JP7069924B2 - テールパイプ、排気系構造、およびこれを備えた車両 - Google Patents

テールパイプ、排気系構造、およびこれを備えた車両 Download PDF

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Description

本開示は、排気ガスを排出するテールパイプ、排気系構造、およびこれを備えた車両に関する。
内燃機関で生じた排気ガスは、排気ガス浄化装置やサイレンサ等を通過して浄化や静音化が行われた後、テールパイプから外部に排出される。従来、排気ガスの流量増大や気流音の低減等を目的として、テールパイプの形状を工夫することが行われている。
例えば特許文献1には、排気管の後端に連結された連結部と、連結部から後方に末広がりに延出し、かつ、横断面形状を略楕円形に形成した拡径部とを備えたテールパイプが開示されている。
特開2003-41934号公報
テールパイプから排出される高温の排気ガスが、周囲に悪影響を及ぼすことがある。このような高温の排気ガスによる周囲への悪影響を低減することが望まれる。
本開示の目的は、排出される排気ガスによる周囲への悪影響を低減するテールパイプ、排気系構造、およびこれを備えた車両を提供することである。
本開示の一態様に係るテールパイプは、内燃機関の排気ガスを外部に排出するテールパイプであって、前記排気ガスの流れ方向における末端部において、前記流れ方向に垂直な断面が長方形状となるように形成されており、前記排気ガスを排出する開口部と前記開口部の長方形状の長軸方向に沿った2辺に取り付けられており、温度によって湾曲度が変化する変形部を有する一対の整流板と、を備える。
本開示の一態様に係る排気系構造は、上記テールパイプを有する。
本開示の一態様に係る車両は、上記排気系構造を有する。
本開示によれば、排出される排気ガスによる周囲への悪影響を低減することができる。
本開示の実施の形態に係るテールパイプの外形を示す斜視図 本開示の実施の形態に係るテールパイプについて説明するための投影図 整流板について説明するための図 整流板による排気ガスの流れの変化について説明するための図
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
図1は、本開示の実施の形態に係るテールパイプ100の外形を示す斜視図である。また、図2Aから図2Cは、本開示の実施の形態に係るテールパイプ100について説明するための投影図(三面図)である。図1,図2Aおよび図2Cに示すように、テールパイプ100は、排気管200の一端に取り付けられている。排気管200の他端は、内燃機関(図示せず)に接続されている。内燃機関の駆動により生じた排気ガスは、排気管200を通ってテールパイプ100から外部に排出される。排気管200とテールパイプ100とによって、内燃機関の排気系構造が構成される。
図2Aは、排気管200の一端に取り付けられたテールパイプ100の平面図である。図2Bは、テールパイプ100および排気管200を後述する開口部104側から見た図である。図2Cは、排気管200の一端に取り付けられたテールパイプ100の側面図である。
図1および図2Aから図2Cに示すように、テールパイプ100は、テールパイプ本体101と、連結部102と、末端部103と、を有する。連結部102は、テールパイプ100が排気管200に連結される部位である。本開示では連結の方法については特に限定しないが、テールパイプ100は連結部102において例えば溶接で排気管200の一端に連結されている。本実施の形態において、図1に示すように、排気管200の排気ガスの流れ方向に垂直な断面形状はほぼ円形状であるため、テールパイプ100の連結部102付近における排気ガスの流れ方向に垂直な断面形状も排気管200とほぼ同径の円形状である。
テールパイプ100の連結部102とは反対側の端部である末端部103には、開口部104が設けられている。開口部104は、テールパイプ100における排気ガスの流れ方向の最下流に設けられた開口であり、テールパイプ100内の排気ガスは開口部104から外部へ排出される。
本実施の形態において、図1および図2Bに示すように、テールパイプ100の開口部104の開口形状はほぼ長方形状である。開口部104の開口形状は、角が面取りされた長方形状であってもよい。開口部104の長軸方向に沿った長さ(幅)Wは、図2Aに示すように、排気管200の断面円形状の直径Dより長い。一方、開口部104の短軸方向の沿った長さ(高さ)Hは、図2Cに示すように、排気管200の断面円形状の直径Dより短い。
開口部104の開口形状は、テールパイプ100内の流路断面積で最も大きくなるように構成されている。具体的には、上記説明した開口部104の長方形状の幅Wおよび高さHは、開口部104の面積W×Hがテールパイプ100の流路断面積で最も大きくなるように設定されている。これにより、テールパイプ100の外部に排出された排気ガスが好適に拡散しやすくなる。
テールパイプ本体101は、上記したように排気ガスの流れ方向に対して垂直な断面形状が円形状である連結部102と、開口形状が長方形状である開口部104と、を接続するように設けられる壁体によって構成される。
図1および図2Aから図2Cに示すように、開口部104の長方形状の長軸方向に沿った2辺には、一対の整流板105が取り付けられている。一対の整流板105は、図2Cに示すように、テールパイプ100を側面視した場合に、先端部が下方を向くように取り付けられている。
図3Aおよび図3Bは、整流板105について説明するための図である。図3Aおよび図3Bは、テールパイプ100の側面図において、整流板105を拡大して図示したものである。図3Aおよび図3Bに示すように、整流板105は、熱膨張率が異なる2枚の金属板107,108を貼り合わせてずれないように固定されたバイメタルで構成された変形部106を有する。このため、変形部106は、温度によって湾曲度が変化する。なお、本実施の形態においては、図3Aおよび図3Bに示すように、整流板105の全体が変形部106で構成されているが、整流板105の一部のみが変形部106で構成されていてもよい。
本実施の形態においては、整流板105の変形部106は、上側の金属板107よりも、下側の金属板108の方が熱膨張率の高い金属を用いて製造されている。このような構成により、整流板105は、排気ガスの温度が比較的低温の第1温度である場合、図3Aに示すように、側面視において下方に向かって直線状に伸びるような形態をとる。本実施の形態において、図3Aに示す整流板105の形態を第1形態と称する。
また、上側の金属板107よりも、下側の金属板108の方が熱膨張率が高いため、排気ガスの温度が上昇するにつれて、下側の金属板108の方が、上側の金属板107よりも長く伸びる。これにより、排気ガスの温度が第1温度より高い第2温度である場合、整流板105は、図3Bに示すように側面視において上方に向かって折れ曲がる(反り返る)ような形態をとる。本実施の形態において、図3Bに示す、側面視において整流板105が上方に向かって折れ曲がるような形態を、第2形態と称する。
このように温度によって変形する変形部106により、整流板105は、排気ガスの温度の上下にともなって、図3Aに示す、先端部が下方を向いた第1形態と、図3Bに示す、先端部が折れ曲がった第2形態と、の間を徐々に遷移する。
このような整流板105によって、テールパイプ100から排出される排気ガスの方向は、排気ガスの温度によって大きく変化する。図4Aおよび図4Bは、整流板105による排気ガスの流れの変化について説明するための図である。図4Aおよび図4Bにおいて、矢印は排気ガスの流れる方向を示している。排気ガスの温度が比較的低い第1温度である場合、整流板105が下方に向かって直線状に伸びた第1形態であるため、図4Aの矢印に示すように、テールパイプ100の内部を流れてきた排気ガスは、2枚の整流板105によってテールパイプ100から下方に向かって排出される。
一般に、排気ガスの温度が比較的低い場合、内燃機関の性質上、排気ガスの流量は比較的少なく、流速は比較的低くなる。このため、排気ガスの温度が低いと、開口部104から排出された低速の排気ガスは拡散しにくく、テールパイプ100の周囲で滞留しやすい。テールパイプ100を含む排気系構造がトラック等の車両に搭載されている場合、排気系構造は車体の下側に配置されることが多いが、熱は上方向に伝わりやすいため、テールパイプ100の周囲で滞留した排気ガスの有する熱が車体に伝わる。仮にテールパイプ100に整流板105が設けられていないとすると、排気ガスはテールパイプ100とほぼ同じ高さに排出されるため、滞留する排気ガスと車体との距離が近く、滞留した排気ガスの有する熱が車体に多く伝わってしまう。このような事態が生じると、車体を構成する部品が排気ガスの熱による悪影響を受けるおそれがあり、好ましくない。
本開示の実施の形態に係るテールパイプ100では、上記したように、排気ガスの温度が比較的低い第1温度である場合、排気ガスはテールパイプ100から下方に向かって排出される。このため、例えテールパイプ100の周囲に排気ガスが滞留したとしても、テールパイプ100より下方で滞留するため、排気ガスの有する熱はテールパイプ100の上側に存在する車体に伝わりにくい。このため、排気ガスの熱による車体への悪影響を低減することができる。
一方、排気ガスの温度が上昇して第2温度となった場合、整流板105が第2形態をとるため、図4Bに示すように、排気ガスは、2枚の整流板105によって末端部103における排気ガスの流れ方向を延長した方向にほぼ直線状に排出される。
一般に排気ガスの温度が高くなるほど、排気ガスの流量は多く、流速は早くなる。すなわち、整流板105が第2形態となる第2温度である場合、排気ガスはテールパイプ100の開口部104から勢いよく排出される。このとき、2枚の整流板105は、図4Bに示すような第2形態をとっているため、排気ガスはテールパイプ100の内部の流れ方向を延長した方向にスムーズに排出されるとともに、排出された排気ガスが好適に拡散される。これにより、排気ガスの熱によるテールパイプ100の周囲への悪影響を最小限に抑えることができる。
<作用・効果>
以上説明したように、本開示の実施の形態に係るテールパイプ100は、内燃機関の排気ガスを外部に排出するテールパイプ100であって、排気ガスを排出する開口部104を有する末端部103と、末端部103に設けられ、温度によって湾曲度が変化する変形部106を有する整流板105と、を備える。
このような構成により、排気ガスの温度に合わせて好適な方向に排気ガスを排出することができるので、排気ガスの熱による周囲への悪影響を低減することができる。
また、変形部106は、バイメタルである。このため、本開示の実施の形態に係るテールパイプ100は、バイメタルを用いて形成された板状の部材である変形部106を含む整流板105を末端部103に取り付けるだけで製造することができるので、少工程かつ低コストで製造することができ、好適である。
また、整流板105は、排気ガスの温度が第1温度である場合、排気ガスを、テールパイプ100の側面視において下方に向かって排出させる。そして、整流板105は、排気ガスの温度が第1温度より高い第2温度である場合、排気ガスを、開口部104から末端部103における排気ガスの流れ方向を延長した方向に向かって排出させる。
このような構成により、排気ガスの温度が比較的低い第1温度である場合、排気ガスはテールパイプ100から下方に向かって排出される。このため、テールパイプ100の上側に車体が存在する場合、例えテールパイプ100の周囲に排気ガスが滞留したとしても、排気ガスの熱が車体に伝わりにくく、排気ガスの熱による周囲への悪影響を低減することができる。
また、このような構成により、整流板105が第1温度より高い第2温度である場合、2枚の整流板105は側面視において上方に折れ曲がった第2形態をとっているため、排気ガスはテールパイプ100の内部の流れ方向を延長した方向にスムーズに排出されるとともに、排出された排気ガスが好適に拡散される。これにより、排気ガスの熱によるテールパイプ100の周囲への悪影響を最小限に抑えることができる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素は任意に組み合わせてられてもよい。
上記説明した実施の形態では、排気ガスが排出される開口部104はほぼ長方形状に形成されていた。しかしながら、本開示はこれに限定されず、例えばテールパイプ100の開口部104の形状は排気管200の断面形状と同様に、ほぼ円形状に形成されていてもよい。この場合でも、テールパイプ100の末端部103の内周面は、湾曲して広がるように形成されていればよい。また、排気管200の排気ガスの流れに垂直な断面形状は、例えば楕円形状やほぼ長方形状に形成されていてもよく、その場合テールパイプ100の開口部104の形状も排気管200と同様の形状に形成され、内周面が湾曲して広がるように形成されていてもよい。さらに、開口部104は、ほぼ長方形状以外にも、前記排気ガスの流れ方向から見て扁平な形状、すなわち楕円形状、台形状、三角形状等に形成されていてもよい。
また、開口部104の流路断面積は、テールパイプ100内で最も大きくなるように構成されていたが、本開示はこれに限定されない。本開示では排気ガスを好適に拡散させるため、開口部104の流路断面積が最も大きくなるように構成されていたが、例えば開口部104付近の排気圧力を高めて遠くまで排出させたい場合は、開口部104の流路断面積が他の箇所より小さくなるようにしてもよい。このように、開口部104の開口形状および流路断面積は、テールパイプ100の使用目的や要求される効果に合わせて好適に変更してもよい。
上記説明した実施の形態においては、排気ガスの温度が比較的低い場合では整流板105が側面視において下方に向かって直線状に伸びた第1形態をとり、排気ガスの温度が比較的高い場合では整流板105が側面視において上方に折れ曲がった第2形態をとるとした。しかしながら、本開示はこれに限定されない。第2形態において整流板105が折れ曲がる方向は、側面視における上方でなくてもよく、側面視ではない方向から見た場合の他の方向でもよい。あるいは、整流板105は、排気ガスの温度が比較的低い場合では側面視において下方に折れ曲がった第3形態をとり、排気ガスの温度が比較的高い場合では側面視においてテールパイプ100内における排気ガスの流れ方向を延長した方向に向かってほぼ直線状に伸びた第4形態をとるようにしてもよい。
すなわち、テールパイプ100を含む排気系構造の好適な使用形態に合わせて、排気ガスの温度と、整流板105によって制御される排気ガスの排出方向との組み合わせは、自由に変化させることができる。
また、上記説明した実施の形態は、整流板105の変形部106を構成するバイメタルが第1形態と第2形態のうちの少なくともどちらかの形態では折れ曲がった形態をとるという前提のもと記載されている。しかしながら、例えば側面視において、ある角度へ向かって直線状の形態から、他の角度へ向かって直線状の他の形態へと、温度の変化に応じて遷移するバイメタルが存在する場合、変形部106としてこのようなバイメタルを使用してもよい。この場合、整流板105は、排気ガスの温度が比較的低い場合では側面視において下方に向かって直線状の形態をとり、排気ガスの温度が比較的高い場合では側面視において、末端部103における排気ガスの流れ方向の延長方向に向かって直線状の他の形態をとるように構成されればよい。
上記説明した実施の形態において、変形部106はバイメタルであった。しかしながら、本発明はこれに限定されず、変形部106は温度によって排気ガスの排出方向を変化させることができる構成であればよい。例えば、変形部106としては、バイメタルの代わりに、形状記憶合金を用いてもよい。
上記説明した実施の形態において、図3Aおよび図3Bに示すように、整流板105の全体が変形部106で構成されているとしたが、本開示はこれに限定されず、例えば整流板105の一部のみが変形部106で構成されていてもよい。この場合、整流板105は、例えば平面状の整流部材が変形部106の先端部に取り付けられた構成を有していてもよい。このような構成によれば、排気ガスの温度によって変形部106が折れ曲がったり反り返ったりしても、平面状の整流部材によって排気ガスの流れが整流されやすく、より好適である。
上記説明した実施の形態においては、整流板105は、長方形状に形成された開口部104の長軸方向に沿った2辺に設けられているとしたが、本開示はこれに限定されない。整流板105は、例えば1辺のみに設けられていてもよいし、短軸方向に沿った2辺に設けられていてもよいし、4辺のすべてに設けられていてもよい。例えば開口部104が円形状、楕円形状、不定形状等に形成されている場合も、整流板105は開口部104におけるいずれかの位置に設けられればよい。この場合、整流板105が排気ガスを排出したい方向に向かって伸びるような形態をとるように構成されればよい。
本開示は、排気ガスを排出するテールパイプに有用である。
100 テールパイプ
101 テールパイプ本体
102 連結部
103 末端部
104 開口部
105 整流板
106 変形部
107,108 金属板
200 排気管

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気ガスを外部に排出するテールパイプであって、
    前記排気ガスの流れ方向における末端部において、前記流れ方向に垂直な断面が長方形状となるように形成されており、前記排気ガスを排出する開口部と
    前記開口部の長方形状の長軸方向に沿った2辺に取り付けられており、温度によって湾曲度が変化する変形部を有する一対の整流板と、
    を備える、テールパイプ。
  2. 前記変形部は、バイメタルである、
    請求項1に記載のテールパイプ。
  3. 前記整流板は、前記排気ガスの温度が第1温度である場合、前記排気ガスを、前記末端部内における前記排気ガスの流れ方向を延長した方向以外の方向に向かって排出させ、前記排気ガスの温度が前記第1温度より高い第2温度である場合、前記排気ガスを、前記流れ方向を延長した方向に向かって排出させる、
    請求項1または2に記載のテールパイプ。
  4. 前記整流板は、前記排気ガスの温度が前記第1温度である場合、前記排気ガスを下方に向かって排出させる、
    請求項3に記載のテールパイプ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のテールパイプを有する、
    排気系構造。
  6. 請求項5に記載の排気系構造を有する、
    車両。
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