JP7068158B2 - ディーゼルエンジン - Google Patents
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Description
図1(A)に例示するように、シリンダ(1)内の燃焼室(2)と、シリンダヘッド(3)内の燃料噴射室(4)と、燃焼室(2)と燃料噴射室(4)を連通させる連通口(9)と、燃料噴射室(4)に臨む燃料インジェクタ(6)を備え、
図1(E)に例示するように、シリンダ中心軸線(1c)と平行な向きに見て、連通口中心軸線(9c)と直交する方向を横方向として、図1(B)~(E)に例示するように、燃料噴射室(4)は横方向に伸びる噴射室中心軸(4d)を備えた円筒形状で、図1(E)に示すように、連通口中心軸線(9c)と直交する連通口(9)の断面が横長形状であり、
図4(A)(B)に例示するように、シリンダ(1)内の燃焼室(2)が主燃焼室(2a)とされ、燃料噴射室(4)がうず室(4at)とされ、
図2(B)に例示するように、燃料インジェクタ(6)は、横方向中央側の中央燃料噴射孔(6a)と、横方向両脇側の両脇燃料噴射孔(6b)(6b)を備え、
中央燃料噴射孔(6a)の中央燃料噴射軸線(6ac)は、うず室(4at)内を旋回する旋回流となる圧縮空気(10)を導入する連通口(9)の中央部(9a)とうず室(4at)の境界の中央角部(9ac)側を経て連通口(9)の中央部(9a)に向けられ、
両脇燃料噴射孔(6b)(6b)の各脇燃料噴射軸線(6bc)(6bc)は、前記連通口(9)の横方向同一脇側の各脇部(9b)(9b)とうず室(4at)の境界の各脇角部(9bc)(9bc)側を経て連通口(9)の各脇部(9b)(9b)に向けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
図2(B)及び図3に例示するように、うず室(4at)に連通口(9)の横方向の中央部(9a)から押し込まれる中央圧縮空気(10a)と、横方向の両脇部(9b)(9b)から押し込まれる脇圧縮空気(10b)(10b)に、燃料(5)が巻き込まれ、燃料(5)が圧縮空気(10)中に広く拡散し、うず室(4at)での燃料(5)と圧縮空気(10)の予混合が促進され、燃焼室(2)での燃焼が適正化され、シリンダ(1)のボア径を小さくしても、騒音、燃費、スモーク濃度を良好に維持することができ、エンジンを小型化することができる。
図2(B)及び図3に例示するように、この発明では、脇圧縮空気(10b)(10b)がうず室(4at)の脇空間(4b)(4b)に流入し、この脇空間(4b)(4b)内の空気の流動が促進され、うず室(4at)での空気利用率が高まる。
図5~図7に示すように、このエンジンは、シリンダブロック(16)と、シリンダブロック(16)の上部に組み付けられたシリンダヘッド(3)と、シリンダヘッド(3)の上部に組み付けられたシリンダヘッドカバー(17)と、図6に示すシリンダブロック(16)の前部に組み付けられた水ポンプ(18)及びオイルポンプ(19)と、水ポンプ(18)の前部に組み付けられたエンジン冷却ファン(20)と、エンジン冷却ファン(20)の前方に配置されたラジエータ(21)と、シリンダブロック(16)の後部に配置されたフライホイール(22)と、シリンダブロック(16)の下部に組み付けられたオイルパン(23)を備えている。
このエンジンは、吸気装置と、排気装置と、燃焼装置と、電子制御装置と、エンジン水冷装置を備えている。
排気装置は、図5に示す排気マニホルド(25)と、排気マニホルド(25)の排気下流側に接続される排気処理装置(図示せず)を備えている。
吸気マニホルド(24)は、シリンダヘッド(3)の左右の一側に、排気マニホルド(25)はシリンダヘッド(3)の左右の他側に配置されている。
図1(E)に示すように、連通口中心軸線(9c)と直交する連通口(9)の断面が矩形状で、図1(B)(D)(E)に示すように、連通口(9)の横方向両脇の平坦な両脇周面(9bs)(9bs)がうず室(4at)の横方向両脇の平坦な両横端面(4bs)(4bs)から面一で導出されている。
中央燃料噴射孔(6a)の中央燃料噴射軸線(6ac)が、連通口(9)側に向けられ、脇燃料噴射孔(6b)(6b)の脇燃料噴射軸線(6bc)(6bc)が中央燃料噴射軸線(6ac)の横方向両脇側に向けられている。
このため、図2(B)及び図3に示すように、中央圧縮空気(10a)中で中央燃料噴射孔(6a)から噴射される中央燃料(5a)が拡散され、脇圧縮空気(10b)(10b)中で脇燃料(5b)(5b)が拡散され、うず室(4at)での燃料(5)と圧縮空気(10)の予混合が促進される。
このため、中央圧縮空気(10a)に生じる中央角部(9ac)の後流に中央燃料(5a)が巻き込まれ、うず室(4at)での中央燃料(5a)と中央圧縮空気(10a)の予混合が促進される。
このため、図2(B)及び図3に示すように、脇圧縮空気(10b)(10b)に生じる後流に脇燃料(5b)(5b)が巻き込まれ、脇燃料(5b)(5b)が脇圧縮空気(10b)(10b)中で拡散され、うず室(4at)での燃料(5)と圧縮空気(10)の予混合が促進される。
このため、燃料インジェクタ(6)から噴射された燃料(5)の一部は、うず室(4at)で圧縮空気(10)と予混合燃焼され、残りの未燃燃料は、予混合燃焼の燃焼ガスで、連通口(9)から主燃焼室(2a)に噴出し、主燃焼室(2a)に燃料(5)が広く拡散され、主燃焼室(2a)での燃焼が促進される。
このため、図2(B)及び図3に示すように、燃料インジェクタ(6)から噴射された燃料(5)は、主燃焼室(2a)からうず室(4at)に押し込まれた圧縮空気(10)のうず流に巻き込まれ、うず室(4at)での燃料(5)と圧縮空気(10)の予混合が促進される。
このため、図2(B)及び図3に示すように、脇燃料(5b)は、脇圧縮空気(10b)に乗ってうず室(4at)を旋回し、うず室(4at)での燃料(5)と圧縮空気(10)の予混合が促進される。
図4(A)に示すように、ピストン(1a)は、頂面に設けられた燃焼ガスガイド溝(37)と、3個のバルブリセス(38)( 38)(39)を備え、燃焼ガスガイド溝(37)の始端部はシリンダ(1)の周壁付近で連通口(9)と対向し、燃焼ガスガイド溝(37)の終端部は、シリンダ中心軸線(1c)を越えて、連通口(9)と反対側に伸び、3個のバルブリセス(38)(38)(39)と連通している。
燃焼ガスガイド溝(37)は、図4(A)に示すように、シリンダ中心軸線(1c)と平行な向きに見て、扇形に形成され、図4(B)に示すように、始端部が最も深く、終端部に近づくにつれて次第に浅くなっている。
図4(A)に示す3個のバルブリセスのうち、径小の一対のバルブリセス(38)(38)は、吸気バルブリセスで、径大のバルブリセス(39)は、排気バルブリセスである。
図2(A)(B)、図3、図4(B)に示すように、うず室(4at)は球形円筒型のうず室(4at)とされ、図2(A)に示すように、連通口(9)の連通口中心軸線(9c)は、口金(3b)の底面(3c)に対する仰角(α)が45°で、主燃焼室(2a)側からうず室(4at)の内周面の接線方向に向けられている。
うず室(4at)にはグロープラグ(4g)が差し込まれている。
このため、燃料(5)の噴射が電子制御され、圧縮行程で連通口(9)からうず室(4at)に押し込まれる圧縮空気(10)と燃料インジェクタ(6)から噴射される燃料(5)の予混合の調節により、燃焼室(2)での燃焼が適正化され、シリンダ(1)のボア径を小さくしても、騒音、燃費、スモーク濃度を良好に維持することができ、エンジンを小型化することができる。
クランク軸センサ(28)にはピックアップコイルが用いられる。このクランク軸センサ(28)は、フライホイール(22)に取り付けられたクランク軸検出ディスク(図示せず)の突起がセンサ前を通過するのを検出する近接センサである。クランク軸検出ディスクは、周縁に1個の起点突起と、等ピッチで設けられた多数の位相突起を備えている。
気筒判別センサ(29)にもピックアップコイルが用いられる。この気筒判別センサ(29)は、図2に示す動弁カム軸(30)に取り付けられたカム軸位相検出ディスク(図示せず)の突起がセンサ前を通過するのを検出する近接センサである。カム軸位相検出ディスクは、周縁に1個の突起を備えている。
クランク軸センサ(28)と気筒判別センサ(29)は、突起のピックアップ信号による実回転数検出信号とクランク角度検出信号とカム軸位相検出信号をエンジンECU(26)に発信し、エンジンECU(26)では、この実回転数検出信号とクランク角度検出信号から、エンジンの実回転数とクランク角度を演算するとともに、カム軸位相検出信号から各気筒が燃焼サイクルのどの行程にあるかを判別する。
この燃料インジェクタ(6)からの液体燃料(5)の噴射圧力は、シリンダ内の燃焼室に直接に燃料を噴射する既存のコモンレール式ディーゼルエンジンのそれが一般的に120~160MPaに設定されているのに対し、かなり低く設定されている。
燃料インジェクタ(6)からの燃料(5)の噴射圧力が5MPa未満では、うず室(4at)での燃料(5)の貫通力が不足し、50MPaを越えると、うず室(4at)での燃料(5)の飛行時間が不足し、いずれの場合にもうず室(4at)での燃料(5)と圧縮空気(10)の予混合が停滞するおそれがある。これに対し、5~50MPaでは上記の問題がなく、うず室(4at)での燃料(5)と圧縮空気(10)の予混合が促進される。
また、燃料インジェクタ(6)からの燃料(5)の噴射圧力が5~50 MPaで済み、ディーゼルエンジンでありながら、低圧燃料噴射のガソリン噴射システム等の燃料インジェクタ(6)や燃料蓄圧装置(7)の部品を転用することができ、他の低圧燃料噴射システムと部品を共通化することができる。
このため、燃料インジェクタ(6)からの燃料(5)の噴射圧力が5~50MPaで済み、ディーゼルエンジンでありながら、低圧燃料噴射のガソリン噴射システム等のアキュムレータ(11)と燃料フィードポンプ(12)をそのまま転用することができ、他の低圧燃料噴射システムと燃料蓄圧装置(7)の部品を共通化することができる。
このため、デリバリパイプ(11a)内の燃料圧力が5~50MPa程度になり、ディーゼルエンジンでありながら、低圧燃料噴射のガソリン噴射システム等のデリバリパイプ(11a)をそのまま転用することができ、他の多気筒低圧燃料噴射システムと燃料蓄圧装置(7)の部品を共通化することができる。
なお、図1(A)中の符号(13)は安全弁であり、デリバリパイプ(11a)内の燃料圧が所定の上限値を越えると、開弁され、デリバリパイプ(11a)内の燃料圧を低下させる。
このため、プレ噴射の燃料(5)は、うず室(4at)で圧縮空気(10)と混合されて燃焼し、メイン噴射の燃料(5)は、プレ噴射の燃焼ガスで着火され、燃焼室(2)での燃焼が促進される。
エンジン冷却水の温度が高まると、サーモスタット弁(33)の開弁により、エンジン冷却水は、ラジエータ(21)と水ポンプ(18)とシリンダジャケット(31)とシリンダヘッドジャケット(32)の相互間をその順番で循環し、エンジンの冷却がなされる。エンジン冷却水の一部は、戻しパイプから水ポンプ(18)に吸い込まれ、ラジエータ(21)を迂回する。
上記実施形態では、2気筒エンジンについて説明したが、本発明は、単気筒や3気筒以上の多気筒エンジンにも適用できる。
Claims (11)
- シリンダ(1)内の燃焼室(2)と、シリンダヘッド(3)内の燃料噴射室(4)と、燃焼室(2)と燃料噴射室(4)を連通させる連通口(9)と、燃料噴射室(4)に臨む燃料インジェクタ(6)を備え、
シリンダ中心軸線(1c)と平行な向きに見て、連通口中心軸線(9c)と直交する方向を横方向として、燃料噴射室(4)は横方向に伸びる噴射室中心軸(4d)を備えた円筒形状で、連通口中心軸線(9c)と直交する連通口(9)の断面が横長形状であり、
シリンダ(1)内の燃焼室(2)が主燃焼室(2a)とされ、燃料噴射室(4)が
うず室(4at)とされ、
燃料インジェクタ(6)は、横方向中央側の中央燃料噴射孔(6a)と、横方向両脇側の両脇燃料噴射孔(6b)(6b)を備え、
中央燃料噴射孔(6a)の中央燃料噴射軸線(6ac)は、うず室(4at)内を旋回する旋回流となる圧縮空気(10)を導入する連通口(9)の中央部(9a)とうず室(4at)の境界の中央角部(9ac)側を経て連通口(9)の中央部(9a)に向けられ、
両脇燃料噴射孔(6b)(6b)の各脇燃料噴射軸線(6bc)(6bc)は、前記連通口(9)の横方向同一脇側の各脇部(9b)(9b)とうず室(4at)の境界の各脇角部(9bc)(9bc)側を経て連通口(9)の各脇部(9b)(9b)に向けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
中央燃料噴射孔(6a)の中央燃料噴射軸線(6ac)は、中央角部(9ac)と接する位置を経て、連通口(9)の中央部(9a)に向けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
中央燃料噴射孔(6a)の中央燃料噴射軸線(6ac)は、中央角部(9ac)のある位置を経て、連通口(9)の中央部(9a)に向けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
中央燃料噴射孔(6a)の中央燃料噴射軸線(6ac)は、中央角部(9ac)から離れた中央角部(9ac)寄りの位置を経て、連通口(9)の中央部(9a)に向けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
連通口中心軸線(9c)と直交する連通口(9)の断面が矩形状で、
連通口(9)の横方向両脇の平坦な両脇周面(9bs)(9bs)がうず室(4at)の横方向両脇の平坦な両横端面(4bs)(4bs)から面一で導出されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
脇燃料噴射孔(6b)の脇燃料噴射軸線(6bc)は、うず室(4at)で旋回する脇圧縮空気(10b)の旋回方向に向けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
燃料インジェクタ(6)から噴射される燃料(5)の噴射時期と噴射量を制御する電子制御装置(8)を備えている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
燃料インジェクタ(6)からの燃料(5)の噴射圧力は、5~50MPaに設定されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項8に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
燃料インジェクタ(6)から噴射する燃料(5)を蓄圧する燃料蓄圧装置(7)を備え、燃料蓄圧装置(7)は、アキュムレータ(11)と、アキュムレータ(11)に燃料(5)を供給する燃料フィードポンプ(12)を備えている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項9に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
アキュムレータ(11)は、複数の燃料インジェクタ(6)に燃料(5)を分配するデリバリパイプ(11a)である、ことを特徴とするディーゼルエンジン。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
燃料インジェクタ(6)の燃料(5)の噴射は、メイン噴射と、メイン噴射に先立つプレ噴射を備えている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
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