JP7072229B2 - 過カルボン酸濃度判定具、及びその調製に使用する指示薬溶液 - Google Patents

過カルボン酸濃度判定具、及びその調製に使用する指示薬溶液 Download PDF

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Description

本発明は被験試料の過カルボン酸濃度の判定に使用される用具、及びその調製に使用する指示薬溶液に関する。詳細には、本発明は化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の有効成分である過カルボン酸の濃度を簡便且つ鋭敏に判定するために使用される用具(以下、これを単に「PCAC-判定具」(PCAC-determining device)とも称する。ここで「PCAC」はPercarboxylic acid concentrationの略称である。)、及びその調製に使用する指示薬溶液に関する。
また本発明は当該PCAC-判定具の用途に関する。詳細には、本発明は化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液が滅菌または殺菌消毒に有効量の過カルボン酸を含んでいるか否かをPCAC-判定具を用いて判定する方法に関する。
カルボン酸の過酸化物である過カルボン酸は、ウイルス、細菌、及び真菌のみならず、抵抗性の強い抗酸菌及び細菌芽胞までをも殺菌する、広い殺菌スペクトルを持つ。なかでも過酢酸は、分解生成物が酢酸と水であることから、高い安全性が求められる食品及び医療分野などにおいて広く使用される化学滅菌剤または殺菌消毒剤の有効成分である。特に食品分野では、過酢酸は例えば飲料充填工場においてPETボトルや紙製容器への無菌充填のために使用されている。また、医療分野では液体化学滅菌剤または殺菌消毒剤として、再利用される内視鏡などの医療器具、機器または装置の消毒を目的として使用されている。
過酢酸は、一般的に酢酸と過酸化水素との平衡混合物の状態で提供され、用時、水で希釈して所定の濃度にして使用される。このとき殺菌能を有効に発揮するために、適切な濃度に調整することが必要となる。かかる適切濃度を管理する手法として、電気化学的センサーを用いて測定する手法がある。特に食品工場では過酢酸溶液を大量に連続的に使用するので、このようなセンサーをインラインで導入することにより、人による操作を必要とせず、過酢酸溶液を適切な濃度に調製し管理することができるようになる。しかし、導入コストが高く、設置場所以外で使用することができない。
一方、医療分野で使用される殺菌消毒剤は、過酢酸に緩衝化剤や安定化剤を組み合わせたものが多く、また消毒する対象物である医療器具に付着した血液等の有機物が混入することから、それらの妨害によって電気化学的センサーでは正確な過酢酸濃度を判定することができない。その一方で、医療分野では殺菌消毒剤を再利用(繰り返し使用)することが多いため、使用時に殺菌能を発揮する有効濃度(有効殺菌濃度)であることを確認する必要性は高い。ちなみに過酢酸の場合、現在日本では2000ppm[0.20質量%]以上で使用することが決められている。特に、過酢酸は温度または紫外線の影響、並びに水または有機物等の混入により過酢酸濃度の低下が促進され、時には数分間で濃度低下が生じるため、約100ppm(0.01質量%)~200ppm(0.02質量%)の差が確認できる程度の感度(精度)の高さが要求される。また医療現場では、医療従事者が定期的に殺菌消毒剤の有効性を確認することが多いため、ルーチンワークとして簡便にその作業が行えることも求められる。
自動で電気化学的に滴定操作を行い、過酢酸の濃度を測定する装置として、「過酢酸カウンタ PA-300」(平沼産業株式会社、日本)、及び「過酢酸・過酸化水素分析計」(理工協産株式会社、日本)が販売されている。これらは、試薬や採取量を変更することにより幅広い過酢酸濃度を定量することができる。しかしながら、高価な装置の導入または複数の試薬を用いた作業を必要とするという問題がある。
より簡便に取り扱うことができるのは、パックテスト(登録商標)(共立理化学研究所株式会社、日本)のような液体判定型キット、またはアセサイド(登録商標)チェッカー(サラヤ株式会社、日本)のような測定対象の殺菌消毒液に浸漬して、浸漬前後の色変化を確認する試験紙である(非特許文献1)。この試験紙は、過酢酸などの有機カルボン酸の過酸化物(以下、単に「過カルボン酸」とも称する)とヨウ化物イオンとでんぷんが反応して青色化合物を発生するヨウ素-でんぷん反応を利用した試験紙である。これらはコストが低く、必要時にその場で短時間に、殺菌消毒液中の過酢酸が有効殺菌濃度以上であるか否かの判定(定性判定)をすることができ、またカラースケールの色と比較することで半定量的に過酢酸の濃度が判定できるという利点がある。しかしながら、その判断は人の目視によって行うため、試験紙の提示結果(色)とカラースケールとの比較に際して判断のばらつきがでることは避けられず、高い測定精度を求めることは容易でない。
こうした過酢酸濃度判定試験紙に関する先行技術として、例えば、特許文献1には、過酢酸を含む過カルボン酸溶液の濃度判定用具としてヨーダイドと色原体を含む指示薬溶液をろ紙に含ませた試験紙が記載されており、これを過酢酸を含む殺菌消毒液に浸漬することで生じた黄色から黄褐色への色の変化を指標として殺菌消毒液中の過酢酸濃度を判定することが記載されている。また特許文献2には、ヨウ化物、緩衝液、水溶性ポリマー(好ましくはセルロース系ポリマーを視認性のよい発色剤として用いる)を含む溶液を試験紙作製に用いることが記載されている。これらの特許による試験紙は連続的な色変化をもたらすため、試験紙の呈色の濃さと過酢酸の濃度の相関を示す色見本が必要である。識別できる濃度差は500ppm(0.05質量%)である。幅広い濃度範囲にわたって判定できる一方で、中間色を呈しながら色が変化するため、所望の過酢酸濃度をはっきりと鋭敏に見積もることはできない。
また過酢酸濃度判定試験紙に関する先行技術として特許文献3を挙げることができる。当該試験紙はヨウ化カリウム、チオ硫酸イオン、でんぷん及び水を含む指示薬溶液(但し、ヨウ化カリウムとチオ硫酸イオンの質量比が0.7~0.3)をろ紙に含浸し乾燥することによって調製したものである。この試験紙は、過酢酸等の過カルボン酸を含む殺菌消毒剤に浸漬することで、当該過カルボン酸に試験紙のヨウ化物イオンが反応して発生したヨウ素がでんぷんと結合することにより(ヨウ素-でんぷん反応)、青から濃紫色に発色することを利用したものである。この試験紙によると27mM以上の過カルボン酸を対象として、実施例には27mMと40mMの過酸化物濃度の判定が可能であることが示されている。これらの濃度はそれぞれ過酢酸濃度2000ppm(0.2質量%)および3000ppm(0.3質量%)に相当し、1000ppm(0.1質量%)の過酢酸の濃度差が判定できる。数十秒以上の反応領域の色安定性を保つことができることをメリットとするが、試験紙の判定時の色は茶色、青色、及び濃紫色が混在し、色味が複数あるため、判定のばらつきを生じやすい。この点からも100ppm(0.01質量%)~200ppm(0.02質量%)の過酢酸の濃度差を判定することは難しい。
院内感染を防止するために医療器具等の殺菌消毒管理は適切且つ厳格に行われることが必要である。特に過酢酸等の過カルボン酸の有効成分の濃度が実際は有効量より低いにも関わらす、陽性(有効濃度以上)と判定されてしまった場合、不十分な殺菌効果となるリスクが高いため、上記殺菌消毒剤の実用液中の過酢酸濃度の判定は極めて重要である。一方で、その判定は、医療従事者が日常業務の中でルーチンワークとして実施できるように、簡便な作業であって、また誤差(疑陰性/疑陽性)が少なく精度が高いことが求められる。しかも好ましくは高価で煩雑な装置を使用することなく目視で実施できることが望まれる。
米国特許4,900,682号公報 米国特許5,906,916号公報 特開2008-14685号公報
サラヤ株式会社 アセサイド6%消毒液製品情報(53-0115-00-4PDF)http://med.saraya.com/products/acecide/(サラヤ株式会社の医療従事者向けサイト「Medical SARAYA」)
本発明は、上記の問題を解消するために開発されたものである。本発明は、過酢酸などの過カルボン酸を有効成分として含む化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液(以下、これらをまとめて「消毒用水溶液」と総称する場合がある)について、それに含まれる過カルボン酸濃度が化学的滅菌、殺菌または消毒に有効な濃度(有効殺菌濃度)以上であるか否かを判定するために使用される用具(PCAC-判定具)、及びそれを作製するために使用される指示薬溶液を提供することを課題とする。特に本発明は、上記消毒用水溶液が、有効殺菌濃度の過カルボン酸を含んでいるか否かを簡便、且つ精度高く、誤判定のリスク低く判定することができる用具(PCAC-判定具)、及びそれを作製するための指示薬溶液を提供することを課題とする。
さらに本発明は、当該PCAC-判定具を用いて、消毒用水溶液が化学的滅菌、殺菌または消毒に有効な濃度で過カルボン酸を含んでいるか否かを判定するための方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、PCAC-判定具の判定部位に含浸させる指示薬溶液を、溶媒として従来から使用されている水に加えて低級アルコール等の水相溶性の有機溶剤を併用して調製することで、PCAC-判定具の判定部位における過カルボン酸に対する発色が鋭敏となり鮮明度が向上することを見出した。具体的には、溶媒として水だけを使用していた従来の指示薬溶液では、これを判定部位に含浸させて乾燥保持させた場合に過カルボン酸と反応して生じる発色は青味のある黒色(濃青~濃紫)であり、過カルボン酸濃度が有効殺菌濃度未満である場合に生じる色むら(白斑化)が分かりにくい(不鮮明)という問題があった。これに対して、溶媒として水と低級アルコール等の水相溶性の有機溶剤とを併用した指示薬溶液によれば、青味のない黒色(真っ黒)に発色させることができ、白色とのコントラストが明確になることで、前記色むら(白斑化)の発生を鮮明に精度高く(誤認なく)認識することができることを見出した。
本発明は係る知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有する。
(I)PCAC-判定具作製用の指示薬溶液
(I-1)デンプン、ヨウ化物、チオ硫酸塩、水相溶性の有機溶剤、及び水を含む指示薬溶液であって、
当該指示薬溶液100質量%あたりの前記デンプン、ヨウ化物、チオ硫酸塩、及び水相溶性の有機溶剤の割合が下記である、指示薬溶液:
(a)デンプン:0.01~5質量%、
(b)ヨウ化物:0.01~5質量%、
(c)チオ硫酸塩:0.01~10質量%、
(d)水相溶性の有機溶剤:0.1~40質量%、
ここで、上記(a)+(b)+(c)の総量は0.6質量%より多い。
(I-2)(d)水相溶性の有機溶剤が炭素数1~6の低級アルコール、多価アルコール、アセトン、及びアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、及びアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種である、(I-1)に記載する指示薬溶液。
(I-3)前記(d)水相溶性の有機溶剤が炭素数1~6の低級アルコールであって、指示薬溶液100質量%あたりの当該有機溶剤の割合が0.5質量%以上である、(I-1)に記載する指示薬溶液。
(I-4)上記ヨウ化物がヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、及びヨウ化アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはヨウ化カリウムである(I-1)~(I-3)のいずれかに記載する指示薬溶液。
(I-5)上記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、及びこれらの水和物からなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはチオ硫酸ナトリウム五水和物である(I-1)~(I-4)のいずれかに記載する指示薬溶液。
(I-6)過カルボン酸を含む化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液について、当該過カルボン酸の濃度が化学的滅菌または殺菌消毒に有効な濃度であるか否かの判定に使用するための用具(PCAC-判定具)を作製するために使用される、(I-1)~(I-5)のいずれかに記載する指示薬溶液。
(I-7)前記PCAC-判定具が、
化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度を判定する部位(判定部位)を有するものであって、
当該判定部位に(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩が、総量(乾燥重量)で0.24mg/cmより多く含まれてなるものである((a)+(b)+(c)>0.24mg/cm2)、(I-6)に記載する指示薬溶液。
(I-8)前記PCAC-判定具が下記特徴を有するものである(I-7)に記載する指示薬溶液:
[数1]
(4)A/B<2.5
A/C<2.0
A:測定対象の化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
B:PCAC-判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm2
C:PCAC-判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm2)。
(I-9)上記PCAC-判定具が対象とする過カルボン酸が炭素数1~8の有機カルボン酸の過酸化物である(I-6)~(I-8)に記載する指示薬溶液。
(II)PCAC-判定具
(II-1)少なくとも過カルボン酸濃度を判定する部位(判定部位)を有し、当該判定部位を構成する部材には(I-1)乃至(I-9)のいずれかに記載する指示薬溶液が乾燥した状態で含まれてなるPCAC-判定具。
(II-2)下記(1)~(3)の特徴を有するものである、(II-1)に記載するPCAC-判定具:
(1)過カルボン酸を含む化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度が滅菌または殺菌消毒に有効濃度であるか否かを判定するための用具であり、
(2)少なくとも化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度を判定する部位(判定部位)を有し、
(3)当該判定部位を構成する部材には(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩が、乾燥重量として総量で0.24mg/cmより多く含まれている。
(II-3)さらに下記(4)の特徴を有する、(II-2)に記載するPCAC-判定具:
[数2]
(4)A/B<2.5
A/C<2.0
A:測定対象の化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
B:PCAC-判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm
C:PCAC-判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm)。
(II-4)上記化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液が過カルボン酸を0.01~1質量%、好ましくは0.03~0.5質量%、より好ましくは0.05~0.4質量%の割合で含有する水溶液である、(II-2)または(II-3)に記載するPCAC-判定具。
(II-5)判定対象とする上記過カルボン酸が、炭素数1~8の有機カルボン酸の過酸化物である(II-1)~(II-4)のいずれかに記載するPCAC-判定具。
(III)PCAC-判定キット
(III-1)(II-1)乃至(II-5)のいずれかに記載するPCAC-判定具を含む、PCAC-判定キットであって、被験試料の過カルボン酸濃度を判定するために使用されるキット。
(IV)PCAC-判定具の製造方法
(IV-1)(II-1)乃至(II-5)のいずれかに記載するPCAC-判定具の製造方法であって、
(i)化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度を判定する部位(判定部位)を構成する部材に、(I-1)乃至(I-9)のいずれかに記載する指示薬溶液を含浸させる工程、及び(ii)当該部材を乾燥する工程
を有する製造方法。
(IV-2)前記含浸工程が、判定部位を構成する部材に(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩が、乾燥重量として総量で0.24mg/cmより多く含まれるように、指示薬溶液を含浸する工程である(IV-1)に記載する製造方法。
(IV-3)下記の特徴を有する、PCAC-判定具を製造する方法である(IV-2)に記載する製造方法:
[数3]
A/B<2.5
A/C<2.0
A:測定対象の化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
B:PCAC-判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm
C:PCAC-判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm)。
(V)被験試料の過カルボン酸濃度の判定方法
(V-1)過カルボン酸を有効成分として含む化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液における当該過カルボン酸の濃度が化学的滅菌または殺菌消毒に有効な濃度であるか否かを判定する方法であって、下記工程を有する方法:
(II-1)乃至(II-5)のいずれかに記載する過カルボン酸濃度判定具の判定部位に、化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液を接触させ、当該判定部位を発色させる工程。
(V-2)過カルボン酸を有効成分として含む化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液について、その過カルボン酸の濃度が滅菌または殺菌消毒に有効な濃度であるか否かを判定する方法であって、下記(1)~(3)の工程を有する方法:
(1)化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液に(II-1)乃至(II-5)のいずれかに記載するPCAC-判定具の少なくとも判定部位を浸漬する工程、
(2)当該判定部位の発色を観察する工程、
(3)判定部位の発色の状態を指標として、化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度が滅菌または殺菌消毒のために有効であるか、または有効でないと決定する工程。
本発明の指示薬溶液を用いて作製されたPCAC-判定具によれば、化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液(消毒用水溶液)に含まれる有効殺菌濃度以上の過カルボン酸と反応することで鮮明な黒色を呈する。一方、有効殺菌濃度未満の過カルボン酸との反応では、前記反応が十分起こらず(反応不良)、白色化するか、または反応により生じた黒色の中に白斑が混じる現象(白班化)が生じる。生じた白斑は、黒色をバックとして、白黒のコントラストにより色むらとして、明確且つ鋭敏に識別することができる。このため、本発明のPCAC-判定具によれば、過カルボン酸を含む消毒用水溶液が、化学的滅菌または殺菌消毒に有効な濃度の過カルボン酸を含んでいるか否かを、目視により簡便に且つ正確に判定することが可能である。
実験例8において、試験紙の判定部位を構成するろ紙に、波長400~700nmの光を照射したときの反射率%を測定した結果を示す。 実験例8において、試験紙の判定部位に、実施例36の指示薬溶液を含浸乾燥させた後、当該部位に波長400~700nmの光を照射したときの反射率%を測定した結果を示す。 実験例8において、試験紙の判定部位に、比較例12の指示薬溶液を含浸乾燥させた後、当該部位に波長400~700nmの光を照射したときの反射率%を測定した結果を示す。 実験例8において、試験紙の判定部位に、比較例13の指示薬溶液を含浸乾燥させた後、当該部位に波長400~700nmの光を照射したときの反射率%を測定した結果を示す。
(I)PCAC-判定具作製用の指示薬溶液
本発明の指示薬溶液は、デンプン、ヨウ化物、チオ硫酸塩、水相溶性の有機溶剤、及び水を含み、後述する本発明のPCAC-判定具の作製に使用される指示薬溶液である。本明細書において、単に「指示薬溶液」とも称する。
なお、本発明のPCAC-判定具は、ヨウ素-デンプン反応を利用して被験試料中に含まれる過カルボン酸濃度を判定するために使用される補助具である。
ここでヨウ素-デンプン反応は、一般に、ヨウ素とデンプンが複合体を形成し発色する反応をいう。ヨウ化カリウム等のヨウ化物とデンプンの存在下で、過カルボン酸などの過酸が存在すると、その酸化作用により、ヨウ化物イオンがヨウ素になり、当該ヨウ素がデンプンと反応することにより呈色する。このため、その呈色の有無やその程度に基づいて過カルボン酸等の過酸の存否やその濃度の判定に使用することができる。すなわち、ヨウ素-デンプン反応は、過カルボン酸を有効成分として含む消毒用水溶液に過カルボン酸が有効殺菌濃度含まれているか否かの判定に使用することができる。具体的には、過カルボン酸の有効殺菌濃度と無効殺菌濃度との境になる最低有効殺菌濃度を臨界点(閾値)として、閾値以上の濃度(有効殺菌濃度)でのヨウ素-デンプン反応と閾値未満の濃度(無効殺菌濃度)でのヨウ素-デンプン反応との間で、呈色の程度や状態に差異がでるように、反応系のヨウ化物及びデンプンの濃度、またはそれに加えてその他の成分の濃度を設定することによって、消毒用水溶液中の過カルボン酸の濃度が、有効殺菌濃度であるか否かの判定に用いることができるようになる。
ヨウ素-デンプン反応により生じる色は一般的には青紫色である。しかし、本発明の指示薬溶液は、ヨウ化物とデンプンを含む指示薬が、水に加えて水相溶性の有機溶剤を含む溶媒で溶解されてなることを特徴とする。このため、ヨウ素-デンプン反応により生じる色が青紫色ではなく、黒色になる。黒色は、従来の青紫色と比較して色の濃淡(明暗)の差異(未反応の呈色[白色]とのコントラスト)が明瞭に判別できる色である。このため、消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の濃度が化学的滅菌または殺菌消毒のための有効濃度であるか否かの別を鋭敏に判別することが可能である。
以下に、かかるヨウ素-デンプン反応のための指示薬溶液の各成分について説明する。
(a)デンプン
デンプンは、一般にα-1,4結合でグルコースが結合された直鎖のアミロース0~30%、およびα-1,6結合を介した分枝成分を有するアミロペクチン70~100%から構成される。本発明で使用されるデンプンは、制限されないものの、好ましくは水に可溶化しやすい水溶性のデンプンである。なお、ここで可溶化は、水を加温しながら溶解する場合も含まれる。この限りにおいてデンプンの由来は特に制限されず、由来としては、トウモロコシ、馬鈴薯、サツマイモ、キャッサバ、コムギ、及びウルチゴメ等を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはトウモロコシデンプン、または馬鈴薯デンプンである。また、こうした普通のデンプンに加えて、普通のデンプンを酸処理し、水に可溶化し、更に溶液の粘度を低下させたデンプンを使用することもできる。かかるデンプンは可溶性デンプンまたは溶性デンプンとして商業的に入手することができる。可溶性デンプンまたは溶性デンプンは、水に溶けやすいことから、本発明においても好適に使用することができるデンプンである。
指示薬溶液100質量%に含まれるデンプンの割合は、制限されないものの、0.01質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.23質量%以上を挙げることができる。その上限は、制限されないものの、5質量%以下を挙げることができ、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.36質量%以下である。
(b)ヨウ化物
ヨウ化物は、指示薬溶液中でヨウ素イオンを生じるものであればよく、通常、ヨウ化カリウム、及びヨウ化ナトリウム等のヨウ素のアルカリ金属塩、並びにヨウ化アンモニウム等のヨウ素のアンモニウム塩を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはヨウ化カリウムである。ヨウ化カリウムをはじめとするこれらのヨウ化物は、試薬または製造用として市販されているものであればよく、特に制限されない。
指示薬溶液100質量%に含まれるヨウ化物の割合は、制限されないものの、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.13質量%以上を挙げることができる。その上限は、制限されないものの、5質量%以下を挙げることができ、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.96質量%以下である。
(c)チオ硫酸塩
チオ硫酸塩は、指示薬溶液中でチオ硫酸イオンを生じるものであればよく、通常、チオ硫酸カリウムおよびチオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸のアルカリ金属塩、並びにチオ硫酸アンモニウム等のチオ硫酸のアンモニウム塩を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくはチオ硫酸ナトリウム、及びチオ硫酸アンモニウムである。これらは水和物の形態を有するものであってもよい。チオ硫酸ナトリウム等をはじめとするこれらのチオ硫酸塩は、試薬または製造用として市販されているものであればよく、特に制限されない。
指示薬溶液100質量%に含まれるチオ硫酸塩の割合は、制限されないものの、0.01質量%以上、好ましくは0.25質量%以上を挙げることができる。その上限は、制限されないものの、10質量%以下を挙げることができ、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは5.57質量%以下である。
(d)水相溶性の有機溶剤
水相溶性の有機溶剤は、水と混和性のある有機溶剤を意味する。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、及びt-ブチルアルコール等の炭素数1~4の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルアミン等を挙げることができる。好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、及びアセトニトリルを挙げることができる。より好ましくはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、及びアセトニトリルである。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。組み合わせる態様としては、制限されないものの、グリセリンと他の有機溶剤との併用、アセトンと他の有機溶剤との併用、アセトニトリルと他の有機溶剤との併用を好適に例示することができる。ここで他の有機溶剤としては、制限されないものの、好適にはエタノールを例示することができる。後述するように、このように2種以上の有機溶剤を併用することで、より少ない量で本発明の効果を奏することが可能になる。これらは試薬または製造用として市販されているものであればよく、特に制限されない。
指示薬溶液100質量%に含まれる水相溶性有機溶剤の割合は、本発明の効果を奏することを限度として制限されず、0.1~40質量%の範囲から使用する有機溶剤の種類に応じて、適宜設定することができる。
例えば水相溶性有機溶剤としてエタノールを使用する場合、指示薬溶液100質量%に含まれるエタノールの割合は、制限されないものの、単独で使用する場合、0.4質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上を挙げることができる。その上限は、制限されないものの、40質量%以下、好ましくは30質量%または29.2質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。なお、前述するように、他の有機溶剤と併用する場合は上記配合量よりも少量で配合することができ、その配合量の下限値として、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上を挙げることができる。
例えば水相溶性有機溶剤としてイソプロパノールを使用する場合もエタノールと同様であり、指示薬溶液100質量%に含まれるイソプロパノールの割合は、制限されないものの、単独で使用する場合、0.4質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上を挙げることができる。その上限は、制限されないものの、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。他の有機溶剤と併用する場合は上記配合量よりも少量で配合することができ、その配合量の下限値として、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上を挙げることができる。
例えば水相溶性有機溶剤としてグリセリンを使用する場合、指示薬溶液100質量%に含まれるグリセリンの割合は、制限されないものの、0.1質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%または1質量%以上を挙げることができる。その上限は制限されないものの、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
例えば水相溶性有機溶剤としてアセトンを使用する場合、指示薬溶液100質量%に含まれるアセトンの割合は、制限されないものの、0.1質量%以上、好ましくは0.2また0.4質量%以上、より好ましくは1質量%以上を挙げることができる。その上限は制限されないものの、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
なお、後述する実施例32(アセトンとグリセリンとの併用)、33(メタノールとプロピレングリコールとアセトニトリルとの併用)、34(エタノールとアセトンとの併用)、及び35(エタノールとアセトニトリルとの併用)に示すように、2種以上の水相溶性有機溶剤を併用することで各々の配合量を低く抑えながらも本発明の効果を得ることができるようになる。こうした水相溶性有機溶剤の併用による本発明効果の増強は、上記組み合わせに限定されるものではなく、その他の水相溶性有機溶剤についてもいえることである。
(e)水及びその他の成分
本発明の指示薬溶液は、上記(a)~(d)に加えて水を含有する。当該水は、ヨウ素-デンプン反応に影響を与えないものであればよく、この限りにおいて、例えば、精製水、イオン交換水、蒸留水などを制限なく使用することができる。当該水は、上記(a)~(d)の成分が上記の割合で配合されるべく調整水としても使用されるため、その量は特に制限されるものではないが、通常60~99質量%の範囲で適宜設定することができる。
本発明の指示薬溶液には、さらにイオン濃度調節などのための塩化カリウム、微生物による変質を防止するための防菌剤などを添加することもできる。
(f)指示薬溶液の調製
本発明の指示薬溶液は、前述する(a)~(e)成分を、上記に記載する割合で混合することで製造することができる。具体的には、(d)水相溶性の有機溶剤及び(e)水を溶媒として、これに上記(a)~(c)成分を均質に溶解することで調製することができる。なお、(a)のデンプンなど、冷温の水や有機溶剤に溶解しにくい成分は、予め加温した水に溶解し、その後に有機溶剤と混合して調製してもよい。
ここで配合する(a)~(d)の割合は前述の通りであるが、さらに上記(a)成分と(b)成分と(c)成分の総量が、指示薬溶液100質量%中0.6質量%よりも多いことが好ましい。好ましくはこれらの総量が0.7質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。その上限としては、20質量%を挙げることができ、好ましくは15質量%以下である。またこれらの成分のうち、(b)ヨウ化物及び(c)チオ硫酸塩の量については、さらに判定対象とする消毒用水溶液における過カルボン酸の有効殺菌濃度の閾値(消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸が滅菌、殺菌または消毒効果を発揮する有効濃度の臨界点)との関係で、下式に従って設定することが好ましい。詳細は下記(II)において説明する。
[数4]
A/B<2.5
A/C<2.0
A:測定対象の消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
B:PCAC-判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm2
C:PCAC-判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm2)。
なお、ここで「PCAC-判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm2)」または「PCAC-判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm2)」とは、指示薬溶液を含浸させて乾燥させて作製したPCAC-判定具の判定部位に含まれる溶質(ヨウ化物イオン、またはチオ硫酸イオン)の乾燥質量(mg)を判定部位の面積(cm2)で除して得られる、判定部位単位面積あたりの溶質量(mg/cm2)を意味する。
斯くして調製される本発明の指示薬溶液は、後述する本発明のPCAC-判定具の作製に使用される。具体的には、本発明の指示薬溶液は、PCAC-判定具の判定部位の部材に含浸させた後に乾燥させて、乾燥した状態で使用される。当該PCAC-判定具の判定部位において、被験試料中の過カルボン酸存在下でのヨウ素-デンプン反応によって生じる呈色の程度や状態を指標として、当該被験試料中に含まれる過カルボン酸の濃度を判定することから、当該判定部に含浸させる指示薬溶液には全成分が均質に溶解していることが必要である。
本発明が測定の対象とする過カルボン酸については下記にて説明する。
(II)過カルボン酸濃度判定具(PCAC-判定具)、及びそれを含むキット
本発明が対象とするPCAC-判定具(以下、単に「デバイス(device)」とも称する)は、過カルボン酸を有効成分として含む消毒用水溶液について、その過カルボン酸の濃度が滅菌または殺菌消毒に有効な濃度(閾値以上)であるか否かを判定するために使用される用具である。
ここで閾値とは、消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸が滅菌、殺菌または消毒効果を発揮する有効濃度(有効殺菌濃度)と、当該効果を発揮しない無効濃度(無効殺菌濃度)との境界、つまり臨界点(最低有効殺菌濃度:質量%)を意味する。つまり、過カルボン酸濃度が当該閾値濃度以上の消毒用水溶液である場合、当該消毒用水溶液は滅菌、殺菌または消毒効果を有効に発揮する。一方、過カルボン酸濃度が当該閾値濃度未満の消毒用水溶液である場合、当該消毒用水溶液は所期の滅菌、殺菌または消毒効果を発揮することができない。かかる閾値は、消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の種類、滅菌、殺菌または消毒する対象の被験試料の種類や用途、並びに殺菌する微生物の種類によって相違し、これらに応じて適宜設定することができる。かかる過カルボン酸の閾値(最低有効殺菌濃度)は、例えば0.01~1質量%の範囲で設定することができる。好ましくは0.03~0.5質量%、より好ましくは0.05~0.4質量%の範囲である。設定した閾値以上の濃度で過カルボン酸を含む消毒用水溶液は、有効殺菌濃度の過カルボン酸を含有し、所期の滅菌、殺菌または消毒効果を発揮することを意味する。
かかるデバイスとしては、少なくとも上記判定が可能な部位(判定部位)を含む基材を有するものであればよい。当該判定部位は、前述する本発明の指示薬溶液を含浸させた後、乾燥させることで、指示薬溶液の少なくとも(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩を乾燥状態で保有(担持若しくは保持)することができる部材から構成することができる。本発明のデバイスにおいて、(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩を乾燥状態で保有(担持若しくは保持)した部材からなる判定部位は、過カルボン酸を含有する測定対象の消毒用水溶液に浸漬して用いられる。当該判定部位は、消毒用水溶液に浸漬されると、消毒用水溶液中の過カルボン酸と接してヨウ素-デンプン反応によって所定の色を呈する。このことから、当該判定部位は、本発明のデバイスにおける過カルボン酸濃度の「判定部位」であるとともに、ヨウ素-デンプン反応の「反応部位(反応領域)」でもある。この意味で「反応・判定部位」ということもできる。このため、本明細書において使用する「判定部位」という用語には「反応・判定部位」の意味が含まれるものとする。
本発明のデバイスは、少なくとも上記部材から構成される判定部位を有するものであればよく、その形状は特に問わないが、簡単には短冊状、またはスティック状の試験紙(test strip)の形態を有するものであってもよい。当該試験紙は、使用前は容器に収納されていてもよい。また、容器収納時は、ロール状もしくはジャバラ状に折りたたまれた状態であってもよい。
当該部材の材質(素材)としては、前述する指示薬溶液を含浸し、また乾燥させた後に少なくとも(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩を保有(担持若しくは保持)できるものであればよく、制限されないものの、例えば紙、不織布、多孔性ポリマーシートなどを用いることができる。紙は吸水性のよいものが好ましく、制限はされないものの、例えば定量分析用ろ紙No.5C(アドバンテック東洋)を挙げることができる。不織布としてはフィルター等に用いられている材料を使用することができ、制限はされないものの、例としてはポリプロピレン不織布のスプリトップSP(日本不織布株式会社)を挙げることができる。多孔性ポリマーシートの例としては、制限はされないものの、ろ過用に市販されているセルロース縮合エステルメンブレンフィルター(メルクミリポア)を挙げることができる。
本発明のデバイスにおいて、上記部材からなる判定部位の大きさとしては、制限されないものの、例えば短冊またはスティック状のデバイスであって、後述するような持手部の先端に判定部位が配置されてなるようなデバイスである場合、厚さ0.01mm~1mm、長さ2mm~20mm、幅2mm~20mm程度の大きさを例示することができる。
当該判定部位には、前述するように本発明の指示薬溶液を含浸させた後に乾燥することで、当該指示薬溶液の少なくとも(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩が乾燥した状態で含まれている。なお、判定部位における(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩の存在態様は、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されない。
判定部位の単位面積(1cm2)あたりの上記保有量としては、本発明の効果を奏する量であれば特に制限されない。当該部位が消毒用水溶液に含まれる閾値以上の濃度の過カルボン酸と反応して鮮明な黒色を呈するためには、判定部位の単位面積(1cm2)あたりの(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩の総量(乾燥重量)は0.24mg(0.24mg/cm2)より多い量であることが好ましい。好ましくは0.25mg/cm以上であり、より好ましくは0.28mg/cm以上、さら好ましくは0.30mg/cm以上である。その上限は特に制限されないものの8mg/cm以下、好ましくは5mg/cm以下を挙げることができる。
ここで判定部位の単位面積(1cm2)あたりの(b)ヨウ化物の量(乾燥重量)としては、制限されないものの、0.035mg/cm以上であり、好ましくは0.05mg/cm以上、より好ましく0.15mg/cm以上である。上限は、特に制限されないものの、1mg/cm以下、好ましくは0.85mg/cm以下を挙げることができる。また同様に、判定部位の単位面積(1cm2)あたりの(c)チオ硫酸塩の量は0.04mg/cm以上であり、好ましくは0.05mg/cm以上、より好ましく0.15mg/cm以上である。上限は特に制限されないものの、1.5mg/cm以下、好ましくは1mg/cm以下を挙げることができる。
本発明の指示薬溶液に含まれる(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩のうち、判定部位の単位面積(1cm2)あたりに含まれる(b)ヨウ化物の量は、測定対象とする消毒用水溶液の過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)を基準として、下式に従って設定することができる。
[数5]
A/B<2.5
A:測定対象の消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
B:PCAC-判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm2
当該A/Bは、上記値を満たすものであればよいが、好ましくは0.2~2.5未満、より好ましくは0.5~2.3、さらに好ましくは0.7~2.3の範囲になるように、判定部位に保持させる(b)ヨウ化物の量を調整することが望ましい。
同様に(c)チオ硫酸塩についても、反応・判定部位の単位面積(1cm2)あたりに含まれる(c)チオ硫酸塩の量は、測定対象とする消毒用水溶液の過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)を基準として、下式に従って設定することができる。
[数6]
A/C<2.0
A:測定対象の消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
C:PCAC-判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm2
当該A/Cは、上記値を満たすものであればよいが、好ましくは0.3~1.8、より好ましくは0.5~1.5、さらに好ましくは0.7~1.5の範囲になるように、判定部位に保有させる(c)チオ硫酸塩の量を調整することが望ましい。
さらに、本発明のデバイスは上記部位に加えて、さらに使用時の取り扱い性や利便性を上げるための部位を有していてもよい。本発明のデバイスは、後述するように、使用者(判定者)がそれを手にとり、上記判定部位に過カルボン酸を含む消毒用水溶液を含浸させた後に、当該部位における呈色をもとに目視によって過カルボン酸濃度が閾値以上であるか否か(有効殺菌濃度であるか否か)を判定するように使用される。このため、上記判定部位に加えて、使用者がデバイスを持つための持手部位を有することが好ましい。かかる持手部位は、判定部位と同じ素材からなる基材から形成されてもよいが、本発明の指示薬溶液を含浸させる必要がないので、異なる素材からなる基材から形成することができる。かかる基材として、制限はされないが、例えばプラスチック製のシートが挙げられる。その大きさは特に制限されないものの、本発明のデバイスが前述する例えば短冊状またはスティック状であって端部に上記判定部位が配置されてなるような場合、制限はされないものの、例えば、厚さ0.1mm~5mm、長さ50mm~100mm、幅2mm~20mm程度の大きさを例示することができる。
本発明のデバイスはキットの形態として提供することができる。キットとしては、例えば、上記本発明の指示薬溶液を乾燥状態で保有する判定部位を有する短冊状またはスティック状のデバイスが、複数部、気密性の容器に収容されてなる形態を挙げることができる。前述するように、当該デバイスは、ロール状または蛇腹状に折りたたまれた状態で容器に収容されていてもよく、この場合、用時に短冊状またはスティック状に切断して使用することができる。当該キットには本発明のデバイスの用法および/または消毒用水溶液の過カルボン酸濃度の判定方法やその基準(有効殺菌濃度と無効殺菌濃度の判定基準)を記載した取り扱い説明書が含まれていてもよい。
本発明のデバイスが対象とする過カルボン酸は、好ましくは下式で示される炭素数1~8の有機カルボン酸の過酸化物である。
Figure 0007072229000001
ここでRは、水素原子またはCH(CH(n=0~6)で示される基である。
過カルボン酸として具体的には、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、過ブタン酸、過ペンタン炭酸、過ヘキサン酸、過へプタン酸、過オクタン酸などのペルオキシカルボン酸を挙げることができる。好ましくは、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸である。より好ましくは、過酢酸である。
本発明のデバイスは、上記のような過カルボン酸を有効成分として含む消毒用水溶液に浸漬し、判定部位における呈色を観察することによって、該消毒用水溶液が化学滅菌または殺菌消毒に有効な濃度(閾値以上)の過カルボン酸を含むか否かを判定するための補助具として使用される。この場合、デバイスの判定部位が黒色を示した場合には、当該消毒用水溶液は化学滅菌または殺菌消毒に有効な濃度(閾値以上)の過カルボン酸を含んでいると判定(有効判定)することができ、一方、不完全な呈色(黒色にならないか、黒色になっても白っぽい点が発生するなど、発色にムラのある場合など)を示した場合は、当該消毒用水溶液は化学滅菌または殺菌消毒に有効な濃度の過カルボン酸を含んでおらず(閾値未満)、化学滅菌または殺菌消毒能力が無効であると判定(無効判定)することができる。
判定は、制限はされないものの、デバイスの判定部位を、常温の消毒用水溶液に浸漬し(浸漬工程)、その後、取り出し、吸水性のよいティッシュペーパーなどに横向きにたて、判定部の余分な液を取り除き(除液工程)、次いで判定部位の呈色の程度を目視により判定することで実施することができる。浸漬は、制限されないが、通常0.1~15秒間、好ましくは1~10秒間、より好ましくは2~5秒間程度行われる。除液は吸水紙等の上に横向きにたてた状態で通常1~10秒間、好ましくは1~5秒間、より好ましくは2~3秒間行われる。除液から判定まで、好ましくは1~60秒間、より好ましくは3~10秒間、発色が落ちつくまでおいたほうが望ましく、斯くして正確な判定を行うことができる。
本発明のデバイスにより有効濃度の判定が可能である消毒用水溶液は、前述するように滅菌または殺菌消毒成分として過カルボン酸を含むものである。本発明のデバイスが判定対象とする消毒用水溶液における過カルボン酸の濃度範囲としては、制限されないが0.01~1質量%(100~10000ppm)の範囲を挙げることができる。好ましくは0.03~0.5質量%(300~5000ppm)、より好ましくは0.05~0.4質量%(500~4000ppm)である。つまり、本発明の判定具は、当該濃度範囲で過カルボン酸を有効成分として含有する消毒用水溶液を対象として、それに含まれる過カルボン酸濃度が、具体的用途に応じて化学滅菌または殺菌消毒に有効な濃度(有効殺菌濃度)であるか否か、つまり閾値以上であるか否かを判定するために使用することができる。なお、消毒用水溶液には、化学滅菌または殺菌消毒の有効成分として過カルボン酸を含んでいればよいが、当該成分のほかに1又は2以上の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、腐食防止剤、可溶化剤、pH調整剤、金属封鎖剤、安定化剤、界面活性剤、及び再付着防止剤等が挙げられる。
なお、消毒用水溶液において過カルボン酸が化学滅菌または殺菌消毒作用を発揮する有効濃度(閾値以上)は過カルボン酸の種類により、また殺菌対象とする微生物等の種類によって異なるが、通常0.01mM以上である。好ましくは0.03mM以上である。当該有効濃度(閾値以上)は、殺菌対象とする微生物等の種類に応じて用いる過カルボン酸の濃度ごとに殺菌活性を測定し決定することもできる。例えば、過カルボン酸が過酢酸であり、対象とする微生物が一般細菌、真菌、ウイルス、抗酸菌、及び芽胞である場合、消毒用水溶液において当該過酢酸が化学滅菌または殺菌消毒作用を発揮する有効濃度(閾値以上)は、好ましくは0.01質量%(100ppm)以上、より好ましくは0.03質量%(300ppm)以上、特に好ましくは0.1質量%(1000ppm)以上である。
ここで制限されないが、一般細菌としては、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus hominis等のStaphylococcus属に属する細菌、Enterococcus faecalis、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Burkholderia cepacia、Serratia marcescens、Protis vulgaris、Klebsiella pneumoniae、Salmonella typhi、及びMRSA等を挙げることができる。これらの一般細菌に対して過酢酸が化学滅菌または殺菌消毒作用を発揮する有効濃度(閾値以上)は、好ましくは0.01質量%以上である。
真菌としても、制限はされないが、Aspergillus niger、Candida albicans、Filobasidiella neoformans、及びTrichophyton mentagrophytes等を挙げることができる。これらの真菌に対して過酢酸が化学滅菌または殺菌消毒作用を発揮する有効濃度(閾値以上)は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上である。
ウイルスとしても、制限はされないが、エンベロープを持つAdeno virus、Herpes Simplex virus、及びエンベロープを持たないNoro virus、Polio virus等を挙げることができる。これらのウイルスに対して過酢酸が化学滅菌または殺菌消毒作用を発揮する有効濃度(閾値以上)は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上である。
抗酸菌としても、制限はされないが、Mycobacterium tuberculosis、M. avium、M. intracellulare、M.terrae及びM. kansasii等を挙げることができる。これらの抗酸菌に対して過酢酸が化学滅菌または殺菌消毒作用を発揮する有効濃度(閾値以上)は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上である。
芽胞としても、制限はされないが、例えばBacillus subtilis(芽胞型)、Bacillus cereus(芽胞型)、Clostridium sporogenes(芽胞型)、Clostridium difficile(芽胞型)等を挙げることができる。これらの芽胞に対して過酢酸が化学滅菌または殺菌消毒作用を発揮する有効濃度(閾値以上)は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上である。
なお、下水等の消毒には、数質量%(数ppm)レベルの過カルボン酸濃度で使用される場合もある。このように0.01質量%(100ppm)より低い濃度で使用される場合は、有効な殺菌消毒効果を得るために、長時間の処理を行う必要がある。下水等の消毒に使用される過カルボン酸の割合としては、好ましくは0.001mM以上、より好ましくは0.01mMであり、過カルボン酸として過酢酸を使用する場合は、0.001質量%(10ppm)以上、好ましくは0.03質量%(300ppm)、さらに好ましくは0.1質量%(1000ppm)以上を挙げることができる。
なお、本明細書において用いられる「殺菌消毒」という用語には、「洗浄」、及び「抗菌」などの意味が含まれる。化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の用途は特に限定されず、液体(液状物)又は固体(固形物)の殺菌のほか、汚染された気相の殺菌に用いることができるが、好ましくは固体の滅菌または殺菌消毒のために使用される。内視鏡等の医療機器の場合、通常機器を消毒用水溶液に浸漬することによって、機器に消毒用水溶液を接触させることで滅菌または殺菌消毒が行われる。消毒用水溶液は繰り返し使用が可能であるが、複数回の使用や時間の経過によって、過カルボン酸濃度は低下していく。そのため、使用前に本発明のデバイスを用いて消毒用水溶液中の過カルボン酸濃度が化学滅菌または殺菌消毒に有効な濃度であるか否かを確認することにより、消毒用水溶液を有効且つ経済的に使用することが可能となる。
(III)過カルボン酸濃度の判定方法
過カルボン酸を化学滅菌または殺菌消毒の有効成分として含む消毒用水溶液について、当該過カルボン酸が滅菌または殺菌消毒に有効な濃度(閾値以上)であるか否かの判定は、例えば下記(1)及び(2)の工程に沿って行うことができる。
(1)消毒用水溶液に、本発明のデバイスの少なくとも判定部位を浸漬する工程、
(2)当該判定部位の発色を観察する工程。
さらに観察後、下記の決定工程を有することもできる。
(3)判定部位の発色の状態を指標として、消毒用水溶液における過カルボン酸濃度が滅菌または殺菌消毒のために有効であるか(閾値以上か)、または無効である(閾値未満)と決定する工程。
ここで、判定部位が、不完全な呈色(黒色にならないか、黒色になっても白っぽい点が発生するなど、発色にムラのある場合など)を示した場合は、当該消毒用水溶液は化学滅菌または殺菌消毒に有効な濃度(閾値以上)の過カルボン酸を含んでおらず、殺菌能力が無効と判断(無効判定)することができる。一方、判定部位が、その部位全体にわたり黒色を呈し、上記のような不完全な呈色を示さない場合には、当該消毒用水溶液は化学滅菌または殺菌消毒に有効な濃度の過カルボン酸を含んでいるとして殺菌能力が有効と判断(有効判定)することができる。
以下の実験例及び実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実験例及び実施例によって制限されるものではない。なお、特に言及しない限り、下記の実験例は、常圧(大気圧)及び常温(25±5℃)の条件で実施した。
実験例1
でんぷん0.78g、ヨウ化カリウム0.53g、チオ硫酸ナトリウム五水和物1.0gを精製水80gに溶解し、エタノール20gを加え、これを指示薬溶液とした。当該指示薬溶液中の各成分の配合割合(質量%)を表1に記載する。
Figure 0007072229000002
ろ紙(Whatman(登録商標)FilterPaper54)をこの指示薬溶液に浸漬し含浸させた後、乾燥し、これを2回繰り返して、ろ紙の単位面積(1cm2)あたりに含まれるでんぷん、ヨウ化カリウム、及びチオ硫酸ナトリウムの合計量(乾燥重量)が表1に記載するように0.89mg/cmになるように調製した。斯くして調製したろ紙を6mm×6mm角に切りとり、これを判定部位とし、80mm×6mmの矩形に切断したPETフィルムの先端に両面テープで固定した。これを試験紙(test strip)(実施例1)として、以下の実験を行った。
具体的には、この試験紙(実施例1)の判定部位を、別途調製した濃度既知(1900ppm、2100ppm)の過酢酸水溶液に3秒間浸漬し、次いで、試験紙の判定部位の端(ろ紙部の端)を吸水性のティッシュぺーパーの上にあてて(3秒以内)余分な過酢酸水溶液を除去して、その7秒後に当該判定部位の変色の様子を確認した(浸漬:3秒間、徐液:3秒間、徐液の7秒後(過酢酸水溶液から取り出し後10秒後)に判定)。被験者10名に目視で判定をしてもらった。判定部位が黒色に着色した場合を「○:陽性」とし、真っ白であるか、白っぽい点が1点でもある場合を「×:陰性」とした。結果を表2に示す。試験紙(実施例1)の判定部位は、過酢酸濃度2100ppmの過酢酸水溶液への浸漬により均一な黒色に変色し、被験者10名中10名が陽性(○)と判定した。これに対して、過酢酸濃度1900ppmの過酢酸水溶液への浸漬では、判定部位に黒色の中に明確に白いスポットが現れ、被験者10名中10名が陰性(×)と判定した。
一方、比較実験として、ヨウ素-でんぷん反応を用いた過酢酸製剤濃度判定用試験紙である市販品Aの試験紙(比較例1)を、上記と同じ各過酢酸濃度(1900ppm、2100ppm)の過酢酸水溶液に浸漬して、同様に10名の被験者に目視により判定してもらった。なお、市販品Aの試験紙は、所定濃度の過酢酸と反応すると、青紫色に着色することを特徴とする。市販品Aはもとから試験紙の判定部位の両端部分は反応しないことから、両端を除いた反応領域が濃青色に着色した場合を「○:陽性」とし、濃青色の中に白色の部分が現れた場合を「×:陰性」とした。結果を表2に併せて示す。
Figure 0007072229000003
被験者10名から、市販品A(比較例1)は、反応後に現れる濃青色の中の白色部分が分かりづらく、判定に迷ったという意見がだされた。事実、表2に示すように、被験者の半数に相当する5名が市販品A(比較例1)では、2100ppm濃度の過酢酸水溶液と1900ppm濃度の過酢酸水溶液とを判別することができなかった。
一般にヨウ素-でんぷん反応は、でんぷんの立体構造中にヨウ素分子が入り込んで青紫色に呈色する反応である。しかし、試験紙として実施例1を使用すると、青味は認められず、判定部位がはっきりした黒色に着色した。その結果、黒と白とのコントラストがはっきりし、反応が不十分な場合は黒色の中に生じる白斑部がより鮮明に示されるため、陽性と陰性(有効と無効)の別がより分かりやすく、精度の高い判定ができることが確認された。
実験例2
実験例1で調製した指示薬溶液とはエタノール濃度が異なる指示薬溶液(実施例2~4、比較例2)を調製した。表3(A)にその組成を示す。これらの指示薬溶液を用いて、実験例1と同様にして判定部位を有する試験紙を作製した。また実験例1と同様にして、その試験紙の判定部位を各種濃度の過酢酸水溶液に浸漬して発色を確認した。結果を表3(B)に示す。
Figure 0007072229000004
表3(B)に示すように、エタノールを約20.6質量%の割合で含む指示薬溶液で調製した試験紙(実施例2)は、その判定部位を過酢酸濃度が2000ppm以上の過酢酸水溶液に浸漬することで均一な黒色となり、過酢酸水溶液の過酢酸濃度が1800ppm以下になると、黒色に白色部分が現れた。このことから、試験紙(実施例2)によれば、過酢酸水溶液の過酢酸濃度が2000ppm以上で有効、少なくとも1800ppm以下で無効と判断することができる。つまり、試験紙(実施例2)によれば、過酢酸のわずか200ppm(=0.02%)の濃度差が検知で有効/無効の別が識別できる結果となった。なお、エタノールを約29.2質量%及び約19.5質量%の割合で含む指示薬溶液で調製した試験紙(実施例3及び4)についても、実施例2と同様に2000ppmの過酢酸濃度で均一な黒色となることが確認された(有効殺菌濃度2000ppmが識別可能)。
これに対して、試験紙(比較例2)は、過酢酸濃度が2000ppm以上で茶色味を帯びた濃青色に変色し、過酢酸濃度が1800ppm以下になると、濃青色と茶色と色の薄い部分が混在したまだら模様になったものの、陰性と陽性の別を明確に判断することができなかった。比較例2は、溶媒以外の試薬組成(成分、配合量等)は実施例3及び4と同一とし、溶媒として水だけを使用して調製した指示薬溶液で作製した試験紙である。
これらのことから、水に加えてエタノールを適量配合した指示薬溶液で作製した試験紙(実施例2~4)によると、黒と白のコントラストで被験試料(過酢酸水溶液)の過酢酸濃度が明確に識別できるのに対して、エタノールを含まない指示薬溶液で作製した試験紙(比較例2)によると、過酢酸と反応させても濃青色や茶色が混在した色になり、被験試料の過酢酸濃度を識別することが難しく、判定誤差を与える要因となることが確認された。つまり、過カルボン酸濃度を精度高く判定するためには、指示薬溶液中に発色改善剤としてエタノール等の水相溶性の有機溶剤を配合することが有用であることが確認された。
実験例3
実験例2の結果を踏まえ、エタノール濃度を約20質量%に揃え、他成分の割合を変えた指示薬溶液を調製し、実験例1と同様に試験紙(実施例5~10)を作製した。各指示薬溶液の組成を表4(A)に示す。また実験例1と同様にして、その試験紙の判定部位を各種濃度の過酢酸水溶液に浸漬して発色を確認した。結果を表4(B)に示す。
Figure 0007072229000005
表4(B)に示すように、実施例5及び9~10の試験紙によれば、過酢酸濃度2100ppm以上を「陽性」、過酢酸濃度1900ppm以下を「陰性」と、両者のわずか200ppmの濃度差を鋭敏に識別することができた。また実施例6~8の試験紙によれば、過酢酸濃度2200ppm以上を「陽性」、過酢酸濃度2100ppm以下を「陰性」と、両者のわずか100ppmの差を鋭敏に識別することができることが確認された。このように、指示薬溶液の調製に際して所定量のエタノールを配合したうえで、その組成を適宜調節することによって、目的とする過酢酸の判定濃度を自由に設定することができること、また100ppmから200ppmといった過酢酸濃度の僅かな差を鋭敏に検知し、有効及び無効の別を精度高く識別し判定することができることが判明した。つまり、指示薬溶液に所定量のエタノールを配合していれば、目的とする過酢酸の判定濃度に応じて、指示薬溶液の他の組成を適宜調節することで、化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過酢酸濃度(つまり有効殺菌濃度と無効殺菌濃度との別)を鋭敏に識別することができる試験紙(過カルボン酸濃度判定具)を調製することができる。
実験例4
水の量を抑えて、エタノール以外の他成分の配合割合を増やした指示薬溶液を調製し、実験例1と同様に試験紙(実施例11~12)を作製した。各指示薬溶液の組成を表5(A)に示す。また実験例1と同様にして、その試験紙の判定部位を各種濃度の過酢酸水溶液に浸漬して発色を確認した。結果を表5(B)に示す。
Figure 0007072229000006
表5(B)に示すように、実施例11および12のいずれの試験紙とも過酢酸濃度6600ppmの過酢酸水溶液への浸漬によりで黒色に白いスポットが確認された(陰性)。一方、過酢酸水溶液中の過酢酸濃度が6800ppmであるときは均一な黒色となった(陽性)。このことから、本発明の指示薬溶液から調製された試験紙によれば、高濃度の過酢酸を含む過酢酸水溶液についても、その濃度差がわずか200ppmの差異でも鋭敏に判定することができることが確認された。
実験例5
エタノール濃度を約20質量%に揃え、他成分の割合を変えた指示薬溶液を調製し、実験例1と同様に試験紙(実施例13~19)を作製した。各指示薬溶液の組成を表6(A)に示す。また実験例1と同様にして、その試験紙の判定部位を各種濃度の過酢酸水溶液に浸漬して発色を確認した。結果を表6(B)に示す。
Figure 0007072229000007
表6(B)に示すように、実施例13~19の試験紙によれば1600ppm以下の低濃度の過酢酸であっても、その濃度をわずか200ppmの差異で鋭敏に判定することができることが確認された。
実験例6
エタノール濃度を約20質量%に揃え、他成分の割合を変えた指示薬溶液を調製し、実験例1と同様に試験紙(比較例4~10)を作製した。各指示薬溶液の組成を表7(A)に示す。また実験例1と同様にして、その試験紙を各種濃度の過酢酸水溶液に浸漬して発色を確認した。結果を表7(B)に示す。
Figure 0007072229000008
表7(B)に示すように、試験した過酢酸濃度の範囲ですべてうすい青色に変化し、黒色は得られなかった。このため、白色のスポット(黒色と白色のまだら)の有無を指標として、過酢酸の濃度値を判定することはできなかった。この原因として、試験紙の判定部位に含まれる(a)でんぷん、(b)ヨウ化カリウム、及び(c)チオ硫酸ナトリウムの合計量(乾燥重量)が0.6mg/cm以下と少ないことが考えられる。
実験例7
種々の水相溶性の有機溶剤を用いて指示薬溶液を調製し、実験例1に記載する方法に従って、試験紙(実施例20~35)を作製した。具体的には、ヨウ化カリウム0.52重量%、溶性でんぷん0.77重量%、チオ硫酸ナトリウム五水和物0.98重量%、並びに水及び低級アルコールを表8に記載する割合で含有する指示薬溶液を調製し、試験紙を作製した。また実験例1と同様にして、その試験紙を0.2質量%濃度の過酢酸水溶液に浸漬して発色を確認した。また比較例11として、有機溶剤を用いないで調製した指示薬溶液を用いて同様に試験紙を作製し、同様の実験を行った。結果を表8に併せて示す。
Figure 0007072229000009
表8に示すように、指示薬溶液中のエタノール濃度を0.5質量%以上にすることで、試験紙の判定部位は有効濃度の過酢酸と反応して黒色を呈することが確認された(実施例20~25)。エタノールに代えてイソプロパノール、グリセリンまたはアセトンを用いた場合も、同様に、過酢酸と反応して黒色を呈した(実施例26、27~30、31)。つまり、エタノールに限らず、水相溶性の有機溶剤を使用することで、過酢酸と反応して黒味のあるはっきりとした色を呈する試験紙が得られることが確認された。さらに水相溶性の有機溶剤は2種以上併用することもできる(実施例32~35)。2種以上の有機溶剤を併用することで、有機溶剤の個々の配合量、並びに総量を減らすことができる。言い換えれば、有機溶剤を2種以上併用することで、1種単独で使用するよりも少量の有機溶剤で本発明の効果を得ることができる。
実験例8
表9(A)に示す各種の指示薬溶液(実施例36、比較例12及び13)を調製した。これらの指示薬溶液を用いて、実験例1と同様にして試験紙を作製した。作製した試験紙の判定部位を、実験例1と同様に、各種濃度の過酢酸水溶液に浸漬し、徐液後7秒後に、判定部位の着色の状態を、分光測色計(コニカミノルタ、CM-600d)を用いて、L*a*b*値および反射スペクトルを測定して評価した。結果を表9(B)および図1~4に示す。
Figure 0007072229000010
表9(B)に示すように、実施例36の試験紙の判定部位は黒色を示した。一方、エタノールを配合しない指示薬溶液で調製した比較例12及び13の試験紙の判定部位は青紫や薄い青を呈した。L*a*b*値は、見た目の濃さがL値に、色相の違いがa及びb値として反映される。Lが大きいほど明るく、aおよびbの値がどちらもゼロに近いほど彩度の低い灰色に近くなる。L値は、実施例36では20未満であったのに対し、比較例12および13では30より高くなった。また、aおよびbの値は、実施例36は比較例12および13よりも0に近かった。つまり、目視だけでなく分光測色計で測定されるL*a*b*値によっても、実施例36は比較例に対して黒味を呈しており、明度が低いことが示された。
また、実施例36の反射スペクトルでは、波長400nmから700nmまで反射率は5%未満であり、つまり黒色に見えることが示された。一方、比較例12および13の反射スペクトルは、400nm付近の反射率が高く、スペクトルからは青味がかかった色であることが示された。つまり、目視だけでなく分光測色計で測定される反射スペクトルによっても、実施例36は比較例に対して黒味を呈していることが示された。

Claims (14)

  1. デンプン、ヨウ化物、チオ硫酸塩、水相溶性の有機溶剤、及び水を含む指示薬溶液であって、
    当該指示薬溶液100質量%あたりの前記デンプン、ヨウ化物、チオ硫酸塩、及び水相溶性の有機溶剤の割合が下記である、指示薬溶液:
    (a)デンプン:0.01~5質量%、
    (b)ヨウ化物:0.01~5質量%、
    (c)チオ硫酸塩:0.01~10質量%、
    (d)炭素数1~6の低級アルコール、多価アルコール、アセトン、及びアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の水相溶性の有機溶剤:0.1~40質量%、及び
    (e)水:60~99質量%、
    ここで、上記(a)、(b)及び(c)の総量は0.6質量%より多い。
  2. 前記(d)水相溶性の有機溶剤が炭素数1~6の低級アルコールであって、指示薬溶液100質量%あたりの当該有機溶剤の割合が0.5質量%以上である、請求項1に記載する指示薬溶液。
  3. 過カルボン酸濃度判定具を作製するために使用される、請求項1又は2に記載する指示薬溶液。
  4. 前記過カルボン酸濃度判定具が、
    化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度を判定する部位(判定部位)を有するものであって、
    当該判定部位に(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩が、1cmあたり、総量(乾燥重量)で0.24mgより多く保持されてなるものである、請求項に記載する指示薬溶液。
  5. 前記過カルボン酸濃度判定具が下記の特徴を有するものである、請求項に記載する指示薬溶液:
    [数1]
    (4)A/B<2.5
    A/C<2.0
    A:測定対象の化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
    B:過カルボン酸濃度判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm2
    C:過カルボン酸濃度判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm2)。
  6. 上記過カルボン酸濃度判定具が対象とする過カルボン酸が、炭素数1~8の有機カルボン酸の過酸化物である請求項3~5のいずれかに記載する指示薬溶液。
  7. 少なくとも過カルボン酸濃度を判定する部位(判定部位)を有し、当該判定部位を構成する部材に請求項1又は2に記載する指示薬溶液が乾燥した状態で含まれてなる過カルボン酸濃度判定具。
  8. 下記(1)~(3)の特徴を有するものである、請求項に記載する過カルボン酸濃度判定具:
    (1)過カルボン酸を含む化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液について、当該過カルボン酸の濃度が滅菌または殺菌消毒に有効な濃度であるか否かの判定に使用するための用具である、
    (2)少なくとも化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度を判定する部位(判定部位)を有する、
    (3)当該判定部位に(a)デンプン、(b)ヨウ化物、及び(c)チオ硫酸塩が、乾燥重量として総量で0.24mgより多く含まれている。
  9. さらに下記(4)で示す特徴を有する、請求項に記載する過カルボン酸濃度判定具:
    [数2]
    (4)A/B<2.5
    A/C<2.0
    A:測定対象の化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液に含まれる過カルボン酸の有効濃度の閾値(質量%)
    B:過カルボン酸濃度判定具の判定部位に含まれるヨウ化物イオンの乾燥重量(mg/cm2
    C:過カルボン酸濃度判定具の判定部位に含まれるチオ硫酸イオンの乾燥重量(mg/cm2)。
  10. 上記化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度が0.01~1質量%である、請求項7~9のいずれかに記載する過カルボン酸濃度判定具。
  11. 判定対象とする上記過カルボン酸が、炭素数1~8の有機カルボン酸の過酸化物である請求項7~10のいずれかに記載する過カルボン酸濃度判定具。
  12. 請求項7~11のいずれかに記載する過カルボン酸濃度判定具を含む、過カルボン酸濃度判定キット。
  13. 過カルボン酸を有効成分として含む化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液における当該過カルボン酸の濃度が化学的滅菌または殺菌消毒に有効な濃度であるか否かを判定する方法であって、下記工程を有する方法:
    請求項7~11のいずれかに記載する過カルボン酸濃度判定具の判定部位に、化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液を接触させ、当該判定部位を発色させる工程。
  14. 下記(1)~(3)の工程を有する、請求項13に記載する判定方法:
    (1)化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液に、請求項7~11のいずれかに記載する過カルボン酸濃度判定具の少なくとも判定部位を浸漬する工程、
    (2)化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液から過カルボン酸濃度判定具の判定部位を取り出し、徐液する工程、及び(3)当該判定部位における発色状態に基づいて、化学的滅菌または殺菌消毒用水溶液の過カルボン酸濃度の有効性を決定する工程。
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前田直美,酸化還元反応を使った簡単な演示実験,化学と教育,2011年01月20日,Vol.59 No.1,Page.24-25

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