JP7074321B2 - 膨張弁 - Google Patents

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Description

本発明は、膨張弁に関する。
従来、自動車に搭載される空調装置等に用いる冷凍サイクルについては、設置スペースや配管を省略するために、冷媒の通過量を温度に応じて調整する感温式の膨張弁が使用されている。
ところで、このような膨張弁において騒音が発生することが確認された。騒音の発生要因について、具体的に説明する。あるタイプの膨張弁においては、冷媒が入口ポートから弁室を通り、出口ポートへ向かう際に弁座と弁体とからなる弁を通過する。ここで、弁の開閉機能を確保するために、弁座に向かって弁体を付勢するコイルばねを弁室に設けている。しかるに、入口ポートから流入した冷媒がコイルばねの狭い巻線間を通過する際に流れの乱れが発生し、これが起振力となってコイルばねを振動させることにより、騒音の発生を招来する。
これに対し、特許文献1には、弁体とコイルばねとを連結するばね受けに、コイルばねの内側に沿って延在する円柱状の垂下体を設け、これによりコイルばねの巻線間を冷媒が通過することを抑制し、騒音の低減を図ることができる膨張弁が開示されている。
特許第6182363号公報
特許文献1に記載の膨張弁によれば、大きな騒音抑制効果が期待できるが、膨張弁の仕様によっては、低騒音化を図りつつもコストを優先して抑制したいという場合もある。
そこで本発明の目的は、低コストであり且つ低騒音を実現できる、改良された膨張弁を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明による膨張弁は、
供給側流路と排出側流路との間に設けられた弁室に配置され、前記供給側流路から前記排出側流路へと向かう流体が通過する環状の弁座を備えた弁本体と、
前記弁座に着座することにより前記流体の通過を阻止し、前記弁座から離間することにより前記流体の通過を許容する弁体と、
前記供給側流路から流入する流体の流れに対して側面を向けて前記弁室に配置され、前記弁体を前記弁座に向かって付勢するコイルばねと、
前記コイルばねによる付勢力に抗して、前記弁体を前記弁座から離間する方向に押圧する作動部材と、
前記弁体と前記コイルばねの一端との間に配置された弁体サポートと、
前記弁本体に取り付けられ、前記コイルばねの他端を保持する底部と、前記底部から前記コイルばねの外周に沿って軸線方向に延在する外側管状部とを備えたばね受け部材と、を有し、
前記供給側流路から前記弁室に流入する流体の流れ方向に沿って見たときに、前記ばね受け部材の外側管状部は、前記供給側流路から流体が流入する前記弁室の入口の少なくとも一部と重なっており、
前記外側管状部は、前記弁体サポートに対して離間している、ことを特徴とする。
本発明により、低コストであり且つ低騒音を実現できる、改良された膨張弁を提供することができる。
本実施形態における膨張弁1を、冷媒循環システムに適用した例を模式的に示す概略断面図である。 付勢装置4の近傍を拡大して示す断面図である。 比較例にかかる構成を示す図2と同様な断面図である。 変形例にかかる構成を示す断面図である。 別な変形例にかかる構成を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明にかかる実施形態について説明する。
(方向の定義)
本明細書において、弁体3から作動棒5に向かう方向を「上方向」と定義し、作動棒5から弁体3に向かう方向を「下方向」と定義する。よって、本明細書では、膨張弁1の姿勢に関わらず、弁体3から作動棒5に向かう方向を「上方向」と呼ぶ。
(膨張弁の概要)
図1を参照して、本実施形態における膨張弁1の概要について説明する。図1は、本実施形態における膨張弁1を、冷媒循環システム100に適用した例を模式的に示す概略断面図である。なお、図1において、パワーエレメント8に対応する部分は側面図で示されており、その他の部分は断面図で示されている。本実施例では、膨張弁1は、コンプレッサ101と、コンデンサ102と、エバポレータ104とに流体接続されている。
膨張弁1は、弁室VSを備える弁本体2と、弁体3と、付勢装置4と、作動棒(作動部材)5と、リングばね6とを具備する。
弁本体2は、弁室VSに加え、第1流路21および第2流路22を備える。第1流路21は供給側流路であり、弁室VSには、供給側流路を介して冷媒(流体ともいう)が供給される。第2流路22は排出側流路であり、弁室VS内の流体は、作動棒挿通孔27及び排出側流路を介して膨張弁外に排出される。第1流路21と弁室VSとの間は、第1流路21より小径の接続路21aにより連通している。接続路21aが、第2流路22から流体が流入する弁室VSの入口になる。
弁体3は、弁室VS内に配置される。弁体3が弁本体2の環状の弁座20に着座しているとき、第1流路21と第2流路22とは非連通状態となる。一方、弁体3が弁座20から離間しているとき、第1流路21と第2流路22とは連通状態となる。図1は、弁体3が弁座20から離間した状態を示している。
作動棒挿通孔27に隙間を持って挿通された作動棒5の下端は、弁体3の上面に接触している。また、作動棒5は、付勢装置4による付勢力に抗して弁体3を開弁方向に押圧することができる。作動棒5が下方向に移動するとき、弁体3は、弁座20から離間し、膨張弁1が開状態となる。
リングばね6は、作動棒5の振動を抑制する防振部材である。このリングばね6は、弁本体2の環状部26に配置されて、内周側に突出した爪部により、作動棒5の外周面に所定の弾性力を付与するようになっている。
図2は、付勢装置4の近傍を拡大して示す断面図である。付勢装置4は、円形の線材を螺旋状に巻いたコイルばね41と、弁体サポート42と、ばね受け部材43とを有する。
SUS製の弁体サポート42は、フランジ状の保持部42aと、保持部42aの下端中央から下方に延在する円筒状の内側筒体42bとから一体的に形成されている。内側筒体42bの外径は、コイルばね41の内径に略等しい。保持部42aの上面には、球状の弁体3が溶接され、両者は一体となっている。
図2において、樹脂製であるばね受け部材43は、底部43aと、底部43aの上面から上方に延在する外側管状部43bとを有する。環状の底部43aの外周には、弁本体2の弁室VSの周壁となる取り付け孔2aの開口端近傍に形成された雌ねじ2bに螺合する雄ねじ43cが形成され、また環状の底部43aの下面には、不図示の工具等を係合させてばね受け部材43を回転させるための係合凹部43dが形成されている。外側管状部43bの内径は、コイルばね41の外径に略等しい。
外側管状部43bの外周には、段部43eと、段部43eから上方に所定の間隔をあけてフランジ43fとが形成されており、段部43eとフランジ43fと取り付け孔2aとの間にO-リング44が配置されている。フランジ43fの外周端は、取り付け孔2aの内周に接しているが、わずかの隙間を開けて離間していてもよい。
O-リング44は、取り付け孔2aとばね受け部材43との間を密封するものであり、フランジ43fは、弁室VSが負圧になったときに、O-リング44の抜け出しを防止するように機能する。このため、フランジ43fは接続路21aと干渉しない位置(ここでは接続路21aの下方)に配置されている。
組み付け時には、弁体3を溶接された弁体サポート42の内側筒体42bを、コイルばね41の上端から内部へと挿入して、コイルばね41の上端を保持部42aの下面に当接させる。更に、コイルばね41の下端をばね受け部材43の外側管状部43bの内側に挿入し、底部43aの上面に当接させる。このとき、O-リング44を段部43eに取り付けておく。
かかる状態を保持しつつ、弁体サポート42、コイルばね41、およびばね受け部材43からなるアッセンブリを、取り付け孔2aから弁室VS内へと進入させ、雌ねじ2bに雄ねじ43cを螺合させて、不図示の工具を用いて所定位置まで追い込む。このとき、接続路21aがコイルばね41の側面に正対するようになる。ばね受け部材43は、弁本体2に装着されることにより弁室VSを封止するプラグとして機能する。
本実施の形態においては、接続路21aから弁室VSに流入する冷媒の流れ方向(ここでは左右方向)に見たときに、ばね受け部材43の外側管状部43bは、接続路21aの上端より上方に延在している。換言すれば、外側管状部43bは、接続路21aを流れ方向に投影したときに、投影された接続路21aの範囲内でコイルばね41が隠れるように覆っている。ただし、外側管状部43bは接続路21aの少なくとも一部と重なっていれば足りる。
図1を参照して、膨張弁1の動作例について説明する。コンプレッサ101で加圧された冷媒は、コンデンサ102で液化され、膨張弁1に送られる。また、膨張弁1で断熱膨張された冷媒はエバポレータ104に送り出され、エバポレータ104で、エバポレータの周囲を流れる空気と熱交換される。エバポレータ104から戻る冷媒は、膨張弁1(より具体的には、戻り流路23)を通ってコンプレッサ101側へ戻される。
膨張弁1には、コンデンサ102から高圧冷媒が供給される。より具体的には、コンデンサ102からの高圧冷媒は、第1流路21を介して弁室VSに供給される。
弁体3が、弁座20に着座しているとき(換言すれば、膨張弁1が閉状態のとき)には、弁室VSの上流側の第1流路21と弁室VSの下流側の第2流路22とは、非連通状態である。他方、弁体3が、弁座20から離間しているとき(換言すれば、膨張弁1が開状態のとき)には、弁室VSに供給された冷媒は、作動棒挿通孔27及び第2流路22を通って、エバポレータ104へ送り出される。なお、膨張弁1の閉状態と開状態との間の切り換えは、パワーエレメント8に接続された作動棒5によって行われる。
図1の例では、パワーエレメント8は、膨張弁1の上端部に配置されている。図示していないが、パワーエレメント8の内部には、ダイアフラムにより仕切られた第1空間と第2空間とが設けられ、第1空間には作動ガスが充填されている。
ダイアフラムの下面は、ダイアフラム支持部材を介して作動棒5に接続される。このため、第1空間内の作動ガスが液化されると、作動棒5は上方向に移動し、液化された作動ガスが気化されると、作動棒5は下方向に移動する。こうして、膨張弁1の開状態と閉状態との間の切り換えが行われる。
パワーエレメント8の第2空間は、戻り流路23と連通している。このため、戻り流路23を流れる冷媒の温度、圧力に応じて、第1空間内の作動ガスの相(気相、液相等)が変化し、作動棒5が駆動される。換言すれば、図1に記載の膨張弁1では、エバポレータ104から膨張弁1に戻る冷媒の温度、圧力に応じて、膨張弁1からエバポレータ104に向けて供給される冷媒の量が自動的に調整される。
次に、比較例を参照して、本実施形態の効果について説明する。図3は、比較例にかかる構成を示す図2と同様な断面図である。図3において、比較例のばね受け部材43’は、外側管状部43bの全長が短いため、弁体サポート42の内側筒体42bの下端と、外側管状部43bの上端とは距離Δ2で離間している。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様である。
比較例の場合、弁体3が弁座20から離間すると、接続路21aがコイルばね41の側面に正対していることから、第1流路21及び接続路21aから弁室VSに流入する冷媒が、図3に矢印Bで示すように、コイルばね41の巻線間の隙間δからコイルばね41内に進入し、反対側から抜け出るようになっている。この際に、冷媒がコイルばね41を振動させ、それにより騒音が発生することとなる。
これに対し、本実施形態によれば、図2に示すように接続路21aから弁室VSに流入する冷媒の流れ方向に見たときに、ばね受け部材43の外側管状部43bは、接続路21aの上端より上方に延在している。したがって、第1流路21及び接続路21aから弁室VSに流入する冷媒が、矢印Aに示すように外側管状部43bの外周に弾かれて内部への進入を阻止されてしまい、コイルばね41の巻線間の隙間を通過しないため、コイルばね41を振動させることがない。これにより騒音を効果的に抑制することができる。
図4は、変形例にかかる弁体サポート42Aとばね受け部材43Aとを含む構成を示す断面図である。本例においては、上述した実施の形態に対し、弁体サポート42Aの内側筒体42bの長さが長く、その代りにばね受け部材43Aの外側管状部43bの長さが短くなっている。ただし、外側管状部43bは、接続路21aの下端より上方に延在しており、また少なくとも弁体3が弁座20に着座した状態で、内側筒体42bの下端は外側管状部43bに進入する。それ以外の構成は上述した実施の形態と同様である。
本変形例においても、第1流路21及び接続路21aから弁室VSに流入する冷媒が、コイルばね41の巻線間の隙間を通過しようとしても、内側筒体42b及び外側管状部43bの外周に弾かれて内部への進入を阻止されてしまい、コイルばね41を振動させることができない。これにより騒音を効果的に抑制することができる。
図5は、別な変形例にかかる、弁体サポート42とばね受け部材43Bとを含む構成を示す断面図である。本例においては、図2に示す実施の形態と異なり、ばね受け部材43Bにフランジを設けていない。弁室VSの負圧度が低く、O-リング44の抜け落ちが生じないような仕様では、本変形例を用いることができる。それ以外の構成は上述した実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。
1 :膨張弁
2 :弁本体
3 :弁体
4 :付勢装置
5 :作動棒
6 :リングばね
8 :パワーエレメント
20 :弁座
21 :第1流路
22 :第2流路
23 :戻り流路
26 :環状部
27 :作動棒挿通孔
41 :コイルばね
42,42A :弁体サポート
43,43A、43B :ばね受け部材
100 :冷媒循環システム
101 :コンプレッサ
102 :コンデンサ
104 :エバポレータ
VS :弁室

Claims (5)

  1. 供給側流路と排出側流路との間に設けられた弁室に配置され、前記供給側流路から前記排出側流路へと向かう流体が通過する環状の弁座を備えた弁本体と、
    前記弁座に着座することにより前記流体の通過を阻止し、前記弁座から離間することにより前記流体の通過を許容する弁体と、
    前記供給側流路から流入する流体の流れに対して側面を向けて前記弁室に配置され、前記弁体を前記弁座に向かって付勢するコイルばねと、
    前記コイルばねによる付勢力に抗して、前記弁体を前記弁座から離間する方向に押圧する作動部材と、
    前記弁体と前記コイルばねの一端との間に配置された弁体サポートと、
    前記弁本体に取り付けられ、前記コイルばねの他端を保持する底部と、前記底部から前記コイルばねの外周に沿って軸線方向に延在する外側管状部とを備えたばね受け部材と、を有し、
    前記供給側流路から流入する流体の流れ方向に見たときに、前記ばね受け部材の外側管状部は、前記供給側流路から流体が流入する前記弁室の入口の少なくとも一部と重なっており、
    前記外側管状部は、前記弁体サポートに対して離間している、
    ことを特徴とする膨張弁。
  2. 前記流れ方向に前記入口を投影したときに、前記投影された入口の範囲内で、前記ばね受け部材の外側管状部は前記コイルばねを覆っている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
  3. 前記弁体サポートは、前記弁体を保持する保持部と、前記コイルばねの内周に沿って軸線方向に延在する内側筒体とを備え、前記内側筒体の端部は前記外側管状部内に進入している、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の膨張弁。
  4. 少なくとも前記弁体が前記弁座に着座している状態で、前記内側筒体の端部は前記外側管状部内に進入している、
    ことを特徴とする請求項3に記載の膨張弁。
  5. 前記ばね受け部材は、前記弁室に連通する取り付け孔に配置されており、
    前記ばね受け部材の外側管状部の外周と前記取り付け孔との間には、O-リングが配置され、前記O-リングより前記弁室側の前記外側管状部の外周にフランジが形成されている、
    ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の膨張弁。
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