以下、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体について、具体例を示して説明するが、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、以下に示す具体例に何ら限定されるものではなく、その効果を阻害しない限りにおいて、適宜変更を加えて実施することができる。また、以下に示す各構成要素は、互いに組み合わせて実施することができる。
また、本明細書中において、「Aを主成分として含むX」とは、「A」の含有量が好ましくは「X」100質量%に対し、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、99質量%以上であり、100質量%であってもよいことを意味する。
<ウレタン樹脂組成物>
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物と、1級アルコールのポリアルキレングリコール付加物と、フェノール及び/又はフェノール誘導体と、を含むものである。
このようなウレタン樹脂組成物によれば、赤リンを用いるか否かにかかわらず、延焼や溶融しにくく、対象物に対して優れた接着性を有するウレタン樹脂発泡体を製造し得るウレタン樹脂発泡体を得ることができる。
〔ポリイソシアネート化合物〕
ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えばウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基又はキサゾリドン基含有変性物等)等のうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート等を用いることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えばシクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を用いることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えばメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を用いることができる。
ポリイソシアネート化合物の数平均分子量としては、特に限定されないが、例えば30g/mol以上であることが好ましく、50g/mol以上であることがより好ましく、70g/mol以上であることがさらに好ましく、100g/mol以上であることが特に好ましい。ポリイソシアネート化合物の数平均分子量としては、例えば3000g/mol以下、2500g/mol以下、2000g/mol以下、1500g/mol以下、1000g/mol以下、900g/mol以下、800g/mol以下、700g/mol以下、600g/mol以下、500g/mol以下、400g/mol以下、300g/mol以下、200g/mol以下であってよい。
イソシアネートインデックスは、本来、ポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものであるが、ここでは1級アルコールのポリアルキレングリコール付加物、フェノール及び/又はフェノール誘導体、並びにポリオール化合物(ポリオール化合物を含む場合)の水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基の双方)に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものとする。イソシアネートインデックスとしては、特に限定されず、例えば120以上であってよいが、130以上、140以上、150以上、160以上、170以上、170超、180以上、190以上、200以上、220以上、240以上、260以上、270以上、280以上、290以上、300以上、320以上、340以上、360以上、380以上、400以上、420以上、440以上、460以上、480以上、500以上、520以上、540以上、560以上、580以上、600以上、620以上、640以上、660以上、680以上、700以上、720以上であることが好ましい。イソシアネートインデックスとしては、1000以下、900以下、800以下、700以下、600以下であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、35質量%以上であることが特に好ましく、40質量%以上であることが最も好ましい。一方、ポリイソシアネート化合物の含有量としては、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下であってよい。
〔1級アルコールのポリアルキレングリコール付加物〕
1級アルコールのポリアルキレングリコール付加物(以下、「モノオール類」とも記載する。)は、1級アルコールの水酸基に、アルキレングリコールを付加重合させたものである。ポリウレタン樹脂組成物がモノオール類を含有することにより、吹き付け等により形成されるウレタン樹脂発泡体の対象物に対する接着性を向上させることができる。
具体的に、1級アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、4-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、1-ノナノール、2-ノナノール、3-ノナノール、4-ノナノール、5-ノナノール、1-デカノール、2-デカノール、3-デカノール、4-デカノール、5-デカノール、1-ウンデカノール、2-ウンデカノール、3-ウンデカノール、4-ウンデカノール、5-ウンデカノール、6-ウンデカノール、1-ドデカノール、2-ドデカノール、3-ドデカノール、4-ドデカノール、5-ドデカノール、6-ドデカノール、1-トリデカノール、2-トリデカノール、3-トリデカノール、4-トリデカノール、5-トリデカノール、6-トリデカノール、7-トリデカノール、1-テトラデカノール、2-テトラデカノール、3-テトラデカノール、4-テトラデカノール、5-テトラデカノール、6-テトラデカノール、7-テトラデカノール、1-ペンタデカノール、2-ペンタデカノール、3-ペンタデカノール、4-ペンタデカノール、5-ペンタデカノール、6-ペンタデカノール、7-ペンタデカノール、8-ペンタデカノール、1-ヘキサデカノール、2-ヘキサデカノール、3-ヘキサデカノール、4-ヘキサデカノール、5-ヘキサデカノール、6-ヘキサデカノール、7-ヘキサデカノール、8-ヘキサデカノール等の炭素数1~30の直鎖状アルコール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、2-メチル-3-ブタノール、2-メチル-4-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール等の炭素数1~30の分岐鎖状アルコール等を用いることができる。1級アルコールの炭素数としては、直鎖状、分岐鎖状いずれの場合であっても、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。一方、1級アルコールの炭素数としては、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下、24以下、23以下、22以下、21以下、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下であることが好ましい。一実施形態において、1級アルコールとしては、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノールを用いることが好ましく、1-ブタノールを用いることがより好ましい。
ポリアルキレングリコールとしては、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ヘキシレンオキサイド等)の重合鎖を用いることができる。
モノオール類の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、2.5質量%以上であることが特に好ましい。モノオール類の含有量が所要量以上であることにより、吹き付け等により形成されるウレタン樹脂発泡体の対象物に対する接着性をより向上させることができる。一方、モノオール類の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましく、10質量%以下であることが最も好ましい。
〔フェノール、フェノール誘導体〕
フェノール及び/又はフェノール誘導体(以下、これらを総称して「フェノール類」とも記載する。)を含有するウレタン樹脂組成物から製造されるウレタン樹脂発泡体は、炎と接触すると炭化層を形成する。この炭化層により、ウレタン樹脂組成物がさらに延焼したり溶融したりすることを防止することができる。その結果、ウレタン樹脂発泡体の発熱速度の上昇を抑制したり、酸素の過剰な状態でもウレタン樹脂発泡体の延焼を抑制したりすることができる。
フェノールは、ベンゼンを構成する炭素原子の一つに水酸基(フェノール性水酸基)が結合したものである。ここで、「フェノール誘導体」とは、フェノールのo-位、m-位、p-位のいずれか1つ以上の水素原子が官能基で置換されたものである。具体的に、官能基としては、例えば水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、エーテル基、ホルミル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を用いることができる。なお、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、エーテル基、ホルミル基、ハロゲン原子のいずれか1つ以上の置換体を用いることもできる。
一実施形態において、フェノール誘導体としては、フェノールのo-位、m-位、p-位のいずれか1つ以上の水素原子がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びそれらの上述した置換体で置換されたものを用いることが好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びそれらの上述した置換体の総炭素数としては、特に限定されないが、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上であることが好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びそれらの上述した置換体の総炭素数としては、40以下、39以下、38以下、37以下、36以下、35以下、34以下、33以下、32以下、31以下、30以下、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下、24以下、23以下、22以下、21以下、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下であることが好ましい。なお、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基いずれかの置換体を用いる場合において、総炭素数としては、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の鎖に由来する炭素数に加えて、官能基(例えばカルボキシル基)に由来する炭素数を含むものとする。
具体的に、フェノール誘導体としては、クレゾール、サリチル酸、ピクリン酸、ナフトール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、ヘキサヒドロキシベンゼンヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキノン、ジブチルヒドロキノンモノメチルエーテル、t-ブチルカテコール2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、カルドール、メチルカルドール、カルダノール、ウルシオール等を用いることができる。なお、フェノール誘導体はこれらに限定されるものではない。
一実施形態において、フェノール類としては、カシューナッツ殻液(Cashew nut shell liquid)を用いることができる。カシューナッツ殻液は天然のカシューナッツ殻液と、工業用カシューナッツ殻液とが市販されているが、本実施形態のウレタン樹脂組成物において、フェノール類として、天然のカシューナッツ殻液、工業用カシューナッツ殻液のいずれかを用いることもできるし、カシューナッツ殻液の誘導体を用いることもできるし、これらの2以上の組み合わせを用いることもできる。天然のカシューナッツ殻液は、アナカルド酸を主成分として、その他カルドール、メチルカルドール、カルダノールを含む。工業用カシューナッツ殻液は、天然のカシューナッツ殻液に加熱処理を施して得られるものである。この加熱処理によってアナカルド酸のo-位のカルボキシル基が脱炭酸してカルダノールに変化するため、工業用カシューナッツ殻液は、カルダノールを主成分としてその他カルドール、メチルカルドールを含むものである。なお、カルダノールは、フェノールのm-位の水素原子が二重結合を0、1、2又は3個有する直鎖の炭素数15のアルキル基又はアルケニル基で置換されたものである。アナカルド酸は、カルダノールのo-位の水素原子がカルボキシル基で置換されたものである。いずれもそのほとんどがフェノール誘導体である。また、カシューナッツ殻液の誘導体としては、アルキレンオキサイド等の付加物等が挙げられる。
フェノール類の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。フェノール類の含有量が所要量以上であることにより、炭化層の形成能をより高めることができる。その結果、ウレタン樹脂発泡体の発熱速度の上昇をさらに抑制したり、酸素の過剰な状態でもウレタン樹脂発泡体の延焼をさらに抑制したりすることができる。一方、フェノール類の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましく、12質量%以下であることが最も好ましい。フェノール類の含有量が所要量以下であることにより、形成されるウレタン樹脂発泡体の機械的強度をより高めることができる。
フェノール類の含有量としては、特に限定されないが、上述したモノオール類の含有量に対し、質量比(フェノール類の含有量/モノオール類の含有量)が、0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることがさらに好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。一方、質量比(フェノール類の含有量/モノオール類の含有量)としては、15以下、12以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4.5以下、4以下であることが好ましい。
〔ポリオール〕
本実施形態のウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物を含んでも含まなくてもよいが、ポリオール化合物を含まないことが好ましい。また、仮にポリオール化合物を含む場合でも、その含有量は、できる限り少ないことが好ましく、具体的には、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば1質量%以下である。なお、本明細書において、「ポリオール化合物」とは、上述したモノオール類及びフェノール類とは異なるアルコール類であり、分子内に2以上の水酸基が含まれる化合物のことを指す。このような化合物であれば、例えば他の用途(難燃剤等)であっても、上記と同様である。
ウレタン樹脂組成物がポリオール化合物を含む場合、ポリオール化合物の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.7質量%以下、0.5質量%以下、0.2質量%以下、0.1質量%以下、0.07質量%以下、0.05質量%以下、0.02質量%以下、0.01質量%以下、0.007質量%以下、0.005質量%以下、0.002質量%以下、0.001質量%以下、0.0007質量%以下、0.0005質量%以下、0.0002質量%以下、0.0001質量%以下、0.00007質量%以下、0.00005質量%以下、0.00002質量%以下、0.00001質量%以下であってよい。
ポリオール化合物としては、例えばポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
(ポリラクトンポリオール)
ポリオール化合物のうちポリラクトンポリオールとしては、例えばポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
(ポリカーボネートポリオール)
ポリオール化合物のうちポリカーボネートポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる
(芳香族ポリオール)
ポリオール化合物のうち芳香族ポリオールとしては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
(脂環族ポリオール)
ポリオール化合物のうち脂環族ポリオールとしては、例えばシクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール、ジメチルジシクロヘキシルメタンジオール等が挙げられる。
(脂肪族ポリオール)
ポリオール化合物のうち脂肪族ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
(ポリエステルポリオール)
ポリオール化合物のうちポリエステルポリオールとしては、例えば多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
ポリエステルポリオールを構成する多塩基酸としては、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等が挙げられる。
ポリエステルポリオールを構成する多価アルコールとしては、例えばビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールを構成するヒドロキシカルボン酸としては、例えばひまし油、ひまし油とエチレングリコールとの反応生成物等が挙げられる。
(ポリマーポリオール)
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオールまたは、これらの水素添加物等が挙げられる。
ポリマーポリオールのうち多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
ポリマーポリオールを構成する多価アルコールとしては、例えばグリセリン及びトリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体等の4~8価のアルコール、フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1-ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン、1-ヒドロキシピレン等のフェノールポリブタジエンポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも一種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
ポリエーテルポリオールを構成する、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えばビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
〔整泡剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、整泡剤をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が整泡剤を含むことにより、ウレタン樹脂組成物中の気泡の分散性を高め、これより形成されるウレタン樹脂発泡体の気泡構造を調整することができる。
整泡剤としては、特に限定されないが、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等を用いることができる。
整泡剤の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましい。整泡剤の含有量が所要量以上であることにより、ウレタン樹脂組成物中の気泡の分散性を高め、これより形成されるウレタン樹脂発泡体の気泡構造を調整することができる。一方で、整泡剤の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが特に好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。整泡剤の含有量が所要量以下であることにより、かかるウレタン樹脂組成物より形成されるウレタン樹脂発泡体の寸法安定性を高めることができる。
〔アミン系触媒〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、アミン系触媒をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が、アミン系触媒を含むことにより、ポリイソシアネート化合物と水との反応を促進することができる。
アミン系触媒としては、特に限定されず、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミンのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的に、アミン系触媒としては、例えばトリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N'-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル,N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール、イミダゾール誘導体(1,2-ジメチルイミダゾール)、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、ジメチルアミノエトキシエタノール等を用いることができる。
アミン系触媒の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、1.0質量%以上、1.1質量%以上、1.2質量%以上、1.3質量%以上、1.4質量%以上、1.5質量%以上、1.6質量%以上、1.7質量%以上、1.8質量%以上であることが好ましい。アミン系触媒の含有量が所要量以上であることにより、ポリイソシアネート化合物と水との反応をより適切に促進することができる。一方で、アミン系触媒の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下であることが好ましい。アミン系触媒の含有量が所要量以下であることにより、ウレタン樹脂組成物中の発泡速度を適切に維持することができる。
〔三量化触媒〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、三量化触媒をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が、三量化触媒を含むことにより、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進することができる。
三量化触媒としては、例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩、(2-ヒドロキシプロピル)(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
三量化触媒の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、1.0質量%以上、1.1質量%以上、1.2質量%以上、1.3質量%以上、1.4質量%以上、1.5質量%以上、1.6質量%以上、1.7質量%以上であることが好ましい。三量化触媒の含有量が所要量以上であることにより、イソシアヌレート環の生成を促進し、難燃性を高めることができる。一方で、三量化触媒の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下であることが好ましい。三量化触媒の含有量が所要量以下であることにより、急激なイソシアヌレート環の生成によりスプレーガンの混合部の詰まりを防止することができる。
〔ウレタン化金属触媒〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ウレタン化金属触媒をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が、ウレタン化金属触媒を含むことにより、ポリイソシアネート化合物と、上述したモノオール類、フェノール類及び各種ポリオール化合物との反応を促進することができる。
ウレタン化金属触媒としては、特に限定されないが、例えば鉛、スズ、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等からなる金属塩、金属錯体を用いることができる。具体的には、ウレタン化金属触媒としては、例えばビスマストリス(2-エチルヘキサノアート)、ジノルマルブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸鉛等を用いることができる。
ウレタン化金属触媒の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.05質量%以上、0.07質量%以上、0.09質量%以上、0.10質量%以上、0.11質量%以上、0.12質量%以上、0.13質量%以上、0.14質量%以上、0.15質量%以上であることが好ましい。ウレタン化金属触媒の含有量が所要量以上であることにより、イソシアヌレート環の生成を促進し、難燃性を高めることができる。一方で、ウレタン化金属触媒の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1.5質量%以下、1質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、0.25質量%以下、0.2質量%以下、0.18質量%以下であることが好ましい。ウレタン化金属触媒の含有量が所要量以下であることにより、急激なイソシアヌレート環の生成によるスプレーガンの混合部の詰まりを防止することができる。
〔難燃剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂は、難燃剤をさらに含むことが好ましい。
難燃剤としては、例えば、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、赤リン、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、黒鉛、リン・ホウ素系化合物、ビニル重合体のうち1種又は2種以上を用いることができる。以下、これらについて具体例を示して説明する。
(リン酸エステル)
リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えばモノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することができる。
具体的に、モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等を用いることができる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えばトリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX-200)、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステル等を用いることができる。
(リン酸塩含有難燃剤)
リン酸塩含有難燃剤は、リン酸塩を含むものである。
リン酸塩としては、特に限定されないが、例えばモノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等のうち1種又は2種以上を用いることができる。
具体的に、リン酸塩としては、例えば各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンのうち1種若しくは2種以上の金属又は化合物との塩からなるリン酸塩を用いることができる。
このうち、周期律表IA族~IVB族の金属としては、特に限定されないが、例えばリチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等を用いることができる。
脂肪族アミンとしては、特に限定されないが、例えばメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等を用いることができる。
芳香族アミンとしては、特に限定されないが、例えばピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等を用いることができる。
より具体的に、モノリン酸塩としては、特に限定されないが、例えばリン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等を用いることができる。
ポリリン酸塩としては、特に限定されないが、例えばポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等を用いることができる。
なお、リン酸塩には、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂による被覆処理等の各種耐水性向上処理を施してもよく、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を添加してもよい。
(赤リン)
赤リンは、リンの同素体の一つであり、リンで構成された非晶質高分子形である。
(臭素含有難燃剤)
臭素含有難燃剤は、分子構造中に臭素を含有する化合物を含む難燃剤である。
臭素含有難燃剤としては、特に限定されないが、例えば芳香族臭素化化合物等を用いることができる。
具体的に、芳香族臭素化化合物としては、例えばヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、エチレンビスペンタブロモフェニル等のモノマー有機臭素化合物;臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);臭素化ポリフェニレンエーテル;臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌール及び臭素化フェノールの縮合物;臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン;架橋又は非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマー等を用いることができる。
(ホウ素含有難燃剤)
ホウ素含有難燃剤は、分子構造中にホウ素を含有する化合物を含む難燃剤である。
ホウ素含有難燃剤としては、特に限定されないが、例えばホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等を用いることができる。
酸化ホウ素としては、例えば三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等を用いることができる。
ホウ酸塩としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素及びアンモニウムのホウ酸塩等を用いることができる。より具体的に、ホウ酸塩としては、例えばホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等を用いることができる。
(アンチモン含有難燃剤)
アンチモン含有難燃剤は、分子構造中にアンチモンを含有する化合物を含む難燃剤である。
アンチモン含有難燃剤としては、特に限定されないが、例えば酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等を用いることができる。
酸化アンチモンとしては、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等を用いることができる。
アンチモン酸塩としては、例えばアンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等を用いることができる。
ピロアンチモン酸塩としては、例えばピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等を用いることができる。
(金属水酸化物)
金属水酸化物としては、特に限定されないが、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅等を用いることができる。
(黒鉛)
黒鉛としては、特に限定されないが、例えば鱗片状、鱗状、板状、球状等の形状のものを用いることができる。黒鉛としては、膨張化黒鉛、膨張黒鉛等を用いてもよい。
黒鉛の平均粒径としては、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。一方、黒鉛の平均粒径としては、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。黒鉛の平均粒径は、走査型電子顕微鏡で200個の粒子を観察し、それぞれの粒子の輪郭から輪郭までの線分のうち最も長い線分を測定し、その算術平均を黒鉛の平均粒径とする。
(リン・ホウ素系化合物)
リン・ホウ素系化合物は、リンとホウ素を含む化合物である。
(ビニル重合体)
ビニル重合体としては、ビニル基を有するモノマーの重合反応により形成される重合体を用いることができる。
難燃剤の含有量(総量)としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、12質量%以上であることがさらに好ましく、15質量%以上又は17質量%以上であることが特に好ましく、20質量%以上、22質量%以上、24質量%以上又は25質量%以上であることが最も好ましい。難燃剤の含有量が所要量以上であることにより、形成されるウレタン樹脂発泡体の難燃性を高めることができる。一方で、難燃剤の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、35質量%以下であることが特に好ましく、32質量%以下又は30質量%以下であることが最も好ましい。難燃剤の含有量が所要量以下であることにより、かかるウレタン樹脂組成物をより適切に発泡させることができる。
〔発泡剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、発泡剤を含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が発泡剤を含有することによりは、このウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体の発泡を促進することができる。
具体例に、発泡剤としては、例えば、水;プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素;ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物;トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン等のフッ素化合物;CHF3、CH2F2、CH3F、HFO-1336mzz(Z)((Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン)、HFO-1223zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1224yd(Z)((Z)-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)等のハイドロフルオロカーボン;ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物;ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物又はこれらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等を用いることができる。
発泡剤の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上又は8質量%以上であることが特に好ましい。発泡剤の含有量が所要量以上であることにより、ウレタン樹脂発泡体により適切な発泡性を付与することができる。一方、発泡剤の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下であることが好ましい。発泡剤の含有量が所要量以下であることにより、形成されるウレタン樹脂発泡体の機械的強度をより高めることができる。
〔その他の添加剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、無機充填材を含んでいてもよい。
無機充填材としては、特に限定されないが、例えばシリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等のうち1種を単独で又は2種を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物においては、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤、ビフェントリン系の防蟻剤を用いることができる。
また、フェノール類として、天然のカシューナッツ殻液、工業用カシューナッツ殻液及びカシューナッツ殻液の誘導体からなる群から選択される1種以上、特に、工業用カシューナッツ殻液を用いる場合、これらの粘度が低いため、その含有量等によっては、ウレタン樹脂組成物全体としての粘度も低下する傾向を示す。
この場合、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、さらに、増粘剤を含むことが好ましい。ウレタン樹脂組成物が難燃剤を含むことにより、ウレタン樹脂組成物の対象物に対する付与方法(例えば、吹き付け)等に応じて、適切な粘度に調整することができる。また、増粘剤による増粘作用により、難燃剤等の固形分のウレタン樹脂組成物(特に、後述する原料組成物又は第1の原料)中での沈降(凝集)が防止されているという効果も得られる。その結果、形成されるウレタン樹脂発泡体の各種特性(難燃性、寸法安定性等)をより向上させることができる。
増粘剤としては、特に限定されないが、例えば疎水性フュームドシリカを好適に用いることができる他、上記無機充填材のうちクレー、ベントナイト、タルク等を組み合わせて用いるようにしてもよい。これらの増粘剤を使用すれば、少量でウレタン樹脂組成物の粘度を調整し得ることから好ましい。
増粘剤が粒状である場合、そのBET法による比表面積は、例えば20m2/g以上であることが好ましく、30m2/g以上であることがより好ましく、40m2/g以上であることがさらに好ましく、50m2/g以上であることが特に好ましい。一方、増粘剤のBET法による比表面積は、130m2/g以下であることが好ましく、120m2/g以下であることがより好ましく、110m2/g以下であることがさらに好ましく、100m2/g以下であることが特に好ましい。この場合、ウレタン樹脂組成物の粘度を調整し易くなる。
また、この場合、増粘剤の平均粒径としては、特に限定されないが、例えば20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、40nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。一方、増粘剤の平均粒径としては、800nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがより好ましく、600nm以下であることがさらに好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。この場合も、ウレタン樹脂組成物の粘度を調整し易くなる。なお、増粘剤の平均粒径は、黒鉛の平均粒径と同様にして測定することができる。
増粘剤の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましく、0.6質量%以上であることが特に好ましく、0.8質量%であることが最も好ましい。一方で、増粘剤の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましく、2質量%以下又は1質量%以下であることが最も好ましい。難燃剤の含有量が上記範囲であることにより、ウレタン樹脂組成物の粘度を所望の値により正確に調整することができる。
各成分を混合して調製された直後のウレタン樹脂組成物(後述する原料組成物又は第1の原料)の粘度としては、特に限定されないが、例えば600mPa・s以上であることが好ましく、800mPa・s以上であることがより好ましく、1000mPa・s以上であることがさらに好ましく、1200mPa・s以上であることが特に好ましく、1400mPa・s以上であることが最も好ましい。一方で、ウレタン樹脂組成物の粘度としては、2600mPa・s以下であることが好ましく、2400mPa・s以下であることがより好ましく、2200mPa・s以下であることがさらに好ましく、2000mPa・s以下であることが特に好ましく、1800mPa・s以下であることが最も好ましい。この場合、ウレタン樹脂組成物の粘度が、吹き付けに特に適した値となる。その結果、形成されるウレタン樹脂発泡体の各種特性(難燃性、寸法安定性等)をさらに向上させることができる。
〔ウレタン樹脂の物性等〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片のコア密度としては、特に限定されないが、例えば50kg/m3以上、51kg/m3以上、52kg/m3以上、53kg/m3以上、54kg/m3以上、55kg/m3以上、56kg/m3以上、57kg/m3以上、58kg/m3以上、59kg/m3以上、60kg/m3以上、61kg/m3以上、62kg/m3以上、63kg/m3以上、64kg/m3以上、65kg/m3以上、66kg/m3以上、67kg/m3以上、68kg/m3以上、69kg/m3以上、70kg/m3以上、71kg/m3以上、72kg/m3以上であることが特に好ましい。一方、発泡体片のコア密度としては、90kg/m3以下、89kg/m3以下、88kg/m3以下、87kg/m3以下、86kg/m3以下、85kg/m3以下、84kg/m3以下、83kg/m3以下、82kg/m3以下、81kg/m3以下、80kg/m3以下、79kg/m3以下、78kg/m3以下、77kg/m3以下、76kg/m3以下、75kg/m3以下、74kg/m3以下、73kg/m3以下、72kg/m3以下、71kg/m3以下、70kg/m3以下、69kg/m3以下、68kg/m3以下、67kg/m3以下、66kg/m3以下、65kg/m3以下、64kg/m3以下、63kg/m3以下、62kg/m3以下、61kg/m3以下、60kg/m3以下、59kg/m3以下であることが好ましい。なお、コア密度の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片の、ISO 5660-1:2002に準拠して、10分間加熱して測定される総発熱量としては、特に限定されないが、例えば9MJ/m2、8.5MJ/m2以下、8MJ/m2以下、7.5MJ/m2以下、7MJ/m2以下であることが好ましい。一方、ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片の、ISO 5660-1:2002に準拠して、10分間加熱して測定される総発熱量としては、1MJ/m2以上、1.5MJ/m2以上、2MJ/m2以上、2.5MJ/m2以上、3MJ/m2以上、3.5MJ/m2以上、4MJ/m2以上、4.5MJ/m2以上、5MJ/m2以上、5.5MJ/m2以上であってよい。なお、総発熱量の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片の、ISO 5660-1:2002に準拠して、10分間加熱して測定される最大発熱速度としては、特に限定されないが、例えば117kW/m2以下、116.7W/m2以下、116.5W/m2以下、116W/m2以下、115.5W/m2以下、115W/m2以下、114.5W/m2以下、114W/m2以下、113.5W/m2以下、113W/m2以下、112.5W/m2以下、112W/m2以下、111.5W/m2以下、111W/m2以下、110.5W/m2以下、110W/m2以下、109W/m2以下、109.5W/m2以下、109W/m2以下、108.5W/m2以下、108W/m2以下であることが好ましい。一方、ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片の、ISO 5660-1:2002に準拠して、10分間加熱して測定される最大発熱速度としては、90W/m2以上、91W/m2以上、92W/m2以上、93W/m2以上、95W/m2以上、96W/m2以上、97W/m2以上、98W/m2以上、99W/m2以上、100W/m2以上、101W/m2以上であってよい。なお、最大発熱速度の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片の、ISO 5660-1:2002に準拠して、10分間加熱して測定される質量減少率としては、特に限定されないが、例えば60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、49質量%以下、48質量%以下、47質量%以下、46質量%以下、45質量%以下、44質量%以下、43質量%以下、42質量%以下、41質量%以下、40質量%以下、39質量%以下、38質量%以下、37質量%以下、36質量%以下、35質量%以下、34質量%以下、33質量%以下、32質量%以下、31質量%以下、30質量%以下、29質量%以下、28質量%以下、27質量%以下、26質量%以下、25質量%以下、24質量%以下、23質量%以下、22質量%以下、21質量%以下、20質量%以下、19質量%以下、18質量%以下、17質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下であることが好ましい。一方、質量減少率としては、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上であってよい。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片のJIS K 7201-2:2007に準拠して測定される酸素指数としては、特に限定されないが、例えば30以上であることが好ましく、31以上であることがより好ましく、32以上であることがさらに好ましい。かかる酸素指数を有するウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体は、十分に高い難燃性を有するものと評価することができる。
また、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物をスプレー発泡法にて石膏ボードに吹き付けて発泡体片を形成したとき、発泡体片の石膏ボードとの界面の全体にわたって隙間が存在しないか、仮に界面に部分的に隙間が存在してもその大きさが所定値未満であることが好ましい。すなわち、発泡体片の石膏ボードとの界面に部分的に所定値以上の隙間が存在しないことが好ましい。この所定値としては、特に限定されないが、例えば2mmであることが好ましく、1.5mmであることがより好ましく、1mmであることがさらに好ましい。かかるウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体は、優れた接着性を有するものと評価することができる。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物等に吹き付けて使用する。このようにして、構造物等の表面にウレタン樹脂発泡体層を形成することができる。
具体的に、ウレタン樹脂組成物を、ポリイソシアネート化合物とそれ以外の成分とに分けておき、両者を噴霧しながら混合して構造物等の表面に吹き付けてもよいし、また、ポリイソシアネート化合物と、それ以外の成分とを混合した後に構造物等の表面に吹き付けてもよい。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は反応して硬化するため、その粘度は時間の経過とともに変化する。そこで本発明に係るウレタン樹脂組成物を使用する前は、ウレタン樹脂組成物を2以上に分割して、ウレタン樹脂組成物が反応して硬化することを防止する。そしてウレタン樹脂組成物を使用する際に、2以上に分割しておいたウレタン樹脂組成物の原料又は原料組成物を混合して、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物を得る。
なお、ウレタン樹脂組成物を2以上の原料又は原料組成物に分割するときは、2以上の原料又は原料組成物に分割されたウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分単独では硬化が始まらず、ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。最も典型的には、ポリイソシアネート化合物と、それ以外の成分とを2つに分割すればよい。以下では、後者の原料組成物について説明する。
<原料組成物>
本実施形態に係る原料組成物は、ポリイソシアネート化合物と混合して用いるウレタン樹脂組成物の原料組成物である。具体的に、この原料組成物は、モノオール類と、フェノール類と、を含むものである。
一実施形態において、この原料組成物は、さらに整泡剤、アミン系触媒、三量化触媒、ウレタン化金属触媒、難燃剤、発泡剤、増粘剤を含んでもよい。なお、各成分の具体的な種類等については、ウレタン樹脂組成物の項で説明したことと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。以下では、この原料組成物中の各成分の含有量について説明する。
この原料組成物において、モノオール類の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.25質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、1.25質量%以上であることが特に好ましい。一方、モノオール類の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、15質量%以下であることが好ましく、12.5質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、7.5質量%以下であることが特に好ましく、5質量%以下であることが最も好ましい。
この原料組成物において、フェノール類の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。一方、フェノール類の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、15質量%以下であることが好ましく、12.5質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、7.5質量%以下であることが特に好ましく、6質量%以下であることが最も好ましい。
この原料組成物は、ポリオール化合物を含んでも含まなくてもよいが、ポリオール化合物を含む場合、ポリオール化合物の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.35質量%以下、0.25質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、0.035質量%以下、0.025質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、0.0035質量%以下、0.0025質量%以下、0.001質量%以下、0.0005質量%以下、0.00035質量%以下、0.00025質量%以下、0.0001質量%以下、0.00005質量%以下、0.000035質量%以下、0.000025質量%以下、0.00001質量%以下、0.000005質量%以下であってよい。
この原料組成物において、整泡剤の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.025質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.25質量%以上であることが特に好ましい。一方で、整泡剤の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、5質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。
この原料組成物において、アミン系触媒の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.15質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.3質量%以上、0.35質量%以上、0.4質量%以上、0.45質量%以上、0.5質量%以上、0.55質量%以上、0.6質量%以上、0.65質量%以上、0.7質量%以上、0.75質量%以上、0.8質量%以上、0.85質量%以上、0.9質量%以上であることが好ましい。一方で、アミン系触媒の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、10質量%以下、7.5質量%以下、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下、1.5質量%以下であることが好ましい。
この原料組成物において、三量化触媒の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.025質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上、0.1質量%以上、0.15質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.3質量%以上、0.35質量%以上、0.4質量%以上、0.45質量%以上、0.5質量%以上、0.55質量%以上、0.6質量%以上、0.65質量%以上、0.7質量%以上、0.75質量%以上、0.8質量%以上、0.85質量%以上であることが好ましい。一方で、三量化触媒の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、5質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下、1.5質量%以下、1.25質量%以下、1質量%以下であることが好ましい。
この原料組成物において、ウレタン化金属触媒の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.025質量%以上、0.035質量%以上、0.045質量%以上、0.05質量%以上、0.055質量%以上、0.06質量%以上、0.065質量%以上、0.07質量%以上、0.075質量%以上であることが好ましい。一方で、ウレタン化金属触媒の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、5質量%以下、3.5質量%以下、2.5質量%以下、1.5質量%以下、1質量%以下、0.75質量%以下、0.5質量%以下、0.45質量%以下、0.4質量%以下、0.35質量%以下、0.3質量%以下、0.25質量%以下、0.2質量%以下、0.15質量%以下、0.125質量%以下、0.1質量%以下、0.09質量%以下であることが好ましい。
この原料組成物において、難燃剤の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば2.5質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、7.5質量%以上又は8.5質量%以上であることが特に好ましく、10質量%以上、11質量%以上、12質量%以上又は12.5質量%以上であることが最も好ましい。一方で、難燃剤の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、25質量%以下であることが好ましく、22.5質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、17.5質量%以下であることが特に好ましく、16質量%以下又は15質量%以下であることが最も好ましい。
この原料組成物において、発泡剤の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。一方、発泡剤の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、15質量%以下、12.5質量%以下、10質量%以下、7.5質量%以下、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下であることが好ましい。
この原料組成物において、増粘剤の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、0.6質量%以上であることがさらに好ましく、0.8質量%以上であることが特に好ましい。一方、発泡剤の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、20質量%以下、16質量%以下、12質量%以下、8質量%以下、4質量%以下であることが好ましい。
このような原料組成物は、ポリイソシアネートと混合してウレタン樹脂組成物を形成することができる。原料組成物と、ポリイソシアネートの含有量の比(原料組成物:ポリイソシアネート)としては、特に限定されないが、例えば80:20~20:80、75:25~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60、55:45~45:55、55:45~50:50、50:50~45:55であってよい。
<原料キット>
本実施形態に係る原料キットは、ウレタン樹脂組成物の原料キットである。具体的に、この原料キットは、モノオール類と、フェノール類と、を含む第1の原料と、ポリイソシアネート化合物を含む第2の原料と、を備えるものである。
なお、この原料キットのうち、第1の原料は、前項の原料組成物に相当するものである。
原料キット中の各成分の含有量は、上述したウレタン樹脂組成物の含有量について「ウレタン樹脂組成物100質量%に対し」を、「第1の原料と第2の原料の総質量100%に対し」と読み替えて適用するものとする。
<ウレタン樹脂発泡体>
本実施形態に係るウレタン樹脂発泡体は、モノオール類及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、フェノール類及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、を含むものである。
<ウレタン樹脂組成物の製造方法>
ウレタン樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂組成物の各成分を混合する方法、ウレタン樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法、溶剤に分散してスラリーを調製する方法等を用いることができる。また、ウレタン樹脂組成物に含まれる反応硬化性樹脂成分に室温において固体である成分が含まれる場合には、ウレタン樹脂組成物の製造方法として、ウレタン樹脂組成物を加熱下に溶融させる等の方法を用いることができる。
より具体的に、ウレタン樹脂組成物の混練には、ウレタン樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式攪拌機等公知の装置を用いることができる。また、混練は、ウレタン樹脂の主剤と硬化剤とをそれぞれ別々に充填材等とともに混練しておき、注入直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等を用いて行うこともできる。さらに、混練は、触媒を除くウレタン樹脂組成物の成分と、触媒とを注入直前に同様に行うこともできる。なお、原料組成物及び原料キットの製造方法も同様である。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体は、以上の具体的な実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲において、適宜変更を加えて実施することができる。
以下、実施例を示して本実施形態に係るウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<試料の調製>
〔試薬〕
ウレタン樹脂組成物試料の原料として以下に示す試薬を準備した。
(1)ブタノールのポリプロピレングリコール付加物:LB-65(三洋化成工業株式会社製)
(2A)工業用カシューナッツ殻液のアルキレンオキサイドの付加物
(2B)工業用カシューナッツ殻液1(カルダノールの含有量:87質量%以上)
(2C)工業用カシューナッツ殻液2(カルダノールの含有量:95質量%以上)
(3)ショ糖系ポリオール:HS209(三洋化成工業株式会社製)
(4)エステル系ポリオール1:RFK505(川崎化成工業株式会社製)
(5)エステル系ポリオール2:RDK142(川崎化成工業株式会社製)
(6)シリコーン整泡剤:L6100(モメンティブPMJ合同会社製)
(7)アミン系触媒1:TOYOCAT TT(東ソー株式会社製)
(8)アミン系触媒2:ルプラゲンN-600(BASF社製)
(9)アミン系触媒3:ルプラゲンN-107(BASF社製)
(10)4級アンモニウム塩1:カオーライザーKL410(花王株式会社製)
(11)4級アンモニウム塩2:U-CAT18X(エボニック社製)
(12)オクチル酸カリウム(2-エチルヘキシル酸カリウム):PC9540(Ele Corporation社製)
(13)ウレタン化金属触媒:BI-28(日東化成株式会社製)
(14)リン酸エステル塩化物:トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート
(15)水酸化アルミニウム:B103(日本軽金属株式会社製)
(16)赤リン:ST-400(45~49質量%,燐化学工業株式会社製)
(17)鱗片状黒鉛:MF-10E(富士黒鉛工業株式会社製)
(18)リン・ホウ素系難燃剤
(19)臭素含有難燃剤:SAYTEX8010(82.3質量%、アルベマール日本株式会社製)
(20)ビニル重合体
(21)疎水性フュームドシリカ:アエロジルRY200S(日本アエロジル株式会社製)
(22)発泡剤:OP-1100(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製)
(23)ポリイソシアネート:ミリオネート MR-200(東ソー株式会社製)
〔スプレー発泡法:スプレー発泡体試料の作製〕
上述した(1)、(2A)、(2B)、(2C)~(22)成分をスプレータンクに量り取り、室温でハンドミキサーを用いて混合攪拌した(第1の原料)。上述した(23)成分をスプレータンクに量り取り、室温でハンドミキサーを用いて混合攪拌した(第2の原料)。この第1の原料と、第2の原料とを、ホース(ホース長30m)の先端にDガン(グラコ株式会社製)を取り付けたリアクターA-25(グラコ株式会社製)を用い、ホースを40℃に加熱しながら後述する各対象物に吹き付け、スプレー発泡体試料を作製した。
<試料の評価>
〔イソシアネートインデックス〕
イソシアネートインデックスは、モノオール類、フェノール類及びポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比であり、以下の表1及び表2においては百分率で表す。
〔見掛けコア密度〕
物性用アクリル合板に吹き付けたスプレー発泡体試料(下吹き+厚さ約50mmの1層(実施例A3、実施例B1~B7及び比較例B1~B3については、厚さ約25mmの2層))について、JIS K 7222:2005に準拠して見掛けコア密度を測定した。
〔接着性〕
スプレー発泡法にて、20±5℃の条件で石膏ボードに下吹き及び1~2層ウレタン樹脂組成物試料を吹き付けて積層し30分間、40℃で保温した。その後、石膏ボードの表面から、ウレタン樹脂組成物試料を吹き付けて形成されたスプレー発泡体試料を100×100mm程度に切断した発泡体片を剥がした。そして、発泡体片の石膏ボードとの界面に隙間が存在するか否かについて確認した。
◎:発泡体片の石膏ボードとの界面の全体にわたって隙間(界面剥離)が存在しないか、界面に部分的に隙間が存在しても、そのサイズが0.5mm未満である
○:発泡体片の石膏ボードとの界面の全体にわたって隙間(界面剥離)が存在しないが、界面に部分的に隙間が存在し、そのサイズが0.5mm以上2mm未満である
△:発泡体片の石膏ボードとの界面の全体にわたって隙間(界面剥離)が存在しないが、界面に部分的に隙間が存在し、そのサイズが2mm以上である
×:発泡体片の石膏ボードとの界面の全体にわたって隙間(界面剥離)が存在する
〔総発熱量、最大発熱速度及び質量減少量〕
石膏ボードに吹き付けたスプレー発泡体試料(下吹き+厚さ約50mm)から10cm×10cm×5cm(石膏ボードを含む)になるように試験片を切り出し、ISO 5660-1:2002に準拠し、放射熱強度50kW/m2において10分間又は20分間加熱したときの総発熱量及び最大発熱速度を測定した。また、加熱時の石膏ボード付きのスプレー発泡体試料の質量減少量を測定した。
〔酸素指数〕
物性用アクリル合板に吹き付けたスプレー発泡体試料(厚さ約25mmの2層)から、10mm×10mm×150mmの試験片を切り出した。この試験片について、JIS K 7201-2:2007に準拠し、酸素指数を測定した。
〔粘度〕
上述した(1)、(2B)、(2C)~(22)成分をカップに量り取り、室温でハンドミキサーを用いて混合攪拌して、第1の原料を調製した。その後、この第1の原料の粘度を、JIS K 7117-1:1999に準拠して測定した。
〔沈降性〕
上述した(1)、(2B)、(2C)~(22)成分をカップに量り取り、室温でハンドミキサーを用いて混合攪拌して、第1の原料を調製した。その後、この第1の原料を500mLのプラスチック瓶に入れ、固形分が沈降するか否かを目視にて確認した。
◎:24時間以降48時間までに固形分の沈降が確認された
○:1時間以降24時間までに固形分の沈降が確認された
△:1時間までに固形分の沈降が確認されたが、容易に再分散可能
×:1時間までに固形分の沈降が確認され、再分散に若干の手間がかかる