JP7070607B2 - 農業用シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
図1(a)は本開示の農業用シートの一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA-A断面図である。図1(b)に示すように、農業用シート1は、熱可塑性樹脂を含有し、光反射性を有する基材シート11と、基材シート11を補強する補強シート13と、基材シート11および補強シート13の間に配置され、基材シート11および補強シート13を接合する熱接着性樹脂層12と、を有する。さらに、図1(a)、(b)に示すように、農業用シート1の一方の表面から他方の表面を貫通する貫通孔14が複数形成されている。なお、農業用シート1は、樹脂を含有していればよく、熱可塑性樹脂の代わりに、熱硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を混合して用いてもよい。
以下、本開示の農業用シートについて、構成ごとに説明する。
本開示における基材シートは、少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて、充填材等の添加材を含有していてもよい。また、基材シートは、貫通孔において通水性を有し、貫通孔以外の部分において、透湿性、通気性および遮水性を有することが好ましい。なお、本開示において、透湿性とは、気体としての水すなわち水蒸気を通過させる性質をいい、通気性とは、二酸化炭素をはじめとする気体を通過させる性質をいい、遮水性とは、液体としての水を通過させない性質をいう。
本開示における樹脂の種類は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、飽和エステル系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面が優れるからである。
本開示における基材シートは、充填材を含有していてもよい。充填材を添加し、例えば延伸により基材シートを作製することで、基材シートの内部に空隙が生じ、多孔質基材シートが得られる。充填材としては、例えば、無機系充填材および有機系充填材が挙げられる。
本開示における基材シートは、必要に応じて、界面活性材、滑材、帯電防止材等の各種添加材を含有していてもよい。界面活性材の添加により、例えば結露を防ぐことができる。界面活性材としては、例えば、非イオン性界面活性材、陰イオン性界面活性材、両イオン性界面活性材等が挙げられる。非イオン性界面活性材としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマー等が挙げられる。陰イオン性界面活性材としては、例えば、スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の塩が挙げられる。なお、上記塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本開示における基材シートは、内部に空隙を有する多孔質基材シートであることが好ましい。多孔質基材シートは、通常、貫通孔において通水性を有し、貫通孔以外の部分において、透湿性、通気性および遮水性を有する。多孔質基材シートの空隙率は、特に限定されないが、例えば35%~60%の範囲内であり、40%~58%の範囲内であることが好ましい。
空隙率(%)={(ρo-ρ)/ρo}×100 …(式1)
式1において、ρは多孔質基材シートの密度であり、JIS P 8118に準拠する。ρoは多孔質基材シートの真密度である。真密度は、多孔質基材シートを構成する主要な材料成分の種類と、それらの構成比率とを分析して、材料成分の種類の一般的な値を用いることで決定することができる。例えば、ポリプロピレンの密度は0.9g/cm3であり、炭酸カルシウムの密度は2.7g/cm3である。なお、多孔質基材シートが延伸処理されたものであるときは、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の材料の密度にほぼ等しい。そのため、真密度は、延伸前の材料から求めてもよく、定容積膨張法による乾式密度測定方法で求めてもよい。後者の場合、測定装置としては、例えば、(株)島津製作所製の乾式自動密度計アキュピック1330が挙げられる。
多孔質基材シートの耐水圧は、例えば、10kPa以上であり、20kPa以上であることが好ましい。耐水圧は、JIS L 1092:2009に規定される繊維製品の防水性試験方法の耐水度試験(静水圧法)のA法(低水圧法)に準拠して測定できる。例えば、耐水圧試験装置(安田精機製作所の織布耐水度試験機No.409)に試験するシートを表側に水が当たるように取り付けた後、水を入れた水準装置を600mm/分(10mm/秒)の速さで上昇させて、試験するシートの裏側3ヶ所から水滴が出たときの水位をmm単位で測定する。
多孔質基材シートの不透明度は、例えば、70%~100%の範囲内であることが好ましい。不透明度は、JIS P 8149:2000に規定される紙及び板紙-不透明度試験方法(紙の裏当て)-拡散照明法に準拠して測定できる。例えば、分光測色計(コニカミノルタ社製のCM-5)で測定する。
多孔質基材シートの密度は、例えば、0.50g/cm3~0.90g/cm3の範囲内であり、0.50g/cm3~0.70g/cm3の範囲内であることが好ましい。密度は、例えば100mm×1000mmの大きさの試験するシートの厚みおよび質量を測定することで算出できる。
なお、これらのそれぞれの物性値は、多孔質基材シートの貫通孔以外の部分を測定した値である。
本開示の農業用シートは、基材シートを補強する補強シートを有していてもよい。補強シートを設けることで、耐久性の高い農業用シートとすることができる。特に、本開示の農業用シートは貫通孔を有するため、貫通孔を有しない場合に比べて物理的強度が低い傾向にあるが、補強シートを設けることで、物理的強度が向上する。
本開示の農業用シートは、一方の表面から他方の表面を貫通する貫通孔を複数有する。貫通孔の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、円状、楕円状、多角形状等が挙げられる。貫通孔の幅は、例えば、5μm~1mmの範囲内であり、10μm~800μmの範囲内であることが好ましく、20μm~100μmの範囲内であることがより好ましい。なお、本開示においては、農業用シートの表面を農業用シートの法線方向から平面視したときに、貫通孔の最大幅を貫通孔の幅とする。貫通孔の形状が円状の場合、貫通孔の幅は貫通孔の孔の直径である。
開孔率(%)=(1個当たりの開孔面積×貫通孔の個数)/1平方メートル×100
次に、本開示の農業用シートの製造方法について説明する。図2は、本開示の農業用シートの製造方法の一例を示す概略断面図である。図2においては、熱可塑性樹脂を含有し、光反射性を有する基材シート11の表面に、熱接着性樹脂層12を形成する(図2(a))。次に、熱接着性樹脂層12上に補強シート13を配置し、加熱しながら圧力を付与することで、農業用シートの前駆シート15を得る(図2(b))。次に、針状部材16を用いて、前駆シート15の一方の表面から他方の表面を貫通する貫通孔14を複数形成する(図2(c))。これにより、基材シート11、熱接着性樹脂層12および補強シート13がこの順に配置され、貫通孔14を有する農業用シート1が得られる(図2(d))。なお、基材シート11は、樹脂を含有していればよく、熱可塑性樹脂の代わりに、熱硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を混合して用いてもよい。
以下、本開示の農業用シートの製造方法について、工程ごとに説明する。
本開示における準備工程は、樹脂を含有し、光反射性を有する基材シートを有する農業用シートの前駆シートを準備する工程である。
本開示における貫通孔形成工程は、上記前駆シートの一方の表面から他方の表面を貫通する貫通孔を複数形成する工程である。
本開示により得られる農業用シートについては、上記「A.農業用シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
(基材シートの製造)
基材シートの内層を構成する樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックPP:MA-8」、融点164℃)を65.5質量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD:HJ580」、融点134℃、密度0.960g/cm3)を6.5質量%、および、平均粒子径が1.5μmの炭酸カルシウム粉末を28質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸シートを得た。
得られた基材シートに、アンカーコート材(変成エチレン-酢酸ビニル共重合体)を塗布した状態で、酢酸ビニル含有率18質量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を厚み15μmで押出しコーティングした。これにより、基材シート上に熱接着性樹脂層を形成した。同時に、第2給紙から補強シートとしてポリエチレン繊維直交積層不織布(ワリフ(登録商標 SS(T) JX日鉱日石エネルギー社製)をエチレン-酢酸ビニル共重合体で圧着して貼り合わせた。エチレン-酢酸ビニル共重合体の溶融樹脂温度は250℃であった。このようにして積層体(前駆シート)を得た。
針の径が0.9mm、針の数が9万個/m2、針の配列が図5に示す三角配列である熱針ロールを用いて貫通孔を形成し、得られた農業用シートの開孔率が5.7%であったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の農業用シートを得た。
針の径が0.7mm、針の数が24万個/m2、針の配列が図6に示す三角配列である熱針ロールを用いて貫通孔を形成し、得られた農業用シートの開孔率が9.2%であったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の農業用シートを得た。
11…基材シート
12…熱接着性樹脂層
13…補強シート
14…貫通孔
15…前駆シート
16…針状部材
Claims (9)
- 農業用シートであって、
前記農業用シートが、樹脂を含有し、光反射性を有する基材シートを有し、
前記基材シートが、前記樹脂としてポリオレフィン系樹脂を含有し、
前記農業用シートの一方の表面から他方の表面を貫通する複数の貫通孔を有し、
前記農業用シートにおける前記複数の貫通孔の割合が、1万個/m2~100万個/m2の範囲内であり、
前記農業用シートにおける前記複数の貫通孔が、格子配列しており、
前記基材シートは、熱接着樹脂層を介して補強シートと接合されている、農業用シート。 - 前記基材シートは、無機系充填剤を含有している、請求項1に記載の農業用シート。
- 前記基材シートは、有機系充填剤を含有している、請求項1または請求項2に記載の農業用シート。
- 前記格子配列が、四方配列であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の農業用シート。
- 前記格子配列が、三方配列または六方配列であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の農業用シート。
- 前記農業用シートにおける開口率が、4%~9%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の農業用シート。
- 前記農業用シートにおける前記複数の貫通孔の幅が、前記農業用シートの表面を前記農業用シートの法線方向から平面視したときに、5μm~1mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の農業用シート。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の農業用シートの製造方法であって、
複数の針を有する針状部材で、前記複数の貫通孔を形成する、農業用シートの製造方法。 - 前記複数の針の側面部の径が、前記複数の貫通孔を形成するときに前記農業用シートに接触する部分を測定したときに、5μm~1mmの範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の農業用シートの製造方法。
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