JP7073789B2 - 電荷輸送層の導電性を制御する方法、有機エレクトロニクス素子、及び有機エレクトロルミネセンス素子とその利用 - Google Patents

電荷輸送層の導電性を制御する方法、有機エレクトロニクス素子、及び有機エレクトロルミネセンス素子とその利用 Download PDF

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Description

本開示は、電荷輸送層の導電性を制御する方法に関する。また、本開示は、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(「有機EL素子」ともいう。)、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプ等の代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、使用する有機材料から、低分子化合物を用いる低分子型有機EL素子と、高分子化合物を用いる高分子型有機EL素子の2つに大別される。有機EL素子の製造方法は、主に真空系で成膜が行われる乾式プロセスと、凸版印刷、凹版印刷等の有版印刷、インクジェット等の無版印刷などにより成膜が行われる湿式プロセスとの2つに大別される。簡易成膜が可能なため、湿式プロセスは、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な方法として期待されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、有機EL素子の発光効率等の各種特性については、更なる改善が望まれている。有機EL素子の高性能化に向けて、有機層を多層化し、各層における機能を分離する試みがなされている。湿式プロセスに従い多層化する場合には、上層の成膜時に使用する塗布溶液に対する、下層の耐溶剤性が求められる。
多層化の方法として、例えば、隣接する層を構成する材料として、水及び有機溶剤に対する溶解性が互いに異なる2種の化合物を使用する方法がある。より具体的には、バッファ層や正孔注入層等の下層を形成する化合物として、水溶性のPEDOT:PSSを使用する。一方、光電変換層や発光層等の上層を形成する化合物として、トルエン等の有機溶剤に可溶な材料を使用する。PEDOT:PSSにより形成された下層はトルエン等の有機溶剤に不溶であるため、塗布法によって2層構造を作製することが可能となる。しかし、上記方法では、有機層に水分が残存しやすく、有機層の特性が低下しやすい傾向がある。また、多層化に向けて使用できる材料に制限がある。
多層化の他の方法として、下層となる有機層の耐溶剤性を高めるために、成膜後に熱や光等の刺激によって有機層を不溶化する方法が挙げられる(例えば、特許文献2)。例えば、重合性官能基を有するポリマーを使用して有機層を形成した後に、加熱によって有機層を硬化させることで耐溶剤性を高めることが可能となる。
特開2006-279007号公報 特開2013-181103号公報
湿式プロセスによる有機層の多層化の観点において、重合性官能基を有するポリマーの使用は有効である。しかし、上記ポリマーを使用した有機EL素子の各種特性については十分に満足できるとは言えず、さらなる改善が必要とされている。
代表的に有機EL素子は、発光層と、例えば、発光層を挟持するように設けられる正孔輸送層及び電子輸送層等の複数の電荷輸送層とから構成される。通常、電荷輸送層の物性値は、発光層の性能に合わせて調整される。
なかでも、発光層でのチャージバランスは、素子寿命、発光効率、及び発光層内の発光位置に影響する因子となるため重要である。チャージバランスとは、正極と負極との各電極側から発光層に輸送される正孔と電子との比率を意味する。有機EL素子では、発光層に輸送された正孔と電子とが再結合することによって発光が得られるため、チャージバランスがどちらかの電荷に偏ると、有機EL素子の特性が著しく低下することになる。
そのため、有機EL素子の高性能化に向けて、各電荷輸送層の導電性を制御し、チャージバランスを最適化することが求められる。
湿式プロセスによって形成される電荷輸送層の導電性は、例えば、電荷輸送層を形成するポリマーを、2種以上のモノマー化合物を使用して構成し、かつそれらモノマー化合物の配合比を変更することによって、又は2種以上のポリマーを併用することによって、調整することが可能である。しかし、実際のところ、使用するモノマー化合物の特性及びその配合比によって導電性を調整できる範囲は制限され、またポリマーを併用した場合には相溶性等の影響によって特性が大きく変化することになる。したがって、いずれの方法も導電性を効率良く制御できるとは言い難い。そのため、湿式プロセスによって形成される電荷輸送層の導電性を簡便かつ効率良く制御するための方法が望まれている。
したがって、本開示は、上記に鑑み、湿式プロセスによる電荷輸送層の形成において、電荷輸送層の導電性を容易に制御できる方法を提供する。また、本開示は、湿式プロセスによって形成される電荷輸送層の導電性を適切に制御することによって、優れた特性を有する、有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、表示素子、照明装置、及び表示装置の提供を可能にする。
本発明者らは、湿式プロセスによって形成される電荷輸送層の導電性について鋭意検討を行い、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを併用することで、上記有機層の導電性を容易に制御可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の実施形態は以下に関するが、本発明は以下の実施形態に制限されず、様々な実施形態を含む。
一実施形態は、電荷輸送層の導電性を制御する方法であって、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料を用いて電荷輸送層を形成することを含む方法に関する。
上記方法の一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、末端に少なくとも1つの第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと、末端に少なくとも1つの第2の重合性官能基を有し、かつ上記第1の電荷輸送性ポリマーと異なる電荷輸送能を有する第2の電荷輸送性ポリマーとを含み、上記第1の重合性官能基及び上記第2の重合性官能基が互いに結合を形成し得ることが好ましい。
上記方法の一実施形態において、上記第1の重合性官能基及び上記第2の重合性官能基は、互いに異なる構造を有することが好ましい。
上記方法の一実施形態において、上記第1の重合性官能基が共役ジエンであり、上記第2の重合性官能基がジエノフィルであることが好ましい。
上記方法の一実施形態において、上記電荷輸送性材料は、さらに重合開始剤を含有し、かつ上記第1の重合性官能基及び前記第2の重合性官能基は、それぞれ、3員環以上の環状エーテル基を含むことが好ましい。
上記方法の一実施形態において、上記2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーは、それぞれ独立して、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことが好ましい。
上記方法の一実施形態において、上記電荷輸送性材料は、正孔注入性材料又は正孔輸送性材料として使用されることが好ましい。
上記方法の一実施形態において、上記電荷輸送層は、上記電荷輸送性材料と、溶媒とを含むインク組成物を用いて形成されることが好ましい。
他の実施形態は、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料、又は上記電荷輸送性材料と、溶媒とを含むインク組成物を用いて形成された電荷輸送層を含む、有機エレクトロニクス素子に関する。
他の実施形態は、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料、又は上記電荷輸送性材料と、溶媒とを含むインク組成物を用いて形成された電荷輸送層を含む、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
上記有機エレクトロルミネセンス素子の実施形態において、フレキシブル基板をさらに有することが好ましい。上記フレキシブル基板は、樹脂フィルムを含むことが好ましい。
他の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子に関する。
他の実施形態は、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置に関する。
他の実施形態は、上記実施形態の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置に関する。
本開示によれば、湿式プロセスによる電荷輸送層の形成において、電荷輸送層の導電性を制御可能な方法を提供することができる。また、上記方法によれば、電荷輸送層の導電性が制御可能となるため、優れた特性を有する、有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、表示素子、照明装置、及び表示装置の提供が容易となる。
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。 図2は、実施例1、比較例1及び2における電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係を示すグラフである。 図3は、実施例2-1~2-3における電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係を示すグラフである。 図4は、実施例3~5における電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではない。
一実施形態は、電荷輸送層の導電性を制御する方法に関し、上記方法は、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料を用いて電荷輸送層を形成することを含む。ここで、「2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマー」とは、それぞれ分子内に1以上の重合性官能基を有し、かつ互いに異なる電荷輸送能を有する2種以上の電荷輸送性ポリマーの組合せを意味する。
電荷輸送層を構成する材料の観点において、それぞれ異なる電荷輸送能を有する2種以上の電荷輸送性ポリマーの組合せの中でも、上述のように互いに重合性官能基を有する2種以上の電荷輸送性ポリマーの組合せは、各電荷輸送性ポリマーの配合比を調整することで、簡便に電荷輸送層の導電性を制御することが可能である。一方、電荷輸送性ポリマーが互いに重合性官能基を持たない場合は、互いに重合性官能基を有する電荷輸送性ポリマーの組合せとの対比において、所望とする電荷輸送層の導電性を得ることが困難であり、また導電性自体も低下する傾向がある。
一般的に、ポリマーブレンドでは、併用する2種以上のポリマーの互いの相溶性等の様々な要因によって特性が大きく変化するため、得られる特性を予測することは難しい。特に、重合性官能基を持たない2種以上の電荷輸送性ポリマーを組合せて形成した電荷輸送層では、電荷輸送性ポリマー間で結合が形成されないため、ホッピング電導によって電荷が移動すると考えられる。
これに対し、上述のように各電荷輸送性ポリマーの間で結合を形成し得る重合性官能基を有する電荷輸送性ポリマーを組合せて形成した電荷輸送層では、ポリマー間での相互作用が生じやすくなるため、分子内電導によって電荷が移動すると考えられる。
導電性の観点では、ホッピング電導よりも分子内電導が好ましく、分子内導電では、電荷輸送層中のキャリアが各電荷輸送性ポリマーを等しく移動する。そのため、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーの組合せでは、ポリマーの配合比を調整することによって導電性を容易に制御することが可能となると考えられる。また、様々な電荷輸送能を有する電荷輸送性ポリマーを組合せることによって、電荷輸送層の導電性を広い範囲で調整することも可能となると考えられる。以下、電荷輸送層を形成する電荷輸送性材料について、より具体的に説明する。
<電荷輸送性材料>
電荷輸送性材料は、電荷を輸送する能力を有し、かつ重合可能である少なくとも2種の電荷輸送性ポリマーを含む。より詳細には、電荷輸送性材料は、それぞれ分子内に1以上の重合性官能基を有し、互いに電荷を輸送する能力(電荷輸送能)が異なる2種以上の電荷輸送性ポリマーを含有する。
ここで、「重合性官能基」とは、熱及び光の少なくとも一方を加えることによって、結合を形成し得る官能基を意味する。電荷輸送性ポリマーが分子内に少なくとも1つの重合性官能基を有することによって、重合反応後に溶剤への溶解度を変化させることが容易となる。重合性官能基が機能する重合機構は特に制限はなく、カチオン重合反応、アニオン重合反応、ラジカル重合反応、付加重合反応、共役ジエンとジエノフィルとの間で起こるディールス・アルダー反応といったペリ環状反応、及びアルキンによる三量化環化反応のいずれであってもよい。
また、「電荷輸送能が異なる2種以上の電荷輸送性ポリマー」とは、より具体的には、ポリマーの主骨格を構成する構造単位が異なることを意味する。一実施形態において、2種以上の構造単位の組合せが異なるか、又は同じ組合せであっても配合比が異なることを意味する。
一実施形態において、電荷輸送性材料は、末端に少なくとも1つの第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと、末端に少なくとも1つの第2の重合性官能基を有し、かつ上記第1の電荷輸送性ポリマーと異なる電荷輸送能を有する第2の電荷輸送性ポリマーとを含み、上記第1の重合性官能基及び上記第2の重合性官能基が互いに結合を形成し得る構造を有することが好ましい。上記実施形態によれば、上記電荷輸送性ポリマー間での重合反応が容易に進行しやすく、かつ反応によって結合が形成され得ることで、ポリマー間に結合が形成されない混合物よりも、電荷輸送層の導電性を容易に制御できると考えられる。
なお、本明細書において、「ポリマー」の用語は、重合度の低い重合体を示す「オリゴマー」も含むものとする。一実施形態において、上記電荷輸送性材料は、有機エレクトロニクス材料として好ましく使用することができる。
第1の重合性官能基及び第2の重合性官能基は、本質的に同じ構造であっても、互いに異なる構造であってもよい。ここで「本質的に同じ構造」とは、主となる構造は同じであるが、置換基において相違する構造等であってもよいことを意味する。
一実施形態において、第1の重合性官能基及び第2の重合性官能基は、それぞれ独立して、炭素-炭素多重結合を有する基、小員環を有する基、環状エーテル基、及び芳香族複素環を有する基からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。
より具体的には、炭素-炭素多重結合を有する基は、炭素-炭素二重結合含有基、又は炭素-炭素三重結合(アルキン)含有基であってよく、炭素-炭素二重結合含有基がより好ましい。炭素-炭素二重結合含有基の具体例として、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、及びビニルアミノ基が挙げられる。
小員環を有する基の具体例として、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基が挙げられる。
環状エーテル基は、3員環以上の環状エーテル基であってよく、具体例として、エポキシ基、およびオキセタン基が挙げられる。
芳香族複素環を有する基の具体例として、フラン-イル基、ピロール-イル基、チオフェン-イル基、及びシロール-イル基が挙げられる。
重合性官能基として例示したそれぞれの基は、非置換であっても、置換基を有してもよい。
一実施形態において、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、上記第1の重合性官能基及び第2の重合性官能基は、それぞれ独立して、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、フラン-イル基、ピロール-イル基、及びチオフェン-イル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記重合性官能基は、それぞれ単一構造で構成される必要はなく、結合が形成される限り2種以上の組み合わせであってもよい。
一般的に、オキセタン基及びエポキシ基等の環状エーテル基を有するポリマーの重合は、加熱に伴い重合開始剤から発生した活性種やこの活性種により開環したオキセタン基又はエポキシ基が、未開環のオキセタン基又はエポキシ基を攻撃し付加することによって進行する。また、ビニル基等の炭素-炭素二重結合含有基を有するポリマーの重合は、二重結合による付加重合反応によって進行する。さらに、チオフェン-イル基等の芳香族複素環基を有するポリマーの重合は、芳香族複素環を構成する二重結合による付加重合反応によって進行する。
特に限定するものではないが、一実施形態において、本質的に同じ構造の重合性官能基同士による反応を想定した場合、第1及び第2の重合性官能基は、3員環以上の環状エーテル基を含む基、又は芳香族複素環を有する基を含むことが好ましく、置換又は非置換のオキセタン基、あるいは置換又は非置換のチオフェン-イル基であることがより好ましい。
上述のように、本質的に同じ構造の重合性官能基同士によるポリマーの重合反応によって有機層を充分に不溶化(硬化)させるためには、硬化時に、例えば230℃の温度まで加熱することが好ましく、反応時に重合開始剤を使用することがより好ましい。なかでも、第1の重合性官能基及び第2の重合性官能基が、それぞれ3員環以上の環状エーテル基である場合には、重合開始剤を使用し、かつ例えば230℃の温度まで加熱することが好ましい。
一方、電荷輸送性ポリマーにおいて、炭素-炭素多重結合を有する基と芳香族複素環基とが共存する場合(より具体的には、例えば、電荷輸送性ポリマーが、後述する共役ジエン含有基と、ジエノフィル含有基との組合せを有する場合)は、先に説明した環状エーテル基等を有するポリマーの重合化とは異なるメカニズムを取り得る。具体的には、共役ジエン含有基及びジエノフィル含有基は、ディールス・アルダー反応等の環化付加反応の基質となり得る。そのため、2種以上の電荷輸送性ポリマーにおいて、ジエン含有基とジエノフィル含有基とが共存する場合、環化付加反応が可能となり、上述した同じ重合性官能基同士による重合反応と比較して、より低い温度でポリマーの有機層を容易に不溶化(硬化)できる傾向がある。そのため、一実施形態において、第1の重合性官能基は共役ジエン含有基であり、第2の重合性官能基はジエノフィル含有基であることが好ましい。以下、共役ジエン含有基、及びジエノフィル含有基について説明する。
(共役ジエン含有基)
電荷輸送性ポリマーにおける共役ジエン含有基は、一般にディールス・アルダー反応において使用できる共役ジエン化合物に由来する構造を有する基を意味する。共役ジエン化合物は、ジエノフィル化合物と反応可能な、共役する2つの二重結合を含む化合物であればよく、特に限定されない。共役ジエン化合物は、鎖状であっても、又は環状であってもよい。
また、共役ジエン化合物は、共役ジエン骨格にアルキル基などの置換基が導入されたものであってもよい。上記アルキル基は、炭素数が1~6であってよく、直鎖、分岐、及び環状のいずれの構造を有してもよい。共役ジエン化合物は、共役ジエン部の電子密度が高いことが好ましい。
共役ジエン含有基は、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シクロペンタジエン環、1,3-ブタジエン、チオフェエン-1-オキサイド環、チオフェエン-1,1-ジオキサイド環、シクロペンタ-2,4-ジエノン環、2Hピラン環、シクロヘキサ-1,3-ジエン環、2Hピラン1-オキサイド環、1,2-ジヒドロピリジン環、2Hチオピラン-1,1-ジオキサイド環、シクロヘキサ-2,4-ジエノン環、ピラン-2-オン環、及びアントラセンに由来する構造を有してよく、これらの構造にさらに置換基を有してもよい。
反応性の点から、共役ジエン含有基は、1価の基であることが好ましい。例えば、フラン環、チオフェン環、シクロペンタジエン環、1,3-ブタジエン、チオフェエン-1,1-ジオキサイド環、及びアントラセンから選択される1種の構造から水素原子を1つ取り除いた基であってよい。共役ジエン含有基は、反応性の観点から、フラン環、シクロペンタジエン環、1,3-ブタジエン、チオフェエン-1,1-ジオキサイド環、及びアントラセンからなる群から選択される少なくとも1種から水素原子を1つ取り除いた基であることがより好ましい。共役ジエン含有基は、フラン環の構造から水素原子を1つ取り除いた基であることがより好ましい。以下、代表的に、1価のフラン環含有基についてより具体的に説明する。
一実施形態において、1価の共役ジエン含有基は、下式(I)で表される1価のフラン環含有基であることが好ましい。
Figure 0007073789000001
式中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、-C(=O)H、-CHOH、-Br、及び-Clからなる群から選択される基を表す。「*」は他の構造部位との結合部位を表す。
一実施形態において、1価のフラン環含有基は、上式(I)において、R~Rがそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基である構造を有することが好ましい。他の実施形態において、1価の共役ジエン含有基は、上式(I)において、Rが、-C(=O)H、-CHOH、-Br、及び-Clからなる群から選択される基であり、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基である構造を有することが好ましい。
1価のフラン環含有基は、下式(I-1)で表される構造を有することがより好ましい。
Figure 0007073789000002
式中、R~R、及び「*」は、先の説明と同様である。一実施形態において、1価のフラン環含有基は、上式(I-1)において、Rが、水素原子、又は-C(=O)Hであり、R及びRが、それぞれ水素原子である構造を有することがより好ましい。上記実施形態において、R~Rが、それぞれ水素原子であることがさらに好ましい。
1価のフラン環含有基は、下式(I-2)で表されるように、2つのフラン環が結合した構造を有してもよい。式中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、-C(=O)H、-CHOH、-Br、及び-Clからなる群から選択される基を表す。「*」は他の構造部位との結合部位を表す。Xは、炭素数1~6の直鎖、分岐、及び環状アルキレンからなる群から選択される2価の連結基を表す。
Figure 0007073789000003
一実施形態として、上式(I-2)において、Rが、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、及び-C(=O)Hからなる群から選択される基であり、R~Rが、それぞれ水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基であり、Xが炭素数1~3の直鎖のアルキレン基である構造を有することがより好ましい。上記実施形態において、R~Rは、それぞれ水素原子であり、Xがメチレン基であることがさらに好ましい。
(ジエノフィル含有基)
電荷輸送性ポリマーにおけるジエノフィル含有基は、一般にディールス・アルダー反応に使用できるジエノフィル化合物に由来する構造を有する基を意味する。ジエノフィル化合物は、共役ジエン化合物と反応可能な二重結合又は三重結合を含む化合物であればよく、特に限定されない。ジエノフィル化合物は、鎖状であっても、環状であってもよい。
ジエノフィル化合物は、二重結合を有することが好ましく、アルキル基などの置換基が導入されたものであってもよい。上記アルキル基(-C2n+1)は、炭素数nが1~6であってよく、直鎖、分岐、及び環状のいずれの構造を有してもよい。ジエノフィル化合物は二重結合部の電子密度が低いことが好ましい。
ジエノフィル含有基は、例えば、スチレン、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル類、マレイン酸ジエステル類、マレイミド類、フマル酸、イタコン酸、アクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、1,4-ベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、2,5-ジヒドロフラン類、及びピロリン類等に由来する構造を有する基であることが好ましい。これらは、二重結合部又は二重結合に隣接した部分に置換基を有してもよい。一実施形態において、反応性の点から、ジエノフィル含有基は、1価の基であることが好ましい。すなわち、1価のジエノフィル含有基は、例えば、先に例示したジエノフィル化合物の構造から水素原子を1つ取り除いた基であってよい。例えば、1価のジエノフィル含有基は、スチレンから水素原子を1つ取り除いた基であることが好ましい。以下、代表的に、1価のスチレン基についてより具体的に説明する。
一実施形態において、1価のジエノフィル含有基は、下式(II)で表される1価のスチレン基であることが好ましい。
Figure 0007073789000004
式中、Rは、それぞれ置換基を表し、例えば、炭素数1~6のアルキル基であってよい。上記アルキル基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれの構造を有してもよい。隣接するRが互いに連結して環を形成していてもよい。nは、0~4の整数である。nが0の場合、スチレン構造は非置換であることを意味する。「*」は他の構造部位との結合部位を表す。
反応性の観点から、1価のジエノフィル含有基は、下式(II-1)で表される非置換の1価のスチレン基であることがさらに好ましい。式中、*は他の構造部位との結合部位を表す。
Figure 0007073789000005
上記実施形態において、スチレン構造におけるビニル基の位置は、他の構造部位との結合部位に対して、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれであってもよいが、下式で表されるように、メタ位、又はパラ位であることがより好ましい。
Figure 0007073789000006
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、「重合性官能基」を「重合性官能基を含む基」として有してもよい。例えば、特に限定するものではないが、重合性官能基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点から、重合性官能基を含む基は、重合性官能基と、例えば炭素数1~8の直鎖状のアルキレン鎖とを有する基であってよい。上記重合性官能基を含む基において、重合性官能基は、例えば炭素数1~8の直鎖状のアルキレン鎖によって電荷輸送性ポリマーの主骨格と連結されていることが好ましい。
また、例えば、電極上に有機層を形成する場合、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点から、重合性官能基を含む基は、重合性官能基と、例えば親水性の鎖とを有する基であってよい。上記重合性官能基を含む基において、重合性官能基は、エチレングリコール鎖、ジエチレングリコール鎖等の親水性の鎖によって電荷輸送性ポリマーの主骨格に連結されていることが好ましい。
さらに、重合性官能基を導入するために用いられるモノマーの調製が容易になる観点から、重合性官能基を含む基は、重合性官能基と、アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖とを有し、さらに上記アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部にエーテル結合又はエステル結合を有する基であってよい。より具体的には、上記重合性官能基を含む基は、上記アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部、すなわち、これらの鎖と重合性官能基との連結部、及び/又は、これらの鎖と電荷輸送性ポリマーの骨格との連結部に、エーテル結合又はエステル結合を有する構造を有してもよい。
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、電荷輸送性ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、電荷輸送性ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
例えば、電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、重合性官能基の仕込み量(例えば、重合性官能基を有するモノマーの仕込み量)、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を用い、平均値として求めることができる。また、重合性官能基の数は、電荷輸送性ポリマーのH NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける重合性官能基に由来するシグナルの積分値と全スペクトルの積分値との比、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量等を利用し、平均値として算出できる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
また、一実施形態において、電荷輸送性ポリマーにおける重合性官能基の割合は、電荷輸送性ポリマーを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。
一実施形態において、第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと第2の重合性官能基を有する第2の電荷輸送性ポリマーの配合比は、特に限定されず、各ポリマーにおける重合性官能基のモル数を考慮して調整することができる。一実施形態において、第1の電荷輸送性ポリマー/第2の電荷輸送性ポリマーの比(重量比)は、20/80~80/20の範囲であってよい。ポリマーにおける重合性官能基のモル数がほぼ等しい場合には、上記ポリマーの重量比は、25/75~75/25の範囲であることが好ましく、40/60~60/40の範囲がより好ましく、50/50であることがさらに好ましい。
一実施形態において、第1の重合性官能基が共役ジエン含有基であり、第2の重合性官能基がジエノフィル含有基である場合、例えば、1価の共役ジエン含有基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと、1価のジエノフィル含有基を有する第2の電荷輸送性ポリマーとの配合比は、特に限定されず、共役ジエン含有基とジエノフィル含有基とのモル比を考慮して調整することが好ましい。一実施形態において、ディールス・アルダー反応を効率良く進行させる観点から、共役ジエン含有基/ジエノフィル含有基の比(モル比)は0.05~20の範囲が好ましく、0.1~10の範囲がより好ましく、0.25~4の範囲がさらに好ましい。
先に説明したように、併用する少なくとも2種の電荷輸送性ポリマーにおいて、各電荷輸送性ポリマーが有する重合性官能基同士の相互作用によって、導電性を制御することが容易となる。一実施形態において、重合性官能基同士の反応性の観点から各電荷輸送性ポリマーが有する重合性官能基は、本質的に同じ構造を有することが好ましい。他の実施形態において、各々の重合性官能基は、異なる構造を有してもよい。なかでも共役ジエンとジエノフィルの関係のように互いに相補的な構造を有することが望ましい。
(電荷輸送性ポリマーの構造)
以下、電荷輸送性材料を構成する電荷輸送性ポリマーをより具体的に説明する。なお、以下の説明で記載する、「電荷輸送性ポリマー」の用語は、少なくとも1つの第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマー、及び少なくとも1つの第2の重合性官能基を有する第2の電荷輸送性ポリマーの各々を意味する。但し、第1及び第2の電荷輸送性ポリマーは、互いに異なる電荷輸送能を有するため、それぞれ異なる主骨格を有することを前提とする。また、「重合性官能基」の用語は、上述の第1の重合性官能基及び第2の重合性官能基の各々を意味する。
上記電荷輸送性ポリマーは、直鎖状であっても、又は分岐状であってもよい。一実施形態において、上記電荷輸送性ポリマーは、分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを含み、3方向以上に分岐した構造を有することが好ましい。ここで、構造単位における「3価以上」の用語は、構造単位において、他の構造単位との結合部位を形成する結合手が3つ以上存在することを意味する。すなわち、構造単位の価数は、上記結合手の数に相当する。
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを含み、さらに、少なくとも末端部を形成する1価の構造単位Tを含む。他の実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、上記3価以上の構造単位Bを含み、さらに、電荷輸送性を有する2価の構造単位Lと、上記1価の構造単位Tとを含む。電荷輸送性ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでもよい。電荷輸送性ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」~「3価以上」の結合部位において互いに結合している。
上記3方向以上に分岐した構造を有する電荷輸送性ポリマーに含まれる部分構造の一例として、以下が挙げられる。上記電荷輸送性ポリマーは、以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「B」は構造単位Bを、「L」は構造単位Lを、「T」は構造単位Tを表す。「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のBは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びLについても、同様である。
分岐構造を有する電荷輸送性ポリマーの例
Figure 0007073789000007
上記電荷輸送性ポリマーにおいて、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの末端部(すなわち、構造単位T)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位L又はB)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
一実施形態において、電荷輸送性ポリマー同士の反応性が容易になる観点から、第1及び第2の電荷輸送性ポリマーの少なくとも一方は、末端に少なくとも1つの重合性官能基を有することが好ましく、上記ポリマーのそれぞれが、末端に少なくとも1つの重合性官能基を有することがより好ましい。以下、各構造単位について具体的に説明する。
(構造単位L)
構造単位Lは、電荷輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位Lは、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位Lは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニル構造、ターフェニル構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。上記芳香族アミン構造の中でも、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。また、上記ベンゼン構造のなかでも、p-フェニレン構造、m-フェニレン構造が好ましい。
一実施形態において、構造単位Lは、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ピロール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましく、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。
他の実施形態において、構造単位Lは、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。
構造単位Lの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Lは、以下に限定されない。
Figure 0007073789000008
Figure 0007073789000009
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、-R、-OR、-SR、-OCOR、-COOR、-SiR、ハロゲン原子、及び、上述した「重合性官能基を含む基」からなる群から選択される。R~Rは、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1~22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2~30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2~20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1~22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。
Arは、炭素数2~30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団である。ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
(構造単位T)
構造単位Tは、電荷輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。構造単位Tは、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造を有することが好ましい。一実施形態において、構造単位Tは、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造を有することが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造を有することがより好ましい。
一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、それぞれ末端部に重合性官能基を有することが好ましい。したがって、一実施形態において、構造単位Tは、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造を有し、かつ置換基として重合性官能基を有するものが好ましい。重合性官能基は、先に説明したとおりである。例えば、一実施形態において、構造単位Tにおける上記重合性官能基は、それぞれ独立して、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、フラン-イル基、及びチオフェン-イル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、フラン-イル基、及びチオフェン-イル基といった芳香族複素環構造を有する基は、それ自身がポリマーの末端部を構成する構造単位Tにもなり得る。
末端部に重合性官能基を有する電荷輸送性ポリマーを構成する構造単位Tの一例として、以下が挙げられる。
-Ar-(CH-X (t1)
-Ar-O-(CH-X (t2)
式中、Arは炭素数2~30のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表し、aは0~8の整数であり、Xは置換又は非置換の重合性官能基を表す。先に説明した重合性官能基を含む基の具体例として、上式(t1)及び(t2)における「-(CH-X」及び「-O-(CH-X」の構造が挙げられる。重合性官能基は、先に説明したとおりであるが、例えば、置換又は非置換の、オキセタン基、エポキシ基、又はビニル基であることが好ましい。
末端部に重合性官能基を有する電荷輸送性ポリマーを構成する構造単位Tの他の実施形態において、構造単位Tは、フラン-イル基、又はチオフェン-イル基であることが好ましく、それぞれの環は置換基を有してもよい。
一実施形態において電荷輸送性材料は、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーにおいて、互いに同一の構造を有する重合性官能基を含むことが好ましい。例えば、重合性官能基は、オキセタン基であるか、チオフェン-イル基であることが好ましい。上記実施形態の具体例として、第1及び第2の電荷輸送性ポリマーは、構造単位Tとして、それぞれ以下に記載する構造のいずれかを有することが好ましい。
Figure 0007073789000010
式中、*は他の構造単位との結合部位を表し、R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。置換基は、例えば、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましい。
他の実施形態において電荷輸送性材料は、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーにおいて、互いに異なる構造を有する重合性官能基を含むことが好ましい。なかでも、重合性官能基が互いに相補的な関係になることがより好ましい。例えば、重合性官能基の一方はフラン-1イル基であり、他方はビニル基(スチレン基)であることが好ましい。上記実施形態の具体例として、第1及び第2の電荷輸送性ポリマーは、構造単位として、それぞれ以下に記載する構造の組合せを有することが好ましい。
Figure 0007073789000011
式中、*は他の構造単位との結合部位を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。置換基は、例えば、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましい。一実施形態において、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子であることが好ましい。
その他、電荷輸送性ポリマーは、構造単位Tとして、以下の構造を有してもよい。
Figure 0007073789000012
Rは、構造単位LにおけるRと同様であってよいが、重合性官能基は含まない。
(構造単位B)
構造単位Bは、電荷輸送性ポリマー又はオリゴマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位Bは、電荷輸送性を有する単位であることが好ましい。例えば、構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。構造単位Bは、構造単位Lと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよく、また、構造単位Tと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。
構造単位Bの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Bは、以下に限定されない。
Figure 0007073789000013
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2~30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。上述のとおり、アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2~30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。
Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位LにおけるR(ただし、上述した「重合性官能基を含む基」を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位LにおけるRが挙げられる。
先に説明した電荷輸送性ポリマーのなかでも、第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと、第2の重合性官能基を有する第2の電荷輸送性ポリマーの組合せの好ましい一例として、以下が挙げられる。
(1)第1の電荷輸送性ポリマー及び第2の電荷輸送性ポリマーの少なくとも一方は、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことが好ましい。
(2)第1の電荷輸送性ポリマー及び第2の電荷輸送性ポリマーの少なくとも一方は、2価の構造単位又は3価以上の構造単位として、置換又は非置換の、芳香族アミン構造及びカルバゾール構造の少なくとも一方の構造を含むことがより好ましい。
(3)第1の電荷輸送性ポリマー及び第2の電荷輸送性ポリマーの少なくとも一方は、3価の構造単位として、置換又は非置換の、芳香族アミン構造及びカルバゾール構造の少なくとも一方の構造を含むことがさらに好ましい。
一実施形態において、上記第1及び第2の電荷輸送性ポリマーは、上記(1)~(3)の構造に加えて、第1及び第2の重合性官能基が先に例示した末端構造T1及びT2のように開環反応を伴う重合が可能である構造、又は末端構造T3のように重合性官能基間に結合が形成される構造を有することが好ましい。
他の実施形態において、上記第1及び第2の電荷輸送性ポリマーは、上記(1)~(3)の構造に加えて、第1及び第2の重合性官能基が先に例示した末端構造T4及びT5の組合せのように2つ以上の異なる構造間で結合が形成される構造を有することが好ましい。特に限定するものではないが、第1及び第2の電荷輸送性ポリマーの組合せにおいて、置換又は非置換の、芳香族アミン構造とカルバゾール構造との組合せを有する場合には、電荷輸送層において優れた導電性を得ることが容易となる傾向がある。
(数平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい一実施形態において、数平均分子量は、18,000以上が好ましく、20,000以上がより好ましく、30,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、200,000以下が更に好ましい。
(重量平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましく、300,000以下が最も好ましい。一実施形態において、電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量は200,000以下が特に好ましい。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
(構造単位の割合)
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Lの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Tの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な電荷輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
電荷輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位L及び構造単位Tの割合(モル比)は、L:T=100:1~70が好ましく、100:3~50がより好ましく、100:5~30が更に好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位L、構造単位T、及び構造単位Bの割合(モル比)は、L:T:B=100:10~200:10~100が好ましく、100:20~180:20~90がより好ましく、100:40~160:30~80が更に好ましい。
構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
特に好ましい一実施形態において、電荷輸送性ポリマーは、高い正孔注入性、正孔輸送性等を有する観点から、芳香族アミン構造を有する構造単位及び/又はカルバゾール構造を有する構造単位を主要な構造単位(主骨格)とする化合物であることが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーは、多層化を容易に行う観点から、少なくとも2個以上の重合可能な置換基を有する化合物であることが好ましい。重合可能な置換基は、優れた硬化性を有する観点から、環状エーテル構造を有する基、炭素-炭素多重結合を有する基等であることが好ましい。
(製造方法)
電荷輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、薗頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、電荷輸送性ポリマーを簡便に製造できる。
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。電荷輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第2010/140553号の記載を参照できる。
[ドーパント]
電荷輸送性材料は、任意の添加剤を含むことができ、例えばドーパントを更に含有してよい、ドーパントは、電荷輸送性材料に添加することでドーピング効果を発現させ、電荷の輸送性を向上させ得るものであればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。電荷輸送性材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。
p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1-ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF (ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF (テトラフルオロホウ酸イオン)、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000-36390号公報、特開2005-75948号公報、特開2003-213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属、LiF、CsCO等のアルカリ金属、及び/又はアルカリ土類金属の塩、金属錯体、電子供与性有機化合物などが挙げられる。
上記ドーパントにおいて、イオン化合物は重合開始剤としても機能する。本明細書で開示する電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料は、重合開始剤を使用せずに不溶化することも可能であるが、必要に応じて、電荷輸送性の向上を意図して、イオン化合物を含んでもよい。
[他の任意成分]
電荷輸送性材料は、電荷輸送性低分子化合物、他のポリマー等を更に含有してもよい。
[含有量]
電荷輸送性材料中の電荷輸送性ポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。電荷輸送性ポリマーの含有量の上限は特に限定されず、100質量%とすることも可能である。ドーパント等の添加剤を含むことを考慮し、電荷輸送性ポリマーの含有量を、例えば95質量%以下、90質量%以下、等としてもよい。
ドーパントを含有する場合、その含有量は、電荷輸送性材料の電荷輸送性を向上させる観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
<インク組成物>
一実施形態において、電荷輸送層を形成するために、上記実施形態の電荷輸送性材料と、該材料を溶解又は分散し得る溶媒とを含有するインク組成物を使用することもできる。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって電荷輸送層(有機層)を容易に形成できる。
[溶媒]
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等である。
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
[含有量]
インク組成物における溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
<電荷輸送層(有機層)>
一実施形態において、電荷輸送層は、前記実施形態の電荷輸送性材料、又はインク組成物を用いて形成された有機層である(以下、電荷輸送層を有機層ともいう)。したがって、一実施形態において、電荷輸送層の導電性を制御する方法は、電荷輸送性材料を得るために、互いに重合可能な2種以上の電荷輸送性ポリマーを混合する工程を有してもよい。他の実施形態において、上記電荷輸送性材料と、溶媒とを混合してインク組成物を調製する工程を有してもよい。
インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好かつ簡便に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有するため、光照射、加熱処理等により電荷輸送性ポリマーの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第2010/140553号の記載を参照できる。
本明細書で開示する電荷輸送層の導電性を制御する方法では、電荷輸送層を形成するために、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料、又は該材料と溶媒とを含むインク組成物を使用する。上記電荷輸送層の形成は、先に説明した塗布法による有機層の形成方法に従って実施することができる。一実施形態において、電荷輸送層(有機層)は、上記実施形態の電荷輸送性材料又はインク組成物の塗布後に、塗布層を例えば加熱することによって形成することができる。加熱温度は特に限定されないが、上記電荷輸送性ポリマーにおける重合性官能基が、共役ジエン含有基及びジエノフィル含有基といった相補的な組合せとなる場合、ディールス・アルダー反応が進行し、230℃未満の加熱であっても電荷輸送層を十分に硬化(不溶化)させることができる。一実施形態において、硬化時の加熱温度は、120℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。重合性官能基の種類に応じて、硬化時の加熱温度は230℃以上にしてもよい。硬化時の加熱温度は、加熱による有機層及び基板への影響を考慮し、350℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。加熱時間は、特に限定するものではないが、加熱による有機層の性能低下を抑制する観点から、60分以内に調整することが好ましく、30分以内に調整することがより好ましい。
乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
<有機エレクトロニクス素子>
一実施形態において、有機エレクトロニクス素子は、少なくとも1つ以上の上記実施形態の電荷輸送層(有機層)を有する。すなわち、一実施形態において、有機エレクトロニクス素子は、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料、又は該材料と溶媒とを含むインク組成物を用いて形成された電荷輸送層を含む。上記実施形態によれば、電荷輸送層の導電性を適切に制御することが可能となるため、有機エレクトロニクス素子の特性を向上させることが容易となる。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
<有機EL素子>
一実施形態において、有機EL素子は、少なくとも1つ以上の上記実施形態の電荷輸送層(有機層)を有する。すなわち、一実施形態において、有機EL素子は、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料、又は該材料と溶媒とを含むインク組成物を用いて形成された電荷輸送層を含む。上記実施形態によれば、電荷輸送層の導電性を適切に制御することが可能となるため、有機EL素子の特性を向上させることが容易となる。
有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、前記有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン-トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6-ジフルオロフェニル)-ピリジネート-N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2-(2’-ベンゾ[4,5-α]チエニル)ピリジナート-N,C〕イリジウム(アセチル-アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金)等が挙げられる。
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、mCP(1,3-ビス(9-カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、前記実施形態の電荷輸送性材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
[正孔注入層、正孔輸送層]
上記の電荷輸送性材料を用いて形成された有機層を、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として使用することが好ましく、少なくとも正孔輸送層として使用することが一層好ましい。上述のとおり、電荷輸送性材料を含むインク組成物を用いることにより、これらの層を容易に形成することができる。
有機EL素子が、上記の電荷輸送性材料を用いて形成された有機層を正孔輸送層として有し、さらに正孔注入層を有する場合、正孔注入層には公知の材料を使用できる。また、有機EL素子が、上記の電荷輸送性材料を用いて形成された有機層を正孔注入層として有し、更に正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には公知の材料を使用できる。
正孔注入層にトリフェニルアミンからなる材料を用いた場合、正孔の移動に対してエネルギー準位の観点から、正孔輸送層に本実施形態の電荷輸送性材料を用いることが好適である。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、前記実施形態の電荷輸送性材料も使用できる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン-ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有するフレキシブル基板であることが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[封止]
有機EL素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム、又は酸化珪素、窒化ケイ素等の無機物を用いることができるが、これらに限定されることはない。封止の方法も、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されるものではない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有する組み合わせなどが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
一実施形態において、表示素子は、上記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
また、一実施形態において、照明装置は、上記実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、一実施形態において、表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして上記実施形態の照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に言及しない限り、「%」は「質量%」を意味する。
1.電荷輸送性ポリマーの調製
<Pd触媒の調製>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、トルエン(15ml)を加え、30分間攪拌した。同様に、サンプル管にトリス(t-ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、トルエン(5ml)を加え、5分間攪拌した。これらの溶液を混合し、室温で30分間攪拌して、触媒とした。全ての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。
<電荷輸送性ポリマー1>
三口丸底フラスコに、下記モノマーB1(4.0mmol)、下記モノマーL1(10.0mmol)、下記モノマーT1(8.0mmol)、及びトルエン(100.2mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。30分撹拌した後、3M水酸化カリウム水溶液(13.5mL)を加えた。全ての溶媒は30分以上、窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間、加熱還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
Figure 0007073789000014
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール-水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過により回収、酢酸ブチルで洗浄し、沈殿物を得た。得られた沈殿を吸引ろ過により回収し、トルエンに溶解し、金属吸着剤(Strem Chemicals社製「Triphenylphosphine, polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer」、沈殿物100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物とをろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール-アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール-アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、電荷輸送性ポリマー1を得た。
得られた電荷輸送性ポリマー1の数平均分子量は45,800、重量平均分子量は114,900であった。電荷輸送性ポリマー1は、構造単位B1、構造単位L1、構造単位T1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.2%、45.5%、36.3%であった。
数平均分子量及び質量平均分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L-6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV-Vis検出器:L-3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack(登録商標) GL-A160S/GL-A150S 日立化成(株)
溶離液 :THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速 :1mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質 :標準ポリスチレン
<電荷輸送性ポリマー2>
三口丸底フラスコに、モノマーB2(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、前記モノマーT1(8.0mmol)、及びトルエン(87.3mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー2を調製した。
Figure 0007073789000015
得られた電荷輸送性ポリマー2の数平均分子量は39,600、重量平均分子量は111,600であった。電荷輸送性ポリマー2は、構造単位B2、構造単位L1、構造単位T1を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.1%、45.6%、36.3%であった。
<電荷輸送性ポリマー3>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB2(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、下記モノマーT2(8.0mmol)、及びトルエン(78.3mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー3を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー3の数平均分子量は21,600であり、重量平均分子量は86,200であった。電荷輸送性ポリマー3は、構造単位B2、構造単位L1、構造単位T2を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.2%、45.6%、36.2%であった。
Figure 0007073789000016
<電荷輸送性ポリマー4>
三口丸底フラスコに、下記モノマーB3(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、前記モノマーT2(8.0mmol)、及びトルエン(90.4mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー4を調製した。
Figure 0007073789000017
得られた電荷輸送性ポリマー4の数平均分子量は11,400、重量平均分子量は49,000であった。電荷輸送性ポリマー4は、構造単位B3、構造単位L1、構造単位T2を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.0%、45.3%、36.7%であった。
<電荷輸送性ポリマー5>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB2(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、下記モノマーT3(8.0mmol)、及びトルエン(54.1mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー5を調製した。
Figure 0007073789000018
得られた電荷輸送性ポリマー5の数平均分子量は14,300であり、重量平均分子量は45,300であった。電荷輸送性ポリマー5は、構造単位B2、構造単位L1及び構造単位T3を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.1%、45.6%、36.4%であった。
<電荷輸送性ポリマー6>
三口丸底フラスコに、下記モノマーB4(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、前記モノマーT3(8.0mmol)、及びトルエン(62.4mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー6を調製した。
Figure 0007073789000019
得られた電荷輸送性ポリマー6の数平均分子量は20,700であり、重量平均分子量65,600であった。電荷輸送性ポリマー6は、構造単位B4、構造単位L1、構造単位T3を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.1%、45.3%、36.6%であった。
<電荷輸送性ポリマー7>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB2(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、下記モノマーT4(8.0mmol)、及びトルエン(54.1mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー7を調製した。
Figure 0007073789000020
得られた電荷輸送性ポリマー7の数平均分子量は19,500であり、重量平均分子量は43,900であった。電荷輸送性ポリマー7は、構造単位B2、構造単位L1及び構造単位T4を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.3%、45.5%、36.2%であった。
<電荷輸送性ポリマー8>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB3(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、下記モノマーT5(8.0mmol)、及びトルエン(62.4mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー8を調製した。
Figure 0007073789000021
得られた電荷輸送性ポリマー8の数平均分子量は22,800であり、重量平均分子量は76,100であった。電荷輸送性ポリマー8は、構造単位B4、構造単位L1、構造単位T5を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.3%、45.2%、36.5%であった。
<電荷輸送性ポリマー9>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB2(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、前記モノマーT5(8.0mmol)、及びトルエン(54.1mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1の合成と同様にして、電荷輸送性ポリマー9の合成を行った。
得られた電荷輸送性ポリマー9の数平均分子量は22,600であり、重量平均分子量は60,500であった。電荷輸送性ポリマー9は、構造単位B2、構造単位L1及び構造単位T5を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.4%、45.4%、36.2%であった。
<電荷輸送性ポリマー10>
三口丸底フラスコに、下記モノマーB3(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、前記モノマーT4(8.0mmol)、及びトルエン(62.4mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー10を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー10の数平均分子量は8,200、重量平均分子量48,400であった。電荷輸送性ポリマー10は、構造単位B3、構造単位L1、構造単位T4を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.1%、45.5%、36.4%であった。
<電荷輸送性ポリマー11>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB1(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、下記モノマーT6(8.0mmol)、及びトルエン(62.4mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー11を調製した。
Figure 0007073789000022
得られた電荷輸送性ポリマー11の数平均分子量は25,100であり、重量平均分子量140,400であった。電荷輸送性ポリマー11は、構造単位B1、構造単位L1、構造単位T6を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.1%、45.3%、36.6%であった。
<電荷輸送性ポリマー12>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB2(4.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、前記モノマーT6(8.0mmol)、及びトルエン(54.1mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー12を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー12の数平均分子量は18,800であり、重量平均分子量は66,300であった。電荷輸送性ポリマー12は、構造単位B2、構造単位L1及び構造単位T6を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、18.1%、45.6%、36.4%であった。
<電荷輸送性ポリマー13>
三口丸底フラスコに、前記モノマーB1(2.0mmol)、前記モノマーB2(2.0mmol)、前記モノマーL1(10.0mmol)、前記モノマーT1(2.8mmol)、前記モノマーT6(5.2mmol)、及びトルエン(54.1mL)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(134.4mg)を加え、更に調製したPd触媒溶液(2.0mL)を加えた。以降、電荷輸送性ポリマー1と同様にして、電荷輸送性ポリマー13を調製した。
得られた電荷輸送性ポリマー13の数平均分子量は54,100であり、重量平均分子量167,100であった。電荷輸送性ポリマー13は、構造単位B1、構造単位B2、構造単位L1及び構造単位T1、構造単位T6を有し、それぞれの構造単位の割合(モル比)は、9.1%、9.1%、45.3%、12.7%、23.8%であった。
2.有機HOD素子の作製及び評価
(実施例1、参考例1A及び1B)
<1>有機HOD素子の作製
先に調製した電荷輸送性ポリマー1(5.0mg)及び電荷輸送性ポリマー2(5.0mg)と、下記電子受容性化合物1(0.1mg)と、トルエン(2.3ml)とからなるインク組成物を調製した。
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、上記インク組成物を3000rpmでスピンコートした後、塗膜(有機層)を有するガラス基板をホットプレートの上に置き、大気中で、200℃の温度で、30分間加熱して、上記有機層を硬化させた。
Figure 0007073789000023
上述のようにして得た硬化塗膜からなる有機層(正孔注入層)を有する基板を、真空蒸着機中に移し、上記基板の有機層上にAl(100nm)を蒸着法で成膜し、次いで封止処理を行って、有機HOD(Hole Only Device)を作製した。
<2>HODの評価
作製した有機HODに電圧を印加したところ、電流が流れることが分かり、上記有機層は正孔注入性の機能を持つことが確認された。有機HODについて、駆動電圧2.0V時の電流密度を測定した。その結果を表1に示す。
また、参考例1A及び参考例1Bとして、電荷輸送性ポリマー1のみを10.0mg、又は電荷輸送性ポリマー2のみを10.0mgを使用して上記と同様にしてインク組成物を調製した。次いで、各インク組成物を使用し有機HODを作製し、得られた有機HODについて、上記と同様にして電流密度をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。また、実施例1の電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係についてグラフ化した。グラフを図2に示す。
(比較例1、及び参考比較例1A、1B)
実施例1、参考例1A及び1Bにおいて、有機HODの有機層(正孔注入層)を形成するために使用したインク組成物中の電荷輸送性ポリマー1及び2を、それぞれ重合性官能基を持たない電荷輸送性ポリマー11及び12の配合に代えて表2に示す各インク組成物を調製した。次いで、各インク組成物を使用し、実施例1、参考例1A及び1Bと同様にして有機HODを作製し、得られた有機HODについて、上記と同様にして電流密度を測定した。これらの結果を表2に示す。また、比較例1の電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係についてグラフ化した。グラフを図2に示す。
(比較例2)
実施例1において、有機HODの有機層(正孔注入層)を形成するために使用したインク組成物中の電荷輸送性ポリマー1及び2を、電荷輸送性ポリマー13(10.0mg)の配合に代えてインク組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして有機HODを作製し、次いでその電流密度を測定した。その結果を表2に示す。また、電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係についてグラフ化した。グラフを図2に示す。なお、電荷輸送性ポリマー13は、実施例1の電荷輸送性ポリマー1及び2で使用したモノマーB1及びB2、T1及びT6の組合せを分子内に有するポリマーである。
(実施例2-1~2-3、及び参考例2A、2B)
実施例1、参考例1A及び1Bにおいて、有機HODの有機層(正孔注入層)を形成するために使用したインク組成物中の電荷輸送性ポリマー1及び2を、表3に示す電荷輸送性ポリマー3及び4の配合に代えて、それぞれのインク組成物を調製した。
次に、実施例1と同様にして、各インク組成物を使用して有機HODを作製し、その電流密度を測定した。その結果を表3に示す。また、実施例2-1~2-3の電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係についてグラフ化した。グラフを図3に示す
(実施例3~5、及び参考例3A、3B、4A、4B、5A、5B)
実施例1、参考例1A及び1Bにおいて、有機HODの有機層(正孔注入層)を形成するために使用したインク組成物中の電荷輸送性ポリマー1及び2を、それぞれ表4及び5に示す電荷輸送性ポリマーの配合に代えて、それぞれのインク組成物を調製した。
次に、実施例1と同様にして、各インク組成物を使用して有機HODを作製し、その電流密度を測定した。その結果を表4及び5に示す。また、実施例3~5の電荷輸送性ポリマーの配合比と電流密度との関係についてグラフ化した。グラフを図4に示す
Figure 0007073789000024
Figure 0007073789000025
Figure 0007073789000026
Figure 0007073789000027
Figure 0007073789000028
表1~5に示した各数値、及び図2~4に示した各グラフから分かるように、実施例1~実施例5では、インク組成物における電荷輸送性ポリマーのブレンド比率の変化に準じて、有機HODの電流密度(有機層の導電性)が変化していることが分かる。
より具体的には、図2のグラフから分かるように、実施例1のインク組成物から形成された有機HODの電流密度の値は、参考例1A及び1Bとして示した、それぞれ各電荷輸送性ポリマーを単独使用したインク組成物を用いて形成した有機HODの電流密度の値から得られる直線上の値と概ね一致する。図3及び4のグラフから分かるように、実施例2~5についても同様の傾向が見られる。
一方、図2のグラフから分かるように、インク組成物において電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を持たない比較例1では、参考例1A及び1Bとして示したそれぞれのポリマーを単独使用したインク組成物を用いて形成した有機HODの電流密度の値から得られる直線上の値よりも低い値となっている。また、比較例2は、主骨格として電荷輸送性ポリマー1及び2の構造をそれぞれ50%有するホモポリマーを含むインク組成物である。比較例2は、ポリマーが分子内に実施例1と同様の構造を有することで比較例1よりも実施例1に近い値になっていると推測されるが、それでもなお実施例1の電流密度の値よりは低い値となっており、必ずしも直線上の値と一致しないことが分かる。
以上のことから、ポリマー間で結合を形成しうる2種以上の電荷輸送性ポリマーを含む電荷輸送性材料、又は該材料と溶剤とを含むインク組成物を使用して、電荷輸送層を形成することによって、電荷輸送層の導電性を簡便に制御可能となることが分かる。
以上、実施例に沿って本発明の実施形態による効果を示した。しかし、本発明は、実施例で使用した電荷輸送性ポリマーに限定されることなく、電荷輸送性ポリマー間で結合を形成し得る他のポリマーを用いた場合も同様に、電荷輸送層の導電性を容易に制御可能である。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (14)

  1. 電荷輸送層の導電性を制御する方法であって、2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料を用いて電荷輸送層を形成することを含み、
    前記2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーが、末端に少なくとも1つの第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと、末端に少なくとも1つの第2の重合性官能基を有し、かつ前記第1の電荷輸送性ポリマーと異なる電荷輸送能を有する第2の電荷輸送性ポリマーとを含み、
    前記第1の電荷輸送性ポリマー及び第2の電荷輸送性ポリマーが、それぞれ独立して、2価の構造単位又は3価以上の構造単位として、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を含み、
    前記第1の重合性官能基が共役ジエン含有基であり、前記第2の重合性官能基がジエノフィル含有基であり、互いに結合を形成し得る、方法。
  2. 前記共役ジエン含有基が、フラン-1イル基である、請求項1に記載の方法
  3. 前記ジエノフィル含有基が、スチレン基である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第1の電荷輸送性ポリマー及び前記第2の電荷輸送性ポリマーが、それぞれ3方向以上に分岐する構造を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法
  5. 前記第1の電荷輸送性ポリマー及び第2の電荷輸送性ポリマーの組合せにおいて、置換又は非置換の、芳香族アミン構造とカルバゾール構造との組合せを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記電荷輸送性材料が、正孔注入性材料又は正孔輸送性材料として使用される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記電荷輸送層が、前記電荷輸送性材料と、溶媒とを含むインク組成物を用いて形成される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  8. 2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料、又は前記電荷輸送性材料と、溶媒とを含むインク組成物を用いて形成された電荷輸送層を含み、
    前記2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーが、末端に少なくとも1つの第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと、末端に少なくとも1つの第2の重合性官能基を有し、かつ前記第1の電荷輸送性ポリマーと異なる電荷輸送能を有する第2の電荷輸送性ポリマーとを含み、
    前記第1の電荷輸送性及び第2の電荷輸送性ポリマーが、それぞれ独立して、2価の構造単位又は3価以上の構造単位として、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を含み、
    前記第1の重合性官能基が共役ジエン含有基であり、前記第2の重合性官能基がジエノフィル含有基であり、互いに結合を形成し得る、有機エレクトロニクス素子。
  9. 2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーを含有する電荷輸送性材料、又は前記電荷輸送性材料と、溶媒とを含むインク組成物を用いて形成された電荷輸送層を含み、
    前記2種以上の重合可能な電荷輸送性ポリマーが、末端に少なくとも1つの第1の重合性官能基を有する第1の電荷輸送性ポリマーと、末端に少なくとも1つの第2の重合性官能基を有し、かつ前記第1の電荷輸送性ポリマーと異なる電荷輸送能を有する第2の電荷輸送性ポリマーとを含み、
    前記第1の電荷輸送性及び第2の電荷輸送性ポリマーが、それぞれ独立して、2価の構造単位又は3価以上の構造単位として、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ベンゼン構造、及びフルオレン構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を含み、
    前記第1の重合性官能基が共役ジエン含有基であり、前記第2の重合性官能基がジエノフィル含有基であり、互いに結合を形成し得る、有機エレクトロルミネセンス素子。
  10. フレキシブル基板をさらに有する、請求項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  11. 前記フレキシブル基板が樹脂フィルムを含む、請求項10に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  12. 請求項9~11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
  13. 請求項9~11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
  14. 請求項13に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置。
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