JP7071862B2 - 螺旋管用帯状部材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1の帯状部材は、幅方向の一端側の基板部と他端側の基板部とに分割されている。2つの基板部がベローズ状の伸縮部材によって連結されている。帯状部材の成形~製管時の伸縮部材は収縮されている。該帯状部材からなる更生管において、地盤沈下や地震等による大きな荷重が作用したときは、2つの基板部が離間されるとともに伸縮部材が幅方向に伸び変形することにより、破損が防止され、流下機能が保たれる。
本発明は、かかる事情に鑑み、更生管等の螺旋管となる帯状部材において、想定荷重に満たない外力では伸び変形しないよう規制することで、製管性や内面平滑性などを確保し、想定荷重以上の外力を受けたときは伸び変形を許容することで、破損を防止して流下機能などを確保することを目的とする。
前記帯幅方向の中間部を挟んで一端側と他端側とに分かれて互いに並行するように延びる第1片帯部及び第2片帯部(前掲特許文献1の2つの基板部に相当)と、
前記中間部を跨いで前記第1片帯部と前記第2片帯部を連ねるとともにこれら片帯部と並行するように延び、かつ前記帯幅方向へ伸縮可能な連結帯部(前掲特許文献1の伸縮部材に相当)と、
前記第1片帯部の前記中間部側の端部に設けられた第1係止部と、
前記第2片帯部の前記中間部側の端部に設けられた第2係止部と、を備え、
前記連結帯部が縮んだ状態で前記第1、第2係止部どうしが係止可能であり、
前記係止の解除によって前記連結帯部の伸び変形が許容されることを特徴とする。
前記想定荷重以上の外力が加わったときは、前記第1、第2係止部どうしの係止が解除される。これによって、連結帯部が第1、第2係止部の係止抵抗を受けることなく帯幅方向へ伸びることで、螺旋管の破損を防止できる。螺旋管が下水管などの流体を流す更生管である場合には、漏れを防止することで流下機能を確保できる。
連結帯部の展開・屈曲に伴って、第1片帯部及び第2片帯部も易変形部を中心に展開・屈曲するように相対変形される。連結帯部及び第1、第2片帯部が屈曲された状態のときは、第1、第2係止部どうしが離れている。連結帯部ひいては第1、第2片帯部を展開させていくことで、第1、第2係止部どうしが接近して互いに係止される。
これによって、易変形部の伸縮変形によって連結帯部が伸縮されるようにできる。
未巻回状態とは、帯状部材の成形後、未だ巻回されていない状態を言う。一旦、帯状部材を巻回して曲率を付与すると、前記展開方向への断面変形によって第1、第2係止部どうしが係止される。
そうすることで、第1、第2係止部どうしを離した状態で帯状部材を押出成形でき、成形を容易化できる。その後の巻取ドラムへの巻き付けによって、連結帯部が自然と展開されるように断面変形され、前記第1、第2係止部どうしが係止されることが好ましい。
<第1実施形態>
図1~図5は、本発明の第1実施形態を示したものである。図4(a)に示すように、老朽化した下水道管等の既設の埋設管1の内面に更生管2(螺旋管)がライニングされることで、埋設管1が更生されている。埋設管1としては、下水道管の他、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管などが挙げられる。
帯状部材3の材質は、ポリ塩化ビニルなどの樹脂である。
以下の説明では、特に断らない限り、帯状部材3は、後述する縮み状態かつ展開状態かつ係止状態であるものとする(図1(b))。
なお、中間部の分かれ目3dは、帯状部材3の帯幅方向のちょうど中央部に配置されている必要はなく、帯幅方向の一端側(図1(b)において左側)に偏って配置されていてもよく、帯幅方向の他端側(図1(b)において右側)に偏って配置されていてもよい。
第1平帯部11の他端部(図1(b)において右端部)すなわち分かれ目3d側の端部には第1係止部14が形成されている。図3(c)に示すように、第1係止部14は、係止案内部14cと、係止段差14dを含む。第1平帯部11の先端面が断面半円状に形成されることによって係止案内部14cとなっている。第1平帯部11の外周側面と係止案内部14cとの間に係止段差14dが形成されている。
一方、図1(c)及び図3(c)に示すように、設定荷重以上の引張力が帯幅方向に作用したときは、前記係止が解除され、第1片帯部10と第2片帯部20が分離され得る。以下、係止部14,24どうしの係止が外れた状態を「係止解除状態」と称す。
図5(b)に示すように、更生管2においては、第1嵌合部13と第2嵌合部23の互いに一周ずれた部分どうしが対向して嵌合されている。これら嵌合部13,23どうしの嵌合強度は、係止部14,24どうしの係止強度よりも十分に高い。言い換えると、係止部14,24は、嵌合部13,23よりも十分に小さな力で係止解除され得る。
図1(a)~同図(b)に示すように、易変形部35は、断面が拡縮するように変形可能である。これ伴って、連結帯部30が、易変形部35を中心に屈曲・展開可能である。図1(a)に示すように、連結帯部30が屈曲された状態(以下「屈曲状態」と称す)のとき、平帯部11,21ひいては片帯部10,20どうしが断面V字状をなす。このとき、係止部14,24どうしは離間し、係止解除状態になっている。
図1(b)に示すように、連結帯部30が展開された状態(以下「展開状態」と称す)のとき、平帯部11,21ひいては片帯部10,20どうしが互いに断面一直線をなし、係止部14,24どうしが係止可能である。
図示は省略するが、断面S字状の連結部分33,34が伸び変形することによっても、連結帯部30が帯幅方向へ更に伸縮可能である。
図2は、帯状部材3の製造装置5を示したものである。製造装置5は、押出成形機5aと、巻取ドラム5bを含む。押出成形機5によってポリ塩化ビニル等の樹脂材料から帯状部材3が押出成形される。
図1(a)に示すように、押出成形時の帯状部材3は、断面V字状の屈曲状態かつ係止解除状態になっている。図3(a)の二点鎖線に示すように、係止部14,24どうしを離して押出成形することで成形を容易化できる。
前記製管時において、帯状部材3に多少の外力がかかっても、係止部14,24どうしの係止抵抗によって、連結帯部30が帯幅方向へ伸び変形するのが阻止される。したがって、帯状部材3の帯幅寸法を一定に保持でき、容易に製管することができる。
埋設管1の内周面と更生管2との間には裏込め材(図示せず)が充填される。これによって、埋設管1が更生される。
係止段差14d,24dの高さなどの設定によって、想定荷重に合わせて係止解除が確実に起きるようにできる。なお、係止部14,24に代えて、平帯部11,21どうしをウェルドライン等の連続部を介して一体に連続させ、かつ連続部において破断可能にすることも考えられるが、その場合、想定荷重に合わせて破断が起きるようにするのが容易でない。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態は、係止部の変形例に係る。図6(c)に示すように、第1係止部14Bは、第1平帯部11から延び出るアーム部14aと、該アーム部14aの先端部(分かれ目3d側の端部)に設けられた断面半円形の係止凸部14eを含む。係止凸部14eが、係止案内部14cと係止段差14dを有している。
図6(a)の実線に示すように、帯状部材3の押出成形時は、係止部14B,24Bどうしは離れている。
図6(c)に示すように、製管後の更生管2において、想定荷重以上の外力が加わったときは、係止部14B,24Bどうしの係止が解除される。
例えば、易変形部35の断面形状は、伸縮性能を発現できる形状であればよく、U字状に限られず、三角形状や四角形状などであってもよい。
易変形部35の数は、1つに限られず、複数であってもよい。複数の易変形部の大きさが互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
易変形部35の配置位置は、分かれ目3dないしは係止部どうしの係止位置に対して帯幅方向の一側又は他側へずれていてもよい。
嵌合部13,23の断面形状は適宜改変できる。なお、互いに嵌合した状態で更生管2の内面に段差ができない形状であることが好ましい。
本発明の帯状部材は、既設管の内周にライニングされる更生管に限られず、柱用の螺旋管などにも適用可能である。
1 埋設管
2 更生管(螺旋管)
3 帯状部材(プロファイル)
3d 中間部の分かれ目
5 製造装置
5a 押出成形機
5b 巻取ドラム
10 第1片帯部
13 第1嵌合部
14,14B 第1係止部
20 第2片帯部
23 第2嵌合部
24,24B 第2係止部
30 連結帯部
35 易変形部
Claims (5)
- 螺旋状に巻回され、帯幅方向の一端部と他端部との互いに一周ずれた部分どうしが嵌合されて螺旋管となる帯状部材であって、
前記帯幅方向の中間部を挟んで一端側と他端側とに分かれて互いに並行するように延びる第1片帯部及び第2片帯部と、
前記中間部を跨いで前記第1片帯部と前記第2片帯部を連ねるとともにこれら片帯部と並行するように延び、かつ前記帯幅方向へ伸縮可能な連結帯部と、
前記第1片帯部の前記中間部側の端部に設けられた第1係止部と、
前記第2片帯部の前記中間部側の端部に設けられた第2係止部と、を備え、
前記連結帯部が縮んだ状態で前記第1、第2係止部どうしが前記帯幅方向に押し合うことによって前記帯幅方向に係止可能であり、
前記係止の解除によって前記連結帯部の伸び変形が許容されることを特徴とする帯状部材。 - 前記連結帯部が、延び方向に沿って形成された易変形部を中心に屈曲・展開可能であり、前記連結帯部が屈曲された状態では前記第1、第2係止部どうしが離れ、前記連結帯部が展開された状態で、前記第1、第2係止部どうしが係止可能であることを特徴とする請求項1に記載の帯状部材。
- 前記展開された状態かつ前記係止が解除された状態で、前記易変形部が前記帯幅方向へ伸縮可能であることを特徴とする請求項2に記載の帯状部材。
- 前記第1片帯部及び前記第2片帯部どうし、並びに前記連結帯部が、未巻回状態では断面V字状に屈曲されており、巻回によって展開されて前記第1片帯部及び前記第2片帯部どうしの断面が一直線をなし、前記連結帯部の前記易変形部を挟んで両側部分どうしの断面が一直線をなすように断面変形されることを特徴とする請求項2又は3に記載の帯状部材。
- 請求項4に記載の帯状部材を前記屈曲された状態で押出成形した後、巻取ドラムに巻き付けることによって前記断面変形を起こさせて前記第1、第2係止部どうしの前記係止を起こさせることを特徴とする螺旋管用帯状部材の製造方法。
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