブ23は、ブレーキ作動ポジション23Aとブレーキ解除ポジション23Bとを有している。前記ブレーキ作動ポジション23Aは、図5に示す如く、前記圧送ライン16と給排ライン17とを連通させることにより、前記ポンプ21によって圧送される作動流体を流体圧シリンダ13のシリンダ室13cへ導入するポジションである。前記ブレーキ解除ポジション23Bは、図2に示す如く、前記圧送ライン16を封止しつつ、前記給排ライン17と戻しライン19とを連通させることにより、前記流体圧シリンダ13のシリンダ室13cの作動流体をタンク15へ排出するポジションである。尚、前記ソレノイドバルブ23は、非常停止時(緊急を要する意図的な電源遮断時)及び停電時にはソレノイドへの通電が停止されてバネ力により機械的に前記ブレーキ作動ポジション23Aに切り換わるようになっている。
前記ポンプ21と逆止弁22との間における圧送ライン16途中には、前記タンク15へ通じるリリーフライン26が分岐接続され、該リリーフライン26途中には、前記圧送ライン16における作動流体の圧力が設定圧以上となった際に開いて作動流体をタンク15へ戻すリリーフ弁27が設けられている。
前記蓄圧ライン24途中には、該蓄圧ライン24における作動流体の圧力が高位設定圧に達した際に作動する高位圧力スイッチ28Hと、前記蓄圧ライン24における作動流体の圧力が低位設定圧に達した際に作動する低位圧力スイッチ28Lと、常時開(ノーマルオープン)で且つ前記高位圧力スイッチ28Hの作動時に閉となるシャットオフ弁28Vとが設けられている。これにより、前記蓄圧ライン24における作動流体の圧力が前記アキュムレータ25の設定圧に達した際には高位圧力スイッチ28Hが作動して前記ポンプ21のモータ20に対し、図示していない制御装置から停止指令が出力されると共に前記シャットオフ弁28Vが閉じる一方、前記圧力が前記アキュムレータ25の設定圧以下に低下した際には低位圧力スイッチ28Lが作動して前記ポンプ21のモータ20に対し、前記制御装置から駆動指令が出力されると共に前記シャットオフ弁28Vが開くようになっている。
尚、前記蓄圧ライン24途中には、メンテナンス時等に前記アキュムレータ25の作動流体をタンク15に抜くためのドレンライン29が接続され、該ドレンライン29には、作業者によって開閉される手動開閉弁30が設けられている。
次に、上記実施例の作用を説明する。
図2に示す如く、流体圧ユニット14のソレノイドバルブ23をブレーキ解除ポジション23Bに切り換えた状態では、給排ライン17と戻しライン19とが連通し、制動解除機構70の圧縮バネ72の付勢力により、固定フレーム51に対し押圧フレーム52が近接する方向(上昇する方向)へ移動し、流体圧シリンダ13のシリンダ室13cの作動流体がタンク15へ排出される。これにより、流体圧シリンダ13のピストン13bが収縮する方向へ移動し、前記押圧フレーム52に吊り下げられた伝達フレーム53と一体のブレーキパッド12がレール4の走行車輪転動面4aから離反して制動が解除され、コンテナクレーン1は走行可能となっている。尚、流体圧ユニット14の圧送ライン16は、前記ブレーキ解除ポジション23Bに切り換えられたソレノイドバルブ23によって封止されており、ポンプ21によって圧送される作動流体はリリーフライン26からリリーフ弁27を介してタンク15へ戻され循環している。
これに対し、図2に示す状態から、図5に示す如く、前記流体圧ユニット14のソレノイドバルブ23をブレーキ作動ポジション23Aに切り換えると、圧送ライン16と給排ライン17とが連通することにより、ポンプ21によって圧送される作動流体が流体圧シリンダ13のシリンダ室13cへ導入される。これにより、流体圧シリンダ13のピストン13bが突出する方向へ移動し、前記制動解除機構70の圧縮バネ72の付勢力に抗して押圧フレーム52が押し下げられ、伝達フレーム53と一体のブレーキパッド12がレール4の走行車輪転動面4aに押し付けられて制動が行われる。
ここで、前記ブレーキパッド12がレール4の走行車輪転動面4aに押し付けられると、押圧フレーム52は撓むが、該押圧フレーム52の湾曲凹面52aが伝達フレーム53の湾曲凸面53aに密着する形となる。このため、前記押圧フレーム52の変形が吸収されつつ前記流体圧シリンダ13からブレーキパッド12へ荷重伝達される。
尚、前記蓄圧ライン24における作動流体の圧力が前記アキュムレータ25の高位設定圧に達した際には高位圧力スイッチ28Hが作動して、前記ポンプ21のモータ20に対し、図示していない制御装置から停止指令が出力されると共にシャットオフ弁28Vが閉じる。一方、前記圧力が前記アキュムレータ25の低位設定圧以下に低下した際には低位圧力スイッチ28Lが作動して、前記ポンプ21のモータ20に対し、前記制御装置から駆動指令が出力されると共に前記シャットオフ弁28Vが開く。これにより、前記アキュムレータ25は常時、高位設定圧と低位設定圧との間の圧力に蓄圧される。しかも、前記ソレノイドバルブ23は、非常停止時及び停電時にはソレノイドへの通電が停止されてバネ力により機械的に前記ブレーキ作動ポジション23Aに切り換わるようになっている。又、前記シャットオフ弁28Vは、常時開(ノーマルオープン)であって非常停止時及び停電時には開いている。このため、非常停止時及び停電時には、前記アキュムレータ25に蓄圧された作動流体が蓄圧ライン24から給排ライン17を介し前記流体圧シリンダ13のシリンダ室13cへ導かれてピストン13bが突出する方向へ移動し、前記ブレーキパッド12がレール4の走行車輪転動面4aに押し付けられる。この結果、非常停止時及び停電時にたとえポンプ21が停止したとしても、ブレーキを作動させることが可能となる。
本実施例の場合、前記流体圧シリンダ13を伸長駆動し、ブレーキパッド12を前記レール4の走行車輪転動面4aに対し該レール4と直交する方向へ押し付けるように作動させても、流体圧シリンダ13は、図2及び図3に示す如く、前記下部イコライザビーム9c(下側イコライザビーム)の板材9cpの直下位置に対応させて複数(二つ)配設されているため、その反力でベースプレート11が撓むことはない。これにより、前記流体圧シリンダ13の軸線が鉛直方向からずれてしまうことが避けられ、前記流体圧シリンダ13に負荷が掛からなくなると共に、該流体圧シリンダ13が円滑に作動して作動不良を起こす心配がなくなる。
又、前記押圧フレーム52の撓みは避けられないが、押圧フレーム52が撓んでも、該押圧フレーム52の湾曲凹面52aが伝達フレーム53の湾曲凸面53aに密着し、前記押圧フレーム52の変形が吸収されつつ前記流体圧シリンダ13からブレーキパッド12へ荷重伝達されることから、前記押圧フレーム52の撓みの影響がブレーキパッド12に伝わることはなく、ブレーキパッド12のレール4に対する片当りが生じる心配もない。
更に、前記押圧フレーム52の変形時には、前記流体圧シリンダ13のシリンダ本体13aの端面及びピストン13bの端面に形成された吸収機構60の凸状球面61,62が、前記押圧フレーム52及び固定フレーム51に形成された凹状球面63,64に対して摺動する。このため、流体圧シリンダ13の軸線の傾動が前記吸収機構60によって許容され、該流体圧シリンダ13へ負荷が掛かることが避けられる。
この結果、近年のコンテナクレーン1等の軌道走行式機械における、走行装置8の下部に制動装置を設けることができるようにする要求に対応でき、流体圧シリンダ13による荷重入力点と制動力の発生位置を近づけることにより、流体圧シリンダ13に対するモーメントの発生を低減して強度的に有利な構造とすることが可能となる。
こうして、流体圧シリンダ13に対するモーメントの発生を低減して強度的に有利な構造とし得、作動の円滑化を図り得る。
尚、本発明の軌道走行式機械の制動装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 コンテナクレーン(軌道走行式機械)
2 港湾
3 岸壁
4 レール
4a 走行車輪転動面
5 クレーン本体
6 支持脚
6a 下部フレーム
7 走行車輪
8 走行装置
9A イコライザ装置
9B イコライザ装置
9a 上部イコライザビーム(上側イコライザビーム)
9b 中間部イコライザビーム(下側イコライザビーム(上側イコライザビーム))
9c 下部イコライザビーム(下側イコライザビーム)
9cp 板材
10a ロッカーピン
10b ロッカーピン
10c ロッカーピン
11 ベースプレート
12 ブレーキパッド
13 流体圧シリンダ
13a シリンダ本体
13b ピストン
13c シリンダ室
14 流体圧ユニット
15 タンク
16 圧送ライン
17 給排ライン
19 戻しライン
20 モータ
21 ポンプ
22 逆止弁
23 ソレノイドバルブ
23A ブレーキ作動ポジション
23B ブレーキ解除ポジション
24 蓄圧ライン
25 アキュムレータ
26 リリーフライン
27 リリーフ弁
28H 高位圧力スイッチ
28L 低位圧力スイッチ
28V シャットオフ弁
29 ドレンライン
30 手動開閉弁
40 制動機構
50 フレーム
51 固定フレーム
52 押圧フレーム
52a 湾曲凹面
53 伝達フレーム
53a 湾曲凸面
53b 孔
54 リーマピン
54a 頭部
54b 先端ネジ部
60 吸収機構
61 凸状球面
62 凸状球面
63 凹状球面
64 凹状球面
70 制動解除機構
71 連結ロッド
72 圧縮バネ

Claims (4)

  1. レール上を走行する支持脚の下部に、走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された上側イコライザビームと、該上側イコライザビームの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピンにより中間部が支持されて揺動自在に配設された一対の下側イコライザビームとからなるイコライザ装置を少なくとも一段有し、最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの走行方向両端部にレールに沿って転動自在な走行車輪が配設された走行装置を備え、
    前記最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームとレールとの間に配設される流体圧シリンダによりブレーキパッドを、前記レールの走行車輪転動面に対し該レールと直交する方向へ押付・離反自在となるよう配設した軌道走行式機械の制動装置であって、
    前記下側イコライザビームは、複数枚の板材がレールの幅方向へ所要間隔をあけて配設されることにより構成され、
    前記下側イコライザビームの板材の直下位置に対応させて複数配設される流体圧シリンダと、該流体圧シリンダを保持するフレームとを有し、該流体圧シリンダによるブレーキパッドのレールへの押付に伴う前記フレームの変形を吸収しつつ前記流体圧シリンダからブレーキパッドへ荷重伝達する制動機構を備え
    前記制動機構のフレームは、
    前記最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの下面に設けられる固定フレームと、
    該固定フレームの下面側に前記流体圧シリンダを介して昇降自在に配設され且つ下面に湾曲凹面が形成された押圧フレームと、
    該押圧フレームの下面側に吊り下げられて前記ブレーキパッドが下面に取り付けられ且つ前記流体圧シリンダからの荷重付与による押圧フレームの変形時に前記湾曲凹面が密着する湾曲凸面が上面に形成された伝達フレームと
    を備えた軌道走行式機械の制動装置。
  2. 前記押圧フレームの変形時に流体圧シリンダの軸線の傾動を許容して該流体圧シリンダへの負荷を吸収する吸収機構と、
    前記固定フレームと押圧フレームとの間に介装され且つ前記ブレーキパッドがレールから離反する方向へ前記押圧フレームを付勢する制動解除機構と、
    前記流体圧シリンダのシリンダ室へ作動流体を給排自在で且つ作動流体の供給時には前記制動解除機構の付勢力に抗して流体圧シリンダを伸長させる流体圧ユニットと
    を備えた請求項記載の軌道走行式機械の制動装置。
  3. 前記吸収機構は、
    前記流体圧シリンダのシリンダ本体の端面及びピストンの端面に形成された凸状球面と、
    該凸状球面が摺動自在に係合するよう前記固定フレーム及び押圧フレームに形成された凹状球面と
    を備えた請求項記載の軌道走行式機械の制動装置。
  4. 前記制動解除機構は、
    前記固定フレームに対し押圧フレームを近接・離反自在に連結する連結ロッドと、
    該連結ロッドに伸縮自在に嵌装され且つ前記固定フレームに対し押圧フレームを近接させる方向へ付勢する圧縮バネと
    を備えた請求項2又は3記載の軌道走行式機械の制動装置。
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